JPH11153312A - 廃棄物熱分解ガス化溶融装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融炉への熱分解残渣の供給量を自由に調整
できるようにする。 【解決手段】 廃棄物６を熱分解して分離室７で熱分解
ガス６ａと熱分解残渣６ｂとを分離できるようにしてあ
る外熱キルン炉１の下流側に、熱分解ガス６ａを専焼で
きるバーナ１９を備えた回転式表面溶融炉２０を設置す
る。分離室７に接続した熱分解ガスライン１４をバーナ
１９に導設する。分離室７から取り出した熱分解残渣６
ｂを一旦貯留するための貯留槽２１を設ける。貯留槽２
１内の熱分解残渣６ｂを、溶融炉２０系統の必要量に応
じて溶融炉２０内に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は都市ごみなどの廃棄
物を熱分解ガス化すると共に熱分解残渣を溶融させるよ
うにした廃棄物熱分解ガス化溶融装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】現在の廃棄物の処理方式としては、焼却
炉にて廃棄物を燃焼するようにした燃焼方式が採用され
ている。

【０００３】しかしながら、上記燃焼方式の場合には、
燃焼排ガス中に含まれるダイオキシン発生の問題があ
ること、ガス量が多く熱エネルギーの利用効率が悪い
こと、灰が多量に出るのでその処理が大変であるこ
と、埋立地の容量が限界に近付いてきていること、等
の問題が提起されている。

【０００４】そのため、次世代の廃棄物処理方式とし
て、廃棄物を不活性雰囲気下で加熱して熱分解し、発生
した熱分解ガスと熱分解残渣（チャー）を溶融炉で空気
比１．３程度の少ない空気量で高温にして燃焼させ、廃
棄物中の灰分を溶融スラグとして取り出すようにしたガ
ス化・溶融方式が開発され、一部で実証運転が行われて
いる。かかる方式では、廃棄物を熱分解ガス化するため
に、外熱キルン方式を採用し、外部からの熱で廃棄物を
間接的に加熱、乾燥させて熱分解させるようにしてい
る。

【０００５】廃棄物を熱分解ガス化・溶融するために用
いられている熱分解ガス化溶融装置は、図２にその一例
の概要を示す如く、一端の入口２側よりも他端の出口３
側を約３度低くなるように傾斜させて横向きに配置した
ロータリー型の外熱キルン炉１の長手方向一端の入口２
に、給じん機４を設けて投入ホッパ５から廃棄物６を投
入するようにすると共に、上記外熱キルン炉１の長手方
向他端の出口３に、熱分解ガス６ａと熱分解残渣６ｂと
を分離する分離室７を設け、外熱キルン炉１を低速で回
転させた状態において、投入ホッパ５内に投入された廃
棄物６を給じん機４によって外熱キルン炉１内に徐々に
供給しつつ、外側の加熱流路８内に、熱回収空気１３や
補助燃料１２を用いて熱風発生炉９で発生させた高温ガ
ス（熱風）１０を、高温ガス送給ライン１１を通し出口
３側から入口２側へ向け流通させることにより、外熱キ
ルン炉１内の廃棄物６を加熱、乾燥させて熱分解させる
ようにしてある。

【０００６】又、上記外熱キルン炉１内での熱分解によ
り生成された熱分解ガス６ａは、分離室７の上部に接続
された熱分解ガスライン１４を通して下流側の旋回溶融
炉１５内へ送るようにし、一方、金属類６ｄを含む熱分
解残渣６ｂは、金属類６ｄを資源として回収してから粉
砕機１６で微粉化し、熱分解残渣ライン１７を通して上
記溶融炉１５内へ供給することにより熱分解ガスと気流
中で混焼させることで溶融させて溶融スラグ６ｃとして
取り出すようにし、更に、上記溶融炉１５の溶融排ガス
１５ａの熱エネルギーを廃熱回収ボイラで回収して熱利
用や発電用の蒸気を発生させるようにしてある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記廃棄物
熱分解ガス化溶融装置の場合、熱分解ガス６ａと熱分解
残渣６ｂの溶融炉１５内での同時混焼が前提のため、外
熱キルン炉１と溶融炉１５の系統は直結しており独立し
て運転調整することができるようにはなっていないの
で、たとえば、外熱キルン炉１での廃棄物６の性状変化
や必要蒸気発生量の変動があっても、溶融炉１５以降の
処理量は成り行きまかせとなり、燃焼量や蒸気発生量の
自由な調整を行うことができず、又、メンテナンス等の
ために外熱キルン炉１もしくは溶融炉１５のどちらかの
運転を停止させると、プラント全体の運転を停止せざる
を得ないのが実状である。

