JPH11156148A - 湿式オゾン脱臭装置 - Google Patents
湿式オゾン脱臭装置Info
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- JPH11156148A JPH11156148A JP9321674A JP32167497A JPH11156148A JP H11156148 A JPH11156148 A JP H11156148A JP 9321674 A JP9321674 A JP 9321674A JP 32167497 A JP32167497 A JP 32167497A JP H11156148 A JPH11156148 A JP H11156148A
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Abstract
去する原理を利用した湿式オゾン脱臭装置における脱臭
効率を向上させる。 【解決手段】 気体を強制的に上昇させる雰囲気を形成
した湿式オゾン酸化塔の上部に排気口を有し、前記湿式
オゾン酸化塔内の底部に水位を保っている貯水部を備
え、該貯水部にオゾンガスを供給して溶解させるオゾン
ガス発生機を併設し、該貯水部より吸い上げたオゾン含
有水を、前記湿式オゾン酸化塔の上部に複数設けられた
液分散ノズルの夫々のノズルから前記雰囲気中に中空コ
ーン状に放出して前記貯水部に戻る様にした水循環経路
を設け、一方前記貯水部より上方には貯水部内を通じて
吹き出されるオゾンガスと前記湿式オゾン酸化塔内に導
入する臭気ガスを混合するガス混合部を設け、このガス
混合部と前記液分散ノズルの間に、前記放出されたオゾ
ン含有水を案内流下させるガイド部材を備えた気液向流
接触部を設けてなる。
Description
単独で設置される中小規模の下水道設備、特に生活雑排
水処理設備を主対象とするものであり、こうした生活雑
排水処理設備で発生するアンモニアや硫化水素等の悪臭
成分を含む臭気ガスを、例えばオゾンガスと同時に溶解
力の大きな水を用いて効率よく除去する湿式オゾン脱臭
装置に関するものである。
道設備がまだ設置されていない地区、例えば農村地区や
山間地区、更には都市地区であっても下水道設備がまだ
設置されていない地区等の小規模な地域内では、その地
域内に地方公共団体が事業主となって単独で生活雑排水
処理設備が設置されている。従来、この種の中小規模の
生活雑排水処理施設は、その管轄によって下記のように
区分されている。 (a)農業集落排水処理設備、林業集落排水処理設備、
漁業集落排水処理設備(農林水産省所轄) (b)特定環境保全公共下水道(建設省所轄) (c)コミュニティ・プラント(厚生省所轄)
れの処理設備をも対象とするものであるが、以下ではそ
の代表例として、日本の約40%を占める農村社会の中
小規模の生活雑排水処理設備(処理場)、即ち農業集落
排水処理設備中における臭気を除去する場合について説
明する。
単に「排水処理設備」と呼ぶことがある。)における排
水処理機構について、図面を用いて説明する。図1はこ
うした排水処理設備における排水処理機構の代表的な構
成例[社団法人・農業集落排水協会設計による「JARUS
I型」(協会I型)]を示す概略説明図であり、図中1
は曝気沈砂槽、2は原水ポンプ槽、3は汚水計量槽、4
は沈殿分離槽、5は接触曝気槽、6は沈殿槽、7は消毒
槽、8は汚泥濃縮貯留槽、9は汚泥貯留槽、10は脱臭
装置を夫々示す。
排水処理設備に送られてきた生活排水等の汚水は、曝気
沈砂槽1に流入されて砂が分離された後、水中ポンプ1
aによって曝気沈砂槽1から汲み上げられて原水ポンプ
槽2に送られる。原水ポンプ槽2に送られた汚水は水中
ポンプ2aによって汲み上げられて汚水計量槽3に送ら
れる。汚水計量槽3では、堰型流量計によって汚水が規
定流量に計量され、その後沈殿分離槽4に送られて汚水
中の固形物が沈殿分離されてから接触曝気槽5に送られ
る。
て浄化され、更に沈殿槽6に送られて活性汚泥と分離さ
れ、その後消毒槽7にて塩素で消毒されてから放流され
る。尚汚泥濃縮貯留槽8は、浄化された汚水と共に沈殿
槽6に送られてきた余剰汚泥を濃縮する為に設けられる
ものであり、汚泥濃縮貯留槽8で濃縮された余剰汚泥
は、その後汚泥貯留槽9に送られて貯留される。
沈砂槽1、原水ポンプ槽2および汚水計量槽3が主な臭
気発生源となり、これらの槽からは各種の悪臭成分を含
