JPH11148827A - 方位姿勢基準装置 - Google Patents

方位姿勢基準装置

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JPH11148827A
JPH11148827A JP9315238A JP31523897A JPH11148827A JP H11148827 A JPH11148827 A JP H11148827A JP 9315238 A JP9315238 A JP 9315238A JP 31523897 A JP31523897 A JP 31523897A JP H11148827 A JPH11148827 A JP H11148827A
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Toru Maeda
前田  徹
Mikio Morohoshi
幹雄 諸星
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ストラップダウン型の方位姿勢基準装置におい
てアラインメントを迅速化し、インフライトでも実施可
能にすることを目的とする。 【解決手段】 座標変換マトリックス(CTM)の誤差
修正において、姿勢角誤差修正と方位角誤差修正を分離
し、姿勢角誤差修正を行ってから方位角誤差修正を行
う。先ず姿勢角誤差の推定値が所定の確度にて得られる
ようになったら、この姿勢角誤差の推定値によって座標
変換マトリックス(CTM)の誤差修正をし、それが終
了した後に、方位角の設定値によって座標変換マトリッ
クス(CTM)を誤差修正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は船舶、航空機、自動
車等の航行体に装備し、航行体の方位及び姿勢角(ロー
ル角及びピッチ角)を検出するためのストラップダウン
型の方位姿勢基準装置に関し、より詳細には、アライン
メントモードにおいてカルマンフィルタによって誤差を
推定するように構成された方位姿勢基準装置に関する。
【0002】
【従来の技術】航空機には方位及び姿勢角を検出するた
めの方位姿勢基準装置又はAHRS(Attitude Heading
Reference System )が搭載されている。AHRSによ
って得られた方位及び姿勢信号等はオートパイロット装
置に供給され、それによってオートパイロット装置は航
空機を自動操縦する。こうして、AHRS及びオートパ
イロット装置はパイロットの感覚を補って安全な飛行を
可能にする。
【0003】方位姿勢基準装置には、プラットホーム型
とストラップダウン型が知られている。プラットホーム
型は、ジャイロ等のセンサをプラットホームに取り付
け、このプラットホームを水平に且つ南北方向に指向さ
せる機構を有する。ストラップダウン型は、ジャイロ等
のセンサを航行体に直接取り付け、機械的なプラットホ
ームや方位ジンバルを備えない。コンピュータ上にて架
空のプラットホームを想定し、この架空のプラットホー
ムを水平に且つ南北方向に指向させるように構成されて
いる。ストラップダウン型の方位姿勢基準装置ではこの
架空のプラットホームを制御するために座標変換マトリ
ックスが使用される。
【0004】ストラップダウン型の方位姿勢基準装置で
は、方位及び姿勢角の初期値を求める初期化又はアライ
ンメントという作業がなされる。これは航行体又は方位
姿勢基準装置の方位及び姿勢角の初期値を求めることで
あるが、基本的には方位及び姿勢誤差及びジャイロ誤差
等を予め求め、その補正を演算することである。この初
期化又はアラインメントは通常航行体の出発前になされ
るが、後に説明するように航行中に適宜行われてもよ
い。従って方位姿勢基準装置は先ず、アラインメントモ
ードにて作動され、アラインメントが終了した後に方位
及び姿勢角等が出力される。
【0005】図3は従来の方位姿勢基準装置の構成の概
略を示すブロック図である。航空機、船舶等の航行体に
