JP4155365B2 - 廃棄物熱分解ガス化溶融装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は都市ごみなどの廃棄物を熱分解ガス化すると共に熱分解残渣を溶融させるようにした廃棄物熱分解ガス化溶融装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の廃棄物の処理方式としては、焼却炉にて廃棄物を燃焼するようにした燃焼方式が採用されている。
【0003】
しかしながら、上記燃焼方式の場合には、▲1▼燃焼排ガス中に含まれるダイオキシン発生の問題があること、▲2▼ガス量が多く熱エネルギーの利用効率が悪いこと、▲3▼灰が多量に出るのでその処理が大変であること、▲4▼埋立地の容量が限界に近付いてきていること、等の問題が提起されている。
【0004】
そのため、次世代の廃棄物処理方式として、廃棄物を不活性雰囲気下で加熱して熱分解し、発生した熱分解ガスと熱分解残渣(チャー)を溶融炉で空気比1.3程度の少ない空気量で高温にして燃焼させ、廃棄物中の灰分を溶融スラグとして取り出すようにしたガス化・溶融方式が開発され、一部で実証運転が行われている。かかる方式では、廃棄物を熱分解ガス化するために、外熱キルン方式を採用し、外部からの熱で廃棄物を間接的に加熱、乾燥させて熱分解させるようにしている。
【0005】
廃棄物を熱分解ガス化・溶融するために用いられている熱分解ガス化溶融装置は、図2にその一例の概要を示す如く、一端の入口2側よりも他端の出口3側を約3度低くなるように傾斜させて横向きに配置したロータリー型の外熱キルン炉1の長手方向一端の入口2に、給じん機4を設けて投入ホッパ5から廃棄物6を投入するようにすると共に、上記外熱キルン炉1の長手方向他端の出口3に、熱分解ガス6aと熱分解残渣6bとを分離する分離室7を設け、外熱キルン炉1を低速で回転させた状態において、投入ホッパ5内から投入された廃棄物6を給じん機4によって外熱キルン炉1内に徐々に供給しつつ、外側の加熱流路8内に、熱回収空気13や補助燃料12を用いて熱風発生炉9で発生させた高温ガス(熱風)10を、高温ガス送給ライン11を通し出口3側から入口2側へ向けて流通させることにより、外熱キルン炉1内の廃棄物6を加熱、乾燥させて熱分解し、発生した熱分解ガス6aを、出口3部の分離室7の上部に接続した熱分解ガス取出ライン14を通して下流の溶融炉15に送るようにし、一方、不燃物を含む熱分解残渣6bを、金属類6dを回収してから熱分解残渣ライン16により上記溶融炉15へ送り、更に燃焼させて溶融スラグ6cとして取り出すようにしてある。
【0006】
なお、17は外熱キルン炉1で用いた高温ガス10の燃焼排ガス10aを排出するための燃焼排ガスラインを示す。又、28は燃焼排ガスライン17に組み付けたファンであり、燃焼排ガス10aを熱風発生炉9へ循環させたり、余剰ガスを溶融炉15の排ガス出口部20へ送るようにしてある。更に、26は高温ガス送給ライン11に設けた温度制御器27からの指令で開閉制御される開閉制御弁を示す。
【0007】
上記熱分解ガス化溶融装置では、外熱キルン炉1での熱分解により生成された熱分解残渣6bは、分離室7の下部より一旦取り出して、アルミニウムや鉄等の金属類6dを資源化物として回収する必要があるが、そのために、外熱キルン炉1の加熱流路8に導入する高温ガス10の温度としては、アルミニウムの融点以下となるように、たとえば、550℃程度としてあり、廃棄物6の熱分解及び乾燥に供した後、350℃程度の燃焼排ガス10aとして排出され、一方、熱分解ガス6aは450℃程度として後工程へ送られるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記熱分解ガス化溶融装置の場合、外熱キルン炉1は高温ガス10のみによる間接加熱方式であって伝熱効率が悪いので、廃棄物6が保有する水分量が多い(低質ごみでは水分60%にも達する)ときには、熱分解反応が起る前提の乾燥処理に多くの熱量と時間が必要となることから、外熱キルン炉1のかなりの領域が乾燥領域として必要となり、外熱キルン炉1が長大化する問題がある。又、熱分解ガス6a中には多くの水分が含まれていて熱分解ガスの高カロリー化が図れず再利用が難しかった。
【0009】