む臭気ガスが発生するが、この臭気ガスは前記脱臭装置
10に吸引されて脱臭処理が行われる(局所脱臭)。こ
の様な局所脱臭処理は、近辺に人家、学校、集会所等の
施設がなく人里離れた所に排水処理設備が設置される場
合に適用されるものであるが、排水処理設備が人家、学
校、集会所等の施設の近くに設置される場合には、例え
ば図1の消毒槽7を除く全槽から前記脱臭装置10に吸
引されて脱臭処理が行われることになる(全槽脱臭)。
含まれる悪臭成分は、アンモニア、トリメチルアミン、
硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メ
チル等であるが、これらの性質は下記表1に示した通り
であり、酸性、中性、アルカリ性に分類される。このう
ちアンモニアやトリメチルアミン等は水溶性であるの
で、これらの悪臭成分を含む臭気を除去する為には、活
性炭を吸着材とする乾式吸着方式よりも、水を併用する
湿式法が好ましいと言われている。また除去効率を向上
させる為に、酸性ガスの除去にはアルカリ洗浄法を、ア
ルカリ性ガスの除去には酸洗浄法が、中性ガスの洗浄に
は過酸化水素洗浄液体等の薬剤洗浄法が適用されるのが
一般的である。
て上記の様な湿式法にオゾンガスを併用して脱臭効率を
向上させる技術も注目されている。こうした技術を応用
したものとしては、例えば特公昭59−33011号に
開示された様な装置も知られている。この装置は、臭気
とオゾンガスをブロアによる吹き込み力によって洗浄塔
の下部に導入すると共に、洗浄塔の上部から弱アルカリ
性水溶液による洗浄水を散布し、洗浄塔の中間部に設け
た炭素質材料による接触層で気液接触を行うことによっ
て悪臭成分を吸収し、洗浄塔の最上部に設けたデミスタ
を介して放出するものである。こうした装置において前
記接触層は、炭素質材料によるものの他に、パイプを輪
切りに切断した状態の素材を多数個ランダムに積み重ね
たものも知られており、従来は気液接触には不規則な通
路を形成して行われている。
ンガスに接触させることによって、オゾンガスの酸化力
で悪臭成分を酸化分解するものであるが、こうした基本
原理を採用した脱臭装置としては、上記装置の他に、特
開昭54−5864号や同57−131449号に開示
された様な装置も提案されている。
ては、上記特開昭54−5864号公報や前記特公昭5
9−33011号にも開示されている様に、スプレーに
よって噴射する構成が採用されるのが一般的である。ま
た洗浄塔にガスを導入する手段としては、洗浄塔の流入
口にブロアで強制的に吹き込むか、或は前記特開昭57
−131449号に開示されている様に、洗浄塔に継い
で洗浄塔から排出されるガスに含まれるオゾンガスを除
去する吸着塔の排出側にブロアで引き出す手段によるの
が一般的である。
で提案されている脱臭装置では、下記の様な問題を抱え
ており、前述した排水処理設備から発生する臭気にこう
した装置を適用しても、期待する程の脱臭性能が発揮さ
れないのが実情であった。
気の接触効率の点が挙げられる。従来の接触層は前述の
如く不規則な通路であり、圧力損失が大きく、上昇する
ガスが流下する水中を通過することなく、単に水の表面
と接触するのみであり、生活排水から発生する臭気のう
ち、特にアンモニアはオゾンガスとの反応性が殆どな
く、またアンモニア、トリメチルアミンは水溶性に優れ
ているので、その除去には水洗が最も効果的であるが、
アンモニアを除く他の悪臭成分はオゾンと良く反応する
から、オゾンガスとの接触率を高める必要がある。しか
しながら、前述の様に不規則な通路では水も不規則な流
動となる結果、ガスが均一な流動をせずに偏流が生じや
すく、気液の接触効率が低下するので、この低下を補う
為に薬剤を混合する等の手段も採られ、運転費が高価と
なるという問題がある。
の散布の点でも問題があった。特に、ポンプにより加圧
された水をノズルから噴射すると、その間を上昇するガ
スに伴ってエレメント(微細な水滴の同伴飛沫)の流出
が多くなることが実験によって明らかになった。上記の
様な装置では、後処理のオゾンガスを排除する工程で触
媒が使用されるが、ガス中に含まれる同伴飛沫は触媒に
悪影響を及ぼし、水滴によって触媒の機能を短時間で低
下させるという問題が生じることになる。
であって、水洗方式にオゾンガスを吹き込んで臭気を除
去する原理を利用した湿式オゾン脱臭装置における脱臭
効率を向上させることを主目的とし、必要によって脱臭
