JPH11140621A - 表面外観に優れたTi−IF鋼薄板 - Google Patents
表面外観に優れたTi−IF鋼薄板Info
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- JPH11140621A JPH11140621A JP31778797A JP31778797A JPH11140621A JP H11140621 A JPH11140621 A JP H11140621A JP 31778797 A JP31778797 A JP 31778797A JP 31778797 A JP31778797 A JP 31778797A JP H11140621 A JPH11140621 A JP H11140621A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】高いプレス成形性を損なうことなく低コストの
表面外観に優れたTi−IF鋼薄板を提供する。 【解決手段】Ti添加鋼の冷延薄板上の任意の1点にお
ける表面窒化層のN量:C1重量%と、その点から少な
くとも板幅方向に沿って1mm以上離間した位置におけ
る表面窒化層のN量:C2重量%との差の絶対値Cd=
|C2%−C1%|≦0.002重量%であることを特
徴とする、表面外観に優れたTi−IF鋼薄板。但し、
表面窒化層は下記(1)式で定義される。 冷延材の表面窒化層厚み(μm/片面)=3500×冷延材板厚/スラブ厚 …(1)
表面外観に優れたTi−IF鋼薄板を提供する。 【解決手段】Ti添加鋼の冷延薄板上の任意の1点にお
ける表面窒化層のN量:C1重量%と、その点から少な
くとも板幅方向に沿って1mm以上離間した位置におけ
る表面窒化層のN量:C2重量%との差の絶対値Cd=
|C2%−C1%|≦0.002重量%であることを特
徴とする、表面外観に優れたTi−IF鋼薄板。但し、
表面窒化層は下記(1)式で定義される。 冷延材の表面窒化層厚み(μm/片面)=3500×冷延材板厚/スラブ厚 …(1)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面外観の均一性
に優れたTi−IF鋼薄板に係り、特に、表面窒化層の
N量を制御することで、表面外観の均一性を向上させた
Ti−IF鋼薄板に関する。
に優れたTi−IF鋼薄板に係り、特に、表面窒化層の
N量を制御することで、表面外観の均一性を向上させた
Ti−IF鋼薄板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車体軽量化の観点から、車体部品
の一体成形を行うために、今まで以上にプレス成形性の
高い材料が必要とされるようになり、鋼中の固溶C,N
をTiなどで炭窒化物として析出固定したいわゆるIF
(Interstitial Free )鋼が使われるようになった。
の一体成形を行うために、今まで以上にプレス成形性の
高い材料が必要とされるようになり、鋼中の固溶C,N
をTiなどで炭窒化物として析出固定したいわゆるIF
(Interstitial Free )鋼が使われるようになった。
【0003】しかし、Ti添加IF鋼(以下、Ti−I
F鋼)を自動車車体用の合金化溶融亜鉛めっき用下地鋼
板として用いた場合、Ti添加鋼に特有の線状の合金ム
ラ(以下、スジムラ)が発生し、表面性状が著しく劣化
することが知られている。
F鋼)を自動車車体用の合金化溶融亜鉛めっき用下地鋼
板として用いた場合、Ti添加鋼に特有の線状の合金ム
ラ(以下、スジムラ)が発生し、表面性状が著しく劣化
することが知られている。
【0004】例えば、特公昭57−57945号公報や
特開平2−34722号公報に開示されているように、
IF鋼を用いることによって従来の低炭素アルミキルド
鋼に比べてそのプレス成形性は飛躍的に向上する。しか
し、これらの開示技術はプレス成形性のみに着目した技
術であって、表面性状の向上に関しては何ら記載がな
い。
特開平2−34722号公報に開示されているように、
IF鋼を用いることによって従来の低炭素アルミキルド
鋼に比べてそのプレス成形性は飛躍的に向上する。しか
し、これらの開示技術はプレス成形性のみに着目した技
術であって、表面性状の向上に関しては何ら記載がな
い。