は、Xジャイロ1A、Yジャイロ1B及びZジャイロ1
Cが取り付けられ、これらの3つのジャイロは航行体の
主要3軸、即ちXYZ軸方向の入力軸線を有するように
配置される。Xジャイロ1A、Yジャイロ1B及びZジ
ャイロ1CはそれぞれX軸周りの回転角速度、Y軸周り
の回転角速度及びZ軸周りの回転角速度を検出する。こ
れらのジャイロは例えば、リングレーザジャイロ、光フ
ァイバジャイロ等の非回転式のジャイロよりなる。
【0006】航行体には、更にX加速度計2A、Y加速
度計2B及びZ加速度計2Cが取り付けられ、これらの
3つの加速度計は航行体の主要3軸、即ちXYZ軸方向
の入力軸線を有するように配置されている。X加速度計
2A、Y加速度計2B及びZ加速度計2Cはそれぞれ水
平面に対するX軸、Y軸及びZ軸の傾斜角度及び運動加
速度を検出する。尚、航行体には、更に航行体の主要軸
線、例えば、船首軸線、機体軸線に沿って速度センサ3
が取り付けられる。
【0007】方位姿勢基準装置は信号変換部4と信号演
算部5と信号出力部6とを有する。信号変換部4はXジ
ャイロ1A、Yジャイロ1B及びZジャイロ1Cの出力
信号XG、YG、ZGとX加速度計2A、Y加速度計2
B及びZ加速度計2Cの出力信号XA、YA、ZAを入
力する。
【0008】これらの信号は信号変換部4を介して信号
演算部5に供給される。信号演算部5は信号変換部4か
ら供給されたこれらの信号と速度センサ3から供給され
た(基準)速度信号REW、RSNを入力して、XYZ方向
の角速度、ロール角、ピッチ角、方位角、緯度及び経度
等を演算する。これらの値は信号出力部6を経由して外
部へ供給される。
【0009】図4を参照してカルマンフィルタを用いた
方位姿勢基準装置のアラインメントを説明する。この例
は、本願出願人と同一の出願人によって平成9年6月2
3日付けにて出願された特願平9−165794号に開
示されたものであり、詳細は同出願を参照されたい。図
4は方位姿勢基準装置の信号演算部5の構成例を示す。
信号演算部5は図示のように、CTM演算部(座標変換
マトリックス演算部)21、加速度水平成分演算部2
2、速度水平成分演算部23及び方位姿勢誤差演算部2
4を有する。
【0010】CTM演算部(座標変換マトリックス演算
部)21は信号変換部4より供給されたX、Y、Zジャ
イロ信号XG、YG、ZGを入力し、航行体座標を局地
水平面上の局地水平座標系に変換するための座標変換マ
トリックス(CTM)を演算する。この座標変換マトリ
ックスは方位姿勢誤差演算部24からの修正トルク信号
によって時々刻々誤差修正される。
【0011】CTM演算部21は座標変換マトリックス
によって局地水平座標系の角速度ω 1 、ω2 、ω3 を演
算し、それを時々刻々積分する。それによって方位角及
び姿勢角が求められる。一方、X、Y、Zジャイロ信号
XG、YG、ZGはXレート、Yレート及びZレートと
して信号出力部6に供給される。
【0012】加速度水平成分演算部22は信号変換部4
より供給されたX、Y、Z加速度計信号XA、YA、Z
Aと、CTM演算部21より供給されたCTM信号、即
ち、座標変換マトリックスを入力して、東西方向の加速
度の水平成分AEWと南北方向の加速度の水平成分ASN
演算する。
【0013】速度水平成分演算部23は加速度水平成分
演算部22より供給され東西方向及び南北方向の加速度
の水平成分AEW、ASNを入力し、それを積分して東西方
向及び南北方向の速度の水平成分VEW、VSNを演算す
る。速度の水平成分信号VEW、VSNは、方位姿勢誤差演
算部24に供給される。
【0014】方位姿勢誤差演算部24は、速度の水平成
分信号VEW、VSNと速度センサ3から供給された(基
準)速度信号REW、RSNを入力して両者の偏差δEW、δ
SNを演算し、この偏差δEW、δSNに基づいて方位及び姿
勢角の誤差を推定演算する。この方位及び姿勢角の誤差
の推定値は修正トルク信号としてCTM演算部21の供
給される。方位姿勢誤差演算部24におけるこの推定演
