JP3439654B2 - 高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂 - Google Patents
高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂Info
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Description
ール樹脂に関し、特にイオン性不純物が極めて少なく、
高度にオルソ−オルソ結合した高分子量の樹脂であり、
且つ溶剤溶解性があることから、取り扱い性、硬化性、
電気特性、耐熱特性に優れ、成形材料、エポキシ樹脂硬
化剤、フォトレジスト用樹脂、炭素材ベース樹脂、熱可
塑性樹脂改質剤、ゴム配合用等の幅広い分野に好適なノ
ボラック型フェノール樹脂に関するものである。
は、フェノール類とアルデヒド類を公知の有機酸及び/
又は無機酸を触媒に用い、常圧100℃で数時間付加縮
合反応し、その後脱水及び未反応モノマー除去を行う方
法により得られる、メチレン基結合位置がオルソ位とパ
ラ位が同程度のランダムノボラックと呼ばれているタイ
プと、フェノール類とアルデヒド類を酢酸亜鉛、酢酸
鉛、ナフテン酸亜鉛等の金属塩触媒により弱酸性下で付
加縮合反応させた後、直接あるいは更に酸触媒を添加し
脱水しながら縮合反応を進め、更に必要により未反応物
を除去する工程により得られるオルソ位でのメチレン基
結合の多いハイオルソノボラック(例えば、特開昭55
−90523号公報、特開昭59−80418号公報、
特開昭62−230815号公報)が知られている。し
かしながらランダムノボラックでは例えばヘキサメチレ
ンテトラミンとの硬化速度が遅いと云った問題があり、
金属塩触媒によって得られたハイオルソノボラックでは
金属イオンが樹脂中に含有し、その硬化物は耐熱性、耐
水性、電気絶縁性などの特性が劣り、特にイオン性不純
物の混入を嫌う電気電子分野向けの用途には使用できな
いといった問題があった。
上、精密化、取り扱い作業性の改善と言った要望が出さ
れている中で、フェノール樹脂では高分子化、均一構造
化、高純度化が盛んに研究されてきている。しかしなが
らフェノール類として3官能性フェノール類を用いた場
合、上記のような製法によって得られるノボラック型フ
ェノール樹脂の重量平均分子量は、最大でも15,00
0程度のものしか存在しなかった。最近多量のキシレン
の様な非極性溶媒中で3官能性フェノール類とアルデヒ
ド類を長時間反応させることで得られるハイオルソノボ
ラック(例えば、特開平6−345837号公報等)の
報告もあるが、これらの樹脂においても得られる重量平
均分子量は3,000〜40,000程度であり、充分
な高分子量樹脂とは言えない。
た高分子量樹脂としては大過剰の塩酸とホルムアルデヒ
ド中にフェノール類を添加して得られる樹脂(例えば、
特開昭57−177011号公報)が知られているが、
本樹脂はメチロール基を有しており、厳密な意味でのノ
ボラック型フェノール樹脂ではなく、また溶剤不溶解の
部分が一部存在若しくは完全に不溶解であり非常に用途
が限られている。その他高分子量のノボラック型フェノ
ール樹脂としてはフェノール類として2官能性フェノー
ル類、例えばオルソクレゾールやパラクレゾール、パラ
ノニルフェノール、パラターシャリブチルフェノール等
を用いた例(例えば、楢崎:工化、66、392(19
63)や特開昭50−136393号公報、特開昭56
−92908号公報、特開昭56−103215号公
報、特開昭57−187311号公報、特開昭60−2
60611号公報、特開昭61−12714号公報等)
は数多く報告されているが、2官能性フェノールを用い
た樹脂ではその後完全硬化させることが出来無いと云っ
た問題がある。
ころ幅広い用途での要求、例えば全ての用途において取
り扱いが容易なことは当然であるが、エポキシ樹脂硬化
剤用途ではイオン性不純物が少なく且つその硬化物の耐
熱性が高いもの、また成形材料用途としては硬化性に優
れ且つ耐熱性、電気特性に優れたもの、炭素材用途では
炭化後の歩留まりが高く且つ均一構造を有すること、ゴ
ム配合用途ではゴムとの相溶性を有し且つゴム硬度を格
