JP3574521B2 - 光情報記録媒体再生装置及び再生方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体再生装置とその再生方法に関し、詳細には、光の回折限界を超えて超高密度に記録された記録情報を再生するための光情報記録媒体再生装置とその再生方法に関する
【0002】
【従来の技術】
近時、情報化社会にあって、レーザ光線の高い空間コヒーレンス性を利用することにより該レーザ光を回折限界近くにまで集光したレーザスポットを用いて、情報の記録、再生を行う光ディスク装置が実用化されている。
【0003】
これらの光ディスクにおける記録密度及び再生限界は、レーザ光をその回折限界近くまで集光しても、レーザ波長でほぼ決定され、レーザ光の集光のみによっては、記録媒体の大容量化には限度がある。
【0004】
そこで、記録媒体のさらなる大容量化の要望に応えるため、各方面で超高密度記録化技術及び超微小記録ピットの再生技術の研究が行われており、このような次世代超高密度記録メモリの一つとして、エバネッセント場におけるフォトンのトンネリング現象を用いて記録・再生を行ういわゆるPSTM(フォトン走査型トンネリング顕微鏡)を応用した光メモリが提案されている。
【0005】
このPSTMは、日本物理学会誌Vol.48,No1,1993 p25に詳細に記載されているが、簡単に説明すると、図9に示すように、観察対象物体1の界面に対して通常全反射を起こすような角度で入射光2を入射させ、観察対象物体1の界面近傍に、該界面から離れるに従って指数関数的に光強度が減衰するエバネッセント場3を発生させる。この場合、観察対象物体1の界面が完全に平坦であると、全反射により発生するエバネッセント場3も平面内で均一になるが、観察対象物体1の界面に微小な凹凸や微小物体等が存在すると、形成されるエバネッセント場3もこれらの形状に応じて乱され、微小な凹凸あるいは微小物体の表面近傍にのみエバネッセント場3が局在する。そのため、光ファイバーや金属等で形成された先端の鋭いプローブ4をこの局在化したエバネッセント場3に近づけると、エバネッセント場3が散乱されるため、その散乱光を直接検出、あるいは、光ファイバーで散乱光を伝播光5に変換し、この伝播光5を検出器6で検出することにより、エバネッセント場3の強度を測定する。
【0006】
すなわち、このエバネッセント場3の乱れに応じた検出器6の出力を利用し、その出力が一定になるように、プローブ4と観察対象物体1との距離を制御して、プローブ4を観察対象物体1に対して走査、あるいは、プローブ4に対して観察対象物体1を移動させることにより、観察対象物体1の表面形状に対応した出力7を得ることができる。
【0007】
そして、PSTMの解像度は、基本的にプローブの先端形状に依存するため、先端部の鋭利性を向上させると、エバネッセント場は、プローブの形状に応じて局在化し、通常の光学的顕微鏡における光の回折限界を超える解像度を得ることができる。
【0008】
このような超解像性を利用した超高密度光メモリとしては、例えば、日本化学会第65春季年会(1993)講演予稿集IIp287に記載されているようなものがあり、この超高密度光メモリは、図10に示すような原理により、記録・再生を行う。
【0009】
すなわち、図10において、記録及び再生のためのレーザ光11を、プローブ12に適当な方法で入射し、該プローブ12中を導波させて、鋭く尖ったプローブ12の先端部で該先端部の三次元形状とほぼ同程度の広がりを有するエバネッセント場13を形成させる。記録媒体14としては、透明基板15上にフォトクロミック材料を含む記録層16を形成したものが用いられている。
【0010】
この超高密度光メモリでは、記録を行う場合は、プローブ12を記録用のレーザ光11の波長程度以下の距離まで記録層16に近接させ、エバネッセント場13により記録層16にフォトクロミック反応を起こさせることにより、記録層16の透過率を変化させることで、情報の記録を行う。
【0011】
また、情報の再生を行う場合は、エバネッセント場13が透明基板15側へ透過する光17の強度を検出器18で検出することにより行う。したがって、プローブ12を透明基板15に対して相対的に走査することにより、記録情報を再生することができる。
【0012】
このような微小プローブを用いて、基板上の微小領域で光(磁気)化学反応を行わせることにより記録を行い、また、その結果生じる局所的な光学特性の変化をNSOM(近視野走査型光学顕微鏡)を用いて再生する方法が、種々提案されている。
【0013】
例えば、ベル研究所の研究結果として、Near−field magneto−optics and highdensity data storage,E.Betzig et.al,Appl.Phys.Lett.61(2),13 July 1992 p142 に記載されているものによれば、記録媒体として、高いファラデー効率を有するコバルト−白金積層膜を用いている。そして、記録媒体への記録を、アルゴンレーザ(488nm)を微小プローブを用いてコバルト−白金積層膜に照射し、キューリー点以上に加熱して、局所的に磁化を反転させることにより行い、記録媒体からの読み出しを、コバルト白金積層膜にアルゴンレーザ(515nm)を照射して、透過光の偏光面の傾きの二次元分布を検出することにより行っている。
【0014】
この方法によれば、記録分解能が、約100nmで、再生分解能が、30〜50nmであり、45Gb/inの記録が達成されている。
【0015】
また、Liu,Z.F.;Hashimoto,K.;Fujishima,A. Natura, 1990, 347, 658.において、PSTMの材料としてアゾベンゼン誘導体を用いた高密度記録・再生の提案がなされており、この提案は、アゾベンゼン誘導体LB膜が紫外光及び可視光で可逆的なシスートランス異性化反応を起こすことから、フォトンモードによる高密度記録材料として注目されていることに着目したものである。