【０００８】そこで、本発明は、溶融炉への熱分解残渣
の供給量を必要負荷に応じて自由に調整できるように
し、更に、外熱キルン炉及び溶融炉をどちらも単独で運
転することができるようにしようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、廃棄物を熱分解する外熱キルン炉の下流
側に、熱分解ガスを専焼できるバーナを備えた溶融炉を
設置して、該溶融炉のバーナに、上記外熱キルン炉の出
口側分離室の上部に接続した熱分解ガスラインを導設
し、且つ上記外熱キルン炉の出口側分離室の下部から取
り出された熱分解残渣を一旦貯留するための貯留槽を設
け、該貯留槽内の熱分解残渣を上記溶融炉内に供給する
ようにした構成とする。

【００１０】外熱キルン炉内で廃棄物を熱分解した後の
熱分解残渣は炭状で悪臭もなく、安定した物質であるた
め、燃料として貯留槽に一旦貯留させておくことができ
るので、負荷側の必要量に応じて溶融炉へ自由に供給量
を調整することができる。

【００１１】又、溶融炉に二次燃焼室を連設し、且つ該
二次燃焼室に、熱分解ガスを全量専焼できるバーナを装
備させて、該バーナに熱分解ガスラインの分岐ラインを
導設した構成とすることにより、溶融炉の二次燃焼室の
バーナで余剰熱分解ガスを燃焼させることができ、且つ
二次燃焼室だけでも充分な滞留時間をとることができる
ので、溶融炉を停止しても、熱分解ガスを全量燃焼させ
ることができる。したがって、外熱キルン炉と溶融炉を
単独で運転することも可能となる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。

【００１３】図１は本発明の実施の一形態を示すもの
で、図２に示したと同様に、熱風発生炉９で発生させた
高温ガス１０を熱源として、廃棄物６を外熱キルン炉１
内で熱分解させるようにしてある構成において、上記外
熱キルン炉１の下流側に、供給された熱分解ガスを専焼
できるバーナ１９を備えた回転式表面溶融炉２０を設置
し、該溶融炉２０のバーナ１９に、外熱キルン炉１の分
離室７の上部に接続した熱分解ガスライン１４を導設し
て、外熱キルン炉１内で発生した熱分解ガス６ａを溶融
炉２０のバーナ１９で燃焼させられるようにし、又、上
記外熱キルン炉１の分離室７の下部から取り出された熱
分解残渣６ｂを所要量貯留するための貯留槽２１を設け
て、該貯留槽２１内に貯留させた熱分解残渣６ｂを、ク
レーン２２及び供給コンベヤ２３を介して溶融炉２０内
に任意に供給できるようにする。

【００１４】又、上記溶融炉２０に二次燃焼室２４を連
設し、且つ該二次燃焼室２４に、供給された熱分解ガス
６ａを全量専焼できるバーナ２５を装備させて、該バー
ナ２５に、熱分解ガスライン１４から分岐させた分岐ラ
イン２６を導設し、二次燃焼室２４内で熱分解ガス６ａ
を燃焼させられるように、更に、上記二次燃焼室２４の
出側に廃熱回収ボイラ１８を組み込んだ構成とする。上
記二次燃焼室２４は、熱分解ガス６ａを全量専焼させた
場合にも充分な滞留時間を確保できる容量としてある。

【００１５】なお、２７は溶融炉２０のバーナ１９へ燃
焼用空気を送る空気ライン、２８は二次燃焼室２４のバ
ーナ２５へ燃焼用空気を送る空気ライン、２９は熱分解
ガスファン、３０，３１は調節弁を示す。図１におい
て、図２と同一部分には同一符号が付してある。

【００１６】外熱キルン炉１の運転により生成された熱
分解ガス６ａは、分離室７の上部から熱分解ガスライン
１４を通り溶融炉２０のバーナ１９に供給される。した
がって、分離室７の下部から取り出された熱分解残渣６
ｂが溶融炉２０内に供給されることにより、バーナ１９
による助燃によって熱分解残渣６ｂは溶融されて溶融ス
ラグ６ｃとされるが、この際、上記熱分解残渣６ｂは、
分離室７から取り出されると、貯留槽２１内に一旦貯留
されることになるため、溶融炉２０の系統の必要量に応
じて、クレーン２２及び供給コンベヤ２３を介して溶融
炉２０内に供給することができる。すなわち、発電や熱
利用に必要な量を溶融炉２０へ供給することができる。

【００１７】上記の場合、熱分解残渣６ｂは、微細な炭
状のものであり熱分解前の廃棄物６自体に比して容量は
極めて少なく、且つ衛生的な問題も起こらないので、燃
料として長期間の貯留も可能である。

