JP2015011746A - パターン形成方法、それを用いた磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体、及びスタンパーの製造方法 - Google Patents

パターン形成方法、それを用いた磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体、及びスタンパーの製造方法 Download PDF

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彰 渡部
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香里 木村
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Abstract


【課題】パターン精度の良好な凹凸パターン加工を行う。
【解決手段】被加工層上に第1の金属からなる島状金属下地層、第1の金属と第2の金属と金属酸化物とを含む相分離剥離層、マスク層、及びレジスト層を順に形成した後、凹凸パターンをレジスト層に設け、マスク層、分離剥離層、及び被加工層へ順に転写し、続いて、相分離剥離層を第1の金属及び該第2の金属を溶解する剥離液を用いて溶解し、マスク層を被加工層から除去し、凹凸パターンを露出させるパターン形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、パターン形成方法、それを用いた磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体、及びスタンパーの製造方法に関する。
情報量の著しい増加に伴い、大容量情報記録装置の実現が渇望されている。ハードディスクドライブ(HDD)技術では高記録密度化を実現するため、垂直磁気記録を中心とした種々の技術開発が進められており、さらに、記録密度の向上と熱ゆらぎ耐性を両立できる媒体としてパターンド媒体が提案されており、その製造技術の開発が活発化している。
パターンド媒体は、単数もしくは複数の磁気的な領域を1セルとして記録するものであり、1ビットの情報を1セルで記録するためには、各記録セル同士が磁気的に分離されていれば良い。そのため、微細加工技術を用いて磁性ドット部と非磁性を同一平面内で形成すればよく、半導体製造技術を適用することで基板上に設けられた磁気記録層に対して微細凹凸パターンを形成し、物理的にパターンを分断することで磁気的に独立したパターンを得る方法がある。
磁性ドットパターンを設けるためには、あらかじめ磁性膜上にマスクを形成しておき、凹凸パターンを転写すればよい。あるいは、マスク材に凹凸パターンを設けた後、高エネルギーで照射されたイオンを磁性領域へ注入することでパターンを選択的に失活させる方法や、凹凸型をレジスト材に押下して凹凸パターンを転写する方法もある。
一方、半導体デバイスで用いられる配線パターンの微細化も目覚ましく、例えばMOSトランジスタのゲート配線においては数十(nm)のオーダーにまでパターンの狭小化が進んでいる。各ユニット内に実装し得る半導体デバイスの個数は記録容量と直結するため、さらに微細パターンを基板上で作製する必要がある。
これらの微細パターンを基板上に形成するためには上述したマスク材料に凹凸を設け、その凹凸パターンを下層側へ転写すれば良い。転写後の凹凸パターン上に残存したマスクパターンを除去するためには、エッチングなどの方法によりマスクそのものを除去するか、あるいは、被加工層とマスク層との間にあらかじめ剥離層を設けておき、被加工層の凹凸加工後に剥離層を除去することで、基板上から不要なマスク層を除去する、いわゆるリフトオフプロセスが適用される。
磁気記録媒体への書き込みあるいは読み出しを行うための磁気ヘッドを媒体上で走査させる場合、磁気記録層上のマスクパターンが残存していると磁性ドットである凸部が高くなり、ヘッドクラッシュが生じてしまう。また、磁気記録層−磁気ヘッド間の距離が広いと磁気ヘッドが検出できる信号S/N比が小さくなる。そのため、磁気記録層をパターニングした後では磁気記録層上のマスクパターンを除去して凸部の高さを低くしておく必要があり、実プロセスでは磁気記録層とマスク層の間に剥離層を設けるのが好ましい。この剥離層を溶解することで磁気記録層上からマスク層を除去し、媒体の平坦性を改善することができ、良好なグライド特性を得られる。
パターンド媒体の剥離プロセスでは、カーボン膜を酸素プラズマ雰囲気に曝露しドライエッチングにより剥離する方法の他、金属膜を剥離層とし、酸などの剥離溶液を用いたウェットエッチングにより剥離する方法がある。ドライエッチングでは、マスク加工後に残存したパーティクルが転写用マスクとなってしまうため、加工後にも媒体表面にパーティクルが残ることになり、HDI(Head Disk Interface)特性が劣化する。これに対して、ウェットエッチングでは剥離層を溶解することでパーティクルがリフトオフされるため、媒体表面の残存物は少なくなりHDI特性が改善される。
ウェット剥離で用いる剥離層は、更に上部に設けるマスク層の下地層となるため、マスク加工後のパターン寸法ばらつきを低減し面内均一性を維持するためには、剥離層の表面ラフネスは小さいことが望まれる。
一方、磁気記録層を加工する前には凹凸パターンを剥離層にも転写する必要があるが、その際にはマスク層の後退が生じるため、磁気記録層の加工マージンが狭くなるといった問題が生じる。そこで、従来技術では加工マージンと剥離性を両立するため、剥離層厚を最適な厚さに調整するのが一般的である。しかしながら、剥離層を薄膜化すると加工マスクの後退は少なくて済むものの、剥離層に対する剥離溶液の接触面積が低減するため、剥離後の残渣が多くなる。逆に、剥離層を厚膜化した場合、剥離性は改善されるが、厚膜剥離層を加工するためのマージンが狭くなる他、表面ラフネスの増大に伴いパターン寸法ばらつきが大きくなる。したがって、剥離層厚の調整は本質的な課題解決に至らず、剥離層における微細パターンの転写および剥離においては、剥離層の加工性・剥離性ならびに平坦性を改善することが望まれる。
また、半導体デバイスにおいては、配線パターンのリフトオフ不良が信号の不良短絡につながるため、凹凸間に残存する不要な層は可及的に除去しておかなければならない。そのため、微小寸法を具備する凹凸パターンにおいても確実に除去し得る剥離層を用いることが必須である。すなわち、剥離溶液に対する剥離層の剥離レート(エッチングレート)が速いことが望ましい。
さらに、前述のごとく著しいパターンの狭小化は、エッチング時における加工性を劣化させる。これは、微細凹凸に対してエッチング時の活性種が十分に接触しないためであり、加工マージンを低下させる要因につながる。よって、マスク層下部に設けられる剥離層には、より良好な加工性、すなわち高エッチングレートが求められる。
以上のように、微細パターンのリフトオフ加工において、剥離層に求められる要件は(1)高剥離レート、(2)高ドライエッチングレート、(3)平坦性の三者であり、これらを全て良化し得る材料が必要である。
例えば、合金あるいは酸化物を剥離層として用いる技術が提案されているが、高濃度の酸剥離液を用いた剥離を行なわなければならず、剥離液の接触により周辺材料にダメージが生じることになる。
また、例えば、表面を改質した金属剥離層を用いる技術が提案されているが、表面平坦性を維持することが困難であり、その後のマスク層の積層に伴い表面平坦性がさらに劣化することで、パターン均一性を損なうことになる。
したがって、従来技術を適用して狭小化パターンを形成しようとする場合、剥離性、加工性、平坦性を満足し得ないためにパターン均一性の悪化が生じる。すなわち、半導体デバイスにおいては、信号配線の不良短絡、磁気記録媒体においてはHDI(Head Disk Interface)特性の劣化を招くことになる。
特開2010−108559号公報 特開2010−9710号公報
本発明の実施形態は、パターン精度が良好なパターン形成方法、磁気記録媒体の製造方法、磁気記録媒体、及びスタンパーの製造方法を提供することを目的とする
実施形態によれば、
基板上に被加工層を形成する工程と、
被加工層上に第1の金属を含む島状の金属下地層を形成する工程と、
被加工層及び前記島状金属下地層上に、少なくとも第1の金属と該第1の金属とは異なる第2の金属と金属酸化物とを含む相分離剥離層を形成する工程と、
相分離剥離層上にマスク層を形成する工程と、
マスク層上にレジスト層を形成する工程と、
レジスト層に凹凸パターンを設ける工程と、
凹凸パターンを該マスク層へ転写する工程と、
凹凸パターンを該相分離剥離層へ転写する工程と、
凹凸パターンを被加工層へ転写する工程と、
相分離剥離層を該第1の金属及び該第2の金属を溶解する剥離液を用いて溶解し、マスク層を被加工層から除去し、被加工層からなる凹凸パターンを露出させる工程とを具備することを特徴とするパターン形成方法が提供される。
第1の実施形態にかかるパターン形成方法の一例を表す図である。 第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図である。 第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図である。 第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図である。 第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図である。 第3の実施形態にかかるスタンパーの製造方法の一例を表す図である。 第3の実施形態にかかるスタンパーの製造方法の他の一例を表す図である。 第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図である。 第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図である。 第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図である。 第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図である。 相分離剥離層の上面の構成の一例を表す模式図である。 相分離剥離層の上面の構成の他の一例を表す模式図である。 図12のA-A断面図である。 図13のB−B断面図である。 磁気記録媒体の周方向に対する記録ビットパターンの一例を表す図である。 磁気記録媒体の周方向に対する記録ビットパターンの他の一例を表す図である。 実施形態にかかる磁気記録媒体を適用可能な磁気記録再生装置の一例を、一部分解した斜視図である。
第1の実施形態に係るパターン形成方法は、
基板上に被加工層を形成する工程と、
被加工層上に第1の金属を含む島状の金属下地層を形成する工程と、
被加工層及び島状金属下地層上に、少なくとも第1の金属と第1の金属とは異なる第2の金属と金属酸化物とを含む相分離剥離層を形成する工程と、
相分離剥離層上にマスク層を形成する工程と、
マスク層上にレジスト層を形成する工程と、
レジスト層に凹凸パターンを設ける工程と、
凹凸パターンをマスク層へ転写する工程と、
凹凸パターンを該相分離剥離層へ転写する工程と、
凹凸パターンを被加工層へ転写する工程と、
相分離剥離層を第1の金属及び第2の金属を溶解する剥離液を用いて溶解し、マスク層を被加工層から除去し、被加工層からなる凹凸パターンを露出させる工程とを含む。
第2の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法は、上記被加工層として磁気記録層を適用したものであり、基板上に磁気記録層を形成する工程と、
磁気記録層上に、第1の金属を含む島状金属下地層を形成する工程と、
該磁気記録層及び該島状金属下地層上に、該第1の金属と該第1の金属とは異なる第2の金属と金属酸化物とを含有する相分離剥離層を形成する工程と、
剥離層上にマスク層を形成する工程と、
マスク層上にレジスト層を形成する工程と、
レジスト層に凹凸パターンを形成する工程と、
レジスト層の凹凸パターンを前記マスク層へ転写する工程と、
凹凸パターンを剥離層へ転写する工程と、
凹凸パターンを磁気記録層へ転写する工程と、
前記剥離層を剥離液を用いて溶解し、磁気記録層上からマスク層を除去する工程とを含む。
第3の実施形態に係る磁気記録媒体は、第2の実施形態に係る磁気記録媒体の製造方法を用いて得られたものである。
また、第4の実施形態に係るスタンパーの製造方法は、
基板上に第1の金属を含む島状の金属下地層を形成する工程と、
基板及び島状金属下地層上に、少なくとも第1の金属と第1の金属とは異なる第2の金属と金属酸化物とを含む相分離剥離層を形成する工程と、
相分離剥離層上にレジスト層を形成する工程と、
レジスト層に凹凸パターンを設ける工程と、
レジスト層及び該相分離剥離層上に凹凸パターンに沿って導電層を設ける工程と、
導電層を電極として電気めっきを行うことにより電鋳層を形成する工程と、
相分離剥離層を第1の金属及び第2の金属を溶解する剥離液を用いて溶解し、基板を電鋳層から除去する工程と、
電鋳層に残留するレジスト層を除去する工程とを含む。
第1ないし第3の実施形態によれば、被加工層上に、第1の金属を含む島状の金属下地層と、第1の金属、第2の金属、及び金属酸化物を含む相分離剥離層とを順に形成することにより、剥離液による剥離性、ドライエッチングにおける加工性及び平坦性に優れた相分離剥離層が得られる。これにより、パターン精度の良好な凹凸加工を行うことができる。
第1の金属及び第2の金属は、例えばMo、W、Ge、Zn、Li、Mg、Al、Si、Cr、Co、Ni、Fe、Zr、Nb、Ru、Ag、In、Hf、Ta、Au、Tl、Ga、Y、及びBiからなる群から選択され得る。これらの金属は元素周期表の金属元素の相当する材料から選択され得るものであり、特に好ましくは第3族から第13族、ならびに第4周期から第7周期を包括する元素、いわゆるDブロック元素を用いる。
また、金属酸化物は、SiO、TiO、Al、NiO、GeO、ZnO、Cr、CoO、Fe、ZrO、NbO、RuO、AgO、HfO、及びTaからなる群から選択され得る。
金属酸化物には、第1の金属及び第2の金属とは異なる第3の金属を使用することができる。
好ましくは、第1の金属及び第2の金属は剥離液に対して可溶であり、金属酸化物は剥離液に対して不溶である。剥離層は膜内において相分離構造を有する。この相分離構造は、第1の金属および第2の金属からなる相と、金属酸化物からなる相の2種類の相を具備し、それぞれが膜内において周期的または非周期的な構造を取り得る。
剥離液として、例えば酸またはアルカリを使用することができる。
具体的な酸として、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、弗化水素酸、硫酸、ホウ酸などの無機酸の他、ギ酸、シュウ酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。これらは適宜組み合わせて用いることが可能である。また、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
剥離液の溶液中の濃度は5重量%よりも小さいことが好ましい。より好ましくは、0.01ないし1重量%である。1重量%未満であると、剥離層溶解後の基板上の残渣を少なくでき、かつ剥離液による周囲のパターンのダメージ低減を両立可能となる傾向があり、1重量%を越えると、パターンに対する剥離液の過剰な溶解に伴うダメージが大きくなるほか、凹凸パターンの形状を劣化してしまう傾向がある。
また、基板上に形成された剥離層は単膜で0.2nm以下の表面ラフネスを有することが好ましい。
剥離層の表面ラフネスが0.2nmを越えると、剥離層上に形成するマスク層のラフネスが無視できないため、凹凸転写パターンの寸法ばらつきが大きくとなる傾向がある。実際には基板表面および被加工層表面のラフネスが剥離層のラフネスに重畳するため、実プロセス上は、基板上の被加工層上に形成した剥離層の表面ラフネスが0.38nm以下であることが好ましい。
なお。ここでいう表面ラフネスは、原子間力顕微鏡(AFM)による面内凹凸差を測定し、対象面積内における平均値に換算されたものである。
レジスト層を形成する工程の前に、マスク層上に転写層を形成する工程をさらに含むことができる。
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
図1(a)ないし図1(i)に、第1の実施形態にかかるパターン形成方法の一例を表す図を示す。
まず、図1(a)に示すように基板1上に被加工層2を形成する。
次に、図1(b)に示すように、被加工層2上に島状の金属下地層3を形成する。
続いて、図1(c)に示すように、被加工層2及び金属下地層3上に相分離剥離層4を形成する。ここで、島状金属下地層3は相分離剥離層4と合金化され、後述するリフトオフ工程において相分離剥離層とともに溶解される。
その後、図1(d)に示すように、相分離剥離層4上に、マスク層5、レジスト層6をそれぞれ形成する。
さらに、図1(e)に示すようにレジスト層6をパターン加工して、凹凸パターンを形成する。
続いて、図1(f)に示すように凹凸パターンをマスク層5に転写する。
続いて、図1(g)に示すように凹凸パターンを相分離剥離層4に転写する。
続いて、図1(h)に示すように凹凸パターンを被加工層2に転写する。
その後、図1(i)に示すように、相分離剥離層4を溶解除去し、被加工層2上からマスク層5を除去する。
これにより被加工層2に凹凸加工を行うことができる。
図2(a)ないし図2(j)に、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の一例を表す図を示す。
図示するように、被加工層2の代わりに磁気記録層7を使用すること、及び図2(i)に示すように相分離剥離層4を溶解除去し、磁気記録層7上からマスク層5を除去した後、さらに、図2(j)に示すように磁気記録層7上に保護層8を形成すること以外は、図1(a)ないし図1(i)と同様にして、磁気記録媒体20を得ることができる。
図3(a)ないし図3(k)に、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図を示す。
図示するように、図3(d)においてレジスト層6を形成する工程の前に、マスク層5上に転写層9を形成すること、図3(f)に示すようにレジスト層6の凹凸パターンをマスク層5に転写する前に転写層9に転写する工程をさらに有すること以外は図2(a)ないし図2(j)と同様にして、磁気記録媒体30を得ることができる。
図4(a)ないし図4(l)に、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図を示す。
レジスト層6の凹凸パターンを設ける際に電子線描画を行うことができる。図示するように、まず、図4(e)に示すようにレジスト層6に対して電子線露光を行い、その後、露光後のパターンを現像することにより、図4(f)に示すようにレジスト層6に凹凸パターンを設けること以外は、図3(a)ないし図3(k)と同様にして、磁気記録媒体40を得ることができる。
図5(a)ないし図5(m)に、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図を示す。
あるいは、レジスト層の凹凸パターンとして自己組織化膜を用いることができる。図示するように、この方法は、まず、図5(e)に示すように、転写層9上に、図3(d)のレジスト層6を形成する代わりに、転写層上に少なくとも2種のポリマー鎖を含む自己組織化ポリマー層10を形成する工程と、図3(e)の代わりに、図5(f)に示すようにポリマー層10にエネルギーを付与して膜内にミクロ相分離構造を形成せしめ、図5(g)に示すように相分離構造の凹凸を用いて転写層へパターンを転写する工程とを含むこと以外は、図3(a)ないし図3(k)と同様にして、磁気記録媒体50を得ることができる。
図6(a)ないし図6(h)に、第3の実施形態にかかるスタンパーの製造方法の一例を表す図を示す。
まず、図6(a)に示すように基板1上に島状の金属下地層3を形成する。
続いて、図6(b)に示すように、基板1及び島状の金属下地層3上に相分離剥離層4を形成する。
その後、図6(c)に示すように、相分離剥離層4上にレジスト層6を形成する。
さらに、図6(d)に示すように、レジスト層6をパターン加工して凹凸パターンを形成する。
続いて、図6(e)に示すように、凹凸パターンに沿ってレジスト層6及び相分離剥離層4上に導電層12を形成する。
