JP3876502B2 - 廃棄物熱分解ガス化溶融装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は都市ごみなどの廃棄物を熱分解ガス化すると共に熱分解残渣を溶融させるようにした廃棄物熱分解ガス化溶融装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の廃棄物の処理方式としては、焼却炉にて廃棄物を燃焼するようにした燃焼方式が採用されている。
【0003】
しかしながら、上記燃焼方式の場合には、▲1▼燃焼排ガス中に含まれるダイオキシン発生の問題があること、▲2▼ガス量が多く熱エネルギーの利用効率が悪いこと、▲3▼灰が多量に出るのでその処理が大変であること、▲4▼埋立地の容量が限界に近付いてきていること、等の問題が提起されている。
【0004】
そのため、次世代の廃棄物処理方式として、廃棄物を不活性雰囲気下で加熱して熱分解し、発生した熱分解ガスと熱分解残渣(チャー)を溶融炉で空気比1.3程度の少ない空気量で高温にして燃焼させ、廃棄物中の灰分を溶融スラグとして取り出すようにしたガス化・溶融方式が開発され、一部で実証運転が行われている。かかる方式では、廃棄物を熱分解ガス化するために、外熱キルン方式を採用し、外部からの熱で廃棄物を間接的に加熱、乾燥させて熱分解させるようにしている。
【0005】
廃棄物を熱分解ガス化・溶融するために用いられている熱分解ガス化溶融装置は、図2にその一例の概要を示す如く、一端の入口2側よりも他端の出口3側を約3度低くなるように傾斜させて横向きに配置したロータリー型の外熱キルン炉1の長手方向一端の入口2に、給じん機4を設けて投入ホッパ5から廃棄物6を投入するようにすると共に、上記外熱キルン炉1の長手方向他端の出口3に、熱分解ガス6aと熱分解残渣6bとを分離する分離室7を設け、外熱キルン炉1を低速で回転させた状態において、投入ホッパ5内から投入された廃棄物6を給じん機4によって外熱キルン炉1内に徐々に供給しつつ、外側の加熱流路8内に、熱回収空気13や補助燃料12を用いて熱風発生炉9で発生させた高温ガス(熱風)10を、高温ガス送給ライン11を通し出口3側から入口2側へ向け流通させて燃焼排ガスライン17より排出させることにより、外熱キルン炉1内の廃棄物6を加熱、乾燥させて熱分解し、発生した熱分解ガス6aを、出口3部の分離室7の上部に接続した熱分解ガス取出ライン14を通して下流の溶融炉15に送るようにし、一方、金属類を含む熱分解残渣6bを、金属類6dを回収してから熱分解残渣ライン16により上記溶融炉15へ送り、更に1300℃以上で高温燃焼させて溶融スラグ6cとして取り出すようにしてある。なお、外熱キルン炉1の燃焼排ガス10aは、ファン30により熱風発生炉9へ循環させ、その余剰分は溶融炉15の排ガス出口部に導くようにしてある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記熱分解ガス化溶融装置の場合、ポリ塩化ビニル等のプラスチック類を比較的多く含む廃棄物を熱分解すると、熱分解ガス6a中の塩化水素濃度が高くなり、又、廃棄物6が保有する水分量が多いと熱分解ガス6aの水分も多くなるので、熱分解ガス6aを、塩化水素濃度が低く且つ高カロリーのガスとして取り出すことができなかった。更に、これまでは、熱分解ガス6aを外熱キルン炉1の熱源として使用しようとしても、発熱量が低く塩化水素が腐食源となることから、使用することは難しかった。
【0007】
そこで、本発明は、外熱キルン炉で生成された熱分解ガスを、塩化水素濃度が低く且つ高カロリーのガスとして取り出すことができるようにし、更に、熱分解ガスを外熱キルン炉の熱源として有効に利用できるようにしようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、外熱キルン炉内の廃棄物を熱風発生炉で発生させた高温ガスを熱源として乾燥、熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を下流の溶融炉へ送って処理するようにしてある廃棄物熱分解ガス化溶融装置において、上記外熱キルン炉の上流側に、該外熱キルン炉に供給する前の廃棄物を乾燥させるための通気乾燥機を設置し、且つ該通気乾燥機の給じん機又は該通気乾燥機へ乾燥熱源となるガスを導くラインに、石灰粉投入ラインを設けて、上記通気乾燥機に石灰粉を投入できるようにし、更に、上記通気乾燥機の排気ラインに集じん器を設置した構成とする。
【0009】
通気乾燥機内に石灰粉投入ラインにより石灰粉を投入すると、乾燥段階で発生した塩化水素がアルカリ金属塩として固定され、集じん器で捕集されることにより系外に除去される。又、一部の石灰粉は外熱キルン炉にごみとともに送られ熱分解段階で発生したHClを熱分解残渣側に固定する。一方、廃棄物は多くの水分が除去されてから外熱キルン炉に供給されるため、熱分解ガス中の水分量を少なくすることができる。したがって、熱分解ガスを、塩化水素濃度が低く且つ高カロリーのガスとして取り出すことができるようになる。
