JPH11147235A - 表皮インサート成形方法 - Google Patents

表皮インサート成形方法

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JPH11147235A
JPH11147235A JP31670697A JP31670697A JPH11147235A JP H11147235 A JPH11147235 A JP H11147235A JP 31670697 A JP31670697 A JP 31670697A JP 31670697 A JP31670697 A JP 31670697A JP H11147235 A JPH11147235 A JP H11147235A
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Akio Okamoto
昭男 岡本
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 コア材の賦形と同時に、コア材の表面に加飾
性表皮材を融着一体化して成形品を得るインサート成形
方法の提供。 【解決手段】 一対の金型の間に表面に加飾層を有する
表皮材を介在させて型締した後、コア材となる溶融樹脂
を射出充填して、一体成形する表皮インサート成形方法
において、該表皮材の加飾層は、融点が該コア材の融点
より高く、ガラス転移点が該コア材の融点よりも低い材
質を選定し、所定の型開設定値で金型を型開保持した
後、射出充填後は金型キャビティ内の樹脂圧が予め設定
した圧力範囲内になるように型締圧力を制御し、コア材
樹脂の冷却固化後は、予め表皮材加飾層のガラス転移点
と融点との間のゴム状弾性を示す温度範囲内で設定した
設定温度に温度モニタが到達した時点で、型締圧力制御
から型締位置制御に切替えるとともに、表皮材加飾層の
厚さに応じて表皮材と金型との間に隙間を設けて、所定
の設定時間保持した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コア材の賦形と同
時に、コア材の表面に加飾性表皮材を融着一体化した成
形品を得る表皮インサート成形方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電、建材等に使用され
る樹脂成形部品は、クッション性、装飾性、手触り感等
の付加価値を高めたり、あるいは、成形工程の省工程化
によるコストダウンのため、下記に示すようなコア層樹
脂の表面に、たとえば起毛性表皮材などの加飾性ある表
皮材を一体成形する2層成形が実施されていた。すなわ
ち、 射出成形機を使用して行なう場合 型開された両金型間に表皮材をセットし、型閉して型締
を行ない、その後、表皮材と金型とで形成された金型キ
ャビティ内に、コア材となる溶融樹脂を射出充填する。
そして、射出ユニットを用いて保圧供給を行ない、規定
時間冷却を行ない、型開して製品取出を行なう。 プレス成形機を使用して行なう方法 型開された両金型間に表皮材をセットし、所定の型開量
に両金型を保持したまま、表皮材と金型とで形成される
空間内に、コア材となる溶融樹脂を射出充填した後、両
金型を型締プレスし、その後、規定時間冷却を行ない、
型開して製品取出を行なう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の方法では、下記に示すような問題があった。 (1)コア材の射出時や型締プレス時に、高温高圧の溶
融樹脂が表皮材に負荷されコア材冷却完了まで継続され
るため、表皮材の損傷が激しく、品質ダウンや外観不良
を招来する。たとえば、ソフト感、クッション性の表面
加飾性能を求めた表皮材(一般に発泡層がラミネートさ
れている場合が多い)では、発泡層の潰れによるソフト
感やクッション性の消失が起こり、手触り感、高級感
(質感)の表面加飾性能を求めた表皮材(起毛層をラミ
ネート)では、毛倒れによる風合い(手触り感と高級
感)の消失が起こり、外観不良を起こし品質ダウンす