【0005】また、Ti−IF鋼の表面性状に着目した
技術としては、特開平2−38550号公報に開示され
たものがある。本技術では、スジムラの原因は表面の微
細結晶粒の影響によるものであって、スジムラの解消方
法として、表面の結晶粒をプレ焼鈍などによって粗大化
させる方法と、熱延板・冷間圧延板の表面を研削する方
法が開示されている。プレ焼鈍による方法では、内層部
まで結晶粒が粗大化するため、加工性の低下や加工時に
肌荒れの問題をおこす可能性が高くなる。一方、表面を
研削する方法では、研削屑による工場内の環境悪化や、
歩留り低下・生産性の低下などを招く。
技術としては、特開平2−38550号公報に開示され
たものがある。本技術では、スジムラの原因は表面の微
細結晶粒の影響によるものであって、スジムラの解消方
法として、表面の結晶粒をプレ焼鈍などによって粗大化
させる方法と、熱延板・冷間圧延板の表面を研削する方
法が開示されている。プレ焼鈍による方法では、内層部
まで結晶粒が粗大化するため、加工性の低下や加工時に
肌荒れの問題をおこす可能性が高くなる。一方、表面を
研削する方法では、研削屑による工場内の環境悪化や、
歩留り低下・生産性の低下などを招く。
【0006】上記のようなTi−IF鋼板の表面外観上
の問題点に対して、特開平3−180429号公報で
は、Ti添加量を抑え、Nbを複合添加させ、さらに焼
鈍後の冷却速度に規定を設けることで対処しようとして
いる。鋼中Ti量を減少させ、Nbを代替元素として添
加すればスジムラは軽減されるが、固溶Cの一部はNb
Cとして析出するために冷間圧延後の焼鈍過程で一部の
Cが再固溶し、Ti−IF鋼と比較して材質、特に深絞
り性の劣化は避けられない。
の問題点に対して、特開平3−180429号公報で
は、Ti添加量を抑え、Nbを複合添加させ、さらに焼
鈍後の冷却速度に規定を設けることで対処しようとして
いる。鋼中Ti量を減少させ、Nbを代替元素として添
加すればスジムラは軽減されるが、固溶Cの一部はNb
Cとして析出するために冷間圧延後の焼鈍過程で一部の
Cが再固溶し、Ti−IF鋼と比較して材質、特に深絞
り性の劣化は避けられない。
【0007】また、特開平6−101009号公報に示
された様に、鋼中へのB添加と熱延低温仕上との組み合
わせによりスジムラを軽減しようとする技術もあるが、
本文中に「820℃から880℃の本来は原理的に好ま
しくないとされる温度域の熱延仕上げ温度では鋼板の表
面層は(α+γ)域となるものの、鋼板の中心層ではγ
域圧延となるため、(111)集合組織が発達する」と
記載されているように、Ti添加IF鋼の優れた材質を
必ずしも十分に発揮できない難点がある。
された様に、鋼中へのB添加と熱延低温仕上との組み合
わせによりスジムラを軽減しようとする技術もあるが、
本文中に「820℃から880℃の本来は原理的に好ま
しくないとされる温度域の熱延仕上げ温度では鋼板の表
面層は(α+γ)域となるものの、鋼板の中心層ではγ
域圧延となるため、(111)集合組織が発達する」と
記載されているように、Ti添加IF鋼の優れた材質を
必ずしも十分に発揮できない難点がある。
【0008】一方、様々な付加的処理によって鋼板表面
に出現したスジムラを目立たなくする試みも提案されて
いる。すなわち、特開平2−011746号公報は鋼板
表面をチオ硫酸水溶液で処理後焼鈍・めっきする技術で
あり、特開平2−038549号公報は、鋼板表面にF
e系めっきを施した後焼鈍する技術であり、特開平2−
133560号公報は鋼板表面に5ミクロン以上の鉄の
窒化層を形成後、めっきを行う技術、特開平3−281
764号公報は鋼板表面を酸洗した後焼鈍する技術であ
る。
に出現したスジムラを目立たなくする試みも提案されて
いる。すなわち、特開平2−011746号公報は鋼板
表面をチオ硫酸水溶液で処理後焼鈍・めっきする技術で
あり、特開平2−038549号公報は、鋼板表面にF
e系めっきを施した後焼鈍する技術であり、特開平2−
133560号公報は鋼板表面に5ミクロン以上の鉄の
窒化層を形成後、めっきを行う技術、特開平3−281
764号公報は鋼板表面を酸洗した後焼鈍する技術であ
る。
【0009】また、めっき条件からのアプローチとし
て、特開平3−158449号公報は浴中の鋼板に超音
