実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法は、基板上に磁気記録層を形成する工程と、磁気記録層上にマスク層を形成する工程と、マスク層上に凹凸パターンを形成する工程と、凹凸パターンをマスク層へ転写する工程と、凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程と、マスク層を磁気記録層上から除去する工程とを含む。
マスク層上に凹凸パターンを形成する工程は、金属微粒子と第1の溶媒中を含有する金属微粒子塗布液をマスク層上に塗布し、金属微粒子の多層構造を有する金属微粒子塗布層を形成する工程と、第1の溶媒の第1の溶解度パラメータと0ないし12.0の差をもつ第2の溶解度パラメータを有する第2の溶媒を金属微粒子塗布層に滴下し、余分な金属微粒子を洗い落として金属微粒子の多層構造を単層化させ、単層の金属微粒子膜を形成する工程とを含み、単層の金属微粒子膜により凹凸パターンが構成される。ここで、溶解度パラメータの値の差は第1および第2の溶媒が極性溶媒または非極性溶媒の場合とで、最適範囲が異なる。具体的には、第1ならびに第2の各溶媒が極性溶媒である場合は溶解度パラメータの差が12.0以下であることが好ましく、第1ならびに第2の各溶媒が非極性溶媒である場合は溶解度パラメータの差が3.0以下であることが好ましい。
実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法は例えば第1ないし第4の実施形態に分けることができる。
第1の実施形態では、凹凸パターンをマスク層へ転写する工程、凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程の後、金属微粒子膜を除去する工程を含む。
第2の実施形態では、凹凸パターンをマスク層へ転写する工程と凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程の間に、金属微粒子部分を除去する工程を含む。
第3の実施形態では、マスク層上に凹凸パターンを形成する工程の前に、マスク層上に転写層を設ける工程をさらに含み、マスク層上に凹凸パターンを形成する工程では、金属微粒子塗布液をマスク層上に塗布する代わりに、金属微粒子塗布液を転写層上に塗布して金属微粒子の多層構造を有する金属微粒子塗布層を形成し、凹凸パターンをマスク層へ転写する工程の前に、凹凸パターンを転写層へ転写する工程をさらに含む。
第4の実施形態では、磁気記録層上にマスク層を形成する工程の前に、磁気記録層上に剥離層を形成する工程をさらに含み、凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程の前に、凹凸パターンを剥離層へ転写する工程をさらに含み、凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程の後に剥離層を除去することにより磁気記録層上からマスク層を剥離する。
ここで、単層の金属微粒子膜とは、複数の金属微粒子が単層状に配列された状態を言う。
また、実施形態に使用される第2の溶媒は、余分な金属微粒子を洗い落として金属微粒子の多層構造を単層化させるために使用され、ここでは必要に応じてリンス液と表記する。
実施形態に使用される金属微粒子は、カーボン、アルミニウム、シリコン、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、銀、タンタル、タングステン、白金、金、セリウムなどの金属の単体の微粒子、その合金の微粒子、及びその化合物の微粒子から選択することができる。
実施形態において、金属微粒子は金属微粒子塗布液として第1の溶媒中に分散しているものを用いる。
また、第1の溶媒の第1の溶解度パラメータと第2の溶媒の第2の溶解度パラメータとの差は0ないし12.0である。これは、多層構造を単層化するためのリンス液となる第2の溶媒は第1の溶媒と相溶の関係にあるものから選ばれることを意味する。また、第1の溶解度パラメータと第2の溶解度パラメータの差は0であっても良く、これは第1および第2の溶媒は同じものを使用可能であることを意味する。
なお、第1の溶解度パラメータと第2の溶解度パラメータの差は、極性溶媒を用いる場合は12.0以下が望ましく、また非極性溶媒を用いる場合は3.0以下であることが望ましい。さらに、第1の溶媒と第2の溶媒は互いに異なる溶媒であることが好ましい。
実施形態では、金属微粒子および第1の溶媒を含む金属微粒子塗布液を塗布することで金属微粒子の多層構造を形成し、次いでリンス液である第2の溶媒を塗布することで多層構造を流動させ、余分な金属微粒子を洗い流し単層化することができる。
前記第1および第2の溶媒はスピンコート法、ディップコート法、スピンキャスト法、ラングミュアブロジェット法、インクジェット法などの種々の方法により塗布する。
金属微粒子からなる凹凸パターンはエッチングによりマスク層へ転写する。第3の実施形態によれば、この場合、パターンの転写精度を向上させるために金属微粒子とマスク層との間に転写層を1層設けることができる。
凹凸パターンを磁気記録層へ転写した後、エッチングにより磁気記録層上からマスク層を除去する。あるいは、あらかじめ磁気記録層上に剥離層を設けておき、剥離層の除去によりマスク層を磁気記録層上から剥離しても構わない。剥離層の除去にはドライエッチング、もしくはウェットエッチングを適用する。
上記実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法によれば、基板上に広範囲に渡って形成した単層の金属微粒子膜により、凹凸パターンの転写精度の位置依存性を小さくでき、面内均一性に優れた磁気記録媒体を製造できる。また、金属微粒子の階層構造が平坦化されるため、媒体に対するヘッド走査時のグライド特性が改善される。さらに、高記録密度化に適した微細パターンを簡便に製造可能であり、製造プロセスの簡易化が実現される。
なお、上記第1ないし第4の実施形態は相互に組み合わせて実施することが可能である。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)ないし図1(i)に実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程を表す図を示す。
まず、基板上に磁気記録層が形成された磁気記録媒体を用意する。
図1(a)に示すように、基板1上に設けられた磁気記録媒体2上にマスク層3を形成する。
次に、図1(b)に示すように、金属微粒子と第1の溶媒5を含む金属微粒子塗布液をマスク層3へ滴下、塗布するとともに、図1(c)に示すように、マスク層3上に、金属微粒子4からなる多層構造と第1の溶媒5を含む金属微粒子塗布層6を形成する。
続いて、図1(d)に示すように、第2の溶媒7を金属微粒子4からなる多層構造へ滴下、塗布することにより金属微粒子を流動化させ余分な金属微粒子を洗い流して、図1(e)に示すように、複数の金属微粒子が規則正しく配列された単層の金属微粒子膜8を得る。
引き続き、図1(f)に示すように単層の金属微粒子膜8により構成される凹凸パターンをマスク層3へ転写する。
次に、図1(g)に示すように単層の金属微粒子膜8とパターニングされたマスク層3を介して、磁気記録層2に凹凸パターンを転写する。
さらに続いて、図1(h)に示すように磁気記録層2上のマスク層3および単層金属微粒子膜8を除去することにより、基板1と、その上に設けられたパターニングされた磁気記録層2とを得る。
さらに、パターニングされた磁気記録層2に保護膜9を形成することにより、磁気記録媒体100を得ることができる。
図2(a)〜図2(j)に、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程を表す図を示す。
第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程では、図1(g)に示すように、単層の金属微粒子膜8とマスク層3を介して、磁気記録層2に凹凸パターンを転写する代わりに、図2(g)に示すように、マスク層3上の単層金属微粒子膜8を除去した後に、図2(h)に示すように、マスク層3を介して磁気記録層2に凹凸パターンを転写すること以外は図1(a)ないし図1(i)と同様にして、磁気記録媒体110を得ることができる。
図3(a)ないし図3(j)に、第3の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程を表す図を示す。
第3の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程では、図3(a)に示すように、磁気記録層2上に設けられたマスク層3上に、さらに転写層11を設けるとともに、図3(f)に示すように、単層金属微粒子膜8を用いて転写層11に凹凸パターンを転写し、さらに図3(g)に示すように、転写層11の凹凸パターンをマスク層3へ転写すること以外は、図1(a)ないし図1(i)と同様にして、磁気記録媒体120を得ることができる。
図4に、第4の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程を表す図を示す。
