実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法は、
基板上に磁気記録層を形成する工程と、
磁気記録層上にマスク層を形成する工程と、
マスク層上に金属微粒子層により構成される凹凸パターンを形成する工程と、
金属微粒子層により構成される凹凸パターンを上述のマスク層へ転写する工程と、
凹凸パターンを前記磁気記録層へ転写する工程と、
マスク層を前記磁気記録層から除去する工程とを含む。
金属微粒子層は、保護材により被覆された複数の金属微粒子からなる。
マスク層上に金属微粒子層により構成される凹凸パターンを形成する工程は、マスク層上に金属微粒子層を形成する工程と、金属微粒子層表面上にオーバーコート層を形成する工程と、エネルギー線を照射して保護材を失活する工程とを含む。
また、実施形態にかかる磁気記録媒体は上記方法により得られる。
さらに、実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法は例えば第1ないし第4の実施形態に分けることができる。
第1の実施形態では、凹凸パターンをマスク層へ転写する工程、凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程の後、金属微粒子膜ならびにマスク層を除去する工程を含む。
第2の実施形態では、マスク層上に凹凸パターンを形成する工程の前に、マスク層上に転写層を設ける工程をさらに含み、マスク層上に凹凸パターンを形成する工程では、金属微粒子塗布液をマスク層上に塗布する代わりに、金属微粒子塗布液を転写層上に塗布してからオーバーコート層を形成し、エネルギー線を照射し、凹凸パターンをマスク層へ転写する工程の前に、凹凸パターンを転写層へ転写する工程をさらに含む。
第3の実施形態では、凹凸パターンをマスク層へ転写する工程と凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程の間に、金属微粒子部分を除去する工程を含む。
第4の実施形態では、磁気記録層上にマスク層を形成する工程の前に、磁気記録層上に剥離層を形成する工程をさらに含み、凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程の前に、凹凸パターンを剥離層へ転写する工程をさらに含み、凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程の後に剥離層を除去することにより磁気記録層上からマスク層を剥離する。
実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法によれば、金属微粒子層表面上にオーバーコート層を形成することにより、金属微粒子表面の保護材をエネルギー線の照射により失活しても、金属微粒子層がマスク層表面に十分に固着しているため、金属微粒子の凝集を抑制することができる。金属微粒子の凝集を抑制することで凹凸パターンの転写精度の位置依存性を小さくでき、面内均一性に優れた磁気記録媒体を製造できる。また、金属微粒子の凝集に伴う金属微粒子の凹凸パターンにおける凹凸差を小さくすることが可能であり、良好な表面平坦性が得られるので、媒体に対するヘッド走査時のグライド特性が改善される。さらに、高記録密度化に適した微細パターンを簡便に製造可能であり、製造プロセスの簡易化が実現される。
実施形態に使用されるオーバーコート層は、金属微粒子表面の保護材を被覆し得る。また、エネルギー線はオーバーコート層上から照射し、オーバーコート層を透過して保護材及び金属微粒子に到達する。あるいは、オーバーコート層は基板上に配列している金属微粒子表面と保護材を被覆し得る。この際、保護材の間隙を充填し得る。
また、オーバーコート層の厚さは0.5nm以上10nm以下とすることが好ましい。10nmを越えるとエネルギー線を透過し難くなる傾向がある。0.5nm未満であると金属微粒子に対して一様な被覆性を実現し難い傾向がある。
実施形態に使用される金属微粒子は、カーボン、アルミニウム、シリコン、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、銀、タンタル、タングステン、白金、金、セリウムなどの金属の単体の微粒子、その合金の微粒子、及びその化合物の微粒子から選択することができる。
金属微粒子を溶媒中に含む塗布液は、スピンコート法、ディップコート法、スピンキャスト法、ラングミュアブロジェット法、インクジェット法などの種々の方法により塗布する。
金属微粒子からなる凹凸パターンはエッチングによりマスク層へ転写することができる。第3の実施形態によれば、この場合、パターンの転写精度を向上させるために金属微粒子とマスク層との間に転写層を1層設けることができる。
凹凸パターンを磁気記録層へ転写した後、エッチングにより磁気記録層上からマスク層を除去する。あるいは、あらかじめ磁気記録層上に剥離層を設けておき、剥離層の除去によりマスク層を磁気記録層上から剥離しても構わない。剥離層の除去にはドライエッチング、もしくはウェットエッチングを適用する。
なお、上記第1ないし第4の実施形態は相互に組み合わせて実施することが可能である。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1(a)ないし図1(j)に第1の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程を表す図を示す。
まず、基板上に磁気記録層が形成された磁気記録媒体を用意する。
図1(a)に示すように、基板1上に設けられた磁気記録媒体2上にマスク層3を形成する。
次に、図1(b)に示すように、図示しない保護材により被覆された金属微粒子4と溶媒5を含む金属微粒子塗布液6をマスク層3へ滴下、塗布し、図1(c)に示すように、複数の金属微粒子が規則正しく配列された金属微粒子膜8を得る。
続いて、図1(d)に示すように、金属微粒子膜8表面と、金属微粒子膜8が形成されたマスク層3表面とを被覆するオーバーコート層16を形成する。
その後、図1(e)に示すように、オーバーコート層16を介して金属微粒子膜8にエネルギー線を照射することにより、金属微粒子4表面の保護材を失活する。
さらに、図1(f)に示すように、金属微粒子層8をマスクとしてオーバーコート層16をエッチングすることにより、マスク層3表面に金属微粒子膜8からなる凹凸パターンを形成する。
引き続き、図1(g)に示すように単層の金属微粒子膜8により構成される凹凸パターンをマスク層3へ転写する。
次に、図1(h)に示すように、単層の金属微粒子膜8とパターニングされたマスク層3を介して、磁気記録層2に凹凸パターンを転写する。
さらに続いて、図1(i)に示すように、磁気記録層2上のマスク層3および単層金属微粒子膜8を除去することにより、基板1と、その上に設けられたパターニングされた磁気記録層2とを得る。
さらに、図1(j)に示すように、パターニングされた磁気記録層2に保護膜9を形成することにより、磁気記録媒体100を得ることができる。
図2(a)ないし図2(j)は、第1の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程の変形例を表す図を示す。
第1の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程の変形例では、図1(d)及び図1(e)に示すように、金属微粒子膜8表面と、金属微粒子膜8が形成されたマスク層3表面とを被覆するオーバーコート層16を形成する代わりに、図2(d)及び図2(e)に示すように、金属微粒子層8に被覆するオーバーコート層16が金属微粒子周囲の保護材17上に形成され、マスク層3表面に保護材を介して配列していること以外は、図1(a)ないし図1(i)と同様にして、磁気記録媒体110を得ることができる。
図3(a)ないし図3(k)に、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程を表す図を示す。
第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程では、図3(a)に示すように、磁気記録層2上に設けられたマスク層3上に、さらに転写層11を設けるとともに、図3(g)に示すように、単層金属微粒子膜8を用いて転写層11に凹凸パターンを転写し、さらに図3(h)に示すように、転写層11の凹凸パターンをマスク層3へ転写すること以外は、図1(a)ないし図1(j)と同様にして、磁気記録媒体120を得ることができる。
図4(a)ないし図4(l)に、第3の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程を表す図を示す。
第3の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程では、図3(h)のように金属微粒子層8と転写層11の凹凸パターンをマスク層3へ転写する工程と、図3(i)のように転写層11及びマスク層3の凹凸パターンを磁気記録層に転写する工程との間に、図4(h)に示すように、金属微粒子層8を除去する工程をさらに設けること以外は、図3(a)ないし図3(k)と同様にして、磁気記録媒体130を得ることができる。
図5(a)ないし図5(k)に、第4の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造工程を表す図を示す。
図5(a)に示すように、基板1上に設けられた磁気記録層2とマスク層3との間に剥離層12をさらに形成すること、及び図5(h)に示すように、金属微粒子層8とマスク層3の凹凸パターンを磁気記録層2に転写する前に剥離層12に転写すること、及び図5(j)において、マスク層3を除去する代わりに剥離層12を除去することにより、磁気記録層2上からマスク層3及び金属微粒子膜8を剥離すること以外は、図1(a)ないし図1(j)と同様にして、磁気記録媒体130を得ることができる。
磁気記録層形成工程
まず、基板上に磁気記録層を形成し、磁気記録媒体を得る。
基板の形状には何ら限定は無いが、通常は円形で、硬質のものが用いられる。例えば、ガラス基板、金属含有基板、カーボン基板、セラミックス基板などが用いられる。パターンの面内均一性を良好にするため、基板表面の凹凸は小さくすることが望ましい。また、必要に応じて基板表面には酸化膜をはじめとした保護膜を形成しておくことも可能である。
ガラス基板には、ソーダライムガラスやアルミノシリケートガラスに代表されるアモルファスガラスや、リチウム系ガラスに代表される結晶化ガラスを用いることができる。また、セラミックス基板にはアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素を主成分とする焼結体基板を用いることが可能である。
基板上にはコバルトを主成分とした垂直磁気記録層を有する磁気記録層が形成される。
ここで、基板と垂直磁気記録層の間には高透磁率を有する軟磁性裏打ち層(SUL; Soft Under Layer)を形成することができる。軟磁性裏打ち層は垂直磁気記録層を磁化するための磁気ヘッドからの記録磁界を環流させるといった磁気ヘッド機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で十分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させることができる。
軟磁性裏打ち層には例えばFe、Ni、Coを含む材料を用いることができる。これらの材料のうち、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界が存在せず優れた軟磁性を示すアモルファス材料を好ましく使用できる。軟磁性アモルファス材料を使用することにより、記録媒体の低ノイズ化を図ることができる。軟磁性アモルファス材料として、例えば、Coを主成分として、これに対しZr、Nb、Hf、Ti、Taのうち少なくとも1種を含有したCo合金、例えばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTaなどを選択できる。
また、軟磁性裏打ち層と基板との間には軟磁性裏打ち層の密着性向上のために下地層を設けることができる。下地層材料としては、Ni、Ti、Ta、W、Cr、Pt、その合金、その酸化物、及びその窒化物などを用いることができ、例えばNiTa、及びNiCrなどを用いることが可能である。なお、これらの層は複数で構成されても構わない。
更に、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間には非磁性金属材料からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間の交換結合相互作用を遮断することと、垂直磁気記録層の結晶性を制御することの二つである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、あるいはその合金、その酸化物、及びその窒化物から選択することができる。
垂直磁気記録層は、Coを主成分とするとともに少なくともPtを含み、更に金属酸化物を含むことができる。Co及びPtに加えて、他にもB、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、及びRuから選ばれる1種類以上の元素を含むことができる。上記元素を含有することで、磁性粒子の微粒子化を促進し、結晶性、配向性を向上させることができ、これにより、高記録密度に適した記録再生特性と熱ゆらぎ特性を得ることができる。垂直磁気記録層は具体的にCoPt系合金、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi、CoCrSiO2などの合金を用いることが可能である。