段に向上さること等に対してバランス良く対応できるノ
ボラック型フェノール樹脂は存在していない。本発明の
目的は、電気・電子分野向け成形材料用、エポキシ樹脂
の硬化剤用、積層板用、炭素材ベースレジン用、ゴム配
合用等幅広い用途に好適な、その硬化物は耐水性、耐熱
特性、電気絶縁性に優れた樹脂として、従来のノボラッ
ク型フェノール樹脂では同時に成り立たなかった、高分
子化、溶剤可溶化、高純度化、均一構造化のいずれも満
足出来る樹脂を提供する事にある。
ラック型フェノール樹脂に関し、特に3官能性フェノー
ル類とアルデヒド類の縮合物であって、ポリスチレンを
基準物質としたときの重量平均分子量が50,000以
上である溶剤溶解可能な高分子量ノボラックであり、且
つフェノール性水酸基に対してオルソ−オルソ位でのメ
チレン結合が全メチレン結合の55%以上であり、抽出
水電気伝導度10μS/cm以下であることを特徴とす
る高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂に関
するものである。更に、好ましくは、重量平均分子量が
100,000以上のものであり、分子量1,000,
000以上の部分が1重量%未満のものでであり、3官
能性フェノール類がフェノール及び/又はメタクレゾー
ルである高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹
脂に関するものである。
ては、フェノール、メタクレゾール、3,5−ジメチル
フェノールなどフェノール性水酸基を有し、且つフェノ
ール性水酸基に対して少なくともメタ位以外には置換基
を持たない化合物の1種又は2種以上を用いる。置換基
として炭素数の多いアルキル基、アリール基等の入った
3官能性フェノール樹脂を用いても何ら問題はないが、
硬化性、均一構造性等の面からフェノール及び又はメタ
クレゾールが好ましい。すなわち大きな置換基を持つフ
ェノール類では分子量は大きくなるものの、同分子量に
おける核対数は小さいものであり、例えば水酸基当量数
の低下につながったり、大きな置換基によりその後の3
次元硬化がしにくくなるものである。
徴としては、ポリスチレンを標準物質としたときの重量
平均分子量が50,000以上、好ましくは100,0
00以上であり且つ分子量1,000,000以上の部
分を1重量%未満としたものであり、全結合メチレン基
の55%以上、硬化性を重要視する場合は、好ましくは
60%以上がオルソーオルソ位で結合していることであ
る。本発明のフェノール樹脂は、従来のノボラック型フ
ェノール樹脂にない高分子量でありながらアセトン、メ
チルエチルケトンと言ったケトン類や、テトラヒドロフ
ラン、N,N−ジメチルホルムアミドと言った溶剤類に
可溶であり、取り扱い性に優れたものとする事が出来、
反応性に富んだパラ位が空いていることにより、例えば
ヘキサメチレンテトラミンを添加すれば非常に短時間に
硬化物が得られる。さらにまた、エポキシ樹脂の硬化剤
として用いれば非常に高いガラス転移点を持った硬化物
が得られる。特に、最高分子量を5,000,000以
下とすることにより、不溶解部分が全くなく、溶剤溶解
性が極めて良好である。
の特徴であるイオン性不純物が少ないことより、電気絶
縁特性、耐吸湿性の面でも優れ、電気電子分野を始め幅
広い用途に用いることが可能となった。本発明では、フ
ェノール樹脂中の有機若しくは無機イオン性物質の含有
量を示す尺度として、抽出水電気伝導度を測定した。本
発明において、「抽出水電気伝導度」とは、固形樹脂6
gを粉砕したものと純水40mlをプレッシャークッカ
ー用容器に入れ密閉し、恒温槽で125℃20時間熱処
理後、得られた抽出水の電気伝導度を電気伝導度計(東
亜電波工業(株)製CM−2A)により測定したもので
ある。この抽出水電気伝導度の値が大きいほど樹脂中に
含まれるイオン性不純物が多いことを示している。この
場合、吸湿しやすくまた吸湿した後の電気絶縁性の低下
や寸法安定性の低下を招く。本発明のフェノール樹脂
は、抽出水電気伝導度を10μS/cm以下と規定する
ことにより、特にイオン性物質の含有量の少ないことが
厳しく要求される電気電子分野用途でも高い信頼性を得
