JPH11149893A - 電子ビーム描画装置および描画方法並びに半導体装置 - Google Patents

電子ビーム描画装置および描画方法並びに半導体装置

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JPH11149893A
JPH11149893A JP9317474A JP31747497A JPH11149893A JP H11149893 A JPH11149893 A JP H11149893A JP 9317474 A JP9317474 A JP 9317474A JP 31747497 A JP31747497 A JP 31747497A JP H11149893 A JPH11149893 A JP H11149893A
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electron beam
beam size
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Kaoru Koike
薫 小池
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1.0μm未満の極微細領域においてもビー
ムサイズ補正を高精度に行うことができると共に、長手
方向の依存性によるパターン間寸法差の発生も解消する
ことができる電子ビーム描画装置および描画方法を提供
する。 【解決手段】 ビームサイズ制御手段102によって、
基準サイズ規定手段101により規定された基準サイズ
(絶対寸法)を基準としてビームサイズの縦幅および横
幅がそれぞれ一次元に変化する。これら一次元変化の組
み合わせにより、ビームサイズが二次元的に変化(疑似
的変化)する。電流量測定手段103により、ビームサ
イズの二次元的変化に対応して電流量が測定され、この
電流量から測定値が見積もられる。ずれ量演算手段10
4によって、測定値の設定値に対するずれ量が各設定値
毎に演算され、定数最適値演算手段105により、設定
値毎のずれ量が最小になるように、または試料に転写さ
れるパターンサイズに合うようにビームサイズ補正式の
定数の最適値が算出される。この最適値がビームサイズ
補正式にフィードバックされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビームサイズの補
正機能を有する電子ビーム描画装置および描画方法、並
びにこの描画方法により作製された半導体装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体ウェハ等の試料面に所望の微細パ
ターンを形成する技術として、電子ビームの描画技術が
注目されているが、大規模回路パターンを形成するため
には高いスループットが要求されるため、現在では回路
パターンをサイズの異なる矩形や台形に分割して描画す
る方式(可変成形描画方式)や、これらの図形を複数個
まとめて描画する方式(一括図形描画方式)が主流とな
りつつある。
【0003】従来の電子ビーム描画装置として、成形窓
が形成された第1のアパーチャマスクと、可変成形窓お
よび一括図形成形窓が形成された第2のアパーチャマス
クとを備え、可変成形描画方式および一括図形描画方式
のいずれをも実現できる構成を有するものがある。
【0004】この電子ビーム描画装置において、可変成
形描画方式を適用する場合には、第1のアパーチャマス
クの成形窓の全面に電子ビームを照射し、その成形窓か
らの電子ビーム像を第2のアパーチャマスクの可変成形
窓に位置を変えて投影させることによりサイズの異なる
電子ビーム像を形成し、その電子ビーム像を用いて任意
のサイズのパターンを描画する。一方、一括図形描画方
式を適用する場合には、第1のアパーチャマスクの成形
窓の全面に電子ビームを照射し、その成形窓からの電子
ビーム像を第2のアパーチャマスクの一括図形成形窓に
位置を変えて投影させることにより複数の図形からなる
電子ビーム像を形成し、その電子ビーム像を用いて所望
のパターンを描画する。
【0005】ところで、このような可変成形あるいは一
括図形描画方式の電子ビーム描画装置では、電子ビーム
光学系の軸ずれ、偏向器の回転偏位および回路の電気的
影響等に起因して、実際のビームサイズが設定値に対し
て誤差を有することがあり、ビームサイズを高精度に測
定し補正する手法が要望されている。
【0006】従来、この電子ビーム描画装置では、ナイ
フエッジ法などの技術を用いてビームサイズを測定し、
その測定結果に基づいて補正を実施している。ナイフエ
ッジ法は、試料近傍の所定の位置に金などの反射率の良
い金属により検出マークを形成し、電子ビームでこの検
出マークのエッジ部分を横切るように走査し、この検出
マークからの反射電子信号を微分し、得られた曲線の例
えば50%強度を電子ビームのビームサイズと判断する
手法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のナイフエッジ法
では、ビームサイズが1.0μm以上の比較的大きな寸
法領域では安定した結果が得られる。しかしながら、ビ
ームサイズが1.0μm未満の微細領域になると、この
ナイフエッジ法では、1.0μm以上の比較的大きな領
域に比べて反射電子や電流量が減少し、このためS/N
比が悪くなり、結果としてビームサイズ補正の精度が低
下する。そのため、従来、このような微細領域において
ビームサイズを求める場合には、安定してビームサイズ
を測定できる内挿領域(例えば1.0〜5.0μmの範
囲)での測定結果からビームサイズを外挿(直線近似)
し、その結果を利用して補正を行っている。しかし、ビ
ームサイズが1.0μm未満の微細領域では、ビームサ
イズの収差成分(ビームぼけ)の占める割合が相対的に
大きくなるため、直線近似方式による方法を用いた場合
でも補正誤差が残り、精度が良くないという問題があ
る。
【0008】また、このナイフエッジ法により得られる
ビームサイズの補正方法として電流密度法がある。この
電流密度法は、エッジ法により求めた1.0〜5.0μ
mの範囲のビームサイズを基準にし、1.0μm未満の
寸法領域のビームサイズの縦幅および横幅の各設定値を
変化させて電流量を測定し、ビームサイズと電流量とが
