JPH11158197A - リン酸化糖およびその製造方法 - Google Patents

リン酸化糖およびその製造方法

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JPH11158197A
JPH11158197A JP10236546A JP23654698A JPH11158197A JP H11158197 A JPH11158197 A JP H11158197A JP 10236546 A JP10236546 A JP 10236546A JP 23654698 A JP23654698 A JP 23654698A JP H11158197 A JPH11158197 A JP H11158197A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 リン酸化糖の6位と3位の結合リン酸基のう
ち、6位の結合リン酸基を特異的に脱リン酸化するホス
ファターゼKU−8。およびこの酵素を用いて3位リン
酸化糖を製造する製造法とその3位リン酸化糖とその用
途。また、希酸で処理することを特徴とする6位リン酸
化糖の製造法およびその6位リン酸化糖とその用途。 【効果】 リン酸化糖のリン酸基の結合位置を認識して
特異な脱リン酸化を行う新規なホスファターゼKU−8
を提供し、さらにリン酸化糖から本酵素を用いることに
よって効率よく容易に3位リン酸化糖を得る。また、6
位のみリン酸化された糖を酸処理で安価に製造する。さ
らに本発明を用いることで簡便にグルコース残基の6位
あるいは3位に結合したリンの量を定量分析し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グルカンとリン酸がエ
ステル結合している糖類(本発明においてリン酸化糖と
略す)のグルコース残基の6位と3位に結合しているリ
ン酸基のうち、6位のリン酸基を特異的に脱リン酸化す
るホスファターゼKU−8(以下本酵素と呼ぶ)、およ
び本酵素を用いる、リン酸が結合している部位が構成グ
ルコース分子の3位ばかりの少糖および多糖(以下、3
位リン酸化糖と称する)の製法ならびにその3位リン酸
化糖に関する。また、本発明はリン酸化糖のグルコース
残基の6位と3位の結合リン酸基のうち、3位の結合リ
ン酸基のみ脱リン酸化する処理、本処理を用いるリン酸
が結合している部位が構成グルコース分子の6位ばかり
の少糖および多糖(以下、6位リン酸化糖と称する)の
製法ならびにその6位リン酸化糖に関する。さらに、本
発明は3位あるいは6位リン酸化糖の還元末端が還元さ
れ糖アルコールとなったリン酸化糖アルコール(以下、
3位あるいは6位リン酸化糖アルコールと称する)、3
位あるいは6位リン酸化糖とタンパク質またはペプチド
との複合体であるリン酸化糖誘導体、もしくは3位ある
いは6位リン酸化糖あるいはリン酸化糖誘導体とアルカ
リ土類金属あるいは鉄との結合体であるリン酸化糖誘導
体に関する。
【0002】これらの3位あるいは6位リン酸化糖ある
いはリン酸化糖誘導体は、カルシウムなどのアルカリ土
類金属または、鉄の沈殿阻害効果(以下、可溶化とい
う)、あるいはカルシウムなどの吸収促進作用を有して
いる。さらに、3位あるいは6位リン酸化糖は難消化性
であり、低カロリーであると同時に整腸作用も期待でき
る。従って、本発明は、食品、飲料、飼料、あるいは肥
料に含まれるまたは含有させたカルシウムなどのアルカ
リ土類金属、または、鉄の生体への吸収を促進させるこ
とによって、あるいは、難消化性糖を摂取することによ
って、ヒトや動物の健康を増進して各種の疾患を予防す
る原料、飲食用組成物、食品添加用組成物、医薬品用組
成物あるいは飼料の原料または組成物として有用であ
る。
【0003】また、本発明品は食品のもつ甘みをさわや
かな甘みに変えたり、塩味を増強したりする味質改善効
果もあり、本効果を期待して食品へも有効に添加し得
る。本発明はまた、植物へのカルシウムの吸収を促進し
て、植物あるいは果樹の日持ちを向上させる肥料の原料
や組成物に関する。さらに、本発明品は、虫歯の予防効
果を有しており、詳細には食品、飲料、飼料はもとよ
り、練り歯磨き、マウスウオッシュ、トローチなどの口
腔用組成物にも添加され得る。本発明は、種々のスケー
ル、特にカルシウム系およびマグネシウム系スケールの
発生を防止または抑制し得るスケール防止剤として使用
され得る。また、この金属キレート作用およびpH緩衝
作用、保湿作用を有しており、シャンプー、リンス等の
洗髪用組成物はもとより化粧品、整髪用組成物としても
有用である。
【0004】尚、リン酸化糖を用いた製品において、そ
の製造過程あるいは保存過程においてアミノカルボニル
反応による褐変現象が生じることが好ましくない場合に
は、還元末端を還元したリン酸化糖アルコールを用いる
とこれを避けることができる。
【0005】
【従来の技術】植物が貯蔵する澱粉の多くには、澱粉を
構成するグルコースに一部リン酸がエステル結合してい
る。澱粉中のリン酸含有量としては微量であるがゼロで
はなく、とりわけ芋類の澱粉には比較的多く、中でも馬
鈴薯澱粉はリン酸基を多く含んでおり、リン酸含有量の
非常に高い品種も存在している(矢木敏博ら、澱粉科
学、20巻、51頁、1973年)。馬鈴薯澱粉中では
これを構成するグルコース残基にリン酸基が比較的多く
エステル結合していることが知られており、その99%
以上が6位あるいは3位に結合していることが知られて
いる。(Takeda&Hizukuri、Carbo
hydrate Research、102巻 321
−327頁、1982年)。このような澱粉をアミラー
ゼなどの澱粉分解酵素を用いて分解する場合、澱粉構造
中のリン酸基がエステル結合したグルコース残基の近傍
には酵素は作用できず、この部分はリン酸化された少糖
の形で未分解のまま残ることが知られている。釜阪らの
リン酸化糖に関する技術(特開平8−104696)は
このような特性を生かし、糖質分解酵素を巧みに利用し
効率的な製造法を確立したものであり、以下に要約した
ように食品およびその周辺用途への新しい利用技術を確
立したものであった。
【0006】食品から摂取すべき栄養素の中で、ミネラ
ルは、生体の機能を維持するために欠くことができな
い。しかし、このミネラルは現在の食生活においては不
足しがちで、このため健康上への影響が問題となってい
る。例えば、1日のカルシウムの平均摂取量は栄養所要
量の600mgに達していない(厚生省、平成9年度国
民栄養調査)。カルシウムは容易に無機リン酸と結合し
不溶性の沈殿を形成しやすく、特にカルシウムの吸収部
位である腸管内は微アルカリ性になっており、このカル
シウムの不溶化が促進されるために吸収されにくいわけ
である。さらにカルシウムは骨や歯などに多く存在し、
生体での需要が高いことも事実であり、カルシウムの不
足は骨粗鬆症等の各種疾患の発症につながることもわか
っている(江澤郁子、日本栄養食糧学会誌、49巻、2
47〜257頁、1996年)。また、同様に鉄やマグ
ネシウムについてもその吸収率の悪さが知られており、
カルシウムと同様に、摂取不足は各種疾患に関わってい
る(R.D.Baynes、Annu. Rev. Nut
r.、10巻、133−138頁、 1990年)。特
に成長期の子供や妊婦において、摂取量の不足は問題で
ある。さらに、今日、ダイエットや偏食の問題も大き
く、嗜好食品においてもカルシウムと同様に鉄やマグネ
シウムの有効な生体への吸収を考慮した食品が期待さ
れ、これらのバランスのよい摂取方法の開発は重要な課
題である。畜産業界では生産性の向上のためから、ブロ
イラー、豚などは、急激な成長が求められるため、骨の
発育が追いつかずに脚弱、奇形などの問題が起こってい
る。カルシウムは特に、骨、卵殻質改善、牛乳のカルシ
ウム強化、鰻の骨曲がり防止などの目的で補給されてい
るが、カルシウムの利用率が悪いことが大きな問題とな
っている。また、真珠等の養殖においてもカルシウムの
十分な補給が商品の品質を左右することが知られてい
る。植物にとってもカルシウムは重要な要素であり、E
DTA−カルシウムなどのキレートカルシウムの投与に
よって、細胞壁の強化あるいはエチレンガスの発生抑制
等の作用による老化抑制効果および日持ち性の向上が知
