以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターンの形成方法を示す工程断面図である。
微細凸凹パターンとは、ドットが1μm程度以下の周期で配列したパターンであり、基板上に形成された単粒子層の表面により形成することができる。あるいは、微細凸凹パターンは、加工により基板表面に形成された凸凹により構成することもできる。微細凸凹パターンは、ドット部分が隆起したナノ突起の集合パターン、あるいはドット部分が陥没したナノホールの集合パターンということもできる。ナノ突起の高さ、あるいはナノホールの深さは特に限定されないが、周期の1〜1000%程度である。
微細凸凹パターンの形成に先立って、予め、微粒子の分散液を準備しておく。後述する洗浄工程において、洗浄液として水系の洗浄液を使用できるよう、微粒子は親水性表面を有していることが好ましい。
使用し得る微粒子の外観上の形状は特に限定されず、用途に応じて、球状、多面体状、棒状などの微粒子を用いることができる。後の工程で形成される捕捉層上に高い充填密度で配列させるためには、球状で真円度が高く、粒子径分布が狭いことが望ましい。
粒子径分布は、下記式(1)で定義され、好ましくは0.8〜1.0の範囲内であり、より好ましくは0.9〜1.0の範囲である。
粒子径分布=個数平均粒子径/体積平均粒子径 (1)
(個数平均粒子径とは、無作為に抽出した100個の微粒子の直径を測定した平均値であり、体積平均粒子径とは、微粒子を真球とみなし無作為に抽出した100個の微粒子の直径から合計体積を算出し、小さい体積の微粒子から累積していき、その累積体積が合計体積の50%となった微粒子の直径である。)
具体的には平均粒子径は、100個の微粒子を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、あるいは透過型電子顕微鏡で撮影して投影像を得、それを画像解析することにより得られる。
また真円度は、下記数式(2)で定義され、球状粒子の真円度は80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
真円度(%)=(4πA/B2 )×100 (2)
(A:微粒子の投影面積、B:微粒子の周囲長)
具体的には真円度は、微粒子を光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、あるいは透過型電子顕微鏡で撮影して投影像を得、それを画像解析することにより得られた微粒子の投影面積、および微粒子の周囲長から算出することができる。
微粒子の粒子径(個数平均粒子径)としては、3〜5000nmの範囲が好適であり、5〜800nmの範囲がより望ましい。3nm未満の小さい粒子径の微粒子では、捕捉層に粒子層を1層だけ埋め込むことが困難であり、洗浄工程時に余分の微粒子を除去しにくくなる。一方、5000nmを越えると、捕捉層に捕捉された微粒子が洗浄工程時に脱離するおそれが高くなる。
微粒子を構成する材料は特に限定されず、有機材料、無機材料、あるいは有機−無機複合材料を用いることができる。有機材料としてはポリスチレン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ノボラック樹脂などの有機高分子材料などが例示される。無機材料としては、金、銀、白金、パラジウム、銅、鉄などの金属材料や、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの金属酸化物、窒化シリコン、窒化アルミニウムなど金属窒化物、その他、炭化ケイ素などを含む各種セラミックス材料、炭素材料、あるいはFePtなどの磁性材料などを用いることができる。
微粒子は、単一の材料で構成される必要はなく、例えばコア−シェル型の微粒子や、微粒子中にさらに微細な微粒子が分散した微粒子などでもよい。また、微粒子表面をシランカップリング剤や高分子などの表面修飾剤で表面処理していてもよい。
上述した微粒子を液体分散媒中に分散させることによって、粒子分散液が調製される。液体分散媒は特に限定されず、水や各種有機溶媒、あるいはこれらの混合物を用いることができる。液体分散媒は、捕捉層を溶解、膨潤させないものが好ましい。有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、乳酸エチルやプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族系溶媒、ラクトン系溶媒、エーテル系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。
微粒子を充填性よく配列させるためには、表面張力が大きい水系の液体分散媒が好ましい。例えば水、あるいは水にアルコール系溶媒などの親水性有機溶媒を加えて塗布性を改善したものなどが挙げられる。水系の液体分散媒は、適度な乾燥時間で乾燥できるため優れている。水系の液体分散媒に分散させた微粒子は、洗浄液として水を用いることができる。水はコストや排液処理の観点から優れた洗浄液であり、水系の粒子分散液と洗浄液とを組み合わせて用いることが好ましい。
粒子分散液中における微粒子の含有率は特に限定されず、塗布方法などによって適宜設定すればよい。一般的には、1〜30wt%程度の微粒子を含有する粒子分散液が用いられる。また、分散させる微粒子は単一種には限定されず、複数種の微粒子を分散させてもよい。
さらに、粒子分散液には、塗布性を改善するための界面活性剤や増粘剤などを添加してもよい。界面活性剤としては、例えばフッ素系の界面活性剤などが挙げられ、水系の粒子分散液の増粘剤としては、例えばポリビニルアルコール類が挙げられる。また微粒子の沈降を防止するための安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ポリエチレングリコール類などの高分子や、pH調整用としての酸性物質やアルカリ性物質が挙げられる。アルカリ性物質としては、たとえばテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどが用いられる。
粒子分散液の調製方法は特に限定されず、広く公知の方法を採用することができる。例えば超音波処理による調製方法や、ボールミルなどを用いた調製方法などを用いることができる。微粒子の沈降を防ぐため、粒子分散液は必要に応じて攪拌することが望まれる。攪拌の代わりに、超音波処理を施してもよい。必要に応じてろ過し、微粒子が凝集した粗大粒子を除去するのが好ましい。
具体的には、粒子分散液としては、コロイダルシリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ポリスチレン微粒子、あるいはアクリル樹脂微粒子などを水やアルコールに分散させた分散液が挙げられる。
微細凸凹パターンを形成するための基板1には、図1(a)に示すように捕捉層2を形成する。捕捉層2は微粒子の平均粒子径以下の層厚で基板1上に形成する。平均粒子径としては、個数平均粒子径を用いるのが望まれる。基板1としては特に限定されず、有機材料からなる基板や無機材料からなる基板、あるいは有機材料と無機材料の複合材料からなる基板等を用いることができる。有機材料からなる基板としては例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂などの高分子材料からなる基板を用いることができる。また無機材料からなる基板としては例えば、ガラス基板、カーボン基板、シリコン基板、GaPやGaAsなどの化合物半導体の基板、アルミナや窒化シリコンなどのセラミックス基板などを用いることができる。また有機材料と無機材料の複合材料からなる基板としては例えば、ガラスクロスにエポキシ樹脂などを含浸した繊維強化プラスチックス基板などを用いることができる。
捕捉層2としては、ガラス転移温度が、微粒子のガラス転移温度、融点、焼結温度のいずれよりも低いものを用いる。捕捉層2に含有される高分子としては、ガラス転移点を有し、加熱により少なくとも1回は流動性を発現するものであれば、特に限定されない。(1)ガラス転移温度が、微粒子のガラス転移温度、融点、焼結温度のいずれよりも低い、(2)粒子分散液および洗浄液によって溶解、剥離、表面荒れなどのダメージを受けないといった要件を満たすものであれば、より好ましい。
有機高分子および無機高分子のいずれの高分子を用いてもよく、分子量も特に限定されないが、重量平均分子量Mwが1000から1000000の範囲であることが好ましく、5000から100000の範囲であることがより好ましい。分子量があまり小さすぎると、成膜性が悪くなる上、粒子分散液や洗浄液に対する耐性が充分でない。また、分子量があまり大きすぎると、成膜性が悪くなる上、微粒子を捕捉しにくくなるおそれがある。高分子としては例えば、ポリオレフィン類、ポリジエン類、ポリブチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリ(α―メチルスチレン)などのポリスチレン誘導体、ポリアクリロニトリルなどのポリアクリロニトリル誘導体、ポリオキシメチレンなどのポリアセタール類、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ナイロンなどのポリアミド類、ポリイミド類、ポリアミック酸類、ポリエーテル類、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ポリカルボジイミド樹脂などが挙げられる。捕捉層2に含有される高分子は一種類であってもよいし、複数種であってもよい。また単独重合体(ホモポリマー)でもよいし、ランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体などの共重合体でもよい。