続いて、図6(f)に示すように、導電層12を電極として電気めっきを行うことにより電鋳層14を形成する。
続いて、図6(g)に示すように相分離剥離層4を溶解除去し、基板1を電鋳層14から除去する。
その後、図6(h)に示すように、電鋳層に残留するレジスト層を除去する。
これにより、スタンパー60が得られる。
図7(a)ないし図7(j)に、第3の実施形態にかかるスタンパーの製造方法の他の一例を表す図を示す。
図示するように、図6(c)の相分離剥離層4上にレジスト層6を形成する工程の代わりに、図7(c)に示すように、相分離剥離層4上とレジスト層6との間にマスク層5と転写層9をさらに形成すること、図6(e)の導電層を形成する工程の前に、図7(e)に示すように凹凸パターンを転写層9に転写すること、及び図7(f)に示すように凹凸パターンをマスク層5に転写すること以外は図6(a)ないし図6(h)と同様にして、スタンパー70を得ることができる。
図8(a)ないし図8(i)及び図9(j)ないし図9(m)に、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図を示す。
図8(a)ないし図8(i)及び図9(j)ないし図9(m)に示すように、図3(e)のレジスト層6をパターン加工して、凹凸パターンを形成する代わりに、図8(e)に示すようにレジスト層6にインプリントスタンパ60を押し込み、図8(f)に示すようにインプリントスタンパ60を剥離して、磁気記録媒体の片面上に凹凸パターンを転写し、図8(g)に示すように凹部の残渣を除去すること以外は、図3(a)ないし図3(k)と同様にして、スタンパー80を得ることができる。
図10は、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図を示す。
図示するように、マスク上に微細な規則化パターンを形成できる金属微粒子の自己組織化現象により、凹凸パターンを形成する。
まず、図10(a)に示すように基板1上に磁気記録層7を形成する。
次に、図10(b)に示すように、磁気記録層7上に島状の金属下地層3を形成する。
続いて、図10(c)に示すように、磁気記録層7及び島状の金属下地層3上に相分離剥離層4を形成する。
その後、図10(d)に示すように、相分離剥離層4上に、マスク層5、転写層9をそれぞれ形成する。
さらに、図10(e)に示すように、転写層9上に、金属微粒子と有機溶媒を含む金属微粒子分散液を塗布、乾燥して金属微粒子マスク層13からなる凹凸パターンを形成する。
続いて、図10(f)に示すように、凹凸パターンを転写層9に転写する。
続いて、図10(g)に示すように、凹凸パターンをマスク層5に転写する。
続いて、図10(h)に示すように、凹凸パターンを相分離剥離層4に転写する。
続いて、図10(i)に示すように、凹凸パターンを磁気記録層7に転写する。
続いて、図10(j)に示すように、相分離剥離層4を溶解除去し、磁気記録層7上からマスク層5を除去する。
その後、図10(k)に示すように、磁気記録層7上に保護層8を形成する。
これにより、磁気記録媒体90が得られる。
図11は、第2の実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の一例を表す図を示す。
図示するように、図10(e)において金属微粒子と有機溶媒を含む金属微粒子分散液を塗布する代わりに、図11(e)に示すように、金属微粒子と有機溶媒と、有機物からなるバインダーをさらに含む金属微粒子分散液を塗布して、金属微粒子13を含むバインダー層14を形成した後、図11(f)に示すように、金属微粒子13周囲を包含するバインダー層14の大部分を除去し、金属微粒子13と金属微粒子13下部のバインダー層14からなる凹凸パターンを形成すること以外は、図10(a)ないし図10(k)と同様にして、磁気記録媒体100が得られる。
実施形態にかかるパターンの形成方法によれば、剥離不良を少なくすることで面内の異常突起を減らし、かつ寸法均一性に優れた微細パターンを得ることが可能である。
また、実施形態にかかる磁気記録媒体の製造方法によれば、平坦性に優れた剥離層を用いて、剥離残渣の少ない凹凸加工が可能となり、寸法均一性に優れた微細パターンを持つ磁気記録層を有する磁気記録媒体が提供される。また、このような磁気記録媒体は、面内均一性が良好であるため、媒体に対するヘッド走査時のグライド特性が改善される。さらに、高記録密度化に適した微細パターンを簡便に製造可能であり、製造プロセスの簡易化が実現される。
さらに、実施形態に係るスタンパーの製造方法によれば、平坦性を満足する剥離層と該剥離層のリフトオフにより面内歪が少なく、平坦性が良く、しかも寸法均一性に優れた微細パターンを持つスタンパーを形成することができる。
図1(a)ないし図11(l)に記載の方法は、必要に応じて相互に組み合わせて実施することが可能である。
実施形態の詳細について、以下に説明する。
磁気記録層形成工程
まず、基板上に磁気記録層を形成し、磁気記録媒体を得る。
基板の形状には何ら限定は無いが、通常は円形で、硬質のものが用いられる。例えば、ガラス基板、金属含有基板、カーボン基板、セラミックス基板などが用いられる。パターンの面内均一性を良好にするため、基板表面の凹凸は小さくすることが望ましい。また、必要に応じて基板表面には酸化膜をはじめとした保護膜を形成しておくことも可能である。
ガラス基板としては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスに代表されるアモルファスガラス、及びリチウム系ガラスに代表される結晶化ガラス等を用いることができる。また、セラミックス基板としては、アルミナ、窒化アルミニウム、及び窒化珪素を主成分とする焼結体基板を用いることが可能である。
基板上にはコバルトを主成分とした垂直磁気記録層を有する磁気記録層を形成することができる。
必要に応じて、基板と垂直磁気記録層の間には高透磁率を有する軟磁性裏打ち層(SUL; Soft Under Layer)を形成することができる。軟磁性裏打ち層は垂直磁気記録層を磁化するための磁気ヘッドからの記録磁界を環流させるといった磁気ヘッド機能の一部を担っており、磁界の記録層に急峻で十分な垂直磁界を印加させ、記録再生効率を向上させることができる。
軟磁性裏打ち層としては、例えば、Fe、Ni、及びCoを含む材料を用いることができる。これらの材料のうち、結晶磁気異方性、結晶欠陥および粒界が存在せず優れた軟磁性を示すアモルファス材料を好ましく使用できる。軟磁性アモルファス材料を使用することにより、記録媒体の低ノイズ化を図ることができる。軟磁性アモルファス材料として、例えば、Coを主成分として、これに対しZr、Nb、Hf、Ti、Taのうち少なくとも1種を含有したCo合金、例えばCoZr、CoZrNb、及びCoZrTaなどを選択できる。
また、軟磁性裏打ち層と基板との間には軟磁性裏打ち層の密着性向上のために下地層を設けることができる。下地層材料としては、例えば、Ni、Ti、Ta、W、Cr、Pt、及びその合金、その酸化物、及びその窒化物から選択された少なくとも1種の材料を使用できる。下地層材料として例えばNiTa、及びNiCrなどを用いることが可能である。なお、これらの下地層は多層にすることができる。
更に、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間には非磁性金属材料からなる中間層を設けることができる。中間層の役割は、軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との間の交換結合相互作用を遮断することと、垂直磁気記録層の結晶性を制御することの二つである。中間層材料としては、Ru、Pt、Pd、W、Ti、Ta、Cr、Si、その合金、その酸化物、及びその窒化物から選択することができる。
垂直磁気記録層は、Coを主成分とするとともに少なくともPtを含み、更に金属酸化物を含むことができる。垂直磁気記録層は、Co及びPtに加えて、他にもB、Ta、Mo、Cu、Nd、W、Nb、Sm、Tb、及びRuから選ばれる1種類以上の元素をさらに含むことができる。上記元素をさらに含有することにより、磁性粒子の微粒子化を促進し、結晶性、配向性を向上させることができ、これにより、高記録密度に適した記録再生特性と熱ゆらぎ特性を得ることができる。垂直磁気記録層は具体的にCoPt系合金、CoCr系合金、CoCrPt系合金、CoPtO、CoPtCrO、CoPtSi、CoPtCrSi、CoCrSiOなどの合金を用いることが可能である。
垂直磁気記録層の厚さは、再生出力信号を高確度で測定するために1.0nm厚以上が好ましく、信号強度の歪を抑えるために40nm厚以下が好ましい。1.0nmよりも薄いと再生出力が極めて小さくノイズ成分が優位になる傾向がある。逆に、40nmよりも厚い場合は再生出力が過剰となり、信号波形に歪が生じる傾向がある。
垂直磁気記録層上部には保護層を設けることができる。保護層は、垂直磁気記録層の腐食・劣化を防ぐとともに、磁気ヘッドが記録媒体に接触した時に生じる媒体表面の損傷を防ぐ効果がある。保護層材料としては、例えばC、Pd、SiO、及びZrOを含むものが挙げられる。カーボンはsp結合炭素(グラファイト)とsp結合炭素(ダイヤモンド)に分類できる。耐久性、耐食性はsp結合炭素の方が優れ、逆に平坦性はsp結合炭素の方が優れる。通常、カーボンの成膜はグラファイトターゲットを用いたスパッタリング法により行われ、sp結合炭素とsp結合炭素が混在したアモルファスカーボンが成膜されるが、sp結合炭素の割合が大きいものはダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれ、耐久性、耐食性、平坦性に優れており、磁気記録層の保護層としてより好適である。
保護層の上部には更に潤滑層を設けることができる。潤滑層に用いられる潤滑剤としては、例えばパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、及びフッ素化カルボン酸などが挙げられる。
相分離剥離層形成工程
次に、被加工層上に相分離剥離層を形成する。
微細パターンをリフトオフで形成する場合、剥離層が薄いと剥離性が阻害されて凹凸残渣が生じる傾向があり、一方、剥離層が厚いと加工マージンを確保できず、凹凸転写ムラが生じる傾向がある。したがって、厚い剥離層においても加工が容易であること、すなわち、加工レートが速いことが望まれる他、容易な剥離を実現するために速い溶解レートも必要となる。加えて、剥離層溶解時における周囲のパターンへのダメージを軽減するために、剥離液を低濃度にする必要があり、それに伴い低濃度剥離液でも溶解し得る剥離層材料が必須となる。さらに、剥離層の平坦性は上層のマスク層ならびにレジスト層のパターニングの際の均一性と直結するパラメータとなるため、より平坦な層として形成されることが望ましい。
実施形態によれば、相分離剥離層を用いることでこれらの課題を全て解決することができる。
図12に実施形態における相分離剥離層の構成の一例の上面を模式的に表す図を示す。
図13に実施形態における相分離剥離層の構成他の例の上面を模式的に表す図を示す。
また、図14は図12のA-A断面図、図15は図13のB−B断面図である。
図のように、相分離剥離層4は前述の第1の金属と第2の金属を含有する相15と、金属酸化物からなる相16の2相に分離した構造を具備する。これらは図12のような周期パターンとなる他、図13の非周期パターン、いわゆるグラニュラ構造にもなり得る。また、種々の相分離構造のうち凹凸パターン転写後に求められる良好な剥離性を満足するため、図12、図13のように各相は基板面に対して垂直方向に成長した柱状相分離構造となることが好ましい。同図では第1の金属と第2の金属からなる柱状島パターンを有する相15と、金属酸化物からなる海パターンを有する相16を示しているが、第1の金属、第2の金属および金属酸化物の組成によっては各相が逆転することもある。柱状パターンと海状パターンが形成するピッチは、マスク層を加工する凹凸パターンのピッチと同程度であることが望ましいが、必ずしも周期的な構造を形成しておく必要はない。
まず、剥離層内のミクロ相分離を良好にするため、被加工層上に島状パターンを形成する。この島状パターンは後の相分離剥離層成膜工程で奏効し、より明瞭なミクロ相分離構造を形成する核となる。逆にこれが存在しない場合は、相分離剥離層は合金層となり良好な剥離性を発現できなくなる。島状金属下地層は酸もしくはアルカリ溶液に可溶な金属からなることが好ましい。島状金属下地層はスパッタ法などの種々の方法により形成可能であるが、同一平面上において分離した構造を形成する必要があるため、例えば高圧スパッタ法などの方法が好ましい。
次に、相分離剥離層を形成する。上述のように、相分離剥離層は性質の異なる2種類の材料からなるミクロ相分離構造を有するもので、代表的な相分離構造は基板厚さ方向に展延した柱状(シリンダ)構造である。このような相分離構造を明瞭に形成するために、相分離剥離層は2種類の可溶金属と、1種類の酸化物から構成することができる。1種類の可溶金属と1種類の酸化物で構成する場合、両者のミキシングが顕著となるために合金層として形成されてしまい、良好な剥離レートを得ることができない。
層内部においては、2種類の合金からなる島状垂直シリンダーパターンと、1種類の酸化物からなる海状マトリックスパターンが含まれる。このうち、マトリックスパターンの偏析により、加工レートはシリンダーパターンを構成する材料のみの場合に対して、マトリックスパターンのみの場合にシフトすることになる。よって、マトリックスパターンを酸化物材料にすることで従来の合金剥離層よりも速い加工レートを実現することが可能となる。また、可溶部である合金シリンダーパターンの材料は、酸化物マトリックス内部にも拡散しているため、膜全体の溶解性を損なうことなく溶解させることができる。さらに、正味の溶解金属の密度が酸化物の存在により低くなっているため、溶解レートは金属単体のそれよりも速い。また、剥離層上部はシリンダーおよびマトリックスが自己組織的なミクロ相分離を終え、自由空間のエネルギーに対して釣り合おうとするため、その表面性すなわち膜面の平坦性は金属単体、合金単体、および酸化物単体のそれよりも良好であり、表面ラフネスが改善される。よって、剥離レート、加工レート、表面平坦性を全て改善し得る剥離層を実現することが可能である。
マスク層形成工程
磁気記録層の上に凹凸パターン転写用のマスク層を形成する。
磁気記録層上に保護層が設けられている場合には、マスク層は保護層上に設けることができる。
このマスク層は磁気記録層の加工における主マスクとなるため、磁気記録層ならびに後述の金属微粒子材料とのエッチング選択比を維持できるような材料を適用することができる。具体的な材料としては、例えば、Al、C、Si、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Fe、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Au、Hf、Ta、W、及びPtからなる群から選択され、これらの化合物もしくは合金からなる材料をマスク層へ適用することも可能である。ここで、化合物とは、例えば、酸化物、窒化物、ホウ化物、及び炭化物などから選ばれる。また、合金は、上記の群から選択される2種類以上の材料により構成される。この場合、マスク層の上に形成される金属微粒子膜の材料と凹凸パターン寸法に対してエッチング選択比を確保し得るマスク層材料を選択し、さらにその膜厚を適切に決定すすることができる。
これらのマスク層は、例えば、真空蒸着法、電子線蒸着法、分子線蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法に代表される物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、及び熱・光・プラズマを用いた化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)等の方法により形成できる。
マスク層の厚さは、物理的・化学的気相成長法においては、例えば、プロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、成膜時間などのパラメータを適宜変更することで調整が可能である。このマスク層上部に形成される金属微粒子層の配列精度ならびに凹凸パターンの転写精度は、マスク層の表面ラフネスに強く依存する。したがって、マスク層においてはその表面ラフネスを低減しておくことが好ましく、上記成膜条件を種々調整することでこれを実現可能である。狭ピッチパターンを高精細にパターニングするために、所望のパターンピッチに対して表面ラフネスの周期は小さいことが特に好ましい。また、平均表面ラフネスの値は0.6nm以下であることが望ましい。0.6nmよりも大きいと、後述する金属微粒子の配列精度が悪化し、磁気記録媒体の信号S/Nが劣化するためで傾向がある。
表面ラフネスを低減するためには上記成膜条件を種々変更する他、マスク層材料を結晶質のものから非晶質のものにすることで、これを実現可能である。
マスク層の厚さは、剥離層および磁気記録層とのエッチング選択比や凹凸パターン寸法を考慮して決定することができる。マスク層成膜の際には、例えばプロセスガス圧力、ガス流量、基板温度、投入電力、到達真空度、チャンバー雰囲気、及び成膜時間などのパラメータを変えることで調整できる。成膜で用いるスパッタガスはArをはじめとした希ガスを主とすることが可能であり、さらに成膜するマスク材料によってO、Nなどの反応性ガスを混合することで所望の合金を成膜することもできる。
また、マスク層の厚さは微細パターンを高精細に転写するために、1nm以上50nm以下にすることが好ましい。1nmよりも薄いとマスク層が均一に成膜されず、また、50nmよりも厚いと深さ方向に対する凹凸パターンの転写精度が劣化する傾向がある。
後述のように、マスク層を介して凹凸パターンを磁気記録層へ形成した後、マスク層を除去することで凹凸を有する磁気記録層を得ることができる。ここで、マスク層を除去する場合はドライエッチングもしくはウェットエッチングなどの方法を適用するが、あらかじめマスク層と磁気記録層との間に剥離層を形成しておき、これを除去することで磁気記録層上からマスク層を剥離することもできる。
マスク層は1層または2層以上形成することができる。前述のようなマスク層を例えば第1のマスク層、及び第2のマスク層を含む積層体にすることも可能である。例えば第1のマスク層と第2のマスク層とを異なる材料から構成することで、エッチング選択比を大きくし、転写精度を改善することが可能である。ここでは便宜上、第2のマスク層を第1のマスク層に対する転写層と呼び、基板側から磁気記録層/マスク層/転写層のように表記する。
この転写層は金属微粒子材料およびマスク層材料とのエッチング選択比を考慮して、種々の材料から適切に選択できる。マスク材料の組み合わせを決める場合、エッチング溶液あるいはエッチングガスに対応した金属材料を選択することができる。ドライエッチングを想定して各材料を組み合わせる場合、例えば、基板側からマスク層/転写層の順にC/Si、Si/Al、Si/Ni、Si/Cu、Si/Mo、Si/MoSi、Si/Ta、Si/Cr、Si/W、Si/Ti、Si/Ru、Si/Hfなどが挙げられる他、SiをSiO、Si、SiCなどで置き換えた構成にすることができる。また、Al/Ni、Al/Ti、Al/TiO、Al/TiN、Cr/Al、Cr/Ni、Cr/MoSi、Cr/W、GaN/Ni、GaN/NiTa、GaN/NiV、Ta/Ni、Ta/Cu、Ta/Al、Ta/Cr、などの積層体を選択できる。なお、マスク加工で使用するエッチングガスに応じて、これらの各種マスク材料の積層順序は入れ替えることができる。
マスク材料の組み合わせおよび積層順は上記のものに限定されるわけではなく、パターン寸法とエッチング選択比の観点から適切に選択することができる。また、ドラエッチングと共にウェットエッチングによるパターニングも可能であるため、これを考慮して各マスク材料を選定することができる。
ウェットエッチングによりマスク層をパターニングする場合は、凹凸パターンの幅方向に対するサイドエッチを抑制する。この場合は、マスク材料の組成、エッチング溶液の濃度、およびやエッチング時間をはじめとした各種パラメータを設定することで実現可能である。