処理されたガスに含まれるオゾンガスを除去する為の機
能が長期に亘って維持することもできる湿式オゾン脱臭
装置設備を提供しようとするものである。
発明の湿式オゾン脱臭装置とは、気体を強制的に上昇さ
せる雰囲気を形成した湿式オゾン酸化塔の上部に排気口
を有し、前記湿式オゾン酸化塔内の底部に水位を保って
いる貯水部を備え、該貯水部にオゾンガスを供給して溶
解させるオゾンガス発生機を併設し、該貯水部より吸い
上げたオゾン含有水を、前記湿式オゾン酸化塔の上部に
複数設けられた液分散ノズルの夫々のノズルから前記雰
囲気中に中空コーン状に放出して前記貯水部に戻る様に
した水循環経路を設け、一方前記貯水部より上方には貯
水部内を通じて吹き出されるオゾンガスと前記湿式オゾ
ン酸化塔内に導入する臭気ガスを混合するガス混合部を
設け、このガス混合部と前記液分散ノズルの間に、前記
放出されたオゾン含有水を案内流下させるガイド部材を
備えた気液向流接触部を設けてなる点に要旨を有するも
のである。
(1)〜(4)の要件を付加することが脱臭効率を高め
るという観点から好ましい。 (1)前記液分散ノズルに向かう水循環経路中の前記オ
ゾン含有水の一部を前記貯水部に循環させる様に構成す
る。 (2)前記液分散ノズルに向かう水循環経路中の前記オ
ゾン含有水にオゾンガスを混合する様に構成する。 (3)前記気液向流接触部は、上下にジグザグ状に連続
している多数枚の波板を間隙を開けて列設し、その間隙
を混合ガスの流動路とし、前記液分散ノズルから放出部
されて流下するオゾン含有水が、一方の波板から前記間
隙を横切って隣接する他方の波板を伝って順次流下する
様に形成する。 (4)湿式オゾン酸化塔の上部に設けた排気口に送風機
で湿式オゾン酸化塔内のガスを強制的に吸引する排気経
路を連結すると共に、前記液分散ノズルと排気口間に、
上下にジグザグ状に連続している多数枚の波板を間隙を
開けて列設したデミスタを備える。
ねてより研究を進めており、その研究の一環として、オ
ゾンガスを用いて臭気を効果的に脱臭する方法、および
この方法を実施する為の湿式オゾン酸化脱臭装置につい
て開発しており、その技術的意義が認められたので先に
出願している(特願平8−128607号)。この脱臭
方法は、臭気ガス中にオゾンガスを導入して混合ガスと
なし、その混合ガスを一方に向かって流動する間に、水
を混合ガスの流動方向と交差する方向に流動して混合ガ
スと向流接触する工程を繰り返し行って脱臭することを
基本的な構成とするものであり、また上記脱臭装置はこ
うした方法を実施する為の装置構成を工夫したものであ
る。この装置構成の概要を説明する。
(湿式オゾン酸化脱臭装置)の構成を示す概略説明図で
あり、図中11は湿式オゾン酸化塔、12は貯水部、1
3はガス混合部、14は気液向流接触部、15は水放出
部、16はデミスタ、17は排出口、18はオゾンガス
発生機、19は臭気ガスの導入口、20は送風機、21
はガス清浄部を夫々示す。
2には、上水や地下水等の水22が供給され、オーバー
フロー23によって一定の水位が保持されるている。ま
た貯水部12内の水(オゾン含有水)は循環ポンプ24
によって吸い上げられ水放出部15に送られる。水放出
部15は、図3に示す様に、パイプの下側となる面に多
数の小孔25が明けてあり、各小孔25より水を自然流
下する様に構成されている。尚図示していないが、水放
出部15の各小孔25には液分散ノズルが設置され、こ
の液分散ノズルを介してオゾン含有水が放出される構成
も採用される。
酸素成分を含有するガスを原料として無声放電させる方
式を採用できるが、湿度が高ければNox が発生するの
で好ましくなく、そこでオゾンガスの発生原料として乾
燥させた空気、或は酸素濃度の高い乾燥酸素ガスを供給
して無声放電により発生させることが好ましい。このオ
ゾンガス発生機18で発生させたオゾンガスを貯水部1
2内に供給し、バブリングによってガス混合部13へ導
入する様にされる。
ガスの一部はオゾン含有水となるが、その殆どは気泡と
して上昇し、破裂して水滴を同伴して増湿されて、ガス
混合部13に放出され、ガス混合部13に導入口19か
ら導入された臭気ガスと混合される。一方、貯水部12
内のオゾン含有水は、前述の如く循環ポンプ24によっ
て吸い上げられ水放出部15に送られるが、このオゾン
含有水は気液向流接触部14の上方より流下させること
により、上昇する臭気ガスとオゾンガスを効率良く接触