波振動を付加する技術であり、特開平7−243012
号公報は焼鈍直後の鋼板にイオンプレーティングなどの
方法によりAlめっきを施した後、特定のめっき浴で溶
融亜鉛めっきする方法である。
て、特開平3−158449号公報は浴中の鋼板に超音
波振動を付加する技術であり、特開平7−243012
号公報は焼鈍直後の鋼板にイオンプレーティングなどの
方法によりAlめっきを施した後、特定のめっき浴で溶
融亜鉛めっきする方法である。
【0010】いずれの方法においても、通常の合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の製造工程に、さらに工程を増やすも
のであって、製造コストが著しく高くなることは間違い
ない。さらに、加工性の低下や工場内の環境悪化、歩留
り低下・生産性の著しい低下などを招く。従って、従来
開示技術は、表面性状に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法としては、好ましい方法であるとは到底言
えない。いずれにしても、従来の技術においては、プレ
ス成形性と表面性状の両者を同時に満足する技術にはな
っていない。
融亜鉛めっき鋼板の製造工程に、さらに工程を増やすも
のであって、製造コストが著しく高くなることは間違い
ない。さらに、加工性の低下や工場内の環境悪化、歩留
り低下・生産性の著しい低下などを招く。従って、従来
開示技術は、表面性状に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法としては、好ましい方法であるとは到底言
えない。いずれにしても、従来の技術においては、プレ
ス成形性と表面性状の両者を同時に満足する技術にはな
っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ほと
んどの従来技術においては、必然的にコスト高を招く
か、またはTi−IF鋼が持つ優れたプレス成形性を犠
牲にして表面外観を改善するため、工業的に好ましい製
造方法であるとは言えない。さらに、最近では、自動車
の外板材にもTi−IF鋼板が使用されるようになって
きているため、表面外観に対する要求がますます厳しく
なってきており、従来技術では対処できなくなってきて
いる。
んどの従来技術においては、必然的にコスト高を招く
か、またはTi−IF鋼が持つ優れたプレス成形性を犠
牲にして表面外観を改善するため、工業的に好ましい製
造方法であるとは言えない。さらに、最近では、自動車
の外板材にもTi−IF鋼板が使用されるようになって
きているため、表面外観に対する要求がますます厳しく
なってきており、従来技術では対処できなくなってきて
いる。
【0012】また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板において
上記スジムラの問題は従来から知られていたが、冷延鋼
板(焼鈍板)や、それを基に製造した電気めっき鋼板上
にも上記スジムラが見られ、塗装条件によっては使用時
に外観上の問題となることがわかっている。
上記スジムラの問題は従来から知られていたが、冷延鋼
板(焼鈍板)や、それを基に製造した電気めっき鋼板上
にも上記スジムラが見られ、塗装条件によっては使用時
に外観上の問題となることがわかっている。
【0013】本発明の目的は、かかる事情に鑑みて、高
いプレス成形性を損なうことなく低コストの表面外観に
優れたTi−IF鋼薄板を提供することにある。
いプレス成形性を損なうことなく低コストの表面外観に
優れたTi−IF鋼薄板を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決し目的
を達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。
を達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。
【0015】(1)本発明の鋼薄板は、Ti添加鋼の冷
延薄板上の任意の1点における表面窒化層のN量:C1
重量%と、その点から少なくとも板幅方向に沿って1m
m以上離間した位置における表面窒化層のN量:C2重
量%との差の絶対値Cd=|C2%−C1%|≦0.0
02重量%であることを特徴とする、表面外観に優れた