【0016】
この方法では、紫外アルゴンレーザ(350nm)の光を先端径約100nmのファイバーで形成されたプローブを用いて、光異性化反応を局所的に行わせ、レーザ光強度を落として、媒体を透過した透過光強度を検出することにより再生している。
【0017】
さらに、Liu,Z.F.;Morigaki,K.;Enomoto,T.;Hashimato,K.;Fujishima,A J.Phys.Chem., 1992 , 96 ,1875. において、ジアリールエテン誘導体のスピンコート膜を用いた同様の高密度記録・再生の提案がなされている。
【0018】
また、高密度記録・再生を目的として、特開平7−21564号公報、特開平4−14620号公報、特開平6−139620号公報等に記載された技術が提案されており、これらに記載されたものは、プリズムによる全反射で発生したエバネッセント波が記録層の金属部に表面プラズモンを励起させ、それにより入射光のエネルギーが共鳴的に吸収されることを利用して、反射光量の変化として情報を読み出すものである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の高密度記録・再生の各提案にあっては、高密度記録・再生を行うことはできるが、高速処理の要求される光情報記録媒体としては、その処理速度が遅いという問題とともに、なお、再生感度が低いという問題があった。
【0020】
例えば、上記PSTMを含め、プローブを利用したプローブメモリは、観察対象物体の観測を行うために開発されたもので、記録密度を大幅に向上させることはできるが、プローブと記録層との距離を原子オーダーから数十nmオーダーという非常に両者を接近させた状態で距離制御する必要があり、その走査速度やデータ転送速度が非常に遅く、高速処理の要求される光情報記録媒体としては、改良の余地があった。
【0021】
すなわち、光情報記録媒体の記録・再生においては、記録密度とともに、再生速度、すなわち、高速アクセス、高データ転送レートが要求され、また、超高密度というプローブメモリの大きな特徴を生かすためには、音声や動画等の大容量データの記録・再生に利用できることが重要な課題となるが、上記提案にあっては、高速処理の要求される光情報記録媒体としては、プローブと観察対象との相対的走査速度が遅く、改良の余地があった。
【0022】
この問題を解決するためには、高速でプローブ走査を行わせ、かつ、プローブと記録媒体との間の距離制御を極めて精度よく行う必要がある。
【0023】
この点を解決する手段として、例えば、OPTICAL DATA STORAGE USING A SOLIDIMMERSION LENS, MORIS’94 p123に記載された実験がある。この方法は、スポット形を、高NA(Numerical Aperture:開口数)を実現するSIL(SOLID IMMERSION LENS)により縮小化して、高転送レートを達成するために、SILを浮上ヘッドに搭載し、浮上したSILの表面に発生するエバネッセント場により、MO(Magneto−Optical Disk:光磁気ディスク)メディアの信号を再生している。
【0024】
ところが、この実験では、エバネッセント場がSILの底面の全反射により発生しているため、エバネッセント場が広域にわたり存在すること及びMOメディアを用いて再生しているため、エバネッセント場が効率良くカップリングせず、分解能が悪いという問題があった。
【0025】
また、上記PSTMを含め、プローブを利用したプローブメモリは、再生において、透過光を利用しているため、基本的に記録部が未記録部と光学定数が異なっていることが必要であり、その結果、再生感度が悪いという問題があった。
【0026】
さらに、上記公報に記載されたものは、いずれもプリズムによる全反射で発生したエバネッセント波が記録層の金属部に表面プラズモンを励起させ、それにより入射光のエネルギーが共鳴的に吸収されることを利用して、反射光量の変化として情報を読み出すものである。
【0027】
したがって、プリズムの底面の全反射を利用しているため、エバネッセント場が広域にわたって存在し、また、プラズモンを利用していることもあって、解像度が悪いという問題があった。
【0028】
なお、光を利用しないAFM(Atomic Force Microscope :原子間力顕微鏡)やSTM(Scanning Tunneling Microscope :走査型トンネリング顕微鏡)を用いたプローブメモリあるいは光を組み合わせたAFMプローブメモリ等が種々提案されている。
【0029】
例えば、O plus E 1994年10月 p48等に記載されたものがあり、これは、AFMを用いて従来の相変化材料に現在の光ディスクの数1000倍の記憶容量を可能にするものである。これによると、記録媒体として相変化材料であるGeSbTe合金(厚さ20nm)を導電性基板上にスパッタしたものを用い、ディスク表面に微小な力(10N)でAFM探針(金被覆窒化ケイ素)を接触させて3Vのパルス電圧を印加する。このパルス電圧により探針先端で発生するジュール熱で相変化材料が局所的に結晶化し、ディスクの表面形状を変化させることなく、直径約10nmの微細領域の抵抗値を100倍以上(例えば、1011Ωから10Ω以下に)変化させることができる。そして、記録媒体からの情報の再生は、0.5Vの電圧をAFM探針に印加し、ディスク面の抵抗値を読み出すことにより行われる。
【0030】
この再生方法によれば、従来、AFM方式においては情報を凹凸で記録していたのに対し、記録面は平坦である。したがって、記録面に探針を接触させて記録凹凸を再生する従来のAFMコンタクトレコーディングでは、再生スピードが探針の機械的共振周波数により制限されていたのに対して、上記方法によれば、平坦記録面であるので、再生スピードを探針の機械的共振周波数以上に設定することができる。