算はカルマンフィルタを用いてなされる。
【0015】ここで方位姿勢誤差演算部24の主要機能
であるカルマンフィルタの概要を簡単に説明する。シス
テムは1次の微分方程式によって記述されることができ
るものとする。
【0016】
【数1】d〔x〕/dt=〔A〕〔x〕+〔η〕
【0017】この式の各項は次のようなものである。 〔x〕:最適推定値の状態ベクトル(n次ベクトル) 〔A〕:システム行列(n×n行列) 〔η〕:システム外乱ベクトル(n次のベクトル) この式を遷移行列法によって離散形に変形すると次のよ
うになる。
【0018】
【数2】〔x(t+Δt)〕=〔Φ〕〔x(t)〕+
〔G〕〔η〕
【0019】尚、Φ及びGは次の式によって表される。
【0020】
【数3】Φ=I+AΔt+(Δt2 /2)・A2 G=ΦΔt〔I−(Δt/2)・A〕
【0021】Iは単位行列である。観測系は次の式によ
って表される。
【0022】
【数4】〔y〕=〔H〕〔x〕+〔v〕
【0023】この式の各項は次のようなものである。 〔y〕:観測値の状態ベクトル(m次ベクトル) 〔H〕:観測行列(m×n行列) 〔v〕:観測外乱ベクトル(n×n行列) システムが数1の式〜数4の式によって記述されること
ができる場合には、システムの状態ベクトル、即ち、最
適推定値x(t+Δt,t+Δt)は次の式によって求
められる。
【0024】
【数5】P(t+Δt,t)=Φ・P(t,t)ΦT
G(Q/Δt)GT K(t+Δt,t)=P(t+Δt,t)HT 〔H・P
(t+Δt,t)HT+R〕-1 x(t+Δt,t)=Φ・x(t,t) x(t+Δt,t+Δt)=x(t+Δt,t)+K
(t+Δt,t)〔y−H・x(t+Δt,t)〕 P(t+Δt,t+Δt)=〔I−K(t+Δt,t)
・H〕P(t+Δt,t)
【0025】Kはカルマンゲイン、Pはシステムの状態
ベクトルの誤差共分散行列、Qはシステム外乱ベクトル
の誤差共分散行列、Rは観測外乱ベクトルの誤差共分散
行列であり、それぞれ次のように表される。尚、右辺の
Eは期待値を表す。
【0026】
【数6】P=E〔x,xT 〕 Q=E〔η,ηT 〕 R=E〔v,vT
【0027】数4の式の各項は次のような意味を有す
る。P(t,t)は現時刻tにおける誤差共分散行列、
P(t+Δt,t)は現時刻tにて予測した時刻t+Δ
tの誤差共分散行列の予測値であり、現時刻tにおける
システム誤差の統計量がΔt後に如何なる値に変化する
のかを予想した期待値である。
【0028】K(t+Δt,t)は現時刻tにて時刻t
+Δtにおけるシステム誤差を推定するためのカルマン
ゲインである。x(t+Δt,t)は現時刻tにて予測
した時刻t+Δtにおけるシステム誤差の最適予測値で
あり、現時刻tの誤差x(t,t)に係数Φを乗じて得
られる。
【0029】x(t+Δt,t+Δt)は時刻t+Δt
にて推定した時刻t+Δtのシステム誤差の最適推定値
である。この最適推定値は、現時刻tにおけるシステム
誤差の予測値x(t+Δt,t)を、観測値と最適予測
値の偏差〔y−H・x(t+Δt,t)〕にカルマンゲ
インKを乗じた値で修正することによって求められる。
最適推定値によってシステム誤差が修正される。
【0030】P(t+Δt,t+Δt)は時刻t+Δt
にて推定した時刻t+Δtの誤差共分散行列の最適推定
値である。この推定値は、誤差共分散行列の予測値P
(t+Δt,t)をカルマンゲインKを用いて修正する
ことによって得られる。
【0031】カルマンフィルタによって位置及び姿勢角
を推定する場合に、観測値として複数のパラメータを選
択することができる。これらのパラメータに対して重み
付けをすることができる。推定の重み付けに寄与するの
はカルマンゲインKである。カルマンゲインKは、どの
観測値からどの状態ベクトルをどの程度に推定するかを
表す。
【0032】カルマンゲインKは上述の誤差共分散行列
P,Q,Rによって変化する。従って、設計値として、
状態ベクトルの誤差共分散行列Pの初期値PI 、システ
