以下、実施の形態について説明する。
第1の実施形態に係るパターン形成方法は、
基板上に被加工層を形成する工程と、
貴金属微粒子と第1の溶媒とを含む第1の分散液に、卑金属を末端に有する高分子鎖を含む高分子材料と第2の溶媒とを含む第2の分散液を添加し、該高分子材料により被覆された微粒子が分散された貴金属微粒子層塗布液を作製する工程、
該貴金属微粒子層塗布液を用いて被加工層上に該高分子材料により被覆された貴金属微粒子を配列させ、貴金属微粒子層を形成する工程と、
該貴金属微粒子層に基づく凹凸パターンを被加工層へ転写する工程とを含む。
第2の実施形態に係る剥離方法は、
卑金属を末端に有する高分子鎖を含む高分子材料と第2の溶媒とを含む第2の分散液を調製する工程と、
被加工層上に配列した貴金属微粒子に対して前記第2の分散液を適用し、該貴金属微粒子表面を該高分子材料で被覆し、かつ該高分子鎖を該貴金属微粒子表面と親和させて該金属微粒子を被加工層上から脱離せしめる工程とを含む。
第3の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法は、上記被加工層としてマスク層および磁気記録層を適用したものであり、
基板上に磁気記録層を形成する工程、
磁気記録層上にマスク層を形成する工程、
貴金属微粒子と第1の溶媒とを含む第1の分散液に、卑金属を末端に有する高分子鎖を含む高分子材料と第2の溶媒とを含む第2の分散液を添加し、該高分子材料により被覆された貴金属微粒子が分散された貴金属微粒子層塗布液を作製する工程、
塗布液を用いてマスク層上に高分子材料により被覆された貴金属微粒子を配列させ、貴金属微粒子層を形成する工程と、
貴金属微粒子層に基づく凹凸パターンをマスク層へ転写する工程と、
凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程とを含む。
また、第4の実施形態に係るスタンパーの製造方法は、第1の実施形態および第2の実施形態の変形例であり、
貴金属微粒子と第1の溶媒とを含む第1の分散液に、卑金属を末端に有する高分子鎖を含む高分子材料と第2の溶媒とを含む第2の分散液を添加し、該高分子材料により被覆された微粒子が分散された貴金属微粒子層塗布液を作製する工程、
塗布液を用いて基板上に高分子材料により被覆された貴金属微粒子を配列させ、貴金属微粒子層を形成する工程と、
貴金属微粒子層に基づく凹凸パターンに沿って導電層を設ける工程と、
導電層を電極として電気めっきを行うことにより電鋳層を形成する工程と、
基板と電鋳層との間の高分子材料により被覆された貴金属微粒子を、剥離液として前記第2の分散液に浸漬し、貴金属微粒子表面を卑金属のうち少なくとも1種を含む及び硫黄のうち少なくとも1種を含む高分子材料で被覆し、かつ末端高分子鎖を剥離液と親和させて基板から電鋳層を離型する工程と、
電鋳層に残存した残渣を除去する工程とを含む。
第1ないし第4の実施形態によれば、貴金属微粒子を分散させた第1の溶媒に対して、末端に卑金属材料を含む高分子鎖を含有する高分子材料を分散させた第2の溶媒を添加することにより、貴金属微粒子表面を、高分子鎖の末端材料の殻で被覆し、表面活性を変えることができる。具体的には、貴金属表面に卑金属末端が結合する、あるいは貴金属微粒子保護基の置換により卑金属末端が結合する。
貴金属表面における卑金属への置換により正味のvan der waals 引力が低下するため、貴金属のみの場合と比較して凝集が生じ難い。したがって、ドライエッチングなどの加工工程における金属微粒子の凝集を緩和、軽減することが可能であるとともに、高エッチング耐性を有する金属微粒子マスクを寸法精度良く、高精細に加工することが可能となる。さらに、凝集が生じるまでの加工マージンを拡大し、製造工程における寸法ばらつきを低減することもできる。また、高分子鎖の末端材料を含む殻の厚さは貴金属微粒子の径に対して無視できるほど薄いため、金属微粒子のサイズをほとんど変えることなく表面性を調整することができる。
また、塗布性が良好な溶媒と可溶の関係にある高分子を用いることで、基板面への塗布性を良化できる。また、塗布における溶媒の展延が良好となるため微粒子の多層領域を縮小することもできる。
第2および第4の実施形態によれば、基板および被加工層上に配列させた貴金属微粒子に対し、卑金属を含む高分子鎖を含有する高分子材料を分散させた第2の溶媒を用い、貴金属微粒子を脱離する。ドライエッチング加工や成膜などにより貴金属微粒子表面の保護基が変質あるいは消失することで、溶媒に対する微粒子の親和性が著しく悪化するが、卑金属含有高分子を貴金属表面に再度結合させることで、他末端の高分子鎖が溶媒と親和し、基板面からの良好な剥離を実現できる。
第2の実施形態では、基板上の剥離残渣を少なくして平坦性を改善できる他、従来のように微粒子およびリフトオフ層を溶解させるために用いる酸・アルカリ溶液に代替して有機溶媒を用いることで、基板やマスク材料へのダメージを軽微にできる。また、第4の実施形態では、基板上に形成した微粒子層をリフトオフ層として用いることで、電鋳層すなわちスタンパーを基板から離型する。このとき、基板から外力を印加して物理的に離型するとスタンパーに歪が生じ、面内平坦性を損なうことになるが、実施形態によれば有機溶媒を用いて微粒子層を脱離することで、スタンパーに歪を生じることなく、かつ凹凸パターンへのダメージを小さくすることが可能である。
第1ないし第4の実施形態において、貴金属微粒子材料は、例えば、Au、Ag、Pt、Pd、Ru、Ir、Rhから選択できる。
各貴金属微粒子は高分子鎖からなる保護基により表面が修飾されており、隣接する貴金属微粒子は、少なくとも1種類以上の卑金属により表面が被覆され、各微粒子は卑金属と結合した高分子鎖により物理化学的に分離される。
なお、卑金属は貴金属と対をなす材料であるが、ここでは、元素周期表に記載されている上記貴金属以外の材料とし、工程の説明で便宜上卑金属と表記する。卑金属の例は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、非金属、ハロゲン、これらの合金、およびその化合物である他、有機高分子の官能基を含むものとする。
卑金属は、好ましくは、硫黄、ケイ素、及び塩素である。
卑金属は高分子鎖の末端に含まれるものであり、溶媒中の高分子を添加することにより貴金属表面へ吸着させる。
第1の溶媒は貴金属微粒子の分散媒であり、種々の有機溶媒から選択される。また、第2の溶媒は第1の溶媒と相溶の関係にあることが好ましく、具体的には各溶媒における溶解度パラメータの値が小さいほど良く、6.0以内であることが特に好ましい。また、第1の溶媒と第2の溶媒は同じものでも構わない。溶解度パラメータの値が6.0を越えると、第1および第2の溶媒が溶解せずに分離する他、分散している微粒子を凝集させてしまう傾向がある。
第1の溶媒と第2の溶媒は、含有している金属微粒子の保護基を溶解することはなく、また添加によって他方の微粒子を凝集させないものから選択される。
貴金属微粒子の濃度は、塗布する基板の面積や構成する金属微粒子の層数に応じて変えることが可能である。また、卑金属微粒子を含有した高分子溶液は、その添加量によって貴金属微粒子分散液の濡れ性が大きく異なるため、最適範囲を有する。具体的には、第2の溶媒に対する高分子の濃度が、0.01〜2重量%であることが好ましい。0.01重量%よりも低いと分散液の濡れ性が低下し、膜内の欠陥領域いわゆる0層領域が生じるほか、2重量%よりも高いと基板内において場所による金属微粒子の階層構造が生じてしまうためである。
卑金属微粒子/高分子溶液の添加による貴金属微粒子表面の修飾では、貴金属微粒子表面に卑金属材料からなる外殻が形成されるが、この殻は高分子末端の吸着によるものであり、その厚さは極めて薄く、具体的には1nm以下である。よって貴金属微粒子間距離をほとんど変えることなく表面性を調整することが可能である。
以下、図面を参照し、実施形態についてより詳細に説明する。
図1(a)ないし図1(d)に、第1の実施形態にかかるパターン形成方法の一例を表す模式図を示す。
まず、図1(a)に示すように基板1上に被加工層2を形成する。
次に、図1(b)に示すように、被加工層2上に金属微粒子4と第1の溶媒とそれに可溶な第2の溶媒、ならびに高分子材料を具備する溶液5とを含む金属微粒子溶液6を滴下し、塗布膜を形成する。
ここで、金属微粒子溶液とは、貴金属微粒子と第1の溶媒からなる分散液に対し、硫黄または卑金属を末端に含有する高分子を含む第2の溶媒を添加したものである。貴金属微粒子表面は硫黄または卑金属により被覆され、図示しない高分子鎖を有する。
続いて、図1(c)に示すように、被加工層2上に微粒子4を単層で塗膜し、微粒子マスク層8を形成する。ここで、単層とは被加工層2などの下地層上において微粒子4が1層で配列している状態を意味する。
引き続き、図1(d)に示すようにエッチングにより微粒子4をマスクとして凹凸パターンを被加工層2へ転写する。これにより、金属微粒子4の微細凹凸パターンが得られる。
図2(a)ないし図2(e)に、第1の実施形態にかかるパターン形成方法の他の一例を表す模式図を示す。
本実施形態は被加工層上に凹凸転写性を改善するための転写層を設けた場合の例である。
まず、図2(a)に示すように、基板1上に被加工層2、転写層3を形成する。
次に、図2(b)に示すように、転写層3上に金属微粒子層塗布液6を滴下する。この金属微粒子溶液6は実施形態1で用いるものと同様である。
続いて、図2(c)に示すように、転写層3上に微粒子4を単層で塗膜する。
さらに、図2(d)に示すように、エッチングにより転写層3へ金属微粒子パターンを転写する。
引き続き、図2(e)に示すように、エッチングにより転写層3ならびに金属微粒子4をパターンとして、被加工層2へ凹凸パターンを転写する。
これにより、被加工層2上に凹凸加工を行うことができる。
図3(a)ないし図3(f)に、第1の実施形態にかかるパターン形成方法の他の一例を表す模式図を示す。
本実施形態は、微粒子4の凹凸パターンを転写層3へ転写した後、金属微粒子4を基板上から除去する工程を含む。
まず、図3(a)に示すように、基板1上に被加工層2、転写層3を形成する。
次に、図3(b)に示すように、転写層3上に金属微粒子溶液6を滴下する。この金属微粒子溶液6は実施形態1で用いるものと同様である。
続いて、図3(c)に示すように、転写層3上に微粒子4を単層で塗膜する。
さらに、図3(d)に示すように、エッチングにより転写層3へ金属微粒子パターンを転写する。
次に、図3(e)に示すように、転写層3上から微粒子を除去する。ここで、微粒子4の除去は下部転写層3および基板1のダメージを低減可能な方法により行なう。
最後に、図3(f)に示すように、エッチングにより転写層3をマスクとして被加工層2へ凹凸パターンを転写する。
これにより、被加工層2上に凹凸加工を行うことができる。後述のように、ドライエッチングにより金属微粒子4は凝集する傾向にあるため、あらかじめ転写層3上から金属微粒子4を除去しておくことで、継続するドライエッチングに伴うパターン転写性の劣化を軽微にできる。
図4(a)ないし図4(c)に、第2の実施形態にかかる剥離方法の一例を説明するための模式図を示す。
本実施形態は、基板などの下地層上から金属微粒子を剥離する方法を示すものであり、リフトオフなどにも適用可能である。
図4(a)に示すように、ドライエッチングや成膜などにより金属微粒子4表面の保護基が除去されると、溶媒に対する金属微粒子4の活性が低下する。