比例関係(すなわち電流密度が一定)という条件の下
に、各サイズ毎に補正テーブルを作成する手法である。
電流量は矩形状のビームパターンの縦幅および横幅のう
ち、一方を固定し他方のみを段階的に変化させることに
より測定し、この電流量より求まる測定値と設定値との
一次元の対応関係を求めている。測定後の補正手法に
は、電流密度が一定になるようにビームサイズを折れ線
にて補正する折れ線補正と、電流密度が一定になるよう
にビームサイズに一定のシフト量を加えて補正する折れ
線補正とがある。
【0009】しかしながら、測定値と設定値との間に一
次元の対応関係を有する補正値テーブルを作成する方法
では、1.0μm未満の微細領域においてビームサイズ
および電流量を測定する際にはディジタル回路の量子化
誤差や、アナログ回路にのる電源ノイズ等による影響を
受けやすく、これがそのまま補正テーブルに反映され
る。そのため従来の方法では、1.0μm未満の微細領
域でのビームサイズ補正の精度要求に答えられないとい
う問題があった。加えて、従来の電子ビーム描画装置で
は、例えば設定値の横幅を一定としても、縦幅が異なる
と、実際に形成されるビームサイズの横幅は互いに異な
ってしまう現象(以下、ビームサイズの長手方向の依存
性という)が生じてパターン間寸法差が発生するが、上
述の従来のビームサイズ補正方法では、このようなビー
ムサイズの長手方向の依存性を解消することができない
という問題があった。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、1.0μm未満の微細領域において
もビームサイズ補正を高精度に行うことができると共に
長手方向の依存性によるパターン間寸法差の発生も解消
することができる電子ビーム描画装置および描画方法並
びに半導体装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による電子ビーム
描画装置は、試料表面に照射される断面矩形状の電子ビ
ームの縦幅および横幅をそれぞれ寸法を変えて任意に設
定可能であると共に、縦幅および横幅の補正値がそれぞ
れ縦幅および横幅の2つの設定値の関数であるビームサ
イズ補正式に基づいて電子ビームの縦幅および横幅をそ
れぞれ補正する機能を有するビームサイズ設定手段と、
基準サイズを規定する基準サイズ規定手段と、ビームサ
イズの縦幅および横幅を基準サイズを基準としてそれぞ
れ一次元に変化させ、これら一次元変化を様々に組み合
わせてビームサイズが二次元的に変化するように前記ビ
ームサイズ設定手段を制御するビームサイズ制御手段
と、ビームサイズの縦幅および横幅の各設定値が変化す
る毎に、その電流量を測定する電流量測定手段と、この
電流量測定手段により測定される電流量からビームサイ
ズの縦幅および横幅の各設定値に対応する測定値を見積
もり、この測定値の設定値に対するずれ量を各設定値毎
に演算するずれ量演算手段と、このずれ量演算手段によ
り得られる各設定値毎のずれ量が最小になるように、ま
たは試料に転写されるパターンに合うようにビームサイ
ズ補正式の定数の最適値を求め、この最適値を前記ビー
ムサイズ補正式にフィードバックさせる定数最適値演算
手段とを備えた構成を有している。
【0012】本発明による電子ビーム描画方法は、ビー
ムサイズの縦幅および横幅を予め規定された基準サイズ
を基準としてそれぞれ一次元に変化させ、これら一次元
変化を様々に組み合わせてビームサイズを二次元的に変
化させると共に、各設定値が変化する毎にその電流量を
測定する第1のステップと、この第1のステップにより
得られる電流量から各設定値に対応する測定値を見積も
る第2のステップと、この第2のステップで得られる各
設定値毎の測定値の設定値からのずれ量を演算する第3
のステップと、この第3のステップで得られる各設定値
毎のずれ量が最小になるように、または試料に転写され
るパターンサイズに合うように前記ビームサイズ補正式
の定数の最適値を求め、この最適値を前記ビームサイズ
補正式にフィードバックさせる第4のステップとを含む
ものである。
【0013】なお、ビームサイズの「二次元的」な変化
とは、厳密な意味での二次元方向の変化を意味するもの
ではなく、疑似的な二次元方向の変化をいうものとす
る。すなわち、ビームサイズの縦幅および横幅の各方向
の一次元変化を基準サイズ(絶対寸法)を基準にして様
々に組み合わせると、マトリックス状に設定値を変化さ
せることができ、設定値の変化数を多くすることにより
実質的に二次元変化を得ることが可能になる。このビー
ムサイズの疑似的な二次元方向の変化を、本明細書では
「二次元的な」変化という。この「二次元的なビームサ
イズの変化」に応じて、各設定値毎の電流量を測定し、
この電流量から測定値を見積もり、この測定値の設定値
からのずれ量を求めることにより、ビームサイズの実質
的な二次元補正、すなわち、縦幅および横幅のいずれに
おいても、縦幅および横幅の双方の変化を考慮した補正
が可能になる。
【0014】本発明による半導体装置は、本発明による
電子ビーム描画装置を用いて製造されたものであって、
ビームサイズの縦幅および横幅を予め規定された基準サ
イズを基準としてそれぞれ一次元に変化させ、これら一
次元変化を様々に組み合わせてビームサイズを二次元的
に変化させると共に、各設定値が変化する毎にその電流
量を測定する第1のステップと、この第1のステップに
より得られる電流量から各設定値に対応する測定値を見
積もる第2のステップと、この第2のステップで得られ
る各設定値毎の測定値の設定値からのずれ量を演算する
第3のステップと、この第3のステップで得られる各設
定値毎のずれ量が最小になるように、または試料に転写
されるパターンサイズに合うように前記ビームサイズ補
正式の定数の最適値を求め、この最適値を前記ビームサ
イズ補正式にフィードバックさせる第4のステップとを
含むビームサイズ補正がなされた電子ビームにより描画
されたパターンを有している。
【0015】本発明による電子ビーム描画装置および描
画方法では、基準サイズ(絶対寸法)を基準としてビー
ムサイズの縦幅および横幅がそれぞれ一次元に変化し、
これら一次元変化の組み合わせによりビームサイズが二
次元的に変化する。このビームサイズの二次元的変化に
