JP3425689B2 - 慣性装置 - Google Patents

慣性装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ジャイロ、加速
度計の信号を用いて角速度、加速度、姿勢角、方位角、
速度、位置などを計算し、その際に、姿勢角、方位角の
初期値を設定するための初期アライメント計算部を備え
た慣性装置に関する。 【0002】 【従来の技術】図2に従来のストラップダウン型慣性装
置の基本的機能構成を示す。この種の装置は例えば特開
平8−21740号公報に詳細に述べられているので以
下に簡単に述べる。ジャイロ1から慣性装置内の直交座
標軸(航空機などに慣性装置が搭載された場合機体の進
行方向がx軸、右方向がy軸)回りの角速度(機軸角速
度)ωx ,ωy ,ωz と加速度計2からの機軸加速度a
x ,ay ,az が演算処理部31に入力され、演算処理
部31内の姿勢基準行列計算部3において機軸角速度ω
x ,ωy ,ωz を積分して姿勢基準行列が計算され、そ
の姿勢基準行列を用いて機軸加速度ax ,ay ,az
加速度座標変換部4で基準座標軸加速度AX ,AY に座
標変換され、更に速度計算部6で積分されて速度VX
Y に変換される。この速度VX ,VY が位置行列計算
部7で積分され、その位置行列を用いて位置計算部8で
位置が計算される。 【0003】また姿勢角、方位角計算部5において姿勢
角(ロール角:φ、ピッチ角:θ)、方位角(Ψ)が姿
勢基準行列Cから通常下式により計算される。 φ=tan-1(C3,2 /C3,3 ) θ=sin-1(−C3,1 ) ΨC =tan-1(C2,1 /C1,1 ) Ψ=ΨC +α C:姿勢基準行列(3×3行列) Ci,j :Cのi,j要素 α:航法計算座標軸の方位であって位置行列から座標軸
方位計算部9で計算される。 【0004】位置行列と速度VX ,VY とから座標軸回
転レートを計算部10で計算し、この計算結果により姿
勢基準行列計算部3に対する補正を行う。またこの座標
軸回転レートとVX ,VY とから座標軸回転により生じ
るコリオリ加速度を計算部11で計算し、これにより速
度計算部6に対する補正を行う。その際、速度、位置行
列、姿勢基準行列演算には、それぞれの初期値を設定す
る必要があり、位置データは何らかの方法により外部か
ら入力され設定されるが、姿勢角、方位角計算の基とな
る姿勢基準行列、速度はジャイロ、加速度計が計測する
地球自転角速度、地球重力データに基づいて計算された
結果が設定される。この計算を通常初期アライメント計
算と呼んでいる。 【0005】初期アライメント計算は初期アライメント
計算部32で行うがその従来の方法を図3に示す。この
方法は、慣性装置に組込まれ航空機等の機体に取付けら
れた加速度計が計測した地球重力データを正しく設定さ
れた姿勢基準行列を用いて基準座標に座標変換すれば鉛
直方向成分のみの加速度データになるべきものが、計算
開始時に予め設定した姿勢基準行列の値に誤差がある場
合、加速度計信号を座標変換した後の基準座標における
加速度データは、鉛直成分の他に水平成分AX ,AY
算出される。そのため、座標変換後の加速度データを積
分して速度を計算すると姿勢基準行列に誤差がある場合
水平方向に速度が発生することになる。この現象は、計
算開始時に設定された姿勢基準行列の値に誤差がない場
合でも、ジャイロによって計測される地球自転角速度デ
ータにより姿勢基準行列が更新され、姿勢基準行列の誤
差となり同様に水平方向速度が発生する。 【0006】この水平方向速度VX ,VY を図3に示す
ように計算部21で帰還利得を掛けて速度フィードバッ
クデータFAX ,FAY を作り、これをAX ,AY に帰
還減算し、また計算部22でVX ,VY に帰還利得を掛
けて、姿勢角フィードバックデータFωX ,FωY を作
る。更にVX ,VY を計算部23で帰還利得を掛けて積
分(1/Sは積分記号を表わす)することにより推定角
速度EωX ,EωY を求め、このEωX ,EωY を姿勢
角フィードバックデータFωX ,FωY と加算し、これ
らの加算結果ΩX ,ΩY にて姿勢基準行列計算部3内の
姿勢基準行列を補正して、AX ,AY が小さくなるよう
にする。地球自転角速度鉛直軸成分計算部10aにその
慣性装置の位置における緯度が入力されて、地球自転角
速度鉛直軸成分ΩZ (=ωEZ )が計算され、これも姿
勢基準行列計算部3に入力される。 【0007】このように慣性装置に組込まれた航空機な
どの機体が静止した状態で、基準座標系の水平方向の加
速度成分AX ,AY を処理して姿勢基準行列計算部3、