ここで、図4(b)に示すように、金属微粒子4表面に対して卑金属7を末端に具備する高分子を含有した第2の溶媒8を剥離液として、基板を浸漬させる。ここで、貴金属微粒子4周囲に卑金属7末端が結合するとともに、他端の高分子鎖が溶媒8と親和するため微粒子4は容易に基板上から除去される。よって、溶媒浸漬により基板1上から金属微粒子4が脱離される。
最後に、図4(d)に示すように、洗浄などの方法により基板1を清浄化することで、金属微粒子4を除去した清浄面を得る。
図5(a)ないし図5(d)に、第2の実施形態にかかる剥離方法の他の一例を説明するための模式図を示す。
本実施形態は、実施形態1の手法により基板上の被加工層に凹凸を設けた後、金属微粒子部分のみを除去する方法を示すものである。
図5(a)に示すように、金属微粒子4をマスクとしてドライエッチングを行うと、金属微粒子4周囲の保護基が分解されるため、金属微粒子4が失活する。
ここで、図5(b)に示すように、卑金属7を末端に具備する高分子を含有した第2の溶媒8を剥離液として、基板1を浸漬させると、貴金属微粒子4表面に卑金属7が結合し、貴金属を被覆する。
さらに、図5(c)に示すように、卑金属4の他端の高分子鎖が溶媒2と親和することにより、被加工層2上から金属微粒子1が脱離し、溶媒8中に分散する。
最後に、図5(d)に示すように、洗浄等の方法により、基板1上に設けられた清浄な被加工層2の凹凸パターンを得る。
図6(a)ないし図6(h)に、第3の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の一例を表す模式図を示す。
図6(a)に示すように、基板1上に磁気記録層11、マスク層12、転写層3を順次形成する。本実施形態は、実施形態1において被加工層2を磁気記録層11としたものである。
次に、図6(b)に示すように、転写層3上に金属微粒子溶液を滴下する。
次に、図6(c)に示すように、転写層3上に微粒子4を単層で塗膜する。
続いて、図6(d)に示すように、エッチングにより微粒子4をマスクとして凹凸パターンを転写層3へ転写する。
続いて、図6(e)に示すように、エッチングにより凹凸パターンをマスク層へ転写する。
さらに、図6(f)に示すように、エッチングにより凹凸パターンを磁気記録層へ転写する。
次に、図6(g)に示すように、磁気記録層11上からマスク層12を含む上層部分を除去する。
最後に、図6(h)に示すように、磁気記録層11上に保護膜13を形成する。これにより、磁気記録媒体100を得ることができる。
図7(a)ないし図7(i)に、第3の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す模式図を示す。
図示するように、被加工層2の代わりに磁気記録層11を使用すること、及び図7(d)に示すように凹凸パターンを転写層3へ転写した後、図7(e)に示すように金属微粒子4を転写層3上から除去する工程を含むこと以外は、図6(a)ないし図6(h)に示す方法と同様にして、磁気記録媒体110を得ることができる。
図8(a)ないし図8(j)に、第3の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す模式図を示す。
図示するように、被加工層2の代わりに磁気記録層11を使用すること、磁気記録層11とマスク層12との間に剥離層14を設けること、図8(f)に示すようにマスク層12から剥離層14へ凹凸パターンを転写すること、及び図8(h)に示すように磁気記録層11へ凹凸パターンを転写した後、剥離層14を溶解することでマスク層12をリフトオフする工程を含むこと以外は、図6(a)ないし図6(h)に示す方法と同様にして、磁気記録媒体120を得ることができる。
図9(a)ないし図9(k)に、第3の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す模式図を示す。
図示するように、被加工層の代わりに磁気記録層を使用すること、磁気記録層とマスク層との間に剥離層を設けること、図9(g)に示すようにマスク層から剥離層へ凹凸パターンを転写すること、及び図9(i)に示すように、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した後、剥離層を溶解することでマスク層をリフトオフする工程を含むこと以外は、図7(a)ないし図7(i)に示す方法と同様にして、磁気記録媒体130を得ることができる。
図10(a)ないし図10(j)に、第4の実施形態にかかるスタンパーの製造方法の一例を表す模式図を示す。
本実施形態では、実施形態1の方法を基に転写層上に、金属微粒子溶液6を適用して、金属微粒子を配列させ、エッチングにより転写した凹凸パターンを用いて作製されるスタンパーの製造方法を示す。
まず、図10(a)に示すように、基板1上に転写層3を形成する。
次に、図10(b)に示すように、転写層3上に金属微粒子4と溶媒5を含む金属微粒子溶液6を滴下する。
次に、図10(c)に示すように、転写層3上に微粒子4を単層で塗膜する。
さらに、図10(d)に示すように、エッチングにより微粒子4をマスクとして凹凸パターンを転写層3へ転写する。
続いて、図10(e)に示すように、転写層3上から金属微粒子4を除去する。
続いて、図10(f)に示すように、転写層の凹凸パターン表面に対して導電層を被覆する。
続いて、図10(g)に示すように、導電層15を介して電鋳を行ない、凹凸パターンを有する電鋳層15を形成する。
電鋳層15は導電層16を介して転写層3および基板1と接合しているため、図10(h)に示すように、これを基板1上から離型する。
さらに、図10(i)に示すように、離型した電鋳層15の凹凸パターン面には転写層3が残渣として含まれるため、これをエッチングにより除去する。
最後に、図10(j)に示すように、凹凸パターン面を洗浄することで清浄化し、スタンパー140を得る。
図11(a)ないし図11スタンパー第4の実施形態にかかるスタンパーの製造方法の他の一例を表す模式図を示す。
図示するように、本実施形態は金属微粒子パターンを凹凸とするとともに、電鋳後のリフトオフ層として用いる。
まず、図11(a)に示すように、基板1上に金属微粒子溶液6を滴下する。
次に、図11(b)に示すように、基板1上に微粒子4を単層で塗膜する。
次に、図11(c)に示すように、微粒子4上に導電層16を形成し表面を被覆する。ここで、導電層16は微細パターンを有する金属微粒4子の間隙を完全に充填するのではなく、金属微粒子4上部を被覆し、かつ連続膜になるものとする。
続いて、図11(d)に示すように、導電層16を介して電鋳を行ない、凹凸パターンを有する電鋳層15を形成する。
次に、図11(e)に示すように、卑金属を末端に具備する高分子を含有した第2の溶媒を剥離液として、基板および電鋳層15を浸漬させる。ここで実施形態2と同様に、金属微粒子4表面が卑金属で被覆されるとともに高分子鎖が溶媒と親和するため、図11(f)に示すように金属微粒子4を含む電鋳層15が基板1上から容易に離型される。
最後に、図11(g)に示すように、凹凸パターンおよび電鋳層15を洗浄することで、清浄なスタンパー150を得る。本実施形態は電鋳層15の離型時においてスタンパーへ不要な応力を印加しないことから、面内の歪が小さく均一性に優れるスタンパーを作製可能である。
図12(a)ないし図12(b)に、第4の実施形態にかかるスタンパーを使用した磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図を示す。
本実施形態は、作製したスタンパーを用いたナノインプリントにより磁気記録媒体を作製する方法を示す。
まず、図12(a)に示すように、基板1上に磁気記録層11、マスク層12、転写層3ならびにインプリントレジスト層17を形成する。
次に、図12(b)に示すように、インプリントレジスト層17に対してスタンパーを押下し、インプリントレジスト層17を流動化することで凹凸パターンを形成する。ここで、スタンパー押下時にエネルギーを付与し、インプリントレジストを固化させる。
次に、図12(c)に示すように、インプリントレジスト層17の凹凸パターンからスタンパーを離型する。
離型後におけるインプリントレジスト層17には転写層との間の残渣が生じるため、図12(d)に示すようにドライエッチングにより残渣を除去する。
続いて、図12(e)に示すように、インプリントレジスト層17をマスクとして凹凸パターンを転写層3へ転写する。
続いて、図12(f)に示すように、凹凸パターンをマスク層12へ転写する。
続いて、図12(g)に示すように、凹凸パターンを磁気記録層11へ転写する。
さらに、図12(h)に示すように、磁気記録層11上からマスク層12を含む上層部分を除去する。
最後に、図12(i)に示すように、磁気記録層上に保護膜を形成する。これにより、磁気記録媒体160を得ることができる。
被加工層形成工程
まず、基板上に被加工層を形成する。該被加工層は後述する金属微粒子凹凸が転写される層である。金属微粒子凹凸を被加工層に対して直接転写することも可能であるが、転写精度を向上させるため、被加工層と金属微粒子層間にはマスク層を設けておくことが好ましい。
基板の形状には何ら限定は無いが、通常は円形で、硬質のものが用いられる。例えば、ガラス基板、金属含有基板、カーボン基板、セラミックス基板などが用いられる。パターンの面内均一性を良好にするため、基板表面の凹凸は小さくすることが望ましい。また、必要に応じて基板表面には酸化膜をはじめとした保護膜を形成しておくことも可能である。
ガラス基板としては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスに代表されるアモルファスガラス、及びリチウム系ガラスに代表される結晶化ガラス等を用いることができる。また、セラミックス基板としては、アルミナ、窒化アルミニウム、及び窒化珪素を主成分とする焼結体基板を用いることが可能である。
被加工層は種々の方法により基板上へ形成可能である。例えば、真空蒸着法、電子線蒸着法、分子線蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法に代表される物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、及び熱・光・プラズマを用いた化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)等の方法により形成できる。また、被加工層の厚さは、物理的・化学的気相成長法においては、例えば、プロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到チャンバーチャンバー雰囲気、成膜時間などのパラメータを適宜変更することで調整が可能である。
被加工層は、その用途に応じて様々な材料から選択される。具体的には、Al、C、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Fe、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Au、Hf、Ta、W、Ir及びPtの群から選ばれ、これらの合金あるいは化合物から構成され得る。合金とは、上記の群から選択された、少なくとも2種類以上の材料により構成されるものである。また、化合物とは、例えば酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物などから選ばれるものである。この場合、被加工層の上に形成される金属微粒子膜の材料と凹凸パターン寸法に対してエッチング選択比を確保し得るマスク層材料を選択し、さらにその膜厚を適切に決定することができる。