ここで、相分離剥離層を用いる場合と従来の単一金属膜を剥離層に用いる場合における、マスク層成膜後の表面ラフネスについて示す。例えば後述の例のように用いるMo、W、およびSiO2からなる相分離剥離層を用いる場合、基板上の非加工層に対して形成した5nm厚剥離層の表面ラフネスを原子間力顕微鏡で実測すると0.288nmと非常に小さな値にできる。この上にマスク層を形成する場合、剥離層の表面ラフネスが良好である分、マスク厚を厚くしても平坦性劣化の影響が軽微となる。実際にCマスクをスパッタ法にて形成した場合の平均表面ラフネスの変化は10nm厚形成時で0.32nm、20nm形成時で0.39nm、30nm形成時で0.42nm程度となり、厚膜マスクを用いることで寸法ばらつきの小さなパターンを形成可能となる。逆に、例えば従来のようなMo、Wからなる合金剥離層を5nm厚で用いる場合は、被加工層上に剥離層を形成した時点で平均表面ラフネスが0.38nmとなり、さらにCマスクを形成すると10nm形成時で0.46nm、20nm形成時で0.58nm、30nm形成時で0.643nmとなり、著明に平坦性が劣化する。これは、剥離層形成時における平坦性、すなわち凹凸パターンをトレースする形でマスク層が形成されてしまうためであり、この場合はマスク層厚を厚くすることができない。したがって、従来材料を適用する場合はマスク層を薄膜化せざるを得ず、結果的に寸法ばらつきの小さなパターンを形成するのが困難になる。一方、同じ厚さの剥離層でも相分離剥離層ではその平坦性が良好であるため、マスク層厚を厚くして加工マージンを拡大することが可能となる。
レジスト層凹凸パターン形成工程
レジスト層に微細な凹凸パターンを形成するために、例えば、ノボラック樹脂などに代表される紫外線・電子線露光用レジスト、熱や紫外線照射による硬化作用を有するナノインプリント用レジスト、高分子の自己組織化膜、および金属微粒子などを適用することが可能である。
露光あるいはナノインプリントを行う場合に用いるレジスト層は、レジスト材料の前駆体溶液の塗布を行うことで形成できる。この場合は、パターンピッチや下層のマスク層へのエッチング選択比を勘案してレジスト層の厚さを決定することができる。
溶液の塗布では、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スピンキャスティング法、ディップコーティング法、インクジェット法などの種々の方法により基板上に塗布を行うことができる。塗布直後のレジスト層は溶媒を多く含んでいるため、流動性を下げるためにプリベークを行っておくことができる。マスク層に対するレジスト層の密着性が悪い場合は、マスク層表面に前処理を行っておくことができる。具体的には、マスク層の水分除去のためのベーキングや、ヘキサメチルジシラザン溶液の塗布による疎水化処理などが挙げられる。
レジスト層は1層ではなく、転写工程に合わせて、例えば露光感度の異なるレジスト層を多層構造にすることができる。
また、レジスト材料の種類には何ら限定はなく、主鎖切断型、化学増幅型、及び架橋型などの各種レジスト材料を用いることが可能である。
マスク層上部に凹凸パターン形成用の自己組織化層を形成し、これを凹凸パターンに転写することも可能である。自己組織化膜は少なくとも異なる2つのポリマー鎖を有するジブロックコポリマーに代表され、その基本構造は(ブロックA)−(ブロックB)のように化学的特性が相互に異なるポリマー同士の末端が共有結合しているものである。自己組織化膜はジブロックコポリマーに限定されるわけではなく、材料の組み合わせによっては他にもトリブロックコポリマーやランダムコポリマーを使用することができる。
ポリマーブロックを形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルピリジン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリエチルアクリル酸、ポリプロピルアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリラクチド、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリフッ化ビニリデン、及びポリアクリルアミドなどが挙げられ、これらの中から異なる2種類以上のポリマーを用いてブロックコポリマーを構成することができる。
ブロックコポリマーを用いた自己組織化膜はスピンコーティング法などによりマスク層上に成膜できる。この場合は、各相を構成するポリマー同士が相溶となるような溶媒を選択し、これを溶解させた溶液を塗布液として用いることができる。
具体的な溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールトリメチルエーテル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アニソール、及びジエチレングリコールトリエチルエーテルなどを選択できる。
自己組織化膜の膜厚は、これらの溶媒を用いた際の塗布液の濃度や成膜時に設定する各種パラメータを用いて変更することができる。
自己組織化膜は熱などのエネルギーが付与されることでポリマー同士が相分離し、膜内部にミクロ相分離構造が形成される。ミクロ相分離構造は、自己組織化膜を構成するポリマーの分子量などにより異なる様相を呈し、例えばジブロックコポリマーにおいてはポリマーAの海状(マトリックス)パターンにポリマーBの島状ドットあるいはシリンダー構造が形成される他、ポリマーAおよびBが同一平面上で積層となるラメラ構造や、海−島パターンが逆転したスフィア構造が形成され得る。このパターンにおける一方のポリマー相を選択的に除去することにより、自己組織化膜の凹凸を形成することができる。
自己組織化膜のミクロ相分離構造を形成する際には外部からエネルギーを付与する。エネルギーの付与は、熱を用いたアニールや、あるいは溶媒雰囲気中に試料を曝露する、いわゆる溶媒アニール等によって行うことができる。熱アニールを行う際は、自己組織化膜の配列精度を劣化させないよう、適切な温度にしておくことができる。
なお、自己組織化パターンの配列精度を向上させるため、マスク層上部を化学的に修飾することができる。具体的にはブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマー相をマスク表面に修飾しておくことで、ブロックコポリマーの配列を改善できる。この場合は、ポリマーの塗布・アニール・リンスにより分子レベルでの表面修飾が可能である。この上に前述のブロックコポリマー溶液を塗布することで、面内均一性の良いパターンを得ることが可能となる。
他にも、所望のパターンピッチとなるような金属微粒子をマスクとすることができる。金属微粒子をマスク層とする場合、微粒子自体がマスク層の凸部に相当するため、これを維持できる範囲においては下部へパターンを転写することが可能である。
金属微粒子を用いる場合は、微粒子分散液における微粒子同士の凝集を抑制することが望ましい。この場合は、微粒子表面に対する界面活性を発現する分散剤を添加しておくとよい。また、凝集によって生じた二次粒子は粒子径が比較的大きく、パターンの均一性を損なうことにつながるため、メンブレンフィルタなどで適宜フィルタリングを行っておくことができる。
分散液の溶媒はマスク層の表面性に対応するよう変更が可能である。また、マクロな塗布ムラ、すなわち金属微粒子が均一塗布されていない領域を縮小するため、分散液に高分子材料からなるバインダーを添加することで塗布性を改善することが可能であり、分散液の溶媒に可溶な高分子材料を選択して分散液を調製すると良い。
金属微粒子分散液も、上記レジスト溶液や自己組織化膜のポリマー溶液と同様に、スピンコーティング法をはじめとした種々の方法により基板上への塗布が可能である。この際、金属微粒子が限局的な多層構造になると転写均一性を損なうため、基板上の広範囲に渡って単層構造となるように塗布条件を調整することができる。
上記レジスト層における凹凸パターン転写が困難となる場合は、前記マスク層とレジスト層との間に転写層を挿入することができる。この場合は、レジスト層とマスク層とのエッチング選択比が確保できる材料を選定することができる。
レジスト層パターニング工程
エッチングによりレジスト層に凹凸パターンを形成する。
まず、凹凸パターンをレジスト層へ形成するために、エネルギー線を用いた露光を行うことができる。露光方法としては、KrF、ArFをはじめとした紫外線露光や電子線露光、荷電粒子線露光、及びX線露光などを適用することができる。露光マスクを介した照射の他、干渉露光、縮小投影露光、直接露光などを行なうことができる。露光部はレジスト層が化学的に改質された潜像となり、これを現像することで凹凸パターンが得られる。
微細パターンを電子線露光により形成する例を説明する。
電子線描画装置は電子線の照射方向と直交する2軸方向においてステージの移動機構を有するx−y描画装置と、1軸移動機構に回転機構を加えたx−θ描画装置が挙げられる。x−y描画装置を用いる場合は、描画フィールド間のつなぎ精度を悪化させないようにステージを連続して駆動させることができる。また、円心パターンを描画する場合はステージを継続して回転するx−θ描画装置を用いることができる。
また、同心円パターンを形成する際には、ステージ駆動系とともに電子線に対して偏向を加えることができる。この場合は、描画パターンに対応した偏向信号を独立に制御するために、信号源と呼ばれる情報処理装置を使用する。信号源では電子線の偏向ピッチや偏向感度、描画ステージの送り量などを独立に制御することが可能である。具体的には、試料1回転毎に電子線に対する偏向信号とステージの移動信号を送信することで,描画パターンを同心円形状にできる。
次いで、潜像に対して現像を行うことでレジスト膜をパターニングする。レジスト膜に対する現像液としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチルのようなエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノエチルアセテートのようなケトン系溶剤、アニソール、キシレン、トルエン、テトラリンなどの芳香族系溶剤、及びエタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤などを有機現像液として用いることができる。また、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、及びテトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイドなどをアルカリ現像液として用いることも可能である。
続いて、湿式リンスを行いレジスト膜上の現像液を置換・除去する。ここで用いるリンス液は現像液と相溶の関係にあることが望ましく、代表的なものとしてイソプロピルアルコールや水などが挙げられるが、相溶の関係を満足できるのであれば上記溶媒に限らない。現像およびリンスにでは、液温、粘度、混合比など溶液に関するパラメータに加え、現像時間を調整することで所望のパターン寸法を得る。
引き続き、レジスト膜上のリンス液を乾燥することで所望のレジスト凹凸パターンが得られる。乾燥方法としては、Nのような不活性ガスを直接試料に吹き付ける方法や、リンス液の沸点よりも高い温度で基板を加熱することでリンス液を揮発させる加熱乾燥の他、スピン乾燥、超臨界乾燥などを適用することができる。以上のようにして、電子線リソグラフィーによりレジスト層へ凹凸パターンを設けることができる。
凹凸パターンをレジスト層へ形成する他の方法として、レジスト層に自己組織化層を適用し、エッチングにより凹凸パターンを形成する方法を説明する。
例えば、図5に示すように、この製造工程はマスク層上に形成するレジスト層の一種として、少なくとも2種類の異なるポリマー鎖を有する自己組織化層、すなわちブロックコポリマー膜を形成し(図5(e))、レジスト層に凹凸パターンを設ける工程の代わりに、自己組織化層を相分離させ(図5(f))、片方のポリマー層を選択的に除去する工程を行うこと以外は、図2(a)ないし(j)と同様である。
凹凸パターンは、ブロックコポリマーにおける相を選択的に除去したものである。例えば、ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサンの系からなるジブロックコポリマーでは、分子量を適切に設定することで海状ポリスチレン中に島状ポリジメチルシロキサンのドットパターンが形成される。これをエッチングし、片方のポリマー層例えば海状ポリスチレンを選択的に除去することで、ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサンのドット状凹凸パターンが得られる。
自己組織化層の凹凸をエッチングで形成する場合、薬液中に試料を浸漬するウェットエッチングの他、活性種による化学反応を用いたドライエッチングを適用できる。微細パターンの幅寸法に対し、厚さ方向へのパターン転写を高精細に行う際は、幅方向へのエッチングを抑制可能なドライエッチングを適用することがより好ましい。
ポリマー相のドライエッチングでは活性ガス種を適切に選択することで、エッチング選択比を維持したままパターニングすることが可能である。一般的に、ベンゼン環のようにCおよびHを多く含む高分子材料はエッチング耐性が高く、凹凸加工用マスクとしては好適である。ブロックコポリマーのように、互いに異なる組成のポリマーを適切に組み合わせて用いる場合はエッチング選択比を大きくできるため、凹凸パターンをより高精細に形成することができる。例えば、ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサンにおいては、ポリジメチルシロキサンはCFなどのフッ素系ガスで、ポリスチレンはOガスを用いることで容易に除去可能であり、両者の間でエッチング選択比を確保することができる。
自己組織化パターンを下層マスクへ直接転写するのが困難な場合は、自己組織化膜とマスク層との間に別途転写層を設けることができる。例えば、ジブロックコポリマーの片方の層を除去できるエッチングガスを用いることが可能なマスク材料を転写層として用いることもできる。ポリスチレン−b−ポリジメチルシロキサンを例とした場合、海状ポリマーとなるポリスチレンはOエッチングが可能であるため、カーボン膜を転写層とすればOのみでポリマーおよび転写層を一括でエッチングすることができるため、プロセスガスの交換が必要なく、生産効率を向上できる。逆に、海状ポリマーがポリジメチルシロキサンの場合はCFガスを用い、転写層をSiにすれば同様にしてエッチングが可能であり、パターンを一括転写することができる。以上のようにして、自己組織化膜のミクロ相分離パターンを用いてレジスト層へ凹凸パターンを設けることができる。
凹凸パターンを金属微粒子材料により形成することもできる。
前述のように、マスク層上に金属微粒子分散液を塗布し、単層微粒子層を形成する。その後、単層微粒子層をマスクとしてエッチングを行い、凹凸パターンを得ることができる。
エッチングを行う際は、金属微粒子と下層マスク層との間のエッチング選択比を確保できるよう、エッチングガスやエッチング条件を設定することができる。また、前述のように金属微粒子の塗布均一性を改善するための高分子バインダーを分散液に添加している場合は、海状バインダーに島状金属微粒子パターンが分散しているものと見なすことができる。この場合、金属微粒子とバインダーとのエッチング選択比が確保されていれば良く、金属微粒子をマスクとしてパターン加工を行うことができる。
このバインダー材料は有機物からなり、さらに金属微粒子分散液に含まれる有機溶媒に相溶であることが好ましく、扱う溶媒の種類により種々の材料を選択できる。例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレートなどの材料を好ましく用いることが可である。
金属微粒子間の間隔が著しく狭い場合、意図的に金属微粒子をエッチングすることで微粒子間隔を調整しても良い。具体的な方法として、ドライエッチングにおけるサイドエッチを大きくする方法や、イオンミリングにおけるイオン種の入射角度を調整して金属微粒子を幅方向にスリミングする方法などが挙げられる。以上のようにして、金属微粒子マスクを用いてレジスト層へ凹凸パターンを設けることができる。
ナノインプリントリソグラフィーにより、レジスト層に凹凸パターンを設けることも可能である。
ナノインプリントは、微細凹凸パターンが表面に形成されたナノインプリントスタンパ(以降、スタンパーと呼称)を転写用レジスト層に押下してパターン転写を行うものであり、ステップアンドリピート方式の紫外線露光や電子線露光などの技術と比較して、試料の大面積に対してレジストパターンを一括転写できる。したがって、製造スループットが増加するため、製造時間短縮・コスト削減を実現できる。
スタンパーは、リソグラフィーなどで形成された微細凹凸パターンを具備する基板、いわゆるマスター原盤(モールド、原盤)から取得することが可能であり、多くの場合、マスター原盤の微細パターンに対する電鋳により作製される。マスター原盤用の基板にはSiをはじめとして、SiO、SiC、SiOC、Si、C、などの他、B、Ga、In、Pなどの不純物をドーピングした半導体基板を用いても良い。また、基板の3次元的な形状に関する限定は何ら無く、円形、矩形、ドーナツ形のものを用いることができる。他にも導電性を有する材料からなる基板を用いることができる。
マスター原盤のパターンは、前述のように電子線露光に代表される種々のリソグラフィーで形成される。ここで、形成されたレジスト層の凹凸パターンはそのまま電鋳用パターンとして適用可能であるが、マスター原盤に凹凸パターンを転写した後、これを電鋳用パターンとしても構わない。
続いて、マスター原盤の凹凸パターンに対して電鋳を行い、スタンパーを作製する。めっき金属には種々の材料が挙げられるが、ここでは一例として、Niからなるスタンパーの作製方法を説明する。まず、マスター原盤の凹凸パターンに導電性を付与するため、凹凸パターンの表面にNi薄膜を成膜する。電鋳の際には、導電不良が生じるとめっき成長が阻害され、パターン欠損につながるため、Ni薄膜は凹凸パターンの表面ならびに側面において均一に成膜されることが好ましい。なお、この膜は導電性付与のために設けるものであり、材料はNiに限定されるものではない。
続いて、マスター原盤をスルファミン酸Ni浴に浸漬・通電し、電鋳を行う。めっき後の膜厚、すなわちスタンパーの厚さはめっき浴の水素イオン濃度、温度、粘度の他、通電電流値、めっき時間などを変更することで調整できる。この電鋳は電解めっき、あるいは無電解めっきにより行なうことができる。
このようにして得られたスタンパーを基板上から離型する。剥離後、スタンパーの凹凸表面にレジストやマスク層が残存している場合は、凹凸表面に対してエッチングを行うことでレジスト層の残渣を除去し、凹凸パターンを露出させればよい。最後に、凹凸パターン面以外の不要な箇所を機械的に除去し、さらに円形、矩形などの所望の形状に加工することで、スタンパーが完成する。
得られたスタンパーを用いて、凹凸パターンをレジスト層へ転写する。この際、スタンパーをマスター原盤として代替し、複製スタンパーを作製することができる。この場合は、NiスタンパーからNiスタンパーを得る方法や、Niスタンパーから樹脂スタンパーを得る方法などが挙げられる。ここでは、樹脂スタンパーの作製方法を説明する。
樹脂スタンパーは射出成型により作製する。まず、射出成型装置にNiスタンパーを装荷し、スタンパーの凹凸パターンへ樹脂溶液材料を流入し、射出成型を行う。樹脂溶液材料としては、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネート,ポリメチルメタアクリレートなどを適用すれば良く、インプリントレジストとの剥離性の良い材料を選択することがより望ましい。射出成型を行った後、Niスタンパー上から試料を剥離することで、凹凸パターンを有する樹脂スタンパーが得られる。
この樹脂スタンパーを用い、レジスト層へ凹凸パターンを転写する。
レジストには熱硬化樹脂や光硬化樹脂をはじめとしたレジスト材料を用いることが可能であり、例えばイソボルニルアクリレート、アリルメタクリレート、及びジプロピレングリコールジアクリレートなどを適用できる。
これらのレジスト材料を、上記のような磁気記録層およびマスク層を有する試料上に塗布し、レジスト層を形成する。次いで、レジスト層に対して凹凸パターンを有する樹脂スタンパーをインプリントする。インプリントの際、樹脂スタンパーがレジストに押下されるとレジストが流動化し、凹凸パターンが形成される。ここで、レジスト層に対して紫外線などのエネルギーを付与することで、凹凸パターンを形成しているレジスト層を硬化させ、次いで樹脂スタンパーを離型すればレジスト層の凹凸パターンが得られる。樹脂スタンパーの離型を容易に行なうために、あらかじめ樹脂スタンパー表面にシランカップリング剤などによる離型処理を行なっておくことが可能である。
