JPH111532A - 高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂 - Google Patents

高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂

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JPH111532A
JPH111532A JP10490898A JP10490898A JPH111532A JP H111532 A JPH111532 A JP H111532A JP 10490898 A JP10490898 A JP 10490898A JP 10490898 A JP10490898 A JP 10490898A JP H111532 A JPH111532 A JP H111532A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 幅広い用途に好適な取り扱い性、耐熱特
性、硬化性、電気特性に優れ、特性バランスの良い高分
子量ノボラック型フェノール樹脂を提供する。 【解決手段】 フェノール類とアルデヒド類を適切なモ
ル比で付加縮合反応させて得られるノボラック型フェノ
ール樹脂において、重量平均分子量が50,000以上
であり、全メチレン結合の60%以上がオルソ−オルソ
位での結合であり、イオン性不純物の極めて少ない高分
子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はノボラック型フェノ
ール樹脂に関し、特にイオン性不純物が極めて少なく、
高度にオルソ−オルソ結合した高分子量の樹脂であり、
且つ溶剤溶解性があることから、取り扱い性、硬化性、
電気特性、耐熱特性に優れ、成形材料、エポキシ樹脂硬
化剤、フォトレジスト用樹脂、炭素材ベース樹脂、熱可
塑性樹脂改質剤、ゴム配合用等の幅広い分野に好適なノ
ボラック型フェノール樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来ノボラック型フェノール樹脂として
は、フェノール類とアルデヒド類を公知の有機酸及び/
又は無機酸を触媒に用い、常圧100℃で数時間付加縮
合反応し、その後脱水及び未反応モノマー除去を行う方
法により得られる、メチレン基結合位置がオルソ位とパ
ラ位が同程度のランダムノボラックと呼ばれているタイ
プと、フェノール類とアルデヒド類を酢酸亜鉛、酢酸
鉛、ナフテン酸亜鉛等の金属塩触媒により弱酸性下で付
加縮合反応させた後、直接あるいは更に酸触媒を添加し
脱水しながら縮合反応を進め、更に必要により未反応物
を除去する工程により得られるオルソ位でのメチレン基
結合の多いハイオルソノボラック(例えば、特開昭55
−90523号公報、特開昭59−80418号公報、
特開昭62−230815号公報)が知られている。し
かしながらランダムノボラックでは例えばヘキサメチレ
ンテトラミンとの硬化速度が遅いと云った問題があり、
金属塩触媒によって得られたハイオルソノボラックでは
金属イオンが樹脂中に含有し、その硬化物は耐熱性、耐
水性、電気絶縁性などの特性が劣り、特にイオン性不純
物の混入を嫌う電気電子分野向けの用途には使用できな
いといった問題があった。
【0003】近年各用途において更なる耐熱特性の向
上、精密化、取り扱い作業性の改善と言った要望が出さ
れている中で、フェノール樹脂では高分子化、均一構造
化、高純度化が盛んに研究されてきている。しかしなが
らフェノール類として3官能性フェノール類を用いた場
合、上記のような製法によって得られるノボラック型フ
ェノール樹脂の重量平均分子量は、最大でも15,00
0程度のものしか存在しなかった。最近多量のキシレン
の様な非極性溶媒中で3官能性フェノール類とアルデヒ
ド類を長時間反応させることで得られるハイオルソノボ
ラック(例えば、特開平6−345837号公報等)の
報告もあるが、これらの樹脂においても得られる重量平
均分子量は3,000〜40,000程度であり、充分
な高分子量樹脂とは言えない。
【0004】またその他の3官能性フェノール類を用い
た高分子量樹脂としては大過剰の塩酸とホルムアルデヒ
ド中にフェノール類を添加して得られる樹脂(例えば、
特開昭57−177011号公報)が知られているが、
本樹脂はメチロール基を有しており、厳密な意味でのノ
ボラック型フェノール樹脂ではなく、また溶剤不溶解の
部分が一部存在若しくは完全に不溶解であり非常に用途
が限られている。その他高分子量のノボラック型フェノ
ール樹脂としてはフェノール類として2官能性フェノー
ル類、例えばオルソクレゾールやパラクレゾール、パラ
ノニルフェノール、パラターシャリブチルフェノール等
を用いた例(例えば、楢崎:工化、66、392(19
63)や特開昭50−136393号公報、特開昭56