垂直磁気記録層の厚さは、再生出力信号を高確度で測定するために1.0nm厚以上が好ましく、信号強度の歪を抑えるために40nm厚以下が好ましい。1.0nmよりも薄いと再生出力が極めて小さくノイズ成分が優位になる傾向がある。逆に、40nmよりも厚い場合は再生出力が過剰となり、信号波形に歪が生じる傾向がある。
垂直磁気記録層上部には保護層を設けることができる。保護層は、垂直磁気記録層の腐食・劣化を防ぐとともに、磁気ヘッドが記録媒体に接触した時に生じる媒体表面の損傷を防ぐ効果がある。保護層材料としては、例えばC、Pd、SiO2、ZrO2を含むものが挙げられる。カーボンはsp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素の方が優れ、逆に平坦性はsp2結合炭素の方が優れる。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法により行われ、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが成膜されるが、sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性、平坦性に優れており、磁気記録層の保護層としてより好適である。
保護層の上部には更に潤滑層を設けることができる。潤滑層に用いられる潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などが挙げられる。以上により、基板上に垂直磁気記録媒体が形成される。
マスク層形成工程
磁気記録層の上に凹凸パターン転写用のマスク層を形成する。
磁気記録層上に保護層が設けられている場合には、マスク層は保護層上に設けることができる。
このマスク層は磁気記録層の加工における主マスクとなるため、磁気記録層ならびに後述の金属微粒子材料とのエッチング選択比を維持できるような材料を用いることが好ましい。具体的な材料としては、例えば、Al、C、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Fe、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Au、Hf、Ta、W、Ptからなる群から選択され、これらの化合物もしくは合金からなる材料をマスク層へ適用することも可能である。ここで、化合物とは酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物などから選ばれ、また合金は上記の群から選択される2種類以上の材料により構成される。この場合、マスク層の上に形成される金属微粒子膜の材料と凹凸パターン寸法に対してエッチング選択比を確保し得るマスク層材料を選択し、さらにその膜厚を適切に決定すすることができる。
これらのマスク層は、真空蒸着法、電子線蒸着法、分子線蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法に代表される物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、及び熱・光・プラズマを用いた化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)などにより形成できる。
マスク層の厚さは、物理的・化学的気相成長法においてはプロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、成膜時間などのパラメータを適宜変更することで調整が可能である。このマスク層上部に形成される金属微粒子層の配列精度ならびに凹凸パターンの転写精度は、マスク層の表面ラフネスに強く依存する。したがって、マスク層においてはその表面ラフネスを低減しておくことが好ましく、上記成膜条件を種々調整することでこれを実現可能である。狭ピッチパターンを高精細にパターニングするために、所望のパターンピッチに対して表面ラフネスの周期は小さいことが特に好ましい。また、平均表面ラフネスの値は0.6nm以下であることが望ましい。0.6nmよりも大きいと、後述する金属微粒子の配列精度が悪化し、磁気記録媒体の信号S/Nが劣化するためである。
表面ラフネスを低減するためには上記成膜条件を種々変更する他、マスク層材料を結晶質のものから非晶質のものにすることで、これを実現可能である。
マスク層の厚さは、剥離層および磁気記録層とのエッチング選択比や凹凸パターン寸法を考慮して決定することができる。マスク層成膜の際には、例えばプロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、及び成膜時間などのパラメータを変えることで調整できる。成膜で用いるスパッタガスはArをはじめとした希ガスを主とすることが可能であり、さらに成膜するマスク材料によってO2、N2などの反応性ガスを混合することで所望の合金を成膜することもできる。
また、マスク層の厚さは微細パターンを高精細に転写するために、1nm以上50nm以下にすることが好ましい。1nmよりも薄いとマスク層が均一に成膜されず、また、50nmよりも厚いと深さ方向に対する凹凸パターンの転写精度が劣化する傾向がある。
後述のように、マスク層を介して凹凸パターンを磁気記録層へ形成した後、マスク層を除去することで凹凸を有する磁気記録層を得ることができる。ここで、マスク層を除去する場合はドライエッチングもしくはウェットエッチングなどの方法を適用するが、あらかじめマスク層と磁気記録層との間に剥離層を形成しておき、これを除去することで磁気記録層上からマスク層を剥離することもできる。磁気記録層上に保護層が設けられている場合には、剥離層は保護層上に設けることができる。
剥離層はドライエッチングおよびウェットエッチングにより剥離され、最終的にはマスク材料を磁気記録層上から除去する役割を果たす。
剥離層は種々の無機材料及び高分子材料から選定でき、これを溶解可能なエッチング溶液を適切に選択できる。
剥離層に使用可能な無機材料として、例えば、C、Mo、W、Zn、Co、Ge、Al、Cu、Au、Ag、Ni、Si、SiO2及びCrなどの金属、化合物、および2種類以上の金属からなる合金などが挙げられる。これらの無機材料は、O2、CF4、Cl2、H2、N2、Arなどのエッチングガスを用いたドライエッチングで剥離できる。
また、各材料に対して塩酸、リン酸、硝酸、ホウ酸、酢酸、弗化水素酸、弗化アンモニウム、過塩素酸、臭化水素酸、カルボン酸、スルホン酸、過酸化水素水などの酸、あるいは水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化アンモニウム水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、フェニルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどのアルカリ溶液を適用可能である。
また、溶液のpHを調整するための緩衝液を適宜追加しても構わない。
剥離層には高分子材料も適用できる。例えば、汎用レジスト材料に代表されるノボラック樹脂、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、メチルスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルピロリドン、及びポリメチルセルロースなどが挙げられる。これらのレジスト材料は有機溶媒もしくは水を用いて剥離できる。なお、エッチング耐性を向上させるために、高分子材料と金属を含有するコンポジット材料を使用することも可能である。
上記の酸、アルカリ、有機溶媒を用いたウェットエッチングにより剥離層を溶解する場合は、磁気記録層および基板に対する溶解速度が剥離層の溶解速度に対して十分に小さいことが望ましい。
マスク層は1層または2層以上形成することができる。前述のような磁気記録層および剥離層上のマスク層を例えば第1のマスク層、及び第2のマスク層を含む積層体にすることも可能である。例えば第1のマスク層と第2のマスク層とを異なる材料から構成することで、エッチング選択比を大きくし、転写精度を改善することが可能である。ここでは便宜上、第2のマスク層を第1のマスク層に対する転写層と呼び、基板側から磁気記録層/マスク層/転写層のように表記する。
この転写層は金属微粒子材料およびマスク層材料とのエッチング選択比を考慮して、種々の材料から適切に選択できる。マスク材料の組み合わせを決める場合、エッチング溶液あるいはエッチングガスに対応した金属材料を選択することができる。ドライエッチングを想定して各材料を組み合わせる場合、例えば、基板側からマスク層/転写層の順にC/Si、Si/Al、Si/Ni、Si/Cu、Si/Mo、Si/MoSi2、Si/Ta、Si/Cr、Si/W、Si/Ti、Si/Ru、Si/Hfなどが挙げられる他、SiをSiO2、Si3N4、SiCなどで置き換えた構成にすることもできる。また、Al/Ni、Al/Ti、Al/TiO2、Al/TiN、Cr/Al2O3、Cr/Ni、Cr/MoSi2、Cr/W、GaN/Ni、GaN/NiTa、GaN/NiV、Ta/Ni、Ta/Cu、Ta/Al、Ta/Cr、などの積層体を選択できる。なお、マスク加工で使用するエッチングガスに応じて、これらの各種マスク材料の積層順序は入れ替えても構わない。
マスク材料の組み合わせおよび積層順は上記のものに限定されるわけではなく、パターン寸法とエッチング選択比の観点から適切に選択することができる。また、ドラエッチングと共にウェットエッチングによるパターニングも可能であるため、これを考慮して各マスク材料を選定することができる。
ウェットエッチングによりマスク層をパターニングする場合は、凹凸パターンの幅方向に対するサイドエッチを抑制する。この場合は、マスク材料の組成、エッチング溶液の濃度、温度、およびやエッチング時間をはじめとした各種パラメータを設定することで実現可能である。
金属微粒子層形成工程
続いて、マスク層上に凹凸パターンとなる金属微粒子層を形成する。金属微粒子材料を用いることで、大面積に対する一括パターニングが可能となり、電子線露光をはじめとする従来の凹凸形成方法と比較してプロセス時間を大幅に短縮できる。また、後述するナノインプリント法に応用することで大面積に対するパターニングを安価に実施することが可能である。
ここで、金属微粒子の凹凸マスクを形成するプロセスは(1) 金属微粒子を基板上に配列させる工程、(2) 金属微粒子を物理的に固着するオーバーコート層を形成する工程、(3) エネルギー線を照射し、微粒子の保護材を失活させる工程からなる。
凹凸マスクとして金属微粒子を用いる場合、基板上の広範囲に渡り金属微粒子が単層配列していることが好ましく、これにより磁気記録媒体における信号強度の位置ばらつきを小さくできる他、パターン転写後における異常突起の低減に伴い良好なグライド特性が得られる。
凹凸マスクとなる金属微粒子を基板上に配列させる際、溶媒中に金属微粒子が分散している塗布液、いわゆる分散液を用いる。以降では塗布液と呼称する。この塗布液は少なくとも1種類以上の金属微粒子が互いに一定の間隔を維持しながら単分散しているものである。ここで言う単分散とは、金属微粒子同士が凝集・融着せずに独立して溶液中に存在している状態を意味する。
金属微粒子を溶媒中で安定に分散させるために、金属微粒子表面は保護材によって被覆されることが好ましい。保護材は、界面活性剤を含み、かつ金属微粒子表面を被覆するものと定義される。保護材はさらに、金属微粒子材料に対する親和性が高いことが望ましい。
この保護材は、種々の方法により微細化された金属微粒子を分散媒中へ分散させる前に付与しておくことができる。製法によっては、分散媒中へ添加することで微粒子を再分散させる方法にしても構わない。
この保護材は、金属微粒子同士のvan der waals引力を低減する化学的な作用の他、高分子鎖の立体障害に伴う物理的な作用により金属微粒子同士の凝集を抑制する役割を果たしている。
保護材に含まれる保護基として、例えばチオール基、アミノ基、ケトン基、カルボキシル基、エーテル基、水酸基などが挙げられる。
具体的な保護材として、アルカンチオール、ドデカンチオール、ポリビニルピロリドン、オレイルアミンなどがあげられる。他の保護材として、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリカルボン酸アンモニウムなどのポリマー材料などを挙げることができる。
金属微粒子材料にはC、Pt、Ni、Pd、Co、Al、Ti、Ce、Si、Fe、Au、Ag、Cu、Ta、Zr、Zn、Mo、W、Ruの群から選ばれる少なくとも1種、上記群から選択される2種類以上からなる合金、混合物、酸化物から構成される材料を用いることができる。
また、金属微粒子のサイズとしては、平均粒径が2nm以上50nm以下のものを用いることが望ましい。2nmよりも小さい微粒子は製造がより困難であり、また50nmよりも大きい場合は多層構造となった微粒子マスクの剥離が不十分で平坦性を損なうためである。