そこで、本発明は、外部燃料を使用せず、余剰空気の投入や排ガス発生量を最小限に保ったままで、廃棄物の乾燥処理を短時間で行うことができるようにして、外熱キルン炉の小型化を図ると共に、より低カロリーごみに対応でき、更に熱分解ガスの高カロリー化を可能とすることができるようにしようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、外熱キルン炉内の廃棄物を、熱風発生炉で発生させた高温ガスを熱源として乾燥、熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を下流の溶融炉へ送って処理するようにしてある廃棄物熱分解ガス化溶融装置において、上記外熱キルン炉内での熱分解により生成された熱分解ガスを上記熔融炉へ送るようにする熱分解ガス取出ライン途中に集じん器を設けて、該集じん器の下流側の熱分解ガス取出ラインの途中から分岐させた熱分解ガスの回収ラインを上記熱風発生炉に導設し、集じん器を通過した後の熱分解ガスを熱風発生炉に供給して、該熱風発生炉で発生させた熱分解ガスの燃焼ガスを外熱キルン炉での間接加熱による乾燥、熱分解の熱源に使用するようにし、且つ上記外熱キルン炉の上流側に、該外熱キルン炉に供給する前の廃棄物を乾燥させるための通気乾燥機を設置し、該通気乾燥機に、上記外熱キルン炉で廃棄物の熱分解に供した後の燃焼排ガスを取り出す燃焼排ガスラインを接続して、該外熱キルン炉からの燃焼排ガスを通気乾燥機の乾燥熱源として使用できるようにした構成とし、更に、上記通気乾燥機の排気ラインを、熱風発生炉へ導いて乾燥排ガスを循環させるようにすると共に、該排気ラインから分岐させた排気ラインを溶融炉の排ガス出口部に導設して、乾燥排ガスの余剰分を溶融炉の排ガスに混入させるようにした構成とする。
【0011】
廃棄物は、外熱キルン炉の燃焼排ガスを熱源とする効率の高い直接接触方式の通気乾燥機で乾燥させられてから、外熱キルン炉に供給されて熱分解されるため、外熱キルン炉では、乾燥に要する領域を小さくすることができることにより、小型化を図ることができる。又、熱分解ガス中の水分が少なくなることから、高カロリーのガスを取り出すことができる。しかも、外部燃料を使用せず、系全体として空気量や排ガス量が増加しないシステムとなる。
【0012】
一方、通気乾燥機の排気ラインを、溶融炉の排ガス出口部に導設して、乾燥排ガスの余剰分を溶融炉の排ガスに混入させるようにした構成とすることにより、通気乾燥機から排出された多量の水分を含んだガスが溶融炉の排ガス出口部へ導かれて、1300℃以上の溶融排ガスに混合することで800℃以上に保持され臭気成分が分解される。また、従来のように全排ガスを溶融温度(1300℃以上)に昇温する必要がないため、より低カロリーごみでの運転が可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の一形態を示すもので、図2に示したと同様な構成において、外熱キルン炉1の上流側に、該外熱キルン炉1に供給する前の廃棄物6を乾燥させるための直接接触方式の通気乾燥機18を前処理装置として設置し、且つ該通気乾燥機18に、外熱キルン炉1の燃焼排ガスライン17を接続して、外熱キルン炉1での廃棄物6の熱分解に供した後の燃焼排ガス10aを通気乾燥機18の乾燥熱源として導けるようにし、更に、上記通気乾燥機18の排気ライン19を熱風発生炉9へ導いて乾燥排ガス10bを循環させるようにし、且つ排気ライン19から分岐させた排気ライン29を溶融炉15の排ガス出口部20に導設して、乾燥排ガス10bの余剰分を溶融炉15の排ガス21に混入して高温処理させられるようにする。
【0015】
又、上記外熱キルン炉1の分離室7と下流側の溶融炉15との間に接続された熱分解ガス取出ライン14の途中に、集じん器22を介在設置し、該集じん器22の下流側に位置する熱分解ガス取出ライン14の途中から回収ライン23を分岐させて、該回収ライン23を熱風発生炉9に導設し、集じん器22を通過した後の熱分解ガス6aを熱風発生炉9に供給できるようにし、更に、上記集じん器22と熱分解残渣ライン16との間に、集じん器22で捕集した熱分解残渣6bを熱分解残渣ライン16に戻すための戻しライン24を設ける。
【0016】
なお、25は通気乾燥機18の給じん機、26は高温ガス送給ライン11に設けた温度制御器27からの指令で開閉制御されるように回収ライン23中に設けた開閉制御弁を示す。