一方、磁気記録媒体の製造において、この被加工層は磁気記録層に該当するため、これに金属微粒子層の凹凸を転写することで物理的・磁気的に分離された凹凸構造を具備する磁気記録媒体を得る。
磁気記録層は前述のごとく基板上に成膜する。また、必要に応じて、基板と磁気記録層の間には高透磁率を有する軟磁性裏打ち層(SUL; Soft Under Layer)を形成することができる。軟磁性裏打ち層は垂直磁気記録層を磁化するための磁気ヘッドからの記録磁界を環流させるといった磁気ヘッド機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で十分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させることができる。
軟磁性裏打ち層としては、例えば、Fe、Ni、及びCoを含む材料を用いることができる。これらの材料のうち、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界が存在せず優れた軟磁性を示すアモルファス材料を好ましく使用できる。軟磁性アモルファス材料を使用することにより、記録媒体の低ノイズ化を図ることができる。軟磁性アモルファス材料として、例えば、Coを主成分として、これに対しZr、Nb、Hf、Ti、Taのうち少なくとも1種を含有したCo合金、例えばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTaなどを選択できる。
また、軟磁性裏打ち層と基板との間には軟磁性裏打ち層の密着性向上のために下地層を設けることができる。下地層材料としては、例えば、Ni、Ti、Ta、W、Cr、Pt、及びその合金、その酸化物、及びその窒化物から選択された少なくとも1種の材料を使用できる。下地層材料として例えばNiTa、及びNiCrなどを用いることが可能である。なお、これらの下地層は多層にすることができる。
更に、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間には非磁性金属材料からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間の交換結合相互作用を遮断することと、垂直磁気記録層の結晶性を制御することの二つである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、その合金、その酸化物、及びその窒化物から選択することができる。
垂直磁気記録層は、Coを主成分とするとともに少なくともPtを含み、更に金属酸化物を含むことができる。垂直磁気記録層は、Co及びPtに加えて、他にもB、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、及びRuから選ばれる1種類以上の元素をさらに含むことができる。上記元素をさらに含有することにより、磁性粒子の微粒子化を促進し、結晶性、配向性を向上させることができ、これにより、高記録密度に適した記録再生特性と熱ゆらぎ特性を得ることができる。垂直磁気記録層は具体的にCoPt系合金、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi、CoCrSiO2などの合金を用いることが可能である。
垂直磁気記録層の厚さは、再生出力信号を高確度で測定するために1.0nm厚以上が好ましく、信号強度の歪を抑えるために40nm厚以下が好ましい。1.0nmよりも薄いと再生出力が極めて小さくノイズ成分が優位になる傾向がある。逆に、40nmよりも厚い場合は再生出力が過剰となり、信号波形に歪が生じる傾向がある。
垂直磁気記録層上部には保護層を設けることができる。保護層は、垂直磁気記録層の腐食・劣化を防ぐとともに、磁気ヘッドが記録媒体に接触した時に生じる媒体表面の損傷を防ぐ効果がある。保護層材料としては、例えばC、Pd、SiO2、及びZrO2を含むものが挙げられる。カーボンはsp2結合炭素(グラファイト)とsp3結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp3結合炭素の方が優れ、逆に平坦性はsp2結合炭素の方が優れる。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法により行われ、sp2結合炭素とsp3結合炭素が混在したアモルファスカーボンが成膜されるが、sp3結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性、平坦性に優れており、磁気記録層の保護層としてより好適である。
保護層の上部には更に潤滑層を設けることができる。潤滑層に用いられる潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、及びフッ素化カルボン酸などが挙げられる。
被加工層ならびに磁気記録層の上部には剥離層を設けることができる。被加工層や磁気記録層へ凹凸パターンを転写した後、剥離層を除去することでマスク層を脱離するリフトオフプロセスを適用し得る。この剥離層はエッチングレートが高く、かつ剥離液に対する溶解レートが高いことが望ましい。
マスク層形成工程
被加工層および磁気記録層の上には凹凸パターン転写用のマスク層を形成する。
マスク層は金属微粒子凹凸が転写される層であるとともに、下部に配される被加工層ならびに磁気記録層に凹凸を転写するためのマスクである。よって、基板側からマスク層/金属微粒子層とした場合のエッチング選択比は高いほど良く、当然のことながら被加工層/マスク層のエッチング選択比も高いことが望ましい。
被加工層が磁気記録層となる場合、マスク層は磁気記録層上の保護層上に形成される。上記のように、磁気記録層/マスク層のエッチング選択比も高いことが好ましい。
マスク層は1層とする以外にも、異なる材料を積層した2層以上の構成にしても構わない。
マスク層は微粒子凹凸パターンが精度良く転写されるように、金属微粒子の半径以下の厚さにすることができる。微粒子の半径よりも厚い層を加工する場合、後述のようなエッチング中における微粒子の凝集が顕著となり転写精度が劣化するためである。数十nm級パターンを想定した場合、具体的な厚さは1nm〜10nmとすることが望ましい。
マスク層は被加工層と同様に種々の方法によって成膜され、エッチング選択比を考慮して種々の構成を取り得る。すなわち、マスク層は1層とする以外にも、異なる材料を積層した2層以上の構成にしても良い。
マスク層の厚さは、物理的・化学的気相成長法においては、例えば、プロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、成膜時間などのパラメータを適宜変更することで調整が可能である。このマスク層上部に形成される金属微粒子層の配列精度ならびに凹凸パターンの転写精度は、マスク層の表面ラフネスに強く依存する。したがって、マスク層においてはその表面ラフネスを低減しておくことが好ましく、上記成膜条件を種々調整することでこれを実現可能である。狭ピッチパターンを高精細にパターニングするために、所望のパターンピッチに対して表面ラフネスの周期は小さいことが特に好ましい。また、平均表面ラフネスの値は基板/被加工層/マスク層を含めた値で0.5nm以下であることが望ましい。0.5nmよりも大きいと、後述する金属微粒子の配列精度が悪化し、磁気記録媒体の信号S/Nが劣化するためである。ただし、以降の方法では微粒子マスクの加工マージンを拡大可能であり、従来よりも大きなラフネスを有する基板を用いた場合でも、寸法精度が良好で欠陥の少ない凹凸パターンをマスク層へ転写することができる。
表面ラフネスを低減するためには上記成膜条件を種々変更する他、マスク層材料を結晶質のものから非晶質のものにすることで、これを実現可能である。
マスク層の厚さは、下層に配される剥離層および磁気記録層とのエッチング選択比や凹凸パターン寸法を考慮して決定することができる。
成膜で用いるスパッタガスはArをはじめとした希ガスを主とすることが可能であり、さらに成膜するマスク材料によってO2、N2などの反応性ガスを混合することで所望の合金を成膜することもできる。
また、マスク層の厚さは微細パターンを高精細に転写するために、1nm以上50nm以下にすることが好ましい。1nmよりも薄いとマスク層が均一に成膜されず、また、50nmよりも厚いと深さ方向に対する凹凸パターンの転写精度が劣化する傾向がある。さらに、微粒子の半径以下の厚さでマスク層を形成すれば、より転写精度の優れた凹凸パターンを得ることができる。
後述のように、マスク層を介して凹凸パターンを被加工層ならびに磁気記録層へ転写した場合、マスク層を除去しても良いし、あるいは凹凸転写パターン形成中にマスク層を意図的に後退させることで、マスク層を除去する工程に代替しても構わない。マスク層を除去する場合はドライエッチングもしくはウェットエッチングなどの方法を適用することが可能である。また、あらかじめ被加工層とマスク層の間に剥離層を形成しておき、剥離層を除去することで被加工層上からマスク層をリフトオフすることもできる。
前述のように、マスク層は1層または2層以上形成することができる。すわなち、第1のマスク層、及び第2のマスク層を含む積層体にすることも可能である。第1のマスク層と第2のマスク層とを異なる材料から構成することで、エッチング選択比を大きくし、転写精度を改善することが可能である。ここでは便宜上、第2のマスク層を第1のマスク層に対する転写層と呼び、基板側から被加工層(磁気記録層を含む)/マスク層/転写層のように表記する。
この転写層は金属微粒子材料およびマスク層材料とのエッチング選択比を考慮して、種々の材料から適切に選択できる。マスク材料の組み合わせを決める場合、エッチング溶液あるいはエッチングガスに対応した金属材料を選択することができる。ドライエッチングを想定して各材料を組み合わせる場合、例えば、基板側からマスク層/転写層の順にC/Si、Si/Al、Si/Ni、Si/Cu、Si/Mo、Si/MoSi2、Si/Ta、Si/Cr、Si/W、Si/Ti、Si/Ru、Si/Hfなどが挙げられる他、SiをSiO2、Si3N4、SiCなどで置き換えた構成にすることができる。また、Al/Ni、Al/Ti、Al/TiO2、Al/TiN、Cr/Al2O3、Cr/Ni、Cr/MoSi2、Cr/W、GaN/Ni、GaN/NiTa、GaN/NiV、Ta/Ni、Ta/Cu、Ta/Al、Ta/Cr、などの積層体を選択できる。なお、マスク加工で使用するエッチングガスに応じて、これらの各種マスク材料の積層順序は入れ替えることができる。マスク材料の組み合わせおよび積層順は上記のものに限定されるわけではなく、パターン寸法とエッチング選択比の観点から適切に選択することができる。また、ドラエッチングと共にウェットエッチングによるパターニングも可能であるため、これを考慮して各マスク材料を選定することができる。
ウェットエッチングによりマスク層をパターニングする場合は、凹凸パターンの幅方向に対するサイドエッチを抑制する。この場合は、マスク材料の組成、エッチング溶液の濃度、およびやエッチング時間をはじめとした各種パラメータを設定することで実現可能である。