させて酸化脱臭反応をより効率的に促進させるものであ
る。
アが含まれているが、このアンモニアは水溶性に優れて
いるので、前記水放出部15から流下して貯水部12に
貯水されるオゾン含有水と気液向流接触部14で接触し
てアンモニア臭気が除去され、流下した水は上記のよう
に貯水部12内でバブリングしているオゾンガスと接触
して、一部は窒素ガスまで酸化されて脱窒される。
下させる水は、循環ポンプ24による循環オゾン含有水
が使用されるが、操業が進行するにつれて使用済のオゾ
ン含有水をオーバーフロー23から徐々に流出させると
共に、それに応じて新鮮な水を供給してやる必要があ
る。そしてこの水は上水が一般的に使用されるのである
が、水道費が高価な場合には、ランニングコストの低減
という観点からして、水の流出量および供給量を節減す
ることが好ましい。
水部12からの水の蒸発量、(ii)循環水のpH、 (iii)
沈殿の析出、等を検出することによって節減することが
できる。こうした検出手段を採用することによって、そ
の流出量を循環水の0.2〜0.5%程度にすることが
できる。またその具体的な手順としては、まず試運転に
よって供給水量を循環水の0.5%程度に設定してお
き、その後上記(i) 〜(iii) を確認しつつ、流出量を
0.4%→0.3%→0.2%と節減する様にすれば良
い。或は、予め予備試験を行っておいて、どの程度まで
節減できるか予測し、流出量を0.5%から0.2%程
度にまで順次節減する様にしても良い。
14内でアンモニアの一部がオゾン酸化されて窒素ガス
となるので、アンモニア水の酸化に消費されるオゾンガ
スを、その消費量に見合った量を増加して供給する様に
すれば良いが、この場合の水の供給量を節減する手段と
して、 (A)図2に示した様に、水22を供給する給水系に流
量調整弁28と積算流量計29を設ける。 (B)貯水部12に、厳密には水22の給水部出口にボ
ールタップ式のような液面給水調節器を設置する。 の二つの手段があるので、供給水22の給水量の大小に
よって前記(A)または(B)、若しくは(A)と
(B)を併用して用いる。また図示していないが、上記
(A)の方法では、弁の開閉をタイマーやシーケンサー
等によって自動的に作動させても良い。また(A)の方
法の場合には、貯水部12の液pHを測定するか、また
は最終的にガス清浄部21から排出するガス中のオゾン
濃度を測定し、その値に従い手動または自動調整して供
給水量を制御することが好ましい。
ように、上下にジグザグ状に連続している多数枚の波板
31を互いに間隙32をあけて列設したもので、オゾン
ガスと臭気ガスの混合ガスGがその間隙32内を伝って
上昇するものであり、一方上からの流下水W(オゾン含
有水)は、一方の波板31の屈折部30から間隙32を
横切って隣接する他方の波板31の屈折部30を流下す
る流れを繰り返し、貯水部12に流下するものである。
ものであり、その構成の詳細については図示していない
が、前記気液向流接触部14と同様に、上下にジグザグ
状に連続している多数枚の波板を互いに間隙をあけて列
設したものが採用できる。送風機20は、例えばファン
やブロアー等によって構成されるものであって、その設
置位置を、湿式オゾン酸化塔11の排気口17とガス清
浄部21を結ぶ排気経路33の中間部に設けることが重
要であり、送風機20を駆動すれば、そこに圧縮熱が発
生するため、その圧縮熱によって湿式オゾン酸化塔11
より排気されたガス中の湿度を低減する作用、即ち、相
対湿度を100%から低減させるものである。更に、ガ
ス清浄部21には、ヤシ殻炭による活性炭に金属や金属
酸化物を添着した触媒作用が得られる残留未反応オゾン
ガス除去剤34が充填される。
て、オゾンガスと臭気との接触効率を高めて脱臭効率を
向上させると共に、脱臭処理されたガスに含むオゾンガ
スの除去する機能が長期間に亘って維持できる脱臭装置
が実現できたのである。
も、脱臭装置の脱臭能力を高めるべく、様々な角度から
検討を加えてきた。その結果、上記の構成を採用すれ
ば、脱臭装置における脱臭能力が格段に高められて改良
されることを見出し、本発明を完成した。本発明に係る
脱臭装置における最大の特徴は、先に提案した装置構成
を基本として、水放出部15に設置する液分散ノズルの
構成を工夫した点にある。これら各構成の作用効果につ
いて、それが完成された経緯も併せて更に詳細に説明す
る。