【0031】
ところが、この方法によっても、基本的には、AFMコンタクトレコーディングに変わりなく、探針の摩擦及び振動による再生スピードやアクセス速度に制限があり、また、記録面を傷つけるという問題があった。
【0032】
そこで、本発明は、浮上部材が光情報記録媒体自体の表面に対して一定の距離を保って浮上することにより、複雑な制御回路を用いることなく、微小突起を常に一定の間隔を保った状態で光情報記録媒体を高速で回転させて、高速、高解像度で、かつ、安定して、正確な記録情報の再生を行うことのできる光情報記録媒体再生装置とその再生方法を提供することを目的としている。
【0033】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、回転駆動されるディスク状の支持体上に記録情報単位となる所定の大きさの記録凸部の形成された光情報記録媒体の記録情報を再生する光情報記録媒体再生装置であって、前記回転駆動される光情報記録媒体の前記記録凸部の形成された側の表面に対して一定距離を保って浮上する浮上部材と、前記浮上部材の先端に取り付けられ、底面が円錐形状で、該底面が前記光情報記録媒体の前記表面と対向するプリズムと、前記プリズムの底面先端に、前記光情報記録媒体に形成された前記記録凸部の二次元的あるいは三次元的大きさと同程度の大きさに形成された微小突起とからなる浮上部手段と、前記浮上部手段の前記プリズムの底面にレーザ光を照射して、前記微小突起からエバネッセント場を発生させるレーザ光照射手段と、前記エバネッセント場と前記光情報記録媒体の前記記録凸部とのカップリングによる、前記プリズムの底面からの反射光の反射光量変化を検出する検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0035】
また、請求項2の発明は、回転駆動されるディスク状の支持体上に記録情報単位となる所定の大きさの記録凸部の形成された光情報記録媒体の記録情報を再生する光情報記録媒体再生方法であって、前記回転駆動される光情報記録媒体の前記記録凸部の形成された側の表面に対して一定距離を保って浮上部材を浮上させ、前記浮上部材の先端に、底面が円錐状のプリズムを、該底面が前記光情報記録媒体の前記表面と対向するように取りつけるとともに、前記プリズムの底面先端に、前記光情報記録媒体に形成された前記記録凸部の二次元的あるいは三次元的大きさと同程度の大きさに微小突起を形成し、前記プリズムの底面にレーザ光を照射して、前記微小突起からエバネッセント場を発生させ、前記エバネッセント場と前記光情報記録媒体の前記記録凸部とのカップリングによる、前記プリズムの底面からの反射光の反射光量変化を検出して、前記光情報記録媒体の記録情報を再生することを特徴としている。
【0037】
ここで、光情報記録媒体は、ディスク状に形成された支持体を基板として、その表面に少なくとも記録情報単位となる微小の記録凸部が形成されている。この記録凸部は、種々の方法を用いて形成することができる。例えば、AFMを利用したクラスター蒸着法では、金蒸着したカンチレバーから金クラスターをSi基板上にSiOを重ねた支持体上に、電界蒸着させることにより、例えば、直径10〜20nm、高さ数nmの記録凸部を形成することができる。
【0038】
また、他の例としては、熱刺激により形状記録現象を示す形状記憶樹脂を用いて記録凸部を形成することができる。これは、形状記憶樹脂が、その弾性率が急激に変化する温度以上に加熱されると、膨張して、凸状の隆起が形成される現象を利用するもので、形状記憶樹脂としては、例えば、ポリノルボルネン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体及びポリウレタン等を用いることができる。
【0039】
さらに、記録凸部を形成する安価な方法としては、作製したい記録凸部の大きさ(例えば、100nm)に対応するアクリル球を水中に分散させ、アルコールで適当に希釈したものを、支持体上に塗付して、溶媒を蒸発させることによりアクリル球を1層のみ分散させて形成する方法がある。なお、記録凸部を形成させる方法としては、上記の方法に限定されるものではない。
【0040】
また、浮上部材は、種々の機構のものを用いることができるが、例えば、既知のハードディスクに用いられているスライダーをそのまま利用することができ、特に、平滑記録面であっても、吸着等の問題を低減するために、プローブと記録面が100nmオーダーで離れていても十分な再生信号が得られる場合を除き、コンタクトスタートストップ方式(CSS方式:浮上ヘッドを記録面に接触させたまま装置の起動、停止を行う方式)ではなく、非接触に起動、停止を行う方式を利用することが好ましい。非接触方式としては、例えば、セルフローディング型浮上ヘッドスライダー機構、スライダー昇降型ロード/アンロード機構、ランプロード型ロード/アンロード機構等が適している。
【0041】
すなわち、CCS方式では、スライダーの低浮上化に伴うスライダーの静止時における吸着及び混合潤滑領域における摩擦・磨耗の問題が発生し、この吸着は、本発明のように記録面である光情報記録媒体の表面が微小の記録凸部を問題とするような、微小化された面であれば、さらに顕著になるため、採用することができない。
【0042】
なお、現在では、この吸着現象緩和のために平滑にした磁気ディスクの表面にわざわざ粗さをつけるテクスチャリングが施されているが、この表面粗し方法は、本発明においては、記録凸部のコントラストを低下させるため、好ましいものではない。
【0043】
また、本発明では、浮上部材の先端には、定論が円錐形状のプリズムが取り付けられ、その光情報記録媒体側の底面先端に微小突起が形成されている。この微小突起は、エバネッセント場を局在化させて生成するのに適した大きさで、浮上部材の大きさに比べて非常に微小(光情報記録媒体に形成された記録凸部と同程度の大きさ)に形成することが好ましい。