Ti−IF鋼薄板である。但し、表面窒化層は下記
(1)式で定義される。
延薄板上の任意の1点における表面窒化層のN量:C1
重量%と、その点から少なくとも板幅方向に沿って1m
m以上離間した位置における表面窒化層のN量:C2重
量%との差の絶対値Cd=|C2%−C1%|≦0.0
02重量%であることを特徴とする、表面外観に優れた
Ti−IF鋼薄板である。但し、表面窒化層は下記
(1)式で定義される。
【0016】 冷延材の表面窒化層厚み(μm/片面)=3500×冷延材板厚/スラブ厚 …(1) (2)本発明の鋼薄板は、上記(1)に記載のTi−I
F鋼薄板であって、さらに、表面窒化層のN量≦0.0
09重量%であることを特徴とする、表面外観に優れた
合金化溶融亜鉛めっき鋼板下地用Ti−IF鋼薄板。
F鋼薄板であって、さらに、表面窒化層のN量≦0.0
09重量%であることを特徴とする、表面外観に優れた
合金化溶融亜鉛めっき鋼板下地用Ti−IF鋼薄板。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、かかる目的を達成
するために鋭意研究を重ねた結果、スジムラと鋼板表面
のTiN量との間に、強い相関関係があることを見出し
た。
するために鋭意研究を重ねた結果、スジムラと鋼板表面
のTiN量との間に、強い相関関係があることを見出し
た。
【0018】以下に、その基となった研究結果を詳述す
る。
る。
【0019】まず、Ti−IF鋼のスジムラ部と正常部
の表層を比較調査した。すると、スジムラ部の表層に微
細なTiN量が多いことが判明した。これらのTiNは
ほとんどが数十nm程度の大きさであった。一般に、T
i−IF鋼においては、鋼中のTiはC,S,Nと結び
ついてTiC,Ti4 C2 S2 ,TiS,TiN等の析
出物になるが、一部のTiは固溶状態のまま鋼中に存在
する。特に熱延工程前のスラブ加熱時にスラブ表層に存
在する固溶状態のTiは雰囲気ガス成分である酸素や窒
素と結びつきやすいために、結晶粒界などを介してガス
成分が鋼中に侵入すると酸化や窒化が起こる。
の表層を比較調査した。すると、スジムラ部の表層に微
細なTiN量が多いことが判明した。これらのTiNは
ほとんどが数十nm程度の大きさであった。一般に、T
i−IF鋼においては、鋼中のTiはC,S,Nと結び
ついてTiC,Ti4 C2 S2 ,TiS,TiN等の析
出物になるが、一部のTiは固溶状態のまま鋼中に存在
する。特に熱延工程前のスラブ加熱時にスラブ表層に存
在する固溶状態のTiは雰囲気ガス成分である酸素や窒
素と結びつきやすいために、結晶粒界などを介してガス
成分が鋼中に侵入すると酸化や窒化が起こる。
【0020】ここで、酸化現象は母層のFeに対しても
起こり、酸素は固溶成分として鋼中に侵入できないた
め、TiOxは生成されずスケールのみが成長すること
となる。このスケールは後工程において剥離除去され、
最終製品へ問題とはならない。ところが、窒化は母層で
あるFeよりTiに対してより優先的に起こり極微細な
TiNを生成する。さらに、このスラブ表層に形成され
た極微細なTiNは熱延後も溶解することなく残留し、
最終的な表面品質に多大な影響を及ぼすことがある。
起こり、酸素は固溶成分として鋼中に侵入できないた
め、TiOxは生成されずスケールのみが成長すること
となる。このスケールは後工程において剥離除去され、
最終製品へ問題とはならない。ところが、窒化は母層で
あるFeよりTiに対してより優先的に起こり極微細な
TiNを生成する。さらに、このスラブ表層に形成され
た極微細なTiNは熱延後も溶解することなく残留し、
最終的な表面品質に多大な影響を及ぼすことがある。
【0021】鋳造組織(鋳壁との接触状態の不均一性に
伴う凝固・冷却速度の違い)に起因する場所的な組成や
結晶構造のばらつきが存在すると、上記極微細なTiN
の分布も不均一となる。通常、熱延された鋼板は酸洗脱
スケール後に冷間圧延され、連続焼鈍ラインなどで焼鈍
される。この時、表層の極微細なTiN析出物の多く存
在する領域では再結晶が遅れるため、比較的粗大な回復
組織となり、その他の部分では再結晶粒が形成されるよ
うになる。このように、元々連続鋳造スラブ表面の不均
一な領域が熱延および冷延によってスジ状に引き延ばさ