第4の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程では、図4(a)に示すように、基板1上に設けられた磁気記録層2とマスク層3との間に剥離層をさらに形成すること、及び図4(g)に示すように、凹凸パターンを磁気記録層2に転写する前に剥離層12に転写すること、及び図4(i)において、マスク層3を除去する代わりに剥離層12を除去することにより、磁気記録層2上からマスク層3及び金属微粒子膜8を剥離すること以外は、図1(a)ないし図1(i)と同様にして、磁気記録媒体130を得ることができる。
磁気記録層形成工程
まず、基板上に磁気記録層を形成し、磁気記録媒体を得る。
基板の形状には何ら限定は無いが、通常は円形で、硬質のものが用いられる。例えば、ガラス基板、金属含有基板、カーボン基板、セラミックス基板などが用いられる。パターンの面内均一性を良好にするため、基板表面の凹凸は小さくすることが望ましい。また、必要に応じて基板表面には酸化膜をはじめとした保護膜を形成しておくことも可能である。
ガラス基板には、ソーダライムガラスやアルミノシリケートガラスに代表されるアモルファスガラスや、リチウム系ガラスに代表される結晶化ガラスを用いることができる。また、セラミックス基板にはアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素を主成分とする焼結体基板を用いることが可能である。
基板上にはコバルトを主成分とした垂直磁気記録層を有する磁気記録層が形成される。
ここで、基板と垂直磁気記録層の間には高透磁率を有する軟磁性裏打ち層(SUL; Soft Under Layer)を形成することができる。軟磁性裏打ち層は垂直磁気記録層を磁化するための磁気ヘッドからの記録磁界を環流させるといった磁気ヘッド機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で十分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させることができる。
軟磁性裏打ち層には例えばFe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。これらの材料のうち、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界が存在せず優れた軟磁性を示すアモルファス材料を好ましく使用できる。軟磁性アモルファス材料を使用することにより、記録媒体の低ノイズ化を図ることができる。軟磁性アモルファス材料として、例えば、Coを主成分として、これに対しZr、Nb、Hf、Ti、Taのうち少なくとも1種を含有したCo合金、例えばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTaなどを選択できる。
また、軟磁性裏打ち層と基板との間には軟磁性裏打ち層の密着性向上のために下地層を設けることができる。下地層材料としては、Ni、Ti、Ta、W、Cr、Pt、その合金、その酸化物、及びその窒化物などを用いることができ、例えばNiTa、及びNiCrなどを用いることが可能である。なお、これらの層は複数で構成されても構わない。
更に、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間には非磁性金属材料からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間の交換結合相互作用を遮断することと、垂直磁気記録層の結晶性を制御することの二つである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、あるいはその合金、その酸化物、及びその窒化物から選択することができる。
垂直磁気記録層は、Coを主成分とするとともに少なくともPtを含み、更に金属酸化物を含むことができる。Co及びPtに加えて、他にもB、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、及びRuから選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含有することで、磁性粒子の微粒子化を促進し、結晶性、配向性を向上させることができ、これにより、高記録密度に適した記録再生特性と熱ゆらぎ特性を得ることができる。垂直磁気記録層は具体的にCoPt系合金、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi、CoCrSiO2などの合金を用いることが可能である。
垂直磁気記録層の厚さは、再生出力信号を高確度で測定するために1.0nm厚以上が好ましく、信号強度の歪を抑えるために40nm厚以下が好ましい。1.0nmよりも薄いと再生出力が極めて小さくノイズ成分が優位になる傾向がある。逆に、40nmよりも厚い場合は再生出力が過剰となり、信号波形に歪が生じる傾向がある。
垂直磁気記録層上部には保護層を設けることができる。保護層は、垂直磁気記録層の腐食・劣化を防ぐとともに、磁気ヘッドが記録媒体に接触した時に生じる媒体表面の損傷を防ぐ効果がある。保護層材料としては、例えばC、Pd、SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。カーボンはsp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素の方が優れ、逆に平坦性はsp2結合炭素の方が優れる。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法により行われ、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが成膜されるが、sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性、平坦性に優れており、磁気記録層の保護層としてより好適である。
保護層の上部には更に潤滑層を設けることができる。潤滑層に用いられる潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などが挙げられる。以上により、基板上に垂直磁気記録媒体が形成される。
マスク層形成工程
磁気記録層の上に凹凸パターン転写用のマスク層を形成する。
磁気記録層上に保護層が設けられている場合には、マスク層は保護層上に設けることができる。
このマスク層は磁気記録層の加工における主マスクとなるため、磁気記録層ならびに後述の金属微粒子材料とのエッチング選択比を維持できるような材料を用いることが好ましい。具体的な材料としては、例えば、Al、C、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Fe、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Au、Hf、Ta、W、Ptからなる群から選択され、これらの化合物もしくは合金からなる材料をマスク層へ適用することも可能である。ここで、化合物とは酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物などから選ばれ、また合金は上記の群から選択される2種類以上の材料により構成される。この場合、マスク層の上に形成される金属微粒子膜の材料と凹凸パターン寸法に対してエッチング選択比を確保し得るマスク層材料を選択し、さらにその膜厚を適切に決定することができる。
これらのマスク層は、真空蒸着法、電子線蒸着法、分子線蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法に代表される物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、及び熱・光・プラズマを用いた化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)などにより形成できる。
マスク層の厚さは、物理的・化学的気相成長法においてはプロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、成膜時間などのパラメータを適宜変更することで調整が可能である。このマスク層上部に形成される金属微粒子層の配列精度ならびに凹凸パターンの転写精度は、マスク層の表面ラフネスに強く依存する。したがって、マスク層においてはその表面ラフネスを低減しておくことが好ましく、上記成膜条件を種々調整することでこれを実現可能である。狭ピッチパターンを高精細にパターニングするために、所望のパターンピッチに対して表面ラフネスの周期は小さいことが特に好ましい。また、平均表面ラフネスの値は0.6nm以下であることが望ましい。0.6nmよりも大きいと、後述する金属微粒子の配列精度が悪化し、磁気記録媒体の信号S/Nが劣化する傾向がある。
表面ラフネスを低減するためには上記成膜条件を種々変更する他、マスク層材料を結晶質のものから非晶質のものにすることで、これを実現可能である。
マスク層の厚さは、剥離層および磁気記録層とのエッチング選択比や凹凸パターン寸法を考慮して決定することができる。マスク層成膜の際には、例えばプロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、及び成膜時間などのパラメータを変えることで調整できる。成膜で用いるスパッタガスはArをはじめとした希ガスを主とすることが可能であり、さらに成膜するマスク材料によってO2、N2などの反応性ガスを混合することで所望の合金を成膜することもできる。
また、マスク層の厚さは微細パターンを高精細に転写するために、1nm以上50nm以下にすることが好ましい。1nmよりも薄いとマスク層が均一に成膜されず、また、50nmよりも厚いと深さ方向に対する凹凸パターンの転写精度が劣化する傾向がある。