【0017】
上記構成としてある本発明の廃棄物熱分解ガス化溶融装置では、外熱キルン炉1で廃棄物6を加熱、乾燥して熱分解させる前に、通気乾燥機18で廃棄物6を乾燥させて50%以上の水分を除去し、乾燥後の廃棄物6を外熱キルン炉1に供給するようにさせる。
【0018】
上記の場合、熱風発生炉9で発生させた550℃の高温ガス10を、高温ガス送給ライン11を通し外熱キルン炉1の加熱流路8に流通させるようにして運転を行うと、運転中は、外熱キルン炉1での廃棄物6の熱分解に供した後の燃焼排ガス10aが350℃程度として排出されるため、この350℃程度の温度を保有する燃焼排ガス10aが通気乾燥機18の熱源として燃焼排ガスライン17を通り通気乾燥機18に供給される。
【0019】
上記通気乾燥機18では、供給された燃焼排ガス10aによって直接接触加熱により廃棄物6が乾燥させられることになる。この際、乾燥に供した350℃の燃焼排ガス10aは約150℃の乾燥排ガス10bとして排気ライン19より排気される。続いて、通気乾燥機18で乾燥させられた廃棄物6が外熱キルン炉1に供給されることになるため、外熱キルン炉1では、短時間で廃棄物6を熱分解することができる。したがって、外熱キルン炉1の乾燥領域をこれまでよりも短くすることができるので、外熱キルン炉1を全体的に小型化することができる。又、多くの水分が除去された廃棄物6を熱分解するので、熱分解ガス6a中の水分量も少なくなり、高カロリーのガスを取り出すことができるようになる。更に、この高カロリー化された熱分解ガス6aが熱分解ガス取出ライン14から回収ライン23を経て熱風発生炉9に供給されるため、熱分解ガス6aを外熱キルン炉1の熱源として有効に使用することが可能となる。
【0020】
一方、上記通気乾燥機18で廃棄物6の乾燥に供した後の乾燥排ガス10bは水分の他に臭気成分を含んでいるが、排気ライン19,29を通り溶融炉15の排ガス出口部20に導かれるため、ここで、1300℃前後の溶融排ガス21に混入されることにより、高温分解させられて800℃以上のガスとして排出される。
【0021】
上述したように、本発明では、廃棄物6を、外熱キルン炉1で熱分解する前処理として通気乾燥機18で乾燥させるようにするので、水分の多い低質の廃棄物6でも効率よくガス化することができる。又、通気乾燥機18の熱源としては外熱キルン炉1の燃焼排ガス10aを利用し、外熱キルン炉1の熱源としては熱分解ガス6aを利用しているので、乾燥のために別の熱源を必要としない点においても有利である。更に、全燃焼ガスを1300℃以上の高温にする必要がないため従来に比べるとより低カロリーごみに対応できるようになる。
【0022】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、外熱キルン炉内の廃棄物を、熱風発生炉で発生させた高温ガスを熱源として乾燥、熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を下流の溶融炉へ送って処理するようにしてある廃棄物熱分解ガス化溶融装置において、上記外熱キルン炉内での熱分解により生成された熱分解ガスを上記熔融炉へ送るようにする熱分解ガス取出ライン途中に集じん器を設けて、該集じん器の下流側の熱分解ガス取出ラインの途中から分岐させた熱分解ガスの回収ラインを上記熱風発生炉に導設し、集じん器を通過した後の熱分解ガスを熱風発生炉に供給して、該熱風発生炉で発生させた熱分解ガスの燃焼ガスを外熱キルン炉での間接加熱による乾燥、熱分解の熱源に使用するようにし、且つ上記外熱キルン炉の上流側に、該外熱キルン炉に供給する前の廃棄物を乾燥させるための通気乾燥機を設置し、該通気乾燥機に、上記外熱キルン炉で廃棄物の熱分解に供した後の燃焼排ガスを取り出す燃焼排ガスラインを接続して、該外熱キルン炉からの燃焼排ガスを通気乾燥機の乾燥熱源として使用できるようにした構成とし、更に、上記通気乾燥機の排気ラインを、熱風発生炉へ導いて乾燥排ガスを循環させるようにすると共に、該排気ラインから分岐させた排気ラインを溶融炉の排ガス出口部に導設して、乾燥排ガスの余剰分を溶融炉の排ガスに混入させるようにした構成としてあるので、次の如き優れた効果を発揮する。