られている(田中ら、J.Japan.Soc.Hor
t.Sci.、61巻、183−190頁、1992
年)。
【0007】カルシウムが腸管内において不溶化しない
ようにすことにより、腸管から効率よく吸収させること
を目的として、カルシウムと化合物を形成する能力のあ
る物質が開発され利用されている。例えば、カゼインホ
スホペプチド(CPP)を飲料または、食品に添加する
技術(特開平3−240470号公報、特開平5−28
4939号公報)、クエン酸カルシウム・リンゴ酸カル
シウム複合体のカルシウム可溶化効果(特開昭56−9
7248)ペクチン酸カルシウムの骨強度増強作用(特
開平6−7116号公報)等が知られている。これらの
化合物は、一部食品にもすでに利用されている。しか
し、用途によっては使用に制限があり、必ずしも満足の
ゆくものではない。例えば、カゼインホスホペプチドは
比較的よく食品に利用されているが、乳タンパク質の酵
素処理によって製造されているために大変高価であると
ともに、精製度の低いものは苦みを呈しており利用が制
限される問題がある。また、クエン酸カルシウム・リン
ゴ酸カルシウム複合体についても酸味を呈しており利用
には制限が生じている。
【0008】このような背景から、釜阪らは馬鈴薯澱粉
よりリン酸化糖を調製し、食品への利用を行っている
(特開平8−104696)。このリン酸化糖は、安価
であり、無味無臭であるためにその利用範囲の広さが期
待されている。また、虫歯予防効果、難消化性糖として
の作用も期待されており用途の広さも注目されている。
【0009】しかし、この画期的な素材も、3位あるい
は6位リン酸化糖が混在しており、3位リン酸化糖ある
いは6位リン酸化糖のみをとりだすことはできなかっ
た。3位リン酸化糖および6位リン酸化糖はその結合安
定性等の相違から、違う挙動を示すことが予想されるた
めそれらを分離することが望まれている。これは3位結
合リン酸と6位結合リン酸の性質の差を研究するための
基質を得て研究を発展させるうえでも望まれる。また、
それぞれの結合型リン含量の簡便な定量方法も、開発利
用に当たって望まれている。
【0010】一方、リン酸エステルの脱リン酸化を行う
ホスファターゼに関する研究自体は古くから行われてい
る。例えば、Shimadaらの報告(Biochim
ica et Biophysica Acta, 4
80巻 417−427頁、1977年)やZylaら
の報告( J.Sci.Food Agric. 49
巻 315頁、1989年)や Zylaの報告(Wo
rld Journal of Microbiolo
gy and Biochemistry,9巻 11
7−119頁、1993年)にアスペルギルス ニガー
由来の酸性ホスファターゼ(E.C.3.1.3.2)
に関する内容が記載されている。また、例えばFaul
kerの報告(Biochem. J. 60巻 59
0−596頁、1995年)にはグルコース−1 −リン
酸に特異的なグルコース−1 −ホスファターゼ(E.
C.3.1.3.10)が報告されており、水島の報告
(蛋白 核酸 酵素 22巻 1524−1529頁、
1977年)にはグルコース−6−リン酸に作用するグ
ルコース−6−ホスファターゼ(E.C.3.1.3.
9)が報告されている。
【0011】このように、単糖のリン酸化物のリン酸基
の結合位置によって作用の異なるホスファターゼについ
ては報告がされている。しかし、単糖以外のリン酸化糖
におけるリン酸基の結合位置の違いを認識するホスファ
ターゼについては過去全く報告はない。さらに単糖、少
糖、多糖を問わず、3位結合リン酸と6位結合リン酸の
結合のうちの一方のみを選択的に脱リン酸化するホスフ
ァターゼは知られていない。また、いくつかの市販され
ているホスファターゼ(小麦胚、牛乳、牛前立腺および
大腸菌由来)においてもリン酸化糖におけるリン酸基の
結合位置の違いを認識して選択的に脱リン酸化するもの
は見いだされていない。
【0012】ところで、馬鈴薯澱粉中のエステル結合リ
ン酸基の約60〜70%はグルコース残基の6位に、3
0〜40%は3位に、それぞれ結合しているといわれて
いる(Hizukuriら、Starch、 22巻
338−343頁、1970年)。だが3位のみあるい
は6位のみのリン酸化されたリン酸化糖を分取したとい
う報告はこれまでなされていない。
【0013】現在にいたるまで、このようなリン酸化少
糖あるいはリン酸化多糖の中から3位あるいは6位リン
酸化糖のみを分画する方法は報告されていない。ただ
し、リン酸化少糖については本発明者が、リン酸化少糖
溶液を適当な液体クロマトグラフィー、例えばHigh
−performance anion exchan
ge chromatography(HPAEC、ダ
イオネックス DX−300、CarboPac PA
−100カラム、ダイオネックス社製)やHPLC(ダ
イソーパックSP−120−5−ODS−BPカラム)
などを用いてごく少量ずつ多大な時間と労力をかけて分
画する方法をこのたび開発した。しかし、この方法で
は、大量調製は現実的には極めて困難である。
【0014】グルコース残基の1位リン酸結合と6位リ
ン酸結合の性質については多少たりとも研究されている
が、3位リン酸結合の性質については研究が進んでいな
い。これはひとえに、単糖のリン酸化物のグルコース−
1 −リン酸およびグルコース−6−リン酸は試薬として
も発売されているが、3位にリン酸が結合した糖は単
糖、少糖を問わずその標品を得ることができなかったた
めと考えられる。その意味でも、3位のみリン酸化され
た糖の標品が効率よく得られることが待たれていた。ま
た、6位リン酸結合の糖質として、グルコース−6−リ
ン酸について、従来より研究がなされてきたが、6位の
みリン酸化されたリン酸化少糖類、リン酸化多糖類につ
いての報告はない。さらには前述の通り、3位あるいは
6位結合型糖質の分離は困難であり、それぞれの分別定
量分析法も望まれていた。
【0015】また、虫歯と俗称される齲蝕は歯周病とと
もにヒトが歯を失う二大原因の一つであり、その発症に
様々な因子が複雑に関わりあう多因子制の疾患である。
しかし、完全なる予防方法が未だに存在しない疾患の一
つでもある(西沢俊樹、FoodStyle21、 1
巻、50−55頁、1997年)。また、虫歯になり難
い糖類も多く開発されてきており、食品に応用されてい
る。例えば、糖アルコール、カップリングシュガー、パ
ラチノース等である(岡田茂孝、歯界展望、90巻、8
89−891頁、1997年)。これらは、虫歯の原因
菌に資化されず酸を生成しないことを特徴としている。
しかし実際の甘味食品では味質のよさで砂糖などに及ば
ないため単独で使われることは少なく、結局砂糖やグル
コースと併用されるため、酸が生成し、齲蝕を回避でき
なかった。
【0016】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、リン酸化
糖のリン酸基の結合位置を認識してグルコース残基の6
位に結合したリン酸基を脱リン酸化し、3位に結合した
リン酸基に作用しない新規なホスファターゼを提供し、
さらにリン酸化糖から本酵素を用いることによって効率
よく容易に3位リン酸化糖を得る方法を提供すること、
またリン酸化糖に希酸溶液を用いた加熱処理を行って効
率よく容易に6位リン酸化糖を得る方法を提供すること
を目的とする。
【0017】なお、本特許にいうリン酸化少糖とは、各
種澱粉に対して澱粉分解酵素である液化型α−アミラー
ゼ(E.C.3.2.1.1)、グルコアミラーゼ
(E.C.3.2.1.3)、プルラナーゼ(E.C.
3.2.1.41)等のアミラーゼを1種、あるいは2
種以上作用させたのちに得られるα−1、4−グルカン
のうち、α−1、4結合した2〜10個のグルコースか
らなり、さらに該グルカンの1つ以上のグルコース残基
の6位または3位にリン酸基が少なくとも1個エステル
結合している少糖のことをいう。これらのアミラーゼを
さらに高濃度、長時間作用させ、分取すれば、最終的に
2から5個のグルコースがα−1、4結合し、ひとつ以
上のリン酸基が結合した少糖を得ることができる。ま
た、先のリン酸化糖に糖転移酵素であるシクロデキスト
リングルカノトランスフェラーゼ(E.C.2.4.