後述のように、マスク層を介して凹凸パターンを磁気記録層へ形成した後、マスク層を除去することで凹凸を有する磁気記録層を得ることができる。ここで、マスク層を除去する場合はドライエッチングもしくはウェットエッチングなどの方法を適用するが、あらかじめマスク層と磁気記録層との間に剥離層を形成しておき、これを除去することで磁気記録層上からマスク層を剥離することもできる。磁気記録層上に保護層が設けられている場合には、剥離層は保護層上に設けることができる。
剥離層はドライエッチングおよびウェットエッチングにより剥離され、最終的にはマスク材料を磁気記録層上から除去する役割を果たす。
剥離層は種々の無機材料及び高分子材料から選定でき、これを溶解可能なエッチング溶液を適切に選択できる。
剥離層に使用可能な無機材料として、例えば、C、Mo、W、Zn、Co、Ge、Al、Cu、Au、Ag、Ni、Si、SiO2及びCrなどの金属、化合物、および2種類以上の金属からなる合金などが挙げられる。これらの無機材料は、O2、CF4、Cl2、H2、N2、Arなどのエッチングガスを用いたドライエッチングで剥離できる。
また、各材料に対して塩酸、リン酸、硝酸、ホウ酸、酢酸、弗化水素酸、弗化アンモニウム、過塩素酸、臭化水素酸、カルボン酸、スルホン酸、過酸化水素水などの酸、あるいは水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、フェニルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどのアルカリ溶液を適用可能である。
また、溶液のpHを調整するための緩衝液を適宜追加しても構わない。
剥離層には高分子材料も適用できる。例えば、汎用レジスト材料に代表されるノボラック樹脂、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、メチルスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルピロリドン、及びポリメチルセルロースなどが挙げられる。これらのレジスト材料は有機溶媒もしくは水を用いて剥離できる。なお、エッチング耐性を向上させるために、高分子材料と金属を含有するコンポジット材料を使用することも可能である。
上記の酸、アルカリ、有機溶媒を用いたウェットエッチングにより剥離層を溶解する場合は、磁気記録層および基板の溶解速度が剥離層の溶解速度に対して十分に小さいことが望ましい。
マスク層は1層または2層以上形成することができる。前述のような磁気記録層および剥離層上のマスク層を例えば第1のマスク層、及び第2のマスク層を含む積層体にすることも可能である。例えば第1のマスク層と第2のマスク層とを異なる材料から構成することで、エッチング選択比を大きくし、転写精度を改善することが可能である。ここでは便宜上、第2のマスク層を第1のマスク層に対する転写層と呼び、基板側から磁気記録層/マスク層/転写層のように表記する。
この転写層は金属微粒子材料およびマスク層材料とのエッチング選択比を考慮して、種々の材料から適切に選択できる。マスク材料の組み合わせを決める場合、エッチング溶液あるいはエッチングガスに対応した金属材料を選択することができる。ドライエッチングを想定して各材料を組み合わせる場合、例えば、基板側からマスク層/転写層の順にC/Si、Si/Al、Si/Ni、Si/Cu、Si/Mo、Si/MoSi2、Si/Ta、Si/Cr、Si/W、Si/Ti、Si/Ru、Si/Hfなどが挙げられる他、SiをSiO2、Si3N4、SiCなどで置き換えた構成にすることができる。また、Al/Ni、Al/Ti、Al/TiO2、Al/TiN、Cr/Al2O3、Cr/Ni、Cr/MoSi2、Cr/W、GaN/Ni、GaN/NiTa、GaN/NiV、Ta/Ni、Ta/Cu、Ta/Al、Ta/Cr、などの積層体を選択できる。なお、マスク加工で使用するエッチングガスに応じて、これらの各種マスク材料の積層順序は入れ替えることができる。
マスク材料の組み合わせおよび積層順は上記のものに限定されるわけではなく、パターン寸法とエッチング選択比の観点から適切に選択することができる。また、ドラエッチングと共にウェットエッチングによるパターニングも可能であるため、これを考慮して各マスク材料を選定することができる。
ウェットエッチングによりマスク層をパターニングする場合は、凹凸パターンの幅方向に対するサイドエッチを抑制する。この場合は、マスク材料の組成、エッチング溶液の濃度、およびやエッチング時間をはじめとした各種パラメータを設定することで実現可能である。
金属微粒子層形成工程
続いて、マスク層上に凹凸パターンとなる金属微粒子層を形成する。凹凸マスクとして金属微粒子を用いる場合、基板上の広範囲に亘って金属微粒子が単層配列していることが好ましく、これにより磁気記録媒体における信号強度の位置ばらつきを小さくできる他、パターン転写後における異常突起の低減に伴い良好なグライド特性が得られる。
金属微粒子層の形成工程では以下の2段階の工程を経る。すなわち、(1) 多層構造の金属微粒子を基板上に配列させる工程、(2)溶媒の滴下により多層構造の金属微粒子を流動、単層化する工程である。
まず、マスク層上に塗布するための金属微粒子塗布液を準備する。この塗布液は、少なくとも1種類以上の金属微粒子が溶媒中に単分散しているものである。ここで、単分散とは金属微粒子同士が凝集、融着せずに独立して溶媒中に存在していることを意味する。
金属微粒子が溶媒中で安定に分散するためには、金属微粒子表面が保護材によって被覆されていることが好ましい。この保護材の定義は、界面活性剤を含み、かつ金属微粒子表面を被覆しているというものである。さらに、金属微粒子材料に対する親和性が高いことが望ましい。
保護材としては、保護基としてチオール基、アミノ基、ケトン基、カルボキシル基、エーテル基、水酸基などが挙げられ、具体的にはアルカンチオール、ドデカンチオール、ポリビニルピロリドン、オレイルアミンなどが好適である。
金属微粒子材料にはC、Pt、Ni、Pd、Co、Al、Ti、Ce、Si、Fe、Au、Ag、Cu、Ta、Zr、Zn、Mo、W、Ruの群から選ばれる少なくとも1種、上記群から選択される2種類以上からなる合金、混合物、酸化物から構成される材料を用いることができる。
また、金属微粒子のサイズとしては、隣接する金属微粒子の中心間の距離、すわなちピッチが20nm以下のものを用いる。20nmよりも大きな金属微粒子では金属微粒子の単位表面積あたりに存在する保護材の体積が増加するため、微粒子間の相互作用が強く、後述する単層化が困難となるからである。
また、金属微粒子を分散させる溶媒は種々の有機溶媒から選択可能である。具体的には、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールトリメチルエーテル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、テトラデカン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アニソール、及びジエチレングリコールトリエチルエーテル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、水などが挙げられる。
上記のような金属微粒子および溶媒を混合することで、金属微粒子塗布液を得る。なお、微粒子同士の凝集が生じる場合は、混合後に超音波分散などの方法を用いることで、金属微粒子を再分散させることが可能である。
また、金属微粒子塗布液に対して金属微粒子の単分散を促進させるための分散剤を添加しても構わない。分散剤は保護材ならびに溶媒との組合せに対して適切に選択することが可能であり、例えば、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリカルボン酸アンモニウム、ポリカルボン酸アミン、ポリアルキルアミン、ポリアミンなどから選択できる。
さらに、金属微粒子塗布液にはバインダーとして種々の高分子材料を添加することが可能であり、これによりマスク層に対する塗布性を改善できる他、下地に対するパターンの固着を強化することが可能である。
バインダーに用いる高分子材料は第1の溶媒に溶解されるものであれば良く、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレートなどを用いることが可能である。
これらの溶媒中に金属微粒子が単分散した金属微粒子塗布液をマスク層上へ滴下・塗布する。塗布液の塗布は、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンキャスティング法、ディップコーティング法、インクジェット法などの種々の方法が挙げられる。マスク層上へ滴下する塗布液量は、所望の塗布面積に対して十分に被覆され得る量に設定しておけばよい。また、金属微粒子層を多層で形成する際は、溶液濃度、溶液粘度、塗布条件を種々調整すれば良い。例えば、スピンコーティング法では大面積に対して多層構造を形成するため、塗布回転数は10000回転以下に設定しておくことが望ましい。回転数が10000回転以上になると、金属微粒子の欠陥領域が拡大し、単層化が困難になる傾向がある。
マスク層の表面に前処理を施すことにより、金属微粒子塗布液に対する親和性が高め、金属微粒子塗布液の塗布性、すなわち面内均一性を改善可能である。例えば、基板加熱やシランカップリング剤の塗布を行う方法が挙げられる他、溶媒に対して親和性の高い高分子材料をマスク層上に設けておく方法などでも良い。
