JPH11151502A - 角パイプ溶接用突起付裏当金の製造方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工時間が短く量産が可能で、また裏当金
の寸法に関係なく同一鋼材で対応できる角パイプ溶接用
突起付裏当金の製造方法及び装置の提供。 【解決手段】表面に円周方向に連続した溝が形成された
荒加工用上圧延ロール３と前記荒加工用上圧延ロール３
に対向して設けられた表面が平面形状の下圧延ロール４
とからなる荒加工用圧延機により長尺の鋼板を圧延して
鋼板上に長手方向に連続した凸条７を形成した後、表面
に円周方向に所定ピッチで前記凸条７に対応する位置に
複数の突起形成用凹部が形成された仕上用上圧延ロール
８と仕上用上圧延ロール８に対向して設けられた表面が
平面形状の仕上用下圧延ロール９とからなる仕上用圧延
機により前記長手方向に連続した凸条を形成した鋼板を
圧延して所定ピッチの突起を形成し、所定ピッチの突起
が形成された鋼板を角パイプ溶接用突起付裏当金に成形
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、角パイプの端部に
フランジ継手等の平板材を溶接する際に、溶接ルートギ
ャップを確保するために用いる角パイプ溶接用突起付裏
当金の製造方法及び装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】角形パイプを突き合わせ溶接、あるいは
角形パイプの端部にフランジ継手を溶接する場合、溶融
した溶接金属が角パイプ内に流れ込まないように角パイ
プの端部に枠状の突起付裏当金を嵌合させ、突起で突起
付裏当金を角パイプの端部に支持するとともに、角パイ
プの端部から突出する突起の厚みにより形成される間隙
により溶接ルートギャップを確保している。

【０００３】従来から種々の角パイプ溶接用突起付裏当
金が提案されている。例えば、図４に示すように、実開
平１−１７２４９３号公報に記載の角パイプ溶接用突起
付裏当金１は、Ｌ字形をした裏当金１の外周側面に沿っ
て工具を押し当てて窪みを形成し、窪み１１の体積分を
盛り上げて突起２を形成したものである。

【０００４】また、特公平７−１１０４３４号公報で
は、前述の実開平１−１７２４９３号公報記載の裏当金
の突起は、母材間の間隙内に収まり、突起のある部分で
溶接肉が減少して固定強度を低下させるおそれがあるの
で、図５に示すように、角パイプ１２にフランジ１３を
溶接する際に用いる裏当金１の幅方向一側縁面の表面コ
ーナー部を幅方向他側へ向かって進行するポンチでプレ
スしてコーナーを展延することにより、母材相互間の隙
間よりも薄い舌片状の突起２を形成しており、この突起
２の展延加工と同時に裏当金のコーナー部にできる凹部
が裏当金の幅方向一側縁面から突起の根元まで伸びて形
成されている裏当金が記載されている。前述の特公平７
−１１０４３４号公報に記載されている突起は、裏当金
の幅方向一側縁面の表面コーナー部を幅方向他側へ向か
って進行するポンチでプレスしてコーナーを展延して突
起を形成するため、裏当金の断面形状が長方形のものの
場合と、コーナーにテーパーを有する断面形状が５角形
のものの場合とでは、プレスにより盛り上がる金属量が
異なるため、一定の突起が形成されず、また、裏当金の
種類が異なる場合、あるいは突起を設ける位置が異なる
場合には、裏当金の種類毎にプレス装置を用意するか、
あるいは上型及び下型を交換したりして調整する必要が
あるという欠点がある。さらに、裏当金の幅方向一側縁
面の表面コーナー部を幅方向他側へ向かってプレスする
ため、薄い裏当金については、金属の盛り上げ量が少な
いため、所定の位置に突起を形成することが難しくな
る。

【０００５】そこで、本出願人は、裏当金の断面形状、
厚みあるいは種類にかかわりなく突起を所定の位置に簡
単に形成することができる角パイプ溶接用突起付裏当金
及びその製造方法を開発し、特許出願した（特願平８−
３１６４１６号）。この製造方法は、裏当金１の外側面
に、上金型１４及び下金型１５を裏当金１へ向かって斜
め方向に移動させて裏当金１を押し込み、押し込みによ
り上部凹み１６及び下部凹み１７を形成するとともに、
金属を上金型１４と下金型１５との間に盛り上げ、上金
型１４と下金型１５との間で盛り上がった金属をプレス
して突起２を形成するものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれ
も裏当金の突起の形成は、特殊な金型を用いるプレス加
工であるため、加工に時間がかかり、量産向きではな
い。また、角パイプの寸法によって、裏当金の突起の位
置をその都度変更しなければならないので、プレス加工
時の段取り時間が必要であり、角パイプの寸法に応じた
金型も数多く必要となり、コストアップとなっている。