−92908号公報、特開昭56−103215号公
報、特開昭57−187311号公報、特開昭60−2
60611号公報、特開昭61−12714号公報等)
は数多く報告されているが、2官能性フェノールを用い
た樹脂ではその後完全硬化させることが出来無いと云っ
た問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように現在のと
ころ幅広い用途での要求、例えば全ての用途において取
り扱いが容易なことは当然であるが、エポキシ樹脂硬化
剤用途ではイオン性不純物が少なく且つその硬化物の耐
熱性が高いもの、また成形材料用途としては硬化性に優
れ且つ耐熱性、電気特性に優れたもの、炭素材用途では
炭化後の歩留まりが高く且つ均一構造を有すること、ゴ
ム配合用途ではゴムとの相溶性を有し且つゴム硬度を格
段に向上さること等に対してバランス良く対応できるノ
ボラック型フェノール樹脂は存在していない。本発明の
目的は、電気・電子分野向け成形材料用、エポキシ樹脂
の硬化剤用、積層板用、炭素材ベースレジン用、ゴム配
合用等幅広い用途に好適な、その硬化物は耐水性、耐熱
特性、電気絶縁性に優れた樹脂として、従来のノボラッ
ク型フェノール樹脂では同時に成り立たなかった、高分
子化、溶剤可溶化、高純度化、均一構造化のいずれも満
足出来る樹脂を提供する事にある。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明は、高分子量ノボ
ラック型フェノール樹脂に関し、特に3官能性フェノー
ル類とアルデヒド類の縮合物であって、ポリスチレンを
基準物質としたときの重量平均分子量が50,000以
上である溶剤溶解可能な高分子量ノボラックであり、且
つフェノール性水酸基に対してオルソ−オルソ位でのメ
チレン結合が全メチレン結合の55%以上であり、抽出
水電気伝導度10μS/cm以下であることを特徴とす
る高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂に関
するものである。更に、好ましくは、重量平均分子量が
100,000以上のものであり、分子量1,000,
000以上の部分が1重量%未満のものでであり、3官
能性フェノール類がフェノール及び/又はメタクレゾー
ルである高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹
脂に関するものである。
【0007】本発明における3官能性フェノール類とし
ては、フェノール、メタクレゾール、3,5−ジメチル
フェノールなどフェノール性水酸基を有し、且つフェノ
ール性水酸基に対して少なくともメタ位以外には置換基
を持たない化合物の1種又は2種以上を用いる。置換基
として炭素数の多いアルキル基、アリール基等の入った
3官能性フェノール樹脂を用いても何ら問題はないが、
硬化性、均一構造性等の面からフェノール及び又はメタ
クレゾールが好ましい。すなわち大きな置換基を持つフ
ェノール類では分子量は大きくなるものの、同分子量に
おける核対数は小さいものであり、例えば水酸基当量数
の低下につながったり、大きな置換基によりその後の3
次元硬化がしにくくなるものである。
【0008】本発明の樹脂の分子量および結合様式の特
徴としては、ポリスチレンを標準物質としたときの重量
平均分子量が50,000以上、好ましくは100,0
00以上であり且つ分子量1,000,000以上の部
分を1重量%未満としたものであり、全結合メチレン基
の55%以上、硬化性を重要視する場合は、好ましくは
60%以上がオルソーオルソ位で結合していることであ
る。本発明のフェノール樹脂は、従来のノボラック型フ
ェノール樹脂にない高分子量でありながらアセトン、メ
チルエチルケトンと言ったケトン類や、テトラヒドロフ
ラン、N,N−ジメチルホルムアミドと言った溶剤類に
可溶であり、取り扱い性に優れたものとする事が出来、
反応性に富んだパラ位が空いていることにより、例えば
ヘキサメチレンテトラミンを添加すれば非常に短時間に
硬化物が得られる。さらにまた、エポキシ樹脂の硬化剤
として用いれば非常に高いガラス転移点を持った硬化物
が得られる。特に、最高分子量を5,000,000以
下とすることにより、不溶解部分が全くなく、溶剤溶解
性が極めて良好である。
【0009】また本発明のフェノール樹脂のもう一つの
特徴であるイオン性不純物が少ないことより、電気絶縁
特性、耐吸湿性の面でも優れ、電気電子分野を始め幅広
い用途に用いることが可能となった。本発明では、フェ
ノール樹脂中の有機若しくは無機イオン性物質の含有量
を示す尺度として、純水中に粉末化したフェノール樹脂
を加え加熱加圧処理した後、樹脂を分離し、抽出水の電
気伝導度を測定した。この抽出水電気伝導度の値が大き
いほど樹脂中に含まれるイオン性不純物が多いことを示
している。この場合、吸湿しやすくまた吸湿した後の電
気絶縁性の低下や寸法安定性の低下を招く。本発明のフ