る。 (2)そのための一つの対策として、成形後に倒れた起
毛を復元する後工程を追加することも実施されたが、コ
ストアップにつながる難点があるうえ風合いを完全に復
帰させることが困難であった。 (3)また、さらに別の一つの対策として、表皮材のコ
ア材側の面に耐圧、耐熱性を有する保護層を貼り付けて
多層化し、成形時の表皮材への外力負荷を防止すること
も実施されたが、やはりコストアップとなるばかりでな
く、表皮材の損傷を完全に防止することは困難であっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するために、本発明においては、第1の発明では、対向
する左右一対または上下一対の金型の間に表面に加飾層
を有する表皮材を介在させて型締した後、該表皮材と該
両金型とで形成される金型キャビティ空間内にコア材と
なる溶融樹脂を射出充填して、該表皮材と該コア材とを
一体成形する表皮インサート成形方法において、該表皮
材の加飾層は、融点が該コア材の融点より高く、ガラス
転移点が該コア材の融点よりも低い材質を選定し、所定
の型開量設定値で金型を型開保持した後、予め算出した
樹脂の冷却固化収縮量を加算したコア材溶融樹脂量を射
出充填するとともに、射出充填後は金型キャビティ内の
樹脂圧が予め設定した圧力範囲内になるように型締圧力
を制御し、コア材樹脂の冷却固化後は、予め表皮材加飾
層のガラス転移点と融点との間のゴム状弾性を示す温度
領域内で設定した設定温度に温度モニタ値が到達した時
点で、型締圧力制御から型締位置制御に切り替えるとと
もに、表皮材加飾層の厚さに応じて表皮材と金型との間
に隙間を設けて、所定の設定時間保持するようにした。
また、第2の発明では、第1の発明において、温度モニ
タ値は、成形中の表皮材加飾層の温度とした。さらに、
第3の発明では、第1の発明において、温度モニタ値
は、成形中のコア材樹脂の温度とした。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明においては、第1の発明で
は、対向する左右一対または上下一対の金型の間に表面
に加飾層を有する表皮材を介在させて型締した後、該表
皮材と該両金型とで形成される金型キャビティ空間内に
コア材となる溶融樹脂を射出充填して、該表皮材と該コ
ア材とを一体成形する表皮インサート成形方法におい
て、該表皮材の加飾層は、融点が該コア材の融点より高
く、ガラス転移点が該コア材の融点よりも低い材質を選
定し、所定の型開量設定値で金型を型開保持した後、予
め算出した樹脂の冷却固化収縮量を加算したコア材溶融
樹脂量を射出充填するとともに、射出充填後は金型キャ
ビティ内の樹脂圧が予め設定した圧力範囲内になるよう
に型締圧力を制御し、コア材樹脂の冷却固化後は、予め
表皮材加飾層のガラス転移点と融点との間のゴム状弾性
を示す温度領域内で設定した設定温度に温度モニタ値が
到達した時点で、型締圧力制御から型締位置制御に切り
替えるとともに、表皮材加飾層の厚さに応じて表皮材と
金型との間に隙間を設けて、所定の設定時間保持するよ
うにした。また、第2の発明では、第1の発明におい
て、温度モニタ値は、成形中の表皮材加飾層の温度とし
た。さらに、第3の発明では、第1の発明において、温
度モニタ値は、成形中のコア材樹脂の温度とした。
【0006】 金型が開いた状態でコア材樹脂を射出
充填することにより、ゲート部でのコア材樹脂流動が表
皮材へ直接的に衝突接触することが防止できるので、射
出充填中のゲート部近傍の表皮材加飾層の局部的な損傷
が回避できる。射出充填後においては、型締圧力を負荷
させてコア材樹脂の賦形と表皮材の融着一体化を行う。
この際に、表皮材はコア材樹脂熱量により瞬間に加熱さ
れ、コア材樹脂の冷却固化の進行に応じて表皮材も冷却
される。ここで温度モニタ値として検出した表皮材加飾
層の温度が、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域
内(融点Tm〜ガラス転移点Tg)の時点で、表皮材加