対応して各設定値毎の電流量が測定される。ここで、ビ
ームサイズが1.0μm未満の微細領域では前述のよう
にビームサイズの収差成分(ビームぼけ)の占める割合
が相対的に大きくなるが、測定される電流量にはこの収
差成分が含まれているのでその影響は受けない。すなわ
ち、電流密度はビームサイズの大小にかかわらず一定で
ある。よって、測定された電流量からビームサイズの測
定値を見積もることができる。この測定値の設定値に対
するずれ量が各設定値毎に演算され、これら設定値毎の
ずれ量が最小になるように、または試料に転写されるパ
ターンサイズに合うようにビームサイズ補正式の定数の
最適値が算出され、この最適値がビームサイズ補正式に
フィードバックされる。本発明による半導体装置は、こ
のようなビームサイズ補正がなされた電子ビームにより
描画された微細パターンを有している。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0017】〔第1の実施の形態〕図1は第1の実施の
形態に適用される電子ビーム描画装置1の具体的構成を
表すものである。なお、本発明の電子ビーム描画方法は
電子ビーム描画装置1のビームサイズ補正動作の中に具
現化されているので、ここでは、その方法を電子ビーム
描画装置1の動作に含めて説明する。電子ビーム描画装
置1は、半導体ウェハ,マスク等の試料に対して直接に
描画を行うものである。この電子ビーム描画装置1は、
可変成形描画方式および一括図形描画方式のいずれも適
用可能に構成されているが、本実施の形態では可変成形
描画方式を適用するようにしてもよい。
【0018】電子ビーム描画装置1は、大きく分けて、
電子ビーム光学系A、試料ステージ系Bおよび図2に示
した各機能手段を実現するための制御系により構成され
ている。電子ビーム光学系Aは、電子ビーム1aを試料
ステージ系Bに向けて照射するための電子ビーム源1を
備えている。電子ビーム源1としては例えばランタンヘ
キサボライド(LaB6 )を用いた電子銃が用いられ
る。電子ビーム光学系Aは、電子ビーム源1の照射経路
に沿って、電子ビーム1aの照射の有無(オン・オフ)
を制御するためのブランカ(ブランキング電極)11、
矩形状の開口(成形窓12a)が形成された第1のアパ
ーチャマスク12、この第1のアパーチャマスク12を
通過した電子ビーム1aの偏向制御を行うための成形偏
向器13、矩形状の可変成形窓14aおよび複数の矩形
状の窓を組み合わせて構成される一括図形成形窓14b
が形成された第2のアパーチャマスク14、この第2の
アパーチャマスク14を通過した電子ビーム1aの偏向
制御を行うための副偏向器15、この副偏向器15を通
過した電子ビーム1aの試料ステージ系Bへの焦点補正
を行うための焦点補正レンズ16、および焦点補正レン
ズ16により焦点補正がされた電子ビーム1aの試料ス
テージ系Bへの照射位置を制御するための主偏向器17
がこれらの順で配置された構成を有している。可変描画
方式の本実施の形態では、第2のアパーチャマスク14
のうちの可変成形窓14aが用いられる。なお、一括図
形成形窓14bは後述の一括図形描画方式の第2の実施
の形態において用いられる。
【0019】成形偏向器13は、本実施の形態では、第
1のアパーチャマスク12の成形窓12aから得られる
電子ビーム像を偏向させて第2のアパーチャマスク14
の可変成形窓14bに位置をかえて投影させることによ
り、サイズが異なり断面が矩形状の電子ビーム像を形成
させるものである。この成形偏向器13は偏向駆動回路
26により駆動されるようになっている。偏向駆動回路
26は後述のビームサイズ補正式(1),(2)に基づ
いてビームの各サイズ(縦幅および横幅)を決定すると
共に、ビームサイズ制御部27の制御によって、後述の
ようにビームサイズ補正式中の縦幅および横幅の各設定
値を種々変化させる機能を有している。
【0020】電子ビーム光学系Aでは、更に、電子ビー
ム1aの照射経路の周囲に、電子ビーム1aを第1のア
パーチャマスク12へ収束させるための照射レンズ1
8、第1のアパーチャマスク12を透過した電子ビーム
1aを第2のアパーチャマスク14へ収束させるための
成形レンズ19、第2のアパーチャマスク14を通過し
た電子ビーム1aのビーム径を縮小するための縮小レン
ズ20、およびこの縮小レンズ20により縮小された電
子ビーム1aの試料ステージ系Bへの焦点合わせを行う
ための対物レンズ21がこの順で配設されている。
【0021】試料ステージ系Bは、図示しない駆動源に
より水平面(x−y平面)で移動自在に構成されたx−
yステージ22を備えている。このx−yステージ22
上に試料となる半導体ウェハ23が搭載されるようにな
っている。半導体ウェハ23の表面には例えば感電子ビ
ームレジストが塗布されており、本実施の形態では、こ
のレジストに対して電子ビーム光学系Aから照射された
電子ビーム1aによって描画パターンが形成されるよう
になっている。
【0022】x−yステージ22上には、また、半導体
ウェハ23と離間した位置に電流量測定手段としてのフ
ァラデー・カップ24が配設されている。このファラデ
ー・カップ24にも電子ビーム1aが照射され電流量が
検出されるようになっており、その電流量に基づいてビ
ームサイズの測定値が検出されるようになっている。
【0023】x−yステージ22上には、更に、ステー
ジ表面に対して段差を有する検出マーク25が設けられ
ている。検出マーク25は電子ビームの反射率の良好な
金属例えば金(Au)により形成されている。この検出
マーク25では、前述のナイフエッジ法により、半導体
ウェハ23に照射された電子ビーム1aがエッジ部分を
横切るように走査され、この検出マーク25からの反射
電子信号が反射電子検出器25aにより検出されるよう
になっている。反射電子検出器25aにおいて検出され
た反射電子信号は、所定のレベルまで増幅されたのち演
算部28に送られるようになっている。演算部28で
は、反射電子検出器25aで検出された反射電子信号を
微分し、得られた曲線の例えば50%強度を電子ビーム
1aのビームサイズと判断するようになっている。ここ
でのビームサイズはナイフエッジ法で精度良く得られる
領域(例えば1.0〜5.0μm)におけるものであ
り、この寸法領域で測定されたビームサイズが後述の基