1.19)を作用させることで、7から12個のグルコ
ースがα−1、4結合し、二つ以上のリン酸基が結合し
た少糖および多糖を得ることができる。
【0018】本特許にいうリン酸化多糖とは、各種澱粉
およびその分解物をはじめとした、11個以上のグルコ
ースがα−1、4結合あるいはα−1、6結合した多糖
類で1個以上のリン酸基がグルコース残基の3位または
6位にエステル結合したものをいう。
【0019】そして、熱に不安定な3位リン酸化糖を除
き、6位リン酸化糖単品を提供することで、食品、飲
料、飼料製造工程中あるいは薬品、化粧品、口腔用組成
物等の製造工程中における結合リンの安定性を向上さ
せ、遊離無機リン酸の含量を低減させた製品の提供を目
的とする。また、その逆に、糖質とリン酸の結合様式の
研究用試薬などの用途に使用可能な3 位リン酸化糖のみ
の提供も目的とする。さらに、3位あるいは6位のみの
リン酸化糖の製造技術を用いて、それぞれの含量を簡便
に定量分析することも目的とする。ことに、通常緩衝液
としてもっともよく用いられるリン酸緩衝液中ではリン
酸イオンが存在することにより、リン酸化糖からリン酸
基を遊離させ生成した無機リン酸を定量するという手法
はとれないが、本願においてはこの課題を克服し、リン
酸化糖中のリン酸含量を測定することも目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】リン酸結合部位が3位と
6位のものが混在しているリン酸化少糖またはリン酸化
多糖に、リン酸化糖のリン酸基の結合位置を認識してグ
ルコース残基の6位に結合したリン酸基のみ脱リン酸化
する新規なホスファターゼを作用させる。あるいは、上
記リン酸化少糖またはリン酸化多糖を希酸、好ましくは
酢酸溶液中で加熱処理する。前者の処理によって、リン
酸化少糖またはリン酸化多糖の6位に結合したリン酸基
のみ切断される。後者の処理によっては3位に結合した
リン酸基のみ切断される。これにより得られた3位、あ
るいは6位リン酸化糖を精製する手段は、デキストリン
の分子量により膜透析、あるいは各種のイオン交換クロ
マトグラフィー(たとえば富士紡績株式会社製のキトパ
ールによる陰イオン交換クロマトグラフィー)、電気透
析装置(たとえば旭化成製のマイクロアシライザー)等
を用いれば比較的容易であり、大量生産も可能である。
3位リン酸化糖製造に使用する菌株はアスペルギルス
ニガー(Aspergillus niger) が好適
である。
【0021】1. 3位リン酸化糖製造に用いる酵素の製
造 Aspergillus niger KU−8を培地
に培養する。培地の栄養源は、本菌株が良好に生育して
目的の酵素を順調に生産するならば特に限定するもので
はない。炭素源としてはグルコース、シュークロース、
マルトース、コーンスターチ、デキストリンなどを挙げ
ることができ、また、窒素源としてはポリペプトン、カ
ゼイン、酵母エキスなどを挙げることができる。また、
カルシウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイ
オンなどの無機塩類や各種ビタミン類を使用することが
出来る。培養は振とう培養もしくは通気撹袢培養などの
好気条件下で、培地をpH3〜8の範囲、好ましくはp
H4〜7の範囲に調整し、培養温度は10℃〜50℃、
好ましくは20℃〜40℃程度で1〜10日間、好まし
くは2〜7日間程度培養する。培養後、本酵素は培養物
から採取される。
【0022】このようにして得られた培養物から菌体を
回収し、破砕後、水や緩衝液などを用いて抽出を行い、
固形分を除去して培養抽出液を得る。このようにして得
られた培養抽出液からホスファターゼを精製し、本発明
のホスファターゼを得る。培養抽出液からホスファター
ゼを精製するためには、例えば硫安塩析処理、 フェニ
ルセファロースカラム(ファルマシア社製)による疎水
クロマトグラフィー処理、Q−セファロースあるいはソ
ース−Qカラム(ともにファルマシア社製)によるイオ
ン交換クロマトグラフィー処理、スーパーデックス G
−200カラム(ファルマシア社製)によるゲルろ過ク
ロマトグラフィー処理、TSKゲル スーパーQ−5P
Wカラム(東ソー社製)によるイオン交換クロマトグラ
フィー処理などのいずれかを必要に応じて組み合わせた
処理を行い、必要に応じて凍結乾燥処理を行い、高純度
に精製したホスファターゼを得る。
【0023】2.ホスファターゼKU−8の作用 種々のリン酸エステルやピロリン酸およびポリリン酸を
加水分解することにより脱リン酸化する。3位リン酸化
糖と6位リン酸化糖が混在していれば6位リン酸化糖の
6位結合リン酸基を特異的に脱リン酸化する。リン酸化
少糖のみならず、グルコースの結合が一部α−1、6結
合であるリン酸化多糖に対しても、6位結合リン酸基を
特異的に脱リン酸化する性質を有すると見られる。
【0024】3.ホスファターゼKU−8の酵素化学的
諸性質 (1)作用至適pH 本酵素の作用至適pHは図1に示すようにpH1.5〜
3.0である。 (2)pH安定性 本酵素を各pHで37℃、1時間処理したのちにおいて
も図2に示すようにpH2〜10の範囲で安定であっ
た。 (3)作用至適温度 本酵素の作用至適温度は図3に示すように60℃であ
る。 (4)温度安定性 図4に示す各温度での30分間処理後の残存活性より5
0℃まで安定であるといえる。 (5)分子量 モノマーとして約66,000ダルトンである(SDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による)。ゲルろ過
法による分子量は約260,000ダルトンのテトラマ
ーである。 (6)酵素活性測定法 ホスファターゼ活性は次のようにして測定される。それ
ぞれ37℃に保った酵素液125μl、200mMのグ
リシン- 塩酸緩衝溶液(pH2.0)250μlおよび
20mMのグルコース−6−リン酸溶液(200mMの
グリシン- 塩酸緩衝溶液でpH2.0に調整する)12
5μlを混合し、37℃で15分間反応させる。この反
応液に10規定の過塩素酸50μl、10規定の過塩素
酸を4%含有する20mMのバナジン酸アンモニウム溶
液150μl、3.53%のモリブデン酸アンモニウム
溶液300μlを添加して撹拌し室温で30分間放置す
る。この溶液の4 20nmにおける吸光度を測定し、活
性を求めた。標準物質としてリン酸一カリウムを用い
た。ホスファターゼ活性の1単位は上記条件下で1分間
に1μmolのリンを遊離させる酵素量とする。
【0025】4. 3位リン酸化糖の製造方法(1) 膨潤させた馬鈴薯澱粉にα−アミラーゼ(E.C.3.
2.1.1)、グルコアミラーゼ(E.C.3.2.