機(冷水方式による増湿を利用したもの)の冷却水分散
用ノズル(冷却塔冷媒噴射用ノズル)として、液放出
(噴出)状態が扁平楕円状となる液分散ノズルが開発さ
れており、従来の水洗塔や薬剤洗浄塔の液分散ノズルと
して一般的に使用されている(以下、これを「フラット
型の液分散ノズル」と呼ぶ)。また近年では、液放出状
態が中実コーン状の液分散ノズルも開発されている(以
下、これを「フルコーン型の液分散ノズル」と呼ぶ)。
0.7kg/m2 以上として液体を噴射させるのが一般
的であるが、この様な条件では液中にオゾンガスを溶解
させる必要があるときには、オゾンガスは液中に溶解し
にくいので、液分散ノズルからの噴射時にオゾンガスが
放散してしまい、液中に残留するオゾンが殆どなくなっ
てしまうという問題がある。また上記したフルコーン型
の液分散ノズルでは、塔径が500mm以上と大きくな
った場合には、液分散ノズルの設置個数が20か所以上
の多数のノズルを使用することになり、噴射される液体
の重複領域が多くなって不均一流下することになり、好
ましくない。更に、従来使用されている液分散ノズル
は、冷却水で暖かいガスを増湿させて冷却すること、即
ち気−液間の潜熱移動を目的としてなされたものであ
り、水の一部が蒸発すれば良いので、均一分散が必ずし
も要求されず、液噴射状態まで厳密に考慮されていない
のである。
の湿式オゾン脱臭装置では、使用する液分散ノズルとし
て、液の放出状態が中空コーン状となる液分散ノズル
(以下、これを「ホロコーン型」の液分散ノズルと呼
ぶ)を選んだ。このホロコーン型の液分散ノズルでは、
液放出状態において前記フルコーン型の液分散ノズルの
様な重複領域が少なくなり、単一ノズルによる液分散試
験に基づいてノズル配列の設計を行えば、塔断面に対す
る均一分散流動に近くなり、好ましい液分散状態が達成
されたのである(液分散圧力に関しては後述する)。
の液分散ノズルは、溶解度が大きいか或は反応速度が大
きい気体に液体を噴出することを想定して開発されてい
るので、その性能は液放出角度を大きくすることが、性
能評価因子となっている。しかしながら、オゾンを水に
溶解させたオゾン水の場合には、下記表2に示す様に、
大気圧下でのオゾンの溶解度は酸素の約10倍である
が、炭酸ガスの様な比較的溶解度の大きいガスと比較し
て溶解度は極めて小さいものである。また溶解度の圧力
に対する影響は、圧力が高くなる程良く溶解するが、そ
の溶解度は依然として小さいものである。
分散ノズルを用い、この液分散ノズルへの導入前後にお
けるオゾン水濃度を測定し、噴出後のオゾン残存率を計
算したところ、下記表3に示す結果が得られた。この結
果から明らかな様に、いずれの液分散圧力においてもノ
ズル噴射後の水中のオゾン濃度は検出されず、オゾンは
全く残存していないことが分かる。
の全てを解明した訳ではないが、恐らく次の様に考える
ことができる。前記図2に示した様な湿式オゾン酸化塔
の場合には、一般に大気圧下でオゾンが溶解された後、
ポンプアツプされ(加圧され)、水放出部15の液分散
ノズルを介して放出されるのであるが、上記の様にオゾ
ンの溶解度が小さいことに加えて操作圧力(一般に大気
圧)まで減圧されることになるので、噴出時にオゾン含
有水中のオゾンが放散されてオゾン含有水中にはオゾン
が残留しないものと考えることができる。
するべく、様々な角度から検討を加えた。そしてまず下
記の様な着想が得られた。従来のフラット型の液分散ノ
ズルは、冷却塔の増湿用として開発され、その後従来の
水洗塔や薬剤洗浄塔の液分散ノズルとして採用されたの
で、液分散圧力が0.7kgf/cm2 程度で使用され
る様に設計されている。しかしながら空調機室外機冷却
塔の場合では、増湿にによるガスの冷却効果を利用する
こと、即ち、熱移動のみを利用するものであるので、特
に液分散ノズルの液分散状態に殆ど影響されず、その噴
出形状が単純な(複数のノズルによる噴出軌道の重複状
態が単純な)フラット型が採用されても何らの不都合が
生じることはなかった。
ゾン酸化脱臭装置の場合では、溶解度の小さいオゾンガ
スを溶解させたオゾン水が湿式オゾン酸化塔の上部から
流下する間に、湿式オゾン酸化塔の下部から導入される
臭気ガスとの酸化脱臭反応を効果的に促進する為には、
複数のノズルにより噴出される水の噴出軌道の重複状態
を均一にすることが重要である。その為には、使用する
液分散ノズルをフラット型よりもホロコーン型の方が好