【００１８】又、上記熱分解ガス６ａは、溶融炉２０が
停止した場合も熱分解ガスライン１４から分岐させた分
岐ライン２６を通って溶融炉２０の二次燃焼室２４に装
備されたバーナ２５に導かれるため、二次燃焼室２４で
熱分解ガス６ａを全量燃焼させることができる。

【００１９】このように、分離室７から取り出した熱分
解残渣６ｂを貯留槽２１内に一時貯留しておくことがで
きることから、貯留槽２１の容量を充分に確保しておけ
ば、メンテナンス等のために溶融炉２０の運転を停止さ
せた場合でも、発生する残渣６ｂを受け入れることがで
きる。また、熱分解ガス６ａは二次燃焼室２４で全量焼
却できるため、外熱キルン炉１を単独で運転することが
可能となり、定格の運転を継続させることができ、逆
に、外熱キルン炉１の運転を停止させた場合でも、助燃
材としてプロパン等の外部燃料を使えば溶融炉１を単独
で運転することができる。

【００２０】なお、上記実施の形態では、溶融炉として
回転式表面溶融炉２０を用いるようにした場合を示した
が、バーナ式溶融炉であれば他の型式のものであっても
よいこと、又、実施の形態では、貯留槽２１内の熱分解
残渣６ｂの搬送にクレーン２２を用いるようにした場合
を示したが、他の搬送手段を適宜採用できること、その
他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を
加え得ることは勿論である。

【００２１】

【発明の効果】以上述べた如く、本発明の廃棄物熱分解
ガス化溶融装置によれば、次の如き優れた効果を発揮す
る。 (1) 廃棄物を熱分解する外熱キルン炉の下流側に、熱分
解ガスを専焼できるバーナを備えた溶融炉を設置して、
該溶融炉のバーナに、上記外熱キルン炉の出口側分離室
の上部に接続した熱分解ガスラインを導設し、且つ上記
外熱キルン炉の出口側分離室の下部から取り出された熱
分解残渣を貯留するための貯留槽を設け、該貯留槽内の
熱分解残渣を上記溶融炉内に供給するようにした構成と
してあるので、分離室から取り出した熱分解残渣を燃料
として貯留槽内に貯留することができ、これにより、溶
融炉系統で必要とする量の熱分解残渣を溶融炉に供給す
ることができる。 (2) 溶融炉に二次燃焼室を連設し、且つ該二次燃焼室
に、熱分解ガスを全量専焼できるバーナを装備させて、
該バーナに熱分解ガスラインの分岐ラインを導設した構
成とすることにより、溶融炉内で熱分解ガスを燃焼させ
ることに加えて、二次燃焼室内でも熱分解ガスを燃焼さ
せることができるので、熱分解ガスは、溶融炉の運転に
かかわりなく全量を燃焼処理することができる。したが
って熱分解残渣は貯留槽で長期間の貯留が可能であり、
熱分解ガスは、二次燃焼室で全量燃焼も可能なため、外
熱キルン炉、あるいは、溶融炉の単独運転を行うことが
でき、又、メンテナンス等を行うときでもプラント全体
を停止させる必要がなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の廃棄物熱分解ガス化溶融装置の実施の
一形態を示す概要図である。

【図２】廃棄物熱分解ガス化溶融装置の一例を示す概要
図である。

【符号の説明】

１ 外熱キルン炉 ６ 廃棄物 ６ａ 熱分解ガス ６ｂ 熱分解残渣 ７ 分離室 １４ 熱分解ガス １９ バーナ ２０ 回転式表面溶融炉（溶融炉） ２１ 貯留槽 ２４ 二次燃焼室 ２５ バーナ ２６ 分岐ライン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萩谷 宗高 東京都江東区豊洲三丁目１番15号 石川島 播磨重工業株式会社東二テクニカルセンタ ー内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 廃棄物を熱分解する外熱キルン炉の下流
   側に、熱分解ガスを専焼できるバーナを備えた溶融炉を
   設置して、該溶融炉のバーナに、上記外熱キルン炉の出
   口側分離室の上部に接続した熱分解ガスラインを導設
   し、且つ上記外熱キルン炉の出口側分離室の下部から取
   り出された熱分解残渣を貯留するための貯留槽を設け、
   該貯留槽内の熱分解残渣を上記溶融炉内に供給するよう
   にした構成を有することを特徴とする廃棄物熱分解ガス
   化溶融装置。
2. 【請求項２】 溶融炉に二次燃焼室を連設し、且つ該二
   次燃焼室に、熱分解ガスを全量専焼できるバーナを装備
   させて、該バーナに熱分解ガスラインの分岐ラインを導
   設した請求項１記載の廃棄物熱分解ガス化溶融装置。