ム外乱ベクトルの誤差共分散行列Q、観測外乱ベクトル
の誤差共分散行列Rの値を設定すればよい。
【0033】図5は方位姿勢誤差演算部24の構成例を
示す。本例の方位姿勢誤差演算部24は、数5の第1式
の演算によって状態ベクトルの誤差共分散行列P(t+
Δt,t)を求める誤差共分散行列演算部301と数5
の第2式の演算によってカルマンゲインK(t+Δt,
t)を求めるカルマンゲイン演算部302と数5の第3
式の演算によってシステム誤差の最適予測値x(t+Δ
t,t)を求める最適予測値演算部303と数5の第5
式の演算によって誤差共分散行列の推定値P(t+Δ
t,t+Δt)を求める誤差共分散行列修正演算部30
4と数5の第4式の演算によってシステム誤差の最適推
定値x(t+Δt,t+Δt)を求める最適推定値演算
部305とを有する。
【0034】最適推定値演算部305によって求められ
たシステム誤差の最適推定値x(t+Δt,t+Δt)
は修正トルク信号として座標変換マトリックス演算部2
1に供給される。それによって座標変換マトリックス演
算部21は座標変換マトリックスの誤差修正を行う。そ
の結果は誤差共分散行列演算部301及び誤差共分散行
列修正演算部304の出力として現れる。最適予測値演
算部303は、誤差共分散行列演算部301及び誤差共
分散行列修正演算部304の出力を入力して、それを状
態変数に影響させるための演算を行う。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】ストラップダウン方式
の方位姿勢基準装置では、航行体座標系又は方位姿勢基
準装置座標系を局地水平座標系に変換するための座標変
換マトリックス(CTM)を使用する。従って、方位及
び姿勢角に関する情報は座標変換マトリックス(CT
M)に取り込まれ、方位及び姿勢角(ロール角及びピッ
チ角)はマトリックス化されている。これは各座標系の
間における変数変換には必ず所定の定義されたロジック
が存在し、このロジックを無視すると変数変換の際に予
期しない誤差が発生する結果となる。
【0036】図6を参照して説明する。例えば、航行体
座標系から局地水平座標系への変換が、方位角⇒ピッチ
角⇒ロール角の順に定義付けられている場合、局地水平
座標系から航行体座標系への逆変換は、ロール角⇒ピッ
チ角⇒方位角の順にしなければ元の航行体座標系に戻ら
ない。以下に簡単な例を挙げて説明する。航行体座標系
から局地水平座標系への座標変換をピッチ角β⇒ロール
角αの順に行い、局地水平座標系から航行体座標系への
座標変換をピッチ角β⇒ロール角αの順に行うと、得ら
れた航行体座標系は元の航行体座標系に戻らず、角度γ
の方位角誤差が生ずる。
【0037】図6Aにて、先ず航行体座標系をピッチ軸
P−P周りに回転角度βだけ回転する。それによってロ
ール軸R−Rは傾斜してO−R’となる。次に、この座
標系を、傾斜したロール軸O−R’周りに回転角度αだ
け回転する。それによってピッチ軸P−Pは傾斜してO
−P’となり局地水平座標系P’−O−R’が得られ
る。
【0038】次に、この局地水平座標系を、傾斜したピ
ッチ軸O−P’周りに回転角度βだけ反対方向に回転す
ると、破線にて示すようにロール軸はO−R”となる。
この座標系をこのロール軸O−R”周りに回転角度αだ
け反対方向に回転すると、航行体座標系が得られる。し
かしながらこの航行体座標系にて、ロール軸及びピッチ
軸は元の平面上に戻っているが、ロール軸O−R”は元
のロール軸O−Rに一致しない。
【0039】図6Bに示すように、座標変換前のロール
軸O−Rと座標変換を2度行った後のロール軸O−R”
との間の角度γは次の式によって求められる。
【0040】
【数7】tanγ=tanα・sinβ γ=tan-1(tanα・sinβ)
【0041】このような方位誤差γは座標変換マトリッ
クス(CTM)を使用するストラップダウン型の方位姿
勢基準装置のアラインメントにおいて、時々刻々CTM
修正する場合には必ず生ずる誤差である。即ち、時々刻