準サイズとなる。
【0024】演算部28には、また、ファラデー・カッ
プ24で検出された電流信号が入力されるようになって
いる。本実施の形態では、この演算部28において、特
に、1.0μm未満の微小領域でのビームサイズ(設定
値)に対応する電流量から測定値を見積もり、この測定
値の設定値からのずれ量を演算すると共に、各設定値毎
のずれ量が最小になるように、または転写されるパター
ンサイズに合うように後述のビームサイズ補正式
(1),(2)の定数の最適値を求めるものである。演
算部28で求められた定数の最適値はビームサイズ補正
式(1),(2)にフィードバックされるようになって
いる。
【0025】この電子ビーム描画装置1では、電子ビー
ム源1より発せられた電子ビーム1aはブランカ11を
介して第1のアパーチャマスク12の矩形状の成形窓1
2aの全面に照射される。この成形窓12aからの電子
ビーム像は、成形偏向器13により第2のアパーチャマ
スク14の可変成形窓14aに位置を変えて投影された
後、更に、副偏向器15、焦点補正レンズ16および主
偏向器17を経て所望のサイズの電子ビーム像となっ
て、これにより半導体ウェハ23の表面のレジストに描
画パターンが形成される。次いで、x−yステージ22
が駆動され位置制御がなされたのち、半導体ウェハ23
の近傍にある電流量測定用のファラデー・カップ24お
よび検出マーク25にも電子ビーム1aが走査される。
ファラデー・カップ24では電子ビーム1aの電流量が
計測される。一方、基準マーク25では、1.0μm以
上の比較的大きな寸法領域の電子ビーム1aが照射さ
れ、その反射電子信号が反射電子検出器25aによって
検出される。
【0026】以上は電子ビーム描画装置1の基本的な動
作説明である。本実施の形態では、電子ビーム1aは後
述の方法により高精度にビームサイズ補正がなされると
共に長手方向の依存性が解消される。この電子ビーム1
aによって半導体ウェハ23上のレジストに所望の微細
パターンが描画される。この微細パターンが描画された
レジストをマスクとして半導体ウェハ23の加工を行う
ことにより1.0μm未満の微細パターンを有する半導
体装置を製造することが可能になる。以下、本発明の特
徴であるビームサイズの補正制御について説明する。
【0027】図2は電子ビーム描画装置1のビームサイ
ズ補正についての機能的なブロック構成を表したもので
ある。この電子ビーム描画装置1は、ビームサイズ設定
手段100および基準サイズ規定手段101を備えてい
る。
【0028】ビームサイズ設定手段100は、試料(半
導体ウェハ23)の表面に照射される断面矩形状の電子
ビーム1aの縦幅および横幅をそれぞれ寸法を変えて複
数段階に設定可能であり、更に、次式に示すビームサイ
ズ補正式(1),(2)に基づいてビームサイズの縦幅
および横幅をそれぞれ補正する機能を有している。次式
からも明らかなように、このビームサイズ補正式では、
横幅および縦幅の補正値W,Hが、それぞれ、横幅およ
び縦幅の2つの設定値Wd ,Hd に対して二次元の対応
関係を有している。
【0029】 W=a0 +a1 d +a2 d +a3 d d …(1) H=b0 +b1 d +b2 d +b3 d d …(2) (但し、Wd ,Hd はそれぞれビームサイズの横幅,縦
幅の設定値、W,Hはそれぞれ補正されたビームサイズ
の横幅,縦幅、a0 ,a1 ,a2 ,a3 ,b0,b1
2 ,b3 はそれぞれ定数を表す。)
【0030】基準サイズ規定手段101は、所定値(こ
こでは、1.0μm)以上の寸法領域(例えば1.0〜
5.0μm)において基準サイズを規定するものであ
る。この基準サイズが、1.0μm未満の微小領域にお
いて電流量から間接的にビームサイズの測定値を算出す
る際の基準となる。
【0031】本実施の形態では、従来の1.0μm以上
の領域では精度良くビームサイズを測定することができ
る方法、例えば前述のナイフエッジ法により、1.0μ
m以上の寸法領域(例えば3.4μm)においてビーム
サイズを正確に測定し、その測定結果を基準サイズとす
る。なお、ナイフエッジ法では、電流密度法とは異な
り、直接的にビームサイズを測定できるため、絶対寸法
として基準サイズを得ることができる。従って、この基
準サイズと、これに対応してファラデー・カップ24に
より検出される電流量とから基準となる電流密度を求
め、電流密度法によって1.0μm未満の微細領域での
測定値を正確に検出することが可能になる。
【0032】なお、ビームサイズ設定手段100は、図
1に示した第1のアパーチャマスク12、成形偏向器1
3、第2のアパーチャマスク14および偏向駆動回路2
6等により、また、基準サイズ規定手段101は、電子
ビーム源10、基準マーク25、反射電子検出器25a
および演算部28によりそれぞれ実現される。
【0033】電子ビーム描画装置1は、また、ビームサ
イズ制御手段102および電流量測定手段103を備え
ている。ビームサイズ制御手段102は、ビームサイズ
の縦幅および横幅を基準サイズを基準としてそれぞれ一
次元に変化させ、これら一次元変化を様々に組み合わせ
てビームサイズが二次元的に変化するようにビームサイ
ズ設定手段101を制御するものである。電流量測定手
段103は、ビームサイズの縦幅および横幅の各設定値
が変化する毎に、その電流量を測定するものである。な
お、ビームサイズ制御手段102は図1に示したビーム
サイズ制御部27により、また、電流量測定手段103
はファラデー・カップ24および演算部28によりそれ
ぞれ実現される。
【0034】これらビームサイズ制御手段102および
電流量測定手段103の作用について、図3および図4
を参照して具体的に説明する。図3はビームサイズの一
次元変化を説明するための図、また、図4はこの一元変
化の組み合わせによるビームサイズの二次元的変化を説
明するための図である。ここでは、ビームサイズの横幅
Wおよび縦幅H共に0.2〜5.0μmの範囲が可変領
域となっている。
【0035】本実施の形態では、図3に示したように、
ビームサイズの縦幅Hおよび横幅Wの各設定値Hd ,W
d のうちの一方、例えばHd を基準サイズ規定手段10
1により規定された基準サイズHS (=3.4μm)に
固定し、他方Wd をWd1,W d2,…,Wdnのように1.