引き続き、形成した金属微粒子の多層構造を平坦化し、マスク層上に単層配列させる。ここでは、第2の溶媒からなるリンス液を滴下・塗布し、金属微粒子の多層部を流動化させることにより、マスク層に固着した単層部分から除去するリンス工程を経る。前述のごとく、ここでのリンス工程とは、第2の溶媒による金属微粒子の単層化を意味している。
リンス液を選定するにあたり、溶媒同士の溶解性を表す指標として溶解度パラメータ(SP値:Solubility Parameter)を考慮する。すなわち、ΔEを凝集エネルギー、Vを分子容として、溶解度パラメータはSP=(ΔE/V)1/2で表される。SP値は溶媒ごとに固有の値を持ち、一般的に、SP値の差が小さい溶媒同士は溶解しやすい相溶の関係にある。
かかる実施形態においては、金属微粒子塗布液とリンス液、すなわち第1の溶媒と第2の溶媒が相溶の関係となるよう、それぞれ適切な種類を選択しておく。表1に、金属微粒子塗布液およびリンス液に用いる溶媒の例と、それぞれのSP値を一覧で示す。金属微粒子塗布液を作製する場合、これらの各種溶媒と保護材のSP値を適切に設定することが可能である。また、第2の溶媒は第1の溶媒と相溶の関係にあることが望ましく、具体的には両溶媒のSP値の差が12.0以下であることが望ましい。これは、両溶媒が難溶の場合は、多層構造中に含まれる溶媒と相溶せず、金属微粒子層を流動化できないからである。
第2の溶媒は、第1の溶媒と同様にスピンコーティング法をはじめとした種々の方法により滴下・リンス可能である。ここで、多層化した金属微粒子においては、マスク層表面に対する単層の金属微粒子膜の固着が比較的強固であるのに対し、多層部分では固着が比較的弱い。この多層部分に残存する第1の溶媒に対して相溶である第2の溶媒でリンスを行うことで、多層部分を流動化し、余分な金属微粒子を除去し、マスク層表面の単層部分のみを残すことができる。
マスク層パターニング工程
次に、単層化した金属微粒子を凹凸パターンとして、マスク層へパターン転写する。
マスク層の加工では、マスク層材料とエッチングガスの組み合わせにより多様な層構成と加工方法が実現され得る。
凹凸パターンの幅方向におけるエッチングに対して厚さ方向のエッチングが有意となるように、微細加工を行う場合はドライエッチングを適用することが好ましい。ドライエッチングで使用するプラズマは、容量結合、誘導結合、電子サイクロトロン共鳴、多周波重畳結合などの種々の方法により発生させることができる。また、凹凸パターンのパターン寸法の調整のために、プロセスガス圧力、ガス流量、プラズマ投入電力、バイアス電力、基板温度、チャンバー雰囲気、及び到達真空度などのパラメータを設定することができる。
エッチング選択比を大きくするためにマスク材料を積層した場合は、エッチングガスを適切に選択することができる。エッチングガスにはCF4、C2F6、C3F6、C3F8、C5F8、C4F8、ClF3、CCl3F5、C2ClF5、CCBrF3、CHF3、NF3、CH2F2などのフッ素系ガスや、Cl2、BCl3、CCl4、SiCl4などの塩素系ガスが挙げられる。その他、H2、N2、O2、Br2、HBr、NH3、CO、C2H4、He、Ne、Ar、Kr、Xeなどの各種ガスを適用することができる。また、エッチング速度やエッチング選択比を調整するためにこれらのガスを2種類以上混ぜた混合ガスを使用することも可能である。なお、ウェットエッチングによるパターニングも可能であり、この場合はエッチング選択比を確保でき、かつ幅方向へのエッチングを抑制し得るエッチング溶液を選定しておくとよい。同様に、イオンミリングのような物理的エッチングを行っても構わない。
第2の実施形態のように、金属微粒子パターンをマスク層へ転写した後、金属微粒子をマスク層から除去することも可能である。金属微粒子を除去しておくことで、エッチングによる副生成物によるパターン溝部分の閉塞や、微粒子の凝集を軽微にすることが可能である。
金属微粒子の除去では上記ドライエッチングを適用することが可能であり、また、金属微粒子材料に対応する剥離溶液を用いたウェットエッチングを適用しても構わない。剥離溶液としては、曝露されるマスク層と磁気記録層および基板材料が難溶となるものを選択しておく。
マスク層は金属微粒子層とのエッチング選択比を考慮して多様な構成となり得るが、前述のように、例えば基板側からC/Si、Ta/Al、Al/Ni、Si/Crなどの構成にすることができる。
金属微粒子間の間隔が著しく狭い場合、意図的に金属微粒子膜をエッチングすることで微粒子間隔を調整しても良い。具体的な方法として、ドライエッチングにおけるサイドエッチを大きくする方法や、イオンミリングにおけるイオン種の入射角度を調整して金属微粒子を幅方向にスリミングする方法などが挙げられる。以上のようにして、金属微粒子マスクを用いてレジスト層へ凹凸パターンを設けることができる。
上記のような多層金属微粒子塗布→単層化→マスク層へのパターン転写の工程を経て、ナノインプリントスタンパを作製し、ナノインプリントリソグラフィーにより磁気記録層へ凹凸パターンを転写することもできる。
実施形態にかかるスタンパーの製造方法は、基板上に金属微粒子と第1の溶媒中を含有する金属微粒子塗布液を塗布し、金属微粒子の多層構造を有する金属微粒子塗布層を形成する工程と、
第1の溶媒の第1の溶解度パラメータと0ないし12.0の差をもつ第2の溶解度パラメータを有する第2の溶媒を前記塗布層に滴下し、余分な金属微粒子を洗い落として前記金属微粒子の多層構造を単層化して単層の金属微粒子膜を形成する工程と、
単層の金属微粒子膜により構成される凹凸パターン上に該凹凸パターンを有する導電層を形成する工程と、
導電層を電極として電鋳層を形成する工程と、
導電層を剥離することにより凹凸パターンが転写された電鋳層からなるスタンパーを形成する工程とを具備する。
また、第5の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法は、上記スタンパーを使用してナノプリントリソグラフィーにより磁気記録媒体を製造する方法であって、基板上に金属微粒子と第1の溶媒中を含有する金属微粒子塗布液を塗布し、金属微粒子の多層構造を有する金属微粒子塗布層を形成する工程と、
第1の溶媒の第1の溶解度パラメータと0ないし12.0の差をもつ第2の溶解度パラメータを有する第2の溶媒を前記塗布層に滴下し、余分な金属微粒子を洗い落として前記金属微粒子の多層構造を単層化して単層の金属微粒子膜を形成する工程と、
単層の金属微粒子膜により構成される凹凸パターン上に凹凸パターンを有する導電層を形成する工程と、
導電層を電極として電鋳層を形成する工程と、
導電層を剥離することにより凹凸パターンが転写された電鋳層からなるスタンパーを形成する工程、
基板上に磁気記録層を形成する工程と、
磁気記録層上にマスク層を形成する工程と、
インプリントレジスト層をマスク層上に形成する工程と、
スタンパーを用いて、インプリントレジスト層上に凹凸パターンを転写する工程と、
凹凸パターンをマスク層へ転写する工程と、
凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程と、
マスク層を磁気記録層上から除去する工程と、
を具備する。
ナノインプリントリソグラフィーは、微細凹凸パターンが表面に形成されたナノインプリントスタンパ(以降、スタンパと呼ぶ)を転写用レジスト層に押下してパターン転写を行うものであり、ステップアンドリピート方式の紫外線露光や電子線露光などの技術と比較して、試料の大面積に対してレジストパターンを一括転写できる。したがって、製造スループットが増加するため、製造時間短縮・コスト削減を実現できる。
スタンパは、微細凹凸パターンを具備する基板、いわゆるマスター原盤(モールド、原盤)から取得することが可能であり、多くの場合、マスター原盤の微細パターンに対する電鋳により作製される。マスター原盤用の基板にはSiをはじめとして、SiO2、SiC、SiOC、Si3N4、C、などの他、B、Ga、In、Pなどの不純物をドーピングした半導体基板を用いることができる。他にも導電性を有する材料からなる基板を用いることができる。また、基板の3次元的な形状に関する限定は無く、円形、矩形、ドーナツ形のものを用いることができる。
マスター原盤のパターンは、前述のように金属微粒子を凹凸パターンとしても良いし、金属微粒子パターンをマスク層へ転写したものを電鋳用パターンとして適用可能である他、マスター原盤に凹凸パターンを転写した後、これを電鋳用パターンとすることができる。
続いて、マスター原盤の凹凸パターンに対して電鋳を行い、スタンパを作製する。電鋳、すなわち、めっき金属には種々の材料が挙げられるが、ここでは一例として、Niからなるスタンパの作製方法を説明する。
図5に、ナノインプリントスタンパ作製工程を表す図を示す。
まず、図5(a)に示すように、基板1上に金属微粒子塗布液を滴下、塗布して、金属微粒子4及び第1の溶媒5を含む金属微粒子塗布層6を形成する。続いて、図5(b)に示すように金属微粒子4の多層構造を形成する。次いで、図5(c)に示すように、金属微粒子4の多層構造にリンス液7を滴下、塗布し、さらに図5(d)に示すように単層構造の金属微粒子膜8を形成する。このように、金属微粒子を凹凸パターンとしたマスター原版が得られる。