樹脂スタンパー離型後におけるレジスト層の凹部にはレジスト材料が残渣として残存しているため、これをエッチングにより除去することでマスク層の表面を露出させる。ポリマーベースのレジスト材料は、一般的にOエッチャントに対するエッチング耐性が低いため、Oエッチングを行なうことで容易に残渣を除去できる。無機材料を含む場合は、レジストパターンが残るようにエッチャントを適宜変更しても構わない。以上のようにして、ナノインプリントによりレジスト層へ凹凸パターンを設けることができる。
マスク層パターニング工程
次に、マスク層へパターンを転写する。
マスク層の加工では、マスク層材料とエッチングガスの組み合わせにより多様な層構成と加工方法が実現され得る。
凹凸パターンの幅方向におけるエッチングに対して厚さ方向のエッチングが有意となるように、微細加工を行う場合はドライエッチングを適用することが好ましい。ドライエッチングで使用するプラズマは、容量結合、誘導結合、電子サイクロトロン共鳴、多周波重畳結合などの種々の方法により発生させることができる。また、凹凸パターンのパターン寸法の調整のために、プロセスガス圧力、ガス流量、プラズマ投入電力、バイアス電力、基板温度、チャンバー雰囲気、及び到達真空度などのパラメータを設定することができる。
エッチング選択比を大きくするためにマスク材料を積層した場合は、エッチングガスを適切に選択することができる。エッチングガスにはCF、C、C、C、C、C、ClF、CCl、CClF、CCBrF、CHF、NF、CHなどのフッ素系ガスや、Cl、BCl、CCl、SiClなどの塩素系ガスが挙げられる。その他、H、N、O、Br、HBr、NH、CO、C、He、Ne、Ar、Kr、Xeなどの各種ガスを適用することができる。また、エッチング速度やエッチング選択比を調整するためにこれらのガスを2種類以上混ぜた混合ガスを使用することも可能である。なお、ウェットエッチングによるパターニングも可能であり、この場合はエッチング選択比を確保でき、かつ幅方向へのエッチングを抑制し得るエッチング溶液を選定しておくとよい。同様に、イオンミリングのような物理的エッチングを行っても構わない。
第2の実施形態のように、金属微粒子パターンをマスク層へ転写した後、金属微粒子をマスク層から除去することも可能である。金属微粒子を除去しておくことで、エッチングによる副生成物によるパターン溝部分の閉塞や、微粒子の凝集を軽微にすることが可能である。
金属微粒子の除去では上記ドライエッチングを適用することが可能であり、また、金属微粒子材料に対応する剥離溶液を用いたウェットエッチングを適用しても構わない。剥離溶液としては、曝露されるマスク層と磁気記録層および基板材料が難溶となるものを選択しておく。
マスク層は金属微粒子層とのエッチング選択比を考慮して多様な構成となり得るが、前述のように、例えば基板側からC/Si、Ta/Al、Al/Ni、Si/Crなどの構成にすることができる。
金属微粒子間の間隔が著しく狭い場合、意図的に金属微粒子膜をエッチングすることで微粒子間隔を調整しても良い。具体的な方法として、ドライエッチングにおけるサイドエッチを大きくする方法や、イオンミリングにおけるイオン種の入射角度を調整して金属微粒子を幅方向にスリミングする方法などが挙げられる。以上のようにして、金属微粒子マスクを用いてレジスト層へ凹凸パターンを設けることができる。
上記のようなパターン転写の工程を経て、図6および図7に示すように、ナノインプリントスタンパを作製し、図8に示すように、ナノインプリントリソグラフィーにより磁気記録層へ凹凸パターンを転写することもできる。
ナノインプリントスタンパの製造方法
実施形態にかかるスタンパーの製造方法は、
基板上に島状の金属下地層を形成する工程と、
基板および島状金属下地層上から相分離剥離層を形成する工程と、
相分離剥離層上にレジスト層を形成する工程と、
レジスト層に凹凸を設ける工程と、
レジスト凹凸パターンに導電層を被覆する工程と、
導電層を下地として電鋳層を形成する工程と、
相分離剥離層を溶解除去し、電鋳層を基板から離型する工程と、
電鋳層の凹凸に充填されたレジスト層を除去する工程と、を含む工程からなり、さらにこれを用いた微細パターン形成方法は
基板上に被加工層を形成する工程と、
被加工層上に島状の金属下地層を形成する工程と、
被加工層および島状金属下地層上に相分離剥離層を形成する工程と、
相分離剥離層上にマスク層を形成する工程と、
マスク層上に転写層を形成する工程と、
ナノインプリントレジスト層を転写層上に形成する工程と
スタンパーを用いて、インプリントレジスト層上に凹凸パターンを転写する工程と、
凹凸パターンを転写層へ転写する工程と、
凹凸パターンをマスク層へ転写する工程と、
凹凸パターンを相分離剥離層へ転写する工程と、
凹凸パターンを被加工層へ転写する工程と、
相分離剥離層を溶解除去し、被加工層上からマスク層を除去することで、被加工層の凹凸パターンを露出させる工程と、
を具備する。
ここで、ここで、従来のように基板上からスタンパーを物理的に離型する場合、スタンパーへの応力印加によりその形状が変化し、スタンパーの平坦性を損なう原因となる。これは後述するナノインプリントにおける凹凸転写のムラを生じることになり、レジスト層へのパターン転写性を大きく劣化させることにつながる。また、従来のように基板上に剥離層を設ける場合、剥離層上の電鋳層との層界面における金属材料の拡散により剥離層の剥離性が劣化するため、基板からの物理的な剥離を余儀なくされる。
そこで、基板と、基板上のレジスト層との間に実施形態で示す相分離剥離層を形成しておき、電鋳後に剥離液を用いて相分離剥離層を溶解することで、基板からスタンパーを離型する。相分離剥離層は速い溶解レートを具備しているため、平坦性の良い薄膜の状態でも良好に溶解され得る他、従来のように強酸や強塩基を用いることなくリフトオフできるため、剥離液によるスタンパーのダメージもほとんどない。よって、物理的な応力印加による変形を生じることなく基板からスタンパーを離型できるため、平坦性に優れるスタンパーを作製可能となる。
ナノインプリントリソグラフィーは、微細凹凸パターンが表面に形成されたナノインプリントスタンパ(以降、スタンパーと呼ぶ)を転写用レジスト層に押下してパターン転写を行うものであり、ステップアンドリピート方式の紫外線露光や電子線露光などの技術と比較して、試料の大面積に対してレジストパターンを一括転写できる。したがって、製造スループットが増加するため、製造時間短縮・コスト削減を実現できる。
スタンパーは、微細凹凸パターンを具備する基板、いわゆるマスター原盤(モールド、原盤)から取得することが可能であり、多くの場合、マスター原盤の微細パターンに対する電鋳により作製される。マスター原盤用の基板にはSiをはじめとして、SiO、SiC、SiOC、Si、C、などの他、B、Ga、In、Pなどの不純物をドーピングした半導体基板を用いることができる。他にも導電性を有する材料からなる基板を用いることができる。また、基板の3次元的な形状に関する限定は無く、円形、矩形、ドーナツ形のものを用いることができる。
マスター原盤のパターンは、前述のように金属微粒子を凹凸パターンとしても良いし、金属微粒子パターンをマスク層へ転写したものを電鋳用パターンとして適用可能である他、マスター原盤に凹凸パターンを転写した後、これを図6(d)に示すように電鋳用パターンとすることができる。
続いて、例えば図6(f)に示すように、マスター原盤の凹凸パターンに対して電鋳を行い、スタンパーを作製する。電鋳、すなわち、めっき金属には種々の材料が挙げられるが、ここでは一例として、Niからなるスタンパーの作製方法を説明する。
マスター原盤の凹凸パターンに導電性を付与するため、単層構造の金属微粒子の表面に導電膜を成膜する。後述する電鋳の際には、導電不良が生じるとめっき成長が阻害され、パターン欠損につながるため、この導電膜は凹凸パターンの表面ならびに側面において均一に成膜されていることが好ましい。ただし、金属微粒子ならびに基板に導電性材料を適用する場合はその限りではなく、凹凸パターンに電気的な導通があれば良い。この場合は導電膜を金属微粒子上部、側面、および溝部にのみ成膜することができる。
導電膜は種々の材料から選択できる。導電膜の材料として例えば、Ni、Al、Ti、C、Au、Agなどが挙げられる。ここではNiを用いた例を説明する。
なお、金属微粒子に対して成膜した導電膜を金属微粒子パターンと一体化させても良い。
続いて、マスター原盤をスルファミン酸NiあるいはNiP浴に浸漬・通電し、電鋳を行なって、導電膜上にスタンパーとなる電鋳層を形成する。めっき後の膜厚、すなわちスタンパーの厚さはめっき浴の水素イオン濃度、温度、粘度の他、通電電流値、めっき時間などを変更することで調整できる。この電鋳は電解めっき、あるいは無電解めっきにより行なうことができる。
このようにして得られたスタンパーを、図に示すように基板上から離型する。スタンパーの凹凸表面にレジストやマスク層が残存している場合は、凹凸表面に対してエッチングを行うことで残渣として残った金属微粒子を除去し、凹凸パターンを露出させることができる。あるいは、スタンパーが難溶かつレジストやマスク層が易溶となる剥離液を選択し、これを用いたウェットエッチングを行っても良い。最後に、凹凸パターン面以外の不要な箇所を機械的に除去し、さらに円形、矩形などの所望の形状に加工することで、スタンパーが完成し得る。
図7に、図6のナノインプリントスタンパ作製工程の変形例を示す。この実施形態は基板上にマスク層を設けておくこと以外は、図6のスタンパー作製工程とほぼ同様である。ここで用いるマスク層は前述のように、金属微粒子とのエッチング選択比を確保できる材料であればよく、マスク層は2層以上の多層構造にしても構わない。さらに、マスク層を介して基板に凹凸パターンを転写し、図示しない基板にも凹凸が転写されたマスター原版盤を用いてスタンパーを作製することも可能である。
スタンパーをマスター原盤として代替し、複製スタンパーを作製することができる。この場合は、NiスタンパーからNiスタンパーを得る方法や、Niスタンパーから樹脂スタンパーを得る方法などが挙げられる。ここでは、コストパフォーマンスが比較的高く、作製が容易な樹脂スタンパーの作製方法を説明する。
樹脂スタンパーは射出成型により作製する。まず、射出成型装置にNiスタンパーを装荷し、スタンパーの凹凸パターンへ樹脂溶液材料を流入し、射出成型を行う。樹脂溶液材料としては、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネート,ポリメチルメタアクリレートなどを適用可能である他、後述するインプリントレジストとの剥離性の良い材料を選択することができる。射出成型を行った後、Niスタンパー上から試料を剥離することで、凹凸パターンを有する樹脂スタンパーが得られる。
図8に、樹脂スタンパーを用いた凹凸パターン作製と転写の例を示す。
得られた樹脂スタンパーを用いて、凹凸パターンを転写する。ここでは前述のように、基板側から磁気記録層、マスク層を設けた試料を用い、さらにマスク層上にインプリントレジスト層を形成したものを試料とする。インプリントレジストには熱硬化樹脂や光硬化樹脂をはじめとした各種レジスト材料を用いることが可能であり、例えばイソボルニルアクリレート、アリルメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどを適用できる。
これらのレジスト材料を、基板に磁気記録層及びマスク層を有する試料上に塗布し、レジスト層を形成する。次いで、レジスト層に対して凹凸パターンを有する樹脂スタンパーをインプリントする。インプリントの際、樹脂スタンパーがレジストに押下されるとレジストが流動化し、凹凸パターンが形成される。ここで、レジスト層に対して紫外線などのエネルギーを付与することで、凹凸パターンを形成しているレジスト層を硬化させ、次いで樹脂スタンパーを離型すればレジスト層の凹凸パターンが得られる。樹脂スタンパーの離型を容易に行なうために、あらかじめ樹脂スタンパー表面にシランカップリング剤などによる離型処理を行なっておいてもよい。
次に、インプリントレジストを押下した樹脂スタンパーを離型する。ここで、樹脂スタンパー離型後におけるレジスト層の凹部にはレジスト材料が残渣として残存しているため、これをエッチングにより除去することでマスク層の表面を露出させる。ポリマーベースのレジスト材料は、一般的にOエッチャントに対するエッチング耐性が低いため、Oガスを用いたドライエッチングを行なうことで容易に残渣を除去できる。無機材料を含む場合は、レジストパターンが残るようにエッチングガスを適宜変更することができる。以降、凹凸パターンをマスク層、磁気記録層へ転写した後、保護膜を形成する工程を経ることにより、凹凸パターンを有する磁気記録媒体をナノインプリントにより作製することができる。
磁気記録層パターニング工程
次に、凹凸パターンを合金剥離層下部の磁気記録層へ転写する。
磁気的な孤立ドットを形成するための代表的な方法としては、上記の反応性イオンエッチングやミリング法などが挙げられる。具体的には、エッチングガスにCOやNHを適用する反応性イオンエッチングや、He、Ne、Ar、Xe、Krなどの不活性ガスを用いたイオンミリングによりパターニングすることができる。
磁気記録層のパターニングを行う際は、マスク層のエッチングレートERmaskに対する磁気記録層のエッチングレートERmagの関係がERmask≦ERmagを満足することが望ましい。すなわち、所望の磁気記録層厚を得るために、エッチングに伴うマスク層の後退は少なくすることができる。
イオンミリングにより磁気記録層へ凹凸を転写する場合、加工に伴いマスク側壁に向かって飛散する副生成物、いわゆるリデポ成分を抑制することができる。このリデポ成分は、凸パターンマスクの周囲に付着するため、凸パターンの寸法が拡大し、溝部分を埋没させることになるため、分断された磁気記録層パターンを得るためにはリデポ成分を可及的に少なくすることができる。また、剥離層下部の磁気記録層のエッチング時に生じたリデポ成分が剥離層側面を被覆すると、剥離層が剥離溶液に対して曝露されなくなってしまい、剥離性が劣化することになるため、やはりリデポ成分は少なくすることができる。
磁気記録層に対するイオンミリングでは、イオンの入射角度を変えることで側壁へのリデポ成分を少なくすることができる。この場合は、マスク高さによって最適な入射角度は異なるが20°〜70°の範囲でリデポを抑制することが可能となる。また、イオンの入射角度はミリング中に適宜変更することができる。例えば、磁気記録層をイオン入射角度0°でミリング加工した後、イオン入射角度を変更して凸パターンのリデポ部分を選択的に除去する方法などが挙げられる。
マスク層除去、剥離工程
続いて、磁気記録層上のマスクパターンを除去することで、凹凸パターンを有する磁気記録層を得る。
ドライエッチングにより剥離を行う場合は、磁気記録層表面における化学的な改質が小さいことが好ましく、さらに磁気記録層厚を減らさないようにエッチングを行うことができる。
また、ウェットエッチングにより剥離層を溶解する場合は、磁気記録層および基板に対する溶解速度を剥離層の溶解速度に対して十分に小さくすることができる。
化学的に活性なガスを用いてドライエッチングを行う場合、活性ガス種の曝露により表面を再度改質することで剥離性を改善できる。例えば、酸素プラズマに対する過剰な曝露により剥離層表面が酸化された場合は、水素プラズマに再度曝露することで還元反応を促進させ、剥離層の剥離性を維持することが可能となる。また、溶液を用いた洗浄を行うことで剥離層側面を改質することができる。例えば、フッ素プラズマ曝露後に剥離層側面に付着したフッ素化合物に対し、水洗を行うことでフッ素化合物を除去し、剥離層表面を清浄化することが可能となる。
さらに、被加工層、すなわち磁気記録層上に設けた剥離層を除去することで、磁気記録層上のマスク層を剥離することができる。この場合は、上記ドライエッチングの他、ウェットエッチングによる剥離を行なうことができる。前述のように、相分離剥離層は従来の単一金属剥離層や合金剥離層と比較して、酸化物マトリックスの含有により正味の可溶金属密度が低下しており、さらにマトリックス内への金属材料の拡散により剥離レートが速い。したがって、薄膜でも残渣の少ない剥離が可能である他、低濃度剥離液を用いた剥離も可能であり、溶解時における周囲のパターンへのダメージを少なくできる。特に、剥離液と接触する磁気記録層は表面における酸、もしくはアルカリによる腐食に伴い磁気特性が劣化することになるため、低濃度剥離液を用いることが望ましい。その濃度の範囲は各剥離液によって異なるが、好ましくは重量パーセント0.01%以上かつ1%よりも小さい範囲に設定しておくことができる。この範囲であれば、良好な剥離性と低ダメージを両立でき、さらにパターニング工程で改善された平坦性、加工性の効果により、寸法ばらつきの小さな凹凸パターンを形成できる。ウェットエッチングによる剥離を行う場合は種々の方法を適用可能であり、ディップ法、パドル法、スピン法、スプレー法、溶媒曝露法などの方法から選択できる。
保護層形成工程
最後に、凹凸を有する磁気記録層パターン上にカーボン系保護層と図示しないフッ素系潤滑膜を成膜することで、凹凸パターンが設けられた磁気記録媒体を得ることができる。
カーボン保護層にはsp結合炭素を多く含むDLC膜が好適である。また、その膜厚は被覆性を維持するために2nm以上、信号S/Nを維持するために10nm以下にすることが望ましい。また、潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテル、フッ化アルコール、フッ素化カルボン酸などを用いることができる。
図16に、磁気記録媒体の周方向に対する記録ビットパターンの一例を表す図を示す。
磁気記録層の凸パターンは図に示すように、ディジタル信号の1と0に相当するデータを記録する記録ビット領域121と、磁気ヘッドの位置決め信号となるプリアンブルアドレスパターン122、バーストパターン123からなる、いわゆるサーボ領域124に大別され、これを面内パターンとして形成できる。また、図示しているサーボ領域のパターンは矩形状でなくてもよく、例えば全サーボパターンをドット形状で置き換えても良い。
さらに、図17のようにサーボに加えデータ領域も全てドットパターン120で構成することも可能である。1ビットの情報は1つの磁性ドットあるいは複数の磁性ドットで構成され得る。
図18は、実施形態にかかる磁気記録媒体を適用可能な磁気記録再生装置の一例を、一部分解した斜視図で示す。
同図は、ディスク装置として、実施形態に係るハードディスクドライブのトップカバーを取り外して内部構造を示している。図に示すように、HDDは筐体210を備えている。この筐体210は、上面の開口した矩形箱状のベース211と、図示しない矩形板状のトップカバーとを備えている。トップカバーは、複数のねじによりベースにねじ止めされ、ベースの上端開口を閉塞している。これにより、筐体210内部は気密に保持され、呼吸フィルター226を通してのみ、外部と通気可能となっている。
ベース211上には、記録媒体としての磁気ディスク212および駆動部が設けられている。駆動部は、磁気ディスク212を支持および回転させるスピンドルモータ213、磁気ディスクに対して情報の記録、再生を行なう複数、例えば、2つの磁気ヘッド233、これらの磁気ヘッド233を磁気ディスク212の表面に対して移動自在に支持したヘッドアクチュエータ214、ヘッドアクチュエータを回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMと呼称する)216を備えている。また、ベース211上には、磁気ヘッド233が磁気ディスク212の最外周に移動した際、磁気ヘッド233を磁気ディスク212から離間した位置に保持するランプロード機構218、HDDに衝撃等が作用した際、ヘッドアクチュエータ214を退避位置に保持するイナーシャラッチ220、およびプリアンプ、ヘッドIC等の電子部品が実装された基板ユニット217が設けられている。
ベース211の外面には、制御回路基板225がねじ止めされ、ベース211の底壁と対向して位置している。制御回路基板225は、基板ユニット217を介してスピンドルモータ213、VCM216、および磁気ヘッド233の動作を制御する。
図14において、磁気ディスク212は、前述の加工方法により形成された凸パターンを有する垂直磁気記録媒体として構成されている。また、磁気ディスク212は前述の通り、例えば、直径約2.5インチの円板状に形成され非磁性体からなる基板219を有している。基板219の各表面には、下地層としての軟磁性層223と、その上層部に、ディスク面に対して垂直方向に磁気異方性を有する垂直磁気記録層222とが順次積層され、さらにその上に保護膜224が形成されている。