高分子以外に、例えば可塑剤などの添加物を加えることもできる。保存安定性に優れ、ガラス転移温度の調整が容易なことから、一般的には、有機の熱可塑性高分子に必要に応じて添加物を加えたものが用いられる。またB−ステージ化した熱硬化性樹脂なども用いることができる。B−ステージ化した熱硬化性樹脂としては、熱硬化性シリコーン樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、ポリカルボジイミド樹脂などが挙げられる。これらのB−ステージ樹脂には、必要に応じて硬化触媒が添加される。この場合には、保存安定性などの観点から潜在性の硬化触媒を用いるのがよい。
捕捉層2中の高分子の含有率は特に限定されないが、10%から100%であることが好ましく、80%から100%であることがより好ましい。含有率があまり低すぎると、成膜性が悪くなる上、粒子分散液や洗浄液に対する耐性が充分でない。また微粒子を捕捉しにくくなるおそれがある。捕捉層2が高分子を含有していることによって、捕捉層2の成膜性がよいだけでなく、粒子分散液や洗浄液に対する耐性にも優れている。また微粒子の埋め込みも円滑に行なうことができる。
捕捉層2のガラス転移温度は、室温以上であることが好ましい。捕捉層のガラス転移温度が室温以下であると、室温でプロセスを行なう際に埃などが付着しやすくなる。捕捉層のガラス転移温度は20℃以上であることが好ましく、夏季の気温上昇を考慮すると、40℃以上であることが望まれる。捕捉層のガラス転移温度は、捕捉層を形成している材料の、示差走査熱量測定(DSC)により測定した値を用いることができる。
測定は測定規格:
ISO 11357-1 1997 Plastics -- Differential scanning calorimetry (DSC) -- Part 1: General principles
ISO 11357-2 1999 Plastics -- Differential scanning calorimetry (DSC) -- Part 2: Determination of glass transition temperature; P-310
に準拠して行なうことが望まれる。
捕捉層2の形成方法は特に限定されず、一般的には、捕捉層を構成する材料の溶液を基板1上に塗布することによって形成することができる。塗布方法も特に限定されず、スピンコーティング法、ディッピング法、バーコート法、およびスキャン塗布法など広く公知の塗布方法を用いることができる。なかでもナノレベルの薄膜を膜厚の制御性良く形成できることから、スピンコーティング法が好ましい。
捕捉層2を形成する前に、基板1表面をシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理してもよい。洗浄工程において超音波洗浄などを行なう場合には、シランカップリング剤などによる疎水化処理が特に有効である。シランカップリング剤は特に限定されず、ヒドロキシシリル基やアルコキシシリル基を有するものや、オクタメチルジシラザンなどのシラザン化合物などを用いることができる。表面処理剤としてスピンオングラス(SOG)やポリカルボジイミド類などの熱硬化性樹脂などを用いてもよい。
捕捉層2は必ずしも基板1全面に形成する必要はない。例えばフォトリソグラフィー工程やインクジェット印刷などによって、基板1の一部分にのみ捕捉層2を形成することもできる。
捕捉層2を形成した基板1上には、図1(b)に示すように粒子分散液3を塗布して塗膜を形成する。ここでの塗布は、捕捉層2のガラス転移温度以下で行なわれる。好ましくはガラス転移温度未満で行う。塗布工程の温度は、捕捉層2のガラス転移温度よりも10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。ガラス転移温度より高温では、捕捉層2は流動性を有するため、微粒子を捕捉する可能性がある。よって捕捉層2のガラス転移温度近傍の温度で塗布を行なうと、プロセス温度の変動などで微粒子が捕捉されるおそれがある。捕捉層2の層厚がナノスケールの場合には、バルクのガラス転移温度よりも低い温度でガラス転移する可能性があるからである。
塗布の方法は特に限定されず、スピンコーティング法、ディッピング法、バーコート法、およびスキャン塗布法など任意の方法により塗布することができる。ガラス転移温度以下であるため、粘着などによって粒子が捕捉層2に固着してしまうことはない。塗布された粒子分散液が乾燥していく過程で、毛細管力(メニスカス力)によって微粒子同士が密に凝集することができる。
その後、捕捉層2上に塗布した粒子分散液の液体分散媒を揮発させることによって、図1(c)に示すように捕捉層2上に多粒子層5が形成される。乾燥時の温度は捕捉層2のガラス転移温度以下とする。好ましくはガラス転移温度未満で行う。乾燥方法は特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥、窒素ガスなどのガス流による乾燥などが用いられる。乾燥温度は、捕捉層2のガラス転移温度よりも10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。捕捉層2のガラス転移温度近傍の温度で乾燥を行なうと、プロセス温度の変動などで微粒子が捕捉されるおそれがある。捕捉層2の層厚がナノスケールの場合には、バルクのガラス転移温度よりも低い温度でガラス転移する可能性があるからである。
乾燥させる際には、超音波振動などの振動を粒子分散液あるいは基板1に印加してもよい。振動を印加することによって、単粒子層の充填性を改善することが可能である。
図示するように、このときの多粒子層5は捕捉層2上に載置されているだけで、固着していない。多粒子層5を形成後、捕捉層2をガラス転移温度以上に加熱することによって、微粒子を捕捉層2中に埋め込むことができる。
加熱方法は特に限定されず、広く公知の方法を用いることができる。例えば、熱板上に基板を設置する、所定の温度の加熱炉内に配置する、マイクロ波で電磁誘導加熱する、光照射により加熱するといった手法が挙げられる。光源としては、ハロゲンランプや赤外線ランプ、あるいはレーザー光などを用いることができる。
加熱は、多粒子層5が形成された側とは反対側の基板1側から行なうことが好ましい。多粒子層5が形成された側から加熱すると、多粒子層5が過度に加熱されやすく、この場合には、微粒子同士が融着したり焼結するおそれがある。基板1側から加熱することによって、多粒子層5を過剰に熱することなく、捕捉層2を効率よく加熱することができる。加熱する際には、多粒子層5が形成された側を上に向ける必要はなく、基板1側を上にして加熱してもよい。これは微粒子が捕捉層2中に埋め込まれる際の主たる駆動力が、重力ではなく濡れであることによる。
光照射で加熱する場合には、捕捉層2を赤外線吸収性とすることが望まれる。微粒子よりも捕捉層2の赤外線吸収性を高くすることによって、捕捉層2を選択的に効率よく加熱することができる。捕捉層2を赤外線吸収性とするには、捕捉層2に赤外線吸収色素を含有させればよい。赤外線吸収色素としては特に限定されず、例えば金属錯体系、イモニウム系、アミニウム系、シアニン系、ポリメチン系、あるいはアントラキノン系などを用いることができる。光照射による加熱は、非接触で行なうことができるため、接触時に生じがちな微粒子の飛散がない。さらに、温度の立ち上がりが早く、微粒子や基板の熱損傷を防ぐことができる。また、特定の領域のみを選択的に加熱することも可能な点でも、光照射による加熱は優れている。
必ずしも捕捉層2が形成された基板1全面を加熱する必要はなく、基板を部分的に加熱してもよい。例えば、レーザー光線やサーマルヘッドなどを用いて、局所的に加熱することもできる。局所的に加熱すると、加熱部位の粒子のみを選択的に捕捉層2中に埋め込むことが可能となる。未加熱部位の粒子は捕捉層中に埋め込まれないので、洗浄後には単粒子層が残らない。結果として、加熱部位のみに選択的に単粒子層を形成することが可能となる。
加熱によって捕捉層2は流動性となり、毛細管現象によって1層目(最下層)の粒子層に濡れ上がっていく。その結果、1層目の粒子層は捕捉層2中に沈み込んで、図1(d)に示されるように包埋される。
この際、微粒子4に圧力を加えて捕捉層2中に押し込む必要はなく、単に加熱するだけで、毛細管現象により最下層の微粒子は捕捉層2中に埋め込まれる。微粒子を粘着層に押し込む従来の方法では、二層以上が微粒子が粘着層中に押し込まれたり、面内で不均一に押し込まれるといった問題があった。しかしながら、本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成方法によれば、捕捉層の膜厚を制御するだけで、正確に一層のみを面内均一性よく捕捉層2中に埋め込むことができる。また、従来の押し込む方式では困難だったナノサイズの微粒子にも適用可能となった。