1.3)、プルラナーゼ(E.C.3.2.1.41)
を十分に作用させた後、生じた中性糖を除去して調整し
たリン酸化糖溶液(以下、馬鈴薯リン酸化糖溶液と称
す)に、本酵素を適当量添加して37℃で十分に反応さ
せる。この反応によってリン酸化糖の6位結合リン酸基
は脱リン酸化される。デキストリンの分子量により膜透
析、あるいは電気透析で3位リン酸化糖を精製すること
ができる。なお、これら3位リン酸化糖を製造するため
に用いる本酵素は必ずしも単一に精製したものである必
要はなく、培養抽出液を粗酵素液として用いることも可
能である。
【0026】5.3位リン酸化糖の製造方法(2) 馬鈴薯リン酸化糖溶液に、本酵素を適当量添加して37
℃で十分に反応させる。この反応によってリン酸化糖の
6位結合リン酸基は脱リン酸化される。マルトトリオー
ス、マルトテトラオース、マルトペンタオースといった
中性オリゴ糖のほかに非還元末端より2個めのグルコー
ス残基の3位にリン酸基が1個結合したリン酸化マルト
テトラオース、リン酸化マルトペンタオースといった3
位リン酸化糖が生成する。この生成した中性オリゴ糖と
3位リン酸化糖を、各種のイオン交換クロマトグラフィ
ー、例えばキトパール(富士紡績株式会社製)などの陰
イオン交換樹脂を用いて、あるいは電気透析により分画
することにより、上記3位リン酸化糖を製造することが
できる。なお、これら3位リン酸化糖を製造するために
用いる本酵素は必ずしも単一に精製したものである必要
はなく、培養抽出液を粗酵素液として用いることも可能
である。
【0027】6.3位リン酸化糖の製造方法(3) 馬鈴薯リン酸化糖溶液に、本酵素および糖化型α−アミ
ラーゼ(E.C.3.2.1.1)を適当量添加して3
7℃で十分に反応させる。この反応によって、グルコー
スとマルトースを主体とする中性糖と、マルトトリオー
スの中央のグルコース残基の3位にリン酸基が1個結合
したリン酸化マルトトリオースとが生成される。この生
成した中性糖とリン酸化マルトトリオースを、各種のイ
オン交換クロマトグラフィー、あるいは電気透析を用い
て分画することにより中央のグルコース残基の3位がリ
ン酸化されたリン酸化マルトトリオースを製造すること
ができる。なお本酵素と糖化型α−アミラーゼを作用さ
せる順序は問わない。また、上記のリン酸化マルトテト
ラオースを製造するために用いる本酵素は必ずしも単一
に精製したものである必要はなく、培養抽出液を粗酵素
液として用いることも可能である。
【0028】7.3位リン酸化糖の製造方法(4) 馬鈴薯リン酸化糖溶液に、本酵素とネオプルラナーゼ
(E.C.3.2.1.135)を適当量添加して37
℃で十分に反応させる。この反応によって、グルコース
とマルトースを主体とする中性糖と、マルトテトラオー
スの非還元末端側から2個目のグルコース残基の3位に
リン酸基が1個結合したリン酸化マルトテトラオースと
が生成する。この生成した中性糖とリン酸化マルトテト
ラオースを、各種のイオン交換クロマトグラフィー、あ
るいは電気透析を用いて分画することにより上記のリン
酸化マルトテトラオースを製造することができる。なお
本酵素とネオプルラナーゼを作用させる順序は問わな
い。また、リン酸化マルトテトラオースを製造するため
に用いる本酵素は必ずしも単一に精製したものである必
要はなく、培養抽出液を粗酵素液として用いることも可
能である。
【0029】8.6位リン酸化糖の製造方法(1) 市販デキストリン溶液に、弱酸の溶液、望ましくは希酢
酸を添加して加熱処理する。希酸の種類は酢酸には限ら
ず、乳酸、クエン酸も好適に用いられる。ただ酸の作用
が強すぎるとグルコース同士の結合も切断されてしまう
ので、リン酸化糖の3位結合リン酸、6位結合リン酸、
グルコースのα−1、4結合およびα−1、6結合のう
ち、3位結合リン酸のみを切断するような弱酸の種類と
濃度と反応温度と反応時間を設定するべきである。例え
ば0.05−0.7規定の酢酸で30分以上煮沸もしく
は80−100℃で加熱することによって6位リン酸化
多糖を製造することができる。乳酸、クエン酸を用いる
時も、0.05Mから0.5M程度の濃度で同じく加熱
処理することで、6位リン酸化多糖を製造することがで
きる。デキストリンの分子量により膜透析、あるいは電
気透析で6位リン酸化糖を精製することができる。
【0030】9.6位リン酸化糖の製造方法(2) 馬鈴薯リン酸化糖溶液に、弱酸の溶液、好ましくは希酢
酸を添加して加熱処理する。希酸の種類は酢酸には限ら
ず、乳酸、クエン酸も好適に用いられる。ただ酸の作用
が強すぎるとグルコース同士の結合も切断されてしまう
ので、リン酸化糖の3位結合リン酸、6位結合リン酸、
グルコースのα−1、4結合およびα−1、6結合のう
ち、3位結合リン酸のみを切断するような弱酸の種類と
濃度と反応温度と反応時間を設定するべきである。例え
ば0.1−0.7規定の酢酸で30分以上煮沸もしくは
80−100℃で加熱することによってリン酸化糖の3
位結合リン酸基は脱リン酸化される。乳酸、クエン酸を
用いる時も、0.05Mから0.5M程度の濃度で同じ
く加熱処理することで、6位リン酸化糖を製造すること
ができる。マルトトリオース、マルトテトラオース、マ
ルトペンタオースといった中性オリゴ糖のほかにグルコ
ース残基の6位にリン酸基が結合したリン酸化マルトト
リオース、リン酸化マルトテトラオース、リン酸化マル
トペンタオースといった6位リン酸化糖が生成する。こ
の生成した中性オリゴ糖と6位リン酸化糖を、各種のイ
オン交換クロマトグラフィー、例えばキトパール(富士
紡績株式会社製)などの陰イオン交換樹脂を用いて、あ
るいは電気透析により分画することにより、上記6位リ
ン酸化糖を製造することができる。またグルコアミラー
ゼを併用することで、中性糖は全てグルコースに変化
し、エタノール沈殿法や活性炭カラム等の簡便な方法で
も6位リン酸化糖のみを容易に得ることができる。
【0031】10.6位リン酸化糖の製造方法(3) 馬鈴薯リン酸化糖溶液に、希酸加熱処理を行う前後に糖
化型α−アミラーゼ、あるいはネオプルラナーゼを適当
量添加して37℃で反応させる。この反応によって、グ
ルコースを主体とする中性糖のほかに前者では、マルト
トリオースまたはマルトテトラオースのひとつのグルコ
ース残基の6位にリン酸基が1個結合したリン酸化マル
トトリオースおよびリン酸化マルトテトラオースが、後
者ではリン酸化マルトトリオースのみが生成する。この
生成した中性糖とリン酸化マルトトリオースおよびリン
酸化マルトテトラオースを、各種のイオン交換クロマト
グラフィー、あるいは電気透析を用いて分画することに
よりグルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトトリオースおよびリン酸化マルトテトラオースを製
造することができる。なお酸加熱処理と糖化型α−アミ
ラーゼ処理あるいはネオプルラナーゼ処理の順序は問わ
ない。しかし、糖化型α−アミラーゼあるいはネオプル
ラナーゼを作用させる際には、pH等を本酵素の好適な
条件に設定することが望ましい。
【0032】11.6位リン酸化糖の製造方法(4) 馬鈴薯リン酸化糖溶液に、希酸加熱処理を行う前後に糖
化型α−アミラーゼとグルコアミラーゼ、あるいはネオ
プルラナーゼとグルコアミラーゼを適当量添加して37
℃で十分に反応させる。この反応によって、グルコース
とマルトースを主体とする中性糖のほかに、前者ではマ
ルトトリオースあるいはマルトースのひとつのグルコー
ス残基の6位にリン酸基が1個結合したリン酸化マルト
トリオースおよびリン酸化マルトースが生成する。後者
ではリン酸化マルトースのみが生成する。この生成した
中性糖とリン酸化マルトトリオースおよびリン酸化マル