飾層への負荷力を除去するとともに回復スペースを確保
した隙間を金型に与え(型締圧力から型締位置の制御切
替)、この状態で規定時間保持することによって、成形
中の外力で変形した(損傷を受けた)表皮材加飾層は弾
性力により回復し、成形後においても表皮材本来の風合
いが確保される。さらに、コア材樹脂の賦形と表皮材の
融着一体化に適した型締圧力制御を行うとともに、コア
材樹脂の融点Tm’が表皮材加飾層のガラス転移点Tg
よりも高いため、コア材樹脂は十分に冷却されている状
態であるので、成形後の成形品の変形や反りはほとんど
無い。上記の作用は、成形中に自然に行なわれ、後工程
や表皮材の多層処理化が不要となり、成形品全面におい
て表面加飾性能に優れた高品質な成形品を低コストに供
給できる。
【0007】 温度モニタ値をコア材樹脂の温度とし
た場合には、たとえ表皮材加飾層の温度がガラス転移点
(Tg)以下に冷却されていたとしても、コア材樹脂の
熱量と、金型の隙間確保による表皮材から金型への伝熱
遮断によって、表皮材加飾層はゴム状弾性を示す温度領
域に再加熱されるため、表皮材加飾層の弾性力による回
復が達成される。この場合は、コア材樹脂の賦形を目的
とした型締圧力の負荷がより長く継続できるので、変形
や反りならびに偏肉が極めて少なく、かつ優れた表面加
飾性能を有する高品質な成形品の安定供給が達成され
る。
【0008】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細に
ついて説明する。図1および図2は本発明の実施例に係
り、図1は本発明に使用する表皮材インサート成形装置
の全体構成図、図2は表皮材インサート成形工程フロー
チャートである。
【0009】図1に示すように、本発明における射出成
形機100は、金型装置10と型締装置20と射出装置
30と制御装置60とで構成される。金型装置10は、
固定盤1に取り付けられた固定金型3と可動盤2に取り
付けられた可動金型4とからなり、可動盤2および可動
金型4は型締装置20の型締シリンダ22で前後進でき
るよう構成される。型締装置20は、金型装置10の両
金型3、4の型開、型閉を作動する型締シリンダ22を
備えており、可動金型4が固定金型3に対して図示しな
いタイバーに案内されて前後進する。
【0010】射出装置30は、バレル32内の外周にス
パイラル状に取り付けられたスクリュ羽根36を備えた
スクリュ34が、正逆転油圧モータ42および射出シリ
ンダ40により回転自在で、かつ前後進自在に配設さ
れ、ホッパ38に供給された樹脂ペレットを加熱溶融し
て混練しつつノズル39を経由して、金型3、4間に形
成される金型キャビティ5内へ溶融樹脂を射出する。す
なわち、射出装置30は、ホッパ38内の樹脂原料をバ
レル32内の供給ゾーン、圧縮ゾーンにおいて加熱圧縮
し、計量ゾーンにおいて溶融計量し、射出ゾーンを経て
ノズル39を介して金型キャビティ5内へ射出するよう
構成される。射出シリンダ40および正逆転油圧モータ
42には、油圧供給源50により供給される作動油が射
出制御部61の操作指令を受けた油圧制御弁52で設定
された一定の圧力で供給され、駆動される。
【0011】一方、制御装置60は、図1に示すよう
に、固定金型3に配置された樹脂圧センサ63で計測さ
れた圧力情報と両金型3、4間の型開量を検知する位置
センサ64の位置情報と温度センサ65で計測されたコ
ア材樹脂温度情報(なお表皮材加飾層温度情報を検知す
る場合は、表皮材側に温度センサ65が配置される)と
を入力し型締装置20の型締シリンダ22に油圧制御弁
69を経由して操作信号を与える型締制御部62と、型
締制御部62に接続されたタイマ66と、型締制御部6
2に接続された射出制御部61とで構成される。70は
油圧供給源である。なお、本実施例では、直圧式の型締
装置を有する射出成形機を用いたが、トグル型締装置の
射出成形機や、あるいは竪型の射出成形機または電動式
の型締装置を有する射出成形機を使用してもよい。
【0012】図2は表皮材インサート成形工程フローチ