一般的には、毛細管現象による埋め込みには、微粒子の表面と捕捉層の構成物質との濡れが良好であることが好ましいとされてきた。例えば微粒子の表面が親水性ならば、捕捉層の構成物質も親水性にする。しかしながらこうした組み合わせは、本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成方法には適切ではない。例えば、微粒子表面が親水性の場合には、粒子分散液の分散媒も親水性であることが要求される。このとき、捕捉層が親水性であると、粒子分散液を塗布した際に分散媒によって捕捉層がダメージを受ける。その結果、捕捉層が溶出あるいは剥離したり、表面が凸凹になることが本発明者らにより確認された。また、捕捉層の表面が軟化して微粒子を固着することもある。洗浄工程においても、用いられる洗浄液は親水性である必要があるため、洗浄時にも捕捉層がダメージを受けてしまう。特に捕捉層が薄い場合(微粒子の粒子径がナノサイズの場合)、この傾向が顕著となる。
捕捉層がダメージを受けないためには、微粒子表面と捕捉層とで濡れ性が異なっている必要がある。具体的には、微粒子の表面が親水性の場合には疎水性の捕捉層を用いて、微粒子の表面が疎水性の場合には親水性の捕捉層を用いなければならない。このような組み合わせは、微粒子の埋め込みに対しては不利である。特に粒子径が1μm程度以下と小さい微粒子では、埋め込みに対する重力の影響はほとんどなく、表面張力の影響が支配的になるからである。
本発明の一実施形態にかかる方法により、こうした組み合わせでも十分な埋め込みが達成でき、微細凸凹パターンを形成することが可能となった。
微粒子の捕捉層2中への沈み込みは速やかに終了する。多くの場合、1分程度の加熱で充分である。加熱後、洗浄液を用いて洗浄する。その結果、捕捉層2中に埋め込まれていない2層目以上の余分な微粒子が除去され、図1(e)に示されるように単粒子層6が形成される。
洗浄は、捕捉層2のガラス転移温度以下で行なうことが好ましい。捕捉層2のガラス転移温度を越える高温で洗浄を行なうと、捕捉層2中に埋め込まれていた微粒子が脱落したり、逆に洗い落とされた微粒子が再付着するおそれがある。洗浄液としては特に限定されず、水や各種有機溶媒、あるいはこれらの混合物を用いることができる。洗浄液を用いた洗浄は、粒子径がナノオーダの微粒子に対しては非常に有効である。有機溶媒としては例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒が用いられる。洗浄液に界面活性剤などの添加剤を加えてもよい。
洗浄は、広く公知の洗浄液を用いた方法により行なうことができる。洗浄時には、洗浄液あるいは基板に超音波振動を印加することが望まれる。超音波振動を印加する際には、基板やデバイスの破損を防ぐため、1MHz以上の周波数の振動を印加するのが好ましい。超音波洗浄する際には、流水式の超音波洗浄装置を用いるのが望まれる。
また、超臨界状態あるいは亜臨界状態の流体を洗浄に用いることもできる。この場合には、例えば超臨界状態あるいは亜臨界状態の二酸化炭素に、必要に応じてモディファイアを添加するなどして用いるとよい。
洗浄工程の後には、必要に応じて洗浄液を乾燥する。乾燥方法は特に限定されず、加熱乾燥など広く公知の乾燥方法を適用することができる。単にガスを吹き付けて、洗浄液を吹き飛ばしてもよい。洗浄工程後の単粒子層6は、捕捉層2に半ば埋め込まれた状態であるので、微粒子間や微粒子と基板1との間には洗浄液が残留しにくい。捕捉層2と濡れ性の少ない洗浄液を用いることによって、乾燥が容易になる。
乾燥後あるいは加熱乾燥時には、捕捉層2のガラス転移温度以上に加熱してもよい。この加熱により単粒子層6が更に再配列して、単粒子層6の充填性を改善することが可能である。また同時に、二層目の微粒子が抜けた跡の捕捉層2の凸凹も平坦化することができる。
以上のように、微粒子4が捕捉層2に捕捉されることによって、単粒子層6からなる微細凸凹パターンが基板1上に形成される。
したがって、本実施形態にかかる方法においては、図1(a)における捕捉層2の層厚は、最終的に得られる単分子層の欠陥に影響を及ぼす。捕捉層2の層厚が変化すると、微粒子4の埋め込まれる深さが変化するからである。微粒子の埋め込みが深すぎる場合には、2層目以上の微粒子が残りやすくなる。逆に埋め込まれる深さが浅すぎると、1層目の微粒子が洗浄工程において脱離しやすくなる。欠陥(抜けや多層)のない単粒子層を形成するには、埋め込まれる深さを正確に制御することが望まれる。
捕捉層2の層厚は、粒子径に応じて決定することができる。微粒子の粒子径に比較して捕捉層2が厚すぎる場合には、粒子捕捉工程において2層目の粒子層まで埋め込まれてしまう。したがって、1層目(つまり最下層の粒子層)の微粒子が、半分より少し深めに埋め込まれるようにするのが好ましい。半分以上埋め込まれた微粒子は幾何学的に固定されるため、洗浄工程において脱離するおそれがない。
最下層の微粒子の埋め込み深さが、その粒子径の半分未満と浅い場合でも、2層目以上の微粒子を選択的に洗い落とすことができる。隣接している微粒子間の界面は、面積が小さい上に洗浄液と親和性のよい表面同士の界面である。これに対して、微粒子と捕捉層との界面は、面積が大きい。しかも、洗浄液とは親和性のよくない捕捉層の表面が存在していることから、微粒子と捕捉層との界面には洗浄液が浸透しにくい。その結果、捕捉層に埋め込まれた微粒子は洗い落とされにくくなるものの、洗浄条件を正確に制御することが望まれる。
図1(d)に示したような捕捉工程後の捕捉層2は、1層目の微粒子の微粒子間の空隙を埋める。微粒子の粒径と捕捉層の層厚との組み合わせが適切な場合には、1層目の微粒子は捕捉層2を貫通する。したがって、捕捉層2の層厚をD1、埋め込み後の捕捉層2の層厚をD2、埋め込み後の捕捉層2中における微粒子の体積分率をRとすると、下記数式(3)で表わされる関係が成り立つ。
D2=D1/(1−R) (3)
例えば微粒子が六方最密充填する場合、微粒子が三分の二程度埋まるためには、捕捉層2の層厚D1を粒子径の22%程度にする。
捕捉層2の層厚D1が同じでも、微粒子が充填されている割合によって埋め込み後の捕捉層の膜厚D2は異なる。多くの場合、微粒子が埋め込まれる深さはD2と等しいため、埋め込まれる深さも変わってくる。このため、微粒子の充填状態を、面内で均一にする必要がある。
塗布工程や乾燥工程をガラス転移温度以上で行なうと、上述したように微粒子の固着が起こりやすい。この場合には、微粒子が密に充填されないだけでなく、微粒子の充填状態が面内で不均一になりやすい。このため、微粒子が捕捉層に埋め込まれる深さも面内で不均一となって、単粒子層に欠陥が生じやすくなる。塗布工程や乾燥工程をガラス転移温度以下で行なうことにより、欠陥の無い単粒子層を形成することができる。
本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成方法によると、仮に面内で不均一な充填状態であっても、多粒子層が形成されにくい。微粒子が六方最密充填されている場合を例に挙げ、図2を参照してこれを説明する。
図2においては、一層目の微粒子4aおよび二層目の微粒子4bが、基板1上に堆積されている。基板1表面から一層目の微粒子4aの中心までの距離(L1)、基板1表面から二層目の微粒子4bの下部までの距離(L2)、および基板1表面から二層目の微粒子4bの中心までの距離(L3)を用いて、埋め込み後の捕捉層2の高さD2は、次のように決定することができる。微粒子が埋め込まれた後の捕捉層の上面が、一層目を形成している微粒子4aの中心の高さ(L1)より高い場合(D2>L1)、一層目の微粒子4aは捕捉層に幾何学的に固定される。幾何学的に固定された微粒子は、微粒子または捕捉層が変形などしない限り、洗浄工程で洗い落とされることはない。また、埋め込み後の捕捉層の上面が二層目の微粒子4bの下部までの高さL2より低ければ、二層目の微粒子4bが捕捉層に固着するおそれはない。すなわち、L1<D2<L2とするのが、単粒子層を形成するのに最も優れている。
埋め込み後の捕捉層の上面が、二層目を構成している微粒子4bの中心までの基板1表面からの距離L3を越えてしまうと、二層目の微粒子4bも捕捉層に幾何学的に固定されてしまう。この場合には、単粒子層の形成が困難になる。よって、D2≦L3である必要がある。L2≦D2≦L3の場合には、二層目の微粒子4bは幾何学的には固定されていない。
捕捉層のガラス転移温度以下で洗浄を行なうことによって、二層目以上の微粒子を比較的容易に洗い落とすことができる。従来の方法では、微粒子の固着には粘着層や接着剤層が用いられていた。このため、固着された状態の微粒子を洗い落とすことは容易ではなく、欠陥のない単粒子層を形成することは困難であった。本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成方法によれば、D2≦L3となるように、捕捉層2の層厚と微粒子の粒径とを選択することによって、単粒子層を欠陥なく形成することが可能である。すなわち、埋め込み後の捕捉層の層厚D2が多少変動しても、欠陥のない単粒子層を形成することが可能となった。
以上、六方最密充填した場合を例に説明したが、六方最密充填していない場合にも同様に適用できる。上述したとおり、埋め込み前の捕捉層の層厚D1が一定の場合でも、埋め込み後の層厚D2は微粒子の充填状態によって変動する。D2≦L3であれば多少の変動は許容されるため、仮に面内で充填状態がばらついたところで、単粒子層を形成することが可能である。同様に、捕捉層の層厚が多少変動しても許容される。その結果、捕捉層を形成時に、捕捉層の層厚を容易に制御することができる。