トースを、各種のイオン交換クロマトグラフィー、ある
いは電気透析を用いて分画することによりグルコース残
基の6位がリン酸化されたリン酸化マルトトリオースお
よびリン酸化マルトースを製造することができる。なお
酸加熱処理と糖化型α−アミラーゼとグルコアミラー
ゼ、あるいはネオプルラナーゼとグルコアミラーゼを作
用させる順序は問わない。しかし、糖化型α−アミラー
ゼとグルコアミラーゼ、あるいはネオプルラナーゼとグ
ルコアミラーゼを作用させる際には、本酵素の好適な条
件に設定することが望ましい。
【0033】以上のようにリン酸化糖は馬鈴薯澱粉より
調製できるが、特に原料澱粉を限定するものではない。
馬鈴薯澱粉以外にも、キャッサバ澱粉、米澱粉、食用カ
ンナ澱粉等の植物由来の結合リン含有澱粉が好適に用い
られるし、化学的にリン酸化した澱粉も好適に用いるこ
とが可能である。
【0034】本発明のリン酸化糖からは、リン酸化糖の
誘導体のひとつである、タンパク質あるいはペプチドと
の複合体を製造することができる。糖質のタンパク質と
のメイラード反応を利用した複合体の作成は古くから行
われてきた。このメイラード反応は、通常の食品調理中
にも起こる反応であり、反応産物は生体への安全性がき
わめて高い。その反応は、糖質の還元末端がタンパク質
のアミノ基に脱水縮合することによって起こる。多糖の
場合はタンパク質1 分子に糖1 から2分子が結合し、単
糖の場合はほとんどのタンパク質のアミノ基に糖が結合
することが可能である(加藤ら、Microemuls
ions and emulsionsin Foo
d、American Chemical Socie
ty編集、16章、213−229頁、1991年)。
また、その機能として、タンパク質の熱安定性およびp
H安定性の向上、乳化特性の付与、あるいは水に不溶性
のタンパク質の可溶化などが報告されている(加藤ら、
J. Agric.FoodChem.、39巻、105
3−1056頁、1991年)。最近、グルコース−6
−リン酸をタンパク質に結合させること(青木ら、Bi
osci.Biotech.Biochem.、58
巻、1727−1728頁、1994年)により、ある
いは馬鈴薯澱粉由来リン酸化オリゴ糖を結合させること
によりカルシウム可溶化効果が得られること(特開平8
−104696)も判った。しかし、単糖は反応性が高
く、タンパク質の変性も起こりやすい欠陥があり、リン
酸化オリゴ糖も3位と6位リン酸化糖の混合物であり、
各純品での報告は全く行われていない。オリゴ糖の場合
反応が緩やかに進み、単糖に比べタンパク質への副反応
が少なく、タンパク質に有機リガンドを結合させ得る方
法として優れた方法である。用いるタンパク質としては
特に問わないが、安価に入手でき、食品として安全なも
のが望ましい。このようなタンパク質としては、例え
ば、卵白アルブミン、小麦タンパク質、大豆タンパク質
などが挙げられる。それらを加水分解したペプチドもま
た好適に用いられる。
【0035】また、一般に糖アルコールは、原料糖をニ
ッケルの触媒下、高温、高圧で水素添加する方法によっ
て製造されている。実験室レベルでは、室温で1 時間程
度、水素化ホウ素ナトリウムと共存させることで、簡単
に作成しうる。本発明のリン酸化糖も同様の常識的な処
理によってリン酸化糖アルコールに変化させ得る。この
反応によってリン酸エステル結合がはずれることはな
い。また、本発明のリン酸化糖の製造法と組み合わせる
ことで、3位あるいは6位リン酸化糖アルコールを作成
しうる。こうして得たリン酸化糖アルコールは、アミノ
カルボニル反応を起こさず、つまり、食品における褐変
を引き起こし難いと考えられる。
【0036】本発明のリン酸化糖により、肥料、飼料、
医薬品、または食品の摂取におけるカルシウムの吸収を
促進し得る。またリン酸化糖がカルシウム、マグネシウ
ムといったアルカリ土類金属や鉄、亜鉛などの微量金属
元素とも化合物または錯体を形成し、それらの生体への
吸収を促進することが可能となる。従って、これらのミ
ネラル不足に起因する骨粗鬆症循環器疾患(糸川嘉則・
吉田政彦偏、Mgと循環器疾患、メディカルトリビュー
ン、1986年)などの各種疾患の予防も期待できる。
さらに今日、ダイエットや偏食の問題が大きく、嗜好食
品においてもカルシウムと同様に鉄およびマグネシウム
の有効な生体への吸収を考慮した製品が期待される。本
発明のリン酸化糖またはその誘導体は、安全であり、難
消化性であり、低カロリーである。このリン酸化糖には
また、多くのオリゴ糖に報告されているような保湿作
用、ビフィズス菌増殖作用、整腸作用、脂質改善作用、
血圧低下作用、および免疫賦活作用等も期待できる(日
高ら、日本農芸化学雑誌、61巻、915−923頁、
1987年)(酒井重男、月刊フードケミカル、4巻、
81−88頁、1995年)。さらに、鉄との錯体を形
成し、この錯体には抗酸化作用も期待できる。この金属
キレート作用による活性酸素の生成抑制効果は、生体に
おいては、発ガンや老化といったものを抑制する効果が
あることも知られている(E.Grafら、Cance
r、56巻、717−718頁、1985年)(寺尾純
二、栄養と健康のサイエンス、4巻、21−25頁、1
996年)。また、従来、これらの目的で既に食品に用
いられている糖質、フラボン類(ファイトケミカルズ分
科会調査報告書、フード・フォーラム・つくば・ファイ
トケミカルズ分科会編、1998年)、ポリフェノール
類(近藤、Lancet、344巻、1152頁、19
94年)等との併用においても相乗効果が期待できる。
【0037】さらに、本発明のリン酸化糖は齲蝕の原因
であるミュータンス菌(岡橋ら、微生物、4巻、209
−217頁、1988)の栄養源にならず、酸や非水溶
性のグルカンを生成しない糖質である。従って、歯垢が
生じず、歯の脱灰も生じない。むしろ、カルシウムとの
親和性の高さを考慮に入れると歯の再石灰化も期待され
る(松久保ら、口腔衛生学会雑誌、46巻、442−4
43頁、1996年)。その上に、本リン酸化糖は緩衝
作用を有し、pHの低下を防ぐ効果がある。したがっ
て、例え、砂糖やグルコースが共存しており、ミュータ
ンス菌等の虫歯菌による酸発酵が生じてもpHの低下を
防ぎ虫歯の発生を抑制する効果がある。この効果は、齲
蝕になり難い糖質との併用や、齲蝕予防効果のあるフッ
素(菅原ら、口腔衛生学会雑誌、46巻、632−63
3頁、1996年)等との併用により相乗作用によっ
て、さらに虫歯に有効であることが期待できる。このこ
とにより、リン酸化糖はほとんどすべての飲食用組成物
または食品添加物用組成物に使用することが可能であ
る。この飲食用組成物とは、ヒトの食品、動物あるいは
養魚貝用の飼料、ペットフードを総称する。すなわち、
コーヒー、コーラ、紅茶、日本茶、烏龍茶、ジュース、
加工乳、スポーツドリンク、栄養ドリンク、スープなど
の液体および粉末の飲料類、パン、クッキー、クラッカ
ー、ビスケット、ケーキ、ピザ、パイなどのベーカリー
類、スパゲティー、マカロニなどのパスタ類、うどん、
そば、ラーメンなどの麺類、ソース、醤油、ケチャッ
プ、たれ、だしの素、シチューの素、カレーの素、麺類
のつゆ、ドレッシング、マヨネーズ等の調味料類、ガ
ム、キャラメル、キャンデー、チョコレート等の菓子
類、おかき、ポテトチップス、スナック等のスナック菓
子類、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓、クリー
ム、チーズ、粉乳、練乳、乳飲料等の乳製品、ゼリー、
プリン、ムース、ヨーグルト等の洋菓子類、饅頭、うい
ろう、もち、おはぎ、団子等の和菓子類、カレー、シチ
ュー、ハヤシ、スープ、どんぶり等のレトルト食品もし
くは缶詰め食品、ハム、ハンバーグ、ミートボール、コ