ャートを示したもので、図2に示す工程にしたがって操
業する。 (1)金型装置10の両金型3、4を型開し、型開保持
したまま表皮材を金型3、4間にインサートし、金型パ
ーティング面の金型キャビティ5に対向する所定位置
に、例えば真空吸引や針刺し方式等の手段を用いて表皮
材Sをセット保持する。表皮材Sは、PP(ポリプロピ
レン)、PE(ポリエチレン)等の樹脂シート表面に例
えば、合成繊維等の織布や起毛布の加飾層を形成した2
層シートである。なお、樹脂シートは、成形品表面に加
飾層を形成し、かつ、コア材との融着一体化を図る目的
で設けられるが、省略してもかまわない。また、必要に
応じて、樹脂シート裏面にクッション層等を設けてもよ
い。また、本実施例では、表皮材はシート状のものを用
いたがあらかじめ成形品形状に概略成形したプリ成形品
でもよい。
【0013】加飾層は、弾性力による回復現象を利用す
るため、融点Tmがコア材樹脂の融点Tm’よりも高
く、ガラス転移点Tgがコア材樹脂の融点Tm’よりも
低い材質のものを採用する。具体的な例として、たとえ
ば、コア材QにPP(タルク添加でもよい)を使用した
場合、コア材融点Tm’は170〜180℃であるから
加飾層にPET(融点Tm=230〜240℃、ガラス
転移点Tg=70〜90℃)を採用する。
【0014】(2)予め、設定した型開量設定値で金型
を型開保持したまま(型締位置制御)、冷却固化収縮量
を加算した樹脂量のコア材Qを金型キャビティ5内へ射
出充填する。コア材Qの射出充填の際は、ゲート部付近
は高温のコア材溶融樹脂が連続的に流動し、表皮材に直
接衝突すると、表皮材は過大な損傷を受けることとな
る。このため、型開量設定値の型開状態でコア材樹脂を
射出することで、表皮材への直接衝突を回避して、射出
充填中のゲート部近傍の表皮材加飾層の損傷を防止す
る。なお、ゲート形状およびコア材射出条件等により適
正型開設定量は異なる。経験的な経験値によると、例え
ば、20mm以上の型開量設定値でゲート部近傍の表皮
材加飾層の十分な損傷防止効果が得られることを確認済
みである。ただし、この場合はコア材Qの射出充填中は
樹脂が漏れない金型構造が必要である。
【0015】(3)コア材Qの射出充填が完了すると、
型締位置制御から金型キャビティ5内の樹脂圧を樹脂圧
センサ63で検知して、樹脂圧があらかじめ設定した設
定圧力範囲内の圧力になるように、型締圧力制御へ切替
える。なお、圧力/位置の制御切替えは、コア材の射出
充填中の任意の時点(例えば、射出ストローク、タイマ
切替)でも良いが、この場合は制御が多少複雑となる。
この型締め圧力制御工程では、また、充填したコア材樹
脂の賦形ならびに表皮材とコア材樹脂の融着一体化を行
う目的として、コア材樹脂と表皮材とに型締圧力を負荷
させる。従って、金型キャビティ内樹脂圧は増大し、そ
の結果、表皮材起毛層は損傷を受けることとなる。すな
わち、コア材賦形と表皮材損傷防止の成形制御は相反す
る制御因子であり、表皮材インサート成形においては、
両者のバランスを適正に伴う極めて高度なバランス制御
が要求される。ここでは、表皮材損傷防止に関しては後
工程で行うこととして、コア材賦形をメインに制御す
る。
【0016】なお、製品形状ならびに表皮材特性などに
よりコア材賦形に要する適正樹脂設定圧力(適正型締圧
力)は異なる。本発明においては、樹脂の冷却固化収縮
量を加算した樹脂量を金型キャビティ内へ充填している
ことにより、樹脂の冷却固化収縮挙動に対応した型締側
からの比較的低圧の保圧力の負荷でよく、例えば、樹脂
圧を7〜15MPa程度とすることによって、コア材Q
の賦形は十分に達成される。同時に、低圧の保圧力の負
荷は表皮材の損傷も極力抑えられるので、後述する表皮
材の損傷回復工程で完全な回復と短時間化がより容易に
達成される。
【0017】(4)型締圧力工程の開始と同時に、温度
センサで表皮材加飾層温度またはコア材樹脂温度の変化
をモニタして、予め設定した設定温度に温度センサのモ
ニタ値が達すると、型締圧力制御から型締位置制御に切
替えて、予め設定した型締量設定値で型開保持する。す