れ、その領域内には比較的粗大なフェライト展伸粒が散
在する極めて特徴的な表面組織となる。その様子を図1
の顕微鏡写真に示す。
伴う凝固・冷却速度の違い)に起因する場所的な組成や
結晶構造のばらつきが存在すると、上記極微細なTiN
の分布も不均一となる。通常、熱延された鋼板は酸洗脱
スケール後に冷間圧延され、連続焼鈍ラインなどで焼鈍
される。この時、表層の極微細なTiN析出物の多く存
在する領域では再結晶が遅れるため、比較的粗大な回復
組織となり、その他の部分では再結晶粒が形成されるよ
うになる。このように、元々連続鋳造スラブ表面の不均
一な領域が熱延および冷延によってスジ状に引き延ばさ
れ、その領域内には比較的粗大なフェライト展伸粒が散
在する極めて特徴的な表面組織となる。その様子を図1
の顕微鏡写真に示す。
【0022】このような、表層フェライト組織の不均一
性は、焼鈍および冷却時における表面酸化挙動に影響を
およぼすとともに、板面内で局所的に変形抵抗が異なる
結果、連続焼鈍炉内での張力付加やスキンパスミルにお
ける圧延によって冷延鋼板表面にわずかな凸凹を形成す
るようになり、外観上のスジムラとして認識されるよう
になる。さらに、上記冷延鋼板にZn,Zn−Fe,Z
n−Ni系などの電気めっきを施した場合には、その凸
凹がスジムラとして認識されるばかりでなく、電析結晶
の成長方位が下地冷延鋼板の表面フェライト結晶に左右
されるため、スジムラが強調される結果となる。さら
に、溶融亜鉛めっきした場合にも前述した表面凸凹によ
りスジムラが認識されるようになるが、さらに合金化処
理によって以下のメカニズムによりスジムラが強調され
る。
性は、焼鈍および冷却時における表面酸化挙動に影響を
およぼすとともに、板面内で局所的に変形抵抗が異なる
結果、連続焼鈍炉内での張力付加やスキンパスミルにお
ける圧延によって冷延鋼板表面にわずかな凸凹を形成す
るようになり、外観上のスジムラとして認識されるよう
になる。さらに、上記冷延鋼板にZn,Zn−Fe,Z
n−Ni系などの電気めっきを施した場合には、その凸
凹がスジムラとして認識されるばかりでなく、電析結晶
の成長方位が下地冷延鋼板の表面フェライト結晶に左右
されるため、スジムラが強調される結果となる。さら
に、溶融亜鉛めっきした場合にも前述した表面凸凹によ
りスジムラが認識されるようになるが、さらに合金化処
理によって以下のメカニズムによりスジムラが強調され
る。
【0023】Ti−IF鋼では鋼中のCを主としてTi
が強力に固定するため、結晶粒界の清浄度が高い。その
ために冷延焼鈍後の(111)集合組織が発達しやす
く、優れた深絞り性が得られるが、一方ではその清浄な
結晶粒界のために溶融亜鉛めっき後の合金化処理時にア
ウトバースト反応と呼ばれる結晶粒界での急激なFe−
Zn反応が起こりやすくなり、合金化速度に差異が生
じ、最終的に合金化の進んだ領域と遅れた領域ができる
こととなる。したがって、結晶粒界密度の低い、または
正常な結晶粒界の少ないスジムラの部分では、合金化が
遅れることになり、色調の差が現れる(白っぽくな
る)。
が強力に固定するため、結晶粒界の清浄度が高い。その
ために冷延焼鈍後の(111)集合組織が発達しやす
く、優れた深絞り性が得られるが、一方ではその清浄な
結晶粒界のために溶融亜鉛めっき後の合金化処理時にア
ウトバースト反応と呼ばれる結晶粒界での急激なFe−
Zn反応が起こりやすくなり、合金化速度に差異が生
じ、最終的に合金化の進んだ領域と遅れた領域ができる
こととなる。したがって、結晶粒界密度の低い、または
正常な結晶粒界の少ないスジムラの部分では、合金化が
遅れることになり、色調の差が現れる(白っぽくな
る)。
【0024】加熱炉内スラブ表層温度を低下あるいは上
昇させることによって表面外観は改善傾向を示すが、こ
れは、前者では温度低下による窒化量の減少、後者では
母相の内部酸化層により最表層が保護され窒化層による
影響が免れることにより説明することができる。
昇させることによって表面外観は改善傾向を示すが、こ
れは、前者では温度低下による窒化量の減少、後者では
母相の内部酸化層により最表層が保護され窒化層による
影響が免れることにより説明することができる。
【0025】このように、冷延鋼板、およびそれを基に
した各種表面処理鋼板におけるTi−IF鋼板特有のス