ることが出来、幅広い用途への適用が可能となった。
限定するものではないが、一般的には10%以下、好ま
しくは5%以下、更に好ましくは1%以下である。未反
応モノマーの含有量が多いときは、樹脂の取り扱い時に
おける臭気等の環境衛生面はもちろんのこと、硬化物と
したときの機械的強度の低下、耐湿性の低下、寸法安定
性の低下、あるいは炭化したときの炭素歩留まりの低下
等の問題が生じる恐れがあるので、できる限り小さいこ
とが好ましい。本発明の樹脂は構造的には高度にオルソ
−オルソ結合しており、これを炭化して得られる炭化物
はグラファイト構造に近く、しかしながら完全なる結晶
構造ではないことから、例えばリチウムイオン電池の負
極材としてこの炭化物を用いると大変バランスの取れた
特性を得ることが可能となった。
は、通常3官能性フェノール類とアルデヒド類を触媒を
用いずに160〜220℃で付加縮合反応させ、更に2
00〜250℃で脱水しながら高分子化反応を進めて得
られるものであり、必要によりこの樹脂を適切な溶媒に
溶解後、純水を添加して析出させても得ることができ
る。
詳細に説明する。3官能性フェノール類とアルデヒド類
を耐圧反応器内に同時に入れ、160℃〜220℃で反
応してもよいが、好ましくは、まず3官能性フェノール
類を耐圧反応器内で160℃以上、好ましくは180〜
200℃まで加熱し、且つ窒素ガス等の公知の不活性ガ
スにより0.5MPa以上、好ましくは0.7MPa以
上に加圧する。次いで、アルデヒド類を逐次反応器内へ
添加してゆくが、好ましくは反応器下部より添加する。
フェノール類に対するアルデヒド類のモル比は、通常
0.50〜0.85の範囲するが、好ましくは0.7〜
0.8、更に好ましくは0.73〜0.80である。モ
ル比0.50以下では後述する高分子化工程においても
充分な高分子量域が得られず歩留まりが低下し、またモ
ル比0.85以上では高分子化工程での分子量コントロ
ールがしにくく、ゲル化若しくは部分的なゲル化物の生
成が促進される。モル比0.7〜0.8では、重量平均
分子量100,000以上のものが容易に得られる。本
発明において、分子量1,000,000以上の部分が
1重量%以下のノボラック型フェノール樹脂は、比較的
低モル比(F/P)0.5〜0.73にて高温高圧下で
付加縮合反応し、脱水しながら高分子化反応するときの
温度を200〜220℃で行い、生成した樹脂から溶媒
にて低分子量成分を分離除去して得られる。この時溶解
溶媒としてアセトン等を用い、分離のため添加する溶媒
としてトルエン等を用いるとよい。
ルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメ
チレンなどアルデヒド基を有するもの1種又は2種以上
であるが、好適なものとしては1つは公知のイオン交換
樹脂等で処理し蟻酸を200PPM以下としたホルマリ
ンであり、もう1つはパラホルムアルデヒドである。ホ
ルマリンはホルムアルデヒド水溶液のことであるが、濃
度37%以上のものの使用が好ましく、更に好ましくは
濃度40%以上である。ホルムアルデヒドはカニッツァ
ーロ反応によりホルマリン生産時及び保管時に蟻酸を生
成しやすいが、この蟻酸は生成樹脂中に分解しきれない
ものがイオン性不純物として含有されるばかりではな
く、フェノール類とアルデヒド類の付加縮合反応時に酸
触媒として働いてしまい、パラ位のメチレン結合を促進
してしまうため、好ましくは200PPM以下、更に好
ましくは50PPM以下まで除去しておく必要がある。
パラホルムアルデヒドとしては純度80%以上のものを
使用するのが好ましい。純度が低い場合オルソ位のメチ
レン結合度が低下し好ましくない。また一般にパラホル
ムアルデヒドは固形物であり、フェノール類と同時に添
加する場合に適しているが、逐次添加する場合、パラホ
ルムアルデヒドとフェノール類の一部を事前に混合し溶
解させるか、スラリー状にしておくことが特に好まし
い。
説明する。パラホルムアルデヒドとフェノール類の混合
比は特に限定するものではないが、公知の高圧ポンプま
たはスラリーポンプで扱える流動性を確保できる比率が
好ましい。またこの場合、パラホルムアルデヒドの混合