0μm未満の寸法領域(〜0.2μm)にまで変化させ
る。そして、これら設定値Wd1〜Wdnそれぞれに対応し
た測定値を後述の電流密度法により算出する。次いで、
これら横幅の測定値各々について固定した状態で、それ
ぞれについて縦幅の設定値Hd をHd1,Hd2,…,Hdn
のように、同じく1.0μm未満の寸法領域にまで変化
させる。なお、縦幅を先に変化させ、次いで横幅を変化
させるようにしてもよく、また縦幅および横幅の変化数
は互いに異なるようにしてもよい。
【0036】このように基準サイズ(絶対寸法)を基準
にして、ビームサイズの縦幅および横幅をそれぞれ一次
元に変化させ、これら複数の一次元変化を組み合わせる
ことにより、ビームサイズを疑似的に二次元方向に変化
させることができる。この二次元的なビームサイズの変
化に応じて、電流量を測定し、この電流量から測定値を
見積もり、この測定値の設定値からのずれ量を求めるこ
とにより、従来方法では補正精度が悪かった1.0μm
未満の微小領域において、ビームサイズの実質的な二次
元補正が可能になる。すなわち、縦幅および横幅のいず
れにおいても、それぞれ縦幅および横幅の双方の変化を
考慮した補正を行うことができ、その結果、サイズ補正
の精度が向上すると共にビームサイズの長手方向の依存
性も解消される。
【0037】なお、図4では、黒丸で示したように縦幅
および横幅共に、目標とする寸法領域(0.2μm)に
のみにおいてビームサイズを変化させた状態を示してい
る。必要に応じて、これらの領域を増やすことにより広
範囲に渡って高精度なサイズ補正が可能になる。
【0038】電子ビーム描画装置1は、更に、ずれ量演
算手段104および定数最適値演算手段105を備えて
いる。ずれ量演算手段104は、電流量測定手段103
によって測定される電流量から各設定値に対応する測定
値を見積もり、この測定値と設定値とのずれ量を各設定
値毎に演算するものである。
【0039】定数最適値演算手段105は、ずれ量演算
手段104により得られる各設定値毎のずれ量が最小に
なるようにビームサイズ設定手段101におけるビーム
サイズ補正式(1),(2)の定数(a0 〜a3 ,b0
〜b3 )の最適値を求め、この最適値を偏向駆動回路2
6に設定されたビームサイズ補正式(1),(2)にフ
ィードバックさせるようになっている。具体的には、各
設定値毎のずれ量を最小二乗法により設定値の関数と
し、そのとき得られる係数をビームサイズ補正式におけ
る各定数(a0 〜a3 ,b0 〜b3 )に加えるよう補正
を行う。ここで、ビームサイズ補正式(1),(2)で
は、横幅および縦幅の補正値W,Hがそれぞれ横幅およ
び縦幅の各設定値Wd ,Hd に対して二次元の対応関係
を有しているため、このように定数を最適値とすると共
にこれを繰り返すことにより、実質的に二次元補正を精
度良く行うことができる。
【0040】定数を求めるためのパラメータ・フィッテ
ィングの方法としては、単に計算されたずれ量を最小に
するだけでなく、転写されるパターンサイズに合うよう
に、すなわち、レジスト現像時の誤差などを吸収するた
めに、予め望ましい補正式の状態を記憶させておき、そ
の状態に近づくようにしてもよい。
【0041】なお、ずれ量演算手段104および定数最
適値演算手段105はそれぞれ図1に示した演算部28
により実現される。
【0042】次に、図5および図6の流れ図を参照し
て、この電子ビーム描画装置1のビームサイズ補正制御
の動作について説明する。本実施の形態のビームサイズ
補正は、公知の方法による比較的大きな寸法領域(1.
0〜5.0μm)についての第1の補正段階(ステップ
S100〜ステップS107)と、電流密度を用いた二
次元的補正による第2の補正段階(ステップS108〜
ステップS117)とにより行われる。
【0043】まず、第1の補正段階では、予め定数を決
定しビームサイズ補正式(1),(2)の設定を行い
(ステップS100)、ナイフエッジ法などの公知の方
法により所定値以上の寸法領域においてビームサイズの
測定値を求める(ステップS101)。次いで、この測
定値の設定値に対するずれ量を求め、このずれ量に応じ
てビームサイズの補正演算を行い(ステップS10
2)、その結果、設定値と測定値との差が所定の誤差範
囲内である場合(ステップS103;Y)には、次のス
テップ(図6のステップ108)へ移行する。設定値と
測定値との差が所定の誤差範囲以上である場合(ステッ
プS103;N)にはビームサイズ補正式(1),
(2)の定数の再設定を行い、上記と同様のステップを
繰り返す(ステップS104〜107)。これにより設
定値と測定値との差が所定の誤差範囲内となった場合
(ステップS107;Y)には第1の補正段階を終了
し、ステップ108へ移行する。なお、この段階のナイ
フエッジ法により得られる寸法を基準サイズとする。
【0044】第2の補正段階では、第1の補正段階で得
られる基準サイズを基準とし、前述のようにビームサイ
ズの縦幅および横幅を一次元に変化させ、これら一次元
変化を様々に組み合わせてビームサイズを二次元的に変
化させる。そして、縦幅および横幅の各設定値が変化す
る毎にその電流量を測定する(ステップS108)。次
いで、得られた電流量から各設定値に対応する測定値を
見積もり(ステップS109)、これら測定値の設定値
に対するずれ量を演算する(ステップS110)。そし
て、各設定値毎のずれ量が最小になるように、または転
写されるパターンサイズに合うようにビームサイズ補正
式(1),(2)の定数(a0 〜a3 ,b1 〜b3 )の
最適値を求め、この最適値をビームサイズ補正式
(1),(2)にフィードバックさせて補正式を決定す
る(ステップS111)。次いで、この新たなビームサ
イズ補正式によって補正された結果得られる測定値と設
定値との差が所定の誤差範囲内であるか否かを判断し
(ステップS112)、所定の誤差範囲内である場合
(ステップS112;Y)には第2の補正段階を終了す
る。一方、差が所定の誤差範囲以上である場合(ステッ
プS112;N)には各サイズの電流量を再度測定し、
上記と同様のステップを繰り返す(ステップS113〜
117)。これにより測定値の設定値に対する差が所定
の誤差範囲内となった場合(ステップS117;Y)に
は第2の補正段階を終了する。
【0045】このように本実施の形態では、可変成形描
画方式の電子ビーム描画装置において、第1の補正段階
において、ナイフエッジ法などの公知の方法を用いて比
較的大きな寸法領域のビームサイズ補正を行うと共に、
この領域において基準サイズを規定した後に、第2の補
正段階において電流密度法による二次元的な補正を行う
ようにしたので、従来方法などでは不可能であった1.