ジムラ発現メカニズムを解明した結果、本発明者らは、
表面窒化層のTiN分布が一様になった鋼板を作れば、
スジムラが実用上問題にならないまで軽減されることを
新規に知見し本発明に至った。
した各種表面処理鋼板におけるTi−IF鋼板特有のス
ジムラ発現メカニズムを解明した結果、本発明者らは、
表面窒化層のTiN分布が一様になった鋼板を作れば、
スジムラが実用上問題にならないまで軽減されることを
新規に知見し本発明に至った。
【0026】すなわち、プレス加工に用いられるTi−
IF鋼薄板は、通常、連続鋳造して得られたスラブを、
熱間圧延及び冷間圧延した後、溶融合金化亜鉛めっき、
焼鈍、あるいは焼鈍した後電気亜鉛めっきを施すことで
使用されるが、冷間圧延した後に得られるTi−IF鋼
薄板表面に含まれるTiN量を制御することにより、T
i−IF鋼板を下地とした焼鈍板やめっき板に発生する
スジムラを防止することができることを見出したのであ
る。
IF鋼薄板は、通常、連続鋳造して得られたスラブを、
熱間圧延及び冷間圧延した後、溶融合金化亜鉛めっき、
焼鈍、あるいは焼鈍した後電気亜鉛めっきを施すことで
使用されるが、冷間圧延した後に得られるTi−IF鋼
薄板表面に含まれるTiN量を制御することにより、T
i−IF鋼板を下地とした焼鈍板やめっき板に発生する
スジムラを防止することができることを見出したのであ
る。
【0027】以上の知見に基づき、本発明者らは、冷間
圧延されたTi添加鋼薄板の表面窒化層のN量を一定範
囲内に制御するようにして、高いプレス成形性を損なう
ことなく低コストの表面外観に優れたTi−IF鋼薄板
を見出し、本発明を完成させた。以下に、本発明につい
て詳細に説明する。
圧延されたTi添加鋼薄板の表面窒化層のN量を一定範
囲内に制御するようにして、高いプレス成形性を損なう
ことなく低コストの表面外観に優れたTi−IF鋼薄板
を見出し、本発明を完成させた。以下に、本発明につい
て詳細に説明する。
【0028】本発明のTi−IF鋼薄板は、Ti添加鋼
の冷延薄板上の任意の1点における表面窒化層のN量C
1重量%と、その点から少なくとも板幅方向に沿って1
mm以上離間した位置における表面窒化層のN量C2重
量%との差の絶対値Cd=|C2%−C1%|≦0.0
02重量%であることを特徴とする、表面外観に優れた
Ti−IF鋼薄板である。但し、表面窒化層は下記
(1)式で定義される。
の冷延薄板上の任意の1点における表面窒化層のN量C
1重量%と、その点から少なくとも板幅方向に沿って1
mm以上離間した位置における表面窒化層のN量C2重
量%との差の絶対値Cd=|C2%−C1%|≦0.0
02重量%であることを特徴とする、表面外観に優れた
Ti−IF鋼薄板である。但し、表面窒化層は下記
(1)式で定義される。
【0029】 冷延材の表面窒化層厚み(μm/片面)=3500×冷延材板厚/スラブ厚 …(1) また、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板下地用Ti−
IF鋼薄板は、上記のN濃度差を満足し、さらに、表面
窒化層のN量≦0.009重量%である。
IF鋼薄板は、上記のN濃度差を満足し、さらに、表面
窒化層のN量≦0.009重量%である。
【0030】本発明のTi−IF鋼薄板の表面窒化層の
N濃度差と合金化溶融亜鉛めっき鋼板下地用Ti−IF
鋼薄板の表面窒化層のN量は、以下に示す本発明者らの
定量分析により明らかとなった。
N濃度差と合金化溶融亜鉛めっき鋼板下地用Ti−IF
鋼薄板の表面窒化層のN量は、以下に示す本発明者らの
定量分析により明らかとなった。
【0031】スジムラの出ているTi−IF鋼板を、二
次イオン質量分析法(以下、SIMS)にてNの深さ方
向分布を調べたところ、目視でスジムラと確認できるの
は、表面窒化層(板厚が0.66mmだと約10μm位
まで)の濃度差がスジムラ部と正常部とで0.0025
重量%以上の場合であった。それ以下だと、厳密にはス
ジムラは存在するが外観上問題にならない。さらに、問
題となるスジムラは、幅方向に1〜5mm程度の幅を有
していることが多い。それより細いものも存在はする
が、分かり難く外観上問題にはならない。そこで、比較
したい点を幅方向に沿って1mm以上離れてとれば外観
を損ねる原因となるTiNむらを見落とすことはない。