に要したフェノール類の量は、反応器内で加熱している
フェノール類の一部と見なしモル比等の算出を行う。ア
ルデヒド類の逐次添加に当たっては、公知のプランジャ
ータイプ及びダイヤフラムタイプ等の高圧ポンプや回転
容積型の一軸偏心ネジポンプ(例えば兵神装備株式会社
製モーノポンプ等)及びチューブポンプ等のスラリーポ
ンプなどを用い、好ましくは反応器下部より加熱フェノ
ール類中に定量的に供給する。この時の添加速度は、反
応温度160〜200℃を保ち充分な付加縮合反応をさ
せ且つ急激な反応による過度の反応熱発生や過度の圧力
上昇を起こさない範囲とすることが重要であり、添加量
にもよるが、通常添加時間が15分〜2時間となるよう
に設定することが好ましい。
上部からの添加もしくはフェノール類液面上の添加でも
よい程での臭気等の問題や、収率、得られる分子量の安
定性といった面で優れている反応器下部からの添加が特
に好ましい。反応器下部より注入添加されたアルデヒド
類は、直ちに反応すると同時に一部は気化し反応液面上
部に達するまでの間で付加縮合反応を完結するのに対
し、上部からの添加では高温状態のフェノール類の液面
で蒸気圧の低いホルムアルデヒドが気化してしまい、反
応器気相部に滞留し充分反応できない、又は気液界面で
の部分的な反応促進が起こり分子量コントロールが困難
となる。
応器であるが、アルデヒド類の反応器下部添加に有利な
上下に設置した2段の同径のタービン型攪拌羽根を有し
ているとより好ましい。反応器下部より添加したアルデ
ヒド類は直ちに反応するが、一部は気化し液中を上昇す
る。この時同径タービン型攪拌羽根を2段用いることに
より、上下の攪拌羽根の中間位置でそれぞれの攪拌流が
ぶつかり滞留ゾーンが出来ることにより、気化アルデヒ
ドの上昇を妨げ反応を促進し、収率も良くなり気相部の
アルデヒドガス量も低下し、分子量のコントロール上
も、臭気問題上も好適である。
ド類を添加し付加縮合反応したものは、アルデヒド類添
加終了後更に数分〜数時間温度と圧力を保持し自己発熱
しないことを確認後、200〜250℃迄昇温する。こ
の温度範囲を保持しながら反応器に付設した熱交換器経
由で降圧しながらフラッシュにより脱水し高分子化反応
を進め目標の樹脂を得、反応器より取り出す。この時脱
水及び一部未反応モノマーの除去に伴い、反応液は急激
に増粘し、反応温度が200℃以下になると反応器内で
固化する危険性がある。また250℃以上とすると高分
子化反応が制御できなくなりゲル化に至る。以上の工程
は同一の反応器内で行っても何ら問題はないが、粘度変
化による攪拌効率の低下や、伝熱効率の低下を防止する
上で、アルデヒド類の添加が終了し自己発熱しないこと
を確認した時点で、反応器下部より静止型ミキサー反応
器に供給し200〜250℃迄昇温しながら次の反応器
又はフラッシュタンク等のフッラッシュ容器に移送し、
脱水しながら高分子化反応を進める方法が好ましい。
部に捻り羽根(図2)又は折り返し羽根(図3)等の混
合羽根を有していて、内部を流体が通過するときに流体
が繰り返し分割混合されるものである。またこれら静止
型ミキサーは二重管となって外部から加熱冷却できれば
好ましく、またさらに加熱冷却効果を上げるため、静止
型ミキサーを組み合わせ多管式熱交換器のチューブに相
当するものとして使用した多管式熱交換器型ミキサーで
あってもよい。静止型ミキサー及び熱交換器型ミキサー
の型式は特に限定されるものではないが、混合効果から
見て羽根が2枚以上のものが好ましく、必要により組み
合わせて使っても何ら問題はない。静止型ミキサー及び
/又は多管式熱交換器型ミキサーを含めた反応配管の径
及び長さは目的とする処理量により変化するものである
が、好ましくは反応最終部の静止型ミキサー出口におけ
る反応液流速が、0.05m/秒以上を確保できる配管
径とする。
反応液流速は全体流速を表したものであるが、流速が遅
い場合混合効果と伝熱効果が低下し、特に高分子量の樹
脂を製造する場合0.05m/秒以下では反応が不均一
になり、最悪の場合部分的に高分子化しゲル化物を生じ
る。また伝熱面に不溶不融のスケールを生じやすい。静
止型ミキサー出口で圧力をコントロールし、反応温度を
200〜250℃に保った反応液を更にフラッシュ容器