金属微粒子層形成工程
ここで、マスク層上に凹凸パターンとなる金属微粒子層を形成する。金属微粒子層の形成工程においては、貴金属微粒子の表面改質工程と、微粒子塗膜工程との二工程に分けて説明する。
まず、金属微粒子表面の改質工程について詳細に説明する。
実施形態で用いる微粒子は貴金属から構成されるものであり、具体的にはAu、Ag、Pt、Pd、Ru、Ir、Rhなどの材料から選ばれる。
一般的に貴金属微粒子は化学的に安定であることから、ドライエッチング耐性があるため、エッチング選択比を大きくできる材料として好適である。また、酸化物微粒子と比較してvan der waals 引力を決定するHamaker定数が大きく、粒子間の相互作用が強い。よって、基板面の微粒子は単分散を維持しようとするため、基板面において明瞭な六方配列を構成し、そのピッチばらつきは小さくなる。一方、粒子間の強い相互作用は微粒子同士の凝集を生じやすくするとともに、狭ピッチ化に伴い粒子間距離が狭くなるため、加工マージンが低下する。さらに、ドライエッチング中に起こる貴金属微粒子周囲の保護基の消失に伴い、貴金属微粒子は容易に凝集するため、凹凸パターンの転写精度が悪化する。したがって、高エッチング選択比化と低ピッチ分散化に対して、狭スペーシング加工精度はトレードオフの関係にあり、これを解決する技術が望まれる。
前述のような凝集は金属微粒子表面を改質することで改善可能である。ただし、金属微粒子の合成の段階で微粒子表面を別の金属で改質する場合、表面を被覆する殻の分だけ微粒子粒径が拡大する他、2つ以上の微粒子が互いに融着した、すなわち二次粒子が形成されてしまい、分散液中の単分散状態を悪化させる要因につながる。そこで、粒径を拡大することなく、しかも簡便に金属微粒子の表面を改質するため、卑金属末端の高分子鎖を有する溶媒を用い、貴金属微粒子分散液へこれを添加する工程を適用する。ここでは貴金属微粒子が分散している第1の溶媒に対して、卑金属/高分子を含む第2の溶媒を添加する。
貴金属微粒子は種々の方法により合成可能であり、例えば、液相還元法や逆ミセル法が一般的である。
卑金属末端は貴金属微粒子との結合エネルギーの大小により、貴金属微粒子表面へ容易に吸着する。ここで言う卑金属とは本製法において便宜上用いるものであり、貴金属材料以外の材料および官能基を示す。また、卑金属を含む高分子として金属錯体も適用可能である。また、貴金属微粒子周囲の保護基に対し、卑金属末端高分子を置換することで新たな保護基とすることもできる。例えば、Au貴金属微粒子に対してはチオール末端高分子を含む溶媒を添加することで、Au表面を硫黄で修飾することが可能である。後述のように、硫黄表面の貴金属微粒子はドライエッチングにおいて直ちに凝集することはなく、従来困難とされていた狭スペーシングパターンを下層へ転写できることになる。
卑金属被覆においては、貴金属表面を分子末端で被覆しているため、正味の殻厚は極めて薄い。したがって、元の貴金属微粒子の粒径拡大を小さくすることができる。また、卑金属で被覆された内核に相当する貴金属微粒子は化学的に安定であるため、表面修飾に伴う微粒子界面の劣化は生じない。したがって、高いドライエッチング耐性が維持される。
第1および第2の溶媒は、種々の溶液群から選択されるが互いに相溶の関係にあることが望ましい他、貴金属微粒子保護基を溶解しないものであることが望まれる。具体的には、各溶媒の溶解度パラメータの差が6.0以内であることが特に好ましい。溶媒種としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールトリメチルエーテル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アニソール、及びジエチレングリコールトリエチルエーテル、アルコール、水などを選択できる。
第1の分散液における貴金属微粒子の濃度は、後述の塗膜の均一性を左右するため最適範囲を取り得るが、実際のところは塗膜方法により種々調整する必要がある。好ましいとする溶液濃度は重量パーセント濃度5%以下である。5%よりも大きくなると基板上における塗膜厚さの面内依存性が著明に悪化するためである。
第2の溶媒に含まれる卑金属は種々のものから構成される。例えば、C、Si、Al、Ti、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Fe、Zn、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの他、N、P、Bi、S、F、Cl、Br、Iなどの材料を選択できる。また、第2の溶媒に含まれ、卑金属末端を有する高分子は各溶媒に相溶であれば良く、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの材料を好ましく用いることができる。
第2の分散液における卑金属/高分子の濃度は、第1の分散液の貴金属微粒子の濃度に応じて変えることができる。この場合、卑金属量をパラメータとしても良いし、高分子の固形成分量をパラメータとしても構わないが、卑金属量が極めて少なく溶液調製が困難であるため、製造工程においては高分子の固形成分量を用いて溶液濃度を決定することが好ましい。また、卑金属末端を具備する高分子は、それ自体が微粒子間に配されるため、基板面に対する濡れ性は第1の溶媒のみの場合よりも良化する。よって、第2の溶媒添加は基板面内における金属微粒子の多層構造を単層化する効果も発現する。
第2の分散液における卑金属/高分子の濃度は重量パーセントで0.01〜2%の範囲にしておくことが好ましい。0.01%よりも低いと分散液の濡れ性が低下し、膜内の欠陥領域(0層領域)が生じる他、2%よりも高いと基板内において場所による金属微粒子の階層構造が生じてしまうためである。また、2%よりも高濃度になると卑金属末端が凝集したクラスターが形成されやすく、基板上のダストが増大する傾向にある他、高分子膜厚の増加に伴い貴金属微粒子のピッチばらつきが悪化する。添加溶媒の濃度は0.1〜0.5%とすることが特に好ましい。
続いて、貴金属/卑金属微粒子分散液の塗膜工程を説明する。分散液は種々の方法により基板面に塗布できる。具体的には、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンキャスティング法、ディップコーティング法、インクジェット法、ラングミュア・ブロジェット法、ラングミュア・シェーファ法などの方法が挙げられる。
これらの方法では、微粒子分散液の濃度を調整することで、基板上への微粒子の単層塗膜が可能となる。また、凝集によって生じた二次粒子は粒子径が比較的大きく、パターンの均一性を損なうことにつながるため、メンブレンフィルタなどで適宜フィルタリングしておくことが望まれる。
以上のように、マスク層上へ貴金属コア/卑金属殻からなる微粒子層を形成することができる。上記のように、これらの微粒子は表面修飾による凝集抑制、濡れ性改善、高エッチング耐性の効果があり、後述のように狭スペーシングパターンの加工を可能にする。
マスク層パターニング工程
次に金属微粒子を用いてマスク層へ凹凸パターンを転写する。前述のように、貴金属微粒子表面が卑金属および高分子により修飾されている場合は、微粒子の島状パターンと高分子の海状パターンが混在した系と見なすことができる。この場合、海状パターンを除去することにより、微粒子の凹凸を転写することが可能となる。
マスク層の加工では、マスク層材料とエッチングガスの組み合わせにより多様な層構成と加工方法が実現され得る。
凹凸パターンの幅方向におけるエッチングに対して厚さ方向のエッチングが有意となるように、微細加工を行う場合はドライエッチングを適用することが好ましい。ドライエッチングで使用するプラズマは、容量結合、誘導結合、電子サイクロトロン共鳴、多周波重畳結合などの種々の方法により発生させることができる。また、凹凸パターンのパターン寸法の調整のために、プロセスガス圧力、ガス流量、プラズマ投入電力、バイアス電力、基板温度、チャンバー雰囲気、及び到達真空度などのパラメータを設定することができる。
エッチング選択比を大きくするためにマスク材料を積層した場合は、エッチングガスを適切に選択することができる。エッチングガスにはCF4、C2F6、C3F6、C3F8、C5F8、C4F8、ClF3、CCl3F5、C2ClF5、CCBrF3、CHF3、NF3、CH2F2などのフッ素系ガスや、Cl2、BCl3、CCl4、SiCl4などの塩素系ガスが挙げられる。その他、H2、N2、O2、Br2、HBr、NH3、CO、C2H4、He、Ne、Ar、Kr、Xeなどの各種ガスを適用することができる。また、エッチング速度やエッチング選択比を調整するためにこれらのガスを2種類以上混ぜた混合ガスを使用することも可能である。なお、ウェットエッチングによるパターニングも可能であり、この場合はエッチング選択比を確保でき、かつ幅方向へのエッチングを抑制し得るエッチング溶液を選定しておくとよい。同様に、イオンミリングのような物理的エッチングを行っても構わない。
貴金属微粒子表面は活性の低い卑金属で被覆されているため、ドライエッチング中におけるプラズマ曝露に対して凝集が軽減される。よって、凹凸パターンの転写精度を改善することが可能となる。
マスク層は金属微粒子層とのエッチング選択比を考慮して多様な構成となり得るが、前述のように、例えば基板側からC/Si、Ta/Al、Al/Ni、Si/Crなどの構成にすることができる。
金属微粒子間の間隔が著しく狭い場合、意図的に金属微粒子膜をエッチングすることで微粒子間隔を調整しても良い。具体的な方法として、ドライエッチングにおけるサイドエッチを大きくする方法や、イオンミリングにおけるイオン種の入射角度を調整して金属微粒子を幅方向にスリミングする方法などが挙げられる。以上のようにして、金属微粒子マスクを用いてレジスト層へ凹凸パターンを設けることができる。
ここで、金属微粒子パターンをマスク層へ転写した後、金属微粒子をマスク層から除去することも可能である。金属微粒子を除去しておくことで、エッチングによる副生成物によるパターン溝部分の閉塞や、微粒子の凝集を軽微にすることが可能である。具体的には、金属微粒子自体を溶解する方法と金属微粒子周囲の保護基を溶媒に親和させて除去する方法とがあるが、前者は強酸・強塩基を用いる必要があるためマスク層や基板へのダメージが避けられない。これに対して後者の方法では、分散媒となる有機溶媒のみで剥離が可能であるため、基板面の平坦性と低ダメージ化を両立できる。
しかしながら、ドライエッチングのプラズマにより貴金属微粒子が曝露されると、表面を被覆した保護基が開裂するため、微粒子は溶媒への親和性を失う。そのため、微粒子をマスク層表面から除去することが困難となる。この場合、一手法としてドライエッチングによる微粒子の物理的除去が考えられるが、エッチングに伴い微粒子の凝集が生じるため、凹凸除去とパターン転写精度がトレードオフの関係となってしまう。
そこで、上記の方法を剥離方法にも適用することで、マスク層表面から微粒子を容易に除去する。具体的には、卑金属/高分子からなる第2の溶媒を剥離液とすることで金属微粒子を除去する。