ロッケ、餃子、ピラフ、おにぎり、等の冷凍食品および
冷蔵食品、ちくわ、かまぼこ等の水産加工食品、弁当の
ご飯、寿司などの米飯類にも効果的に利用できる。さら
に、乳児用ミルク、離乳食、ベビーフード、ペットフー
ド、動物用飼料、スポーツ飲料、整腸剤、風邪薬、栄養
補給食品や飲料等の医薬品、練り歯磨き、マウスウオッ
シュ、トローチ等の口腔用組成物にも好適に添加され得
る。また、pH調整作用や金属を吸着する作用等は、先
の用途以外に、シャンプー、リンス等の洗髪用組成物や
整髪用組成物等の化粧品にも好適に利用することができ
る。
【0038】本発明のリン酸化糖は、カルシウム、鉄、
マグネシウム等が含まれる飲み薬、入浴剤などの薬剤に
も使用されうる。
【0039】また、本発明実施に用いる酸性ホスファタ
ーゼを用いることで、6位結合リンのみを遊離すること
から、6位結合リン酸含量を無機リン酸の定量方法ある
いは中性糖をグルコアミラーゼを用いてグルコースにま
で分解してグルコースの定量分析を行うことによって、
例え3位結合リンが存在しても簡便に定量分析できる。
無機リン酸あるいはグルコースの定量分析法は、特に限
定するものではないが、前者はバナド−モリブデン酸法
(板谷、Clin.Chem.Acta、14、361
−366頁、1966年)等が好適に用いられるし、後
者はグルコースオキシダーゼ法(生物化学実験法1、学
会出版センター、143−150頁、1990年)等が
好適に用いられる。同様に、本発明のリン酸化糖の酸処
理を行えば、3位結合リンのみを遊離することから、3
位結合含量を無機リン酸の定量方法を用いて、あるいは
中性糖をグルコアミラーゼを用いてグルコースにまで分
解してグルコースの定量分析を行うことによって、例え
6位結合リンが存在しても簡便に定量分析できる。ま
た、このように遊離する無機リン量をグルコース量とし
て定量することによって、試料溶液中にあらかじめリン
酸塩が存在していたとしても容易に遊離する無機リン量
を定量しうる。もちろん、リンを遊離せずに残存するリ
ン酸化糖を液体クロマトグラフィーを用いても分析でき
る。
【0040】具体的には、馬鈴薯リン酸化糖溶液に、さ
らに、糖化型α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ネオ
プルラナーゼを十分に作用させることで、マルトトリオ
ースの中央のグルコース残基の3位にリン酸基が1個結
合したリン酸化マルトトリオースとマルトースの非還元
末端のグルコース残基の6位にリン酸基が1個結合した
リン酸化マルトースの2種を含む溶液が得られる。この
溶液を試料溶液A とする。試料溶液Aに本発明の酸性ホ
スファターゼを適当量添加して37℃で十分に反応させ
て得た溶液(試料溶液Bと称す)の遊離リン酸含量を定
量することでグルコース残基の6位結合リン酸含量が測
定できる。あるいは、試料溶液Bにグルコアミラーゼを
十分に作用させると、脱リン酸化されたマルトースには
グルコアミラーゼは作用し得るためにグルコースが生じ
る。この生じたグルコース含量を定量すること(遊離リ
ン含量は、生じたグルコース含量の1/2量)で、例え
溶液中にリン酸塩が存在しても生成した遊離リン酸含量
を測定できる。また、試料溶液Aに、終濃度0.35N
になるように酢酸を添加し、100℃で8時間処理した
溶液(試料溶液Cと称す)の遊離リン酸含量を定量する
ことでグルコース残基の3位結合リン酸含量が測定でき
る。あるいは、試料溶液Cにグルコアミラーゼを十分に
作用させると、脱リン酸化されたマルトトライオースに
はグルコアミラーゼは作用し得るためにグルコースが生
じる。この生じたグルコース含量を定量すること(遊離
リン含量は、生じたグルコース含量の1/3量)で、例
え溶液中にリン酸塩が存在しても生成した遊離リン酸含
量を測定できる。以上の操作によって、馬鈴薯澱粉中の
3位および6位の結合リン酸含量の両方が測定し得る。
さらに、試料溶液Aを湿式あるいは乾式灰化すれば、全
結合リン酸が遊離してくる。これによって、3位あるい
は6位リン酸含量の一方を定量しておくだけでもう一方
の含量は算出し得る。あるいは、試料溶液Aをアルカリ
ホスファターゼ(Escherichia coli由
来)を十分に作用させることでも全結合リン酸含量が定
量し得る。これらの定量分析法を適宜組み合わせること
によって、各種起源の澱粉中の3位あるいは6位リン酸
化糖の存在比率も簡単に算出できるようになった。
【0041】
【実施例】(実施例1)0.1%ポリリン酸、0.5%
グルコース、0.1%イーストエキス、0.5%ポリペ
プトン、0.1%塩化ナトリウム、0.1%塩化カリウ
ム、0.02%硫酸マグネシウム、0.002%硫酸第
一鉄を含有する培地(pH6.5に調製する)500m
lを、2000ml容の坂口フラスコにいれ、KU−8
菌株を接種し、37℃で4日間振とう培養した。菌体を
ろ紙(アドバンテック NO.2)ろ過によって回収・
集菌し、10mM酢酸緩衝液(pH4.5に調製、以下
本実施例においてA緩衝液と称する)を約10倍容加え
て懸濁し、超音波による破砕を行って破砕液を遠心分離
(8,000rpm、30分間)にかけて培養抽出液を
得た。この抽出液に対して80%飽和になるように硫酸
アンモニウム(硫安)を添加し、一晩冷蔵放置した。こ
れを遠心分離(18,000rpm、30分間)にかけ
て得られた上清を、80%飽和硫安を含む10mM酢酸
緩衝液(pH4.5に調製、以下本実施例においてB緩
衝液と称する)で平衡化したフェニルセファロースカラ
ム(26×100mm、ファルマシア社製)による疎水
クロマトグラフィーにかけて酵素を吸着させた。ついで
100%B緩衝液、50%B緩衝液、0%B緩衝液(=
100%A緩衝液)の順でステップワイズ溶出を行っ
た。本酵素活性を示す画分(0%B緩衝液のところに相
当する)を回収し、A緩衝液を用いて一晩透析した。得
られた透析内液を、A緩衝液で平衡化したQ−セファロ
ースあるいはソース−Qカラム(ともに10×80m
m、ファルマシア社製)によるイオン交換クロマトグラ
フィーにかけて酵素を吸着させた。ついでA緩衝液中の
塩化ナトリウム濃度を0〜300mMに直線的に増加さ
せることによりグラジエント溶出を行った。本酵素活性
を示す画分(塩化ナトリウム濃度が50〜200mMの
ところに相当する)をA緩衝液に対して一晩透析を行っ
た。得られた透析内液を、A緩衝液で平衡化したTSK
ゲル スーパーQ−5PWカラム(8×75mm、東ソ
ー社製)によるイオン交換クロマトグラフィーにかけて
酵素を吸着させた。ついでA緩衝液中の塩化ナトリウム
濃度を0〜300mMに直線的に増加させることにより
グラジエント溶出を行い、本酵素の活性画分(塩化ナト
リウム濃度が50〜200mMのところに相当する)を
得た。この活性画分を、100mMの塩化ナトリウムを
含むA緩衝液で平衡化したスーパーデックス G−20
0カラム(16×200mm、ファルマシア社製)によ
るゲルろ過クロマトグラフィーにかけて、本酵素の精製
画分(180U/mg蛋白)を得た。この実施例によっ
て精製したホスファターゼKU−8を「本酵素」と記載
し、実施例2から4に用いる。この精製画分はポリアク
リルアミドゲル電気泳動およびSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動を行うと単一のバンドを示し、電気泳
動的に単一の物質であることが示された。
【0042】(実施例2)1%馬鈴薯澱粉溶液に35U
のα−アミラーゼ(上田化学、Bacillussub
tilis由来)を50℃で30分間作用させたのち、
2Uのプルラナーゼ(林原生物化学研究所、Aerob
acter aerogenes由来)と6Uのグルコ