【0010】
又、外熱キルン炉内での熱分解により生成された熱分解ガスの回収ラインを、熱風発生炉に導設した構成とすることにより、塩化水素濃度が低く且つ高カロリーの熱分解ガスが熱風発生炉を介して外熱キルン炉に導かれるので、腐食の心配を起すことなく外熱キルン炉の熱源とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の一形態を示すもので、図2に示したと同様な構成において、外熱キルン炉1の上流側に、該外熱キルン炉1に供給する前の廃棄物6を乾燥させるための通気乾燥機18を前処理装置として設置すると共に、該通気乾燥機18に、外熱キルン炉1の燃焼排ガスライン17を接続して、外熱キルン炉1での廃棄物6の熱分解に供した後の燃焼排ガス10aを通気乾燥機18の乾燥熱源として導けるようにし、且つ上記通気乾燥機18の給じん機19(又は燃焼排ガスライン17)に、消石灰や生石灰粉等の石灰粉を投入するための石灰粉投入ライン20を設けて、廃棄物6の乾燥段階で発生した塩化水素(Cl)をアルカリ金属塩(CaCl2 )の固体とさせられるようにし、更に、上記通気乾燥機18の排気ライン21を熱風発生炉9と溶融炉15の排ガス出口部22に分岐させて導設し、該排気ライン21の途中に集じん器23を設置して、通気乾燥機18から排出させられた乾燥排ガス10b中に含む塩素のアルカリ金属塩を集じん器23で捕集して系外に除去できるようにする。
【0013】
又、上記外熱キルン炉1の分離室7と下流側の溶融炉15との間に接続された熱分解ガス取出ライン14の途中に、集じん器24を介在設置し、該集じん器24の下流側に位置する熱分解ガス取出ライン14の途中から回収ライン25を分岐させて、該回収ライン25を熱風発生炉9に導設し、集じん器24を通過した後の熱分解ガス6aを熱風発生炉9に供給できるようにし、更に、上記集じん器25と熱分解残渣ライン16との間に、集じん器24で捕集した熱分解残渣6bを熱分解残渣ライン16に戻すための戻しライン26を設ける。
【0014】
なお、27は高温ガス送給ライン11に設けた温度制御器28からの指令で開閉制御されるように回収ライン25中に設けた開閉制御弁を示す。31は熱分解ガス用のファンを示す。
【0015】
上記構成としてある本発明の廃棄物熱分解ガス化溶融装置では、外熱キルン炉1で廃棄物6を加熱、乾燥して熱分解させる前に、通気乾燥機18で廃棄物6を乾燥させて50%程度の水分を除去し、乾燥後の廃棄物6を外熱キルン炉1に供給するようにさせる。
【0016】
上記の場合、熱風発生炉9で発生させた高温ガス10を、高温ガス送給ライン11を通し外熱キルン炉1の加熱流路8に流通させるようにして運転を行うと、運転中は、外熱キルン炉1での廃棄物6の熱分解に供した後の燃焼排ガス10aが通気乾燥機18の熱源として燃焼排ガスライン17を通り通気乾燥機18に供給される。
【0017】
上記通気乾燥機18では、供給された燃焼排ガス10aによって直接接触加熱により廃棄物6が乾燥させられるが、この際、通気乾燥機18内には、石灰粉投入ライン20を通して石灰粉が投入された状態にあるため、乾燥段階で廃棄物6から発生する塩化水素(Cl)は反応によりアルカリ金属塩(CaCl2 )の固体とされ、更に、このアルカリ金属塩の固体は、排気ライン21を通り集じん器23で捕集されるため、系外に除去することができる。
【0018】
一方、通気乾燥機18で乾燥させられた廃棄物6は、次に、外熱キルン炉1に供給されることになるため、外熱キルン炉1では、多くの水分が除去された廃棄物6を熱分解するので、熱分解ガス6a内の水分量も少なくなり、高カロリーのガスを取り出すことができるようになる。この際、外熱キルン炉1内でも、熱分解段階で塩化水素が多少発生するが、通気乾燥機18からは未反応の石灰粉も同時に供給されることから、発生した塩化水素を熱分解残渣6b側に固定することができる。したがって、塩化水素濃度が最小値となった高カロリーの熱分解ガス6aを取り出すことができる。
【0019】
更に、この熱分解ガス6aは、熱分解ガス取出ライン14から回収ライン25を経て熱風発生炉9に供給されるため、熱分解ガス6aを、腐食の心配なく外熱キルン炉1の熱源として有効に使用することができることになる。
【0020】
なお、上記通気乾燥機18で廃棄物6の乾燥に供した後の乾燥排ガス10bは臭気成分を含んでいるが、排気ライン21を通り溶融炉15の排ガス出口部22に導かれるため、ここで、1300℃以上の高温の溶融排ガス29に混入されることにより、高温分解させられて排出される。
【0021】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、次の如き優れた効果を発揮する。