ドライエッチングにより失活した貴金属微粒子に対して卑金属/高分子を含有した溶媒を用いると、貴金属微粒子表面へ卑金属微粒子が吸着する。一方、高分子鎖は溶媒と親和するため基板面から貴金属微粒子を脱離させることになる。したがって、有機溶媒への浸漬のみで金属微粒子をマスク層表面から剥離可能となり、さらにマスク層や基板へのダメージを極めて軽微にすることが可能である。貴金属微粒子が溶媒のみで完全に剥離できない場合は、超音波洗浄やスクラブ洗浄などの方法を補助的に適用しても構わない。
前述した貴金属/卑金属微粒子層はリフトオフ層として用いても良い。この方法を適用したナノインプリントスタンパの製造方法について、以降で説明する。
ナノインプリントは、微細凹凸パターンが表面に形成されたナノインプリントスタンパ(以降、スタンパーと呼称)を転写用レジスト層に押下してパターン転写を行うものであり、ステップアンドリピート方式の紫外線露光や電子線露光などの技術と比較して、試料の大面積に対してレジストパターンを一括転写できる。したがって、製造スループットが増加するため、製造時間短縮・コスト削減を実現できる。
スタンパーは、リソグラフィーなどで形成された微細凹凸パターンを具備する基板、いわゆるマスター原盤(モールド、原盤)から取得することが可能であり、多くの場合、マスター原盤の微細パターンに対する電鋳により作製される。マスター原盤用の基板にはSiをはじめとして、SiO2、SiC、SiOC、Si3N4、C、などの他、B、Ga、In、Pなどの不純物をドーピングした半導体基板を用いても良い。また、基板の3次元的な形状に関する限定は何ら無く、円形、矩形、ドーナツ形のものを用いることができる。他にも導電性を有する材料からなる基板を用いることができる。
ここでは、前述した貴金属微粒子層をパターン層兼リフトオフ層として用いる例を示す。マスター原盤のパターンは種々のリソグラフィーで形成可能であるが、本例は金属微粒子からなる微細周期構造としている。金属微粒子に凹凸を設けた後、これを電鋳、すなわち電気めっき処理することでスタンパーを得る。また、金属微粒子凹凸をマスク層や基板面に転写した後、これを電鋳パターンとしても構わない。金属微粒子に凹凸を形成する場合、微粒子周囲が高分子により充填されているため、ドライエッチングによりこれを除去しておくことが好ましい。その際、金属微粒子の凝集を抑制しておくことが肝要である。
続いて、マスター原盤の凹凸パターンに対して電鋳を行い、スタンパーを作製する。めっき金属には種々の材料が挙げられるが、ここでは一例として、Niからなるスタンパーの作製方法を説明する。まず、マスター原盤の凹凸パターンに導電性を付与するため、凹凸パターンの表面にNi薄膜を成膜する。電鋳の際には、導電不良が生じるとめっき成長が阻害され、パターン欠損につながるため、Ni薄膜は凹凸パターンの表面ならびに側面において均一に成膜されることが好ましい。なお、この膜は導電性付与のために設けるものであり、材料はNiに限定されるものではない。
続いて、マスター原盤をスルファミン酸Ni浴に浸漬・通電し、電鋳を行う。めっき後の膜厚、すなわちスタンパーの厚さはめっき浴の水素イオン濃度、温度、粘度の他、通電電流値、めっき時間などを変更することで調整できる。この電鋳は電解めっき、あるいは無電解めっきにより行なうことができる。
このようにして得られたスタンパーを基板上から離型する。ここで、従来のように基板上からスタンパーを物理的に離型する場合、スタンパーへの応力印加によりその形状が変化し、スタンパーの平坦性を損なう原因となる。これは後述するナノインプリントにおける凹凸転写のムラを生じることになり、レジスト層へのパターン転写性を大きく劣化させることにつながる。また、従来のように基板上に剥離層を設ける場合、剥離層上の電鋳層との層界面における金属材料の拡散により剥離層の剥離性が劣化するため、基板からの物理的な剥離を余儀なくされる。
これに対し、前述のごとく貴金属微粒子表面へ卑金属/高分子を修飾することにより、基板からのスタンパーの離型性を改善する。本工程では、卑金属末端を有する高分子鎖を含む第2の溶媒を剥離液として使用する。本剥離液を用いることにより金属微粒子は基板から容易に脱離するため、スタンパーに対する物理的な剥離を必要としない。したがって、応力印加に伴う歪を生じることなくスタンパーを基板面から離型できるため、平坦性に優れるスタンパーを作製可能となる。また、従来のように強酸や強塩基を用いることなくリフトオフできるため、剥離液によるスタンパーのダメージもほとんどなく、凹凸パターンの精度を損なうことはない。
剥離後、スタンパーの凹凸表面の貴金属微粒子はドライエッチングなどの方法により除去する。この場合、スタンパー材料と貴金属微粒子のエッチング選択比は小さいほどよく、容易に微粒子部分のみを除去し得ることが好ましい。最後に、凹凸パターン面以外の不要な箇所を機械的に除去し、さらに円形、矩形などの所望の形状に加工することで、スタンパーが完成する。
なお、得られたスタンパーを用いて、凹凸パターンをレジスト層へ転写する。この際、スタンパーをマスター原盤として代替し、複製スタンパーを作製することができる。この場合は、NiスタンパーからNiスタンパーを得る方法や、Niスタンパーから樹脂スタンパーを得る方法などが挙げられる。ここでは、樹脂スタンパーの作製方法を説明する。
樹脂スタンパーは射出成型により作製する。まず、射出成型装置にNiスタンパーを装荷し、スタンパーの凹凸パターンへ樹脂溶液材料を流入し、射出成型を行う。樹脂溶液材料としては、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネート,ポリメチルメタアクリレートなどを適用すれば良く、インプリントレジストとの剥離性の良い材料を選択することがより望ましい。射出成型を行った後、Niスタンパー上から試料を剥離することで、凹凸パターンを有する樹脂スタンパーが得られる。
この樹脂スタンパーを用い、レジスト層へ凹凸パターンを転写する。
レジストには熱硬化樹脂や光硬化樹脂をはじめとしたレジスト材料を用いることが可能であり、例えばイソボルニルアクリレート、アリルメタクリレート、及びジプロピレングリコールジアクリレートなどを適用できる。
これらのレジスト材料を、上記のような磁気記録層およびマスク層を有する試料上に塗布し、レジスト層を形成する。次いで、レジスト層に対して凹凸パターンを有する樹脂スタンパーをインプリントする。インプリントの際、樹脂スタンパーがレジストに押下されるとレジストが流動化し、凹凸パターンが形成される。ここで、レジスト層に対して紫外線などのエネルギーを付与することで、凹凸パターンを形成しているレジスト層を硬化させ、次いで樹脂スタンパーを離型すればレジスト層の凹凸パターンが得られる。樹脂スタンパーの離型を容易に行なうために、あらかじめ樹脂スタンパー表面にシランカップリング剤などによる離型処理を行なっておくことが可能である。
樹脂スタンパー離型後におけるレジスト層の凹部にはレジスト材料が残渣として残存しているため、これをエッチングにより除去することでマスク層の表面を露出させる。ポリマーベースのレジスト材料は、一般的にO2エッチャントに対するエッチング耐性が低いため、O2エッチングを行なうことで容易に残渣を除去できる。無機材料を含む場合は、レジストパターンが残るようにエッチャントを適宜変更しても構わない。以上のようにして、ナノインプリントによりレジスト層へ凹凸パターンを設けることができる。
被加工層パターニング工程
続いて、マスク層へ転写した凹凸パターンを下部被加工層へ転写する。この被加工層は、磁気記録媒体の製造方法における磁気記録層に相当するものである。
被加工層へ凹凸パターンを形成する際、前述のマスク層と同様に種々の加工方法を選択できるが、幅方向に対する寸法変換差を小さくし、厚さ方向への加工を進行させるためドライエッチングを適用することが好ましい。なお、被加工層形成工程前にマスク層上から貴金属微粒子を除去しておくことにより、エッチングによる微粒子の凝集は生じない。よって、凹凸転写精度を改善することが可能である。
また、反応性ドライエッチングによる副生成物が生成困難である貴金属材料を被加工層に用いる場合は、イオンミリングなどの方法を適用すれば良い。具体的には、He、Ne、Ar、Xe、Krなどの不活性ガスを用いることが可能であり、O2、N2などのガスを添加した反応性イオンミリングによりパターニングすることもできる。
被加工層のパターニングを行う際は、マスク層のエッチングレートERmaskに対する被加工層のエッチングレートERmatの関係がERmask≦ERmatを満足することが望ましい。すなわち、所望の被加工層および磁気記録層厚を得るために、エッチングに伴うマスク層の後退は少なくすることができる。
イオンミリングにより被加工層へ凹凸を転写する場合、加工に伴いマスク側壁に向かって飛散する副生成物、いわゆるリデポ成分を抑制しておくことが重要である。このリデポ成分は、凸パターンマスクの周囲に付着するため、凸パターンの寸法が拡大し、溝部分を埋没させることになるため、分断された凹凸パターンを得るためにはリデポ成分を可及的に少なくすることができる。
被加工層に対するイオンミリングでは、イオンの入射角度を変えることで側壁へのリデポ成分を少なくすることができる。この場合は、マスク高さによって最適な入射角度は異なるが20°〜70°の範囲でリデポを抑制することが可能となる。また、イオンの入射角度はミリング中に適宜変更することができる。例えば、被加工層をイオン入射角度0°でミリング加工した後、イオン入射角度を変更して凸パターンのリデポ部分を選択的に除去する方法などが挙げられる。
保護層形成工程
被加工層を磁気記録層とした磁気記録媒体の製造方法においては、最後に、凹凸を有する磁気記録層パターン上にカーボン系保護層と図示しないフッ素系潤滑膜を成膜することで、凹凸パターンが設けられた磁気記録媒体を得ることができる。
カーボン保護層にはsp3結合炭素を多く含むDLC膜が好適である。また、その膜厚は被覆性を維持するために2nm以上、信号S/Nを維持するために10nm以下にすることが望ましい。また、潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
図13に、磁気記録媒体の周方向に対する記録ビットパターンの一例を表す図を示す。
磁気記録層の凸パターンは図に示すように、ディジタル信号の1と0に相当するデータを記録する記録ビット領域121と、磁気ヘッドの位置決め信号となるプリアンブルアドレスパターン122、バーストパターン123からなる、いわゆるサーボ領域124に大別され、これを面内パターンとして形成できる。また、図示しているサーボ領域のパターンは矩形状でなくてもよく、例えば全サーボパターンをドット形状で置き換えても良い。
さらに、図14のようにサーボに加えデータ領域も全てドットパターン120で構成することも可能である。1ビットの情報は1つの磁性ドットあるいは複数の磁性ドットで構成され得る。
図15は、実施形態にかかる磁気記録媒体を適用可能な磁気記録再生装置の一例を、一部分解した斜視図で示す。
同図は、ディスク装置300として、実施形態に係るハードディスクドライブのトップカバーを取り外して内部構造を示している。図に示すように、HDDは筐体210を備えている。この筐体210は、上面の開口した矩形箱状のベース211と、図示しない矩形板状のトップカバーとを備えている。トップカバーは、複数のねじによりベースにねじ止めされ、ベースの上端開口を閉塞している。これにより、筐体210内部は気密に保持され、呼吸フィルター226を通してのみ、外部と通気可能となっている。