次イオン質量分析法(以下、SIMS)にてNの深さ方
向分布を調べたところ、目視でスジムラと確認できるの
は、表面窒化層(板厚が0.66mmだと約10μm位
まで)の濃度差がスジムラ部と正常部とで0.0025
重量%以上の場合であった。それ以下だと、厳密にはス
ジムラは存在するが外観上問題にならない。さらに、問
題となるスジムラは、幅方向に1〜5mm程度の幅を有
していることが多い。それより細いものも存在はする
が、分かり難く外観上問題にはならない。そこで、比較
したい点を幅方向に沿って1mm以上離れてとれば外観
を損ねる原因となるTiNむらを見落とすことはない。
【0032】また、微細なTiNはその存在そのものが
焼鈍時の再結晶を阻害し最終製品の表面性状を悪化させ
ることから、むらが無いこともさることながら生成しな
い方が望ましい。そこで、下地になっているTi−IF
鋼板の表面窒化層の窒化物系析出物に含まれているN量
を化学分析にて調べてみたところ、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の場合、下地のTi−IF鋼板の表面濃化層のN
量が0.009重量%より多い鋼板では、全体に白っぽ
い外観になり、場合によっては加工後めっきのわれが発
生した。
焼鈍時の再結晶を阻害し最終製品の表面性状を悪化させ
ることから、むらが無いこともさることながら生成しな
い方が望ましい。そこで、下地になっているTi−IF
鋼板の表面窒化層の窒化物系析出物に含まれているN量
を化学分析にて調べてみたところ、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の場合、下地のTi−IF鋼板の表面濃化層のN
量が0.009重量%より多い鋼板では、全体に白っぽ
い外観になり、場合によっては加工後めっきのわれが発
生した。
【0033】これらの結果に基づき、本発明では表面外
観を実際のラインにおいて全く問題のない水準に抑える
観点から、SIMSにてNの深さ方向分布を調べたとこ
ろ、表面窒化層のN濃度差が0.002重量%以下と
し、さらに、比較点は薄板上のある1点とその点から少
なくとも板幅方向に沿って1mm離れた点とした。
観を実際のラインにおいて全く問題のない水準に抑える
観点から、SIMSにてNの深さ方向分布を調べたとこ
ろ、表面窒化層のN濃度差が0.002重量%以下と
し、さらに、比較点は薄板上のある1点とその点から少
なくとも板幅方向に沿って1mm離れた点とした。
【0034】また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の下地と
して使用する場合は、表面窒化層のN量が0.009重
量%以下とすることにより、めっきの特性を損なうこと
なくめっき後の外観を良好にすることができる。本発明
におけるTiN分布の測定法であるが、TiNを直接分
析せずともN分布を測定することで代用できることが、
上記TiN分布研究の過程で分かっている。鋼中の窒素
は固溶しておらず、反応性の高いTiと結びついている
ためである。
して使用する場合は、表面窒化層のN量が0.009重
量%以下とすることにより、めっきの特性を損なうこと
なくめっき後の外観を良好にすることができる。本発明
におけるTiN分布の測定法であるが、TiNを直接分
析せずともN分布を測定することで代用できることが、
上記TiN分布研究の過程で分かっている。鋼中の窒素
は固溶しておらず、反応性の高いTiと結びついている
ためである。
【0035】よって、SIMSでは、Cs一次イオンビ
ームを試料に照射したとき生成するイオン(147N+
Cs+ 、62TiN+ 、70FeN- または62TiN
- )で深さ方向のN分布を測定しそのN濃度差を決定す
る。
ームを試料に照射したとき生成するイオン(147N+
Cs+ 、62TiN+ 、70FeN- または62TiN
- )で深さ方向のN分布を測定しそのN濃度差を決定す
る。
【0036】化学分析の場合、TiNを定量するのは、
10%Br2 −メタノール溶液で融解して窒化・酸化物
系析出物を抽出しICPでTi量を定量するという方法
がある。しかし、この方法は鋼板の表面のみといった局
所的な測定には使用できないうえ、TiOxも含んでし
まう。そこでAA系またはA3系電解抽出法で窒化物系