また、磁気ディスク212は、スピンドルモータ213のハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにハブの上端にねじ止めされたクランプばね221によりクランプされ、ハブに固定されている。磁気ディスク212は、駆動モータとしてのスピンドルモータ213により所定の速度で矢印B方向に回転される。
ヘッドアクチュエータ214は、ベース211の底壁上に固定された軸受部215と、軸受部から延出した複数のアーム227と、を備えている。これらのアーム227は、磁気ディスク212の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて位置しているとともに、軸受部215から同一の方向へ延出している。ヘッドアクチュエータ214は、弾性変形可能な細長い板状のサスペンション230を備えている。サスペンション230は、板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム227の先端に固定され、アームから延出している。各サスペンション230の延出端にジンバルばね241を介して磁気ヘッド233が支持されている。サスペンション230、ジンバルばね241、および磁気ヘッド233により、ヘッドジンバルアッセンブリを構成している。なお、ヘッドアクチュエータ214は、軸受部215のスリーブと、複数のアームとを一体に形成したいわゆるEブロックを備えた構成としてもよい。
実施例
以下、実施例を示し、実施形態を具体的に説明する。
実施例1(電子線リソグラフィー)
実施例1から実施例4は、相分離剥離層を構成する第1の金属をMo、第2の金属をW、酸化物をSiOとし、それぞれの組成比を40原子%、40原子%、20原子%とした場合の例である。以降の4例は、相分離剥離層材料を変えず、レジスト層の凹凸形成方法を変えた場合の例を示している。
まず、電子線リソグラフィーによりレジスト層に凹凸パターンを形成した後、磁気記録層へ転写することを特徴とした製造方法に関して説明する。
基板には2.5インチ径ドーナツ基板を用い、この上に磁気記録層をDCスパッタ法により形成した。プロセスガスはArとし、ガス圧力0.7Pa、ガス流量35 sccm、投入電力500Wに設定し、基板側から10nm厚 NiTa下地層/4nm厚 Pd下地層/20nm厚 Ru下地層/5nm厚 CoPt記録層を順次成膜し、最後に3nm厚 Pd保護層を形成することで磁気記録層を得た。
続いて、磁気記録層上に剥離層の相分離を良好にするための島状シード層を形成した。シード層材料はMoとし、Arガス圧力4.0Pa、投入電力300Wとし、7秒間のスパッタを行うことで、1.5nm厚の島状シード層を形成した。その後、Mo、W、SiO2からなる三元系材料を具備したチャンバーにて反応性スパッタリングを行い、MoWSiO相分離剥離層を形成した。剥離層の厚さは3nmとした。得られた剥離層を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、膜内部において島状シリンダーパターンと海状マトリックスパターンからなる相分離形状が見られ、さらに詳細に断面観察を行ったところ、該島状シリンダーパターンは基板面に対して垂直方向へ配向していることを確認できた。また、エネルギー分散型X線分析法(EDX)により組成同定を行なったところ、MoWからなる島状シリンダーパターンと、その周囲をSiOマトリックスパターンが充填している相分離パターンが得られていることを確認できた。
このとき、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて剥離層の表面ラフネスを測定したところ、約0.282nmと小さな値になっていることがわかった。また、剥離液に対する溶解レートと、イオンミリングに対するミリングレートを測定するために、新たにガラス基板上に50nm厚でMoWSiOグラニュラ剥離層を作製し、レート測定を行った。まず、過酸化水素水をHOで希釈し、重量パーセント濃度0.5%の溶液を調製してこれを剥離液とし、さらに該剥離液中にグラニュラ剥離層を浸漬し、溶解レートを測定した。その結果、溶解レートは1.14nm/秒と速い値を示すことがわかった。イオンミリングレートの測定では、対向型イオンミリング装置に試料を装荷し、加速電圧300V、ガス圧力0.1Paに設定してイオンミリングレートを測定した。その結果、ミリングレートは0.152nm/秒と大きな値を示すことがわかった。グラニュラ剥離層を用いる場合、従来の単一金属膜や合金膜に比べて膜面最上部における平坦性が優れている他、SiOの充填に伴う溶解レートとミリングレートの改善を実現できることが確認される。すなわち、実施例によれば、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善し得る。
引き続き、剥離層上にマスク層を形成した。ここではレジスト層の凹凸パターンを高精細に転写するために2層のマスクを用いることとし、基板側から第1のマスク層として30nm厚C、さらに上部の転写層として5nm厚Siを適用した。各マスク層の形成では対向ターゲット式DCスパッタ装置を用い、Arガス流量35sccm、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとしてスパッタ成膜した。
次いで,パターニング用の主鎖切断型電子線ポジレジストを成膜した。電子線レジストには日本ゼオン株式会社製のZEP−520Aを用い,アニソールを溶媒としてZEP−520A:アニソール=1:3の重量比で希釈した溶液に調製した後、基板上に滴下し、回転数2500rpmでスピンコートした。試料は180℃に加熱した真空ホットプレート上で150秒間保持し、プリベークすることで電子線レジストを20nm厚となるように硬化させた。
次いで、ZrO熱電界放出型電子源を有し、加速電圧100kV・ビーム径2nm径のビームを具備した電子線描画装置を用い、電子線レジストにパターン描画を行った。電子線描画装置は、描画パターンを形成するための信号と、試料ステージの一方向移動機構と同心円回転機構とを備えた、いわゆるx−θ型描画装置である。試料の描画では電子線を偏向するための信号を同期させるとともに、半径方向に対してステージを移動させている。ここで、描画線速度0.15m/秒、ビーム電流値13nA、半径方向への送り量を5nmとして、電子線レジストにピッチ20nmを有するドット/スペースパターンおよびライン/スペースパターンの潜像を形成した。
これを現像することで、10nm径ドット/10nmスペース、10nm幅ライン/10nm幅スペースの凹凸パターンを解像できる。現像液には100%酢酸ノルマルアミルを成分とした有機現像液を用い,液中に20秒間試料を浸漬することで電子線レジストの現像を行った。
引き続き、イソプロピルアルコール中に20秒間試料を浸漬してリンスを行い,Nの直接ブローにより試料表面を乾燥させた。
マスク層への凹凸パターン転写はドライエッチングにより行なった。ドライエッチングでは、CFガスおよびOガスを用いた誘導結合型プラズマエッチングを適用した。まず、レジスト下部のSi転写層に凹凸パターンを転写するためCFガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W,バイアス電力10Wとし、40秒間エッチングすることでレジスト凹凸パターンを転写した。続いて、Cマスク層をエッチングするためOガスを用い、ガス圧力0.1Pa、ガス流量20sccm、投入電力100W,バイアス電力20Wとし、65秒間エッチングすることで凹凸パターンを転写した。
次に、剥離層および磁気記録層へ凹凸パターンを転写した。前述のように剥離層と磁気記録層への凹凸パターン転写では異なるエッチング工程を経て各層を別個にパターニングしても良いが、同一の工程によるものでも構わない。ここではArイオンによるミリング法を適用した。Arイオン加速電圧300V、ガス流量3sccm、プロセス圧力0.1Pa、基板面に対するイオン種の入射角度90°(垂直入射)として、85秒間ミリングを行い、5nm厚MoWSiO合金剥離層ならびに5 nm厚CoPt記録層へ凹凸パターンを転写した。
続いて、マスクパターンを剥離するためにウェット剥離を行った。上記のごとく、ここでは酸に対して極めて溶解性の良いMoWSiO膜を用いているため、溶液濃度が薄い場合でも剥離層の溶解除去が可能である。また、低濃度溶液を用いることで酸剥離液に対する磁気記録層の溶出が少なくなるため、剥離に伴う記録層ダメージを低減することができる。ここでは酸剥離液として過酸化水素水を用い、ウェット剥離による例を示す。過酸化水素水は重量パーセント濃度0.5%となるように調製した。これにより、剥離液の接触によるCoPt磁性層の溶出はほとんど無くなり、低ダメージ化と高平坦性化を実現できる。調製した過酸化水素水に試料を3分間浸漬し、続いて純水により試料を5分間洗浄することで媒体表面を清浄化した。これにより、磁気記録層上からマスク層を除去した。
最後に、2nm厚DLC膜を成膜した後、パーフルオロポリエーテル系潤滑膜を1.5nm厚で形成することで凹凸パターンを有する磁気記録媒体を得た。
得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例2(自己組織化リソグラフィー)
実施例2は、レジスト層にZEP−520Aを用いる替わりに自己組織化膜を用いてミクロ相分離構造を形成せしめ、ミクロ相分離パターンを基にエッチングを行い、自己組織化膜とマスク層とのパターンの転写を良好にするため、マスク層との間に更にカーボン膜を挿入すること以外は実施例1と同様である。
まず、Si転写層上に自己組織化パターン転写用カーボン膜を3nm厚で成膜した。ここではDCスパッタ法により、Arガス圧力0.7Pa、投入電力500Wとして成膜を行った。
続いて、ブロックコポリマー溶液をカーボン膜上に塗布した。ブロックコポリマー溶液には、ポリスチレンとポリジメチルシロキサンからなるブロック共重合体を塗布溶媒に溶解したものを用いた。ポリスチレンとポリジメチルシロキサンの分子量はそれぞれ11700、2900である。この組成からは、パターンピッチ20nmのミクロ相分離構造が得られる。溶媒にはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用い、重量パーセント濃度1.5%となるようポリマー溶液の調製を行った。
この溶液をカーボン膜マスク上に滴下し、回転数5000rpmでスピンコーティングし、単層自己組織化膜となる18nm厚で自己組織化膜を成膜した。単層自己組織化膜とは、媒体の同一平面に対して階層構造を持たず、海状ポリスチレンと島状ポリジメチルシロキサンのミクロ相分離パターンが一層であることを意味する。
さらに、自己組織化膜内部に海状ポリスチレンと島状ポリジメチルシロキサンドットパターンをミクロ相分離させるため、熱アニールを行った。熱アニールでは真空加熱炉を用い、炉内圧力0.2Paの減圧雰囲気下で170℃・12時間のアニールを行い、自己組織化膜内部に20nmピッチドットからなるミクロ相分離構造を形成した。
続いて、相分離パターンを基にエッチングにより凹凸パターンを形成した。エッチングでは誘導結合プラズマ型リアクティブイオンエッチングにより行った。プロセスガス圧力は0.1Pa、ガス流量は5sccmとした。
まず、自己組織化膜の表層のポリジメチルシロキサンを除去するため、CFガスをエッチャントとし、アンテナ電力50W、バイアス電力5Wで7秒のエッチングを行った。次いで、海状ポリスチレンおよび自己組織化膜下部のC膜に凹凸パターンを転写するため、Oガスをエッチャントとしてアンテナ電力100W、バイアス電力5Wで110秒エッチングを行った。ポリスチレンの除去に用いるOエッチャントは、下層のC膜もエッチングするため、Si転写層がストッパ層となりエッチングが停止する。さらに、実施例1と同様にCFエッチャントおよびOエッチャントを用いたプラズマエッチングにより、下層のSi転写層およびCマスク層に対するエッチングを行うことで、自己組織化膜の凹凸パターンをマスク層へ転写した。
以降、実施例1と同様にしてパターン転写ならびに剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例3(金属微粒子マスク)
実施例3は、レジスト層に金属微粒子と高分子バインダーからなる層を用い、金属微粒子をレジスト凹凸パターンとして凹凸パターンを形成すること以外は実施例2と同様である。
まず、金属微粒子マスクを形成するための塗布溶液を作製した。この塗布溶液は金属微粒子の分散液と高分子バインダーの混合溶液からなる。
金属微粒子には粒径20nmのAuを用いた。また、分散液の溶媒はトルエンとし、重量パーセント濃度3%となるように溶液調製を行った。さらに、Au微粒子の凝集に伴う二次粒子の形成を抑制するため、ポリカルボン酸アミン塩含有分散剤を重量パーセント濃度0.001%となるように分散液に添加し、Au微粒子の単分散を促進させた。
引き続き、Au分散液にポリスチレン高分子バインダーを添加することで塗布溶液を作製した。この高分子バインダーは、分散剤との混合により金属微粒子溶液の塗布性を改善する役割を果たす。また、金属微粒子/高分子バインダーからなる混合系は、前記実施例2中の自己組織化膜のミクロ相分離パターンと類似した態様を示す。具体的には、高分子バインダーは海状ポリスチレンに相当し、金属微粒子が島状ポリジメチルシロキサンドットに相当する。
次いで、C膜上に金属微粒子レジスト層を形成した。作製した金属微粒子塗布溶液をC膜上へ適量滴下し、回転数3000rpmでスピンコートすることで単層金属微粒子層を得た。ここで、単層とは前記自己組織化膜の説明で用いたものと同義であり、媒体の同一平面に対して階層構造を持たず、海状高分子バインダーと島状Au金属微粒子の複合層が一層であることを意味している。塗布後、N雰囲気オーブンにて150℃・30分間のベーキングを行い、高分子バインダーを硬化させることで金属微粒子マスク層を形成した。
このマスク層に対してドライエッチングを行い、凹凸パターンを形成した。本例では、金属微粒子をマスクとするため、金属微粒子間に充填されている高分子バインダーを除去している。ドライエッチングではOガスをエッチャントとして用い、プロセスガス圧力0.1 Pa、ガス流量5 sccm、アンテナ電力100 W、バイアス電力10Wとして、24秒間エッチングを行うことで高分子バインダーならびに下層カーボン膜へ凹凸パターンを転写した。
以降、実施例2と同様にしてSi転写層から磁気記録層へのパターン転写、および剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例4(ナノインプリント)
実施例4は、レジスト層としてナノインプリント用レジストを用い、さらにナノインプリント用スタンパーを用いて凹凸パターン形成を行うこと以外は実施例1と同様である。
まず、ナノインプリントスタンパを作製するべく、マスター原盤を作製した。このマスター原盤には前述のMoWSiOを用いることで、離型後の歪が極めて小さいスタンパーを作製することができる。以降では、相分離剥離層を用いたナノインプリントスタンパ作製用原盤、それを用いて作製されたナノインプリントスタンパ、およびそれを用いる磁気記録媒体の製造方法について説明する。
基板には汎用の6インチSiウェーハを用いた。このウェーハ上に実施例1と同様に、相分離剥離層を5nm厚で形成した。この相分離層は、ナノインプリント用スタンパーを電鋳により作製した後で溶解除去することで、基板上からスタンパーを離型する役割を果たす。
ここでは実施例1と同様に、相分離剥離層上にレジスト層を20nm厚となるように形成した。以降、実施例1と同様にレジスト層に対する電子線露光・現像を行なうことで20nmピッチドットパターンを作製した。このようにして得られた凹凸パターンに対して電鋳を行うため、凹凸パターンに導電化処理を行うため、ここではNi膜をDCスパッタ法にて成膜した。到達真空度8.0×10−4Pa、Arガス圧力1.0Pa、DC投入電力200Wの条件下で、5nm厚Ni導電膜を凹凸パターンに一様被覆させた。導電膜形成法としてはスパッタ法のほかに蒸着法、または無電解メッキ法によるNi−P合金やNi−B合金にて代用する事もできる。また、スタンパーの剥離を容易に行なうために、導電膜形成後に表面を酸化させてもよい。
続いて、電鋳法により凹凸パターンに沿ってNi膜を形成する。電鋳液には昭和化学(株)製の高濃度スルファミン酸ニッケルメッキ液(NS−169)を使用した。スルファミン酸ニッケル:600g/L、ホウ酸40g/L、ラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤0.15g/L、液温55℃、pH 3.8〜4.0、通電電流密度20A/dmの電鋳条件にて、300μm厚となるNiスタンパーを作製した。
このNiスタンパーをマスター原盤から離型することで、凹凸パターンを有するナノインプリント用スタンパーが得られる。ところが、基板からスタンパーを離型する際にはNi膜が歪を持ち、ナノインプリント後の凹凸パターンの面内ムラが生じる。これに対して、相分離剥離層を溶解除去することで基板から離型したナノインプリントスタンパは、物理的な離型に伴う歪が生じないため平坦性に優れ、パターン転写後における面内の凹凸寸法ばらつきを小さくすることが可能となる。
ここでは、重量パーセント濃度0.5%に調製した過酸化水素水を剥離溶液とし、電鋳により接合されたスタンパーと基板を剥離溶液中に浸漬することで、スタンパーと基板間の相分離剥離層を溶解し、リフトオフによる離型を行なった。スタンパーは剥離溶液中において容易に基板から離型され、かつ物理的な歪が生じていないため平坦性も劣化していない。離型後におけるスタンパーの凹部分には、マスター原盤から離型されたレジスト材料が充填されているため、酸素アッシングを行い、これをスタンパー上から除去した。アッシングではバレル型チャンバーを具備したアッシャーを用い、酸素流量20sccm、投入電力200Wに設定し、30秒間のアッシングを行うことで凹部分からレジスト材料を除去した。本例では説明しないが、レジスト材料を有機溶媒や酸等を用いてウェット除去することも可能である。以上のように、相分離剥離層をマスター原盤に用いることで、歪の小さいナノインプリントスタンパを作製した。このように作製したスタンパー上に残渣やパーティクルが残存している場合は、必要に応じて凹凸パターンに対するエッチングを行うことで、残渣を除去してスタンパーを清浄化できる。最後に、電鋳したNi板を2.5インチ径の円盤状に打ち抜き加工し、ナノインプリント用Niスタンパーを得た。
このNiスタンパーを射出成型処理し、樹脂スタンパーを複製した。樹脂材料には、日本ゼオン(株)製環状オレフィンポリマー(ZEONOR 1060R)を用いた。
上記のように得られた樹脂スタンーを用いて、レジスト層へ凹凸パターンを形成した。まず、媒体試料上へ紫外線硬化レジストを40nm厚でスピンコートし、これをレジスト層とした。続いて、レジスト層に前記樹脂スタンパーをインプリントし、紫外線を照射させることにより(紫外線硬化樹脂層を樹脂スタンパーで押下した状態で紫外線を照射)、レジスト層を硬化させる。硬化したレジスト層から樹脂スタンパーを離型することで所望の20nmピッチドットパターンを得た。
試料の凹凸パターンの溝部にはインプリントに伴うレジスト残渣があるため、これをエッチングにより除去した。レジストの残渣除去は、Oエッチャントによるプラズマエッチングにより行なった。Oガス流量5sccm、圧力0.1Pa、投入電力100W、バイアス電力10Wとし、8秒間のエッチングを行なうことでレジスト残渣を除去した。
以降、実施例1と同様にしてSi転写層から磁気記録層へのパターン転写、および相分離剥離層の溶液剥離工程を経て、凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例5
実施例5から11は、相分離剥離層を構成する金属材料をMo、Wとし、酸化物をSiOとした場合に、各材料の組成を変化させた場合の結果を示す例である。