速度計算部6にフィードバックすることを繰返すことに
より姿勢基準行列の水平に対する誤差を減少させて正し
い姿勢基準行列が計算されることとなる。その結果を初
期値として、機体移動中において慣性装置は姿勢基準行
列を求め、正しい姿勢角が計算されることになる。 【0008】一方、図3中に示すフィードバック処理の
計算部23でK3 の掛かるフィードバック項EωX ,E
ωY は定常的には地球自転角速度の基準座標系における
水平成分ωX ,ωY の推定値を示し、この2つの値を使
用して基準座標系X軸の北からの方位αを次式により算
出することができる。(図4参照) α=tan-1(−EωY /EωX ) …(1) ちなみに、北基準局地水平座標軸N,E,D(北、東、
鉛直下方向)と、速度計算などを行う基準座標系でX軸
が任意の方位にある局地水平座標軸X,Y,Z(X,Y
は局地水平面内、Z軸は鉛直下方向)との関係は例えば
図4Aに示すようになる。計算部23で計算されたフィ
ードバック項EωX ,EωY は先に延べたように定常的
には地球自転角速度の基準座標系における水平成分
ωX ,ωY の推定値を示し、これらは図4Bに示すよう
に、地球自転角速度北方向成分ωENに対し、ωX =ω
N ×cosα、ωY =−ωEN ×sinαなる関係に
あり、EωX =ωX ,EωY =ωY となった状態ではα
は式(1)により求まる。 【0009】こうして求まった基準座標系X軸の方位α
と、姿勢基準行列から計算される基準座標系X軸に対す
る慣性装置x軸の方位ΨC を加算することによりx軸の
北からの方位角Ψが次式により計算される。 Ψ=ΨC +α …(2) 基準座標軸X,Y,Zと、慣性装置内の直交座標軸(一
般にジャイロ、加速度計が取付けられる軸であり、慣性
装置が搭載された機体の進行方向、右方向、下方向と一
致する)x,y,zとは図4Cに示す関係とする。姿勢
角、方位角計算部5では、x軸のX,Y面間におけるX
軸に対する方向ΨC が計算される。よって慣性装置のx
軸の北に対する方位角は式(2)により求まる。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】従来の慣性装置は、加
速度計出力を基準座標系に座標変換して求めた水平方向
速度データを用いて姿勢角誤差の修正、地球自転角速度
の推定を行い、推定された地球自転角速度の水平方向成
分EωX ,EωY を用いて基準座標系X軸の北の方から
の方位角αを計算し、更に基準座標系に対する慣性装置
の方位角ΨC を加えて北に対する慣性装置の方位角Ψを
算出している。 【0011】この方法では、鉛直軸に対しては初期アラ
イメント計算実施地点の緯度データを外部から入力して
地球自転角速度の鉛直軸成分の補正を行っているため、
機体が静止していれば、慣性装置の方位角ΨC は一定の
値(通常はゼロ)にとどまっているが、ジャイロに誤差
があると誤った角速度を計測し機体が回転しているのと
等価な状態となり、慣性装置の方位角ΨC が変化してし
まう。このΨC の変化に対し、地球自転角速度の推定計
算においてαがΨC の変化分を補うように変化するが完
全に補いきれず方位角の誤差が発生することになる。 【0012】所で計算部21〜23における帰還利得K
1 〜K3 の各値を小さくして外乱の影響を受け難くして
いるため、初期アライメント計算に、航空機の場合は3
分程度、ロケットの場合は1時間程度も時間を掛けてい
る。このため、ジャイロに誤差があると、姿勢基準行列
計算部3での積分動作のため、誤差が初期アライメント
計算中積分されて増加する、このため、図5Aに示すよ
うに初期アライメント計算中に方位角誤差が時間と共に
増加し、特に初期アライメント計算が比較的長い場合は
方位角誤差が大きなものとなり慣性装置としての誤差も
大きなものとなった。 【0013】この発明の目的は、初期アライメント計算
中に発生する方位角誤差を補正し、精度良く方位角を計
算することができる慣性装置を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】この発明によれば姿勢基
準行列に基づき計算した方位角ΨC 、この値が小さくな
るように姿勢基準行列計算部に帰還する方位角補正演算
部を、初期アライメント計算部に設ける。つまりこの発
明は、慣性装置の初期アライメント計算が、慣性装置が
搭載された機体が移動しない(機体の動揺等はあっても
オフセット的に方位角が変化しない)という条件下で行
われることを利用し、初期アライメント計算で計算され
た方位角ΨC は振動状に変動しても時間とともに増加
(または減少)するものではないので、このΨC の値が