場合によっては、捕捉層2のガラス転移温度や流動性を部分的に変化させてパターン化することにより、パターン化された単粒子層を形成してもよい。例えば、樹脂と潜在性触媒とを含有する硬化性樹脂組成物を捕捉層に添加しておき、捕捉工程前に、単粒子層を形成する領域を残して、潜在性触媒を光や熱などで活性化させて捕捉層を硬化させる。単粒子層を形成する領域以外の領域の捕捉層を硬化させてパターン化した後、捕捉工程を行なう。捕捉層が硬化した領域では、基本的には微粒子の埋め込みが起こらず、捕捉されてもその深さは浅いために単粒子層が形成されない。こうして、光や熱で処理しなかった領域のみに選択的に、パターン化された単粒子層を形成することができる。
硬化させる樹脂としては、例えば、ポリジエン類、アクリル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シリコーン樹脂、およびカルボジイミド樹脂などを用いることができる。潜在性触媒としては、広く公知のラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤などが用いられる。ラジカル発生剤としては、例えば、過酸化物系、アゾ系、アジド系などのラジカル発生剤が挙げられる。ラジカル発生剤は、ラジカル反応性基を有する樹脂と組み合わせて用いることが好ましい。ラジカル反応性基としては、例えば、ビニル基、アクリル酸エステル残基、メタクリル酸エステル残基などの炭素−炭素間の二重結合を含む基が挙げられる。酸発生剤は、エポキシ基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、メチロール基などの酸反応性基を有する樹脂と組み合わせて用いるのが望まれる。塩基発生剤は、エポキシ基などの塩基反応性基を有する樹脂と組み合わせて用いるのが好ましい。
捕捉層2のパターン化は、粒子分散液3を塗布する前に行なうのが望まれる。すでに説明したように多粒子層5は、微粒子分散液3を塗布し、これを乾燥させることにより捕捉層2の上に形成される。多粒子層5が形成された状態で捕捉層2のパターン化を行なうと、光の場合には、多粒子層5に吸収されたり散乱されるおそれがある。また、熱の場合には、多粒子層5で拡散したり遮蔽されることも生じ得る。このため、微細なパターンを捕捉層2に形成することが困難になる。さらに、多粒子層5の微粒子同士が熱により融着して、余分な微粒子を洗い落としにくくなるおそれがある。場合によっては、熱により捕捉層2が一時的に軟化して微粒子を捕捉してしまう。微粒子分散液3を塗布する前に捕捉層2をパターン化しておくことによって、微細なパターンの単粒子層6を形成しやすくなる。
必要に応じて、単分子層6をエッチングマスクとして用いて基板1表面をエッチング加工し、図1(f)に示すように基板1表面に微細な凸凹パターンを形成してもよい。例えば、捕捉層2を選択的にエッチングして除去した後、残存した微粒子4をマスクとして用いて基板1表面をエッチングすることができる。捕捉層2のエッチングには、ドライエッチングおよびウェットエッチングのいずれを用いてよい。また、捕捉層2を単に熱分解して除去することもできる。あるいは逆に、エッチングや熱分解などにより微粒子を除去して捕捉層2に凹部を形成し、この捕捉層2をエッチングマスクとして基板1をエッチングしてもよい。
本発明の一実施形態にかかる方法により形成された単粒子層6は、微粒子が全て基板1に捕捉層2により包埋されて固着した状態であるため、こうした微粒子が脱離するおそれはほとんどない。このような特性は、単粒子層を形成した基板をクリーンルーム内で取り扱う場合に、特に重要である。基板上に載置されているだけの微粒子は、ダストの原因となることからクリーンルーム内に搬送することはできない。これに対して、本発明の一実施形態にかかる方法により単粒子層6が形成された基板は、微粒子が固着されてダストの原因とはならないため、クリーンルーム内に持ち込むことが可能である。しかも、こうした単粒子層をクリーンルーム内で製造することもできる。例えば、少なくとも塗布工程から洗浄工程までを、独立した空調を有するブース内に設置する。ブース内に搬入される基板には、微粒子は付着していない。また、単粒子層6が固着した洗浄済みの基板をブース外に搬出する。いわゆるドライイン−ドライアウトの方法により、ダストの拡散を防ぐことが可能となる。本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成方法においては、洗浄工程時に、単粒子層の形成とダストの除去とを一括して行なうことができ、ダスト除去のための洗浄を別途行なう必要がない。
クリーンルーム内で微細凸凹パターンを製造する装置の例としては、塗布装置としてスピンコーター、加熱装置としてハロゲンランプなどの光照射による加熱装置、および洗浄装置として流水式超音波洗浄ノズルを有するものが挙げられる。こうした装置を用いて微細凸凹パターンを形成するに当たっては、まずダストの飛散防止措置を施したチャンバー内でスピンコーターにより基板に粒子分散液を塗布し、そのまま乾燥させる。基板表面には、予め捕捉層が形成されており、その上に多粒子層が形成されることになる。次いで、スピンコーターのヘッドに載置された基板に、チャンバーの透明窓を通してチャンバー外から光照射して加熱する。加熱によって、多粒子層の最下層の粒子が捕捉層に埋め込まれる。その後、基板を回転させながら、流水式超音波洗浄ノズルから洗浄液を基板に供給して洗浄し、多粒子層の二層目以上の粒子を除去する。以上の工程により、単粒子層が捕捉層に埋め込まれた状態で基板上に形成される。洗浄後には、水切りおよび乾燥した後、単粒子層が形成された基板をチャンバー外に搬出する。
こうした方法によればクリーンルーム内でも、ほぼスピンコーター一台分のスペースに収まる小型の装置で、単粒子層が形成された基板を作製することが可能である。加熱に光照射を用いることによって、基板の所望された部分を選択的に加熱することができ、不要な部分に微粒子が付着してダストの発生源となることもない。光照射加熱は、加熱温度の立ち上がりが早く、照射をやめれば速やかに冷却できることに加えて、非接触加熱が可能である。よって基板をスピンコーターに設置した状態のままで加熱することができ、引き続きそのまま洗浄することができる。このため、塗布工程から乾燥工程までの搬送装置が不要となり、装置が小型化、低コスト化できる。またダストの発生も低減できる。
さらに、本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成方法によれば、ドライエッチング中におけるダストの発生も低減される。異方性エッチングにより微粒子下の捕捉層2を残すことによって、エッチング装置のチャンバー内での微粒子の飛散を防ぐことができる。微粒子下部は捕捉層により保護されるため、微粒子および捕捉層それぞれのエッチング特性を調整することによって、種々の形状のパターンを形成することが可能になる。微粒子下の捕捉層を残した場合には、基板表面のウェットエッチングも容易に行なうことができる。また、微粒子が捕捉層を貫通し、微粒子と基板表面が近接した状態で固定されているため、微粒子の配列を忠実に基板表面に転写することができる。
すでに述べたように、単粒子層を形成する以外の領域の捕捉層を変性して、捕捉層のガラス転移温度を高めてもよい。捕捉層を変性する手法は特に限定されず、例えば、露光により活性化する潜在性硬化触媒を捕捉層に添加するといった手法が挙げられる。捕捉層の露光部は、硬化触媒の働きにより硬化するので微粒子が埋め込まれなくなる。一方の未露光部では、捕捉層が微粒子を包埋して単粒子層が形成される。また、例えば単に紫外光や電子線などを照射して、単粒子層を形成しない領域の捕捉層を硬化させてもよい。あるいは、B−ステージ樹脂などからなる熱硬化性の捕捉層を用いて、サーマルプリンタヘッドなどによって、捕捉層の特定の領域のみを加熱することもできる。加熱以外の方法を採用するのであれば、多粒子層を形成した後に捕捉層を変性してもよい。多粒子層の形成後であってもパターン形成が可能なのは、ガラス転移温度以下である限り捕捉層は微粒子を固着しないためである。
また、捕捉層として複数層の積層構造からなるものを用いてもよい。例えば、シリカ微粒子を埋め込む捕捉層として、炭素系高分子を含む上層と含ケイ素高分子(シリコーン樹脂など)を含む下層からなる積層構造を用いるとよい。下層の層厚を上層の層厚と比較して充分に薄くしておく。単粒子層を形成後、酸素ガスを含むリアクティブイオンエッチング(RIE)により上層を除去して、捕捉層の層厚を薄くする。しかる後に単粒子層をエッチングマスクとして用いて、基板表面をドライエッチング加工する。この際、上層を除去後も下層は残存しており、単粒子層を基板に固着したままである。このため、エッチング装置のチャンバー内での微粒子の飛散を防ぐことができる。また、下層は薄いので、凸凹パターンの基板表面への転写を阻害することがない。
さらに、含ケイ素高分子として、シラノール基やアルコキシシリル基などを有するシランカップリング剤を用いれば、基板表面を疎水化処理することもできる。下層の層厚は上層の層厚の1%から50%であることが好ましく、5%から20%であることがより望ましい。あまり下層が薄すぎると、微粒子を基板表面に固着する効果が充分でない。あまり下層が厚すぎると、凸凹パターンを基板表面に転写しにくくなる。