ベース211上には、記録媒体としての磁気ディスク212および駆動部が設けられている。駆動部は、磁気ディスク212を支持および回転させるスピンドルモータ213、磁気ディスクに対して情報の記録、再生を行なう複数、例えば、2つの磁気ヘッド233、これらの磁気ヘッド233を磁気ディスク212の表面に対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ214、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと呼称する)216を備えている。また、ベース211上には、磁気ヘッド233が磁気ディスク212の最外周に移動した際、磁気ヘッド233を磁気ディスク212から離間した位置に保持するランプロード機構218、HDDに衝撃等が作用した際、ヘッドアクチュエータ214を退避位置に保持するイナーシャラッチ220、およびプリアンプ、ヘッドIC等の電子部品が実装された基板ユニット217が設けられている。
ベース211の外面には、制御回路基板225がねじ止めされ、ベース211の底壁と対向して位置している。制御回路基板225は、基板ユニット217を介してスピンドルモータ213、VCM216、および磁気ヘッド233の動作を制御する。
図15において、磁気ディスク212は、前述の加工方法により形成された凸パターンを有する垂直磁気記録媒体として構成されている。また、磁気ディスク212は前述の通り、例えば、直径約2.5インチの円板状に形成され非磁性体からなる基板219を有している。基板219の各表面には、下地層としての軟磁性層223と、その上層部に、ディスク面に対して垂直方向に磁気異方性を有する垂直磁気記録層222とが順次積層され、さらにその上に保護膜224が形成されている。
また、磁気ディスク212は、スピンドルモータ213のハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにハブの上端にねじ止めされたクランプばね221によりクランプされ、ハブに固定されている。磁気ディスク212は、駆動モータとしてのスピンドルモータ213により所定の速度で矢印B方向に回転される。
ヘッドアクチュエータ214は、ベース211の底壁上に固定された軸受部215と、軸受部から延出した複数のアーム227と、を備えている。これらのアーム227は、磁気ディスク212の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて位置しているとともに、軸受部215から同一の方向へ延出している。ヘッドアクチュエータ214は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション230を備えている。サスペンション230は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム227の先端に固定され、アームから延出している。各サスペンション230の延出端にジンバルばね241を介して磁気ヘッド233が支持されている。サスペンション230、ジンバルばね241、および磁気ヘッド233により、ヘッドジンバルアッセンブリを構成している。なお、ヘッドアクチュエータ214は、軸受部215のスリーブと、複数のアームとを一体に形成したいわゆるEブロックを備えた構成としてもよい。
実施例
以下、実施例を示し、実施形態を具体的に説明する。
実施例1
実施例1は、貴金属/卑金属微粒子を用いて微細凹凸を形成した例である。
まず、金属微粒子マスクを形成するための塗布溶液を作製した。この溶液は前述のように、貴金属微粒子を含む第1の溶媒と、卑金属末端を具備した高分子鎖を含む第2の溶媒からなる。
本例では、貴金属微粒子に平均粒径8nm、ピッチ13.5nm、Auを用い、第1の溶媒をトルエンとし、貴金属微粒子を2.8重量%含むAu分散液を調製した。
また、卑金属材料部分にチオール基を有するポリスチレンを用い、第2の溶媒をトルエンとした。ポリスチレンの平均分子量は1300、第2の溶媒に対する重量パーセント濃度は0.5%としてポリスチレン溶液を調製した。
このポリスチレンは微粒子塗布において微粒子間隙および微粒子−基板間のバインダーとなる。次いで、Au分散液へポリスチレン溶液を添加し、Au微粒子層塗布液を調製した。前述のように、この溶液添加によりAu微粒子周囲は硫黄により十分被覆されるとともに、微粒子間がポリスチレンにより隔絶される。また、ポリスチレンの添加に伴い微粒子間の保護基の密度が増大するため、微粒子の単分散が安定化され、次工程以降の凝集を軽微にできる。なお、本例では、塗布時において広範囲に渡る単層領域を得るため分散液中のAu微粒子濃度を重量パーセント濃度2.8%で最適化した。さらに、溶液調製後に各Au微粒子の単分散を促進させるため、90分間超音波分散を行うことで塗布液を作製した。
次に、凹凸形成用基板を用意した。基板には2.5インチのドーナツ状ガラスディスクを用い、被加工層はSiとした。Si被加工層はDCスパッタ法により成膜した。成膜ではArガスを用い、ガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとして5nmとなるように成膜した。
ここで被加工層上にAu微粒子層塗布液を塗布し、単層微粒子層を形成した。
ここで、単層とは前述のごとく、同一平面内において階層構造を持たず、微粒子が1層で配列している状態を意味する。
調製したAu微粒子層溶液は自動シリンジを用いて被加工層上へ滴下し、回転数5000rpmでスピンコートすることで単層Au微粒子層を得た。
図16は微粒子塗布後の基板を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した結果である。同図のようにAu微粒子は相互に分散状態を維持しており、基板上における凝集は見られていない。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて金属微粒子層の厚さを測定したところ、9nmの段差があることがわかり、微粒子が単層で形成されていることを確認した。
このAu微粒子マスクに対してドライエッチングを行ない、凹凸パターンを形成した。Au微粒子周囲は硫黄により被覆されているため、Au微粒子単独のものよりも凝集が少なく、均一性に優れたパターンが得られる。ドライエッチングでは誘導結合プラズマ型反応性イオンエッチング装置を用い、CF4ガスをエッチャントとした。また、プロセスガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、アンテナ電力100W、バイアス電力30Wとして、15秒間エッチングを行うことで高分子バインダーを除去するとともに、Si被加工層を5nmエッチングした。
図17はドライエッチング後における試料上面をSEMにより観察した結果である。金属微粒子は単分散を維持しており、凝集は生じていない。また、透過型電子顕微鏡により試料の断面構造を確認したところ、Si被加工層に対して約5nmの凹凸が形成されていることが確認された。
実施例2
実施例2は、実施例1と同様にして形成した凹凸に対して、さらにAu微粒子を除去した場合の例である。
Si被加工層に対してドライエッチングを行なった後、ウェットエッチングによりAu微粒子を除去した。エッチャントにはヨウ素とヨウ化カリウムをイソプロピルアルコールで希釈した混合液を用い、重量比1:1:12となるように調製した。次いで、混合液中に試料を5分間浸漬し、イソプロピルアルコールを用いて洗浄することで、試料を清浄化した。図18は微粒子剥離後における試料の上面SEM像である。SEM上で凹凸パターンが確認されている他、凹凸コントラストが減弱していることから、Au微粒子は溶解除去され、Si凹凸が形成されていることを確認できた。
実施例3
実施例3から実施例24は、貴金属/卑金属微粒子をマスクとして用いて磁気記録媒体を作製し、さらに媒体に対するヘッド浮上特性を評価した結果である。
以降では、共通した層構成を有する試料を用いた例について説明する。まず、ガラス基板上に磁気記録層を形成した。板には2.5インチ径ドーナツ基板を用い、この上に磁気記録層をDCスパッタ法により形成した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35sccm、投入電力500Wに設定し、基板側から10nm厚 NiTa下地層/4nm厚 Pd下地層/20nm厚 Ru下地層/3nm厚 CoPt記録層を順次成膜し、最後に1nm厚Pd保護層を形成することで磁気記録層を得た。
次に、マスク層を形成した。マスク層にはC膜を選定し、転写精度を改善するため更に上部にSi膜を転写層として用いた。C膜は15nm厚、Si膜は5nm厚とし、DCスパッタ法により両マスク層を形成した。
次いで、微粒子溶液を調製した。微粒子溶液の調製、塗布、およびSi転写層への転写方法は実施例1と同様である。なお、C膜への凹凸パターン転写前に、実施例2の方法と同様にしてSi転写層上からAu微粒子を溶解除去した。
C膜への凹凸パターン転写ではO2ガスをエッチャントとしたドライエッチングを適用し、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、アンテナ電力40W、バイアス電力40Wに設定し、29秒間エッチングすることで凹凸パターンをC膜へ転写した。
引き続き、凹凸パターンを磁気記録層へ転写した。磁気記録層への凹凸パターン転写ではイオンミリングを適用した。ここではArイオンによるミリング法を適用した。Arイオン加速電圧300V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Pa、基板面に対するイオン種の入射角度90°(垂直入射)として、55秒間ミリングを行い、CoPt記録層へ凹凸パターンを転写した。ここで、Si転写層およびCマスク層はイオンミリング時に消失するため、CoPt記録層上には残存していない。
最後に、2nm厚DLC膜を成膜した後、パーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凹凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例4
実施例4は、第2の溶媒における固形成分濃度を1重量%とすること以外は、実施例3と同様である。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例5
実施例5は、貴金属微粒子溶液の重量パーセント濃度を2.5%とすること以外は、実施例3と同様である。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例6
実施例6は、貴金属微粒子溶液の重量パーセント濃度を3%とすること以外は、実施例3と同様である。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例7
実施例7は、貴金属微粒子溶液の重量パーセント濃度を3.5%とすること以外は、実施例3と同様である。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例8
実施例8から実施例13は、貴金属微粒子に種々の材料を適用し、さらに卑金属材料として種々の保護基を有する高分子材料を適用した場合の結果である。第1の溶媒、第2の溶媒、第2の溶媒濃度、貴金属微粒子分散液濃度、ならびに磁気記録媒体への凹凸転写方法については、実施例3と同様である。