々CTM修正を行うと、座標変換の定義を無視すること
になり、当然、無理に座標軸が水平になるような演算を
すれば方位誤差が生ずる欠点がある。
【0042】カルマンフィルタを用いたアラインメント
は、起立系及び指北系を適用したアラインメントに比べ
て高速且つ未知変数の推定及び修正が可能である長所を
有する。しかしながら、姿勢角誤差と方位角誤差を同時
に推定し、座標変換マトリックス(CTM)の姿勢角修
正及び方位角修正を行う場合、方位角誤差の推定には姿
勢角誤差の推定に比べて、長時間を要する欠点がある。
【0043】また、カルマンフィルタを用いたアライン
メントにて時々刻々CTM修正を行う場合、方位角修正
を行わずに姿勢角修正だけを行う状態が起きる。これは
座標変換において方位軸周りの誤差修正を行わずにピッ
チ軸周り及びロール軸周りの誤差修正だけを行うことと
なり、座標変換誤差を生ずる。
【0044】本発明は斯かる点に鑑み、座標変換マトリ
ックス(CTM)を使用するストラップダウン型の方位
姿勢基準装置において、座標変換誤差が生ずることがな
いアラインメントを迅速に実行することができるように
することを目的とする。
【0045】本発明は斯かる点に鑑み、座標変換マトリ
ックス(CTM)を使用するストラップダウン型の方位
姿勢基準装置において、カルマンフィルタを用いたアラ
インメントを実行する場合、座標変換誤差が生ずること
がなく迅速にアラインメント実行することができるよう
にすることを目的とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】本発明によると、方位姿
勢基準装置は、航行体の主要3軸に沿った入力軸線を有
し航行体に取り付けられた3個のジャイロの出力を入力
して座標変換マトリックスを演算するCTM演算部と、
CTM演算部から出力された座標変換マトリックスと航
行体の主要3軸に沿った入力軸線を有し航行体に取り付
けられた3個の加速度計の出力と航行体に取り付けられ
た速度センサの出力より姿勢誤差を演算する姿勢誤差演
算部と、方位角の設定値を出力する方位設定部と、有
し、姿勢誤差演算部によって推定された姿勢誤差が所定
の確度にて推定されてから姿勢誤差の推定値によって座
標変換マトリックスを座標変換の定義に従って姿勢誤差
修正し、座標変換マトリックスの姿勢誤差修正がなされ
てから方位角の設定値によって座標変換マトリックスの
方位誤差修正するように構成されている。姿勢誤差演算
部はカルマンフィルタによって姿勢誤差を推定演算す
る。
【0047】本発明によると、方位姿勢基準装置におい
て、姿勢誤差演算部の出力と方位設定部の出力のタイミ
ングを制御するための修正信号制御部が設けられてい
る。
【0048】本発明によると、ストラップダウン型方位
姿勢基準装置のアラインメント方法は、姿勢角誤差を推
定すること、姿勢角誤差の推定値が所定の確度にて得ら
れるようになったかどうかを判定することと、姿勢角誤
差の推定値が所定の確度にて得られるようになったと判
断されたら、この姿勢角誤差の推定値によって座標変換
の定義に従って座標変換マトリックス(CTM)を誤差
修正することと、姿勢角誤差の推定値による座標変換マ
トリックス(CTM)の誤差修正が終了した後に、方位
角の設定値によって座標変換マトリックス(CTM)を
誤差修正することと、を含む。また、姿勢角誤差の推定
はカルマンフィルタによって行うことを特徴とする。更
に、このアラインメント方法は航行体の航行中に実行さ
れることを特徴とする。
【0049】こうして本発明によると、ストラップダウ
ン型方位姿勢基準装置のアラインメントにおいて、時々
刻々CTM修正を行う場合、略完全に推定した姿勢角誤
差と方位角の設定値を使用するから、3軸の座標変換を
定義に従って行うことが可能となり、座標変換誤差が生
じない。
【0050】
【発明の実施の形態】図面を参照して説明する前に本発
明の概念を説明する。本発明によるアラインメントは次