なわち、型締圧力工程で、表皮材はコア材樹脂量に加熱
され、例えば、コア材樹脂に200〜240℃に溶融加
熱されたPP樹脂を用いた場合、表皮材加飾層(加飾層
の融点Tm>コア材樹脂の融点Tm’>加飾層のガラス
転移点Tgの関係式よりPET樹脂の加飾層とする)
は、100〜120℃に加熱されることが、実験より確
認済みである(加飾層Tg=70〜80℃よりも高温に
加熱)。
【0018】ここで、設定温度T1 は、コア材の冷却固
化は十分進行し(賦形はほぼ完了状態に近づいている)
かつ、表皮材加飾層がゴム状弾性を示す温度領域内(T
m〜Tg)に設定する。すなわち、この設定温度は型締
圧力制御工程(コア材樹脂の賦形工程)で受けた表皮材
加飾層の損傷を回復させる温度条件となる。
【0019】設定型開量Wは、表皮材加飾層を含む表皮
材の厚さと同等かそれ以上とし、金型と表皮材加飾層と
の間に隙間を設けることによって表皮材加飾層の弾性力
による回復スペースを確保するとともに、表皮材加飾層
と金型との伝熱を遮断することによって、ゴム状弾性を
示す温度の保持時間の長期化を確保することを目的とす
る。
【0020】なお、温度モニタ値が表皮材加飾層温度の
場合では、表皮材加飾層は直接的にゴム状弾性を示すT
m〜Tgの温度範囲内であるので、表皮材加飾層の回復
挙動および回復時間には余裕が大となるが、コア材樹脂
の賦形性の程度は小さくなる。温度モニタ値がコア材樹
脂温度の場合では、例えば、表皮材加飾層の温度がガラ
ス転移点Tg以下まで冷却されていたとしても、コア材
樹脂の熱量(コア材温度はTg以上の高温)で、表皮材
加飾層はゴム状弾性を示す温度(Tm〜Tg)に再加熱
される。この場合は、コア材の賦形性の程度は大きくな
るが、表皮材加飾層の回復挙動および回復時間は小さく
なる。
【0021】(5)型開量設定値での型開保持を予め設
定した設定時間の経過後、型締位置制御を止めて型開し
て製品を取り出す。ここで、設定時間は、弾性力による
表皮材加飾層の回復に要する時間(すなわち、設定温度
から表皮材加飾層がTg以下に到達する冷却時間範囲
内)で通常の成形における冷却過程の経過時間範囲内で
十分に設定可能なことを確認済みである。
【0022】このように、TmとTgの間の表皮材加飾
層がゴム状弾性を示す温度領域内の設定温度T1 で、設
定型開量Wの金型と表皮材加飾層に隙間を与え、設定時
間t 1 を保持することにより、成形中に変形した表皮材
加飾層は弾性力により回復し、表皮材S本来の風合いが
成形後においても確保される。
【0023】さらに、型開設定値に金型を保持したいわ
ゆる型開状態でコア材樹脂を射出充填することにより、
ゲート部近傍の表皮材加飾層の損傷が防止でき、前述し
た弾性回復効果と相乗して、従来必要とされていた後処
理工程ならびに保護シートのラミネート化処理が不要と
なり、手触り感や高級感に優れ成形品の全面に均一で高
品質な表面加飾性能を有した表皮材インサート成形品を
低コストで安定供給できる。
【0024】なお、表皮材の保温(すなわち、ゴム状弾
性を示す温度保持時間の拡大を目的)ならびにコア材樹
脂の流動性を確保するためには、金型温度は高いほど良
いが、成形サイクルアップの点も考慮すると、例えば、
コア材樹脂がPPで、表皮材がPETの組み合わせで金
型温度を30〜60℃とする。さらに、成形品の変形を
抑制すると同時に成形サイクルの短縮を加味してコア材
樹脂側と表皮材側の温度差を設けても良い。
【0025】本発明では、型締圧力制御工程中のコア材
樹脂または表皮材樹脂の温度モニタ値を検知して型締制
御から型締位置制御への切替えのタイミング制御を温度
管理制御で実施したが、このタイミング条件は、数回の
成形トライにより、例えば、射出完了から設定温度到達
時間が計測可能となる。この計測時間を切替タイミング
条件とすればタイマ制御が可能となり、その結果、操作
性アップと制御容易性および低コスト化が図れる。
【0026】また、金型キャビティ内樹脂圧の検知信号
で型締圧力制御工程を、例えば、金型キャビティ投影面