ェノール樹脂は、抽出水電気伝導度を10μS/cm以
下と規定することにより、特にイオン性物質の含有量の
少ないことが厳しく要求される電気電子分野用途でも高
い信頼性を得ることが出来、幅広い用途への適用が可能
となった。
【0010】本発明の未反応モノマーの含有量は、特に
限定するものではないが、一般的には10%以下、好ま
しくは5%以下、更に好ましくは1%以下である。未反
応モノマーの含有量が多いときは、樹脂の取り扱い時に
おける臭気等の環境衛生面はもちろんのこと、硬化物と
したときの機械的強度の低下、耐湿性の低下、寸法安定
性の低下、あるいは炭化したときの炭素歩留まりの低下
等の問題が生じる恐れがあるので、できる限り小さいこ
とが好ましい。本発明の樹脂は構造的には高度にオルソ
−オルソ結合しており、これを炭化して得られる炭化物
はグラファイト構造に近く、しかしながら完全なる結晶
構造ではないことから、例えばリチウムイオン電池の負
極材としてこの炭化物を用いると大変バランスの取れた
特性を得ることが可能となった。
【0011】本発明のフェノール樹脂の製造方法として
は、通常3官能性フェノール類とアルデヒド類を触媒を
用いずに160〜220℃で付加縮合反応させ、更に2
00〜250℃で脱水しながら高分子化反応を進めて得
られるものであり、必要によりこの樹脂を適切な溶媒に
溶解後、純水を添加して析出させても得ることができ
る。
【0012】本発明の樹脂の好適な製造方法の例を更に
詳細に説明する。3官能性フェノール類とアルデヒド類
を耐圧反応器内に同時に入れ、160℃〜220℃で反
応してもよいが、好ましくは、まず3官能性フェノール
類を耐圧反応器内で160℃以上、好ましくは180〜
200℃まで加熱し、且つ窒素ガス等の公知の不活性ガ
スにより0.5MPa以上、好ましくは0.7MPa以
上に加圧する。次いで、アルデヒド類を逐次反応器内へ
添加してゆくが、好ましくは反応器下部より添加する。
フェノール類に対するアルデヒド類のモル比は、通常
0.50〜0.85の範囲するが、好ましくは0.7〜
0.8、更に好ましくは0.73〜0.80である。モ
ル比0.50以下では後述する高分子化工程においても
充分な高分子量域が得られず歩留まりが低下し、またモ
ル比0.85以上では高分子化工程での分子量コントロ
ールがしにくく、ゲル化若しくは部分的なゲル化物の生
成が促進される。モル比0.7〜0.8では、重量平均
分子量100,000以上のものが容易に得られる。本
発明において、分子量1,000,000以上の部分が
1重量%以下のノボラック型フェノール樹脂は、比較的
低モル比(F/P)0.5〜0.73にて高温高圧下で
付加縮合反応し、脱水しながら高分子化反応するときの
温度を200〜220℃で行い、生成した樹脂から溶媒
にて低分子量成分を分離除去して得られる。この時溶解
溶媒としてアセトン等を用い、分離のため添加する溶媒
としてトルエン等を用いるとよい。
【0013】本発明に用いるアルデヒド類としては、ホ
ルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメ
チレンなどアルデヒド基を有するもの1種又は2種以上
であるが、好適なものとしては1つは公知のイオン交換
樹脂等で処理し蟻酸を200PPM以下としたホルマリ
ンであり、もう1つはパラホルムアルデヒドである。ホ
ルマリンはホルムアルデヒド水溶液のことであるが、濃
度37%以上のものの使用が好ましく、更に好ましくは
濃度40%以上である。ホルムアルデヒドはカニッツァ
ーロ反応によりホルマリン生産時及び保管時に蟻酸を生
成しやすいが、この蟻酸は生成樹脂中に分解しきれない
ものがイオン性不純物として含有されるばかりではな
く、フェノール類とアルデヒド類の付加縮合反応時に酸
触媒として働いてしまい、パラ位のメチレン結合を促進
してしまうため、好ましくは200PPM以下、更に好
ましくは50PPM以下まで除去しておく必要がある。
パラホルムアルデヒドとしては純度80%以上のものを
使用するのが好ましい。純度が低い場合オルソ位のメチ
レン結合度が低下し好ましくない。また一般にパラホル
ムアルデヒドは固形物であり、フェノール類と同時に添
加する場合に適しているが、逐次添加する場合、パラホ
ルムアルデヒドとフェノール類の一部を事前に混合し溶
解させるか、スラリー状にしておくことが特に好まし
い。
【0014】以下、アルデヒド類を逐次添加する場合を
説明する。パラホルムアルデヒドとフェノール類の混合
比は特に限定するものではないが、公知の高圧ポンプま
たはスラリーポンプで扱える流動性を確保できる比率が
好ましい。またこの場合、パラホルムアルデヒドの混合
に要したフェノール類の量は、反応器内で加熱している
フェノール類の一部と見なしモル比等の算出を行う。ア
ルデヒド類の逐次添加に当たっては、公知のプランジャ
ータイプ及びダイヤフラムタイプ等の高圧ポンプや回転
容積型の一軸偏心ネジポンプ(例えば兵神装備株式会社