【0044】
浮上部材は、微小突起と光情報記録媒体との間で効率良くエバネッセント場がカップリングするように、できるだけ少ない浮上量を保つことが必要である。具体的には、浮上量としては、300nm以下が望ましいが、その下限は、極限的には、0nm以下であるが、現実的には、数十〜100nmの範囲が望ましい。すなわち、光情報記録媒体再生装置による再生は、微小突起と記録面でエバネッセント場がカップリングする(近接場との相互作用による散乱や蛍光励起)ことを利用するものであるため、微小突起と記録凸部を10nm程度以下に近づけることが好ましいが、この10nm以下という距離は、浮上部材の表面と光情報記録媒体自体の表面、すなわち、支持体の表面との距離で達成できなくても、浮上部材の光情報記録媒体との対向面に配置された微小突起が記録凸部と10nmに近接すればよい。
【0045】
この場合、微小突起は、浮上部材の浮上量や振動等の問題が生じなければ、記録凸部とは接触しても問題なく、上述のように、浮上部材の大きさに比べて非常に微小に形成されているため、浮上部材の浮上量には、ほとんど影響を与えない。
【0046】
浮上部材のプリズム底面に形成した微小突起は、その突起の先端径あるいは突起の先端曲率半径の大きさが、適切なエバネッセント場を発生させ、かつ、記録凸部と適切にカップリングするためには、照射されたレーザ光、すなわち、再生光の波長λに対して、λ/500〜λ/10程度が好ましい。
【0047】
微小突起の作製方法は、適切なエバネッセント場を発生させ、かつ、記録凸部と適切にカップリングする形状のものを作製できるものであれば、何等限定されるものではなく、種々の方法が可能である。すなわち、微小突起は、浮上部材の材料自身に設けてもよいし、別途作製した微小突起を浮上部材に付着させてもよい。
【0048】
微小突起を作製する方法としては、例えば、フィラメント加熱式プラー(PULLER)を用いて、2段引きガラスマイクロピペットにアルミニウムを蒸着被覆する方法(A.Lewis and K.Lieberman:Anal.Chem.,63(1991) 625A−638A 参照)、あるいは、石英ロッド、シングルモード石英光ファイバーの先端を鋭利に研磨して、アルミニウムを蒸着被覆後、ピンホールを開口させる方法、シングルモード光ファイバーをCOレーザ加熱式マイクロピペットプラーで加工し、アルミニウムを被覆する方法、あるいは、光ファイバーの一端を化学エッチングにより先鋭化し、先端部を選択的に金属で被覆する方法(大津「フォトン制御」プロジェクト研究報告書 平成5年度:財団法人神奈川科学技術アカデミー)等がある。
【0049】
これらの方法で作製された微小突起は、光ファイバー、石英ロッド、あるいは、マイクロピペットに、レーザ光を導波させることでエバネッセント場を発生させることができる。
【0050】
さらに、浮上部材の表面に微結晶を圧着、接着させたり、適当な材料、例えば、ポリスチレンラテックス球を圧着、接着させる方法(精密光学会誌 Vol.60,No. 8,1994 p1122参照)によっても、本発明の微小突起としての機能を有する微小突起を作製することができるが、これらの方法の場合、レーザ光は、浮上部材の表面で全反射させることが必要になるため、全反射が生じるような材料面の形状及びレーザ入射カップリングを選択する必要がある。
【0051】
一方、光情報記録媒体は、記録情報単位が光情報記録媒体表面の記録凸部で構成され、記録情報がない場所、すなわち、非記録部は、記録凸部が存在しない場所である。
したがって、浮上部材のプリズム底面に形成された微小突起が、記録凸部を走査したとき、微小突起と光情報記録媒体の記録凸部が非常に近接するため、微小突起からしみ出したエバネッセント場がカップリングにより散乱されて、微小突起に入射したレーザ光の反射光量がこのカップリングの度合で低下し、非記録部では、記録凸部が存在しないため、微小突起に局在するエバネッセント場は、光情報記録媒体とカップリングが弱いか、あるいは、カップリングが起きないため、反射光量の変化がほとんどない。
【0052】
その結果、この反射光量の変化を検出手段で検出することにより、光情報記録媒体の記録情報の再生を行うことができる。
【0053】
このように、記録情報の再生が光情報記録媒体の表面凸部の有無に対して行われるため、記録情報が屈折率変化や磁化方向の変化で記録される方式に比べ、再生感度を向上させることができ、高記録密度化、高データ転送レート化を図ることができる。
【0054】
なお、エバネッセント場の発生を利用した再生装置であっても、透過光による再生方法では、レーザ光を照射する部分と、透過光を検出する部分と、が別であり、システムが複雑化するばかりでなく、再生レーザ光の当てられた部分全体の透過光をも集光するため、目的の情報部以外からの散乱光やカップリング光を検出する恐れがあり、解像度が低下する。
【0055】
すなわち、透過光による再生方法としては、例えば、図11に示すように、再生レーザ光21を記録部22の形成された光情報記録媒体23に照射して、記録面にエバネッセント場24を形成させ、このエバネッセント場24を微小プローブ25により伝播光26に変換して、検出器27により検出する方法が考えられる。なお、図11中28は、全反射光である。
【0056】
この方法は、検出光であるエバネッセント場24が光情報記録媒体23に対して、再生レーザ光21と反対側の面にあることから透過光検出型といえ、再生レーザ光21によるエバネッセント場24は、再生したい記録部22以外にも存在する。したがって、この再生したい記録部22以外のエバネッセント場24が微小プローブ25とカップリングして、解像度を低下させる。
【0057】