ゼロになるように補正量を計算し、地球自転角速度の鉛
直軸成分と合わせて補正することにより、ジャイロ誤差
によりΨC に誤差が発生することをふせぎ、機体の正し
い方位角Ψを計算することを可能とする。 【0015】 【発明の実施の形態】この発明の要部は慣性装置中の初
期アライメント計算部32にあり、その実施例を図3と
対する部分に同一符号を付けて示す。この実施例によれ
ば、初期アライメント計算部32に方位角補正演算部2
4を設け、初期アライメント計算中に、姿勢角、方位角
計算部5で計算された方位角ΨC を方位角補正演算部2
4に入力し、その方位角補正演算部24の出力を姿勢基
準行列計算部3に帰還して方位角ΨC の値が小さくなる
ように、つまりΨC がゼロに収斂するようにする。 【0016】方位角補正演算部24では例えば図1中に
示すように入力されたΨC に対し、比例演算部24aで
帰還利得K4 を乗算しその出力を姿勢基準行列計算部3
に帰還入力するだけでもよく、更に積分演算部24bで
ΨC に帰還利得K5 を掛けて積分した結果をも姿勢基準
行列計算部3に帰還してもよい。この方位角補正演算部
24の出力FωZ の帰還は姿勢基準行列計算部3に直接
行ってもよく、図1中に示すように、地球自転角速度鉛
直軸成分計算部10aの出力ωEZ と加算して姿勢基準
行列計算部3に帰還してもよい。 【0017】この構成により、K4 ΨC の帰還作用によ
り、ジャイロ誤差に基づく増大していく方位角誤差は微
小レベルに抑えられ、例えば図5Bに示すように、方位
角誤差は初期アライメント計算中増加しないようにする
ことができる。また帰還利得K4 を単なる利得とするこ
となく、適当な時定数をもたせることにより、機体の動
揺により方位角ΨC が振動状に変動しても、その平均な
量が抑圧され、かつジャイロ誤差により増大していく方
位誤差が微小レベルに抑えられるように、フィルタ効果
を持たすこともできる。 【0018】更に積分演算部24bも設ける場合は、図
5B中における消去できない微小誤差を積分して、この
誤差がゼロになるように動作させることもできる。上述
においては初期アライメント計算部32に基準座標速度
X ,VY を入力として初期アライメント計算を行った
が、VX ,VY を積分した位置データを初期アライメン
ト計算部32に入力して、初期アライメント計算を行う
こともできる。要は基準座標軸加速度AX ,AY にもと
づく信号により初期アライメント計算を行えばよい。 【0019】 【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、慣
性装置の初期アライメント計算中に、加速度計などの基
準軸に対する方位角計算値ΨC がゼロになるように帰還
制御が、方位角補正演算部24により姿勢基準行列計算
部3に対して行われるため、ジャイロ誤差による時間と
ともに増大する初期アライメント計算の方位角誤差を微
小レベルに抑えることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の実施例の要部である初期アライメン
ト計算部を示すブロック図。 【図2】ストラップダウン型慣性装置の基本的構成を示
すブロック図。 【図3】従来の慣性装置の初期アライメント計算部を示
すブロック図。 【図4】Aは基準座標軸の定義を示す図、Bは基準座標
軸における地球自転角速度成分を示す図、Cは基準座標
に対する慣性装置姿勢角、方位角の定義を示す図であ
る。 【図5】Aは従来の慣性装置における初期アライメント
計算時の方位角誤差の変化状態を示す図、Bはこの発明
による慣性装置における初期アライメント計算時の方位
角誤差の変化状態を示す図である。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ジャイロの出力から姿勢基準行列計算部
    で姿勢基準行列を計算し、その姿勢基準行列により方位
    角、姿勢角を計算し、また加速度計の出力を姿勢基準行
    列により基準座標軸加速度に変換し、その基準座標軸加
    速度から得られた信号を初期アライメント計算部に入力
    し、その初期アライメント計算部の出力により上記姿勢
    基準行列計算部の姿勢基準行列の値を帰還補正して、姿
    勢基準行列の初期値を決定する慣性装置において、 上記姿勢基準行列に基づき計算した方位角を、この値が
    小さくなるように上記姿勢基準行列計算部に帰還する方
    位角補正演算部が上記初期アライメント計算部に設けら
    れていることを特徴とする慣性装置。
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