製モーノポンプ等)及びチューブポンプ等のスラリーポ
ンプなどを用い、好ましくは反応器下部より加熱フェノ
ール類中に定量的に供給する。この時の添加速度は、反
応温度160〜200℃を保ち充分な付加縮合反応をさ
せ且つ急激な反応による過度の反応熱発生や過度の圧力
上昇を起こさない範囲とすることが重要であり、添加量
にもよるが、通常添加時間が15分〜2時間となるよう
に設定することが好ましい。
【0015】アルデヒド類の添加位置は一般的な反応器
上部からの添加もしくはフェノール類液面上の添加でも
よい程での臭気等の問題や、収率、得られる分子量の安
定性といった面で優れている反応器下部からの添加が特
に好ましい。反応器下部より注入添加されたアルデヒド
類は、直ちに反応すると同時に一部は気化し反応液面上
部に達するまでの間で付加縮合反応を完結するのに対
し、上部からの添加では高温状態のフェノール類の液面
で蒸気圧の低いホルムアルデヒドが気化してしまい、反
応器気相部に滞留し充分反応できない、又は気液界面で
の部分的な反応促進が起こり分子量コントロールが困難
となる。
【0016】本発明に使用する反応器は一般的な圧力反
応器であるが、アルデヒド類の反応器下部添加に有利な
上下に設置した2段の同径のタービン型攪拌羽根を有し
ているとより好ましい。反応器下部より添加したアルデ
ヒド類は直ちに反応するが、一部は気化し液中を上昇す
る。この時同径タービン型攪拌羽根を2段用いることに
より、上下の攪拌羽根の中間位置でそれぞれの攪拌流が
ぶつかり滞留ゾーンが出来ることにより、気化アルデヒ
ドの上昇を妨げ反応を促進し、収率も良くなり気相部の
アルデヒドガス量も低下し、分子量のコントロール上
も、臭気問題上も好適である。
【0017】このようにして、フェノール類にアルデヒ
ド類を添加し付加縮合反応したものは、アルデヒド類添
加終了後更に数分〜数時間温度と圧力を保持し自己発熱
しないことを確認後、200〜250℃迄昇温する。こ
の温度範囲を保持しながら反応器に付設した熱交換器経
由で降圧しながらフラッシュにより脱水し高分子化反応
を進め目標の樹脂を得、反応器より取り出す。この時脱
水及び一部未反応モノマーの除去に伴い、反応液は急激
に増粘し、反応温度が200℃以下になると反応器内で
固化する危険性がある。また250℃以上とすると高分
子化反応が制御できなくなりゲル化に至る。以上の工程
は同一の反応器内で行っても何ら問題はないが、粘度変
化による攪拌効率の低下や、伝熱効率の低下を防止する
上で、アルデヒド類の添加が終了し自己発熱しないこと
を確認した時点で、反応器下部より静止型ミキサー反応
器に供給し200〜250℃迄昇温しながら次の反応器
又はフラッシュタンク等のフッラッシュ容器に移送し、
脱水しながら高分子化反応を進める方法が好ましい。
【0018】本発明に用いる静止型ミキサーは、配管内
部に捻り羽根(図2)又は折り返し羽根(図3)等の混
合羽根を有していて、内部を流体が通過するときに流体
が繰り返し分割混合されるものである。またこれら静止
型ミキサーは二重管となって外部から加熱冷却できれば
好ましく、またさらに加熱冷却効果を上げるため、静止
型ミキサーを組み合わせ多管式熱交換器のチューブに相
当するものとして使用した多管式熱交換器型ミキサーで
あってもよい。静止型ミキサー及び熱交換器型ミキサー
の型式は特に限定されるものではないが、混合効果から
見て羽根が2枚以上のものが好ましく、必要により組み
合わせて使っても何ら問題はない。静止型ミキサー及び
/又は多管式熱交換器型ミキサーを含めた反応配管の径
及び長さは目的とする処理量により変化するものである
が、好ましくは反応最終部の静止型ミキサー出口におけ
る反応液流速が、0.05m/秒以上を確保できる配管
径とする。
【0019】反応最終部の静止型ミキサー出口における
反応液流速は全体流速を表したものであるが、流速が遅
い場合混合効果と伝熱効果が低下し、特に高分子量の樹
脂を製造する場合0.05m/秒以下では反応が不均一
になり、最悪の場合部分的に高分子化しゲル化物を生じ
る。また伝熱面に不溶不融のスケールを生じやすい。静
止型ミキサー出口で圧力をコントロールし、反応温度を
200〜250℃に保った反応液を更にフラッシュ容器
に供給し、常圧に戻すとともに水分の除去を連続的に行
う。更に必要により減圧下で加熱し又は公知の薄膜蒸発
器等を用い未反応モノマーを除去し、重量平均分子量5
0,000以上で、イオン性不純物の極めて少ないハイ
オルソタイプのノボラック型フェノール樹脂を得る。
【0020】この樹脂を更に溶媒に完全に溶解させた
後、攪拌状態で純水又は前記溶媒よりノボラック型フェ
ノール樹脂に対する溶解度の低い有機溶媒(以下、貧溶
媒という)を添加し樹脂を析出させ取り出し、溶媒を除
去することにより重量平均分子量100,000以上の
ノボラック型フェノール樹脂を得ることができる。この
時用いる溶媒としては、水との溶解性が高いアセトン、
メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノ
ール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、N,N−
ジメチルホルムアミドや水との溶解性の低いトルエン、
キシレン、ヘキサンなどの有機溶媒の内、1種又は2種
以上の混合物が好ましく、ノボラック型フェノール樹脂
100重量部に対して100〜1000重量部で溶解さ
せる。溶媒が100重量部以下では溶解工程が困難であ
りまた得られた溶液の粘度が高く、次工程での純水また
は貧溶媒の添加混合が困難となり、また1000重量部
以上では歩留まりが低下する。
【0021】次いで溶液中に純水または貧溶媒を添加し
てゆくが、溶解に使用した溶媒量の1/10ないし30
倍量を攪拌状態下で添加し樹脂を析出させる。添加する
純水又は貧溶媒量が溶解に使用した溶媒量の1/10未
満では充分樹脂が析出せず、また溶媒の30倍量を越え
て添加すると目的とする低分子反応物の除去が出来なく
なる。ここで用いる純水としては電気伝導度として1μ
S/cm以下のものが好ましい。純水又は前記貧溶剤添
加後の溶液はそのまま静置すれば2層若しくは3層に分
離し、この状態で目的とする最下層部を残して除去して
も良く、また懸濁状態のまま公知の遠心分離器やフィル
タープレス装置等の濾過装置を用いて分離しても良い。
この操作は1回でも良く2回以上行っても何ら問題はな
い。この後減圧乾燥機で溶媒を除去しても良く、又再度
加熱し溶融させて溶媒を蒸発させるか、溶融後公知の薄
膜蒸発機を用いて脱溶媒し目的の樹脂を得る。
【0022】さらに本発明のフェノール樹脂の製造工程
の具体例を図1により説明するが、かかる説明により本
発明が限定されるものではない。図1は本発明のフェノ
ール樹脂の製造工程に使用する設備及びフローを示す概
略図である。フェノール類を上下2段のタービン型攪拌
羽根(1)付き高圧反応器(2)に入れた後、160℃
以上となるまで加温し、窒素ガス等の不活性ガスを加圧
ライン(3)により0.5MPa以上まで加圧する。所
定の温度圧力到達後、目的とする分子量とするのに必要
なアルデヒド量を高圧定量ポンプ(4)により反応器下
部の注入ノズル(5)から注入添加する。注入されたア
ルデヒド類は液面まで上昇する間にフェノール類と反応
温度160〜200℃以上で保持された状態で付加縮合
反応が行われる。アルデヒド類の添加終了後、自己発熱
しないことを確認後、反応器下部の取り出し弁(6)を
徐々に開け静止型ミキサー(7,8,9)に供給し熱媒
体にて加温しながらフラッシュ容器に供給する。この時
圧力調整弁(10)で圧力をコントロールしながら静止
型ミキサー内の反応液温度を200〜250℃に保ち、
高分子化反応を進める。
【0023】樹脂中に含まれる水分はフラッシュ容器
(11)の入口で直ちに蒸発し、熱交換器(12)によ
り凝縮し系外に除去され、脱水されたノボラック型フェ
ノール樹脂のみがフラッシュ容器(11)内に溜まる
が、この樹脂が固化しないようにフラッシュ容器も加温
しておく。この後更にフラッシュ容器(11)内を減圧
し、更に加熱し未反応モノマーを除去し、容器より取り
出し冷却固化することにより高分子量でイオン性不純物
の極めて少ない固形のハイオルソタイプのノボラック型
フェノール樹脂が得られる。
【0024】
【実施例】以下本発明を実施例、比較例を用いて具体的
に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例によって
限定されるものではない。なお、文中に記載されている
「%」は、全て「重量%」を示す。
【0025】《実施例1》フェノール22.0Kgを熱
交換器、加熱装置及び同径の2段タービン型攪拌羽根を
有した容量50Lの高圧反応器内に入れ、180℃まで
加熱し、窒素ガスにて0.7MPa迄加圧した後、ダイ
アフラム式高圧定量ポンプにて予めイオン交換樹脂処理
により蟻酸含有量をを50PPMまで低減した40%ホ
ルマリン13.1Kgを60分間掛けて反応器下部より
逐次添加し付加縮合反応をさせた。この間の反応温度が
180〜200℃となるように反応器のジャケット部の
温度及び添加速度を調整した。添加終了後5分間その温
度を保ち自己発熱が起こらないことを確認後、更に22
0〜230℃を保つように加熱しながら、熱交換器経由
で30分間掛けて常圧に戻しながら脱水反応を行った。
更にこの後1.3KPaまで減圧し30分間未反応フェ
ノールの除去を行い、冷却バット上に取り出し固形のノ
ボラック型フェノール樹脂20.0Kgを得た。得られ
た樹脂の特性については表1に示す。またゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(以下、GPCと称す)に
より測定した分子量分布チャートを図4に示す。
【0026】《実施例2》反応器内にフェノール20.