また、透過光による別の再生方法としては、例えば、図12に示すように、微小プローブ31に再生レーザ光32を入射し、微小プローブ31の先端にエバネッセント場33を発生させ、光情報記録媒体34で反射された反射光35ではなく、光情報記録媒体34上の記録部36とカップリングしたときの散乱光37、すなわち、透過光を集光レンズ38で集光して、検出器39で検出する方法が考えられる。
【0058】
この方法は、四方八方に散乱する散乱光37を効率良く検出することが非常に難しく、解像度が低下する。
【0059】
本発明の構成によれば、浮上部材は、光情報記録媒体の支持体、すなわち、光情報記録媒体自身の表面に対して追従して、常に、一定の距離を保持するので、光情報記録媒体のうねり、すなわち、支持体のうねりに対し、浮上部材に取り付けられたプリズムの微小突起と記録凸部の間隔を常に一定に保つことができ、エバネッセント場を発生させる微小突起と光情報記録媒体との間隔を複雑な制御回路を用いることなく、浮上部材のプリズム底面の微小突起と一定の間隔を保った状態で、光情報記録媒体を高速で回転させることができる。したがって、データ転送及びアクセス速度を向上させることができるとともに、高解像度で、かつ、安定して、正確な記録情報を再生することができる。
【0060】
特に、微小突起から発生するエバネッセント場と記録凸部との間のカップリングによる反射光の光量変化により記録情報を再生する反射型であるので、システムが簡単で、かつ、浮上部材プリズム底面に微小突起が形成されているので、微小突起を数十nmオーダーで近接させることができ、微小突起によりエバネッセント場を所望の記録凸部にのみ照射することができるとともに、エバネッセント場の照射された所望の記録凸部からの記録情報だけを効率良く反射光中に含ませることができ、検出感度を向上させることができる。
【0061】
前記浮上部材のプリズム底面の微小凸部は、光情報記録媒体に形成された前記記録凸部の二次元的あるいは三次元的大きさと同程度の大きさに形成されているのが好ましい。この構成によれば、エバネッセント場のカップリング現象、すなわち、微小突起で全反射した光が近接する物体に非接触で伝わるフォトンのトンネリング現象は、微小突起の大きさ及び形状と記録凸部の大きさ及び形状、特に、その大きさにより、効率が変化し、その両者の大きさと形状がほぼ同一のときに最大となるが、いま、微小突起の大きさと形状のうち少なくともその大きさが記録凸部と同程度に形成されているので、より一層再生感度を向上させることができる。
【0062】
光情報記録媒体の記録凸部は、当該記録凸部の形成された表面自体の凹凸の最大高低差よりも高く形成する。この構成によれば、光情報記録媒体の表面に微小の凹凸がある場合に、記録凸部がこの光情報記録媒体の表面の微小凹凸の最大の高低差よりも高く形成されているので、エバネッセント場がこの光情報記録媒体の表面の微小凸部とカップリングするのを防止して、あるいは、表面の凹部に形成された記録凸部とエバネッセント場がカップリングしないことを防止して、エバネッセント場を記録凸部とのみ適切にカップリングさせることができ、記録凸部以外の凸部の誤検出を防止することができる。その結果、検出精度をより一層向上させることができる。
【0063】
また、記録凸部は、少なくともその表面を所定の金属により被覆する。これによれば、少なくとも記録凸部の表面が金属で覆われているので、再生感度を向上させることができるとともに、データ転送速度を向上させることができる。
【0064】
また、光情報記録媒体の支持体は、ガラスあるいはプラスチックにより形成されていてもよい。光情報記録媒体の記録凸部以外の部分をガラスあるいはプラスチックで形成することにより、記録凸部と記録凸部以外の部分とのコントラストを向上させることができ、より一層再生感度を向上させることができるとともに、データ転送速度を向上させることができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0066】
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0067】
図1は、本発明の光情報記録媒体再生装置とその再生方法及び光情報記録媒体を適用した光情報記録媒体再生装置及び光情報記録媒体の側面部分断面図である。
【0068】
図1において、光情報記録媒体再生装置40は、浮上スライダー(浮上部材)41の先端部にプリズム42が取り付けられており、浮上スライダー41は、通常のハードディスクのスライダー、特に、非接触方式のスライダー、例えば、セルフローディング型浮上ヘッドスライダー機構、スライダー昇降型ロード/アンロード機構、ランプロード型ロード/アンロード機構等を利用することができる。
【0069】
プリズム42の底面は、凸状の円錐形状に形成されており、プリズム42の底面の円錐形状の頂点に、ポリスチレンラテックス球により形成された微小突起43が圧着されている。微小突起43は、その直径が約500nmに形成されている。
【0070】
光情報記録媒体再生装置40は、レーザを出射するレーザ光源44を備え、レーザ光源44から出射されたレーザ光は、プリズム42の底面に再生レーザ光45として入射される。プリズム42の底面に入射された再生レーザ光45は、プリズム42の底面で全反射され、反射光46として検出器47に入射される。検出器47は、入射される反射光46の光量変化を検出し、検出器47としては、例えば、4分割フォトディテクターが用いられている。
【0071】
上述のように、プリズム42の円錐形状の底面の頂点に微小突起43が取り付けられているため、レーザ光源44からの再生レーザ光45がプリズム42の底面の円錐形状の頂点部に照射されると、この再生レーザ光45により微小突起43には、その表面形状に対応した局在化したエバネッセント場48が発生する。
【0072】
浮上スライダー41の下方には、光情報記録媒体49が配置され、光情報記録媒体49は、ディスク状のガラス基板(支持体)50上に記録情報単位である記録凸部51が形成され、さらに、記録凸部51とガラス基板50が金膜52により被覆されている。