【０００７】そこで、本発明は、加工時間が短く量産が
可能で、また裏当金の寸法に関係なく同一鋼材で対応で
きる角パイプ溶接用突起付裏当金の製造方法及び装置を
提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の角パイプ溶接用
突起付裏当金の製造方法は、表面に円周方向に連続した
溝が形成された荒加工用上圧延ロールと前記荒加工用上
圧延ロールに対向して設けられた表面が平面形状の下圧
延ロールとからなる荒加工用圧延機により長尺の鋼板を
圧延して鋼板上に長手方向に連続した凸条を形成した
後、表面に円周方向に所定ピッチで前記凸条に対応する
位置に複数の突起形成用凹部が形成された仕上用上圧延
ロールと仕上用上圧延ロールに対向して設けられた表面
が平面形状の仕上用下圧延ロールとからなる仕上用圧延
機により前記長手方向に連続した凸条を形成した鋼板を
圧延して所定ピッチの突起を形成し、所定ピッチの突起
が形成された鋼板を角パイプ溶接用突起付裏当金に成形
することを特徴とする。

【０００９】荒加工用圧延機及び仕上用圧延機の出側で
成形した鋼板をサイドロールで挟持して圧延して整形し
てもよい。

【００１０】また、本発明の角パイプ溶接用突起付裏当
金の製造用圧延機は、鋼板上に長手方向に連続した凸条
を形成する荒加工用圧延機と、前記連続した凸条を形成
した鋼板に所定ピッチの突起を形成する仕上用圧延機と
で構成され、荒加工用圧延機は表面に円周方向に連続し
た溝が形成された荒加工用上圧延ロールと前記荒加工用
上圧延ロールに対向して設けられた表面が平面形状の下
圧延ロールとからなり、仕上用圧延機は表面に円周方向
に所定ピッチで前記凸条に対応する位置に複数の突起形
成用凹部が形成された仕上用上圧延ロールと仕上用上圧
延ロールに対向して設けられた表面が平面形状の仕上用
下圧延ロールとからなることを特徴とする。荒加工用圧
延機と仕上用圧延機の出側にはサイドロールを配置する
ことができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は本発明の製造方法で得られ
た角パイプ溶接用突起付裏当金の一例の斜視図、図２
（ａ）は本発明による角パイプ溶接用突起付裏当金の製
造に用いる荒加工用圧延機の概略図、図２（ｂ）は荒加
工された鋼板を示す斜視図である。

【００１２】図１に示す本発明で製造する角パイプ溶接
用突起付裏当金１は、周囲に複数の突起２が形成された
ものである。

【００１３】図２（ａ）に示す荒加工用圧延機は、荒加
工用上圧延ロール３と、これに対向して設けられた荒加
工用下圧延ロール４とからなり、荒加工用上圧延ロール
３の表面には、円周方向に連続した溝５が形成され、荒
加工用下圧延ロール４の表面は平面形状に形成されてい
る。

【００１４】荒加工用圧延機では、荒加工用上圧延ロー
ル３と荒加工用下圧延ロール４との間に長尺の鋼板６を
挟持し圧下して上下のロール３，４を互いに反対方向に
回転させて圧延すると、鋼板６は、塑性加工され、荒加
工用上圧延ロール３の連続した溝５内に盛り上がり、図
２（ｂ）に示すように鋼板表面に連続した凸条７が形成
される。

【００１５】なお、荒加工用圧延機から出た鋼板６の鋼
板の形状を整えるため、鋼板の両側面を圧延するサイド
ロールを荒加工用圧延機の出側に配置してもよい。

【００１６】図３（ａ）は本発明による仕上げ加工用圧
延機の概略図、図３（ｂ）は仕上げ加工された鋼板を示
す斜視図である。

【００１７】仕上用圧延機は、仕上用上圧延ロール８
と、これに対向して設けられた仕上用下圧延ロール９と
からなり、仕上用上圧延ロール８は、仕上用上圧延ロー
ル８の表面に円周方向に間隔をおいて図２（ｂ）に示す
鋼板６の凸条７に対応する位置に複数の突起形成用凹部
１０が所定ピッチで形成され、仕上用下圧延ロール９の
表面は平面形状に形成されている。

【００１８】仕上用上圧延ロール８と仕上用下圧延ロー
ル９との間に、荒加工により得られた図２（ｂ）に示す
凸条７が形成された鋼板６を挟持し圧下して上下のロー
ル８，９を互いに反対方向に回転させて圧延すると、鋼
板は塑性加工され、仕上用上圧延ロール８の突起形成用
凹部１０により所定ピッチの突起２が形成される。