ましいことが判明したのである。
態を示す概略説明図であり、図5(a)はホロコーン
型、図5(b)はフルコーン型、図5(c)はフラット
型の夫々の液分散ノズルから噴出された液放出状態を示
したものである。
るホロコーン型液分散ノズルの構造例を図6に示す。こ
の液分散ノズル45は、ノズル本体40とキャップ41
とからなり、ノズル本体40の下面にキャップ41を組
み込む様に構成されている。そしてキャップ41にはオ
リフィス42が形成されており、ノズル本体40に形成
された導入孔43からオゾン含有水を導入し、オリフィ
ス42を介して噴出するものである。またノズル本体4
0には円柱状空間40aが形成されており、前記導入孔
43からこの円柱状空間40aに連通する導入路は該空
間に対して偏心した状態となっており、こうした構造と
することによって、導入孔43から導入されるオゾン含
有水は偏流(うず巻き流)となり、オリフィス42を介
して噴出されるオゾン含有水の液放出状態がホロコーン
状になるものである。即ち、図6に示したホロコーン型
液分散ノズルは、液導入路の位置や半径およびキャップ
の噴出口径やオリフィス径を適切に選定することによっ
て、液放出状態がホロコーン状態になる様にしたもので
ある。
分散ノズルは、溶解度が大きいかまたは中和反応等の反
応速度が大きいかのいずれの条件を満足する気体を想定
して開発されたものであるから、液分散角度を大きくす
ることを目的とするものであった。しかしながら、本発
明の様に溶解度が小さいオゾンガスを溶解させたオゾン
含有水を対象とする場合には、従来の液分散ノズルでは
要求される特性を満足することができない。
オリフィス42の半径を6mmとし、導入孔43の半径
を4mmとしたもの(これを便宜上「A型」呼ぶ)と、
導入孔43の半径を7mmとしたもの(これを便宜上
「B型」呼ぶ)の2種類のホロコーン型液分散ノズルを
準備した。そして、これらの液分散ノズルに液分散圧力
を変えて導入した前後におけるオゾン水濃度を測定し、
噴出後のオゾン残存率を計算した。その結果を、液負
荷、液分散角度と共に下記表4に示す。また上記A型の
ホロコーン型液分散ノズルを使用したときにおける、オ
ゾン水濃度や液負荷と液分散圧力とのが関係を図7に、
上記B型のホロコーン型液分散ノズルを使用したときに
おける、オゾン水濃度や液負荷と液分散圧力との関係を
図8に夫々示す。
力が低くなるに従って残留オゾン濃度が大きくなる傾向
を示すが、フラット型の液分散ノズルを使用したときと
比べて(前記表3)残留オゾン率が格段に向上している
ことが分かる。また本発明に係るホロコーン型液分散ノ
ズルでは、いずれも従来のフラット型と比べて残留オゾ
ン率が大きいが、同一の液負荷で比較した場合には、B
型の方が液分散圧力が低いときに残留オゾン率が大きい
ので、こうした観点からすればB型のホロコーン型液分
散ノズルの方が好ましい。尚液分散圧力があまり低くる
と液放出状態が好ましく傾向を示すが、B型のホロコー
ン型液分散ノズルでは、好ましい液分散圧力は0.01
〜0.1kg/cm2 程度であり、このときに液分散角
度が140°程度となり、液分散圧力をこれ以上高くし
ても液分散角度はそれよりも大きくならず、オゾン水中
の残留オゾン濃度は減少する傾向がある。
面を用いて説明する。図9は、本発明の湿式オゾン脱臭
装置の一実施例を示す概略説明図であり、その基本的な
構成は前記図2に示した装置構成と類似し、対応する部
分には同一の参照符号を付すことによって重複説明を回
避する。本発明の湿式オゾン脱臭装置は、上述の如く図
2に示した装置構成を基本とし、水放出部15に設置す
る液分散ノズルとしてホロコーン型液分散ノズルを使用
することを最大の特徴とするものであるが、本発明の湿
式オゾン脱臭装置における水放出部15付近の具体的な
構成例を図10に示す。この図10は、気液向流接触部
14から水放出部15を見たときの説明図であり、水放
出部15の骨組みがパイプによって組み立てられ、下方
の気液向流接触部14に臨んで複数(この図では32
個)のホロコーン型液分散ノズルを設置したものであ
る。そして、水放出部15の一端から導入されたオゾン
含有水が、各液分散ノズル45から噴出される様に構成
されている。尚図10において仮想線46で示した円形
は、湿式オゾン酸化塔11の内径を想定して示したもの
である。
液分散ノズルに向かう水循環経路中のオゾン含有水の一