金属微粒子を分散させる溶媒は種々の有機溶媒から選択可能である。具体的には、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールトリメチルエーテル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、テトラデカン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アニソール、及びジエチレングリコールトリエチルエーテル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、水などが挙げられる。
上記のような金属微粒子および溶媒を混合することで、金属微粒子塗布液を得る。なお、微粒子同士の凝集が生じる場合は、混合後に超音波分散などの方法を用いることで、金属微粒子を再分散させることが可能である。
また、金属微粒子塗布液に対して金属微粒子の単分散を促進させるための分散剤を添加しても構わない。分散剤は保護材ならびに溶媒との組合せに対して適切に選択することが可能であり、例えば、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリカルボン酸アンモニウム、ポリカルボン酸アミン、ポリアルキルアミン、ポリアミンなどから選択できる。
さらに、金属微粒子塗布液にはバインダーとして種々の高分子材料を添加することが可能であり、これによりマスク層に対する塗布性を改善できる他、下地に対するパターンの固着を強化することが可能である。
バインダーに用いる高分子材料は塗布液の溶媒に溶解されるものであれば良く、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどを用いることが可能である。
これらの溶媒中に金属微粒子が単分散した金属微粒子塗布液をマスク層上へ滴下・塗布する。塗布液の塗布は、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンキャスティング法、ディップコーティング法、インクジェット法などの種々の方法が挙げられる。マスク層上へ滴下する塗布液量は、所望の塗布面積に対して十分に被覆され得る量に設定しておけば良い。また、金属微粒子層を多層で形成する際は、溶液濃度、溶液粘度、塗布条件を種々調整すれば良い。例えば、スピンコーティング法では大面積に対して単層構造を形成するため、塗布回転数は10000回転以下に設定しておくことが望ましい。回転数が10000回転以上になると、金属微粒子の欠陥領域が拡大し、単層化が困難になるためで傾向がある。スピンコーティングで金属微粒子を塗布する場合、内周に比べて中周ならびに外周側において金属微粒子の欠陥領域を少なくできる。そのため、信号S/Nは内周よりも中外周において良好な値を示す。
また、マスク層の表面に前処理を施すことにより、金属微粒子塗布液に対する親和性が高め、金属微粒子塗布液の塗布性、すなわち面内均一性を改善可能である。例えば、基板加熱やシランカップリング剤の塗布を行う方法が挙げられる他、溶媒に対して親和性の高い高分子材料をマスク層上に設けておく方法などでも良い。
金属微粒子を塗布した基板に対して適切な後処理を行うことで微粒子の固着を強めることが可能である。具体的には、基板加熱を行うことで塗布液中の溶媒を除去する方法が挙げられる。この場合、微粒子周囲の保護材が熱分解されない温度に設定しておくことが好ましい。
オーバーコート層形成工程
引き続き、金属微粒子に対してオーバーコート層を形成する。このオーバーコート層は前述のごとく金属微粒子表面および、保護材を被覆する薄膜である。
オーバーコート層は、同一平面内に配列された金属微粒子を一様に固着させる膜になる。保護材ならびに下層のマスク層をエッチングする場合は、プラズマ曝露や加熱による保護材の失活に伴い微粒子が凝集することになる。これに対して、あらかじめ金属微粒子をオーバーコート層で固着させておくことで、保護基失活に要するエネルギー印加による凝集を抑える事が可能となる。また、オーバーコート層の材料は保護材と保護材の間隙にも成膜されるため、金属微粒子表面に付着する。このため、金属微粒子の化学的な活性を下げることで凝集を抑制する作用も併せ持つ。
オーバーコート層は種々の材料から選択できる。例えば前述のような金属微粒子材料と同様に、C、Pt、Ni、Pd、Co、Al、Ti、Ce、Si、Fe、Au、Ag、Cu、Ta、Zr、Zn、Mo、W、Ru、Geなどの群から選択でき、さらにこれらの合金、酸化物、窒化物などの化合物から選択してもよい。
また、オーバーコート層は後述するエネルギー線を透過させることで保護基を失活させる役割を持つため、エネルギー線を遮断する厚さよりも薄くしておくことが望ましく、10nm以下にしておくことが作製プロセス上はより好ましい。オーバーコート層を薄膜で均一に成膜することが困難である場合は、あらかじめ厚膜で成膜を行いエッチングなどによる薄膜化を後から行っても良い。
保護材失活工程
続いて、金属微粒子の保護材を失活させる。具体的には、外部からエネルギー線を照射し、保護材である高分子鎖を切断する。あるいは保護材を架橋反応させ、金属微粒子間の凝集を抑制する。
エネルギー線の照射に伴い金属微粒子が保護材を失うと、隣接する微粒子との間隙が自由空間である場合は直ちに凝集するが、前述のようにオーバーコート層による物理的な固着のため、保護材が失活されても凝集は抑制される。さらに、保護材間隙すなわち金属微粒子表面に成膜されたオーバーコート層が金属微粒子の化学的活性を下げるため、金属微粒子はその凝集が抑制されている状態にある。
エネルギー線は種々のものから選択することができ、例えば紫外線、電子線、X線などを用いることが可能である。また、エネルギー線を照射する場合は真空中の他、He、Arのような不活性ガス雰囲気であっても良い。タクトタイムの観点からは、より簡便に照射できるエネルギー線として紫外線を用いるのが好適である。
また、エネルギー線により照射するエネルギーは波長、印加電圧などの種々のパラメータにより適切に設定できる。
オーバーコート層加工工程
上記オーバーコート層に対してエッチングを行い、これを除去することで金属微粒子からなる凹凸をマスク上に設ける。
前述のように、種々の材料からなるオーバーコート層は適切なエッチングガスを選ぶことで容易に除去できる。また、後述するように下層となるマスク層ごと一括で加工して凹凸パターンを設けても良い。例えば、オーバーコート層にCを用いた場合はO2によるドライエッチングにより容易に除去が可能である他、SiやTaなどの材料ではCF4によるドライエッチングでオーバーコート層を除去できる。また、基板、磁気記録層、マスク層などにダメージを与えることなくオーバーコート層のみを適切に除去できる場合は、溶液を用いたウェットエッチングを行なっても良い。
オーバーコート層形成、エネルギー線照射、オーバーコート層加工の一連の工程は複数回繰り返しても良く、金属微粒子の凝集を抑制し得るまで行っても構わない。
以上のように、オーバーコート層を除去することで、独立したパターンを有する金属微粒子層を得る。
マスク層パターニング工程
次に、金属微粒子を凹凸パターンとして、マスク層へパターン転写する。
マスク層の加工では、マスク層材料とエッチングガスの組み合わせにより多様な層構成と加工方法が実現され得る。
凹凸パターンの幅方向におけるエッチングに対して厚さ方向のエッチングが有意となるように、微細加工を行う場合はドライエッチングを適用することが好ましい。ドライエッチングで使用するプラズマは、容量結合、誘導結合、電子サイクロトロン共鳴、多周波重畳結合などの種々の方法により発生させることができる。また、凹凸パターンのパターン寸法の調整のために、プロセスガス圧力、ガス流量、プラズマ投入電力、バイアス電力、基板温度、チャンバー雰囲気、及び到達真空度などのパラメータを設定することができる。
エッチング選択比を大きくするためにマスク材料を積層した場合は、エッチングガスを適切に選択することができる。エッチングガスにはCF4、C2F6、C3F6、C3F8、C5F8、C4F8、ClF3、CCl3F5、C2ClF5、CCBrF3、CHF3、NF3、CH2F2などのフッ素系ガスや、Cl2、BCl3、CCl4、SiCl4などの塩素系ガスが挙げられる。その他、H2、N2、O2、Br2、HBr、NH3、CO、C2H4、He、Ne、Ar、Kr、Xeなどの各種ガスを適用することができる。また、エッチング速度やエッチング選択比を調整するためにこれらのガスを2種類以上混ぜた混合ガスを使用することも可能である。なお、ウェットエッチングによるパターニングも可能であり、この場合はエッチング選択比を確保でき、かつ幅方向へのエッチングを抑制し得るエッチング溶液を選定しておくとよい。同様に、イオンミリングのような物理的エッチングを行っても構わない。
第2の実施形態のように、金属微粒子パターンをマスク層へ転写した後、金属微粒子をマスク層から除去することも可能である。金属微粒子を除去しておくことで、エッチングによる副生成物によるパターン溝部分の閉塞や、微粒子の凝集を軽微にすることが可能である。
金属微粒子の除去では上記ドライエッチングを適用することが可能である他、また、金属微粒子材料に対応する剥離溶液を用いたウェットエッチングを適用しても構わない。剥離溶液としては、曝露されるマスク層と磁気記録層および基板材料が難溶となるものを選択しておく。例えば、Auを微粒子に用いる場合はヨウ素/ヨウ化カリウム混合溶液からなるエッチング溶液を用いたウェットエッチングを行うことで、容易に金属微粒子層をマスク層上から除去することが可能である。
マスク層は金属微粒子層とのエッチング選択比を考慮して多様な構成となり得るが、前述のように、例えば基板側からC/Si、Ta/Al、Al/Ni、Si/Crなどの構成にすることができる。
金属微粒子間の間隔が著しく狭い場合、意図的に金属微粒子膜をエッチングすることで微粒子間隔を調整しても良い。具体的な方法として、ドライエッチングにおけるサイドエッチを大きくする方法や、イオンミリングにおけるイオン種の入射角度を調整して金属微粒子を幅方向にスリミングする方法などが挙げられる。以上のようにして、金属微粒子マスクを用いてレジスト層へ凹凸パターンを設けることができる。
上記のような金属微粒子塗布、及びマスク層へのパターン転写の工程を経て、ナノインプリントスタンパを作製し、ナノインプリントリソグラフィーにより磁気記録層へ凹凸パターンを転写することもできる。
実施形態に係るスタンパーの製造方法は、基板上に保護材により被覆された複数の金属微粒子からなる金属微粒子層を形成する工程と、
金属微粒子層上にオーバーコート層を形成する工程と、
オーバーコート層を介して前記金属微粒子層にエネルギー線を照射して該保護材を失活する工程と、
金属微粒子膜により構成される凹凸パターン上に該凹凸パターンを有する導電層を形成する工程と、
導電層を電極として電鋳層を形成する工程と、
導電層を剥離することにより該凹凸パターンが転写された電鋳層からなるスタンパーを形成する工程とを含む。
また、実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法は、
基板上に保護材により被覆された複数の金属微粒子からなる金属微粒子層を形成する工程と、
金属微粒子層表面上にオーバーコート層を形成する工程と、
オーバーコート層を介して前記金属微粒子層にエネルギー線を照射して該保護材を失活する工程と、
前記金属微粒子膜により構成される凹凸パターン上に該凹凸パターンを有する導電層を形成する工程と、
前記導電層を電極として電鋳層を形成する工程と、
該導電層を剥離することにより該凹凸パターンが転写された電鋳層からなるスタンパーを形成する工程、
基板上に磁気記録層を形成する工程と、
前記磁気記録層上にマスク層を形成する工程と、
インプリントレジスト層を前記マスク層上に形成する工程と、
前記スタンパーを用いて、該インプリントレジスト層上に凹凸パターンを転写する工程と、
前記凹凸パターンをマスク層へ転写する工程と、
前記凹凸パターンを前記磁気記録層へ転写する工程と、
前記マスク層を前記磁気記録層上から除去する工程とを含む。
ナノインプリントリソグラフィーは、微細凹凸パターンが表面に形成されたナノインプリントスタンパー(以降、スタンパーと呼ぶ)を転写用レジスト層に押下してパターン転写を行うものであり、ステップアンドリピート方式の紫外線露光や電子線露光などの技術と比較して、試料の大面積に対してレジストパターンを短時間で一括転写できる。したがって、製造スループットが増加するため、製造時間短縮・コスト削減を実現できる。
スタンパーは、微細凹凸パターンを具備する基板、いわゆるマスター原盤(モールド、原盤)から取得することが可能であり、多くの場合、マスター原盤の微細パターンに対する電鋳により作製される。マスター原盤用の基板にはSiをはじめとして、SiO2、SiC、SiOC、Si3N4、C、などの他、B、Ga、In、Pなどの不純物をドーピングした半導体基板を用いることができる。他にも導電性を有する材料からなる基板を用いることができる。また、基板の3次元的な形状に関する限定は無く、円形、矩形、ドーナツ形のものを用いることができる。
マスター原盤のパターンは、前述のように金属微粒子を凹凸パターンとしても良いし、金属微粒子パターンをマスク層へ転写したものを電鋳用パターンとして適用可能である他、マスター原盤に凹凸パターンを転写した後、これを電鋳用パターンとすることができる。
続いて、マスター原盤の凹凸パターンに対して電鋳を行い、スタンパーを作製する。電鋳、すなわち、めっき金属には種々の材料が挙げられるが、ここでは一例として、Niからなるスタンパーの作製方法を説明する。
図6に、ナノインプリントスタンパー作製工程を表す図を示す。