0Kgを入れ、アルデヒド類として88%パラホルムア
ルデヒド8.1Kgを使用し、更にこのパラホルムアル
デヒドは8.0Kgのフェノールと事前に混合し、懸濁
状態液となったものをプランジャー式高圧定量ポンプに
て反応器下部より供給することと減圧での未反応フェノ
ール除去を行わない事以外は、すべて実施例1と同様の
方法でノボラック型フェノール樹脂27.0Kgを得
た。得られた樹脂の特性については表1に示す。またG
PCでの分子量分布チャートを図5に示す。
【0027】《実施例3》実施例2で得られたノボラッ
ク型フェノール樹脂20.0Kgをアセトン50.0K
gで溶解後、液温30℃とした中へ純水10.0Kgを
10分間掛けて添加し5分混合後、濾布を用いて濾過
し、更に残差を減圧乾燥機で2時間処理し溶媒を除去
し、固形のノボラック型フェノール樹脂12.5Kgを
得た。得られた樹脂の特性については表1に示す。また
GPCでの分子量分布チャートを図6に示す。
【0028】《実施例4》反応器内にフェノール類とし
てメタクレゾール20.0Kgを入れ、88%パラホル
ムアルデヒド7.1Kgと10.0Kgのメタクレゾー
ルを混合したものを反応器下部より供給すること以外
は、すべて実施例1と同様の方法でノボラック型クレゾ
ール樹脂30.0Kgを得た。得られた樹脂の特性につ
いては表1に示す。またGPCでの分子量分布チャート
を図7に示す。
【0029】《実施例5》実施例4で得られたノボラッ
ク型クレゾール樹脂20.0Kgをアセトン40.0K
g、テトラヒドロフラン10.0Kgの混合溶媒に溶解
した以外は実施例3と同様な方法で固形のノボラック型
クレゾール樹脂12.0Kgを得た。
【0030】《実施例6》アルデヒド類の添加終了まで
は実施例1と同様に行い、自己発熱がないことを確認
後、内部に捻り羽根を有した内径10mm全長1500
0mmの二重管型の第一次静止型ミキサーに供給し、次
いで反応液は内部に捻り羽根を有した内径8mm全長1
860mmの静止型ミキサーを7本組み合わせた多管式
熱交換器型ミキサーを経由させ、更に第一次静止型ミキ
サーと同じ構造の第二次静止型ミキサー、第三次静止型
ミキサー内で付加縮合反応をさせた。この間の反応温度
が200〜220℃となるように圧力調整及び静止型ミ
キサー及び多管式熱交換器型ミキサーの加熱調整を行っ
た。反応液はフラッシュ容器に連続的に供給し脱水し
た。更にこの後フラッシュ容器を1.3KPaまで減圧
し30分間未反応フェノールの除去を行い、冷却バット
上に取り出し固形のノボラック型フェノール樹脂18.
0Kgを得た。この条件における静止型ミキサー内通過
による反応時間は2分18秒、最終ミキサー出口の反応
液流速は0.13m/秒であった。得られた樹脂の特性
については表1に示す。
【0031】《実施例7》反応器内にフェノール類とし
てメタクレゾール20.0Kgを入れ、88%パラホル
ムアルデヒド7.1Kgと10.0Kgのメタクレゾー
ルを混合したものを反応器下部より供給すること以外
は、すべて実施例6と同様の方法でノボラック型クレゾ
ール樹脂27.0Kgを得た。得られた樹脂の特性につ
いては表1に示す。
【0032】《実施例8》40%ホルマリンを反応器上
部より液面に添加させる方法以外は実施例1と同様の方
法で実施し、ノボラック型フェノール樹脂18.0Kg
を得た。得られた樹脂の特性については表1に示す。
【0033】《比較例1》実施例1で使用した反応器に
フェノール22.0Kgと代表的なノボラック化触媒で
ある蓚酸0.22Kgを入れ常圧で100℃となるまで
加熱した後、40%ホルマリン13.1Kgを90分掛
け徐添した後、100℃を保ち60分間反応を続行し
た。更にこの樹脂を常圧で130℃となるまで加熱しな
がら脱水した後、1.3KPaまで減圧し反応液温度1
80℃となるまで未反応フェノールの除去を行い、冷却
バットに取り出し21.0Kgのノボラック型フェノー
ル樹脂を得た。得られた樹脂の特性については表1に示
す。
【0034】《比較例2》40%ホルマリンの量を1
4.7Kgとした以外は、すべて比較例1と同様の方法
でノボラック型フェノール樹脂23.0Kgを得た。得
られた樹脂の特性については表1に示す。またGPCで
の分子量分布チャートを図8に示す。
【0035】《比較例3》実施例1で使用した反応器
に、フェノール22.0Kgと88%パラホルムアルデ
ヒド4.8Kg及びハイオルソノボラック化触媒として
2価金属塩の代表である酢酸亜鉛0.22Kgを入れ、
常圧で100℃となるまで加熱し、100℃を保ち3時
間反応を継続した後、一旦90℃まで冷却しここに縮合
反応促進触媒として蓚酸0.11Kgと水0.33Kg
を混合したものを添加し、30分混合後再度100℃ま
で昇温し1時間反応を行った。更に常圧で130℃とな
るまで脱水した後、1.3KPaまで減圧し反応液温度
が180℃となるまで未反応フェノール除去を行い、冷
却バットに取り出し20.0Kgのノボラック型フェノ
ール樹脂を得た。得られた樹脂の特性については表1に
示す。
【0036】《比較例4》メタクレゾール22Kgと4
0%ホルマリン11.5K及び蓚酸0.22Kgを使用
した以外は、比較例1と同様の方法でノボラック型クレ