続いて、図5(e)に示すように、マスター原盤の凹凸パターンに導電性を付与するため、単層構造の金属微粒子膜8の表面に導電膜13を成膜する。後述する電鋳の際には、導電不良が生じるとめっき成長が阻害され、パターン欠損につながるため、この導電膜13は凹凸パターンの表面ならびに側面において均一に成膜されていることが好ましい。ただし、金属微粒子ならびに基板に導電性材料を適用する場合はその限りではなく、凹凸パターンに電気的な導通があれば良い。この場合は導電膜13が金属微粒子上部、側面、および溝部にのみ成膜されていても良い。
導電膜13は種々の材料から選択できる。導電膜13の材料として例えば、Ni、Al、Ti、C、Au、Agなどが挙げられる。ここではNiを用いた例を説明する。
なお、金属微粒子に対して成膜した導電膜13を金属微粒子パターンと一体化させても良い。
続いて、図5(f)に示すように、マスター原盤をスルファミン酸NiあるいはNiP浴に浸漬・通電し、電鋳を行なって、導電膜13上にスタンパとなる電鋳層14を形成する。めっき後の膜厚、すなわちスタンパの厚さはめっき浴の水素イオン濃度、温度、粘度の他、通電電流値、めっき時間などを変更することで調整できる。この電鋳は電解めっき、あるいは無電解めっきにより行なうことができる。
このようにして得られたスタンパ200を、図5(g)に示すように基板1上から離型する。スタンパの凹凸表面に金属微粒子層8が残存している場合は、凹凸表面に対してエッチングを行うことで残渣として残った金属微粒子を除去し、凹凸パターンを露出させることができる。あるいは、スタンパ200が難溶かつ金属微粒子が易溶となる剥離液を選択し、これを用いたウェットエッチングを行っても良い。最後に、凹凸パターン面以外の不要な箇所を機械的に除去し、さらに円形、矩形などの所望の形状に加工することで、スタンパが完成し得る。
図6(a)ないし図6(g)に、ナノインプリントスタンパ作製工程の変形例を示す。この実施形態は基板1上にマスク層3を設けておくものであり、図6(b)に示すように、マスク層3上に金属微粒子塗布液を滴下、塗布して金属微粒子塗布層8を形成する工程、図6(c)に示すようにマスク層3上に金属微粒子4の多層構造を形成する工程、図6(d)に示すように、リンス液7を滴下、塗布する工程、図6(e)に示すように、マスク層上の金属微粒子を単層化して単層の金属微粒子膜8を形成する工程、図6(f)に示すように、単層の金属微粒子膜8をマスクパターンとして凹凸パターンをマスク層3へ転写する工程を含むこと以外は、図5に示すスタンパ作製工程とほぼ同様である。ここで用いるマスク層3は前述のように、金属微粒子とのエッチング選択比を確保できる材料であればよく、マスク層3は2層以上の多層構造にしても構わない。さらに、図6(f)の工程の後、マスク層3を介して基板1に凹凸パターンを転写し、図示しない基板にも凹凸が転写されたマスター原盤を用いてスタンパを作製することも可能である。
スタンパをマスター原盤として代替し、複製スタンパを作製することができる。この場合は、NiスタンパからNiスタンパを得る方法や、Niスタンパから樹脂スタンパを得る方法などが挙げられる。ここでは、コストパフォーマンスが比較的高く、作製が容易な樹脂スタンパの作製方法を説明する。
樹脂スタンパは射出成型により作製する。まず、射出成型装置にNiスタンパを装荷し、スタンパの凹凸パターンへ樹脂溶液材料を流入し、射出成型を行う。樹脂溶液材料としては、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネート,ポリメチルメタアクリレートなどを適用可能である他、後述するインプリントレジストとの剥離性の良い材料を選択することができる。射出成型を行った後、Niスタンパ上から試料を剥離することで、凹凸パターンを有する樹脂スタンパが得られる。
得られた樹脂スタンパを用いて、凹凸パターンを転写する。ここでは前述のように、基板側から磁気記録層、マスク層を設けた試料を用い、さらにマスク層上にインプリントレジスト層を形成したものを試料とする。インプリントレジストには熱硬化樹脂や光硬化樹脂をはじめとした各種レジスト材料を用いることが可能であり、例えばイソボルニルアクリレート、アリルメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどを適用できる。
図7(a)に示すように、これらのレジスト材料を、基板1上に磁気記録層2およびマスク層3を有する試料上に塗布し、レジスト層15を形成する。次いで、図7(b)に示すように、レジスト層15に対して凹凸パターンを有する樹脂スタンパ202をインプリントする。インプリントの際、樹脂スタンパ202がレジストに押下されるとレジストが流動化し、凹凸パターンが形成される。ここで、レジスト層15に対して紫外線などのエネルギーを付与することで、凹凸パターンを形成しているレジスト層15を硬化させ、次いで樹脂スタンパ202を離型すればレジスト層15の凹凸パターンが得られる。樹脂スタンパ202の離型を容易に行なうために、あらかじめ樹脂スタンパ202表面にシランカップリング剤などによる離型処理を行なっておいてもよい。
次に、図7(c)に示すように、インプリントレジストを押下した樹脂スタンパ202を離型する。ここで、樹脂スタンパ202離型後におけるレジスト層15の凹部にはレジスト材料が残渣として残存しているため、図7(d)に示すように、これをエッチングにより除去することでマスク層3の表面を露出させる。ポリマーベースのレジスト材料は、一般的にO2エッチャントに対するエッチング耐性が低いため、O2ガスを用いたドライエッチングを行なうことで容易に残渣を除去できる。無機材料を含む場合は、レジストパターンが残るようにエッチングガスを適宜変更することができる。以降、図7(d)、(f)、(g)、(h)に示すように、凹凸パターンをマスク層3、磁気記録層2へ転写した後、保護膜9を形成する工程を経ることにより、凹凸パターンを有する磁気記録媒体140をナノインプリントにより作製することができる。
磁気記録層パターニング工程
次に、図1(g)、図4(h)に示すように、凹凸パターンを合金剥離層12下部の磁気記録層2へ転写する。
磁気的な孤立ドットを形成するための代表的な方法としては、上記の反応性イオンエッチングやミリング法などが挙げられる。具体的には、エッチングガスにCOやNH3を適用する反応性イオンエッチングや、He、Ne、Ar、Xe、Krなどの不活性ガスを用いたイオンミリングによりパターニングすることができる。
磁気記録層のパターニングを行う際は、マスク層のエッチングレートERmaskに対する磁気記録層のエッチングレートERmagの関係がERmask≦ERmagを満足することが望ましい。すなわち、所望の磁気記録層厚を得るために、エッチングに伴うマスク層の後退は少ないほど良い。
イオンミリングにより磁気記録層へ凹凸を転写する場合、加工に伴いマスク側壁に向かって飛散する副生成物、いわゆるリデポ成分を抑制する必要がある。このリデポ成分は、凸パターンマスクの周囲に付着するため、凸パターンの寸法が拡大し、溝部分を埋没させることになるため、分断された磁気記録層パターンを得るためにはリデポ成分を可及的に少なくすることが望ましい。また、剥離層下部の磁気記録層のエッチング時に生じたリデポ成分が剥離層側面を被覆すると、剥離層が剥離溶液に対して曝露されなくなってしまい、剥離性が劣化することになるため、やはりリデポ成分は少ないことが望ましい。
磁気記録層に対するイオンミリングでは、イオンの入射角度を変えることで側壁へのリデポ成分を少なくすることができる。この場合は、マスク高さによって最適な入射角度は異なるが20°〜70°の範囲でリデポを抑制することが可能となる。また、イオンの入射角度はミリング中に適宜変更しても構わない。例えば、磁気記録層をイオン入射角度0°でミリング加工した後、イオン入射角度を変更して凸パターンのリデポ部分を選択的に除去する方法などが挙げられる。
マスク層除去、剥離工程
続いて、図1(h),図4(i)に示すように、磁気記録層2上のマスクパターンを除去することで、凹凸パターンを有する磁気記録層2を得る。
ドライエッチングにより剥離を行う場合は、磁気記録層表面における化学的な改質が小さいことが好ましく、さらに磁気記録層厚を減らさないようにエッチングを行うとよい。
また、ウェットエッチングにより剥離層を溶解する場合は、磁気記録層および基板に対する溶解速度が剥離層の溶解速度に対して十分に小さいことが望ましい。
化学的に活性なガスを用いてドライエッチングを行う場合、活性ガス種の曝露により表面を再度改質することで剥離性を改善できる。例えば、酸素プラズマに対する過剰な曝露により剥離層表面が酸化された場合は、水素プラズマに再度曝露することで還元反応を促進させ、剥離層の剥離性を維持することが可能となる。また、溶液を用いた洗浄を行うことで剥離層側面を改質してもよい。例えば、フッ素プラズマ曝露後に剥離層側面に付着したフッ素化合物に対し、水洗を行うことでフッ素化合物を除去し、剥離層表面を清浄化することが可能となる。
さらに、図4(a)ないし図4(j)に示すように、第4の実施形態においては磁気記録層上に設けた剥離層を除去することで、磁気記録層上のマスク層を剥離することができる。この場合は、上記ドライエッチングの他、ウェットエッチングによる剥離を行っても構わない。
保護層形成工程
最後に、凹凸を有する磁気記録層パターン上にカーボン系保護層と図示しないフッ素系潤滑膜を成膜することで、凹凸パターンが設けられた磁気記録媒体を得ることができる。
カーボン保護層にはsp3結合炭素を多く含むDLC膜が好適である。また、その膜厚は被覆性を維持するために2nm以上、信号S/Nを維持するために10nm以下にすることが望ましい。また、潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