部を前記貯水部に循環させる構成を採用することも有効
である。次に、こうした構成を採用したときの作用効果
について図面を用いて説明する。この構成は図9に示し
た様に、循環ポンプ24の出口部からの循環流の一部を
循環経路50を介して前記貯水部12に吹き込み(戻
し)、散気管を通して上昇するオゾンバブリングの攪拌
を行ない、循環ポンプの吸引部のオゾン溶解を促進させ
るものである。尚図9の37は、循環流の一部を貯水部
12に戻す量を調整する為の流量調整弁である。
法としては、(a)水中バブリング溶解方法、(b)エ
ジェクターによる加圧混合溶解方法、等が考えられる。
このうち前者の方法は、オゾンバブリング気泡径を30
μm程度の微細気泡を発生させて気液接触面積を向上さ
せ、水中を上昇する間に水中にオゾンを溶解させる方法
である。この方法における効率向上因子としては、気泡
径と水中上昇時間であり、バブリング気泡径を30μm
程度の微細気泡にすること、および上昇時間を長くする
という観点から水深を深くする必要がある。実用的に
は、排水処理設備において嫌気性濾床槽や接触曝気槽等
の、バクテリアによる浄化効率を向上させる為に気泡
径:30μm、水深:5m程度として広く採用されてい
る。しかしながら、本発明の湿式オゾン脱臭装置の様
に、水深が高々600mm程度である様な場合には、オ
ゾンガスを水中でバブリングさせても、ガスの密度は、
水の密度よりも約1000倍も小さいので、オゾンガス
は塔底部に吹き込まれたら、直ちに上昇すると共に横方
向への拡散もしなく、またオゾン吹き込み高さとほぼ同
じ高さから循環ポンプに吸引されるので循環ポンプ吸引
箇所のオゾン濃度は向上しないという問題がある。一
方、エジェクターや湿式混合器による混合溶解法は、食
品分野でのオゾン水殺菌装置等に採用されているが、一
般に2kg/cm2 程度の圧力が必要であり、圧力損失
が大きくなるという問題がある。そこで本発明では、水
循環経路中の前記オゾン含有水の一部を前記貯水部に循
環させる(戻す)構成を採用することによって、上記し
た問題を発生させることなく、循環水中のオゾン濃度を
高めることに成功したのである。
ポンプ吸引部でオゾンバブリングによる気泡が混入すれ
ば、循環ポンプのキャビテーションの原因にもなるの
で、それを防止する手段として、耐オゾン性材料(例え
ば、ステンレス鋼等)からなる金網や樹脂性ネットを設
置することが好ましい。また図9に示す様に、流量時3
7の出口部にエジェクターや湿式混合器の様な構成を有
する湿式混合器36を設置し、この混合器にオゾンガス
を導入(導入経路51)してオゾンガスの溶解を促進す
ることも有効である。尚湿式混合器36を設置したとき
の条件としては、オゾンガスの導入圧を約0.15kg
/cm2 以上とすることによって、オゾン含有水の圧力
を1.0kg/cm2 程度とすることができる。
る液分散ノズルをホロコーン型とすることに特徴を有す
るものであるが、必要により(1)液分散ノズルに向か
う水循環経路中の前記オゾン含有水の一部を前記貯水部
に循環させる構成や、(2)前記液分散ノズルに向かう
水循環経路中の前記オゾン含有水にオゾンガスを混合す
る構成を採用することも有効であるが、こうした装置に
おいて、図2に関連して述べたような様な構成のデミス
タ16を備えることも有効であることは勿論である。ま
た湿式オゾン脱臭装置における気液向流接触部14とし
ては、前記図4に示した様な構成を採用することが好ま
しいが、こうした構成に限らず、液体分散ノズルから放
出されたオゾン含有水を案内流下させるガイド部材を備
えたものであれば、他の構成を採用しても良い。
果を具体的に説明するが、下記実施例は本発明を限定す
る性質のものではなく、前・後記の主旨に徴して設計変
更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるも
のである。
液分散ノズルとしてホロコーン型のものに代えたときの
脱臭効果を調査した。このとき参考の為に、フラット型
の液分散ノズルを用いたものの脱臭効果についても調査
した。このときの脱臭条件は、下記の通りである。また
導入する臭気ガス(硫化水素)の濃度の選定に当たって
は、その基準となる「日本下水道事業団設計基準・脱臭
装置の項」に基づいて臭気強度を3.5とした。 (a) 臭気ガス量:3.5m3 /min (b) 湿式オゾン酸化脱臭塔の仕様 塔径 :800mmφ(塔断面積:0.503m