本例は、50 原子%Mo、45 原子%W、5 原子%SiOを用いること以外は実施例1と同様である。MoWSiO相分離剥離層は実施例1と同様に反応性スパッタにより成膜し、厚さは3nmとした。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.298nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度1%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.94nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.129nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三つの特性を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例6
実施例6は、45原子%Mo、50原子%W、5原子%SiOを用いること以外は実施例1と同様である。MoWSiO相分離剥離層は実施例1と同様に反応性スパッタにより成膜し、厚さは3nmとした。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.31nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.22nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.12nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例7
実施例7は、45原子%Mo、45原子%W、10原子%SiOを用いること以外は実施例1と同様である。MoWSiO相分離剥離層は実施例1と同様に反応性スパッタにより成膜し、厚さは3nmとした。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.283nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.99nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.139nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例8
実施例8は、60原子%Mo、20 原子%W、20 原子%SiOを用いること以外は実施例1と同様である。MoWSiO相分離剥離層は実施例1と同様に反応性スパッタにより成膜し、厚さは3nmとした。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.28nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.97nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.138nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例9
実施例9は、20原子%Mo、60 原子%W、20 原子%SiOを用いること以外は実施例1と同様である。MoWSiO相分離剥離層は実施例1と同様に反応性スパッタにより成膜し、厚さは3nmとした。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.38nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.89nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.148nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例10
実施例10は、50原子%Mo、30 原子%W、20 原子%SiOを用いること以外は実施例1と同様である。MoWSiO相分離剥離層は実施例1と同様に反応性スパッタにより成膜し、厚さは3nmとした。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.319nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.05nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.13nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例11
実施例11は、30原子%Mo、50 原子%W、20 原子%SiOを用いること以外は実施例1と同様である。MoWSiO相分離剥離層は実施例1と同様に反応性スパッタにより成膜し、厚さは3nmとした。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.34nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.93nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.149nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例12
実施例12から17は、金属材料をMoおよびWとし、添加する酸化物材料を変えた場合の結果である。ここでは、40 原子%Mo、40 原子%Wおよび20 原子%酸化物からなる相分離剥離層を用いた例を示す。
実施例12は、酸化物にTiOを用いること以外は実施例1と同様である。TiOはSiOと同様に反応性スパッタ法により作製した。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.38nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.03nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.138nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例13
実施例13は、酸化物にGeOを用いること以外は実施例12と同様である。GeOはSiOと同様に反応性スパッタ法により作製した。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.315nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.21nm/sec、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.146nm/秒と速い値を示すことが確認でき、従来技術が課題とする平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例14
実施例14は、酸化物にFeOを用いること以外は実施例12と同様である。FeOはSiOと同様に反応性スパッタ法により作製した。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.377nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.98nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.128nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例15
実施例15は、酸化物にZnOを用いること以外は実施例12と同様である。ZnOはSiO2と同様に反応性スパッタ法により作製した。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.29nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.89nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.133nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例16
実施例16は、酸化物にHfOを用いること以外は実施例12と同様である。HfOはSiOと同様に反応性スパッタ法により作製した。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.322nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.1nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.143nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例17
実施例17は、酸化物にWOを用いること以外は実施例1と同様である。WOはSiOと同様に反応性スパッタ法により作製した。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.29nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.18nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.15nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例18
実施例18から20は、酸化物材料をSiOとし、二種の金属材料をそれぞれ変えた場合の結果である。実施例18は、40 原子%Ge、40 原子%Mo、20 原子%SiOを用いること以外は、実施例1と同様である。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.33nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.2nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.161nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例19
実施例19は、40 原子%Ge、40 原子%W、20 原子%SiOを用いること以外は、実施例1と同様である。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.363nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.18nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.163nm/秒と速い値を示すことが確認でき、従来技術が課題とする平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例20
実施例20は、40 原子%Ge、40 原子%Zn、20 原子%SiOを用いること以外は、実施例1と同様である。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.312nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.26nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.18nm/秒と速い値を示すことが確認でき、従来技術が課題とする平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例21
実施例21から22は、実施例1と同様に40 原子%Mo、40 原子%W、20 原子%SiOを用いて相分離剥離層を形成する際、その厚さを変えた場合の結果である。
実施例21は40 原子%Mo、40 原子%W、20 原子%SiOからなる相分離剥離層の厚さを2nmとすること以外は実施例1と同様である。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.278nmと非常に小さな値を示すことがわかった。実施例1と同一の組成の材料を用いているため、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.14nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.152nm/秒であり、実施例1との違いはほとんどない。平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例22
実施例22は40 原子%Mo、40 原子%W、20 原子%SiOからなる相分離剥離層の厚さを5nmとすること以外は実施例1と同様である。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.288nmと非常に小さな値を示すことがわかった。実施例1と同一の組成の材料を用いているため、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.14nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.152nm/秒であり、実施例1との違いはほとんどない。平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例23
実施例23から27は、相分離剥離層をアルカリ溶液に可溶な材料で構成した場合の例を示すものである。
以降の例では、アルカリ溶液に重量パーセント濃度0.05%に調製した水酸化ナトリウム水溶液を用い、3分間の浸漬により相分離剥離層を溶解除去している。その他のマスク層形成工程、レジスト凹凸形成工程、ならびに凹凸パターン転写工程は実施例1と同様である。
実施例23は、50 原子%Al、45 原子%Zn、5 原子%SiOからなるアルカリ可溶相分離剥離層を用いた例である。AlZnSiO2剥離層は三元系反応性スパッタにより形成し、その厚さは5nmとした。
また、実施例1と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.382nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.05%の水酸化ナトリウム水溶液に対する剥離レートは1.79nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.138nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層をアルカリ溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例24
実施例24は、45 原子%Al、45 原子%Zn、10 原子%SiOからなるアルカリ可溶相分離剥離層を用いること以外は実施例23と同様である。
また、実施例23と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.36nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.05%の水酸化ナトリウム水溶液に対する剥離レートは1.86nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.142nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層をアルカリ溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例25
実施例25は、40 原子%Al、40 原子%Zn、20 原子%SiOからなるアルカリ可溶相分離剥離層を用いること以外は実施例23と同様である。
また、実施例23と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.358nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.05%の水酸化ナトリウム水溶液に対する剥離レートは1.92nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.141nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層をアルカリ溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例26
実施例26は、35 原子%Al、35 原子%Zn、30 原子%SiOからなるアルカリ可溶相分離剥離層を用いること以外は実施例23と同様である。
また、実施例23と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.33nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.05%の水酸化ナトリウム水溶液に対する剥離レートは1.53nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.15nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層をアルカリ溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
実施例27
実施例27は、40原子%Al、40原子%BC、20原子%SiOからなるアルカリ可溶相分離剥離層を用いること以外は実施例23と同様である。
また、実施例23と同様にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.289nmと非常に小さな値を示すことがわかった。さらに、重量パーセント濃度0.05%の水酸化ナトリウム水溶液に対する剥離レートは2.23nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.168nm/秒と速い値を示すことが確認でき、平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善できることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層をアルカリ溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、媒体のリード・ライト評価を行なうために必要な規準である10nm浮上量をパスすることができた。
比較例1
比較例1は、剥離層としてMoのみを用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。なお、本例においては実施例中のような島状下地層は形成していない。
Mo剥離層はDCスパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。Mo剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、グラニュラ相分離剥離層の値よりも大きな0.4nmを示し、平坦性の劣化が確認された。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.82nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.1nm/秒といずれも相分離剥離層の値を下回る結果となった。本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、パターン凹凸ばらつきが大きく、また面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例2
比較例2は、剥離層としてWのみを用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。W剥離層はDCスパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。なお、本例においては実施例中のような島状下地層は形成していない。W剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、グラニュラ相分離剥離層の値よりも大きな0.44nmを示し、平坦性の劣化が確認された。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.08nm/秒と著しく低く、酸化に伴う著明な溶解レートの低下が認められる。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.099nm/秒であった。いずれも相分離剥離層の特性を下回る結果となり、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、W膜中に生じたホール状欠陥の影響により、凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例3