まず、図6(a)に示すように、基板1を用意する。
次に、図6(b)に示すように、図示しない保護材により被覆された金属微粒子4と溶媒5を含む金属微粒子塗布液6をマスク層3へ滴下、塗布し、図6(c)に示すように、複数の金属微粒子が規則正しく配列された金属微粒子膜8を得る。
続いて、図6(d)に示すように、金属微粒子膜8表面と、金属微粒子膜8が形成された基板表面1とを被覆するオーバーコート層16を形成する。
その後、図6(e)に示すように、オーバーコート層16を介して金属微粒子膜8にエネルギー線を照射することにより、金属微粒子4表面の保護材を失活する。
さらに、図6(f)に示すように、金属微粒子層8をマスクとしてオーバーコート層16をエッチングすることにより、マスク層3表面に金属微粒子膜8からなる凹凸パターンを有するマスター原版が得られる。
続いて、図6(g)に示すように、マスター原盤の凹凸パターンに導電性を付与するため、単層構造の金属微粒子膜8の表面に導電膜13を成膜する。後述する電鋳の際には、導電不良が生じるとめっき成長が阻害され、パターン欠損につながるため、この導電膜13は凹凸パターンの表面ならびに側面において均一に成膜されていることが好ましい。ただし、金属微粒子ならびに基板に導電性材料を適用する場合はその限りではなく、凹凸パターンに電気的な導通があれば良い。この場合は導電膜13が金属微粒子上部、側面、および溝部にのみ成膜されていても良い。
導電膜13は種々の材料から選択できる。導電膜13の材料として例えば、Ni、Al、Ti、C、Au、Ag、Cr、Cuなどが挙げられる。ここではNiを用いた例を説明する。
なお、金属微粒子に対して成膜した導電膜13を金属微粒子パターンと一体化させても良い。
図7(a)ないし図7(j)に、ナノインプリントスタンパー作製工程の変形例を示す。この実施形態は基板1上にマスク層3を設けることをさらに含むこと以外は、図6(a)ないし(i)に示すスタンパー作製工程とほぼ同様である。
図7(a)に示すように、基板1上にマスク層3を形成する。
図7(b)に示すように、マスク層3上に金属微粒子塗布液を滴下する。
図7(c)に示すようにマスク層3上に複数の金属微粒子が規則正しく配列された金属微粒子膜8を形成する。
図7(d)に示すように、金属微粒子膜8表面と、金属微粒子膜8が形成されたマスク層3表面とを被覆するオーバーコート層16を形成する。
その後、図7(e)に示すように、オーバーコート層16を介して金属微粒子膜8にエネルギー線を照射することにより、金属微粒子4表面の保護材を失活する。
図7(f)に示すように、金属微粒子層8をマスクとしてオーバーコート層16をエッチングする。
引き続き、図7(g)に示すように単層の金属微粒子膜8により構成される凹凸パターンをマスク層3へ転写することにより、マスク層3表面に金属微粒子膜8からなる凹凸パターンを有するマスター原盤が得られる。
続いて、図7(h)に示すように、マスター原盤の凹凸パターンに導電性を付与するため、単層構造の金属微粒子膜8の表面に導電膜13を成膜する。
続いて、図7(i)に示すように、マスター原盤をスルファミン酸NiあるいはNiP浴に浸漬・通電し、電鋳を行なって、導電膜13上にスタンパーとなる電鋳層14を形成する。
このようにして得られたスタンパー200を、図7(j)に示すように基板1上から離型する。
さらに、図7(g)の工程の後、マスク層3を介して基板1に凹凸パターンを転写し、図示しない基板にも凹凸が転写されたマスター原盤を用いてスタンパーを作製することも可能である。
スタンパーをマスター原盤として代替し、複製スタンパーを作製することができる。この場合は、NiスタンパーからNiスタンパーを得る方法や、Niスタンパーから樹脂スタンパーを得る方法などが挙げられる。ここでは、コストパフォーマンスが比較的高く、作製が容易な樹脂スタンパーの作製方法を説明する。
樹脂スタンパーは射出成型により作製する。まず、射出成型装置にNiスタンパーを装荷し、スタンパーの凹凸パターンへ樹脂溶液材料を流入し、射出成型を行う。樹脂溶液材料としては、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネート,ポリメチルメタアクリレートなどを適用可能である他、後述するインプリントレジストとの剥離性の良い材料を選択することができる。射出成型を行った後、Niスタンパー上から試料を剥離することで、凹凸パターンを有する樹脂スタンパーが得られる。
得られた樹脂スタンパーを用いて、凹凸パターンを転写する。ここでは前述のように、基板側から磁気記録層、マスク層を設けた試料を用い、さらにマスク層上にインプリントレジスト層を形成したものを試料とする。インプリントレジストには熱硬化樹脂や光硬化樹脂をはじめとした各種レジスト材料を用いることが可能であり、例えばイソボルニルアクリレート、アリルメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどを適用できる。
図8(a)ないし図8(h)に、第1の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法のさらに他の一例を説明するための図を示す。
図8(a)に示すように、これらのレジスト材料を、基板1上に磁気記録層2およびマスク層3を有する試料上に塗布し、レジスト層15を形成する。次いで、図8(b)に示すように、レジスト層15に対して凹凸パターンを有する樹脂スタンパー202をインプリントする。インプリントの際、樹脂スタンパー202がレジストに押下されるとレジストが流動化し、凹凸パターンが形成される。ここで、レジスト層15に対して紫外線などのエネルギーを付与することで、凹凸パターンを形成しているレジスト層15を硬化させ、次いで樹脂スタンパー202を離型すればレジスト層15の凹凸パターンが得られる。樹脂スタンパー202の離型を容易に行なうために、あらかじめ樹脂スタンパー202表面にシランカップリング剤などによる離型処理を行なっておいてもよい。
次に、図8(c)に示すように、インプリントレジストを押下した樹脂スタンパー202を離型する。ここで、樹脂スタンパー202離型後におけるレジスト層15の凹部にはレジスト材料が残渣として残存しているため、図8(d)に示すように、これをエッチングにより除去することでマスク層3の表面を露出させる。ポリマーベースのレジスト材料は、一般的にO2エッチャントに対するエッチング耐性が低いため、O2ガスを用いたドライエッチングを行なうことで容易に残渣を除去できる。無機材料を含む場合は、レジストパターンが残るようにエッチングガスを適宜変更することができる。以降、図8(d)、(f)、(g)、(h)に示すように、凹凸パターンをマスク層3、磁気記録層2へ転写した後、保護膜9を形成する工程を経ることにより、凹凸パターンを有する磁気記録媒体140をナノインプリントにより作製することができる。
磁気記録層パターニング工程
マスク層パターニング工程に続いて、凹凸パターンを合金剥離層下部の磁気記録層へ転写する。
磁気的な孤立ドットを形成するための代表的な方法としては、上記の反応性イオンエッチングやミリング法などが挙げられる。具体的には、エッチングガスにCOやNH3を適用する反応性イオンエッチングや、He、Ne、Ar、Xe、Krなどの不活性ガスを用いたイオンミリングによりパターニングすることができる。
磁気記録層のパターニングを行う際は、マスク層のエッチングレートERmaskに対する磁気記録層のエッチングレートERmagの関係がERmask≦ERmagを満足することが望ましい。すなわち、所望の磁気記録層厚を得るために、エッチングに伴うマスク層の後退は少ないほど良い。
イオンミリングにより磁気記録層へ凹凸を転写する場合、加工に伴いマスク側壁に向かって飛散する副生成物、いわゆるリデポ成分を抑制する必要がある。このリデポ成分は、凸パターンマスクの周囲に付着するため、凸パターンの寸法が拡大し、溝部分を埋没させることになるため、分断された磁気記録層パターンを得るためにはリデポ成分を可及的に少なくすることが望ましい。また、剥離層下部の磁気記録層のエッチング時に生じたリデポ成分が剥離層側面を被覆すると、剥離層が剥離溶液に対して曝露されなくなってしまい、剥離性が劣化することになるため、やはりリデポ成分は少ないことが望ましい。
磁気記録層に対するイオンミリングでは、イオンの入射角度を変えることで側壁へのリデポ成分を少なくすることができる。この場合は、マスク高さによって最適な入射角度は異なるが20°〜70°の範囲でリデポを抑制することが可能となる。また、イオンの入射角度はミリング中に適宜変更しても構わない。例えば、磁気記録層をイオン入射角度0°でミリング加工した後、イオン入射角度を変更して凸パターンのリデポ部分を選択的に除去する方法などが挙げられる。
マスク層除去、剥離工程
続いて、磁気記録層上のマスクパターンを除去することで、凹凸パターンを有する磁気記録層を得る。
ドライエッチングにより剥離を行う場合は、磁気記録層表面における化学的な改質が小さいことが好ましく、さらに磁気記録層厚を減らさないようにエッチングを行うとよい。
また、ウェットエッチングにより剥離層を溶解する場合は、磁気記録層および基板に対する溶解速度が剥離層の溶解速度に対して十分に小さいことが望ましい。
化学的に活性なガスを用いてドライエッチングを行う場合、活性ガス種の曝露により表面を再度改質することで剥離性を改善できる。例えば、酸素プラズマに対する過剰な曝露により剥離層表面が酸化された場合は、水素プラズマに再度曝露することで還元反応を促進させ、剥離層の剥離性を維持することが可能となる。また、溶液を用いた洗浄を行うことで剥離層側面を改質してもよい。例えば、フッ素プラズマ曝露後に剥離層側面に付着したフッ素化合物に対し、水洗を行うことでフッ素化合物を除去し、剥離層表面を清浄化することが可能となる。
さらに、第4の実施形態においては磁気記録層上に設けた剥離層を除去することで、磁気記録層上のマスク層を剥離することができる。この場合は、上記ドライエッチングの他、ウェットエッチングによる剥離を行っても構わない。
保護層形成工程
最後に、凹凸を有する磁気記録層パターン上にカーボン系保護層と図示しないフッ素系潤滑膜を成膜することで、凹凸パターンが設けられた磁気記録媒体を得ることができる。
カーボン保護層にはsp3結合炭素を多く含むDLC膜が好適である。また、その膜厚は被覆性を維持するために0.5nm以上、信号S/Nを維持するために10nm以下にすることが望ましい。また、潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
図9に、磁気記録媒体の周方向に対する記録ビットパターンの一例を表す図を示す。
磁気記録層の凸パターンは図に示すように、ディジタル信号の1と0に相当するデータを記録する記録ビット領域121と、磁気ヘッドの位置決め信号となるプリアンブルアドレスパターン122、バーストパターン123からなる、いわゆるサーボ領域124に大別され、これを面内パターンとして形成できる。また、図示しているサーボ領域のパターンは矩形状でなくてもよく、例えば全サーボパターンをドット形状で置き換えても良い。
さらに、図10のようにサーボに加えデータ領域も全てドットパターン125で構成することも可能である。1ビットの情報は1つの磁性ドットあるいは複数の磁性ドットで構成され得る。
図11は、実施形態にかかる磁気記録媒体を適用可能な磁気記録再生装置の一例を、一部分解した斜視図で示す。
同図は、ディスク装置として、実施形態に係るハードディスクドライブのトップカバーを取り外して内部構造を示している。図に示すように、HDDは筐体210を備えている。この筐体210は、上面の開口した矩形箱状のベース211と、図示しない矩形板状のトップカバーとを備えている。トップカバーは、複数のねじによりベースにねじ止めされ、ベースの上端開口を閉塞している。これにより、筐体210内部は気密に保持され、呼吸フィルター226を通してのみ、外部と通気可能となっている。
ベース211上には、記録媒体としての磁気ディスク212および駆動部が設けられている。駆動部は、磁気ディスク212を支持および回転させるスピンドルモータ213、磁気ディスクに対して情報の記録、再生を行なう複数、例えば、2つの磁気ヘッド233、これらの磁気ヘッド233を磁気ディスク212の表面に対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ214、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと呼称する)216を備えている。また、ベース211上には、磁気ヘッド233が磁気ディスク212の最外周に移動した際、磁気ヘッド233を磁気ディスク212から離間した位置に保持するランプロード機構218、HDDに衝撃等が作用した際、ヘッドアクチュエータ214を退避位置に保持するイナーシャラッチ220、およびプリアンプ、ヘッドIC等の電子部品が実装された基板ユニット217が設けられている。
ベース211の外面には、制御回路基板225がねじ止めされ、ベース211の底壁と対向して位置している。制御回路基板225は、基板ユニット217を介してスピンドルモータ213、VCM216、および磁気ヘッド233の動作を制御する。
図11において、磁気ディスク212は、前述の加工方法により形成された凹凸パターンを有する垂直磁気記録媒体として構成されている。また、磁気ディスク212は前述の通り、例えば、直径約2.5インチの円板状に形成され非磁性体からなる基板219を有している。基板219の各表面には、下地層としての軟磁性層223と、その上層部に、ディスク面に対して垂直方向に磁気異方性を有する垂直磁気記録層222とが順次積層され、さらにその上に保護膜224が形成されている。