のような内容及びステップを含む。 (1)先ず姿勢角誤差の推定のみを行う。姿勢角誤差の
推定は、好ましくはカルマンフィルタを用いて行う。従
来のように方位及び姿勢角誤差の両者を推定する場合に
比べて、方位角推定を行わないから、姿勢角誤差の推定
速度が向上し、短時間の推定が可能となる。また、状態
変数マトリックスの次数を下げることができるから、推
定演算の高速化及び処理演算の負荷を軽減することがで
きる。 (2)姿勢角誤差の推定値が所定の確度にて得られるよ
うになったと判断されると、この姿勢角誤差の推定値に
よって座標変換の定義に従って座標変換マトリックス
(CTM)の姿勢角誤差修正をする。即ち、姿勢角誤差
が所定の確度によって推定されるまでは、座標変換マト
リックス(CTM)の誤差修正は行わない。その理由
は、発明が解決しようとする課題の欄にて説明したよう
に、姿勢角誤差の推定値が正確でない場合に、それによ
って方位誤差γが増大し、方位誤差γに姿勢角誤差が累
積的に蓄積されるメカニズムを除去するためである。
【0051】(3)姿勢角誤差の推定値による座標変換
マトリックス(CTM)の誤差修正が終了した後に、方
位角の設定値によって座標変換マトリックス(CTM)
を誤差修正する。方位角の設定値は、手動又は自動によ
って設定される。方位角の設定値を使用することによっ
て、座標変換マトリックス(CTM)の方位誤差修正が
迅速化される。 (4)こうして、アラインメントが短時間にて終了す
る。尚、座標変換マトリックス(CTM)の内容は、X
YZジャイロの出力信号であるXレート、Yレート及び
Zレートによって刻々更新されており、航行体の運動に
よって誤差が生ずることはない。本例のアラインメント
は航行体の出発前に実行してもよいが、短時間にて終了
するため航行中に実行してもよい。例えば、本例のアラ
インメントを航空機に適用する場合、飛行前のアライン
メントばかりでなく飛行中のアラインメント、即ち、イ
ンフライトアラインメントとして使用可能である。
【0052】図1に本発明による方位姿勢基準装置の信
号演算部5のアラインメント演算ブロックの詳細を示
す。本例の信号演算部5は図示のように、CTM演算部
(座標変換マトリックス演算部)21、加速度水平成分
演算部22、速度水平成分演算部23、姿勢誤差演算部
25、方位設定部26、修正信号制御部27及び2つの
スイッチ部28、29を有する。
【0053】本例の信号演算部5のアラインメント演算
ブロックは図4に示した従来の信号演算部5のアライン
メント演算ブロックと比較して、方位姿勢誤差演算部2
4の代わりに姿勢誤差演算部25、方位設定部26、修
正信号制御部27及び2つのスイッチ部28、29が設
けられている点が異なり、それ以外の部分、即ち、CT
M演算部(座標変換マトリックス演算部)21、加速度
水平成分演算部22及び速度水平成分演算部23は同様
であってよい。
【0054】姿勢誤差演算部25は速度水平成分演算部
23より供給された速度の水平成分信号VEW、VSNと速
度センサ3から供給された(基準)速度信号REW、RSN
を入力して両者の偏差δEW、δSNを演算し、この偏差δ
EW、δSNに基づいて姿勢角の誤差を推定演算する。即
ち、この偏差δEW、δSNをシステム誤差としてカルマン
フィルタを用いて姿勢角誤差の最適推定値を演算する。
【0055】本例の姿勢誤差演算部25はカルマンフィ
ルタを用いて姿勢誤差の最適推定値を演算するが、方位
誤差の推定演算しない。方位角の推定値は方位設定部2
6より出力される。方位設定部26は予め設定された方
位角を保持している。修正信号制御部27は方位修正ト
ルク信号と姿勢修正トルク信号の出力タイミングを制御
する。
【0056】上述のように、姿勢誤差が所定の確度にて
推定されるようになったと判断されると姿勢誤差演算部
25から修正信号制御部27へ判断信号が出力される。
修正信号制御部27は姿勢誤差演算部25からの判断信
号を入力すると、第1のスイッチ28に作動信号を供給
する。それによってスイッチ28は開位置に変化し、姿