図8に、磁気記録媒体の周方向に対する記録ビットパターンの一例を表す図を示す。
磁気記録層の凸パターンは図に示すように、ディジタル信号の1と0に相当するデータを記録する記録ビット領域121と、磁気ヘッドの位置決め信号となるプリアンブルアドレスパターン122、バーストパターン123からなる、いわゆるサーボ領域124に大別され、これを面内パターンとして形成できる。また、図示しているサーボ領域のパターンは矩形状でなくてもよく、例えば全サーボパターンをドット形状で置き換えても良い。
図9は、実施形態に使用されるドットパターンの一例を表す図を示す。
さらに、図9のようにサーボに加えデータ領域も全てドットパターン120で構成することも可能である。1ビットの情報は1つの磁性ドットあるいは複数の磁性ドットで構成され得る。
図10は、実施形態にかかる磁気記録媒体を適用可能な磁気記録再生装置の一例を、一部分解した斜視図で示す。同図は、ディスク装置として、実施形態に係るハードディスクドライブのトップカバーを取り外して内部構造を示している。図に示すように、HDDは筐体210を備えている。この筐体210は、上面の開口した矩形箱状のベース211と、図示しない矩形板状のトップカバーとを備えている。トップカバーは、複数のねじによりベースにねじ止めされ、ベースの上端開口を閉塞している。これにより、筐体210内部は気密に保持され、呼吸フィルター226を通してのみ、外部と通気可能となっている。
ベース211上には、記録媒体としての磁気ディスク212および駆動部が設けられている。駆動部は、磁気ディスク212を支持および回転させるスピンドルモータ213、磁気ディスクに対して情報の記録、再生を行なう複数、例えば、2つの磁気ヘッド233、これらの磁気ヘッド233を磁気ディスク212の表面に対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ214、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと呼称する)216を備えている。また、ベース211上には、磁気ヘッド233が磁気ディスク212の最外周に移動した際、磁気ヘッド233を磁気ディスク212から離間した位置に保持するランプロード機構218、HDDに衝撃等が作用した際、ヘッドアクチュエータ214を退避位置に保持するイナーシャラッチ220、およびプリアンプ、ヘッドIC等の電子部品が実装された基板ユニット217が設けられている。
ベース211の外面には、制御回路基板225がねじ止めされ、ベース211の底壁と対向して位置している。制御回路基板225は、基板ユニット217を介してスピンドルモータ213、VCM216、および磁気ヘッド233の動作を制御する。
図10において、磁気ディスク212は、前述の加工方法により形成された凹凸パターンを有する垂直磁気記録媒体として構成されている。また、磁気ディスク212は前述の通り、例えば、直径約2.5インチの円板状に形成され非磁性体からなる基板219を有している。基板219の各表面には、下地層としての軟磁性層223と、その上層部に、ディスク面に対して垂直方向に磁気異方性を有する垂直磁気記録層222とが順次積層され、さらにその上に保護膜224が形成されている。
また、磁気ディスク212は、スピンドルモータ213のハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにハブの上端にねじ止めされたクランプばね221によりクランプされ、ハブに固定されている。磁気ディスク212は、駆動モータとしてのスピンドルモータ213により所定の速度で矢印B方向に回転される。
ヘッドアクチュエータ214は、ベース211の底壁上に固定された軸受部215と、軸受部から延出した複数のアーム227と、を備えている。これらのアーム227は、磁気ディスク212の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて位置しているとともに、軸受部215から同一の方向へ延出している。ヘッドアクチュエータ214は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション230を備えている。サスペンション230は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム227の先端に固定され、アームから延出している。各サスペンション230の延出端にジンバルばね241を介して磁気ヘッド233が支持されている。サスペンション230、ジンバルばね241、および磁気ヘッド233により、ヘッドジンバルアッセンブリを構成している。なお、ヘッドアクチュエータ214は、軸受部215のスリーブと、複数のアームとを一体に形成したいわゆるEブロックを備えた構成としてもよい。
前述の、凹凸が設けられた磁気記録媒体を磁気記録再生装置へ適用することで、高記録密度かつ高信号S/Nを有するドライブが得られる。
以下、実施例を示し、実施形態を具体的に説明する。
実施例1は、基板上に磁気記録層、マスク層、金属微粒子層をそれぞれ形成した後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写する工程である。
基板には2.5インチ径ドーナツ基板を用い、この上に磁気記録層をDCスパッタ法により形成した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、基板側から10nm厚NiTa下地層/4nm厚Pd下地層/20nm厚Ru下地層/5nm厚CoPt記録層を順次成膜し、最後に3nm厚Pd保護層を形成することで磁気記録層を得た。
引き続き、Pd保護層上にマスク層を形成した。ここでは、金属微粒子層の凹凸パターンを高精細に転写するために3層のマスクを用いることとし、基板側から第1のマスク層として30nm厚C、さらに上部の転写層として5nm厚Si、さらに第3のマスク層として3nm厚Cを適用した。各マスク層の形成では対向ターゲット式DCスパッタ装置を用い、Arガス流量35sccm、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとしてスパッタ成膜した。
次に、金属微粒子マスクを形成するための塗布液を作製した。この塗布液は金属微粒子の分散液と高分子バインダーの混合溶液からなるものを用いた。
金属微粒子には、アルカンチオール基により表面が被覆されている平均粒径8nmのAuを用いた。高分子バインダーとして平均分子量2800のポリスチレンを用い、金属微粒子に対して重量比Au:ポリスチレン=2:3となるように混合した。また、第1の溶媒はトルエンとし、重量パーセント濃度1.5%となるように希釈し、溶液の調製を行った。最後に、超音波分散機を用いて金属微粒子溶液を分散させ、各微粒子の単分散を促進させることで塗布液を作製した。
次いで、C膜上に金属微粒子層を形成した。作製した金属微粒子塗布液をC膜上へ適量滴下し、回転数2500rpmでスピンコートすることで基板上に3層の金属微粒子層を得た。
続いて、多層金属微粒子層に対して第2の溶媒を塗布し、金属微粒子を単層化した。ここでは、第2の溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いた。
第2の溶媒は前述したスピンコート法により塗布した。多層金属微粒子に対して適量滴下した後、回転数5000rpmでスピンコートすることで、基板上に単層金属微粒子層を形成した。
図11に、金属微粒子レジスト層から金属微粒子の単層の金属微粒子膜を得る工程を模式的表すモデル図を示す。
図示するように、スピンコートによりマスク層3上に形成された金属微粒子レジスト層には、金属微粒子4の多層構造が形成されており、ドーナツ型ディスク状の磁気記録媒体の場合、その内周よりも外周の方が多層構造の層の数が多くなっている。これに対し、単層化された金属微粒子膜8では、金属微粒子が規則正しく配列されている。
図12に、実施形態に係る金属微粒子層の断面観察像を表す図を示す。
また、この試料の断面形状をTEMにて観察したところ、図12に示すように各ドットが孤立した単層微粒子層であることがわかった。
マスク層への凹凸パターン転写はドライエッチングにより行なった。ドライエッチングでは、CF4ガスおよびO2ガスを用いた誘導結合型プラズマエッチングを適用した。まず、金属微粒子マスク層下部のC膜へ凹凸パターンを転写するためにO2ガスをエッチャントとして圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W,バイアス電力10Wとし、25秒間エッチングすることでパターンを転写した。
次に下層のSi膜へ凹凸パターンを転写するために、CF4ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力50W,バイアス電力5Wとし、32秒間エッチングすることで凹凸パターンを転写した。続いて、さらに下層のCマスク層をエッチングするためO2ガスを用い、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W,バイアス電力20Wとし、65秒間エッチングすることで凹凸パターンを転写した。