また、磁気ディスク212は、スピンドルモータ213のハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにハブの上端にねじ止めされたクランプばね221によりクランプされ、ハブに固定されている。磁気ディスク212は、駆動モータとしてのスピンドルモータ213により所定の速度で矢印B方向に回転される。
ヘッドアクチュエータ214は、ベース211の底壁上に固定された軸受部215と、軸受部から延出した複数のアーム227と、を備えている。これらのアーム227は、磁気ディスク212の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて位置しているとともに、軸受部215から同一の方向へ延出している。ヘッドアクチュエータ214は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション230を備えている。サスペンション230は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム227の先端に固定され、アームから延出している。各サスペンション230の延出端にジンバルばね241を介して磁気ヘッド233が支持されている。サスペンション230、ジンバルばね241、および磁気ヘッド233により、ヘッドジンバルアッセンブリを構成している。なお、ヘッドアクチュエータ214は、軸受部215のスリーブと、複数のアームとを一体に形成したいわゆるEブロックを備えた構成としてもよい。
前述の、凹凸が設けられた磁気記録媒体を磁気記録再生装置へ適用することで、高記録密度かつ高信号S/Nを有するドライブが得られる。
以下、実施例を示し、実施形態を具体的に説明する。
(Au微粒子、真空UV)
実施例1は、基板上に磁気記録層、マスク層、金属微粒子層をそれぞれ形成した後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写する工程である。後述するように、実施例1から4は、金属微粒子層周囲の保護材を除去・失活するために照射するエネルギー線の種類、および照射雰囲気を変えた場合の例である。
基板には2.5インチ径ドーナツ基板を用い、この上に磁気記録層をDCスパッタ法により形成した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、基板側から10nm厚 NiTa下地層/4nm厚Pd下地層/20nm厚Ru下地層/5nm厚CoPt記録層を順次成膜し、最後に3nm厚Pd保護層を形成することで磁気記録層を得た。
引き続き、Pd保護層上にマスク層を形成した。ここでは、金属微粒子層の凹凸パターンを高精細に転写するために3層のマスクを用いることとし、基板側から第1のマスク層として30nm厚C、さらに上部の転写層として5nm厚Si、さらに第3のマスク層として3nm厚Cを適用した。各マスク層の形成では対向ターゲット式DCスパッタ装置を用い、Arガス流量35sccm、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとしてスパッタ成膜した。
次に、金属微粒子マスクを形成するための塗布液を作製した。この塗布液は金属微粒子の分散液と高分子バインダーの混合溶液からなるものを用いた。
金属微粒子には、アルカンチオール基により表面が被覆されている平均粒径8nmのAuを用いた。高分子バインダーとして平均分子量2800のポリスチレンを用い、金属微粒子に対して重量比Au:ポリスチレン=2:3となるように混合した。また、溶媒はトルエンとし、重量パーセント濃度3.5%となるように希釈し、溶液の調製を行った。最後に、超音波分散機を用いて金属微粒子溶液を分散させ、各微粒子の単分散を促進させることで塗布液を作製した。なお、金属微粒子を単分散させるに当たり、微粒子の分散剤、すなわち界面活性剤を添加しても構わない。
次いで、C膜上に金属微粒子レジスト層を形成した。作製した金属微粒子塗布液をC膜上へ適量滴下し、回転数4500rpmでスピンコートすることで基板上に金属微粒子層を得た。さらに、基板をベーキングすることで金属微粒子層の分散媒を除去し、基板との固着を強化した。ベーキングはホットプレートにて行い、温度140℃、保持時間5分間とした。
次に、金属微粒子層にオーバーコート層を成膜した。このオーバーコート層は金属微粒子層を上面から一様に被覆することで、微粒子を固着させる役割を担う。オーバーコート層にはC膜を用いた。
C膜の成膜はDCスパッタ法により行ない、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
引き続き、オーバーコート層上からエネルギー線を照射した。エネルギー線を照射すると、オーバーコート層を透過したエネルギー線が金属微粒子周囲の保護材に照射され、保護材を構成する高分子鎖が切断され、金属微粒子の活性が低下する。加えて、オーバーコート層の材料が保護材間隙を充填するように金属微粒子表面に付着するため、加工後の凝集が生じにくくなる。
ここでは、エネルギー線として紫外線を使用し、紫外線を真空雰囲気中において照射した。照射プロセスでは真空容器中に試料を装荷した後、容器内を真空排気し、10−2Pa台に到達した時点で高圧水銀ランプから発生させた紫外線を30秒間照射した。その後、N2ガスによる容器内ベントを行い、試料を回収した。なお、照射する紫外線の波長は365nmとしたが、その値は本例に限るわけではなく種々の波長を有する紫外線を照射しても構わない。
続いて、金属微粒子上部のオーバーコート層を除去することで、独立した凹凸を有する金属微粒子層を得た。ここでは、Cオーバーコート層に対してO2エッチャントを用いたドライエッチングを行い、オーバーコート層および金属微粒子周囲の保護材を除去した。ドライエッチングでは誘導結合プラズマ型ドライエッチング装置を使用し、ガス圧力0.1Pa,ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wとして、4秒間のエッチングを行うことでオーバーコート層を除去した。
続いて、金属微粒子下部の3nm厚C膜を、O2エッチャントを用いたドライエッチングにより一括除去する。ドライエッチングでは誘導結合型プラズマエッチングを適用し、圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wに設定し、8秒間エッチングすることでパターンをCマスクに転写した。なお、金属微粒子塗布から金属微粒子パターン転写に要する時間、すなわちタクトタイムは約38分程度である。本例は、後述する比較例に対してタクトタイムを大幅に短縮し得る例であり、製造スループットを改善可能である。
図12に、Cマスク加工後における断面TEM写真を示す。加工時間を長くしてもAu微粒子の凝集は生じておらず、凹凸が独立して基板上に維持されていることがわかる。また、図13に上面SEM像を示す。微粒子パターンは広範囲に渡って凝集しておらず、パターンの分離性が維持されていることがわかる。
C膜への凹凸転写後は上部金属微粒子をマスクとして、さらに下層へパターン転写を行なうことが可能であるが、加工中に生じる微粒子の凝集を完全に抑制するために、微粒子を基板上から除去してもよい。ここでは、Cマスクへの凹凸転写後に金属微粒子を溶解除去した。
Au微粒子の溶解にはヨウ素/ヨウ化カリウム/エチルアルコールからなる水溶液を用い、それぞれの重量比を1:2:3となるように溶液を調製した。続いて、混合溶液中に試料を10秒間浸漬した後、エチルアルコールにて60秒間流水洗浄し、金属微粒子層を基板上から溶解除去した。
なお、以降の実施例中では特に断らない限り金属微粒子層下部の凹凸パターン転写後に基板上から金属微粒子を除去する工程を含む。
続いて、下層のSiおよびCマスクへパターンを転写した。本パターンの転写は、上述の誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。Si膜への凹凸パターン転写では、CF4ガスをエッチャントとし、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W、バイアス電力30Wとして5秒間エッチングを行った。
さらに、下層のCマスクへパターンを転写した。C膜へのパターン転写ではO2エッチャントを用い、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wとし、28秒間エッチングすることで凹凸パターンをマスク層へ転写した。
次に、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。ここではArイオンを用いたミリング法を適用した。Arイオン加速電圧300V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Pa、基板面に対するイオン種の入射角度90°(垂直入射)として、65秒間ミリングを行い、5nm厚CoPt記録層/3nm厚Pd層へ凹凸パターンを転写した。また、残存したマスク層を除去するために、Arイオン加速電圧100V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Pa、基板面に対するイオン種の入射角度90°(垂直入射)として5秒間ミリングすることで、磁気記録層上からマスク層を除去した。
最後に、2nm厚DLC膜を成膜した後、パーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凹凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
最後に、これらの媒体の記録再生特性の評価は、米国GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、およびスピンスタンドS1701MPを用いて、電磁変換特性を測定した。記録再生特性の評価には、書き込みにシールド付(シールドは、磁気ヘッドから出る磁束を収束させる働きを持つ)のシングルポール磁極であるシールディットポール磁極、再生部にTMR素子を用いたヘッドを用いて、記録周波数の条件を線記録密度1200kBPIとして、そのシグナルノイズ比(SNR)を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
なお、マスク層と金属微粒子層との間にさらにパターン転写層として、例えばSiを設けることができる。
パターン転写層であるSiはDCスパッタ法により形成することができる。例えば、プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、3nm厚Siを形成することができる。これにより、磁気記録層上に30nm厚C/5nm厚Si/3nm厚C/3nm厚Siからなる4層マスクを設けることができる。
Si転写層はドライエッチングにより加工できる。エッチャントはCF4とし、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力50W,バイアス電力5Wとし、9秒間エッチングすることで例えば3nm厚を有するSi転写層を加工することが可能である。
以降、実施例1と同様にマスク層、磁気記録層に凹凸パターンを転写することで、凹凸形状を有する磁気記録媒体を得ることができる。このようにして得られた磁気記録媒体は、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
以下、実施例2ないし4では、オーバーコート層上から金属微粒子にかけて照射するエネルギー線を変更した例を示す。
(Au微粒子、N2雰囲気中UV)
実施例2は、エネルギー線を紫外線とし照射雰囲気をN2中にすること以外は、実施例1と同様である。
エネルギー線の照射雰囲気を準備するために、まず試料を装荷した容器を真空排気した。到達圧力が10−2Paになった後、N2ガスを導入して容器内をパージした。さらに真空排気とN2ガスパージを2回繰り返し、容器内をN2雰囲気に置換した。
その後、金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.5dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Ar雰囲気中UV)
実施例3は、エネルギー線を紫外線とし照射雰囲気をAr中にすること以外は、実施例1と同様である。
エネルギー線の照射雰囲気を準備するために、まず試料を装荷した容器を真空排気した。到達圧力が10−2Paになった後、Arガスを導入して容器内をパージした。さらに真空排気とArガスパージを2回繰り返し、容器内をAr雰囲気に置換した。
その後、金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.7dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、電子線一括露光)
実施例4は、エネルギー線を電子線とすること以外は、実施例1と同様である。
エネルギー線の照射には面電子一括露光装置を用いた。到達圧力は3×10−6Paとし、加速電圧5kVとして10秒間電子線を照射した。
その後、金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