以上説明したように、本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成方法においては、多粒子層の最下層のみを捕捉層によって基板に固着する。多粒子層の形成は、捕捉層のガラス転移温度以下で行なわれるため、多粒子層形成時には、捕捉層は微粒子を捕捉しない。したがって、微粒子は捕捉層上で比較的自由に動いて最密充填することができる。ガラス転移温度以上であると、捕捉層は流動性を有しているので、たとえ捕捉層が軟化点あるいは融点以下の温度であっても、微粒子が捕捉層に固着してしまうおそれがある。特に、粒子径が1μm程度以下のナノサイズを有する微粒子の場合、その傾向が顕著である。多粒子層の形成をガラス転移温度以下で行なうことによって、充填性の良い単粒子層を形成することが初めて可能となった。しかも、各工程の所要時間はそれぞれ数分程度なので、ロールツーロール工程の適用も容易である。
また、多粒子層が形成されるように、基板上には充分な量の微粒子が供給される。このため微粒子が存在しない“抜け”が単粒子層に生じるおそれはほとんどない。
次に、図3を参照して、本発明の他の実施形態にかかる微細凸凹パターンの形成方法を説明する。この方法では、多粒子層の底面の凸凹形状を型取り層に写し取り、写し取った凸凹形状をもとに基板表面をエッチング加工する。
微細凸凹パターンの形成に先立って、予め、微粒子の分散液を準備しておく。ウェットエッチング、ドライエッチング、あるいは熱分解などにより除去可能な微粒子が分散されていれば、すでに説明したような粒子分散液を用いることができる。
微細凸凹パターンを形成するための基板7には、図3(a)に示すように型取り層8を形成する。型取り層8は微粒子の平均粒子径以下の層厚で基板7上に形成する。平均粒子径としては、個数平均粒子径を用いるのが望まれる。基板7としては特に限定されず、有機材料からなる基板や無機材料からなる基板、あるいは有機材料と無機材料の複合材料からなる基板等を用いることができる。有機材料からなる基板としては例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂などの高分子材料からなる基板を用いることができる。また無機材料からなる基板としては例えば、ガラス基板、カーボン基板、シリコン基板、GaPやGaAsなどの化合物半導体の基板、アルミナや窒化シリコンなどのセラミックス基板などを用いることができる。また有機材料と無機材料の複合材料からなる基板としては例えば、ガラスクロスにエポキシ樹脂などを含浸した繊維強化プラスチックス基板などを用いることができる。
型取り層8としては、ガラス転移温度が、微粒子のガラス転移温度、融点、焼結温度のいずれよりも低いものを用いる。型取り層8は、すでに説明した図1における捕捉層2を形成するための材料を用いて、同様の方法により形成することができる。
本実施形態にかかる方法においては、型取り層8は、微粒子の型をとった後、エッチングマスクとして用いられる。型取り時におけるガラス転移温度は、ある程度低い方がよいものの、エッチングマスクとして用いる際には、変形を防ぐためにガラス転移温度が高い方が望まれる。このため、型取り層8としては、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などの硬化性樹脂が好適であり、例えば、B−ステージ化などして非粘着性としたものを用いるのが好ましい。
型取り層8の層厚は、粒子径に応じて決定することができる。型取り層8が厚すぎると、後述する型取り工程において、2層目の粒子層まで埋め込まれてしまう。よって1層目(最下層)の微粒子が、半分より少し深めに埋め込まれるようにするのが好ましい。
型取り層8を形成した基板7上には、図3(b)に示すように粒子分散液9を塗布して塗膜を形成する。ここでの塗布は、型取り層8のガラス転移温度以下で行なわれる。好ましくはガラス転移温度未満で行なう。塗布工程の温度は、型取り層8のガラス転移温度よりも10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。ガラス転移温度より高温では、型取り層8は流動性を有するため、微粒子を捕捉する可能性がある。よって型取り層8のガラス転移温度近傍の温度で塗布を行なうと、プロセス温度の変動などで微粒子が型取り層に付着するおそれがある。型取り層8の層厚がnmスケールの場合には、バルクのガラス転移温度よりも低い温度でガラス転移する可能性があるからである。
塗布の方法は特に限定されず、スピンコーティング法、ディッピング法、バーコート法、スキャン塗布法など広く公知の塗布方法を用いることができる。ガラス転移温度以下のため、微粒子10が粘着などによって型取り層8に固着してしまうことはない。塗布された粒子分散液が乾燥していく過程で、粒子分散液の表面張力によって微粒子はお互いに密に凝集することができる。
その後、型取り層8上に塗布した粒子分散液の液体分散媒を揮発させることによって、図3(c)に示すように型取り層8上に多粒子層11が形成される。乾燥時の温度は型取り層8のガラス転移温度以下とする。好ましくはガラス転移温度未満で行なう。乾燥方法は特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥、窒素ガスなどのガス流による乾燥などが用いられる。乾燥温度は、型取り層8のガラス転移温度よりも10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。型取り層8のガラス転移温度近傍の温度で乾燥を行なうと、プロセス温度の変動などで微粒子10が型取り層8に付着するおそれがある。型取り層8の層厚がnmスケールの場合には、バルクのガラス転移温度よりも低い温度でガラス転移する可能性があるからである。
多粒子層11を形成後、型取り層8をガラス転移温度以上に加熱する。加熱によって型取り層8は流動性となり、毛細管現象によって1層目の粒子層に濡れ上がっていく。その結果、図3(d)に示されるように最下層の微粒子は型取り層11中に沈み込む。
加熱に当たっては、すでに説明したような捕捉層の場合と同様の方法を用いることができる。
必ずしも基板7全面を加熱する必要はなく、基板を部分的に加熱してもよい。例えば、レーザー光線やサーマルヘッドなどを用いて、局所的に加熱することもできる。局所的に加熱すると、加熱部位の粒子のみを選択的に型取り層中に埋め込むことが可能となる。未加熱部位の粒子は型取り層中には埋め込まれないので、粒子除去後の型取り層には凸凹が残らない。結果として、型取り層8の加熱部位のみに選択的に凸凹を形成することが可能となる。
微粒子の型取り層8中への沈み込みは速やかに終了する。多くの場合、1分程度の加熱で充分である。加熱後には、図3(e)に示すように微粒子を全て除去する。型取り層8中に埋め込まれた一層目の微粒子も除去されることによって、型取り層8には微粒子が抜けた跡の凹部12が形成される。微粒子を除去する手法は特に限定されず、例えばドライエッチング、ウェットエッチング、または熱分解などにより除去することができる。あるいは、単なる洗浄によって除去してもよい。
型取り層8への微粒子10の埋め込み深さが微粒子の粒子半径より小さく、浅くしか埋め込まれていない場合には、微粒子の形態を保持したまま単なる洗浄によって除去することができる。微粒子の抜けた跡の凹部12を深くするためには、微粒子10を型取り層8中に深く埋め込まなければならない。微粒子10を粒子半径より深く埋め込むと、微粒子の形態を保ったままで容易に除去することはできなくなる。この場合には、ドライエッチング、ウェットエッチング、あるいは熱分解などによって、微粒子10を型取り層8から除去することが望まれる。微粒子を選択性よく除去可能なことから、微粒子をウェットエッチングにより溶出させるのが好ましい。例えばシリカ微粒子を微粒子10として用いる場合、フッ酸水溶液やアルカリ水溶液などでウェットエッチングするのがよい。微粒子をドライエッチングで除去する場合には、例えば、ケイ素原子を含有するシリコーン樹脂などの含ケイ素高分子からなる型取り層8と、ケイ素原子を含有しない炭素系高分子からなる微粒子10とを用いるのが好ましい。この場合、酸素ガスによるドライエッチングによって、微粒子を選択性よく除去することができる。
微粒子が抜けた跡の凹部12が形成された型取り層8をエッチングマスクとして用いて、図3(f)に示すように基板7表面をエッチング加工する。この場合、型取り層8はエッチング耐性に優れたもので形成しておく。
あるいは、図3(g)に示すように型取り層8の凹部12に別の物質13を充填して、この充填物をエッチングマスクとしてもよい。この場合には、型取り層8はエッチング耐性の小さいもの、例えばケイ素原子などの金属元素を含有しない有機高分子などにより形成し、充填物質13としては、例えばSOG(Spin on glass)などの金属酸化物ゾルなどを用いる。こうした有機高分子は、酸素ガスによるドライエッチングにより容易に除去することができる。エッチング加工の方法は特に限定されず、広く公知のドライエッチングあるいはウェットエッチングによって加工することができる。凹部12内の充填物質13をエッチングマスクとして用いることによって、図3(h)に示すように、型取り層8の凸凹とは反転した凸凹パターンを、基板7表面に形成することが可能となる。
このように、本実施形態にかかる微細凸凹パターン形成方法によれば、多粒子層11によって型取り層8に凸凹を形成する。粒子分散液9を塗布した基板7を加熱後、微粒子を除去するだけで型取り層8に凹部12を形成することが可能となった。