ゾール樹脂20.0Kgを得た。得られた樹脂特性につ
いては表1に示す。
【0037】《比較例5》ホルマリンを15.6Kgと
し添加後の100℃での反応時間を5時間とした以外は
比較例1と同様の反応を実施したところ、未反応フェノ
ール除去工程で、ゲル化してしまった。
【0038】《比較例6》180〜200℃でのホルマ
リン添加終了後自己発熱がないことを確認し、直ちに1
50℃迄冷却後脱水工程に入った以外は、実施例1と同
様の方法で固形のノボラック型フェノール樹脂18.0
Kgを得た。得られた樹脂特性は表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】《実施例10》実施例1で得られたノボラ
ック型フェノール樹脂を用い以下の方法で銅張り積層板
を作成した。実施例1で得られたノボラック型フェノー
ル樹脂100重量部、 エポキシ樹脂(エピコート82
8 油化シェルエポキシ社(株)製)300重量部、2
エチル4メチルイミダゾール1重量部、メチルエチルケ
トン300重量部を溶解混合後、この混合液をガラス布
に含浸させ、150℃で5分間乾燥して付着樹脂量が5
0%の含浸基材を作成した。これを所定枚数重ね合わせ
表面に銅箔を配置し180℃、3MPaで70分間加熱
加圧し銅張り積層板を得た。得られた積層板の特性を表
2に示す。
【0041】《実施例11》実施例3で得られたノボラ
ック型フェノール樹脂を用いた以外は全て実施例10と
同様の方法で銅張り積層板を得た。得られた積層板の特
性を表2に示す。
【0042】《比較例7》比較例1で得られたノボラッ
ク型フェノール樹脂を用いた以外は全て実施例10と同
様の方法で銅張り積層板を得た。得られた積層板の特性
を表2に示す。
【0043】《比較例8》比較例2で得られたノボラッ
ク型フェノール樹脂を用いた以外は全て実施例10と同
様の方法で銅張り積層板を得た。得られた積層板の特性
を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】《実施例12》実施例3で得られたノボラ
ック型フェノール樹脂を用い、アルゴン雰囲気下10℃
/分の速度で昇温し、1,000℃3時間炭化処理を行
った。得られた炭化物を粉砕後90重量部と結合剤とし
てテトラフルオロエチレン10重量部を含む合剤を直径
20mmに圧縮成型してリチウムイオン電池用負極ペレ
ットを得た。正極材料としては、Li0.5Co0.50.5
2.5を84重量部、導電剤としてアセチレンブラック1
0重量部、結合剤としてテトラフルオロエチレン6重量
部の混合比で混合した合剤を圧縮成型し直径20mmの
正極材ペレットを得た。電解液としては1NのLiBF
4 を用い、セパレータとして微孔性のポリプロピレンを
用い電池を完成させた。得られた電池を用いて、上限電
圧4.2V、電流1Aの条件で定電流充電を2時間行っ
た後、抵抗5Ω、終始電流.75Vの条件で定抵抗の放
電を行い、その充放電サイクルを繰り返し実施し、初期
の充放電量と200サイクル目の充放電量を測定した。
得られた結果は表3に示す。
【0046】《実施例13》実施例5で得られたノボラ
ック型フェノール樹脂を用いた以外は全て、実施例12
と同様の方法で電池を作成し、充放電量を測定した。得
られた結果は表3に示す。
【0047】《比較例9》比較例2で得られたノボラッ
ク型フェノール樹脂を用いた以外は全て、実施例12と
同様の方法で電池を作成し、充放電量を測定した。得ら
れた結果は表3に示す。
【0048】《比較例10》比較例4で得られたノボラ
ック型フェノール樹脂を用いた以外は全て、実施例12
と同様の方法で電池を作成し、充放電量を測定した。得
られた結果は表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】なお、本発明における特性の説明、実施例
および比較例における測定方法は以下の通りである。重
量平均分子量はポリスチレンを標準物質とした紫外線吸
収スペクトル検出器を用いたゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)法により測定した。 未反応モノマー含有量はキャピラリーガスクロマトグ
ラフィー法により測定した。オルソ−オルソ結合率はノ
ボラック型フェノール樹脂の場合13C−NMRスペクト
ル法により求めたメチレン基結合量を、次式に代入し算
出した。ノボラック型クレゾール樹脂場合フーリエ変換
赤外分光分析法により求めたメチレン基結合量を同じく
次式に代入し算出した。 オルソ−オルソ結合率=[(o−o結合)/{(o−o結合)
+(o−p結合)+(p−p結合)}] ×100 o−o結合:オルソ−オルソ位結合メチレン基の数 o−p結合:オルソ−パラ位結合のメチレン基の数 p−p結合:パラーパラ位結合のメチレン基の数
【0051】抽出水電気伝導度は樹脂中のイオン性不純
物量を把握する項目であり、数値が小さい方がイオン性
不純物が少ない事を表している。固形樹脂6gを粉砕し
たものと純水40mlをプレッシャークッカー用容器に
入れ密閉し、恒温槽で125℃20時間熱処理後、抽出
水を電気伝導度計(東亜電波工業(株)製CM−2A)
により電気伝導度を測定した。溶剤溶解性は対象樹脂1