比較例3は、剥離層として50 原子%Mo、50 原子%Wの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。なお、本例においては実施例中のような島状下地層は形成していない。
MoおよびWはDCスパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoW剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.38nmであった。この値は比較例1で示したMo金属膜を用いた場合の値よりは低いものの、グラニュラ相分離剥離層の値よりも大きくなっており、平坦性の劣化が確認された。さらに、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.537nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.107nm/秒であった。いずれも相分離剥離層の特性を下回る結果となり、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、合金膜ではWの酸化により剥離レートが著しく低下したため、凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例4
比較例4は、剥離層として95原子%Mo、5原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。MoおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.44nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.769nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.129nm/秒であった。単一金属膜へ酸化物材料を添加した合金剥離層の特性は、いずれも相分離剥離層のそれを下回る結果となり、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、合金膜では表面ラフネスの悪化により面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例5
比較例5は、剥離層として90原子%Mo、10原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。MoおよびSiO2は反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.42nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.857nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.133nm/秒であった。単一金属膜へ酸化物材料を添加した合金剥離層の特性は、いずれも相分離剥離層のそれを下回る結果となり、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、合金膜では表面ラフネスの悪化により面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例6
比較例6は、剥離層として80 原子%Mo、20 原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。MoおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.45nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.1nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.145nm/秒であった。単一金属膜へ酸化物材料を添加した合金剥離層の特性は、いずれも相分離剥離層のそれを下回る結果となり、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、合金膜では表面ラフネスの悪化により面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。ただし、10nm浮上試験はパスすることができた。
比較例7
比較例7は、剥離層として70 原子%Mo、30 原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。MoおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.44nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.7nm/秒、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.163nm/秒であった。単一金属膜へ酸化物材料を添加した合金剥離層の特性は、いずれも相分離剥離層のそれを下回る結果となり、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を全て改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、SiOを多く添加した合金膜では剥離レートが著明に減少するため面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例8
比較例8は、剥離層として60 原子%Mo、40 原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。MoおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoSiO2剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.44nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートはSiO2添加量の増加に伴い0.03nm/秒以下にまで低下しており、さらに溶解中における剥離層表面の不動態化により溶解が促進されず、剥離残渣を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.182nm/秒であった。イオンミリングレートの速いSiO2添加に伴い剥離層のミリングレートは増大するものの、剥離レートと平坦性が劣化していることから、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、SiOを多く添加した合金膜では剥離レートが著明に減少するため面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例9
比較例9は、剥離層として50 原子%Mo、50 原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。MoおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。MoSiO2剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.4nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートはSiO添加量の増加に伴い0.03nm/秒以下にまで低下しており、さらに溶解中における剥離層表面の不動態化により溶解が促進されず、剥離残渣を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは2.1nm/秒であった。イオンミリングレートの速いSiO添加に伴い剥離層のミリングレートは増大するものの、剥離レートと平坦性が劣化していることから、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、SiOを多く添加した合金膜では剥離レートが著明に減少するため面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例10
比較例10から15は、金属材料としてW、酸化物材料としてSiO2を用いた二元系材料の場合の例であり、材料組成を変えた例を示している。本例は剥離層として95 原子%W、5 原子%SiO2の二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。WおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは5nmとした。WSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.42nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.16nm/秒と極めて遅く、さらに溶解中における剥離層の不動態化に伴い剥離残渣を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.095nm/秒であった。MoSiOの場合と同様に単一金属膜へ酸化物材料を添加した合金剥離層の特性は、いずれも相分離剥離層のそれを下回る結果となり、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、W中に生じたホール状欠陥箇所の影響により凹凸パターンの転写不良が多く、また、面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例11
比較例11は、剥離層として90 原子%W、10 原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例10と同様である。WおよびSiO2は反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。WSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.5nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.03nm/秒であった。原子量パーセント10%以上でSiOを添加するとW膜に対するSiOの拡散が均一化されることで正味のW密度が低下し、剥離レートが改善される。添加量10%の場合は添加量5%の場合よりもW膜に対するSiOの拡散が均一であるため、組成むらに伴う溶解レートの低下が生じることはない。また、加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.105nm/秒であった。
ただし、実施例10の場合と同様に単一金属膜へ酸化物材料を添加した合金剥離層の特性は、いずれも相分離剥離層のそれを下回る結果となり、本例においてはグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、凹凸パターンの転写不良が多く、また、面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例12
比較例12は、剥離層として80 原子%W、20 原子%SiO2の二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例10と同様である。WおよびSiO2は反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。WSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.46nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.22nm/秒であり、SiO添加量の増加に伴う正味のW密度の低下により、剥離レートが改善されていることを確認できる。このとき、比較例10で示した剥離層の不動態化はなく、またW金属膜単独の場合よりも剥離レートが改善されていることがわかった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.106nm/秒であった。W膜へのSiOを適量添加することにより、溶解レートとミリングレートを改善できるものの、平均表面ラフネスはW単独のものよりも悪化することになり、その結果、本例においてもグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、凹凸パターンの転写不良が多く、また、面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。ただし、10nm浮上試験はパスすることができた。
比較例13
比較例13は、剥離層として70 原子%W、30 原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例10と同様である。WおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。WSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.46nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.129nm/秒であり、過剰なSiOの添加により溶解性が低下し、溶解レートが著しく遅くなっていることがわかった。さらに、比較例10で示した場合と同様に、溶解中における剥離層の不動態化に伴い、剥離が阻害される結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.108nm/秒であった。本例では、SiO添加による溶解レートとイオンミリングレートの改善は見られるものの、W単独のものよりも平坦性が悪化しており、その結果、本例においてもグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、凹凸パターンの転写不良が多く、また、面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例14
比較例14は、剥離層として60 原子%W、40 原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。WおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。WSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.45nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは著しく低く0.03nm/秒以下であり、さらに比較例10で示した場合と同様に、溶解中における剥離層の不動態化に伴い溶解が促進されず、剥離残渣を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.122nm/秒であった。本例では、SiO添加による溶解レートとイオンミリングレートの改善は見られるものの、W単独のものよりも平坦性と溶解性が悪化しており、その結果、本例においてもグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、SiOを多く添加した合金膜では剥離レートが著明に減少するため面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例15
比較例15は、剥離層として50原子%W、50原子%SiOの二元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。WおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。WSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.43nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは著しく低く0.03nm/秒以下であり、さらに比較例10で示した場合と同様に、溶解中における剥離層の不動態化に伴い溶解が促進されず、剥離残渣を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.153nm/秒であった。本例では、SiO添加による溶解レートとイオンミリングレートの改善は見られるものの、W単独のものよりも平坦性と溶解性が悪化しており、その結果、本例においてもグラニュラ剥離層に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、SiOを多く添加した合金膜では剥離レートが著明に減少するため面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例16
比較例16は、剥離層として35原子%Mo、35原子%W、30原子%SiOの三元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。Mo、WおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoWSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.42nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは1.0nm/秒であり、この場合は比較例10で示した不動態化に伴う溶解の阻害は見られなかった。加速電圧300Vのイオンミリングレートは0.162nm/秒であった。本例では、実施例1と同様に二種類の可溶金属と1種類の酸化物材料からなる剥離層を形成したところ、SiO2添加量を多くすると溶解レートとミリングレートの改善は見られるものの平坦性が劣化する結果となり、Mo金属膜単独の場合に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、SiOを多く添加した合金膜では剥離レートが著明に減少するため面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。ただし、10nm浮上試験はパスすることができた。
比較例17
比較例17は、剥離層として30原子%Mo、30原子%W、40原子%SiOの三元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。Mo、WおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoWSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.4nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは著しく低く0.03nm/秒以下であり、さらに比較例10で示した場合と同様に、溶解中における剥離層の不動態化に伴い溶解が促進されず、剥離残渣を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.177nm/秒であった。本例では、実施例1と同様に二種類の可溶金属と1種類の酸化物材料からなる剥離層を形成したところ、SiO添加量を多くするとミリングレートの改善は見られるものの溶解性が著明に劣化する結果となり、Mo金属膜単独の場合に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、SiO2を多く添加した合金膜では剥離レートが著明に減少するため面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例18