毛細管現象による微粒子の埋め込みにより凹部12が型取り層8に形成されるので、従来の手法とは異なって圧力を加える必要がない。また基板の反りや段差に沿って、多粒子層を形成できるため、ナノインプリント法と異なり、圧力を加えて基板の反りや段差を矯正する必要もない。平坦な基板上のみならず、段差のある基板上にも凸凹を形成することができる。また、圧力に弱い脆い基板上や、壊れやすい微細素子などが作り込まれた基板上にも凸凹を形成することが可能である。しかも、ナノインプリント法で問題となる原盤の繰り返し耐久性の問題とも無縁である。また、微粒子の粒子径を変更するだけで、任意のサイズのパターンを基板に形成することもできる。
型取り層をエッチングマスクとして基板表面をエッチングする場合には、通常はドライエッチングにより行なわれる。しかしながら、型取り層に形成される凹部の状態によっては、ウェットエッチングにより加工を行なうこともできる。図4に示されるように微粒子を除去した跡の凹部16が、型取り層17を貫通して形成された場合である。凹部16の低部に基板表面18が露出しているため、ウェットエッチングによる加工も行なうことができる。凹部16が型取り層17を貫通していない場合でも、ドライエッチングなどによって凹部底にある型取り層17を予め除去すれば、ウェットエッチングにより基板15を加工することが可能である。
次に、本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成基板について説明する。本発明の微細凸凹パターン形成基板は、例えば磁気記録媒体として用いることができ、以下、こうした媒体を例に挙げて説明する。
図5には、本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成基板を適用した磁気記録媒体の断面図を示し、図6には、その平面図を示す。図示するように、基板19上には、磁性材料をコア20aとする粒子径20nm以下のコア−シェル型粒子20の単粒子層が形成されている。単粒子層は、粒子20の上部が露出した状態で接着層21に埋め込まれている。
磁性材料からなるコア20aは、シェル20bを介して隣接するコア20aと間隔を置いて保持される。また粒子20は接着層21によって基板19の表面に固着されている。媒体表面には、潤滑剤からなる潤滑層が形成される(図示せず)。粒子上部の露出部において、シェル20bはコア20aを保護する耐磨耗性皮膜として機能する。またシェルは、コア間の磁気的交換相互作用を低減する働きも有する。粒子20は、接着層21中に完全には埋め込まれておらず、粒子上部が接着層21上に露出している。このため、媒体表面にはnmスケールの凸凹が形成されている。
基板19は特に限定されないが、本発明の一実施形態にかかる微細凸凹パターン形成基板を磁気記録媒体として用いる場合には、広く公知の磁気記録媒体用基板を用いることができる。具体的には、例えばアルミニウム、ガラス、カーボンなどからなる基板を用いることができる。
コア−シェル型粒子20は、粒子径20nm以下で、磁性材料からなるコア20aと耐磨耗性のシェル20bからなる。微細凸凹パターン形成基板を磁気記録媒体として用いる場合、1Tbit/inch2以上の記録密度を実現するには、25.4nm角以下の領域に1bitの記録をする必要がある。サーボ信号を書き込む領域などを考慮すると、これより更に小さな領域に1bitの記録をする必要がある。よってコアーシェル型粒子1個に1bitの記録をする場合には、粒子径は20nm以下である必要がある。複数のコア−シェル型粒子にまとめて1bitの記録を行なう場合には、粒子径はさらに小さくする必要があることから、コア−シェル型粒子20の粒子径は20nm以下に規定される。
コア20aは、元素Co,Fe,Ni,Mn,Sm,Nd,Pr,Pt,Gd、前記元素の金属間化合物、前記元素の二元合金、前記元素の三元合金、Fe以外の少なくとも1種の前記元素をさらに含むFe酸化物、バリウム・フェライト、およびストロンチウムフェライトからなる群から選択された磁性材料からなる。特に、一軸異方性定数(Ku)が大きいFePt、あるいはFePtにCuなどの第3元素を加えた3元合金が好ましい。コア20aの粒子径は、好ましくは3〜18nmであり、より好ましくは3〜10nmである。
シェル20bを構成する材料は、耐磨耗性であれば特に限定されず、高分子材料、炭素材料、あるいはセラミックス材料などを用いることができる。高分子材料としては、熱硬化性樹脂の硬化物が好適に用いられ、炭素材料としては、例えば、ダイヤモンド様炭素(Diamond like carbon)、アモルファス炭素、ポリアクリロニトリルやポリカルボジイミドなどの有機高分子の焼成物などが挙げられる。セラミックス材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなど金属窒化物、炭化ケイ素、窒化カーボンなどが挙げられる。アモルファスケイ素を用いてもよい。シェルの厚さは、好ましくは1〜8nmであり、より好ましくは1〜5nmである。
こうしたコア−シェル型粒子20は、シェル20bを構成する材料あるいはその前駆体で、コロイド状態のコア20aを被覆することによって形成することができる。シェルを構成する材料の前駆体であって、コアに吸着可能な吸着基を有する材料でコア20aを被覆することが好ましい。吸着基としては、水酸基、チオール基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられる。シェルを構成する材料の前駆体としては、ポリシロキサン類、熱硬化性樹脂類などが挙げられる。シェルを構成する材料の前駆体は、コアを被覆後、熱処理などによってシェルを構成する材料へと変化させることができる。
接着層21は、粒子20と基板19との双方に対して接着性が良好であれば特に限定されない。一般的には、シェル20bを構成する材料と同様の材料が用いられる。表面に表面エネルギーの異なる領域を形成するため、シェル20bを構成する材料とは異なる材料を接着層21として用いるのが好ましい。
潤滑層の層厚は特に限定されないが、一般的には2〜100nmであり、好ましくは2〜20nmである。潤滑層を形成する潤滑剤としては特に限定されず、広く公知の潤滑剤が用いられる。一般的には炭化水素系、あるいはフッ素系の潤滑剤が用いられる。磁気ヘッドの走行安定性の観点からはフッ素系の潤滑剤が好ましい。潤滑剤は2種以上を混合して用いることもできる。
炭化水素系潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、およびステアリルアミン等のアミン類等が用いられる。
フッ素系潤滑剤としては、上述した炭素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換したものが挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては、例えば、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)nまたはこれらの共重合体等が挙げられる。また、末端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基などの極性官能基を有する化合物が摩擦力を低減する効果が高いため良い。さらに、フッ素系潤滑剤の分子量は500〜5000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。分子量が500未満では揮発性が高くなり、また潤滑性が低くなりやすい。分子量が5000を超えると、粘度が高くなるため、ヘッドが基板表面に固着しやすくなる。
図6に示されるように、媒体表面には、露出した粒子のシェル表面22と接着層21の表面とが混在している。シェル表面22と接着層21表面とは表面エネルギーが異なるので、媒体表面にはナノスケールの表面エネルギーが異なる領域群が混在して形成されている。ナノスケールの凸凹や、表面エネルギーの異なる表面が露出していると、潤滑層中の潤滑剤の流動性が高められるため、コンタクト式ヘッドの走行性が向上する。またたとえ潤滑層が損傷しても、速やかに修復される。
図7には、本発明の実施形態にかかる微細凸凹パターン形成基板を適用した磁気記録媒体の断面図を示す。図示するように、コア−シェル型微粒子20の単粒子層からなる微細凸凹パターン上には、潤滑層23が形成されている。
図8には、図7の磁気記録媒体に記録・再生を行なう磁気記録再生装置の斜視図を示す。円盤状の磁気記録媒体24の表面には上述したように潤滑剤が塗布されており、スピンドル25により回転し、磁気ヘッド26により記録の書込みが行なわれる。なお、図8には、アーム27、回転軸28、およびボイスコイルモータ29も併せて示してある。
以下、具体例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されないことはいうまでもない。
(実施例1)
まず、ポリスチレン微粒子の水分散液(JSR株式会社製、商品名:IMMUTEX G0205、平均粒子径:0.23μm、微粒子含有率:10wt%)10mlに、塗布性を改善するためのメタノール10mlを加えて良く混合して、粒子分散液を調製した。