【0073】
すなわち、光情報記録媒体49は、図2の(a)に示すような表面が平坦なガラス基板50を用意し、このガラス基板50上に、図2の(b)に示すように、水中に分散させた後アルコールで適当に希釈した直径約100nmのアクリル球を塗付して、溶媒のアルコールを蒸着させと、アクリル球を均一に1層だけ分散させることができる。その後、図7の(c)に示すように、金膜52を蒸着することで、ガラス基板50上に直径約100nm、高さ約30nmの円柱状の記録凸部51を有する光情報記録媒体49を形成している。
【0074】
この場合、記録凸部51上に蒸着された金膜52と、ガラス基板50上に直接蒸着された金膜52とは、図2の(c)に示すように、間隙が形成されている。
【0075】
また、記録凸部51は、例えば、上述したAFMを利用したクラスター蒸着法等により形成してもよく、このクラスター蒸着法は、図3に示すように、金蒸着したカンチレバー70から金クラスターを、基板、例えば、Si基板71上にSiO72を重ねた支持体73上に、スイッチ74をオン/オフ操作して、電界蒸着させることにより、例えば、直径10〜20nm、高さ数nmの記録凸部51を形成することができる。
【0076】
そして、上記浮上スライダー41に取り付けられている微小突起43は、上記光情報記録媒体49に形成されている記録凸部51の大きさ及び形状(記録凸部51が図1に示すように金膜52等の金属で被覆されているときには、当該金属を含めた大きさ及び形状)と同等の大きさ及び形状に形成されていることが望ましい。
【0077】
光情報記録媒体49は、ターンテーブル53に載せられ、図示しないモータにより、例えば、図1中矢印方向に回転される。こうして、回転される光情報記録媒体49に対して、上記浮上スライダー41は、上述のように、ハードディスクのスライダーを用いると、記録凸部51に影響されることなく、光情報記録媒体49自体の表面、すなわち、金膜52の蒸着されたガラス基板50自体の表面に対して、一定の微小距離、例えば、0nm〜数十nmを保って浮上する。
【0078】
次に、作用を説明する。光情報記録媒体49は、ターンテーブル53上に載せられ、回転されると、浮上スライダー41は、光情報記録媒体49の表面、すなわち、金膜52の蒸着面から図1に両矢印で示す所定の距離Wを常に一定に保って浮上する。
【0079】
いま、浮上スライダー41として、通常のハードディスクのスライダーを利用することができるので、0nm〜数十nmオーダーで光情報記録媒体49と浮上スライダー41との距離を一定に保った状態で、浮上させることができる。
【0080】
すなわち、光情報記録媒体49は、ガラス基板50自体が大きな歪みを有することがあるが、光情報記録媒体49がターンテーブル53に搭載されて回転されると、この大きな歪みは、浮上スライダー41にとって光情報記録媒体49の記録凸部51に対する場合よりも低周波数の凹凸となり、浮上スライダー41は、この低周波数の凹凸に追従して、一定の距離を保って浮上する。
【0081】
なお、この浮上スライダー41が光情報記録媒体49の表面自体、すなわち、金膜52の蒸着面(支持体であるガラス基板50)との距離を一定に保ち、記録凸部51によりその距離が変動しないことを、再生レーザ光45を微小突起43に当たらないようにずらして、4分割フォトディテクターである検出器47により浮上スライダー41の動きを検出することにより確認した。
【0082】
次いで、再生レーザ光45をプリズム42の底面の頂点部分に照射させて、この頂点部分に形成されている微小突起43上で全反射させると、微小突起43からエバネッセント場48が発生し、この状態で光情報記録媒体49をターンテーブル53により回転させる。
【0083】
光情報記録媒体49が回転して、微小突起43が記録凸部51と対向すると、エバネッセント場48が記録凸部51とカップリングし、散乱光が発生する。また、光情報記録媒体49が回転して、微小突起43が記録凸部51のない部分に対向すると、エバネッセント場48は、記録凸部51がないため、カップリングしない。
【0084】
したがって、エバネッセント場48を発生させた後の反射光46を検出器47でモニターすると、エバネッセント場48のカップリングによる反射光46の光量変化、すなわち、記録凸部51の有無を検出することができ、記録情報単位である記録凸部51の有無により記録情報を再生することができる。
【0085】
そして、このエバネッセント場48は、浮上スライダー41の先端部に設けられたプリズム42の円錐形底部の頂点部分に取り付けられた微小突起43により形成されているので、先鋭化されたエバネッセント場が形成され、かつ、微小突起43と光情報記録媒体49の記録凸部51とが、0nm〜数十nmオーダーで一定間隔に保持されているので、エバネッセント場48は、光情報記録媒体49の記録凸部51と効率的にカップリングする。したがって、光情報記録媒体49を高速で回転させて、感度よく記録凸部51を検出することができる。
【0086】
その結果、浮上スライダー41の微小突起43と光情報記録媒体49自体の表面との距離を、複雑なフィードバック制御を行うことなく、0nm〜数十nmオーダーで一定に保持することができるとともに、光情報記録媒体49を高速回転させることができ、高速に、かつ、高感度で記録情報の再生を行うことができるとともに、高速にデータ転送を行うことができる。
【0087】
なお、上記再生処理において、反射光46を検出器47で検出する際、微小突起43及び記録凸部51の大きさと、浮上スライダー41の浮上量等を適当に選択することにより、光強度の変化を測定することができるとともに、4分割フォトディテクターである検出器47により反射光46の位置ずれ量を検出することもできる。
【0088】