比較例18は、剥離層として25原子%Mo、25原子%W、50原子%SiOの三元系合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。Mo、WおよびSiOは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoWSiO剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.41nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは著しく低く0.03nm/秒以下であり、さらに比較例10で示した場合と同様に、溶解中における剥離層の不動態化に伴い溶解が促進されず、剥離残渣を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.181nm/秒であった。本例では、実施例1と同様に二種類の可溶金属と1種類の酸化物材料からなる剥離層を形成したところ、SiO添加量を多くするとミリングレートの改善は見られるものの溶解性が著明に劣化する結果となり、Mo金属膜単独の場合に対して平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、SiO2を多く添加した合金膜では剥離レートが著明に減少するため面内の凹凸パターンの剥離不良個所が多く、面内に生じた剥離残渣により、走査したヘッドへのヒットが多く認められる結果となった。
比較例19
比較例19は、剥離層として40原子%Mo、40原子%W、および金属を新たに添加した三元系金属剥離層を用いた場合の例である。具体的には20原子%Siを添加した場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。Mo、WおよびSiは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoWSi剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.46nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは著しく低く0.13nm/秒以下であり、さらに比較例10で示した場合と同様に、溶解中における剥離層の不動態化に伴い溶解が促進されず、剥離残渣を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.092nm/秒であった。本例では、二種類の可溶金属と1種類の金属材料からなる剥離層を形成したところ、Mo金属膜単独ならびに酸化物添加により形成したグラニュラ相分離剥離層の場合に比べて平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。また、透過型電子顕微鏡により剥離層の上面および断面を観察したところ、明瞭な相分離形状を観察することはできず、合金膜の態様となっていることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、金属材料添加により加工レートと剥離レートが著しく低下し、剥離を行うことができず、凸状残渣を媒体表面から除去することができなかった。
比較例20
比較例20は、剥離層として40原子%Mo、40原子%W、20原子%Crからなる合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。Mo、WおよびCrは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoWCr剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.4nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.64nm/秒であった。この場合も比較例10と同様に、剥離層における不動態化に伴い溶解が途中で阻害され、剥離不良を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.075nm/秒であり、Cr添加に伴う剥離レートの低下が確認された。比較例19と同様に、本例では、二種類の可溶金属と1種類の金属材料からなる剥離層を形成したところ溶解レートとイオンミリングレートが低下しており、Mo金属膜単独ならびに酸化物添加により形成したグラニュラ相分離剥離層の場合に比べて平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。また、透過型電子顕微鏡により剥離層の上面および断面を観察したところ、明瞭な相分離形状を観察することはできず、合金膜の態様となっていることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、金属材料添加により加工レートと剥離レートが著しく低下し、剥離を行うことができず、凸状残渣を媒体表面から除去することができなかった。
比較例21
比較例21は、剥離層として40原子%Mo、40原子%W、20原子%Vからなる合金剥離層を用いた場合の例であり、それ以外の内容は実施例1と同様である。Mo、WおよびVは反応性スパッタ法により作製し、その厚さは3nmとした。
MoWV剥離層成膜後にAFMによる剥離層の平均表面ラフネスを測定したところ、0.36nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.58nm/秒であった。この場合も比較例10と同様に、剥離層における不動態化に伴い溶解が途中で阻害され、剥離不良を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.09nm/秒であり、V添加に伴う剥離レートの低下が確認された。比較例19と同様に、本例では、二種類の可溶金属と1種類の金属材料からなる剥離層を形成したところ、平坦性が改善されてはいるものの、溶解レートとイオンミリングレートが低下しており、Mo金属膜単独ならびに酸化物添加により形成したグラニュラ相分離剥離層の場合に比べて平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。また、透過型電子顕微鏡により剥離層の上面および断面を観察したところ、明瞭な相分離形状を観察することはできず、合金膜の態様となっていることが確認された。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、金属材料添加により加工レートと剥離レートが著しく低下し、剥離を行うことができず、凸状残渣を媒体表面から除去することができなかった。
比較例22
比較例22は、実施例1に対応する形で、グラニュラ相分離剥離層形成前における島状下地層を形成しなかった場合の例である。なお、剥離層は実施例1と同様に40原子%Mo、40原子%W、20原子%SiOとしており、島状下地層を形成しないこと以外の加工工程は実施例1と同様である。
島状下地層を形成せずに成膜したMoWSiO膜の平均表面ラフネスをAFMにより実測したところ、その値は0.388nmであった。また、重量パーセント濃度0.5%の過酸化水素水に対する剥離レートは0.622nm/秒であり、Mo単独のものよりも低い値を示した。この場合も比較例10と同様に、剥離層における不動態化に伴い溶解が途中で阻害され、剥離不良を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.158nm/秒であり、島状下地層を設けてから成膜したグラニュラ剥離層よりも高い値となった。さらに、透過型電子顕微鏡を用いて剥離層表面および断面構造を観察したところ、明瞭な相分離形状は確認できなかった他、不均一パターンが混在していることがわかった。このことから、島状下地層を設けない場合は相分離が促進せず、成膜した剥離層が合金化されてしまい、さらに剥離溶液に難溶なSiOの添加に伴い剥離レートが低下することになる。本例では、剥離層の平坦性およびミリングレートは改善されているものの、溶解レートが低下しており、Mo金属膜単独の場合ならびに島状下地層を設けた上で形成した酸化物添加グラニュラ相分離剥離層の場合に比べて平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例1と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、金属材料添加により剥離レートが著しく低下したために剥離不良が生じ、凸状残渣が媒体表面に多く残存する結果となった。また、媒体表面を走査したヘッドに対する残渣のヒットが多く認められる結果となった。
比較例23
比較例23は、実施例23に対応する形でアルカリ可溶グラニュラ剥離層の代わりにアルカリ可溶金属膜を単独で用いた場合の例である。具体的にはアルカリ可溶金属膜として100%Al金属膜を用い、DCスパッタ法により3nm厚で成膜した場合であり、その他の加工工程は実施例23と同様である。なお、本例においては実施例中のような島状下地層は形成していない。
Al膜単独の場合、平均表面ラフネスをAFMにより実測したところ、その値は0.544nmであり島状下地層を設けて形成したAl系グラニュラ相分離剥離層の場合よりも大きく、平坦性が劣化していることがわかる。また、重量パーセント濃度0.05%に調製した水酸化ナトリウム水溶液を剥離溶液として用いた場合の溶解レートは0.58nm/秒であり、この場合も比較例10と同様に、剥離層における不動態化に伴い溶解が途中で阻害され、剥離不良を生じる結果となった。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.089nm/秒であった。本例では、酸化物添加により作製したグラニュラ相分離剥離層の場合に対して平坦性、溶解性、加工性が悪化しており、三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例23と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、金属材料添加により剥離レートが著しく低下したために剥離不良が生じ、凸状残渣が媒体表面に多く残存する結果となった。また、媒体表面を走査したヘッドに対する残渣のヒットが多く認められる結果となった。
比較例24
比較例24は、実施例25に対応する形で、アルカリ可溶グラニュラ相分離剥離層形成前における島状下地層を形成しなかった場合の例である。なお、剥離層は実施例25と同様に40原子%Al、40原子%Zn、20原子%SiOとしており、島状下地層を形成しないこと以外の加工工程は実施例25と同様である。
島状下地層を形成せずに成膜したAlZnSiO膜の平均表面ラフネスをAFMにより実測したところ、その値は0.48nmであった。
また、重量パーセント濃度0.05%の水酸化ナトリウム水溶液に対する剥離レートは著しく低く、その値は0.03nm/秒以下であるとともに、溶解中における剥離層の不動態化に伴い、溶解が途中で阻害される様子が確認された。加速電圧300Vのイオンミリングにおけるミリングレートは0.92nm/秒であった。本例ではSiO添加により剥離層の平坦性とミリングレートは改善されるものの、島状下地層が存在しないために剥離層中での相分離が促進されず、SiOが添加された三元系合金の剥離層となるために溶解レートが低下する。実際に、実際に透過型電子顕微鏡を用いて剥離層表面および断面構造を観察したところ、明瞭な相分離形状は確認できなかった他、不均一パターンが混在していることがわかった。このことから、島状下地層を設けない場合は相分離が促進せず、成膜した剥離層が合金化されてしまい、さらに剥離溶液に難溶なSiOの添加に伴い剥離レートが低下することになる。本例では、剥離層の平坦性およびミリングレートは改善されているものの、溶解レートが低下しており、Mo金属膜単独の場合ならびに島状下地層を設けた上で形成したアルカリ可溶グラニュラ相分離剥離層の場合に比べて平坦性、溶解性、加工性の三者を同時に改善することはできていない。
以降、実施例25と同様にマスク層、レジスト層、レジスト層凹凸を形成した後、凹凸パターンを相分離剥離層および磁気記録層へ転写し、さらに相分離剥離層を酸溶液で溶解除去することで凹凸パターンを具備する磁気記録媒体を得た。得られた磁気記録媒体に対するヘッド浮上量浮上量をグライドハイトテスターで測定し、浮上評価を行なった。その結果、金属材料添加により剥離レートが著しく低下したために剥離不良が生じ、凸状残渣が媒体表面に多く残存する結果となった。また、媒体表面を走査したヘッドに対する残渣のヒットが多く認められる結果となった。
得られた結果を下記表1ないし表6に示す。
Figure 2015011746
Figure 2015011746
Figure 2015011746
Figure 2015011746
Figure 2015011746
Figure 2015011746
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…基板、2…被加工層、3…島状下地層、4…相分離剥離層、5…マスク層、6…レジスト層、7…磁気記録媒体、8…保護層、9…転写層、11…自己組織化層、12…導電層、13…金属微粒子マスク層、20,30,40,50,80,90,100…磁気記録媒体、60,70…スタンパー

Claims (22)

  1. 基板上に被加工層を形成する工程と、
    該被加工層上に第1の金属を含む島状の金属下地層を形成する工程と、
    該被加工層及び前記島状金属下地層上に、少なくとも第1の金属と該第1の金属とは異なる第2の金属と金属酸化物とを含む相分離剥離層を形成する工程と、
    該相分離剥離層上にマスク層を形成する工程と、
    該マスク層上に凹凸パターンを設ける工程と、
    該凹凸パターンを該マスク層へ転写する工程と、
    該凹凸パターンを該相分離剥離層へ転写する工程と、
    該凹凸パターンを被加工層へ転写する工程と、
    該相分離剥離層を該第1の金属及び該第2の金属を溶解する剥離液を用いて溶解し、該マスク層を被加工層から除去し、被加工層からなる凹凸パターンを露出させる工程とを具備することを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記第1の金属及び前記第2の金属は前記剥離液に対して可溶であり、前記金属酸化物は前記剥離液に対して不溶であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 前記剥離層は0.2nm以下の表面ラフネスを有することを特徴とする請求項1または2に記載のパターン形成方法。
  4. 前記剥離液は酸であり、溶液中の濃度は1重量%よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  5. 前記マスク層を形成する工程の前に、前記レジスト層との間に転写層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  6. 前記マスク層上に凹凸パターンを設ける工程は、前記マスク層上にレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層に凹凸パターンを形成する工程とを含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  7. 前記マスク層上に凹凸パターンを設ける工程は、前記マスク層上に金属微粒子マスク層を形成することを含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  8. 前記マスク層上に凹凸パターンを設ける工程は、前記マスク層上に自己組織化ポリマー層を形成する工程、及び前記自己組織化ポリマー層をミクロ相分離させ、該自己組織化ポリマー層内部に凹凸パターンを形成する工程を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  9. 基板上に磁気記録層を形成する工程と、
    該磁気記録層上に、第1の金属を含む島状金属下地層を形成する工程と、
    該磁気記録層及び該島状金属下地層上に、該第1の金属と該第1の金属とは異なる第2の金属と金属酸化物とを含有する相分離剥離層を形成する工程と、
    該剥離層上にマスク層を形成する工程と、
    該マスク層上に凹凸パターンを形成する工程と、
    該レジスト層の凹凸パターンを前記マスク層へ転写する工程と、
    前記凹凸パターンを前記剥離層へ転写する工程と、
    前記凹凸パターンを前記磁気記録層へ転写する工程と、
    前記剥離層を剥離液を用いて溶解し、前記磁気記録層上から前記マスク層を除去する工程とを具備することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  10. 前記第1の金属及び前記第2の金属は前記剥離液に対して可溶であり、前記金属酸化物は前記剥離液に対して不溶であることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  11. 前記剥離層は0.2nm以下の表面ラフネスを有することを特徴とする請求項9または10に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  12. 前記剥離液は酸であり、溶液中の濃度は1重量%よりも小さいことを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  13. 前記マスク層を形成する工程の前に、前記レジスト層との間に転写層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項9ないし12のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  14. 前記マスク層上に凹凸パターンを設ける工程は、前記マスク層上にレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層に凹凸パターンを設ける工程とを含むことを特徴とする請求項9ないし13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  15. 前記マスク層上に凹凸パターンを設ける工程は、前記マスク層上に金属微粒子マスク層を形成することを含むことを特徴とする請求項9ないし13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  16. 前記マスク層上に凹凸パターンを設ける工程は、前記マスク層上に自己組織化ポリマー層を形成する工程、及び前記自己組織化ポリマー層をミクロ相分離させ、該自己組織化ポリマー層内部に凹凸パターンを形成する工程を含むことを特徴とする請求項9ないし13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  17. 請求項9ないし16のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法により得られる磁気記録媒体。
  18. 基板上に第1の金属を含む島状の金属下地層を形成する工程と、
    該基板及び前記島状金属下地層上に、少なくとも第1の金属と該第1の金属とは異なる第2の金属と金属酸化物とを含む相分離剥離層を形成する工程と、
    該相分離剥離層上にレジスト層を形成する工程と、
    該レジスト層に凹凸パターンを設ける工程と、
    該レジスト層及び該相分離剥離層上に該凹凸パターンに沿って導電層を設ける工程と、
    該導電層を電極として電気めっきを行うことにより電鋳層を形成する工程と、
    該相分離剥離層を該第1の金属及び該第2の金属を溶解する剥離液を用いて溶解し、該基板を電鋳層から除去する工程と、
    該電鋳層に残留するレジスト層を除去する工程とを具備することを特徴とするスタンパーの製造方法。
  19. 前記第1の金属及び前記第2の金属は前記剥離液に対して可溶であり、前記金属酸化物は前記剥離液に対して不溶であることを特徴とする請求項18に記載のスタンパーの製造方法。
  20. 前記剥離層は0.2以下の表面ラフネスを有することを特徴とする請求項18または19に記載のスタンパーの製造方法。
  21. 前記剥離液は酸であり、溶液中の濃度は1重量%よりも小さいことを特徴とする請求項18ないし20のいずれか1項に記載のスタンパーの製造方法。
  22. 前記導電層を形成する工程の前に、前記レジスト層との間にマスク層及び転写層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項18ないし21のいずれか1項に記載のスタンパーの製造方法。
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