に供給し、常圧に戻すとともに水分の除去を連続的に行
う。更に必要により減圧下で加熱し又は公知の薄膜蒸発
器等を用い未反応モノマーを除去し、重量平均分子量5
0,000以上で、イオン性不純物の極めて少ないハイ
オルソタイプのノボラック型フェノール樹脂を得る。
後、攪拌状態で純水又は前記溶媒よりノボラック型フェ
ノール樹脂に対する溶解度の低い有機溶媒(以下、貧溶
媒という)を添加し樹脂を析出させ取り出し、溶媒を除
去することにより重量平均分子量100,000以上の
ノボラック型フェノール樹脂を得ることができる。この
時用いる溶媒としては、水との溶解性が高いアセトン、
メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノ
ール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、N,N−
ジメチルホルムアミドや水との溶解性の低いトルエン、
キシレン、ヘキサンなどの有機溶媒の内、1種又は2種
以上の混合物が好ましく、ノボラック型フェノール樹脂
100重量部に対して100〜1000重量部で溶解さ
せる。溶媒が100重量部以下では溶解工程が困難であ
りまた得られた溶液の粘度が高く、次工程での純水また
は貧溶媒の添加混合が困難となり、また1000重量部
以上では歩留まりが低下する。
てゆくが、溶解に使用した溶媒量の1/10ないし30
倍量を攪拌状態下で添加し樹脂を析出させる。添加する
純水又は貧溶媒量が溶解に使用した溶媒量の1/10未
満では充分樹脂が析出せず、また溶媒の30倍量を越え
て添加すると目的とする低分子反応物の除去が出来なく
なる。ここで用いる純水としては電気伝導度として1μ
S/cm以下のものが好ましい。純水又は前記貧溶剤添
加後の溶液はそのまま静置すれば2層若しくは3層に分
離し、この状態で目的とする最下層部を残して除去して
も良く、また懸濁状態のまま公知の遠心分離器やフィル
タープレス装置等の濾過装置を用いて分離しても良い。
この操作は1回でも良く2回以上行っても何ら問題はな
い。この後減圧乾燥機で溶媒を除去しても良く、又再度
加熱し溶融させて溶媒を蒸発させるか、溶融後公知の薄
膜蒸発機を用いて脱溶媒し目的の樹脂を得る。
の具体例を図1により説明するが、かかる説明により本
発明が限定されるものではない。図1は本発明のフェノ
ール樹脂の製造工程に使用する設備及びフローを示す概
略図である。フェノール類を上下2段のタービン型攪拌
羽根(1)付き高圧反応器(2)に入れた後、160℃
以上となるまで加温し、窒素ガス等の不活性ガスを加圧
ライン(3)により0.5MPa以上まで加圧する。所
定の温度圧力到達後、目的とする分子量とするのに必要
なアルデヒド量を高圧定量ポンプ(4)により反応器下
部の注入ノズル(5)から注入添加する。注入されたア
ルデヒド類は液面まで上昇する間にフェノール類と反応
温度160〜200℃以上で保持された状態で付加縮合
反応が行われる。アルデヒド類の添加終了後、自己発熱
しないことを確認後、反応器下部の取り出し弁(6)を
徐々に開け静止型ミキサー(7,8,9)に供給し熱媒
体にて加温しながらフラッシュ容器に供給する。この時
圧力調整弁(10)で圧力をコントロールしながら静止
型ミキサー内の反応液温度を200〜250℃に保ち、
高分子化反応を進める。
(11)の入口で直ちに蒸発し、熱交換器(12)によ
り凝縮し系外に除去され、脱水されたノボラック型フェ
ノール樹脂のみがフラッシュ容器(11)内に溜まる
が、この樹脂が固化しないようにフラッシュ容器も加温
しておく。この後更にフラッシュ容器(11)内を減圧
し、更に加熱し未反応モノマーを除去し、容器より取り
出し冷却固化することにより高分子量でイオン性不純物
の極めて少ない固形のハイオルソタイプのノボラック型
フェノール樹脂が得られる。
に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例によって
限定されるものではない。なお、文中に記載されている
「%」は、全て「重量%」を示す。
の2段タービン型攪拌羽根を有した容量50Lの高圧反
応器内に入れ、180℃まで加熱し、窒素ガスにて0.