また、上記実施の形態においては、光情報記録媒体49として、ガラス基板50とその上にアクリル球で形成した記録凸部51を金膜52により被膜しているため、検出感度を向上させることができた。
【0089】
すなわち、本実施の形態の光情報記録媒体49の表面を金膜52で被覆した場合と、金膜52で被膜しなかった場合と、の検出器47における検出光強度の比較実験を行ったところ、図4に示すように、金膜52で被覆した場合(図4中X1で表示)の方が、金膜52で被覆しなかった場合(図4中X2で表示)よりも格段に検出光強度が高いことが判明した。
【0090】
このことから、エバネッセント場48と記録凸部51とがカップリングする際、記録凸部51が金属により被覆されているか、記録凸部51が金属で形成されているほうが、より一層効率良くエバネッセント場48が散乱されて、検出感度が向上することが判明した。
【0091】
この記録凸部51を金で被覆する方法は、上記実施の形態のものに限るものではなく、例えば、図5に示すように、記録凸部51を含め、ガラス基板50上を全て金膜52で被覆する方法、図6に示すように、ガラス基板50上の記録凸部51の全体を金膜52で被覆する方法、あるいは、図7に示すように、ガラス基板50上の記録凸部51の先端部のみに金膜52を被覆する方法等のいずれの方法であってもよく、要は、エバネッセント場48が効率良くカップリングして散乱できるものであればよい。なお、記録凸部51自体を、金等の金属で形成してもよい。
【0092】
また、記録凸部51を被覆あるいは記録凸部51自体を形成する金属としては、金膜52に限るものではなく、エバネッセント場48と効率良くカップリングするものであれば、銀等何であってもよい。
【0093】
そして、記録凸部51と微小突起43との関係についても、上記浮上スライダー41に取り付けられている微小突起58は、上記光情報記録媒体49に形成されている記録凸部51の大きさ及び形状(記録凸部51が図1に示すように金膜52等の金属で被覆されているときには、当該金属を含めた大きさ及び形状)と同等の大きさ及び形状に形成されていることが望ましいことが判明した。
【0094】
すなわち、記録凸部51を上述のように水中に分散させた後アルコールで適当に希釈した直径約100nmのアクリル球をガラス基板50上に塗付して、溶媒のアルコールを蒸着させ、その上に金膜52を蒸着して形成したものに対して、金膜52の蒸着量を種々変化させて、検出器47の検出結果を測定したところ、金膜52の蒸着量が非常に少ない場合は、再生信号のCNR(CN比:キャリア−ノイズ比)が悪化し、また、金膜52の蒸着量がある程度以上増えると、金膜52の蒸着量が増えるに従ってノイズが増加した。
【0095】
これは、金膜52の蒸着量が非常に少ない場合は、微小突起43のポリスチレンラテックス球表面に存在する微小突起も含めた全体の形状に比較して、金膜52で被覆された記録凸部51全体が小さいため、エバネッセント場48のカップリング効率が悪く、逆に、金膜52の蒸着量がある程度以上増えると、微小突起43全体の形状に比較して、金膜52で被覆された記録凸部51全体が大きくなって、記録凸部51以外の部分が微小突起43とカップリングする確率が生じるために、再生信号のノイズが増加すると考えられる。
【0096】
そして、微小突起43と記録凸部51(上記金膜52を含めたもの)との二次元的大きさや三次元的形状が同等に形成されているときに、最もノイズの発生が少なく、良好な再生精度を得ることができた。
【0097】
そのため、本実施の形態では、上記浮上スライダー41に取り付ける微小突起43と光情報記録媒体49に形成する金膜52を含めた記録凸部51を、その二次元的大きさ及び三次元的形状を同等のものとした。
【0098】
さらに、本実施の形態においては、光情報記録媒体49に形成する記録凸部51の高さを、光情報記録媒体49の表面の微小凹凸の最大高低差よりも高く形成している。
【0099】
すなわち、光情報記録媒体49の表面には、微細な凹凸が存在し得るが、このような微細な凹凸が存在すると、浮上スライダー41の微小突起43から発生されるエバネッセント場48がこの微細な凹凸とカップリングする恐れがあり、ノイズの原因となる。
【0100】
そこで、本実施の形態においては、図8に示すように、光情報記録媒体49の表面の微細な凸部のうち最大凸部49aの高さdmaxと、光情報記録媒体49の表面の微細な凹部のうち最大凹部49bの深さdminと、の高低差(dmax+dmin)よりも記録凸部51の高さdを高く形成している。
【0101】
したがって、これら光情報記録媒体49自体の表面の凸部49aとエバネッセント場48とのカップリングの発生を抑制することができ、また、表面の凹部49bに形成された記録凸部51とエバネッセント場48がカップリングできるようになり、さらに、この状態でも表面の凸部とのカップリングは弱くおさえられるため、ノイズの発生を抑制して、再生信号の低ノイズ化及び正確な記録情報の再生を図ることができる。
【0102】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0103】
例えば、上記実施の形態においては、光情報記録媒体49の支持体としてガラス基板50を用いているが、ガラス基板50に限るものではなく、プラスチック等を用いることができるが、非金属のものが適している。
【0104】
すなわち、エバネッセント場とカップリングすることによる反射光の光量変化を検出することにより、再生を行っているので、記録凸部以外の部分が非金属であるほうがカップリング効率が良いからである。
【0105】
また、上記実施の形態においては、光情報記録媒体49をガラス基板50にアクリル球により記録凸部51を形成して、その上に金膜52を蒸着しているが、光情報記録媒体49としては、これに限るものではなく、例えば、ガラス基板50上に金属を直接記録凸部として形成してもよい。