(1) 外熱キルン炉での廃棄物の熱分解ガス化の前処理として、廃棄物を通気乾燥機で乾燥させることができるので、水分の多い廃棄物であっても対処でき、外熱キルン炉で廃棄物を短時間で熱分解ガス化することができることにより、外熱キルン炉の小型化を図ることができる。
(2) 水分の少ない状態の廃棄物を熱分解ガス化するので、熱分解ガスの高カロリー化が可能となり、これにより、熱分解ガスを外熱キルン炉の熱源として使用することができる。
(3) 通気乾燥機の熱源に、外熱キルン炉加熱用の燃焼排ガスを使用することから、前処理としての乾燥のために別途熱源が不要であり、全体として空気比1.3以下の運転が保持できるためエネルギーの効率利用の面でも有利である。
(4) 通気乾燥機の排気ラインを、溶融炉の排ガス出口部に導設した構成とすることにより、通気乾燥機の乾燥排ガスが1300℃以上の溶融排ガスに混合することで800℃以上に保持され、乾燥排ガス中に含まれる臭気成分を分解することができる。
(5) 燃焼ガス全体を1300℃以上に上げずに運転できることになるため、より低カロリーごみへの対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の廃棄物熱分解ガス化溶融装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】廃棄物熱分解ガス化溶融装置の一例を示す概要図である。
【符号の説明】
1 外熱キルン炉
6 廃棄物
6a 熱分解ガス
6b 熱分解残渣
6c 溶融スラグ
8 加熱流路
9 熱風発生炉
10 高温ガス
10a 燃焼排ガス
17 燃焼排ガスライン
18 通気乾燥機
19 排気ライン
20 排ガス出口部
29 排気ライン
Claims (2)
- 外熱キルン炉内の廃棄物を、熱風発生炉で発生させた高温ガスを熱源として乾燥、熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を下流の溶融炉へ送って処理するようにしてある廃棄物熱分解ガス化溶融装置において、上記外熱キルン炉内での熱分解により生成された熱分解ガスを上記熔融炉へ送るようにする熱分解ガス取出ライン途中に集じん器を設けて、該集じん器の下流側の熱分解ガス取出ラインの途中から分岐させた熱分解ガスの回収ラインを上記熱風発生炉に導設し、集じん器を通過した後の熱分解ガスを熱風発生炉に供給して、該熱風発生炉で発生させた熱分解ガスの燃焼ガスを外熱キルン炉での間接加熱による乾燥、熱分解の熱源に使用するようにし、且つ上記外熱キルン炉の上流側に、該外熱キルン炉に供給する前の廃棄物を乾燥させるための通気乾燥機を設置し、該通気乾燥機に、上記外熱キルン炉で廃棄物の熱分解に供した後の燃焼排ガスを取り出す燃焼排ガスラインを接続して、該外熱キルン炉からの燃焼排ガスを通気乾燥機の乾燥熱源として使用できるようにした構成を有することを特徴とする廃棄物熱分解ガス化溶融装置。
- 外熱キルン炉内の廃棄物を、熱風発生炉で発生させた高温ガスを熱源として乾燥、熱分解し、熱分解ガス及び熱分解残渣を下流の溶融炉へ送って処理するようにしてある廃棄物熱分解ガス化溶融装置において、上記外熱キルン炉内での熱分解により生成された熱分解ガスを上記熔融炉へ送るようにする熱分解ガス取出ライン途中に集じん器を設けて、該集じん器の下流側の熱分解ガス取出ラインの途中から分岐させた熱分解ガスの回収ラインを上記熱風発生炉に導設し、集じん器を通過した後の熱分解ガスを熱風発生炉に供給して、該熱風発生炉で発生させた熱分解ガスの燃焼ガスを外熱キルン炉での間接加熱による乾燥、熱分解の熱源に使用するようにし、且つ上記外熱キルン炉の上流側に、該外熱キルン炉に供給する前の廃棄物を乾燥させるための通気乾燥機を設置し、該通気乾燥機に、上記外熱キルン炉で廃棄物の熱分解に供した後の燃焼排ガスを取り出す燃焼排ガスラインを接続して、該外熱キルン炉からの燃焼排ガスを通気乾燥機の乾燥熱源として使用できるようにし、更に、上記通気乾燥機の排気ラインを、熱風発生炉へ導いて乾燥排ガスを循環させるようにすると共に、該排気ラインから分岐させた排気ラインを溶融炉の排ガス出口部に導設して、乾燥排ガスの余剰分を溶融炉の排ガスに混入させるようにした構成を有することを特徴とする廃棄物熱分解ガス化溶融装置。
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