アミラーゼ(東洋紡、Rhizopus sp.由来)
を同時に40℃で20時間作用させた。なお以下の実施
例において、各種アミラーゼ酵素の活性は1分間に1μ
molのグルコシル結合を切断する活性を1Uと定義す
る。5分間煮沸することによって酵素反応を停止し、こ
の溶液から陰イオン交換樹脂(キトパールBCW250
1)により中性糖を除去した後、脱塩、凍結乾燥するこ
とにより重合度3〜5のリン酸化少糖の混合粉末物を得
た。次いで、200mMグリシン- 塩酸緩衝溶液(pH
2.0)200μl、重合度3〜5のリン酸化糖混合物
の3%溶液(200mMグリシン- 塩酸緩衝溶液(pH
2.0)で調製)200μlに、実施例1に記載の本酵
素溶液200μlを添加して37℃で16時間反応させ
た。反応終了後、反応液をHPAECで分析した。その
結果を図5に示す。HPAECによる分析は100mM
の水酸化ナトリウムを基本溶液として1M酢酸ナトリウ
ム濃度を上昇させることによって行われ得る。検出はパ
ルスドアンペロメトリー(ダイオネックス社製)を用い
て行われ得る。本酵素によりリン酸化糖の6位結合リン
酸が脱リン酸される。脱リン酸により生じた反応液中の
マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタ
オースといった中性糖をキトパールを用いた陰イオン交
換クロマトグラフィーにより除去したのち、脱塩、凍結
乾燥することにより1個のグルコース残基の3位がリン
酸化されたリン酸化マルトテトラオースとリン酸化マル
トペンタオースの混合粉末物を得た。
【0043】(実施例3)200mM酢酸緩衝液(pH
4.5)200μl、実施例2に記載のリン酸化少糖の
3%溶液(10mM酢酸緩衝液(pH4.5)で調製)
200μlに、本酵素溶液100μlと30U/mlの
糖化型α−アミラーゼ(ナガセ生化学、Bacillu
s subtilis由来)溶液100μlを添加して
37℃で16時間反応させた。反応終了後、反応液を実
施例1と同様にHPAECで分析した。その結果を図6
に示す。本酵素によりリン酸化糖の6位結合リン酸が脱
リン酸される。脱リン酸により生じた反応液中の中性糖
をキトパールを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー
により除去したのち、脱塩、凍結乾燥することにより1
個のグルコース残基の3位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトトリオースの粉末物を得た。
【0044】(実施例4)200mM酢酸緩衝液(pH
4.5)200μl、実施例2に記載のリン酸化少糖の
3%溶液(10mM酢酸緩衝液(pH4.5)で調製)
200μlに、本酵素溶液100μlと30U/mlの
ネオプルラナーゼ(Bacillus stearot
hermophilus由来、Kurikiら,J.B
acteriol.173,6147−6152(19
91))溶液100μlを添加して37℃で16時間反
応させた。反応終了後、反応液を実施例1と同様にHP
AECで分析した。その結果を図7に示す。本酵素によ
りリン酸化糖の6位結合リン酸が脱リン酸される。脱リ
ン酸により生じた反応液中の中性糖をキトパールを用い
た陰イオン交換クロマトグラフィーにより除去したの
ち、脱塩、凍結乾燥することにより1個のグルコース残
基の3位がリン酸化されたリン酸化マルトテトラオース
の粉末物を得た。
【0045】(実施例5)0.35規定酢酸溶液に実施
例2に記載のリン酸化少糖を添加して1%溶液1mlを
作成し、100℃で8時間反応させる。反応終了後、反
応液を実施例1と同様にHPAECで分析した。その結
果を図8に示す。この反応によりリン酸化糖の3位結合
リン酸が脱リン酸される。脱リン酸により生じた反応液
中の中性糖をキトパールを用いた陰イオン交換クロマト
グラフィーにより除去したのち、脱塩、凍結乾燥するこ
とにより1個のグルコース残基の6位がリン酸化された
リン酸化マルトトリオース、リン酸化マルトテトラオー
スおよびリン酸化マルトペンタオースの混合粉末物を得
た。
【0046】(実施例6)0.35規定酢酸溶液に実施
例2に示したリン酸化少糖を添加して1%溶液1mlを
作成し、100℃で8時間反応させる。反応終了後、1
規定の水酸化ナトリウム溶液で中和し、糖化型α−アミ
ラーゼ溶液およびグルコアミラーゼ溶液各10μlを添
加して37℃で16時間反応させる。その後、反応液を
実施例1と同様にHPAECで分析した。その結果を図
9に示す。この反応によりリン酸化糖の3位結合リン酸
が脱リン酸される。脱リン酸により生じた反応液中の中
性糖をキトパールを用いた陰イオン交換クロマトグラフ
ィーにより除去したのち、脱塩、凍結乾燥することによ
り1個のグルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸
化マルトトリオースとリン酸化マルトースの混合粉末物
を得た。
【0047】(実施例7)5%のショ糖溶液を対照と
し、これに0.5%のリン酸化糖を添加した試料溶液
1)について甘味の変化を官能検査により調べた。評価
は対照を0として、試料溶液がさわやかに感じる度合い
を「さわやかでない」を−2、「さわやかである」を2
として−2から2までの5段階で実施した。その結果、
表1の1)に示すように0.5%リン酸化糖を添加した
試料溶液では12人中10人がプラスの評価を出し、シ
ョ糖の甘味をより好適に改善する効果が認められた。
【0048】(実施例8)5%の食塩溶液を対照とし、
これに0.5%のリン酸化糖を添加した試料溶液2)に
ついて塩味の変化を官能検査により調べた。評価は対照
を0として、試料溶液の塩味の強弱を「弱い」を−2、
「強い」を2とする5段階で実施した。その結果、表1
の2)に示すように0.5%リン酸化糖を添加した試料
溶液では12人中8人がプラスの評価を出し、塩味を増
強する効果が認められた。
【表1】
【0049】(実施例9)200mMグリシン−塩酸緩
衝溶液(pH2.0)2ml、重合度3〜5のリン酸化
糖混合物の3%溶液(200mMグリシン- 塩酸緩衝溶
液(pH2.0)で調製)2mlに、実施例1に記載の
本酵素溶液2mlを添加して37℃で16時間反応させ
た。反応終了後、反応液のうち1mlを用いて、本酵素
の作用により6位リン酸化糖から生じた無機リン酸酸量
をバナド・モリブデン酸法により測定し、残り5mlを
100℃で8時間処理したのち、生じた6位リン酸化糖
由来の無機リン酸量を同様に定量した。その結果を表2
に示す。このようにリン酸化糖のリン酸基の3位および
6位の結合割合を簡便に推測できた。
【表2】
【0050】(実施例10)実施例2から6で得たリン
酸化糖1%溶液1mlに対して、20Uのシクロデキス
トリングルカノトランスフェラーゼ(天野製薬製、Ba
cillus macerans由来)を添加し、50
℃で48時間反応させた。反応溶液は50mMの酢酸緩
衝液(pH5.5)で行った。そして、沸騰湯浴中で5
分間処理することで反応停止した。各反応液2μlを用
いて薄層クロマトグラフィー(Merck製、シリカゲ
ルプレート)で分析した。展開溶媒は、エタノール:酢
酸:脱塩水=70:2:30を用いて、室温で1回展開
した。展開後、プレートを乾燥し、硫酸:メタノール=
1:1溶液を噴霧し、130℃のオーブンで3分間焼成
した。その結果、図10に示したようにリン酸化マルト
ペンタオースの基質において明らかに転移反応が確認さ
れ、分子内に複数個のリン酸基を有する3位リン酸化糖
あるいは6位リン酸化糖が生成していた。
【0051】(実施例11)実施例3と6のリン酸化マ
ルトトライオースの2mM溶液60μlに対して、0.