以下、実施例5ないし実施例23では金属微粒子を種々変更して使用した例を示す。
(Au微粒子、Si転写層あり)
実施例5は、金属微粒子層とマスク層との間にさらにSi転写層を含むこと以外は、実施例1と同様である。
Si転写層はDCスパッタ法により成膜した。到達圧力0.7Pa、投入電力500Wとし、3nm厚Siを転写層として成膜した。
金属微粒子層上部のオーバーコート層はCとしているため、エネルギー線を照射した後、O2をエッチャントとしたドライエッチングにより、まずオーバーコート層を除去した。ドライエッチングは誘導結合プラズマ型エッチングを適用し、O2ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wとし、8秒間エッチングすることでオーバーコート層を除去した。
続いて、CF4エッチングを行い金属微粒子パターンをSi転写層へ転写した。CF4エッチングはO2エッチングと同様に誘導結合プラズマ型エッチングにより行ない、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W、バイアス電力30Wとして7秒間エッチングを行ない、凹凸パターンをSi転写層へ転写した。
その後、金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.1dBの値を得ることができた。
(C微粒子、Si転写層あり)
実施例6は、平均粒径8.2nmのC微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
C微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.3dBの値を得ることができた。
(Al微粒子、Si転写層あり)
実施例7は、平均粒径15.3nmのAl微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Al微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
(Si微粒子、Si転写層あり)
実施例8は、平均粒径19.8nmのSi微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Si微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
(Ti微粒子、Si転写層あり)
実施例9は、平均粒径19.3nmのTi微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Ti微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(Fe2O3微粒子、Si転写層あり)
実施例10は、平均粒径20nmのFe2O3微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Fe2O3微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.9dBの値を得ることができた。
(Co微粒子、Si転写層あり)
実施例11は、平均粒径17.5nmのCo微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Co微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
(Ni微粒子、Si転写層あり)
実施例12は、平均粒径15.5nmのNi微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Ni微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として13.1dBの値を得ることができた。
(Cu微粒子、Si転写層あり)
実施例13は、平均粒径6.8nmのCu微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Cu微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(Zn微粒子、Si転写層あり)
実施例14は、平均粒径17.4nmのZn微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Zn微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.5dBの値を得ることができた。
(Zr微粒子、Si転写層あり)
実施例15は、平均粒径15.3nmのZr微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Zr微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.7dBの値を得ることができた。
(Mo微粒子、Si転写層あり)
実施例16は、平均粒径12.7nmのMo微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Mo微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(Ru微粒子、Si転写層あり)
実施例17は、平均粒径19.9nmのRu微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Ru微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
(PdSi微粒子、Si転写層あり)
実施例18は、平均粒径18.9nmのPdSi微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
PdSi微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.1dBの値を得ることができた。
(Ag微粒子、Si転写層あり)
実施例19は、平均粒径9.7nmのAg微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Ag微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(Ta微粒子、Si転写層あり)
実施例20は、平均粒径15.3nmのTa微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Ta微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.8dBの値を得ることができた。
(W微粒子、Si転写層あり)
実施例21は、平均粒径10.8nmのW微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
W微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(Pt微粒子、Si転写層あり)
実施例22は、平均粒径18nmのPt微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Pt微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.9dBの値を得ることができた。
(Ce微粒子、Si転写層あり)
実施例23は、平均粒径19.9nmのCe微粒子を用いること以外は、実施例5と同様である。
Ce微粒子はマスク層上にスピンコートにより形成した。その後、オーバーコート層形成、エネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
以下、実施例24から41は、オーバーコート層の材料を種々変更すること以外は、実施例5と同様である。
(Au微粒子、Alオーバーコート層)
実施例24では、金属微粒子にAu、オーバーコート層にAlを用いた。Al膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Alオーバーコート層の除去は誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチャントはCl2とし、ガス圧力0.1Pa、アンテナ電力50W、バイアス電力10Wとして5秒間エッチングを行うことで金属微粒子層上からAlオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Siオーバーコート層)
実施例25は、オーバーコート層をSiにすること以外は、実施例5と同様である。
Si膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Siオーバーコート層の除去は誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチャントはCF4とし、ガス圧力0.1Pa、アンテナ電力50W、バイアス電力5Wとして5秒間エッチングを行うことで金属微粒子層上からSiオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.3dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Tiオーバーコート層)
実施例26は、オーバーコート層をTiにすること以外は、実施例5と同様である。
Ti膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Tiオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、15秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からTiオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.3dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Feオーバーコート層)
実施例27は、オーバーコート層をFeにすること以外は、実施例5と同様である。
Fe膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Feオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、13秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からFeオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.5dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Coオーバーコート層)
実施例28は、オーバーコート層をCoにすること以外は、実施例5と同様である。
Co膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Coオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、8秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からCoオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.9dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Niオーバーコート層)
実施例29は、オーバーコート層をNiにすること以外は、実施例5と同様である。
Ni膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Niオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、13秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からNiオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.6dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Cuオーバーコート層)
実施例30は、オーバーコート層をCuにすること以外は、実施例5と同様である。
Cu膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Cuオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、7秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からCuオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Znオーバーコート層)
実施例31は、オーバーコート層をZnにすること以外は、実施例5と同様である。
Zn膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Znオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、7秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からZnオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Zrオーバーコート層)