次に、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。ここではArイオンによるミリング法を適用した。Arイオン加速電圧300V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Pa、基板面に対するイオン種の入射角度90°(垂直入射)として、65秒間ミリングを行い、5nm厚CoPt記録層/3nm厚Pd層へ凹凸パターンを転写した。また、残存したマスク層を除去するために、Arイオン加速電圧100V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Pa、基板面に対するイオン種の入射角度90°(垂直入射)として5秒間ミリングすることで、磁気記録層上からマスク層を除去した。
最後に、2nm厚DLC膜を成膜した後、パーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凹凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
最後に、これらの媒体の記録再生特性の評価は、米国GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用いて、電磁変換特性を測定した。記録再生特性の評価には、書き込みにシールド付(シールドは、磁気ヘッドから出る磁束を収束させる働きを持つ)のシングルポール磁極であるシールディットポール磁極、再生部にTMR素子を用いたヘッドを用いて、記録周波数の条件を線記録密度1200kBPIとして、そのシグナルノイズ比(SNR)を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
実施例2は、マスク層と金属微粒子層との間にパターン転写層として、Siを用いること以外は、実施例1と同様である。
パターン転写層であるSiはDCスパッタ法により形成した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、3nm厚Siを形成した。これにより、磁気記録層上に30nm厚C/5nm厚Si/3nm厚C/3nm厚Siからなる4層マスクを設けた。
Si転写層は前述のようにドライエッチングにより加工した。エッチャントはCF4とし、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力50W,バイアス電力5Wとし、9秒間エッチングすることで3nm厚Si転写層を加工した。
以降、実施例1と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
実施例3は、金属微粒子に平均粒径8.2nmのCを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.6dBの値を得ることができた。
実施例4は、金属微粒子として平均粒径15.3nmのAlを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
実施例5は、金属微粒子として平均粒径19.8nmのSiを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
実施例6は、金属微粒子として平均粒径19.3nmのTiを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
実施例7は、金属微粒子として平均粒径20nmのFe2O3を用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
実施例8は、金属微粒子として平均粒径17.5nmのCoを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
実施例9は、金属微粒子として平均粒径15.5nmのNiを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として13dBの値を得ることができた。
実施例10は、金属微粒子として平均粒径6.8nmのCuを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
実施例11は、金属微粒子として平均粒径17.4nmのZnを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
実施例12は、金属微粒子として平均粒径15.3nmのZrを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.6dBの値を得ることができた。
実施例13は、金属微粒子として平均粒径12.7nmのMoを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
実施例14は、金属微粒子として平均粒径19.9nmのRuを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.3dBの値を得ることができた。
実施例15は、金属微粒子として平均粒径18.9nmのPdSiを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.1dBの値を得ることができた。
実施例16は、金属微粒子として平均粒径9.7nmのAgを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として13dBの値を得ることができた。
実施例17は、金属微粒子として平均粒径15.3nmのTaを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.8dBの値を得ることができた。
実施例18は、金属微粒子として平均粒径10.8nmのWを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
実施例19は、金属微粒子として平均粒径18nmのPtを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.9dBの値を得ることができた。
実施例20は、金属微粒子として平均粒径19.9nmのCeを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
実施例21は、第2の溶媒にキシレンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
実施例22は、第2の溶媒にテトラデカンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.3dBの値を得ることができた。
実施例23は、第2の溶媒にヘキサンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.3dBの値を得ることができた。
実施例24は、第2の溶媒にテトラヒドロフランを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.5dBの値を得ることができた。
実施例25は、第1の溶媒にPGMEA、第2の溶媒にトルエンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.8dBの値を得ることができた。
実施例26は、第1の溶媒にキシレン、第2の溶媒にトルエンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.9dBの値を得ることができた。
実施例27は、第1の溶媒にテトラデカン、第2の溶媒にトルエンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.6dBの値を得ることができた。
実施例28は、第1の溶媒にヘキサン、第2の溶媒にトルエンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
実施例29は、第1の溶媒にテトラヒドロフラン、第2の溶媒にトルエンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
実施例30は、第1の溶媒に水、第2の溶媒にエタノールを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
実施例31は、第1の溶媒に水、第2の溶媒にイソプロパノールを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
実施例32は、第1の溶媒に水、第2の溶媒にホルムアミドを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.4dBの値を得ることができた。
実施例33は、第1の溶媒にエタノール、第2の溶媒に水を用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
実施例34は、第1の溶媒にイソプロパノール、第2の溶媒に水を用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.3dBの値を得ることができた。
実施例35は、第1の溶媒にホルムアミド、第2の溶媒に水を用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
実施例36は、第1および第2の溶媒にトルエンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.2dBの値を得ることができた。