0μm未満の微細寸法領域においても高精度なビームサ
イズ補正を実現できる。
【0046】また、本実施の形態では、実質的に二次元
補正が可能であるため、従来の補正方法においてパター
ン間寸法差の原因となっていたビームサイズの長手方向
の依存性も解消することができる。
【0047】以上、本発明の第1の実施の形態について
説明したが、以下、その他の実施の形態について説明す
る。 〔第2の実施の形態〕
【0048】第1の実施の形態では第2のアパーチャマ
スク14の可変成形窓14aを利用した可変成形描画方
式の電子ビーム描画装置について説明したが、本実施の
形態では、一括図形成形窓14bを利用して一括図形成
形描画方式で描画を行う。その基本的な構成(図1およ
び図2)は第1の実施の形態と同じであり、その説明は
省略し、第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説
明する。
【0049】本実施の形態では、図2に示したビームサ
イズ設定手段100および基準サイズ規定手段101の
構成が第1の実施の形態と異なっている。ビームサイズ
設定手段100は、成形窓を有する第1のアパーチャマ
スク12と、この第1のアパーチャマスク12の成形窓
12aに対応して一括図形成形窓14bを有する第2の
アパーチャマスク14と、この第2のアパーチャマスク
14の成形窓14aから得られる電子ビーム像を偏向さ
せて第2のアパーチャマスク14の一括図形成形窓14
bに位置をかえて投影させることにより断面が矩形状の
複数の図形からなる電子ビーム像を形成するための成形
偏向器13と、この成形偏向器13を予め定められたビ
ームサイズ補正式(1),(2)に基づいて駆動させる
偏向駆動回路26とにより構成されている。
【0050】基準サイズ規定手段101は、本実施の形
態では、第2のアパーチャマスク14の一括図形成形窓
14bにより規定されるサイズ(絶対寸法)を基準サイ
ズとするようになっている。すなわち、一括図形成形窓
14bのサイズは予めSEM(Scanning Electron Micr
oscope;走査型電子顕微鏡)などにより精度良く計測す
ることができ、これを基準サイズとして第1の実施の形
態におけるナイフエッジ法により求めた測定値の代わり
とするものである。これら以外の構成は第1の実施の形
態と同様である。
【0051】本実施の形態では、一括図形成形窓14b
により規定される基準サイズを基準にして各設定値毎の
測定値を測定し、各測定値の設定値に対するずれ量が最
小になるように、または試料に転写されるパターンサイ
ズに合わせるように、ビームサイズ補正式(1),
(2)の定数をパラメータ・フィッティングにより合わ
せ込む。電流密度法による補正手法そのものは第1の実
施の形態と同じであるので、その説明は省略する。
【0052】本実施の形態においても第1の実施の形態
と同様に、従来方法などでは不可能だった1.0μm未
満の微細領域での高精度なビームサイズ補正を実現でき
ると共に、ビームサイズの長手方向の依存性を解消する
ことができる。
【0053】〔第3の実施の形態〕第1の実施の形態お
よび第2の実施の形態では、目標とするビームサイズ
(例えば0.2μm)も含めて広い範囲に渡ってビーム
サイズを二次元的に変化させるようにしたが、本実施の
形態では、図4の黒丸で示したように、目標とするビー
ムサイズ近傍領域のみにおいて二次元的変化を生じさせ
るようビームサイズ設定手段101を制御し、そのとき
の電流量から測定値を求め、この測定値の設定値に対す
るずれ量を求めるものである。
【0054】このようにビームサイズの可変範囲のうち
目標とするビームサイズ近傍のみで測定値の設定値に対
するずれ量を求め、そのずれ量から補正を行うことによ
り、目標とするサイズの補正精度を犠牲にすること無
く、高速にビームサイズ補正を行うことができる。な
お、その他の構成および作用効果は第1の実施の形態と
同じである。
【0055】〔第4の実施の形態〕本実施の形態では、
図2に示したビームサイズ制御手段102によってビー
ムサイズに二次元的変化を生じさせる際に、目標とする
ビームサイズ近傍領域に対して重みを付けて変化させる
ものである。例えば、目標とするサイズを0.2μmと
すると、5.0μmや3.0μm付近では0.2μm刻
み、1.0μm以下では0.1μm刻み、また、0.4
μm以下では0.05μm刻みでビームサイズを変化さ
せる。その後は第1の実施の形態と同様に、各サイズ毎
の電流量を測定し、測定値の設定値からのずれ量を求め
る。この重み付けしたずれ量から補正を行うため、目標
とするサイズの補正精度が向上し、あるいは目標とする
サイズの補正精度を犠牲にすること無く、高速にビーム
サイズを補正することができる。その他の構成および作
用効果は第1の実施の形態と同じである。
【0056】〔第5の実施の形態〕第5の実施の形態で
は、図2に示したずれ量演算手段105によって測定値
の設定値に対するずれ量を演算する際に、目標とするビ
ームサイズ近傍領域に対して重みを付けて演算を行うも
のである。例えば、目標とするサイズを0.2μmとす
ると、5.0μmや3.0μm付近ではずれ量の重み付
け係数を1、1.0μm以下では同係数を2、0.4μ
m以下では同係数を4というように、測定値の設定値に
対するずれ量に重みを付ける。この重み付けした演算結
果によりビームサイズ補正式の定数を求めることによ
り、目標とするサイズの補正精度が向上し、または目標
とするサイズの補正精度を犠牲にすること無く、高速に
ビームサイズを補正することができる。
【0057】以上実施の形態を挙げて本発明を説明した
が、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく
種々変形可能である。例えば、適用される電子ビーム描
画装置の構成は図1に示したものに限らず、他の構成の
ものでもよい。また、第1の実施の形態においては、基
準サイズの決定をナイフエッジ法により行うようにした
が、絶対寸法を測定できるものであれば、他の方法でも
よい。更に、上記実施の形態では、ビームサイズの所定
値を1.0μmとし、基準サイズをこの所定値以上の範
囲(1.0〜5.0μm)で規定するようにしたが、こ
の範囲は精度良く絶対寸法を測定できる範囲であればよ
い。従って、所定値は1.0μm以外の値であってもよ
い。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし請求
項12のいずれかに記載の電子ビーム描画装置、または
請求項11ないし請求項16のいずれかに記載の電子ビ
ーム描画方法によれば、ビームサイズの縦幅および横幅
をそれぞれ一次元に変化させ、これら一次元変化を様々