7MPa迄加圧した後、ダイアフラム式高圧定量ポンプ
にて予めイオン交換樹脂処理により蟻酸含有量を50P
PMまで低減した40%ホルマリン13.1Kgを60
分間掛けて反応器下部より逐次添加し付加縮合反応をさ
せた。この間の反応温度が180〜200℃となるよう
に反応器のジャケット部の温度及び添加速度を調整し
た。添加終了後5分間その温度を保ち自己発熱が起こら
ないことを確認後、更に220〜230℃を保つように
加熱しながら、熱交換器経由で30分間掛けて常圧に戻
しながら脱水反応を行った。更にこの後1.3KPaま
で減圧し30分間未反応フェノールの除去を行い、冷却
バット上に取り出し固形のノボラック型フェノール樹脂
20.0Kgを得た。得られた樹脂の特性については表
1に示す。またゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(以下、GPCと称す)により測定した分子量分布チ
ャートを図4に示す。なお、図4において、横軸はカラ
ム内の保持時間(リテンションタイム)を、縦軸は相対
強度を示す。以下の図5〜図8においても同様である。
0Kgを入れ、アルデヒド類として88%パラホルムア
ルデヒド8.1Kgを使用し、更にこのパラホルムアル
デヒドは8.0Kgのフェノールと事前に混合し、懸濁
状態液となったものをプランジャー式高圧定量ポンプに
て反応器下部より供給することと減圧での未反応フェノ
ール除去を行わない事以外は、すべて実施例1と同様の
方法でノボラック型フェノール樹脂27.0Kgを得
た。得られた樹脂の特性については表1に示す。またG
PCでの分子量分布チャートを図5に示す。
ク型フェノール樹脂20.0Kgをアセトン50.0K
gで溶解後、液温30℃とした中へ純水10.0Kgを
10分間掛けて添加し5分混合後、濾布を用いて濾過
し、更に残差を減圧乾燥機で2時間処理し溶媒を除去
し、固形のノボラック型フェノール樹脂12.5Kgを
得た。得られた樹脂の特性については表1に示す。また
GPCでの分子量分布チャートを図6に示す。
てメタクレゾール20.0Kgを入れ、88%パラホル
ムアルデヒド7.1Kgと10.0Kgのメタクレゾー
ルを混合したものを反応器下部より供給すること以外
は、すべて実施例1と同様の方法でノボラック型クレゾ
ール樹脂30.0Kgを得た。得られた樹脂の特性につ
いては表1に示す。またGPCでの分子量分布チャート
を図7に示す。
ク型クレゾール樹脂20.0Kgをアセトン40.0K
g、テトラヒドロフラン10.0Kgの混合溶媒に溶解
した以外は実施例3と同様な方法で固形のノボラック型
クレゾール樹脂12.0Kgを得た。
は実施例1と同様に行い、自己発熱がないことを確認
後、内部に捻り羽根を有した内径10mm全長1500
0mmの二重管型の第一次静止型ミキサーに供給し、次
いで反応液は内部に捻り羽根を有した内径8mm全長1
860mmの静止型ミキサーを7本組み合わせた多管式
熱交換器型ミキサーを経由させ、更に第一次静止型ミキ
サーと同じ構造の第二次静止型ミキサー、第三次静止型
ミキサー内で付加縮合反応をさせた。この間の反応温度
が200〜220℃となるように圧力調整及び静止型ミ
キサー及び多管式熱交換器型ミキサーの加熱調整を行っ
た。反応液はフラッシュ容器に連続的に供給し脱水し
た。更にこの後フラッシュ容器を1.3KPaまで減圧
し30分間未反応フェノールの除去を行い、冷却バット
上に取り出し固形のノボラック型フェノール樹脂18.