勢誤差演算部25より出力された姿勢誤差の推定値は姿
勢修正トルク信号として座標変換マトリックス演算部2
1に供給される。
【0057】座標変換マトリックス演算部21にて座標
変換マトリックスの姿勢誤差修正が終了したと判断され
ると姿勢誤差演算部25から修正信号制御部27へ終了
信号が出力される。修正信号制御部27は姿勢誤差演算
部25からの終了信号を入力すると、第2のスイッチ2
9に作動信号を供給する。それによってスイッチ29は
開位置に変化し、方位設定部26より方位角の設定値が
方位修正トルク信号として座標変換マトリックス演算部
21に供給される。
【0058】尚、図示の例にて、第1及び第2のスイッ
チ28、29は姿勢誤差演算部25及び方位設定部26
とは別個に設けられているが、第1のスイッチ28を姿
勢誤差演算部25に組み込み、第2のスイッチ29を方
位設定部26に組み込んでもよい。
【0059】図2を参照して本例による姿勢誤差演算部
25の構成例を説明する。本例の姿勢誤差演算部25は
図5に示した従来の方位姿勢誤差演算部24の構成と比
較して、修正トルク信号出力制御部306が設けられて
いる点が異なり、それ以外の構成は同様であってよい。
【0060】最適推定値演算部305はカルマンフィル
タによって姿勢角の誤差の最適推定値を演算するが、こ
の姿勢角の誤差の最適推定値が高い確度にて得られるま
では出力しない。修正トルク信号出力制御部306は、
姿勢角の誤差の最適推定値が確度が高い推定値であると
判定すると、判定信号を生成し、修正信号制御部27に
供給する。
【0061】確度が高い推定値であるか否かは、例え
ば、最適推定値演算部305における推定演算の開始よ
り経過した時間に基づいて判定してもよく、又は、カル
マンフィルタ内の誤差共分散行列の値に基づいて判定し
てもよい。確度が高い推定値が得られてから姿勢角修正
する理由は上述のように、逐次的に姿勢角誤差を修正す
ることによって方位角誤差が累積的に生成するメカニズ
ムを回避するためである。
【0062】こうして、姿勢角誤差の推定値が高い確度
で得られてから、この姿勢角誤差の推定値によって座標
変換マトリックスの姿勢角修正を行う。修正トルク信号
出力制御部306は、この姿勢角修正がなされたと判断
すると、姿勢角修正終了信号を生成し、それを修正信号
制御部27に供給する。
【0063】こうして座標変換マトリックスの姿勢角誤
差修正と方位角誤差修正を分離し、更に方位角誤差修正
には方位角の設定値を使用することによってアラインメ
ントの迅速化が達成される。
【0064】以上本発明の実施の形態について詳細に説
明したが、本発明はこれらの例に限定されることなく特
許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更等
が可能であることは当業者にとって理解されよう。
【0065】
【発明の効果】本発明によると、座標変換マトリックス
の姿勢角誤差修正と方位角誤差修正を分離し、更に方位
角誤差修正には方位角の設定値を使用することによって
アラインメントを短時間にて実行することができる利点
がある。
【0066】本発明によると、確度の高い姿勢角誤差の
推定値と方位角の設定値を使用して3軸のアラインメン
トを行うから、3軸の座標変換を定義に従って行うこと
ができ、座標変換誤差が生じない利点がある。
【0067】本発明によると、アラインメントを短時間
にて実行することができるから、航行体の出発時ばかり
でなく航行中にもアラインメントを実施することができ
る利点がある。
【0068】本発明によると、簡単な構成によってスト
ラップダウン式の方位姿勢基準装置のアラインメントを
短時間化することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方位姿勢基準装置の信号演算部の
構成例を示す図である。
【図2】本発明による方位姿勢基準装置の信号演算部の
姿勢誤差演算部の構成例を示す図である。