に組み合わせることによりビームサイズを二次元的に変
化させて実質的に二次元補正を行うようにしたので、公
知の方法では精度の良くなかった所定値未満の寸法領域
においてもビームサイズ補正を高精度に行うことができ
ると共に、ビームサイズの長手方向の依存性を解消しパ
ターン間寸法差の発生も防止することができるという効
果を奏する。
【0059】特に、請求項9記載の電子ビーム描画装置
および請求項14記載の描画方法によれば、目標とする
ビームサイズ近傍領域のみにおいて二次元的に変化させ
て補正を行うようにしたので、上記効果に加え、目標と
するサイズの補正精度を犠牲にすること無く、高速にビ
ームサイズ補正を行うことができるという効果を奏す
る。
【0060】また、請求項10記載の電子ビーム描画装
置および請求項15記載の描画方法によれば、ビームサ
イズを変化させる際に目標とするビームサイズ近傍領域
に対して重みを付けて変化させ、これら重み付けしたサ
イズ毎の電流量を測定して補正を行うようにしたので、
上記効果に加え、目標とするサイズの補正精度が向上
し、あるいは目標とするサイズの補正精度を犠牲にする
こと無く、高速にビームサイズ補正を行うことができる
という効果を奏する。
【0061】更に、請求項11記載の電子ビーム描画装
置および請求項16記載の描画方法によれば、測定値と
設定値とのずれ量を演算する際に、目標とするビームサ
イズ近傍領域に対して重みを付けて演算を行うようにし
たので、上記効果に加え、目標とするサイズの補正精度
が向上し、または目標とするサイズの補正精度を犠牲に
すること無く、高速にビームサイズ補正を行うことがで
きるという効果を奏する。
【0062】また、請求項17の半導体装置によれば、
請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の電子ビー
ム描画装置、または請求項11ないし請求項16のいず
れかに記載の電子ビーム描画方法を用いて製造するよう
にしたので、高精度にサイズ補正がなされた微細なパタ
ーンを有するものとなり、より高集積化を図ることが可
能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子ビーム描
画装置の構成図である。
【図2】図1の電子ビーム描画装置のビームサイズ補正
機能を説明するためのブロック図である。
【図3】ビームサイズの縦幅および横幅を一次元に変化
させる方法を説明するための図である。
【図4】縦幅および横幅の一次元変化を組み合わせた2
次元的変化を説明するための図である。
【図5】図1の電子ビーム描画装置のビームサイズ補正
動作を説明するための流れ図である。
【図6】同じくビームサイズ補正動作を説明するための
流れ図である。
【符号の説明】
1…電子ビーム描画装置、10…電子ビーム源、12…
第1のアパーチャマスク、13…成形偏向器、14…第
2のアパーチャマスク、23…半導体ウェハ、24…フ
ァラデー・カップ、25…基準マーク、26…偏向駆動
回路、27…ビームサイズ制御部、28…演算部、10
0…ビームサイズ設定手段、101…基準サイズ規定手
段、102…ビームサイズ制御手段、103…電流量測
定手段、104…ずれ量演算手段、105…定数最適値
演算手段

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料表面に照射される断面矩形状の電子
    ビームの縦幅および横幅をそれぞれ寸法を変えて任意に
    設定可能であると共に、縦幅および横幅の補正値がそれ
    ぞれ縦幅および横幅の2つの設定値の関数であるビーム
    サイズ補正式に基づいて電子ビームの縦幅および横幅を
    それぞれ補正する機能を有するビームサイズ設定手段
    と、 基準サイズを規定する基準サイズ規定手段と、 ビームサイズの縦幅および横幅を前記基準サイズを基準
    としてそれぞれ一次元に変化させ、これら一次元変化を
    様々に組み合わせてビームサイズが二次元的に変化する
    ように前記ビームサイズ設定手段を制御するビームサイ
    ズ制御手段と、 ビームサイズの縦幅および横幅の各設定値が変化する毎
    に、その電流量を測定する電流量測定手段と、 この電流量測定手段により測定される電流量からビーム
    サイズの縦幅および横幅の各設定値に対応する測定値を
    見積もり、この測定値の設定値に対するずれ量を各設定
    値毎に演算するずれ量演算手段と、 このずれ量演算手段により得られる各設定値毎のずれ量
    が最小になるように、または試料に転写されるパターン
    に合うように前記ビームサイズ補正式の定数の最適値を
    求め、この最適値を前記ビームサイズ補正式にフィード
    バックさせる定数最適値演算手段とを備えたことを特徴
    とする電子ビーム描画装置。
  2. 【請求項2】 前記ビームサイズ制御手段は、ビームサ
    イズの縦幅および横幅の各設定値のうちの一方を基準サ
    イズに固定した状態で他方を変化させ、次いで、これら
    他方の各設定値に対応する測定値毎に、各測定値を固定
    した状態で一方の設定値を変化させるよう制御すること
    を特徴とする請求項1記載の電子ビーム描画装置。
  3. 【請求項3】 前記ビームサイズ設定手段は、前記電子
    ビーム照射手段からの電子ビームが照射される成形窓を
    有する第1のアパーチャマスクと、この第1のアパーチ
    ャマスクの成形窓に対応して可変成形窓を有する第2の
    アパーチャマスクと、前記第1のアパーチャマスクの成
    形窓から得られる電子ビーム像を偏向させて第2のアパ
    ーチャマスクの可変成形窓に位置をかえて投影させるこ
    とにより断面が矩形状の電子ビーム像を形成するための
    成形偏向器と、この成形偏向器を前記ビームサイズ補正
    式に基づいて駆動させる偏向駆動回路とを含んで構成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の電子ビーム描
    画装置。
  4. 【請求項4】 前記ビームサイズ設定手段は、前記電子
    ビーム照射手段からの電子ビームが照射される成形窓を
    有する第1のアパーチャマスクと、この第1のアパーチ
    ャマスクの成形窓に対応して一括図形成形窓を有する第
    2のアパーチャマスクと、前記第1のアパーチャマスク
    の成形窓から得られる電子ビーム像を偏向させて第2の
    アパーチャマスクの一括図形成形窓に位置をかえて投影
    させることにより断面が矩形状の複数の図形からなる電
    子ビーム像を形成するための成形偏向器と、この成形偏