0Kgを得た。この条件における静止型ミキサー内通過
による反応時間は2分18秒、最終ミキサー出口の反応
液流速は0.13m/秒であった。得られた樹脂の特性
については表1に示す。
てメタクレゾール20.0Kgを入れ、88%パラホル
ムアルデヒド7.1Kgと10.0Kgのメタクレゾー
ルを混合したものを反応器下部より供給すること以外
は、すべて実施例6と同様の方法でノボラック型クレゾ
ール樹脂27.0Kgを得た。得られた樹脂の特性につ
いては表1に示す。
部より液面に添加させる方法以外は実施例1と同様の方
法で実施し、ノボラック型フェノール樹脂18.0Kg
を得た。得られた樹脂の特性については表1に示す。
フェノール22.0Kgと代表的なノボラック化触媒で
ある蓚酸0.22Kgを入れ常圧で100℃となるまで
加熱した後、40%ホルマリン13.1Kgを90分掛
け徐添した後、100℃を保ち60分間反応を続行し
た。更にこの樹脂を常圧で130℃となるまで加熱しな
がら脱水した後、1.3KPaまで減圧し反応液温度1
80℃となるまで未反応フェノールの除去を行い、冷却
バットに取り出し21.0Kgのノボラック型フェノー
ル樹脂を得た。得られた樹脂の特性については表1に示
す。
4.7Kgとした以外は、すべて比較例1と同様の方法
でノボラック型フェノール樹脂23.0Kgを得た。得
られた樹脂の特性については表1に示す。またGPCで
の分子量分布チャートを図8に示す。
に、フェノール22.0Kgと88%パラホルムアルデ
ヒド4.8Kg及びハイオルソノボラック化触媒として
2価金属塩の代表である酢酸亜鉛0.22Kgを入れ、
常圧で100℃となるまで加熱し、100℃を保ち3時
間反応を継続した後、一旦90℃まで冷却しここに縮合
反応促進触媒として蓚酸0.11Kgと水0.33Kg
を混合したものを添加し、30分混合後再度100℃ま
で昇温し1時間反応を行った。更に常圧で130℃とな
るまで脱水した後、1.3KPaまで減圧し反応液温度
が180℃となるまで未反応フェノール除去を行い、冷
却バットに取り出し20.0Kgのノボラック型フェノ
ール樹脂を得た。得られた樹脂の特性については表1に
示す。
0%ホルマリン11.5K及び蓚酸0.22Kgを使用
した以外は、比較例1と同様の方法でノボラック型クレ
ゾール樹脂20.0Kgを得た。得られた樹脂特性につ
いては表1に示す。
し添加後の100℃での反応時間を5時間とした以外は
比較例1と同様の反応を実施したところ、未反応フェノ
ール除去工程で、ゲル化してしまった。
リン添加終了後自己発熱がないことを確認し、直ちに1
50℃迄冷却後脱水工程に入った以外は、実施例1と同
様の方法で固形のノボラック型フェノール樹脂18.0
Kgを得た。得られた樹脂特性は表1に示す。
ック型フェノール樹脂を用い以下の方法で銅張り積層板
を作成した。実施例1で得られたノボラック型フェノー
ル樹脂100重量部、 エポキシ樹脂(エピコート82
8 油化シェルエポキシ社(株)製)300重量部、2
エチル4メチルイミダゾール1重量部、メチルエチルケ
トン300重量部を溶解混合後、この混合液をガラス布
に含浸させ、150℃で5分間乾燥して付着樹脂量が5
0%の含浸基材を作成した。これを所定枚数重ね合わせ
表面に銅箔を配置し180℃、3MPaで70分間加熱
加圧し銅張り積層板を得た。得られた積層板の特性を表
2に示す。
ック型フェノール樹脂を用いた以外は全て実施例10と
同様の方法で銅張り積層板を得た。得られた積層板の特
性を表2に示す。
ク型フェノール樹脂を用いた以外は全て実施例10と同
様の方法で銅張り積層板を得た。得られた積層板の特性
を表2に示す。
ク型フェノール樹脂を用いた以外は全て実施例10と同
様の方法で銅張り積層板を得た。得られた積層板の特性
を表2に示す。
ック型フェノール樹脂を用い、アルゴン雰囲気下10℃
/分の速度で昇温し、1,000℃3時間炭化処理を行
った。得られた炭化物を粉砕後90重量部と結合剤とし
てテトラフルオロエチレン10重量部を含む合剤を直径
20mmに圧縮成型してリチウムイオン電池用負極ペレ
ットを得た。正極材料としては、Li0.5Co0.5V0.5O
2.5を84重量部、導電剤としてアセチレンブラック1
0重量部、結合剤としてテトラフルオロエチレン6重量
部の混合比で混合した合剤を圧縮成型し直径20mmの
正極材ペレットを得た。電解液としては1NのLiBF
4 を用い、セパレータとして微孔性のポリプロピレンを
用い電池を完成させた。得られた電池を用いて、上限電
圧4.2V、電流1Aの条件で定電流充電を2時間行っ
た後、抵抗5Ω、終始電流.75Vの条件で定抵抗の放
電を行い、その充放電サイクルを繰り返し実施し、初期
の充放電量と200サイクル目の充放電量を測定した。
得られた結果は表3に示す。
ック型フェノール樹脂を用いた以外は全て、実施例12
と同様の方法で電池を作成し、充放電量を測定した。得
られた結果は表3に示す。
ク型フェノール樹脂を用いた以外は全て、実施例12と
同様の方法で電池を作成し、充放電量を測定した。得ら
れた結果は表3に示す。
ック型フェノール樹脂を用いた以外は全て、実施例12
と同様の方法で電池を作成し、充放電量を測定した。得
られた結果は表3に示す。
および比較例における測定方法は以下の通りである。重