【図3】従来の方位姿勢基準装置の構成例を示す図であ
る。
【図4】従来の方位姿勢基準装置の信号演算部の例を説
明するための説明図である。
【図5】従来の方位姿勢誤差演算部の信号演算部の方位
姿勢誤差演算部の構成例を示す図である。
【図6】座標変換マトリックスに起因した方位誤差発生
のメカニズムを説明するための説明図である。
【符号の説明】
1A,1B,1C ジャイロ、 2A,2B,2C 加
速度計、 3 速度計、 4 信号入力部、 5 信号
演算部、 6 信号出力部、 21 CTM演算部(座
標変換マトリックス演算部、 22 加速度水平成分演
算部、 23速度水平成分演算部、 25 姿勢誤差演
算部、 26 方位設定部、 27修正信号制御部、
28,29 スイッチ部、

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 航行体の主要3軸に沿った入力軸線を有
    し航行体に取り付けられた3個のジャイロの出力を入力
    して座標変換マトリックスを演算するCTM演算部と、
    上記CTM演算部から出力された座標変換マトリックス
    と航行体の主要3軸に沿った入力軸線を有し航行体に取
    り付けられた3個の加速度計の出力と航行体に取り付け
    られた速度センサの出力より姿勢誤差を演算する姿勢誤
    差演算部と、方位角の設定値を出力する方位設定部と、
    有し、上記姿勢誤差演算部によって推定された姿勢誤差
    が所定の確度にて推定されてから上記姿勢誤差の推定値
    によって座標変換の定義に従って上記座標変換マトリッ
    クスの姿勢誤差修正し、上記座標変換マトリックスの姿
    勢誤差修正がなされてから上記方位角の設定値によって
    上記座標変換マトリックスの方位誤差修正するように構
    成された方位姿勢基準装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方位姿勢基準装置におい
    て、上記姿勢誤差演算部はカルマンフィルタによって上
    記姿勢誤差を推定演算することを特徴とする方位姿勢基
    準装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の方位姿勢基準装置におい
    て、上記姿勢誤差演算部の出力と上記方位設定部の出力
    のタイミングを制御するための修正信号制御部が設けら
    れていることを特徴とする方位姿勢基準装置。
  4. 【請求項4】 姿勢角誤差を推定すること、 上記姿勢角誤差の推定値が所定の確度にて得られるよう
    になったかどうかを判定することと、 上記姿勢角誤差の推定値が所定の確度にて得られるよう
    になったと判断されたら、この姿勢角誤差の推定値によ
    って座標変換の定義に従って座標変換マトリックスの誤
    差修正をすることと、 上記姿勢角誤差の推定値による座標変換マトリックスの
    誤差修正が終了した後に、方位角の設定値によって上記
    座標変換マトリックスの誤差修正をすることと、 を含むストラップダウン型方位姿勢基準装置のアライン
    メント方法。
  5. 【請求項5】 上記姿勢角誤差の推定はカルマンフィル
    タによって行うことを特徴とする請求項4記載のストラ
    ップダウン型方位姿勢基準装置のアラインメント方法。
  6. 【請求項6】 航行体の航行中に実行されることを特徴
    とする請求項4記載のストラップダウン型方位姿勢基準
    装置のアラインメント方法。
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JP2013195505A (ja) * 2012-03-16 2013-09-30 Fujitsu Ltd 視軸制御装置、視軸制御装置のジャイロ検出補正方法、そのジャイロ検出補正プログラム
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