    向器を前記ビームサイズ補正式に基づいて駆動させる偏
    向駆動回路とを含んで構成されていることを特徴とする
    請求項1記載の電子ビーム描画装置。
  5. 【請求項5】 前記ビームサイズを少なくとも所定値未
    満の寸法領域において二次元的に変化させてビームサイ
    ズ補正を行うことを特徴とする請求項1記載の電子ビー
    ム描画装置。
  6. 【請求項6】 前記基準サイズ規定手段は、所定値以上
    の寸法領域において電子ビームの絶対寸法を測定し、そ
    の測定結果を基準サイズとすることを特徴とする請求項
    3記載の電子ビーム描画装置。
  7. 【請求項7】 前記基準サイズとなる絶対寸法をナイフ
    エッジ法により測定することを特徴とする請求項6記載
    の電子ビーム描画装置。
  8. 【請求項8】 前記基準サイズ規定手段は、前記第2の
    アパーチャマスクの一括図形成形窓により規定される絶
    対寸法を基準サイズとすることを特徴とする請求項4記
    載の電子ビーム描画装置。
  9. 【請求項9】 前記ビームサイズ制御手段は、目標とす
    るビームサイズ近傍領域のみにおいて設定値が変化する
    よう前記ビームサイズ設定手段を制御することを特徴と
    する請求項1記載の電子ビーム描画装置。
  10. 【請求項10】 前記ビームサイズ制御手段は、設定値
    を変化させる際に、目標とするビームサイズ近傍領域に
    対して重みを付けて変化させることを特徴とする請求項
    1記載の電子ビーム描画装置。
  11. 【請求項11】 前記ずれ量演算手段は、測定値の設定
    値に対するずれ量を演算する際に、目標とするビームサ
    イズ近傍領域に対して重みを付けて演算を行うことを特
    徴とする請求項1記載の電子ビーム描画装置。
  12. 【請求項12】 前記ビームサイズ補正式は、 W=a0 +a1 d +a2 d +a3 d d H=b0 +b1 d +b2 d +b3 d d (但し、Wd ,Hd はそれぞれビームサイズの横幅,縦
    幅の設定値、W,Hはそれぞれ補正されたビームサイズ
    の横幅,縦幅、a0 ,a1 ,a2 ,a3 ,b0,b1
    2 ,b3 はそれぞれ定数を表す。)であり、かつ前記
    定数最適値演算手段は、前記ずれ量演算手段により得ら
    れる各設定値毎のずれ量から前記ビームサイズ補正式に
    おける各定数(a0 〜a3 ,b0 〜b3 )の最適値を求
    めることを特徴とする請求項1記載の電子ビーム描画装
    置。
  13. 【請求項13】 第1のアパーチャマスクの成形窓に電
    子ビームを照射し、その成形窓からの電子ビーム像を、
    縦幅および横幅の補正値がそれぞれ縦幅およ び横幅の2つの設定値の関数であるビームサイズ補正式
    に基づいて補正する機能を有する成形偏向器により偏向
    制御して第2のアパーチャマスクの可変成形窓または一
    括図形成形窓に位置を変えて投影させることにより、サ
    イズの異なる電子ビーム像を形成し、その電子ビーム像
    を用いて試料に任意のサイズのパターンを描画する電子
    ビーム描画方法であって、 ビームサイズの縦幅および横幅を予め規定された基準サ
    イズを基準としてそれぞれ一次元に変化させ、これら一
    次元変化を様々に組み合わせてビームサイズを二次元的
    に変化させると共に、各設定値が変化する毎にその電流
    量を測定する第1のステップと、 この第1のステップにより得られる電流量から各設定値
    に対応する測定値を見積もる第2のステップと、 この第2のステップで得られる各設定値毎の測定値の設
    定値からのずれ量を演算する第3のステップと、 この第3のステップで得られる各設定値毎のずれ量が最
    小になるように、または試料に転写されるパターンサイ
    ズに合うように前記ビームサイズ補正式の定数の最適値
    を求め、この最適値を前記ビームサイズ補正式にフィー
    ドバックさせる第4のステップとを含むことを特徴とす
    る電子ビーム描画方法。
  14. 【請求項14】 前記第1のステップでは、目標とする
    ビームサイズ近傍領域のみにおいて設定値を変化させる
    ことを特徴とする請求項13記載の電子ビーム描画方
    法。
  15. 【請求項15】 前記第1のステップにおいて設定値を
    変化させる際に、目標とするビームサイズ近傍領域に対
    して重みを付けて変化させることを特徴とする請求項1
    3記載の電子ビーム描画方法。
  16. 【請求項16】 前記第3のステップにおいて測定値の
    設定値に対するずれ量を演算する際に、目標とするビー
    ムサイズ近傍領域に対して重みを付けて演算を行うこと
    を特徴とする請求項13記載の電子ビーム描画方法。
  17. 【請求項17】 第1のアパーチャマスクの成形窓に電
    子ビームを照射し、その成形窓からの電子ビーム像を、
    縦幅および横幅の補正値がそれぞれ縦幅および横幅の2
    つの設定値の関数であるビームサイズ補正式に基づいて
    補正する機能を有する成形偏向器により偏向制御して第
    2のアパーチャマスクの可変成形窓または一括図形成形
    窓に位置を変えて投影させることにより、サイズの異な
    る電子ビーム像を形成し、その電子ビーム像を用いて試
    料に任意のサイズのパターンを描画する電子ビーム描画
    装置を用いて製造される半導体装置であって、 ビームサイズの縦幅および横幅を予め規定された基準サ
    イズを基準としてそれぞれ一次元に変化させ、これら一
    次元変化を様々に組み合わせてビームサイズを二次元的
    に変化させると共に、各設定値が変化する毎にその電流
    量を測定する第1のステップと、この第1のステップに
    より得られる電流量から各設定値に対応する測定値を見
    積もる第2のステップと、この第2のステップで得られ
    る各設定値毎の測定値の設定値からのずれ量を演算する
    第3のステップと、この第3のステップで得られる各設
    定値毎のずれ量が最小になるように、または試料に転写
    されるパターンサイズに合うように前記ビームサイズ補
    正式の定数の最適値を求め、この最適値を前記ビームサ
    イズ補正式にフィードバックさせる第4のステップとを
    含むビームサイズ補正がなされた電子ビームにより描画
    されたパターンを有することを特徴とする半導体装置。
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