01N水酸化ナトリウム溶液中に溶解させた3%の水素
化ホウ素ナトリウム溶液5μlを添加した。本溶液を4
0℃で1時間処理した。本処理後、0.7N塩酸溶液中
で100℃、4時間処理した。本酸加水分解処理溶液中
の生じたソルビトール、グルコース、グルコース−6−
リン酸をそれぞれ分析定量した。ソルビトール、グルコ
ース、グルコース−6−リン酸は、それぞれManne
rsらの方法(Carbohydr.Res.、17
巻、109−114頁、1971年)、Miwaらの方
法(Clin.Chim.Acta,、37巻、538
−540頁、1972年)、Hizukuriらの方法
(Starch,22巻、338−343頁、1970
年)で定量した。その結果、表3に示したように、分子
内にもとのリン酸化マルトトライオースと等モルのソル
ビトールが検出され、リン酸化糖アルコールの生成が確
認された。つまり、3位リン酸化マルトトライトールと
6位リン酸化マルトトライトールが生成していた。
【表3】 A.グルコース残基の3位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトトライオース B.グルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトトライオース 表の数値は1モルのリン酸化マルトトライオースから生
成したモル数
【0052】(実施例12)カルシウム、鉄、マグネシ
ウムとの複合体形成能力については、ゲルろ過クロマト
グラフィーを用いる釜阪らのリン酸化糖に関する特許願
(特開平8−104696)に記載の方法に基づいて実
施した。結果、実施例2から6あるいは実施例10、1
1で得られたリン酸化糖が、中性pH以上において、カ
ルシウム、鉄、マグネシウムと結合することで、リン酸
化糖単独時よりも高分子側に溶出され、複合体を形成し
ていることが確認できた。
【0053】(実施例13)カルシウム、マグネシウム
および鉄等の金属の可溶化効果については、カルシウム
リン酸沈殿阻害効果測定方法として、釜阪らのリン酸化
糖に関する特許願(特開平8−104696)に記載の
方法に基づいて実施した。結果、実施例2から6あるい
は実施例10,11で得られたリン酸化糖についてカル
シウム、マグネシウムおよび鉄等の金属の可溶化効果が
あるとの結果が得られた。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はpH2における本酵素活性を100%
としたときの相対活性と、pHとの関係を示した図であ
る。
【図2】図2はpH9で60分間処理した後の残存活性
を100%としたときの各pHにおける相対残存活性
と、pHとの関係を示した図である。用いた緩衝液;グ
リシン−塩酸緩衝液(○;pH1.2−3.0)、酢酸
緩衝液(●;pH3.0−6.0)、MES−水酸化ナ
トリウム緩衝液(△;pH6.0−7.0)、トリス−
塩酸緩衝液(▲;pH7.0−9.0)、グリシン−水
酸化ナトリウム緩衝液(◇;pH9.0−10.6)
【図3】図3は60℃における本酵素活性を100%と
したときの相対活性と、温度との関係を示した図であ
る。
【図4】図4は4℃で30分間処理した後の残存活性を
100%としたときの各温度における相対残存活性と、
温度との関係を示した図である。
【図5】本酵素によるリン酸化少糖への作用を示す。 図5−9の記号の説明 G3;マルトトリオース G4;マルトテトラオース G5;マルトペンタオース H;グルコース残基の3位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトトリオース J;グルコース残基の3位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトテトラオース K;グルコース残基の3位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトペンタオース L;グルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトトリオース M;グルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトテトラオース N;グルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトペンタオース P;グルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸化マ
ルトース
【図6】本酵素と糖化型α−アミラーゼによるリン酸化
少糖類への作用を示す。
【図7】本酵素とネオプルラナーゼによるリン酸化少糖
類への作用を示す。
【図8】酢酸加熱処理によるリン酸化少糖類への作用を
示す。
【図9】酢酸加熱処理と糖化型α−アミラーゼおよびグ
ルコアミラーゼによるリン酸化少糖類への作用を示す。
【図10】糖転移酵素であるシクロデキストリングルカ
ノトランスフェラーゼによるリン酸化糖への転移作用を
示す。 図の説明 1、 グルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸化
マルトトリオース 2、 グルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸化
マルトテトラオース 3、 グルコース残基の6位がリン酸化されたリン酸化
マルトペンタオース 4、 グルコース残基の3位がリン酸化されたリン酸化
マルトトリオース 5、 グルコース残基の3位がリン酸化されたリン酸化
マルトテトラオース 6、 グルコース残基の3位がリン酸化されたリン酸化
マルトテトラオース M1、グルコース,標準マルトオリゴ等(G2−G
6)、グルコース−6−リン酸、グルコース−1,6−
2リン酸、各1.5%、1μl M2、結合リン酸基を1個有するリン酸化マルトトライ
オースからマルトペンタオースまでの混合物(PO−
1)、結合リン酸基を2個有するマルトペンタオースか
らマルトオクタオースまでの混合物(PO−2)、各
1.5%、1μl
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07H 1/02 C07H 1/02 15/04 15/04 D E 23/00 23/00 C08B 37/00 C08B 37/00 Z C11D 3/36 C11D 3/36 C12N 9/16 C12N 9/16 B C12P 19/00 C12P 19/00 //(C12N 9/16 C12R 1:685)

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α−1、4結合のみで構成され、重合度が
    2から10、望ましくは3から5で1 個以上のグルコー
    ス残基の3位にリン酸基が結合しているリン酸化糖。
  2. 【請求項2】リン酸基が非還元末端側から2個目のグル
    コース残基の3位に結合した、重合度が3ないし5であ
    る請求項1のリン酸化糖。
  3. 【請求項3】構成糖がグルコースでα−1、4結合およ
    びα−1、6結合のみで構成され、重合度が2以上の少
    糖あるいは多糖で1 個以上のグルコース残基の6位にリ
    ン酸基が結合しているリン酸化糖。
  4. 【請求項4】重合度が2から10、望ましくは2から5
    である請求項3のリン酸化糖。
  5. 【請求項5】請求項1から4に記載のいずれかのリン酸
    化糖の還元末端が還元され糖アルコールとなっているこ
    とを特徴とするリン酸化糖アルコール。
  6. 【請求項6】請求項1から4に記載のいずれかのリン酸
    化糖とタンパク質あるいはペプチドとが結合しているこ
    とを特徴とする、リン酸化糖誘導体。
  7. 【請求項7】請求項1から4に記載のいずれかのリン酸
    化糖または請求項5に記載のリン酸化糖アルコールある
    いは請求項6に記載のリン酸化糖誘導体がアルカリ土類
    金属または鉄と結合していることを特徴とする、リン酸
    化糖誘導体。
  8. 【請求項8】構成糖がグルコースでα−1、4結合のみ
    で構成され、重合度が2から10の糖でグルコース残基
    の6位と3位にリン酸基を有するリン酸化糖に対し、6
    位の結合リン酸基に選択的に作用するホスファターゼ。
  9. 【請求項9】アスペルギルス ニガーあるいはその培養
    物から得られる、請求項8に記載のホスファターゼ。
  10. 【請求項10】アスペルギルス ニガーKU−8株(生
    工研寄託P−16248)あるいはその培養物から得ら
    れる、請求項8記載のホスファターゼKU−8。
  11. 【請求項11】ホスファターゼを用いることを特徴とす
    る請求項1または2のいずれかのリン酸化糖の製造法。
  12. 【請求項12】構成糖がグルコースでα−1、4結合の
    みで構成され、重合度が2以上の少糖に請求項8記載の
    ホスファターゼのみ、あるいは糖化型α−アミラーゼあ
    るいはネオプルラナーゼ、グルコアミラーゼを組み合わ
    せて作用させることによって得られることを特徴とす
    る、請求項1、2のいずれかに記載のリン酸化糖の製造
    法。
  13. 【請求項13】0.7規定以下の酢酸あるいは0.5M
    濃度以下の乳酸あるいはクエン酸を作用させ加熱するこ
    とによって得られることを特徴とする、請求項3あるい
    は4のいずれかに記載のリン酸化糖の製造法。
  14. 【請求項14】0.7規定以下の酢酸あるいは0.5M
    濃度以下の乳酸あるいはクエン酸を作用させ、加熱する
    こと、あるいはこれに糖化型α−アミラーゼあるいはネ
    オプルラナーゼまたはグルコアミラーゼを組み合わせて
    作用させることを特徴とする、請求項4に記載のリン酸
    化糖の製造法。
  15. 【請求項15】請求項11から14に記載のいずれかの
    リン酸化糖の製造法に還元末端の還元工程を併用するこ
    とを特徴とするリン酸化糖アルコールの製造法。
  16. 【請求項16】請求項1から4のいずれかに記載のリン
    酸化糖に糖転移酵素を作用させることを特徴とする、リ
    ン酸化糖の製造法。
  17. 【請求項17】前記糖転移酵素がシクロデキストリング
    ルカノトランスフェラーゼである、請求項16に記載の
    リン酸化糖の製造法。
  18. 【請求項18】請求項1から4のいずれかに記載のリン
    酸化糖、または請求項5に記載のリン酸化糖アルコー
    ル、あるいは請求項6あるいは7に記載のリン酸化糖誘
    導体を含有することを特徴とする食品、飲料、味質改善
    剤、飼料、口腔衛生用組成物、洗浄用組成物、化粧品、
    整髪料、育毛剤および洗髪用組成物。
  19. 【請求項19】請求項11から14に記載のいずれかの
    リン酸化糖の製造法を単独で、あるいは2つ以上組み合
    せて用いることを特徴とする、リン酸化糖の結合リン酸
    含量の定量法。
  20. 【請求項20】請求項11から14に記載のいずれか1
    種、または2つ以上を組み合わせたリン酸化糖の製造法
    とアルカリホスファターゼ処理あるいは灰化分析法をそ
    れぞれ組み合わせることを特徴とする、リン酸化糖の結
    合リン酸含量の定量法。
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