基板としては6インチのシリコンウェハを用意し、その表面には疎水化処理を施しておいた。ポリ(α−メチルスチレン)をシクロヘキサンに溶解して10wt%のシクロヘキサノン溶液を調製した。ポリ(α−メチルスチレン)のガラス転移温度は45℃であり、重量平均分子量Mwは約11500であり、軟化点は99℃である。この溶液を、基板の疎水化処理面にスピンコーティング法により塗布した(1000rpm×5秒+4000rpm×60秒)。塗布後、40℃のホットプレート上で30秒間加熱乾燥して、層厚25nmの捕捉層を形成した。
捕捉層上には、予め準備したポリスチレン微粒子の分散液を25℃の温度下で塗布し(500rpm×5秒+1000rpm×60秒)、25℃で自然乾燥させて、ポリスチレン微粒子の多粒子層を形成した。多粒子層が形成されたシリコン基板は、75℃のホットプレート上で30秒間加熱した。ガラス転移温度以上で加熱を行なうことにより捕捉層のポリ(α−メチルスチレン)が軟化し、最下層のポリスチレン微粒子は捕捉層中に半ば埋め込まれて固着された。75℃ではポリスチレン微粒子は軟化しないため、ポリスチレン微粒子同士がくっつくことはなかった。また捕捉層の軟化点は99℃であり、75℃はガラス転移温度以上で、かつ軟化点以下の温度である。こうした軟化点以下の温度でも、捕捉層は微粒子を捕捉することがわかった。
加熱後には、シリコン基板を25℃まで冷却した後、25℃の純水中で10分間超音波洗浄して余分な微粒子を除去し、単粒子層を形成した。洗浄後、窒素ガスの気流で水滴を吹き飛ばして乾燥させた。
得られた単粒子層を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、三角格子状に微粒子が配列された複数のドメインが確認された。微粒子が二層以上の積層構造を形成している部分は実質的に存在しなかった。また、微粒子が抜け落ちている部分もほとんどなく、単粒子層は6インチウェハの全面に均一に形成されていた。
微粒子が捕捉層に埋め込まれている深さは、粒子半径よりも浅かった。しかしながら、捕捉層に埋め込まれていない微粒子のみを選択的に除去することができた。これは捕捉層が疎水性であり、洗浄液(純水)が微粒子と捕捉層との界面に染み込まなかったためと考えられる。
参考のために、界面活性剤を含有するアルカリ水溶液(多摩化学社製、商品名:AD−10)を純水の代わりに洗浄液として用いて同様に洗浄したところ、微粒子が全て洗い落とされてしまった。洗浄後の捕捉層には、微粒子が埋め込まれていた跡の凹部が形成されていた。これはAD−10の浸透性が高いために、微粒子と捕捉層との界面に染み込んだ結果であると考えられる。
(実施例2)
まず、シリカ微粒子のイソプロピルアルコール分散液(扶桑化学工業株式会社製、商品名:高純度オルガノゾル クォートロンPL−30−IPA、平均粒子径:0.3μm、微粒子含有率:30wt%)に、イソプロピルアルコールを加えて5倍に希釈して、粒子分散液を調製した。
基板としては6インチのシリコンウェハを用意し、その表面にはシランカップリング剤(ダウ・ケミカル社製、商品名:AP−3000)をスピンコーティング法(3000rpm×60秒)により塗布して、疎水化処理を施しておいた。シランカップリング剤の層厚は約3nmであった。実施例1と同様のポリ(α−メチルスチレン)をトルエンに溶解して、3wt%トルエン溶液を調製した。この溶液を、基板の疎水化処理面にスピンコーティング法により塗布した(3000rpm×60秒)。
ポリ(α−メチルスチレン)を塗布後、100℃のホットプレート上で60秒間加熱乾燥して、層厚74nmの捕捉層を形成した。本実施例で用いるシリカ微粒子の平均粒子径が0.3μmであるので、六方最密充填した場合には、このシリカ微粒子が粒子径の三分の二程度の深さまで埋め込まれることになる。
捕捉層上には、キャスト法により粒子分散液を25℃の温度下で塗布し、25℃で自然乾燥させてシリカ微粒子の多粒子層を形成した。多粒子層が形成されたシリコン基板は、125℃のホットプレート上で60秒間加熱した。ガラス転移温度以上の温度で加熱することによって、捕捉層のポリ(α−スチレン)が軟化し、最下層のシリカ微粒子は捕捉層中に粒子径の3分の2程度埋め込まれて固着される。125℃ではシリカ微粒子は軟化や焼結が起こらないため、シリカ微粒子同士がくっつくことはない。125℃未満の場合には、シリカ微粒子を充分に埋め込むことができなかった。
加熱後には、シリコン基板を25℃まで冷却した後、25℃の純水中で10分間超音波洗浄して余分な微粒子を除去した。走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果、単粒子層であることが確認された。微粒子が二層以上の積層構造を形成している部分は実質的に存在しなかった。また、単粒子層は6インチウェハの全面に均一に形成されていた。形成された単粒子層のシリカ微粒子が飛散することはなかった。
さらに、単粒子層をエッチングマスクとして用いて、基板表面のドライエッチング加工を行なった。
まず、捕捉層のポリ(α−メチルスチレン)を、酸素ガスを用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)により除去した。エッチングは、10mTorr、30sccm、進行波100Wの異方性エッチング条件で、1分間行なった。エッチング後の表面をSEM観察したところ、シリカ微粒子は球形のまま残り、シリカ微粒子の直下以外の領域で露出していた捕捉層は完全に消失していた。シリカ微粒子直下には捕捉層が残存し、シリカ微粒子は基板と固着された状態であった。
次に、残存したシリカ微粒子をエッチングマスクとして、CF4ガスを用いたRIEにより基板表面をエッチングした。エッチングは、10mTorr、30sccm、進行波100Wの条件で、10分間行なった。エッチング後の基板表面をSEM観察したところ、直径約250nm、高さ約100nmの円錐状を有するシリコン突起が、約300nmのピッチで無数に形成されていた。またエッチング装置のチャンバー内にシリカ微粒子が飛散することはなかった。
参考のために、シリコン基板にシランカップリング剤を塗布しない他は、前述と同様の手法によりサンプルの作製を試みた。その結果、超音波洗浄によって多粒子層が捕捉層ごと基板から剥離してしまい、単粒子層を形成することができなかった。
またシランカップリング剤の塗布厚を10nmとし、酸素ガスを用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)を、100mTorr、30sccm、進行波100Wの等方性エッチング条件で、5分間行ない、シリカ微粒子の直下も含めてポリ(α−メチルスチレン)を除去した他は、同様にして基板表面をエッチング加工した。その結果、同様の無数のシリコン突起が形成された上、エッチング装置のチャンバー内にシリカ微粒子が飛散することはなかった。酸素ガスによるリアクティブイオンエッチング直後の表面をSEM観察したところ、シリカ微粒子は球形のまま残り、シリカ微粒子の下部が残存しているシランカップリング剤層によって基板と固着された状態であった。
(実施例3)
粒子分散液としては、前述の実施例2と同様のシリカ微粒子の分散液を準備した。
基板としては2インチのGaP基板を用意し、その表面には疎水化処理を施しておいた。実施例1と同様のポリ(α−メチルスチレン)0.5gとジアジドカルコン0.5gとシクロヘキサノン4gとを混合してよく攪拌した後、不溶物を空孔径0.2μmのPTFEフィルターでろ過して、捕捉層形成用のスピンコート溶液を調製した。ジアジドカルコンはアジド系の化合物であり、加熱により、ポリ(α−メチルスチレン)を硬化させる作用を有している。この溶液を、基板の疎水化処理面にスピンコーティング法により塗布して(2000rpm×60秒)、層厚75nmの型取り層を形成した。本実施例で用いるシリカ微粒子の平均粒子径が0.3μmであるので、六方最密充填した場合には、このシリカ微粒子が粒子径の三分の二程度の深さまで埋め込まれることになる。
型取り層の上には、キャスト法により粒子分散液を25℃の温度下で塗布し、25℃で自然乾燥させてシリカ微粒子の多粒子層を形成した。塗布および乾燥は、いずれも捕捉層のガラス転移温度以下で行なった。多粒子層が形成されたGaP基板は、125℃のホットプレート上で60秒間加熱した。ガラス転移温度以上の温度で加熱することによって、型取り層が軟化し、最下層のシリカ微粒子は型取り層中に粒子径の3分の2程度埋め込まれる。125℃ではシリカ微粒子は軟化や焼結が起こらないため、シリカ微粒子同士がくっつくことはない。シリカ微粒子を埋め込み後、引き続き150℃で30分間加熱することによって、型取り層を硬化させた。
加熱後には、60℃に保温した20%の水酸化ナトリウム水溶液にGaP基板を浸漬して、シリカ微粒子を溶解して除去した。シリカ粒子除去後の表面をSEM観察したところ、型取り層にはシリカ微粒子が除去された跡の凹部が無数に形成されていた。
こうして凹部が形成された型取り層をエッチングマスクにして、基板表面のドライエッチング加工を行なった。エッチングガスとしては、BCl2/Cl2混合ガスを用いてRIEにより基板表面を加工した。エッチングは、5mTorr、BCl2:5sccm、Cl2:20sccm、ICP100W、バイアス100Wの条件で、40秒間行なった。エッチング後の基板表面をSEM観察したところ、基板表面には、直径約150nm、深さ200nmの凹部が、約300nmのピッチで無数に形成されていた。