実施例32は、オーバーコート層をZrにすること以外は、実施例5と同様である。
Zr膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Zrオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、10秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からZrオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Moオーバーコート層)
実施例33は、オーバーコート層をMoにすること以外は、実施例5と同様である。
Mo膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Moオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、15秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からMoオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Ruオーバーコート層)
実施例34は、オーバーコート層をRuにすること以外は、実施例5と同様である。
Ru膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Ruオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、11秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からRuオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.4dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Pdオーバーコート層)
実施例35は、オーバーコート層をPdにすること以外は、実施例5と同様である。
Pd膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Pdオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、12秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からPdオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Agオーバーコート層)
実施例36は、オーバーコート層をAgにすること以外は、実施例5と同様である。
Ag膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Agオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、8秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からAgオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.3dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Taオーバーコート層)
実施例37は、オーバーコート層をTaにすること以外は、実施例5と同様である。
Ta膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Taオーバーコート層の除去は誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチャントはCF4とし、ガス圧力0.1Pa、アンテナ電力50W、バイアス電力5Wとして8秒間エッチングを行うことで金属微粒子層上からTaオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Wオーバーコート層)
実施例38は、オーバーコート層をWにすること以外は、実施例5と同様である。
W膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Wオーバーコート層の除去は誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチャントはCF4とし、ガス圧力0.1Pa、アンテナ電力50W、バイアス電力5Wとして9秒間エッチングを行うことで金属微粒子層上からWオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として10.2dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Ptオーバーコート層)
実施例39は、オーバーコート層をPtにすること以外は、実施例5と同様である。
Pt膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Ptオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、10秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からPtオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Ceオーバーコート層)
実施例40は、オーバーコート層をCeにすること以外は、実施例5と同様である。
Ce膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Ceオーバーコート層の除去はArを用いたイオンミリングにより行なった。ガス圧力0.1Pa、加速電圧300Vとし、12秒間ミリングを行うことで金属微粒子層上からCeオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Geオーバーコート層)
実施例41は、オーバーコート層をGeにすること以外は、実施例5と同様である。
Ge膜はDCスパッタ法により成膜し、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wとして、金属微粒子表面から厚さ3nmとなるように成膜した。
Geオーバーコート層の除去は誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチャントはCF4とし、ガス圧力0.1Pa、アンテナ電力50W、バイアス電力5Wとして5秒間エッチングを行うことで金属微粒子層上からGeオーバーコート層を除去した。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11dBの値を得ることができた。
以下、実施例42から45は、金属微粒子をAuとしてオーバーコート層の材料と膜厚を変更した場合の例である。
(Au微粒子、Cオーバーコート層、オーバーコート層厚1nm)
実施例42はオーバーコート層にCを用い、膜厚を1nmとすること以外は、実施例5と同様である。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.8dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Cオーバーコート層、オーバーコート層厚5nm)
実施例43はオーバーコート層にCを用い、膜厚を5nmとすること以外は、実施例5と同様である。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.9dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Siオーバーコート層、オーバーコート層厚1nm)
実施例44はオーバーコート層にSiを用い、膜厚を1nmとすること以外は、実施例5と同様である。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として11.8dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、Siオーバーコート層、オーバーコート層厚5nm)
実施例45はオーバーコート層にSiを用い、膜厚を5nmとすること以外は、実施例5と同様である。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.2dBの値を得ることができた。
以下、実施例46から47は、金属微粒子材料にAuを用い、さらに平均粒径の異なる値のものを用いた例である。
(Au微粒子、粒径15nm)
実施例46は、平均粒径15nmのAuを用い、さらにCオーバーコート層厚を5nmとすること以外は、実施例5と同様である。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として8dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、粒径50nm)
実施例47は、平均粒径50nmのAuを用い、さらにCオーバーコート層厚を5nmとすること以外は、実施例5と同様である。
以降、エネルギー線照射を行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として3.3dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、ナノインプリントリソグラフィー)
実施例48は、金属微粒子をパターニングした基板をマスター原盤としてナノインプリントスタンパーを作製し、該ナノインプリントスタンパーを用いたナノインプリントリソグラフィーにより凹凸パターンを形成した例である。
金属微粒子、マスク層、オーバーコート材料、エネルギー線照射の工程は実施例5と同様である。
まず、ナノインプリントスタンパーを作製するべく、マスター原盤を作製した。基板には汎用の6インチSiウェーハを用い、実施例5と同様に基板側からマスク層を形成した後、平均粒径8nmのAu微粒子を塗布することで基板上に金属微粒子層を形成した。次いで、オーバーコート層の形成と、エネルギー線照射を順次行い、エッチングにより基板上の凹凸パターンを得た。
このマスター原盤を用いてナノインプリント用スタンパーを作製した。まず、凹凸パターンに対して導電化処理を行なうため、Ni膜をDCスパッタ法にて成膜した。到達真空度8.0×10−4Pa、Arガス圧力1.0Pa、DC投入電力200Wの条件下で、52nm厚Ni導電膜を凹凸パターンに一様被覆させた。導電膜形成法としてはスパッタ法のほかに蒸着法、または無電解メッキ法によるNi−P合金やNi−B合金にて代用する事もできる。また、スタンパーの剥離を容易に行なうために、導電膜形成後に表面を酸化させてもよい。
続いて、電鋳法により凹凸パターンに沿ってNi膜を形成する。電鋳液には昭和化学(株)製の高濃度スルファミン酸ニッケルメッキ液(NS−169)を使用した。スルファミン酸ニッケル:600g/L、ホウ酸40g/L、ラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤0.15g/L、液温55℃、pH3.8〜4.0、通電電流密度20A/dm2の電鋳条件にて、300μm厚となるNiスタンパーを作製した。このNiスタンパーをマスター原盤から離型することで、凹凸パターンを有するナノインプリント用スタンパーが得られる。離型後のスタンパー凹凸に残渣やパーティクルがある場合は、必要に応じて凹凸パターンに対するエッチングを行なうことで、これらを除去しスタンパーを清浄化できる。最後に、電鋳したNi板を2.5インチ径の円盤状に打ち抜き加工し、Niスタンパーを得た。
このNiスタンパーを射出成型処理し、樹脂スタンパーを複製した。樹脂材料には、日本ゼオン(株)製環状オレフィンポリマー(ZEONOR 1060R)を用いた。
上記のように得られた樹脂スタンパーを用いて、レジスト層へ凹凸パターンを形成した。まず、媒体試料上へ紫外線硬化レジストを40nm厚でスピンコートし、これをレジスト層とした。続いて、レジスト層に前記樹脂スタンパーをインプリントし、紫外線を照射させることにより(紫外線硬化樹脂層を樹脂スタンパーで押下した状態で紫外線を照射)、レジスト層を硬化させる。硬化したレジスト層から樹脂スタンパーを離型することで所望のドットパターンを得た。
試料の凹凸パターンの溝部にはインプリントに伴うレジスト残渣があるため、これをエッチングにより除去した。レジストの残渣除去は、O2エッチャントによるプラズマエッチングにより行なった。O2ガス流量5sccm、圧力0.1Pa、投入電力100W、バイアス電力10Wとし、8秒間のエッチングを行なうことでレジスト残渣を除去した。
以降、実施例5と同様に、磁気記録層、マスク層を形成した基板上に金属微粒子層を形成し、オーバーコート層形成とエネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.4dBの値を得ることができた。
(Au微粒子、剥離層あり)
実施例49は、磁気記録層とマスク層との間に剥離層を設けること以外は実施例5と同様である。
本例では、酸を用いたウェットエッチングを想定し、可溶な金属剥離層としてMoを用いた例を示す。