(1) 外熱キルン炉内の廃棄物を熱風発生炉で発生させた高温ガスを熱源として乾燥、熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を下流の溶融炉へ送って処理するようにしてある廃棄物熱分解ガス化溶融装置において、上記外熱キルン炉の上流側に、該外熱キルン炉に供給する前の廃棄物を乾燥させるための通気乾燥機を設置し、且つ該通気乾燥機の給じん機又は該通気乾燥機へ乾燥熱源となるガスを導くラインに、石灰粉投入ラインを設けて、上記通気乾燥機に石灰粉を投入できるようにし、更に、上記通気乾燥機の排気ラインに集じん器を設置した構成としてあるので、通気乾燥機内に投入する石灰粉により、乾燥段階で発生した塩化水素をアルカリ金属塩として固定し、集じん器で捕集して系外に除去することができ、一方、多くの水分を除去した後の廃棄物を外熱キルン炉で熱分解することから、熱分解ガス中の水分量を少なくすることができ、しかも通気乾燥機で未反応の石灰粉も外熱キルン炉に供給されることで、熱分解段階で発生する塩化水素を熱分解残渣側に固定することができ、したがって、塩化ガス水素濃度が低く且つ高カロリーの熱分解ガスを取り出すことができることにより、熱分解ガスの利用価値を高めることができる。
(2) 外熱キルン炉内の廃棄物を熱風発生炉で発生させた高温ガスを熱源として乾燥、熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を下流の溶融炉へ送って処理するようにしてある廃棄物熱分解ガス化溶融装置において、上記外熱キルン炉の上流側に、該外熱キルン炉に供給する前の廃棄物を乾燥させるための通気乾燥機を設置し、且つ該通気乾燥機の給じん機又は該通気乾燥機へ乾燥熱源となるガスを導くラインに、石灰粉投入ラインを設けて、上記通気乾燥機に石灰粉を投入できるようにし、更に、上記通気乾燥機の排気ラインに集じん器を設置し、更に又、上記外熱キルン炉内での熱分解により生成された熱分解ガスの回収ラインを、熱風発生炉に導設した構成とすることにより、塩化水素濃度が低く且つ高カロリーの熱分解ガスを熱風発生炉に導くことができるので、熱分解ガスを、腐食の心配を起すことなく外熱キルン炉の熱源として有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の廃棄物熱分解ガス化溶融装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】廃棄物熱分解ガス化溶融装置の一例を示す概要図である。
【符号の説明】
1 外熱キルン炉
6 廃棄物
6a 熱分解ガス
6b 熱分解残渣
6c 溶融スラグ
8 加熱流路
9 熱風発生炉
10 高温ガス
10a 燃焼排ガス
15 溶融炉
18 通気乾燥機
19 給じん機
20 石灰粉投入ライン
21 排気ライン
23 集じん器
25 回収ライン
Claims (2)
- 外熱キルン炉内の廃棄物を熱風発生炉で発生させた高温ガスを熱源として乾燥、熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を下流の溶融炉へ送って処理するようにしてある廃棄物熱分解ガス化溶融装置において、上記外熱キルン炉の上流側に、該外熱キルン炉に供給する前の廃棄物を乾燥させるための通気乾燥機を設置し、且つ該通気乾燥機の給じん機又は該通気乾燥機へ乾燥熱源となるガスを導くラインに、石灰粉投入ラインを設けて、上記通気乾燥機に石灰粉を投入できるようにし、更に、上記通気乾燥機の排気ラインに集じん器を設置した構成を有することを特徴とする廃棄物熱分解ガス化溶融装置。
- 外熱キルン炉内の廃棄物を熱風発生炉で発生させた高温ガスを熱源として乾燥、熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を下流の溶融炉へ送って処理するようにしてある廃棄物熱分解ガス化溶融装置において、上記外熱キルン炉の上流側に、該外熱キルン炉に供給する前の廃棄物を乾燥させるための通気乾燥機を設置し、且つ該通気乾燥機の給じん機又は該通気乾燥機へ乾燥熱源となるガスを導くラインに、石灰粉投入ラインを設けて、上記通気乾燥機に石灰粉を投入できるようにし、更に、上記通気乾燥機の排気ラインに集じん器を設置し、更に又、上記外熱キルン炉内での熱分解により生成された熱分解ガスの回収ラインを、熱風発生炉に導設した構成を有することを特徴とする廃棄物熱分解ガス化溶融装置。
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- 1997-11-17 JP JP33081497A patent/JP3876502B2/ja not_active Expired - Fee Related
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