本例では、平均粒径9.7nmのAgを用いた。また、バインダーには実施例3と同様にチオール末端を有するポリスチレンを用いた。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例9
実施例9は、貴金属微粒子材料としてPtを用いること以外は、実施例8と同様である。
本例では、平均粒径18nmのPtを用いた。また、バインダーには実施例3と同様にチオール末端を有するポリスチレンを用いた。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例10
実施例10は、貴金属微粒子材料としてPdを用い、卑金属末端高分子鎖としてSi−ポリスチレンを用いること以外は、実施例8と同様である。
本例では、平均粒径10nmのPdを用いた。また、バインダーにはシロキサン末端を有するポリスチレンを用いた。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例11
実施例11は、貴金属微粒子材料としてIrを用い、卑金属末端高分子鎖としてCl−ポリスチレンを用いること以外は、実施例8と同様である。
本例では、平均粒径8.2nmのPdを用いた。また、バインダーにはクロル末端を有するポリスチレンを用いた。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例12
実施例12は、貴金属微粒子材料としてRhを用い、卑金属末端高分子鎖としてSH−ポリスチレンを用いること以外は、実施例8と同様である。
本例では、平均粒径14nmのRhを用いた。また、バインダーにはチオール末端を有するポリスチレンを用いた。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例13
実施例13は、貴金属微粒子材料としてRuを用い、卑金属末端高分子鎖としてCl−ポリスチレンを用いること以外は、実施例8と同様である。
本例では、平均粒径19.9nmのRuを用いた。また、バインダーにクロル末端を有するポリスチレンを用いた。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例14
実施例14は、第2の溶媒を変更した場合の結果であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。本例は第2の溶媒をトルエンからヘキサンに変えた場合である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例15
実施例15は、第2の溶媒をトルエンからプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに変更した場合の結果であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例16
実施例16は、第2の溶媒をトルエンからテトラヒドロフランに変更した場合の結果であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例17
実施例17は、第2の溶媒をトルエンから酢酸ヘキシルに変更した場合の結果であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例18
実施例18から実施例21は、第2の溶媒に含有される高分子材料を変更した場合の結果である。ここでは卑金属材料部分はチオール末端としている。
本例は高分子材料をメチルメタクリレートとした例であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例19
実施例19は、第2の溶媒に含有される高分子材料をポリスチレンからポリブタジエンに変更した場合の例であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例20
実施例20は、第2の溶媒に含有される高分子材料をポリスチレンからポリイソプレンに変更した場合の例であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例21
実施例21は、第2の溶媒に含有される高分子材料をポリスチレンからポリエチレンに変更した場合の例であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例22
実施例22から実施例24は、貴金属微粒子材料に合金を用いた場合の例である。
本例は貴金属微粒子部分にPtFeを適用した場合の例であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例23
実施例23は、貴金属微粒子材料にIrPdを用いた場合の例であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例24
実施例24は、貴金属微粒子材料にPdSiを用いた場合の例であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例25
実施例25は、貴金属微粒子を凹凸パターンに用いるナノインプリントスタンパの作製例を示すものである。
まず、ナノインプリントスタンパを作製するべく、微粒子を用いたマスター原盤を作製した。前述のように、マスター原盤には貴金属ナノ粒子を用いることで微細凹凸構造を形成する。さらに卑金属末端を有する高分子含有溶媒を用いることで基板からの剥離性を改善し、歪の小さいスタンパーを作製できる。
基板には汎用の6インチSiウェーハを用いた。このウェーハ上に、実施例3と同様にしてAu微粒子を塗布した。Au微粒子溶液調製時には、前述のように硫黄末端を具備するポリスチレンを用い、ポリスチレン固形成分濃度を重量パーセント0.5%、Au濃度を重量パーセント2.8%となるように調製した。塗膜にはスピンコート法を適用し、5000rpm、60秒間スピンコートすることで単層Au微粒子層を得た。
次に、得られた凹凸パターンに対して電鋳を行うため、Au微粒子パターン上に導電化膜を形成した。ここではNiを用い、DCスパッタ法により到達真空度8.0×10−4Pa、Arガス圧力1.0Pa、DC投入電力200Wの条件下で、5nm厚Ni導電膜をAu微粒子パターン上に一様被覆させた。導電膜形成法としてはスパッタ法のほかに蒸着法、または無電解メッキ法によるNi−P合金やNi−B合金にて代用する事もできる。また、スタンパーの剥離を容易に行なうために、導電膜形成後に表面を酸化させてもよい。この導電膜はAu微粒子層の上部近傍にのみ成膜され、パターン間隙が著しく狭い理由から微粒子間および基板表面側には成膜されない。したがって、金属微粒子が導電化膜によって担持され、かつ均一な導電性を有する導電化膜が形成されることになる。
続いて、電鋳法によりAu微粒子凹凸パターンに沿ってNi電鋳層を形成する。電鋳液には昭和化学(株)製の高濃度スルファミン酸ニッケルメッキ液(NS−169)を使用した。スルファミン酸ニッケル:600g/L、ホウ酸40g/L、ラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤0.15g/L、液温55℃、pH 3.8〜4.0、通電電流密度20A/dm2の電鋳条件にて、300μm厚となるNiスタンパーを作製した。
このNiスタンパーをマスター原盤から離型することで、凹凸パターンを有するナノインプリント用スタンパーが得られる。ところが、基板からスタンパーを離型する際にはNi膜が歪を持ち、ナノインプリント後の凹凸パターンの面内ムラが生じる。これに対し、前述の卑金属/高分子を含有する溶媒を剥離液として用いることで、物理的な歪が小さいスタンパーが得られる。
ここでは、重量パーセント濃度0.5%に調製した硫黄末端ポリスチレン/トルエン溶液を用いた。調製した溶液にSiウェーハ/電鋳層積層体を10分間浸漬し、剥離を行なった。その結果、Ni電鋳層は物理的にウェーハ上から引き剥がすことなく離型できたため、歪の小さいスタンパーが得られた。また、凹凸パターンとなるAuナノ粒子も同時に電鋳層として剥離されているため、パターン寸法ばらつきの小さいスタンパーが得られる。
離型後におけるスタンパーの凹部分には、マスター原盤から離型されたパーティクルがあるため、酸素アッシングを行い、これをスタンパー上から除去した。アッシングではバレル型チャンバーを具備したアッシャーを用い、酸素流量20sccm、投入電力200Wに設定し、30秒間のアッシングを行うことで凹部分からパーティクルを除去した。本例では説明しないが、レジスト材料を有機溶媒や酸等を用いてウェット除去することも可能である。最後に、電鋳したNi板を2.5インチ径の円盤状に打ち抜き加工し、ナノインプリント用Niスタンパーを得た。
このNiスタンパーを射出成型処理し、樹脂スタンパーを複製した。樹脂材料には、日本ゼオン(株)製環状オレフィンポリマー(ZEONOR 1060R)を用いた。
上記のように得られた樹脂スタンパーを用いて、レジスト層へ凹凸パターンを形成した。まず、媒体試料上へ紫外線硬化レジストを10nm厚でスピンコートし、これをレジスト層とした。続いて、レジスト層に前記樹脂スタンパーをインプリントし、紫外線を照射させることにより(紫外線硬化樹脂層を樹脂スタンパーで押下した状態で紫外線を照射)、レジスト層を硬化させる。硬化したレジスト層から樹脂スタンパーを離型することで所望の8nmドットパターンを得た。
試料の凹凸パターンの溝部にはインプリントに伴うレジスト残渣があるため、これをエッチングにより除去した。レジストの残渣除去は、O2エッチャントによるプラズマエッチングにより行なった。O2ガス流量5sccm、圧力0.1Pa、投入電力100W、バイアス電力10Wとし、8秒間のエッチングを行なうことでレジスト残渣を除去した。
実施例26
実施例26から28は、基板/被加工層/マスク層のトータルラフネスを変えた場合の結果であり、表面粗さの違いによるヘッド浮上特性の違いを調べたものである。
本例はマスクのトータル平均表面ラフネスRaを0.5nmとした場合の結果であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。ラフネスの調整はマスク層作製時におけるスパッタ圧力を変更することにより行なった。なお、平均表面ラフネス0.5nmのマスクにおける凹凸パターン転写精度は劣化していないことが確認できた。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例27
実施例27は、マスクのトータル平均表面ラフネスを0.6nmとした場合の結果であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。ラフネスの調整はマスク層作製時におけるスパッタ圧力を変更することにより行なった。なお、平均表面ラフネス0.6nmのマスクにおける凹凸パターン転写精度は劣化していないことが確認できた。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
実施例28
実施例28は、マスクのトータル表面ラフネスを0.7nmとした場合の結果であり、それ以外の工程は実施例3と同様である。ラフネスの調整はマスク層作製時におけるスパッタ圧力を変更することにより行なった。なお、平均表面ラフネス0.7nmのマスクにおける凹凸パターン転写精度は劣化していないことが確認できた。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることができた。