【００１９】なお、仕上げ加工用圧延機から出た鋼板６
の鋼板の形状を整えるため、鋼板の両側面を圧延するサ
イドロールを仕上げ加工用圧延機の出側に配置してもよ
い。所定ピッチの突起２が形成された鋼板６をＬ字状、
コ字状あるいは四角に曲げ加工し、パイプ溶接用突起付
裏当金に仕上げる。

【００２０】

【発明の効果】本発明の効果は、次のとおりである。

【００２１】（１）裏当金用鋼材を成形する際に同時に
複数の突起が形成されるので、従来のプレス金型による
プレス工程が不要となり、成形工程が簡略化されるとと
もに、量産が可能となる。

【００２２】（２）鋼板に複数の突起が所定のピッチで
成形されているので、角パイプ寸法に関係なく、同一裏
当金用鋼材で対応できる。

【００２３】（３）複数の突起を成形しているので、角
パイプの端部に裏当金を取り付ける際に、位置が安定す
る。また、突起の厚さを薄くでき、体積が小さいので、
溶接後の欠陥が少なくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の製造方法で得られた角パイプ溶接用突
起付裏当金の斜視図である。

【図２】図２（ａ）は本発明による角パイプ溶接用突起
付裏当金の製造に用いる荒加工用圧延機の概略図、図２
（ｂ）は荒加工された鋼板を示す斜視図である。

【図３】図３（ａ）は本発明による仕上げ加工用圧延機
の概略図、図３（ｂ）は仕上げ加工された鋼板を示す斜
視図である。

【図４】従来のＬ字形をした裏当金の斜視図である。

【図５】従来のプレスにより製造した裏当金の一例を示
す斜視図である。

【図６】従来のプレスにより製造した裏当金の概略断面
図である。

【符号の説明】

１：角パイプ溶接用突起付裏当金 ２：突起 ３：荒加工用上圧延ロール ４：荒加工用下圧
延ロール ５：溝 ６：鋼板 ７：凸条 ８：仕上用上圧延
ロール ９：仕上用下圧延ロール １０：突起形成用凹
部 １１：窪み １２：角パイプ １３：フランジ １４：上金型 １５：下金型 １６：上部凹み １７：下部凹み

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に円周方向に連続した溝が形成され
   た荒加工用上圧延ロールと前記荒加工用上圧延ロールに
   対向して設けられた表面が平面形状の下圧延ロールとか
   らなる荒加工用圧延機により長尺の鋼板を圧延して鋼板
   上に長手方向に連続した凸条を形成した後、表面に円周
   方向に所定ピッチで前記凸条に対応する位置に複数の突
   起形成用凹部が形成された仕上用上圧延ロールと仕上用
   上圧延ロールに対向して設けられた表面が平面形状の仕
   上用下圧延ロールとからなる仕上用圧延機により前記長
   手方向に連続した凸条を形成した鋼板を圧延して所定ピ
   ッチの突起を形成し、所定ピッチの突起が形成された鋼
   板を角パイプ溶接用突起付裏当金に成形することを特徴
   とする角パイプ溶接用突起付裏当金の製造方法。
2. 【請求項２】 荒加工用圧延機及び仕上用圧延機の出側
   で成形した鋼板をサイドロールで挟持して圧延して整形
   することを特徴とする請求項１記載の角パイプ溶接用突
   起付裏当金の製造方法。
3. 【請求項３】 鋼板上に長手方向に連続した凸条を形成
   する荒加工用圧延機と、前記連続した凸条を形成した鋼
   板に所定ピッチの突起を形成する仕上用圧延機とで構成
   され、荒加工用圧延機は表面に円周方向に連続した溝が
   形成された荒加工用上圧延ロールと前記荒加工用上圧延
   ロールに対向して設けられた表面が平面形状の下圧延ロ
   ールとからなり、仕上用圧延機は表面に円周方向に所定
   ピッチで前記凸条に対応する位置に複数の突起形成用凹
   部が形成された仕上用上圧延ロールと仕上用上圧延ロー
   ルに対向して設けられた表面が平面形状の仕上用下圧延
   ロールとからなることを特徴とする角パイプ溶接用突起
   付裏当金の製造用圧延機。
4. 【請求項４】 荒加工用圧延機と仕上用圧延機の出側に
   サイドロールを配置したことを特徴とする請求項３記載
   の角パイプ溶接用突起付裏当金の製造用圧延機。