積から樹脂圧を型締圧力に換算し、型締圧力基準で制御
することも可能である。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法によれ
ば、下記のような優れた効果が達成される。 (1)成形中の表皮材加飾層の損傷の全く無い、表皮材
本来の風合いを成形後まで確保した、非常に優れた表面
加飾性能を有する表皮材インサート成形品を低コストで
安定して供給できる。 (2)型締側から全面均一な保圧作用と十分な型締保圧
力の負荷により、変形や反りが無く、完全なコア材樹脂
と表皮材の融着一体化が確保できた極めて高品質な表皮
材インサート成形品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する表皮材インサート成形装置の
全体構成図である。
【図2】本発明の実施例の係る表皮材インサート成形工
程フローチャートである。
【符号の説明】
1 固定盤 2 可動盤 3 固定金型 4 可動金型 5 金型キャビティ 10 金型装置 20 型締装置 22 型締シリンダ 30 射出装置 32 バレル 34 スクリュ 36 スクリュ羽根 38 ホッパ 39 ノズル 40 射出シリンダ 42 油圧モータ 50 油圧供給源 52 油圧制御弁 60 制御装置 61 射出制御部 62 型締制御部 63 樹脂圧センサ 64 位置センサ 65 温度センサ 66 タイマ 69 油圧制御弁 70 油圧供給源 100 射出成形機 Q コア材(コア材樹脂) S 表皮材 P1 設定圧力 P2 設定圧力 Tm 融点(表皮材) Tm’ 融点(コア材) Tg ガラス転移点(表皮材) T1 設定温度 t1 設定時間 t2 設定時間 W 設定型開量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29C 45/80 B29C 45/80 // B29L 9:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する左右一対または上下一対の金型
    の間に表面に加飾層を有する表皮材を介在させて型締し
    た後、該表皮材と該両金型とで形成される金型キャビテ
    ィ空間内にコア材となる溶融樹脂を射出充填して、該表
    皮材と該コア材とを一体成形する表皮インサート成形方
    法において、 該表皮材の加飾層は、融点が該コア材の融点より高く、
    ガラス転移点が該コア材の融点よりも低い材質を選定
    し、 所定の型開量設定値で金型を型開保持した後、予め算出
    した樹脂の冷却固化収縮量を加算したコア材溶融樹脂量
    を射出充填するとともに、射出充填後は金型キャビティ
    内の樹脂圧が予め設定した圧力範囲内になるように型締
    圧力を制御し、コア材樹脂の冷却固化後は、予め表皮材
    加飾層のガラス転移点と融点との間のゴム状弾性を示す
    温度領域内で設定した設定温度に温度モニタ値が到達し
    た時点で、型締圧力制御から型締位置制御に切り替える
    とともに、表皮材加飾層の厚さに応じて表皮材と金型と
    の間に隙間を設けて、所定の設定時間保持したことを特
    徴とする表皮インサート成形方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の該温度モニタ値は、成形
    中の表皮材加飾層の温度としたことを特徴とする表皮イ
    ンサート成形方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の該温度モニタ値は、成形
    中のコア材樹脂の温度としたことを特徴とする表皮イン
    サート成形方法。
JP31670697A 1997-11-18 1997-11-18 表皮インサート成形方法 Expired - Fee Related JP3242609B2 (ja)

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