【0106】
さらに、上記実施の形態においては、浮上スライダー41として、既存のハードディスクのスライダーを用いているが、浮上部材としては、これに限るものではなく、光情報記録媒体49自体の表面と一定の微小間隔を有して浮上するものであれば、どのようなものでも適用することができる。
【0107】
また、上記実施の形態においては、微小突起43を、ポリスチレンラテックス球を用いて形成しているが、ポリスチレンラテックス球に限るものでないことは、いうまでもない。
【0108】
【発明の効果】
本発明によれば、浮上部材は、光情報記録媒体の支持体、すなわち、光情報記録媒体自身の表面に対して追従して、常に、一定の距離を保持するので、光情報記録媒体のうねり、すなわち、支持体のうねりに対し、微小突起と支持体の間隔を常に一定に保つことができ、エバネッセント場を発生させる微小突起と光情報記録媒体との間隔を複雑な制御回路を用いることなく、浮上部材のプリズム底面の微小突起と一定の間隔を保った状態で、光情報記録媒体を高速で回転させることができる。
【0109】
その結果、データ転送及びアクセス速度を向上させることができるとともに、高解像度で、かつ、安定して、正確な記録情報を再生することができる。
【0110】
特に、微小突起から発生するエバネッセント場と記録凸部との間のカップリングによる反射光の光量変化により記録情報を再生する反射型であるので、システムが簡単で、かつ、浮上部材のプリズム底面に微小突起が形成されているので、微小突起を数十nmオーダーで近接させることができ、微小突起によりエバネッセント場を所望の記録凸部にのみ照射することができるとともに、エバネッセント場の照射された所望の記録凸部からの記録情報だけを効率良く反射光中に含ませることができ、検出感度を向上させることができる。
【0111】
また、微小突起の大きさと形状のうち少なくともその大きさ記録凸部と同程度に形成することにより、より一層再生感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報記録媒体再生装置とその再生方法及び光情報記録媒体の一実施の形態を適用した光情報記録媒体再生装置及び光情報記録媒体の要部側面図。
【図2】図1の光情報記録媒体の記録凸部の製造方法を説明するための光情報記録媒体の側面図。
【図3】光情報記録媒体の記録凸部の他の製造方法を示す図。
【図4】光情報記録媒体の記録凸部を金で被覆した場合(X1)と被覆しない場合(X2)の検出光強度の相違を示す図。
【図5】ガラス基板と記録凸部の全てを金膜で被覆する例を示す光情報記録媒体の側面図。
【図6】記録凸部のみを金膜で被覆する例を示す光情報記録媒体の側面図。
【図7】記録凸部の先端部のみを金膜で被覆する例を示す光情報記録媒体の側面図。
【図8】光情報記録媒体の記録凸部を光情報記録媒体の最大凸部と最大凹部の高低差よりも高く形成している状態を示す光情報記録媒体の側面図。
【図9】観察対象物体に入射光を入射させ、発生されるエバネッセント場をプローブで散乱光として観察する従来の方法の説明図。
【図10】レーザ光をプローブに入射し、その先端部に発生するエバネッセント場により記録層にフォトクロミック反応を起こさせて、その記録層の透過率で情報の再生を行う従来の方法の説明図。
【図11】従来の透過光を利用した再生方法の一例を示す図。
【図12】従来の透過光を利用した再生方法の他の例を示す図。
【符号の説明】
40 光情報記録媒体再生装置
41 浮上スライダー
42 プリズム
43 微小突起
44 レーザ光源
45 再生レーザ光
46 反射光
47 検出器
48 エバネッセット場
49 光情報記録媒体
50 ガラス基板
51 記録凸部
52 金膜
53 ターンテーブル

Claims (2)

  1. 回転駆動されるディスク状の支持体上に記録情報単位となる所定の大きさの記録凸部の形成された光情報記録媒体の記録情報を再生する光情報記録媒体再生装置であって、
    前記回転駆動される光情報記録媒体の前記記録凸部の形成された側の表面に対して一定距離を保って浮上する浮上部材と、前記浮上部材の先端に取り付けられ、底面が円錐形状で、該底面が前記光情報記録媒体の前記表面と対向するプリズムと、前記プリズムの底面先端に、前記光情報記録媒体に形成された前記記録凸部の二次元的あるいは三次元的大きさと同程度の大きさに形成された微小突起とからなる浮上部手段と、
    前記浮上部手段の前記プリズムの底面にレーザ光を照射して、前記微小突起からエバネッセント場を発生させるレーザ光照射手段と、
    前記エバネッセント場と前記光情報記録媒体の前記記録凸部とのカップリングによる、前記プリズムの底面からの反射光の反射光量変化を検出する検出手段と、
    を備えていることを特徴とする光情報記録媒体再生装置。
  2. 回転駆動されるディスク状の支持体上に記録情報単位となる所定の大きさの記録凸部の形成された光情報記録媒体の記録情報を再生する光情報記録媒体再生方法であって、
    前記回転駆動される光情報記録媒体の前記記録凸部の形成された側の表面に対して一定距離を保って浮上部材を浮上させ、前記浮上部材の先端に、底面が円錐状のプリズムを、該底面が前記光情報記録媒体の前記表面と対向するように取りつけるとともに、前記プリズムの底面先端に、前記光情報記録媒体に形成された前記記録凸部の二次元的あるいは三次元的大きさと同程度の大きさに微小突起を形成し、
    前記プリズムの底面にレーザ光を照射して、前記微小突起からエバネッセント場を発生させ、前記エバネッセント場と前記光情報記録媒体の前記記録凸部とのカップリングによる、前記プリズムの底面からの反射光の反射光量変化を検出して、前記光情報記録媒体の記録情報を再生する、
    ことを特徴とする光情報記録媒体再生方法。
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