さらに、型取り層の凸凹とは反転した凸凹を基板に形成した。まず、凹部が形成された型取り層上にSOG溶液を塗布して、凹部内にSOGを充填した。凹部に充填されたSOGは、型取り層を構成しているポリ(α−メチレン)よりもドライエッチング耐性が高い。したがって、このSOGをエッチングマスクとして、BCl2/Cl2混合ガスを用いたRIEにより基板表面をエッチング加工した。エッチングは、5mTorr、BCl2:5sccm、Cl2:20sccm、ICP100W、バイアス100Wの条件で、1分間行なった。エッチング後の基板表面をSEM観察したところ、基板表面には直径約200nm、高さ300nmのGaPの突起が、約300nmのピッチで無数に形成されていた。
(実施例4)
粒子分散液として、前述の実施例1と同様のポリスチレン微粒子(粒子径0.23μm)の分散液を準備した。
基板としては、2インチのGaP基板を用意した。熱硬化性シリコーン樹脂(ガラス転移温度は35℃)の5wt%のトルエン溶液を、基板表面にスピンコーティング法により塗布して(2000rpm×60秒)、層厚57nmの型取り層を形成した。本実施例で用いるポリスチレン微粒子の平均粒子径が0.23μmであるので、六方最密充填した場合には、このポリスチレン微粒子が粒子径の三分の二程度の深さまで埋め込まれることになる。
型取り層上には、スピンコーティング法により粒子分散液を25℃の温度下で塗布し(500rpm×5秒+1000rpm×60秒)、25℃で自然乾燥させて、ポリスチレン微粒子の多粒子層を形成した。多粒子層が形成されたGaP基板は、80℃のホットプレート上で60秒間加熱した。ガラス転移温度以上の温度で加熱することによって、型取り層の熱硬化性シリコーン樹脂が軟化し、最下層のポリスチレン微粒子は型取り層中に粒子径の3分の2程度埋め込まれる。
ポリスチレン微粒子を埋め込んだ後、さらに95℃で30分間、150℃で1時間加熱した。この加熱により熱硬化性シリコーン樹脂が硬化する。この際、最初に95℃で加熱することにより、ポリスチレン微粒子の形態を保ったまま熱硬化性シリコーン樹脂をある程度硬化させる。その後、150℃で加熱することにより熱硬化性シリコーン樹脂を充分に硬化させた。
加熱後、酸素ガスを用いたリアクティブイオンエッチングによりポリスチレン微粒子を除去した。ポリスチレン微粒子除去後の表面をSEM観察したところ、型取り層にはポリスチレン微粒子が除去された跡の凹部が無数に形成されていた。
こうして凹部が形成された型取り層をエッチングマスクにして、基板表面のドライエッチング加工を行なった。エッチングガスとしては、BCl2/Cl2混合ガスを用いてRIEにより基板表面を加工した。エッチングは、5mTorr、BCl2:5sccm、Cl2:20sccm、ICP100W、バイアス100Wの条件で、40秒間行なった。エッチング後の基板表面をSEM観察したところ、基板表面には、直径約100nm、深さ200nmの凹部が、約230nmのピッチで無数に形成されていた。
(実施例5)
粒子分散液として、前述の実施例1と同様のポリスチレン微粒子(粒子径0.23μm)の分散液を準備した。
基板としては厚さ0.2mmの石英基板を用意し、その表面には疎水化処理を施しておいた。実施例1と同様のポリ(α−メチルスチレン)0.5gとジアジドカルコン0.5gとシクロヘキサノン4.5gとを混合してよく攪拌した後、不溶物を空孔径0.2μmのPTFEフィルターでろ過して、捕捉層形成用のスピンコート溶液を調製した。ジアジドカルコンはアジド系の化合物であり、紫外線の露光により、ポリ(α−メチルスチレン)を硬化させる作用を有している。この溶液を、基板の疎水化処理面にスピンコーティング法により塗布して(2000rpm×60秒)、層厚55nmの捕捉層を形成した。
捕捉層上には、スピンコーティング法により粒子分散液を25℃の温度下で塗布し(500rpm×5秒+1000rpm×60秒)、25℃で自然乾燥させて、ポリスチレン微粒子の多粒子層を形成した。塗布と乾燥はいずれも捕捉層のガラス転移温度以下で行った。
その後、石英基板の基板側(すなわち多粒子層を形成した側とは反対側)から露光マスクを介して、平行露光器(CANON PLA501)により露光した。露光マスクには、直径100μmの円形の遮光部が350μmピッチで四角格子状に形成されている。露光量は1800mJ/cm2とした。こうした露光によって、捕捉層の露光部は硬化する。
露光後には、石英基板を捕捉層のガラス転移温度以上の75℃のホットプレート上で10分間加熱した。次いで、洗浄液として、界面活性剤を含有するアルカリ水溶液であるAD−10を用いた。AD−10は洗浄力が強いため、捕捉層中に半径以上の深さで埋め込まれた微粒子以外は洗い落とすことができる。石英基板を25℃まで冷却した後、AD−10中25℃で1分間超音波洗浄して、余分な微粒子を除去した。AD−10洗浄後、さらに純水で1分間洗浄してから乾燥させた。
洗浄後の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、未露光部には三角格子状に微粒子が配列された複数のドメインからなる単粒子層が形成されていた。微粒子が二層以上の積層構造を形成している部分や、微粒子が抜け落ちている部分はほとんどなかった。これに対して未露光部には微粒子は観察されず、代わりに微粒子が埋め込まれていた跡の凹部が無数に形成されていた。この結果、未露光部のみに選択的に単粒子層を形成できることがわかった。
未露光部ではジアジドカルコンが活性化せず、ポリ(α−メチルスチレン)は硬化しない。したがって、捕捉工程において微粒子が捕捉層に埋め込まれて、単粒子層を未露光部のみに形成することができた。しかも微粒子は、その半径以上の深さで捕捉層中に埋め込まれて捕捉層に幾何学的に固定されたため、比較的洗浄力の高いAD−10で洗浄しても洗い落ちなかった。一方の露光部においては、ジアジドカルコンが活性化して、ポリ(α−メチルスチレン)を硬化させた。捕捉層の露光部は硬化しているので、微粒子は浅くしか埋め込まれず、AD−10による洗浄により洗い落とされたものと考えられる。その結果、浅くしか埋め込まれていなかった微粒子が抜けた跡の凹部が、捕捉層に残されたと考えられる。
本実施例においては、露光を多粒子層形成後に行なっている。こうした手順でも特定の領域のみ選択的に単粒子層が形成できるのは、塗布工程や乾燥工程中には捕捉層が微粒子を固着しないからである。以上の結果から、光硬化性の捕捉層を用いて、特定の領域のみに単粒子層からなる微細凸凹パターンを形成できることが確認された。
(実施例6)
コア−シェル型粒子として、FePtからなるコアが、ケイ素酸化物のシェルで被覆された微粒子を用意した(粒子径=15nm、コアの直径=6nm)。コア−シェル型粒子は、ペンタカルボニル鉄とアセチルアセトナート白金を原料とし、還元剤として1,2−ヘキサデカンジオール、コロイド保護剤としてシルセスキオキサン誘導体を用いて、ジオクチルエーテル溶媒中で合成した。シルセスキオキサン誘導体としては、カルボキシル基を吸着基として有するT8構造のシルセスキオキサンを用いた。アルゴン雰囲気下、デカンテーションを繰り返すことにより合成したコア−シェル型粒子を精製した後、ヘキサンに分散させて、微粒子含有率3wt%の粒子分散液を調製した。
基板としては、2.5インチのハードディスク用石英基板を用いた。この基板上に、厚さ4nmのポリアクリロニトリル誘導体からなる捕捉層をスピンコーティング法により形成した。さらに、捕捉層上に粒子分散液をスピンコーティング法により25℃の温度下で塗布し、そのまま乾燥させて、コア−シェル型粒子の粒子堆積層を形成した。乾燥後、125℃のホットプレート上で30秒間加熱した。加熱後、洗浄液中で超音波洗浄し、余分な微粒子を除去してから乾燥した。
乾燥後の基板は、250℃で1時間、350℃で1時間加熱した。さらに、磁束方向が基板に対して垂直方向になるように15kOeの磁場を印加しながら、550℃で30分間加熱して、本実施例の微細凸凹パターン形成基板を作製した。得られた微細凸凹パターン形成基板の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、捕捉層に半ば埋め込まれた状態のコア−シェル型粒子の単粒子層が充填性良く形成されていた。この微細凹凸パターン形成基板は、磁気記録媒体として用いることができる。
次に、この微細凸凹パターン形成基板のコンタクトスライダに対する特性を調べた。微細凸凹パターン形成基板には、潤滑剤としてのパーフルオロアルキルポリエーテル油をディップコーティング法により塗布して、層厚25nmの潤滑剤層を形成した。また比較用として、コア−シェル型粒子の粒子層をスピンコーティング法により形成してから、550℃で30分間加熱後、厚さ5nmのダイアモンドライクカーボン層を形成した基板を準備した。比較用基板にも、ディップコーティング法により同様の潤滑剤を塗布して、層厚25nmの潤滑剤層を形成した。
微細凸凹パターン形成基板と比較用基板とをコンタクトスライダで摩擦し、摩擦後の潤滑剤層の層厚をエリプソメーターで測定した。その結果、摩擦後の潤滑剤層が所定の層厚にまで回復する時間を比較したところ、微細凸凹パターン形成基板は比較用基板の1/2の時間で回復することが確認された。
また、基板を5000rpmで50時間回転させて、基板中央部の潤滑層厚の変化を観察した。その結果、回転後の微細凸凹パターン形成基板の潤滑層厚は、比較用基板のそれと比較して1.5倍と厚かった。
以上の結果から、本実施例の微細凸凹パターン形成基板は、潤滑剤層の自己修復性、および自己保持性のいずれにも優れていることがわかった。