Mo剥離層はDCスパッタ法により成膜した。到達圧力0.7Pa、投入電力500Wとし、5nm厚Moを磁気記録層上に。剥離層に対する凹凸パターン転写は磁気記録層に対するそれと同様に、Arを用いたイオンミリングにより行ない、ミリング時間90秒とすることでパターンを転写した。
凹凸パターンを転写した後、ウェットエッチングにより剥離層を溶解除去した。ここでは、重量パーセント濃度0.1%の過酸化水素水を用い、5分間の浸漬とスクラブ洗浄を行い、磁気記録層上からマスク層を除去した。最後に、超純粋による流水洗浄を行い、媒体表面を清浄化した。
以降、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。
比較例1
(自己組織化パターンを用いた例)
比較例1は、マスク層上に設ける凹凸パターン材料として金属微粒子の替わりにジブロックコポリマーを用いた例である。
ジブロックコポリマー膜は、異なる2種類のポリマーによって構成されており、外部エネルギーを印加することにより膜内にミクロ相分離パターンが形成される。本例の磁気記録層、剥離層、マスク層の形成およびその加工条件は実施例49と同様である。
まず、ブロックコポリマー溶液をカーボン膜上に塗布した。ブロックコポリマー溶液には、ポリスチレンとポリジメチルシロキサンからなるブロック共重合体を塗布溶媒に溶解したものを用いた。ポリスチレンブロックとポリジメチルシロキサンブロックの分子量はそれぞれ11800、2000である。この組成からは、パターンピッチ13nmを有する球体状ミクロ相分離構造が得られる。すなわち、海状ポリスチレンパターン中に球状ポリジメチルシロキサンパターンが独立した構造を有する。溶媒にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用い、重量パーセント濃度1.5%となるようポリマー溶液の調製を行った。
この溶液をカーボン膜マスク上に滴下し、回転数5000rpmでスピンコーティングし、単層自己組織化膜となる15nm厚で自己組織化膜を成膜した。単層自己組織化膜とは、媒体の同一平面に対して階層構造を持たず、海状ポリスチレンと球状ポリジメチルシロキサンのミクロ相分離パターンが一層であることを意味する。
さらに、自己組織化膜内部に海状ポリスチレンと球状ポリジメチルシロキサンドットパターンをミクロ相分離させるため、熱アニールを行った。熱アニールでは真空加熱炉を用い、炉内圧力0.2Paの減圧雰囲気下で170℃・12時間のアニールを行い、自己組織化膜内部に13nmピッチドットからなるミクロ相分離構造を形成した。
続いて、相分離パターンを基にエッチングにより凹凸パターンを形成した。エッチングでは誘導結合プラズマ型リアクティブイオンエッチングにより行った。プロセスガス圧力は0.1Pa、ガス流量は5sccmとした。
まず、自己組織化膜の表層のポリジメチルシロキサンを除去するため、CF4ガスをエッチャントとし、アンテナ電力50W、バイアス電力5Wで7秒のエッチングを行った。次いで、海状ポリスチレンおよび自己組織化膜下部のC膜に凹凸パターンを転写するため、O2ガスをエッチャントとしてアンテナ電力100W、バイアス電力5Wで110秒エッチングを行った。ポリスチレンの除去に用いるO2エッチャントは、下層のC膜もエッチングするため、Si転写層がストッパ層となりエッチングが停止する。さらに、実施例1と同様にCF4エッチャントおよびO2エッチャントを用いたプラズマエッチングにより、下層のSi転写層およびCマスク層に対するエッチングを行うことで、自己組織化膜の凹凸パターンをマスク層へ転写した。
以降、実施例1と同様に、磁気記録層、マスク層を形成した基板上に金属微粒子層を形成し、オーバーコート層形成とエネルギー線照射を順次行い、さらに金属微粒子凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写することで、凹凸を有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12.1dBの値を得ることができた。ただし、凹凸パターンの形成、すなわち自己組織化膜のミクロ相分離パターン形成と凹凸転写プロセスに要するタクトタイムは約14時間であり、金属微粒子を用いた場合の38分間と比較すると極めて長く、製造スループットは低下する。
比較例2
(電子線描画パターンを用いた例)
比較例2は、電子線リソグラフィーによりレジスト層に設けた凹凸パターンを磁気記録層へ転写することを特徴とした製造方法に関するものである。
基板には2.5インチ径ドーナツ基板を用い、この上に磁気記録層をDCスパッタ法により形成した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、基板側から10nm厚 NiTa下地層/4nm厚Pd下地層/20nm厚Ru下地層/5nm厚CoPt記録層を順次成膜し、最後に3nm厚Pd保護層を形成することで磁気記録層を得た。
続いて、磁気記録層上に剥離層のラフネス低減のための下地層を形成した。ここでは、Pd膜を選定し、DCスパッタ法により1.5nm厚となるように成膜を行った。また、保護膜上にDCスパッタ法によりMo金属剥離層を5nm厚で成膜した。
引き続き、剥離層上にマスク層を形成した。ここではレジスト層の凹凸パターンを高精細に転写するために2層のマスクを用いることとし、基板側から第1のマスク層として30nm厚C、さらに上部の転写層として5nm厚Si、3nm厚Cを適用した。各マスク層の形成では対向ターゲット式DCスパッタ装置を用い、Arガス流量35sccm、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとしてスパッタ成膜した。
次いで,パターニング用の主鎖切断型電子線ポジレジストを成膜した。電子線レジストには日本ゼオン(株)のZEP−520Aを用い,アニソールを溶媒としてZEP−520A:アニソール=1:3の重量比で希釈した溶液に調製した後、基板上に滴下し、回転数5000rpmで10nm厚となるようにスピンコートした。試料は180℃に加熱した真空ホットプレート上で150秒間保持し、プリベークすることで電子線レジストを硬化させた。
次いで、ZrO熱電界放出型電子源を有し、加速電圧100kV・ビーム径2nm径のビームを具備した電子線描画装置を用い、電子線レジストにパターン描画を行った。電子線描画装置は、描画パターンを形成するための信号と、試料ステージの一方向移動機構と同心円回転機構とを具備した、いわゆるx−θ型描画装置である。試料の描画では電子線を偏向するための信号を同期させるとともに、半径方向に対してステージを移動させている。ここで、描画線速度0.15m/秒、ビーム電流値13nA、半径方向への送り量を5nmとして、電子線レジストにピッチ20nmを有するドット/スペースパターンおよびライン/スペースパターンの潜像を形成した。なお、パターン領域は半径20mm〜22mmに渡る円周状のバンド領域である。
これを現像することで、8nm径ドット/7nmスペースの凹凸パターンを解像できる。現像液には100%酢酸ノルマルアミルを成分とした有機現像液を用い,液中に20秒間試料を浸漬することで電子線レジストの現像を行った。
引き続き、イソプロピルアルコール中に20秒間試料を浸漬してリンスを行い,N2の直接ブローにより試料表面を乾燥させた。
以降、実施例49と同様に、マスク層、剥離層、磁気記録層へ凹凸パターン転写を行い、さらに酸を用いたウェットエッチングにより磁気記録層上からマスク層を除去することで、凹凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上特性評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。また、スピンスタンドを用いて媒体のシグナルノイズ比を測定した。その結果、媒体のSNR値として12dBの値を得ることができた。ただし、凹凸パターンの形成、すなわち自己組織化膜のミクロ相分離パターン形成と凹凸転写プロセスに要するタクトタイムは約183時間であり、金属微粒子を用いた場合の38分間と比較すると極めて長く、製造スループットは低下する。
比較例3
(Au微粒子、オーバーコート層なし、エネルギー線照射なし)
比較例3は、金属微粒子にAuを用い、オーバーコート層の形成ならびにエネルギー線の照射を行わないこと以外は、実施例5と同様である。
金属微粒子の凹凸形成後における断面TEM像を図14に示す。また、同状態における上面SEM像を図15に示す。ッチング中における微粒子周囲の保護材の消失により、隣接する金属微粒子同士が凝集しパターン精度が劣化していることがわかる。また、凹凸差が増高しており、転写均一性が劣化することが確認された。
Au微粒子層形成後は、O2をエッチャントとした誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチングでは、圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wに設定し、5秒間エッチングすることでパターンをCマスクに転写した。
作製後の媒体は凹凸差が大きく、浮上特性を測定した結果、判定はNGであった。また、パターン転写精度も著しく劣化していることがわかった。
比較例4
(Au微粒子、オーバーコート層あり、エネルギー線照射なし)
比較例4は、金属微粒子にAuを用い、オーバーコート層の形成を行い、かつエネルギー線の照射を行わないこと以外は、実施例5と同様である。
パターン転写後におけるSEM像を確認したところ、実施例3と同様に、エッチング中における微粒子周囲の保護材の消失により、隣接する金属微粒子同士が凝集しパターン精度が劣化していることがわかった。また、凹凸差が増高しており、転写均一性が劣化することが確認された。
Au微粒子層形成後は、O2をエッチャントとした誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチングでは、圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wに設定し、5秒間エッチングすることでパターンをCマスクに転写した。
作製後の媒体は凹凸差が大きく、浮上特性を測定した結果、判定はNGであった。また、パターン転写精度も著しく劣化していることがわかった。
比較例5
(Au微粒子、オーバーコート層なし、エネルギー線照射あり)
比較例5は、金属微粒子にAuを用い、オーバーコート層の形成を行わず、かつエネルギー線を照射すること以外は、実施例5と同様である。
パターン転写後におけるSEM像を確認したところ、実施例3と同様に、エッチング中における微粒子周囲の保護材の消失により、隣接する金属微粒子同士が凝集しパターン精度が劣化していることがわかった。また、凹凸差が増高しており、転写均一性が劣化することが確認された。
Au微粒子層形成後は、O2をエッチャントとした誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチングでは、圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wに設定し、5秒間エッチングすることでパターンをCマスクに転写した。
作製後の媒体は凹凸差が大きく、浮上特性を測定した結果、判定はNGであった。また、パターン転写精度も著しく劣化していることがわかった。
比較例6
(Au微粒子、オーバーコート層10nm、エネルギー線照射あり)
比較例6は、金属微粒子にAuを用い、Cオーバーコート層厚を10nmとすること以外は、実施例5と同様である。
パターン転写後におけるSEM像を確認したところ、実施例3と同様に、エッチング中における微粒子周囲の保護材の消失により、隣接する金属微粒子同士が凝集しパターン精度が劣化していることがわかった。また、凹凸差が増高しており、転写均一性が劣化することが確認された。
Au微粒子層形成後は、O2をエッチャントとした誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチングでは、圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力40W、バイアス電力40Wに設定し、12秒間エッチングすることでパターンをCマスクに転写した。
作製後の媒体は凹凸差が大きく、浮上特性を測定した結果、判定はNGであった。また、パターン転写精度も著しく劣化していることがわかった。
比較例7
(Au微粒子、オーバーコート層10nm、エネルギー線照射あり)
比較例7は、金属微粒子にAuを用い、Siオーバーコート層厚を10nmとすること以外は、実施例6と同様である。
パターン転写後におけるSEM像を確認したところ、実施例3と同様に、エッチング中における微粒子周囲の保護材の消失により、隣接する金属微粒子同士が凝集しパターン精度が劣化していることがわかった。また、凹凸差が増高しており、転写均一性が劣化することが確認された。
Au微粒子層形成後は、CF4をエッチャントとした誘導結合型プラズマエッチングにより行なった。エッチングでは、圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W、バイアス電力30Wに設定し、9秒間エッチングすることでパターンをCマスクに転写した。
作製後の媒体は凹凸差が大きく、浮上特性を測定した結果、判定はNGであった。また、パターン転写精度も著しく劣化していることがわかった。
上記実施例及び比較例の結果について、下記表1ないし表4に示す。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。