比較例1
比較例1から2は、微粒子溶液に添加する高分子含有溶液の濃度を変更した場合の結果である。ここでは、貴金属微粒子としてAu、被覆材料として硫黄、第1および第2の溶媒としてトルエン、高分子としてポリスチレンを用いた結果を示す。なお、Au微粒子溶液の濃度は重量パーセント2.8%とした。
本例は、分子量1300のポリスチレンを用い、溶液濃度を重量パーセント1.5%にした場合の結果であり、その他の工程は実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。その結果、ポリスチレン濃度が高濃度であったため媒体上に凝集塊が形成され、数十nmの凹凸差を生じていることがわかった。また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例2
比較例2は、添加するポリスチレン溶液濃度を重量パーセント2%に調製した場合の結果であり、それ以外の溶液調製条件、および凹凸転写工程については実施例3と同様である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。その結果、ポリスチレン濃度が高濃度であったため媒体上に凝集塊が形成され、数十nmの凹凸差を生じていることがわかった。この凝集塊は比較例1のものよりも大きく、数ミクロンオーダーで媒体面内にランダムに形成されていることが確認された。また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例3
比較例3から5は、貴金属微粒子溶液濃度および添加高分子溶液濃度を固定し、かつ高分子の分子量を変更した場合の結果である。溶液調製条件、および凹凸転写工程については実施例3と同様である。なお、本例は、ポリスチレン分子量を2000とした場合の結果である。
以降、実施例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。その結果、ポリスチレン濃度が高濃度であったため媒体上に凝集塊が形成され、数十nmの凹凸差を生じていることがわかった。この凝集塊は比較例1のものよりも大きく、数ミクロンオーダーで媒体面内に形成されていることが確認された。また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例4
比較例4は、ポリスチレン分子量を3000にした場合の結果であり、それ以外の内容は比較例3と同様である。
以降、比較例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。その結果、ポリスチレン濃度が高濃度であったため媒体上に凝集塊が形成され、数十nmの凹凸差を生じていることがわかった。この凝集塊は比較例1のものよりも大きく、数ミクロンオーダーで媒体面内に形成されていることが確認された。さらに、分子量の高分子量化に伴い微粒子間距離が拡大したため、微粒子間の相互作用が弱くなり、パターンピッチ分散が悪化していることがわかった。また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例5
比較例5は、ポリスチレン分子量を11000にした場合の結果であり、それ以外の内容は比較例3と同様である。
以降、比較例3と同様に金属微粒子の調製、塗布を行なった後、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。その結果、ポリスチレン濃度が高濃度であったため媒体上に凝集塊が形成され、数十nmの凹凸差を生じていることがわかった。この凝集塊は比較例1のものよりも大きく、数ミクロンオーダーで媒体面内に形成されていることが確認された。また、微粒子の階層構造は、低分子量ポリスチレンを用いた比較例3の場合よりも著しく増大し、数十nmの凹凸差が形成された。さらに、分子量の高分子量化に伴い微粒子間距離が拡大したため、微粒子間の相互作用が弱くなり、パターンピッチ分散が悪化していることがわかった。また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例6
比較例6は、卑金属被覆のないAuを用いた場合の結果であり、それ以外の条件は比較例3と同様である。
以降、比較例3と同様に金属微粒子溶液の調製、塗布を行なった後、マスク層、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。ここで、マスク層へ凹凸を転写した際、図19に示すようにAu微粒子が凝集し、パターン均一性を悪化させていることが確認された。これはAu微粒子周囲に被覆層が形成されていないため、エッチング中に生じた保護基の消失により容易に生じたものである。
また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例7
比較例7から9は、卑金属末端をもたないポリスチレンを添加高分子として用い、その溶液濃度を種々変更した場合の結果である。それ以外の条件は、比較例3と同様である。なお、本例では第2の溶媒をトルエン、ポリスチレン分子量を2000、第2の溶媒濃度を重量パーセント2%としている。
以降、比較例3と同様に金属微粒子溶液の調製、塗布を行なった後、マスク層、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。ここで、マスク層へ凹凸を転写した際、比較例6の場合と同様に、Au微粒子が凝集し、パターン均一性を悪化させていることが確認された。
また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例8
比較例8は、第2の溶媒濃度を4%とすること以外は比較例7と同様である。
以降、比較例7と同様に金属微粒子溶液の調製、塗布を行なった後、マスク層、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。ここで、マスク層へ凹凸を転写した際、比較例6の場合と同様に、Au微粒子が凝集し、パターン均一性を悪化させていることが確認された。また、溶液濃度の高濃度化によりポリスチレンが凝集傾向にあり、媒体面内において数百nm高さの凝集塊が形成されていることがわかった。
また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例9
比較例9は、第2の溶媒濃度を6%とすること以外は比較例7と同様である。
以降、比較例7と同様に金属微粒子溶液の調製、塗布を行なった後、マスク層、磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。ここで、マスク層へ凹凸を転写した際、比較例6の場合と同様に、Au微粒子が凝集し、パターン均一性を悪化させていることが確認された。また、溶液濃度の高濃度化によりポリスチレンが凝集傾向にあり、媒体面内において数百nm高さの凝集塊が形成されていることがわかった。
また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例10
比較例10から11は、基板上に形成し、エッチング処理を施した微粒子に対する剥離性を比較した例である。ここでは実施例の場合と比較して、第2の溶媒のみを用いた場合、および卑金属末端を持たない高分子含有溶媒を用いた場合について示す。
本例は、第2の溶媒、すなわち剥離溶媒としてトルエンのみを用いた場合の例であり、それ以外の条件は比較例3と同様である。貴金属微粒子の剥離は、微粒子下部の転写層へ凹凸パターンを形成した直後に行った。
本例のようにトルエンのみを剥離溶媒に用いた場合、エッチング後のAu微粒子はマスク上に残存しており、容易に除去することができなかった。また、マスク層への凹凸パターン形成の際、微粒子の凝集が著しく、転写精度を大きく悪化させる結果となった。
比較例11
比較例11は、剥離溶媒として卑金属末端をもたないポリスチレンを用いた場合であり、それ以外の条件は比較例10と同様である。なお、本例では第2の溶媒濃度を重量パーセント2%に調製した。
本例のように卑金属末端を持たないポリスチレンを用いた場合、エッチング後の微粒子に高分子鎖が結合しないため、剥離の傾向は比較例10と同様で、媒体面上の微粒子を除去できなかった。また、マスク層への凹凸パターン形成の際、微粒子の凝集が著しく、転写精度を大きく悪化させる結果となった。
比較例12
実施例12から14は、基板/被加工層/マスク層のトータルラフネスを変えた場合の結果であり、さらに、実施例との比較として卑金属・高分子添加を行なわなかった従来技術の場合の例を示すものである。
本例はマスクのトータル表面ラフネスを0.5nmとした場合の結果であり、それ以外の工程は比較例6と同様である。ラフネスの調整はマスク層作製時におけるスパッタ圧力を変更することにより行なった。なお、平均表面ラフネス0.5nmのマスクにおける凹凸パターン転写精度は、実施例26と比較して著明に劣化しており、凹凸ラフネスの加工マージンを許容できていない結果となった。さらに、微粒子層は凝集しており、転写パターンの寸法精度が極めて劣化していることがわかった。
また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例13
比較例13は、マスクのトータル表面ラフネスを0.6nmとした場合の結果であり、それ以外の工程は比較例12と同様である。ラフネスの調整では比較例12と同様に、マスク層作製時におけるスパッタ圧力を変更することにより行なった。なお、平均表面ラフネス0.6nmのマスクにおける凹凸パターン転写精度は比較例12よりも悪く、ラフネスの増大に伴うピッチ分散が悪化している結果となった。さらに、微粒子層は凝集しており、転写パターンの寸法精度が極めて劣化していることがわかった。
また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
比較例14
比較例14は、マスクのトータル表面ラフネスを0.7nmとした場合の結果であり、それ以外の工程は比較例12と同様である。ラフネスの調整では比較例12と同様に、マスク層作製時におけるスパッタ圧力を変更することにより行なった。なお、平均表面ラフネス0.7nmのマスクにおける凹凸パターン転写精度は比較例13よりも悪いことを確認した。特にラフネス増大に伴うピッチばらつきの影響により、微粒子間距離が狭くなった部分においては凝集が多く生じている結果となった。
また、得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体表面には多くのヒットが認められ、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である8nm浮上量をパスすることはできなかった。
上記実施例及び比較例について下記表1ないし表3にまとめて示す。
表中、SH−PSは、チオール末端ポリスチレンを、Si−PSは、シロキサン末端ポリスチレンを、Cl−PSはクロル末端ポリスチレンを、SH−MMAはチオール末端メタクリレート、SH−BRはチオール末端ポリブタジエンを、SH−IRはチオール末端ポリイソプレンを、SH−PEはチオール末端ポリエチレンを、PSはポリスチレンを各々示す。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。