実施例37は、第1および第2の溶媒に水を用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.8dBの値を得ることができた。
実施例38は、金属微粒子をパターニングした基板をマスター原盤としてナノインプリントスタンパを作製し、該ナノインプリントスタンパを用いたナノインプリントリソグラフィにより凹凸パターンを形成した例である。本例は、第1の溶媒にトルエン、第2の溶媒にPGMEAを用い、ナノインプリントスタンパにより磁気記録媒体に凹凸を設けること以外は、実施例2と同様である。
まず、ナノインプリントスタンパを作製するべく、マスター原盤を作製した。基板には汎用の6インチSiウェーハを用い、実施例1と同様に基板側から30nm厚カーボンマスク層/6nm厚Si転写層を形成した。次いで、実施例1と同様に平均粒径8nmのAu微粒子を塗布し、単層凹凸パターンを得た。
このマスター原盤を用いてナノインプリント用スタンパを作製した。まず、凹凸パターンに対して導電化処理を行なうため、Ni膜をDCスパッタ法にて成膜した。到達真空度8.0×10−4Pa、Arガス圧力1.0Pa、DC投入電力200Wの条件下で、2nm厚Ni導電膜を凹凸パターンに一様被覆させた。導電膜形成法としてはスパッタ法のほかに蒸着法、または無電解メッキ法によるNi−P合金やNi−B合金にて代用する事もできる。また、スタンパの剥離を容易に行なうために、導電膜形成後に表面を酸化させてもよい。
続いて、電鋳法により凹凸パターンに沿ってNi膜を形成する。電鋳液には昭和化学(株)製の高濃度スルファミン酸ニッケルメッキ液(NS−169)を使用した。スルファミン酸ニッケル:600g/L、ホウ酸40g/L、ラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤0.15g/L、液温55℃、pH3.8〜4.0、通電電流密度20A/dm2の電鋳条件にて、300μm厚となるNiスタンパを作製した。このNiスタンパをマスター原盤から離型することで、凹凸パターンを有するナノインプリント用スタンパが得られる。離型後のスタンパ凹凸に残渣やパーティクルがある場合は、必要に応じて凹凸パターンに対するエッチングを行なうことで、これらを除去しスタンパを清浄化できる。最後に、電鋳したNi板を2.5インチ径の円盤状に打ち抜き加工し、Niスタンパを得た。
このNiスタンパを射出成型処理し、樹脂スタンパを複製した。樹脂材料には、日本ゼオン(株)製環状オレフィンポリマー(ZEONOR 1060R)を用いた。
上記のように得られた樹脂スタンパを用いて、レジスト層へ凹凸パターンを形成した。まず、媒体試料上へ紫外線硬化レジストを40nm厚でスピンコートし、これをレジスト層とした。続いて、レジスト層に前記樹脂スタンパをインプリントし、紫外線を照射させることにより(紫外線硬化樹脂層を樹脂スタンパで押下した状態で紫外線を照射)、レジスト層を硬化させる。硬化したレジスト層から樹脂スタンパを離型することで所望のドットパターンを得た。
試料の凹凸パターンの溝部にはインプリントに伴うレジスト残渣があるため、これをエッチングにより除去した。レジストの残渣除去は、O2エッチャントによるプラズマエッチングにより行なった。O2ガス流量5sccm、圧力0.1Pa、投入電力100W、バイアス電力10Wとし、8秒間のエッチングを行なうことでレジスト残渣を除去した。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
実施例39は、Pd保護層上にマスク層を形成する前に、剥離層としてMo層を形成したこと以外は実施例1と同様である。
剥離層であるMoは、DCスパッタ法により形成した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、5nm厚のMoを形成した。これにより、磁気記録層上に5nm厚のMo/30nm厚C/5nm厚Si/3nm厚Cからなる4層マスクを設けた。
Mo剥離層はArイオンミリング法により加工した。加工はArをイオン源とし、加速電圧300Vにて行った。
以降、実施例1と同様にマスク層、剥離層、磁気記録層に凹凸パターンを転写した後、重量パーセント濃度1%の過酸化水素水に試料を5分間浸漬し、さらに純水により洗浄を行なうことにより、剥離層を除去するとともにマスク層を剥離し、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
実施例40は、Pd保護層上にマスク層を形成する前に、剥離層としてMo層を形成し、さらにマスク層上にSi転写層を設けること以外は実施例39と同様である。
転写層のSiはDCスパッタ法により作製した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、3nm厚のC転写層を得た。
このC転写層は実施例2と同様にCF4ガスを用いたドライエッチングにより加工した。プロセスガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、アンテナ電力50W、バイアス電力5Wとし、32秒間のエッチングを行うことで、金属微粒子凹凸パターンをC転写層へ転写した。
以降、実施例39と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.5dBの値を得ることができた。
比較例1
比較例1は、第1の溶媒にトルエン、第2の溶媒に水を用いること以外はおよび第2の溶媒に水を用いること以外は実施例2と同様である。
金属微粒子を塗布した後、走査型電子顕微鏡にて表面形状を確認したところ、塗布回転数が遅い場合は基板の内周、中周、および外周領域において段差の異なる階層構造があることがわかった。また、塗布回転数が速い場合は、金属微粒子の存在しない0層領域が生じることを確認した。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体表面における突起によるヒットが極めて多く、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができなかった。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として6.5dBの値となっており、実施例のものよりも劣化していることが確認された。
比較例2
比較例2は、第1の溶媒にトルエン、第2の溶媒にエタノールを用いること以外はおよび第2の溶媒に水を用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体表面における突起によるヒットが極めて多く、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができなかった。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として5.9dBの値となっており、実施例のものよりも劣化していることが確認された。
比較例3
比較例3は、第1の溶媒に水、第2の溶媒にトルエンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体表面における突起によるヒットが極めて多く、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができなかった。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として6.2dBの値となっており、実施例のものよりも劣化していることが確認された。
比較例4
比較例4は、第1の溶媒にエタノール、第2の溶媒にトルエンを用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体表面における突起によるヒットが極めて多く、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができなかった。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として6dBの値となっており、実施例のものよりも劣化していることが確認された。
比較例5
比較例5は、第1の溶媒にトルエンを用い、第2の溶媒を適用しないこと以外はおよび第2の溶媒に水を用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体表面における突起によるヒットが極めて多く、12nm浮上量をパスすることができなかった。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として4.8dBの値となっており、実施例のものよりも劣化していることが確認された。
比較例6
比較例6は、第1の溶媒に水を用い、第2の溶媒を適用しないこと以外はおよび第2の溶媒に水を用いること以外は実施例2と同様である。
以降、実施例2と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体表面における突起によるヒットが極めて多く、12nm浮上量をパスすることができなかった。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として3.9dBの値となっており、実施例のものよりも劣化していることが確認された。
上記実施例及び比較例の結果を下記表2及び表3に示す。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。