量平均分子量はポリスチレンを標準物質とした紫外線吸
収スペクトル検出器を用いたゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)法により測定した。 未反応モノマー含有量はキャピラリーガスクロマトグ
ラフィー法により測定した。オルソ−オルソ結合率はノ
ボラック型フェノール樹脂の場合13C−NMRスペクト
ル法により求めたメチレン基結合量を、次式に代入し算
出した。ノボラック型クレゾール樹脂場合フーリエ変換
赤外分光分析法により求めたメチレン基結合量を同じく
次式に代入し算出した。 オルソ−オルソ結合率=[(o−o結合)/{(o−o結合)
+(o−p結合)+(p−p結合)}] ×100 o−o結合:オルソ−オルソ位結合メチレン基の数 o−p結合:オルソ−パラ位結合のメチレン基の数 p−p結合:パラーパラ位結合のメチレン基の数
物量を把握する項目であり、数値が小さい方がイオン性
不純物が少ない事を表している。固形樹脂6gを粉砕し
たものと純水40mlをプレッシャークッカー用容器に
入れ密閉し、恒温槽で125℃20時間熱処理後、抽出
水を電気伝導度計(東亜電波工業(株)製CM−2A)
により電気伝導度を測定した。溶剤溶解性は対象樹脂1
0gを100mlのアセトン及びテトラヒドロフラン中
に入れ、それぞれ常温で24時間混合後の不溶解分の有
無で判定した。沸後体積抵抗値はJIS K 6911に
準じて測定した。ガラス転移点(Tg)は熱膨張測定装
置(セイコー電子工業(株)製)により測定した。
かなように、本発明におけるノボラック型フェノール樹
脂は、非常に高分子量であるにもかかわらず溶剤溶解性
があり、高度にオルソ−オルソ位のメチレン結合が多い
ハイオルソノボラックであり、且つイオン性不純物が極
めて少ない事が判る。また本発明の樹脂を用いると硬化
特性、電気特性にすぐれ、その構造的な特徴より、今ま
での樹脂では得られなかった新しい特性が現れているこ
とがわかる。
は、従来存在しなかった溶剤溶解性のある3官能性フェ
ノール類をベースとするノボラック型高分子量樹脂であ
り、イオン性不純物が少なく且つ高度にオルソ−オルソ
結合したハイオルソノボラック型の樹脂である。その硬
化物は耐熱特性、電気絶縁性、耐湿性に優れているた
め、電気・電子関連分野を始め幅広い用途への適応が可
能となり、工業的なノボラック型フェノール樹脂として
好適である。
の羽根の斜視図。
サーの羽根の斜視図。
量分布チャート。
量分布チャート。
量分布チャート。
量分布チャート。
量分布チャート。
Claims (3)
- 【請求項1】 3官能性フェノール類とアルデヒド類の
縮合物であって、ポリスチレンを基準物質としたときの
重量平均分子量が50,000以上である溶剤溶解可能
な高分子量ノボラックであり、且つフェノール性水酸基
に対してオルソ−オルソ位でのメチレン結合が全メチレ
ン結合の55%以上であり、抽出水電気伝導度10μS
/cm以下であることを特徴とする高分子量ハイオルソ
ノボラック型フェノール樹脂。 - 【請求項2】 重量平均分子量が100,000以上で
あることを特徴とする請求項1記載の高分子量ハイオル
ソノボラック型フェノール樹脂。 - 【請求項3】 3官能性フェノール類がフェノール及び
/又はメタクレゾールであることを特徴とする請求項1
又は2に記載の高分子量ハイオルソノボラック型フェノ
ール樹脂。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP10490898A JP3439654B2 (ja) | 1997-04-15 | 1998-04-15 | 高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-97493 | 1997-04-15 | ||
JP9749397 | 1997-04-15 | ||
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Publications (2)
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---|---|
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Family Applications (1)
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JP10490898A Expired - Fee Related JP3439654B2 (ja) | 1997-04-15 | 1998-04-15 | 高分子量ハイオルソノボラック型フェノール樹脂 |
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-
1998
- 1998-04-15 JP JP10490898A patent/JP3439654B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH111532A (ja) | 1999-01-06 |
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