0gを100mlのアセトン及びテトラヒドロフラン中
に入れ、それぞれ常温で24時間混合後の不溶解分の有
無で判定した。沸後体積抵抗値はJIS K 6911に
準じて測定した。ガラス転移点(Tg)は熱膨張測定装
置(セイコー電子工業(株)製)により測定した。
【0052】これらの実施例及び比較例の結果から明ら
かなように、本発明におけるノボラック型フェノール樹
脂は、非常に高分子量であるにもかかわらず溶剤溶解性
があり、高度にオルソ−オルソ位のメチレン結合が多い
ハイオルソノボラックであり、且つイオン性不純物が極
めて少ない事が判る。また本発明の樹脂を用いると硬化
特性、電気特性にすぐれ、その構造的な特徴より、今ま
での樹脂では得られなかった新しい特性が現れているこ
とがわかる。
【0053】
【発明の効果】本発明のノボラック型フェノール樹脂
は、従来存在しなかった溶剤溶解性のある3官能性フェ
ノール類をベースとするノボラック型高分子量樹脂であ
り、イオン性不純物が少なく且つ高度にオルソ−オルソ
結合したハイオルソノボラック型の樹脂である。その硬
化物は耐熱特性、電気絶縁性、耐湿性に優れているた
め、電気・電子関連分野を始め幅広い用途への適応が可
能となり、工業的なノボラック型フェノール樹脂として
好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の設備フローの一例を示す概略図。
【図2】 配管内部に捻り羽根を有した静止型ミキサー
の羽根の斜視図。
【図3】 配管内部に折り返し羽根を有した静止型ミキ
サーの羽根の斜視図。
【図4】 実施例1で得られた樹脂のGPCによる分子
量分布チャート。
【図5】 実施例2で得られた樹脂のGPCによる分子
量分布チャート。
【図6】 実施例3で得られた樹脂のGPCによる分子
量分布チャート。
【図7】 実施例4で得られた樹脂のGPCによる分子
量分布チャート。
【図8】 比較例2で得られた樹脂のGPCによる分子
量分布チャート。
【符号の説明】
1 タービン型攪拌羽根 2 高圧反応器 3 窒素ガス封入ライン 4 アルデヒド類高圧定量ポンプ 5 アルデヒド類注入ノズル 6 反応器下部取り出し弁 7 二重管式静止型ミキサー 8 多管式熱交換型ミキサー 9 二重管式静止型ミキサー 10 圧力調整弁 11 フラッシュ容器 12 熱交換器

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3官能性フェノール類とアルデヒド類の
    縮合物であって、ポリスチレンを基準物質としたときの
    重量平均分子量が50,000以上である溶剤溶解可能
    な高分子量ノボラックであり、且つフェノール性水酸基
    に対してオルソ−オルソ位でのメチレン結合が全メチレ
    ン結合の55%以上であり、抽出水電気伝導度10μS
    /cm以下であることを特徴とする高分子量ハイオルソ
    ノボラック型フェノール樹脂。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量が100,000以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の高分子量ハイオル
    ソノボラック型フェノール樹脂。
  3. 【請求項3】 分子量1,000,000以上の部分が
    1重量%未満であることを特徴とする請求項1又は2記
    載の高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂。
  4. 【請求項4】 3官能性フェノール類がフェノール及び
    /又はメタクレゾールであることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載の高分子量ハイオルソノボラック型フ
    ェノール樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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US4781759A (en) * 1985-08-08 1988-11-01 Smith George N Limestone and clay traction aid
JP2008058601A (ja) * 2006-08-31 2008-03-13 Dainippon Ink & Chem Inc アルカリ現像型感光性樹脂組成物、レジストインキ、及びプリント配線基板

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US4781759A (en) * 1985-08-08 1988-11-01 Smith George N Limestone and clay traction aid
JP2008058601A (ja) * 2006-08-31 2008-03-13 Dainippon Ink & Chem Inc アルカリ現像型感光性樹脂組成物、レジストインキ、及びプリント配線基板

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