2 ) 充填高さ :0.8m 全長 :2m (c) 液/ガス比:30 (d) 給水量 :0.3リットル/min (e) 臭気ガス:硫化水素(H2 S)
の液分散ノズルを使用した場合の脱臭効率は50%であ
ったが、ホロコーン型の液分散ノズルを使用した場合の
脱臭効率は92.5%となり、ホロコーン型の液分散ノ
ズルを使用した場合の方が脱臭効果が明らかに向上して
いることが分かる。
またはフラット型の液分散ノズルを使用した脱臭装置)
を用い、これらに農業集落排水設備・前処理部の臭気ガ
ス(硫化水素およびメチルメルカプタンを主体とするも
の)を導入して脱臭試験を行った。その結果を下記表6
に示すが、ホロコーン型の液分散ノズルを使用した場合
の方が、フラット型の液分散ノズルを使用した場合と比
べて脱臭効率が明らかに向上していることが分かる。
(即ち、ホロコーン型液分散ノズルを使用すると共に、
前記液分散ノズルに向かう水循環経路中の前記オゾン含
有水の一部を前記貯水部に循環させる構成の脱臭装置)
を用い、実施例2に示した臭気ガスと同様の臭気ガスを
導入して脱臭試験を行った。このとき前記図2に示した
構成の湿式オゾン脱臭装置(即ち、フラット型の液分散
ノズルを使用すると共に、前記液分散ノズルに向かう水
循環経路中の前記オゾン含有水の一部を前記貯水部に循
環させる構成を採用しない脱臭装置)を用いて同様の試
験を行った。
型の液分散ノズルを使用すると共に、液分散ノズルに向
かう水循環経路中の前記オゾン含有水の一部を前記貯水
部に循環させる構成を採用した脱臭装置を適用して脱臭
した場合には、脱臭効率が格段と向上していることが分
かる。
洗方式にオゾンガスを吹き込んで臭気を除去するような
原理を利用したオゾン脱臭装置における脱臭効率を向上
さることができた。
代表的な構成を示す概略説明図である。
構成を示す概略説明図である。
面図である。
説明図である。
ロコーン型液分散ノズルの構造例を示す説明図である。
きにおける、オゾン水濃度や液負荷と液分散圧力との関
係を示すグラフである。
きにおける、オゾン水濃度や液負荷と液分散圧力との関
係を示すグラフである。
概略説明図である。
部15付近の具体的な構成例を示す説明図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 気体を強制的に上昇させる雰囲気を形成
した湿式オゾン酸化塔の上部に排気口を有し、前記湿式
オゾン酸化塔内の底部に水位を保っている貯水部を備
え、該貯水部にオゾンガスを供給して溶解させるオゾン
ガス発生機を併設し、該貯水部より吸い上げたオゾン含
有水を、前記湿式オゾン酸化塔の上部に複数設けられた
液分散ノズルの夫々のノズルから前記雰囲気中に中空コ
ーン状に放出して前記貯水部に戻る様にした水循環経路
を設け、一方前記貯水部より上方には貯水部内を通じて
吹き出されるオゾンガスと前記湿式オゾン酸化塔内に導
入する臭気ガスを混合するガス混合部を設け、このガス
混合部と前記液分散ノズルの間に、前記放出されたオゾ
ン含有水を案内流下させるガイド部材を備えた気液向流
接触部を設けてなることを特徴とする湿式オゾン脱臭装
置。 - 【請求項2】 前記液分散ノズルに向かう水循環経路中
の前記オゾン含有水の一部を前記貯水部に循環させる様
に構成されたものである請求項1に記載の湿式オゾン脱
臭装置。 - 【請求項3】 前記液分散ノズルに向かう水循環経路中
の前記オゾン含有水にオゾンガスを混合する様に構成さ
れたものである請求項1または2に記載の湿式オゾン脱
臭装置。 - 【請求項4】 前記気液向流接触部は、上下にジグザグ
状に連続している多数枚の波板を間隙を開けて列設し、
その間隙を混合ガスの流動路とし、前記液分散ノズルか
ら放出されて流下するオゾン含有水が、一方の波板から
前記間隙を横切って隣接する他方波板を伝って順次流下
する様に形成したものである請求項1〜3のいずれかに
記載の湿式オゾン脱臭装置。 - 【請求項5】 湿式オゾン酸化塔の上部に設けた排気口
に、送風機で湿式オゾン酸化塔内のガスを強制的に吸引
する排気経路を連結すると共に、前記液分散ノズルと排
気口間に、上下にジグザグ状に連続している多数枚の波
板を間隙を開けて列設したデミスタを備えてなる請求項
1〜4のいずれかに記載の湿式オゾン脱臭装置。
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