析出物を抽出しN量を測定する方法が適している。Ti
−IF鋼板にはTiN以外の窒化物は検出限界以下であ
るからである。
10%Br2 −メタノール溶液で融解して窒化・酸化物
系析出物を抽出しICPでTi量を定量するという方法
がある。しかし、この方法は鋼板の表面のみといった局
所的な測定には使用できないうえ、TiOxも含んでし
まう。そこでAA系またはA3系電解抽出法で窒化物系
析出物を抽出しN量を測定する方法が適している。Ti
−IF鋼板にはTiN以外の窒化物は検出限界以下であ
るからである。
【0037】表面窒化層であるが、上記研究の過程で、
再加熱後スラブの窒化層の厚みは表層から4〜5mm/
片面であることが分かった。これを、冷間圧延後の厚み
に換算すればよい。本発明では、デスケーリングや酸洗
時に落ちる表層を考慮して下記(1)式で示される表層
を調べた。
再加熱後スラブの窒化層の厚みは表層から4〜5mm/
片面であることが分かった。これを、冷間圧延後の厚み
に換算すればよい。本発明では、デスケーリングや酸洗
時に落ちる表層を考慮して下記(1)式で示される表層
を調べた。
【0038】即ち、冷延材の表面窒化層厚み(μm/片
面)=3500×冷延材板厚/スラブ厚…(1)なる部
分のN分布とN量を調べればよい。
面)=3500×冷延材板厚/スラブ厚…(1)なる部
分のN分布とN量を調べればよい。
【0039】本発明においては、最終製品の外観を良好
にするためこのように薄板の表面窒化層のN量をある程
度制御することにより、Ti−IF鋼薄板のプレス加工
性を損なうことなく製品の外観不良を防止することがで
き、低コストで外観良好なTi−IF鋼薄板を得ること
ができる。
にするためこのように薄板の表面窒化層のN量をある程
度制御することにより、Ti−IF鋼薄板のプレス加工
性を損なうことなく製品の外観不良を防止することがで
き、低コストで外観良好なTi−IF鋼薄板を得ること
ができる。
【0040】本発明においては、冷間圧延時の表面窒化
層のN分布及びN量以外の合金組成に関しては、特に限
定するものではなく、通常自動車車体や家電製品等に用
いられる組成のTi−IF鋼薄板であれば良く、例え
ば、重量%で、C≦0.005%と、Si≦0.05%
と、Mn≦2.5%と、P:0.02〜0.1%と、S
≦0.015%と、sol.Al≦0.1%と、Ti≦
0.3%と、N≦0.006%と、残部実質的にFeか
らなるTi−IF鋼を用いることができる。
層のN分布及びN量以外の合金組成に関しては、特に限
定するものではなく、通常自動車車体や家電製品等に用
いられる組成のTi−IF鋼薄板であれば良く、例え
ば、重量%で、C≦0.005%と、Si≦0.05%
と、Mn≦2.5%と、P:0.02〜0.1%と、S
≦0.015%と、sol.Al≦0.1%と、Ti≦
0.3%と、N≦0.006%と、残部実質的にFeか
らなるTi−IF鋼を用いることができる。
【0041】特にプレス成形性が要求される場合には、
Ti添加量の範囲をTi* %/C%≧4(重量比)の範
囲に限定することが望ましい。なお、Ti* %は有効T
i量で、Ti* %=Ti%−S%×48/32−N%×
48/14で示される。
Ti添加量の範囲をTi* %/C%≧4(重量比)の範
囲に限定することが望ましい。なお、Ti* %は有効T
i量で、Ti* %=Ti%−S%×48/32−N%×
48/14で示される。
【0042】また、必要に応じて、重量%でB≦0.0
02%、またはNb≦0.02%の合金元素を添加して
も本発明の効果を損なうものではない。また、製造方法
に関しても、冷間圧延後の薄板の表面窒素濃化層のN量
を請求項どおり制御できるのであれば特に限定するもの
ではない。具体的には、所定の組成に調整された鋼を連
続鋳造または造塊後分解圧延を行いスラブとし、プレス
成形性を損なわないよう仕上温度がAr3 点以上となる
ように熱間圧延した後、冷間圧延等が施され所定の厚さ
のTi−IF鋼薄板とする。この後、焼鈍や各種表面処
理、例えば電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっきさらには合
金化処理を施すことにより最終製品とする。なお、スラ
ブを加熱する際、表面窒化層のTiNの生成むらを防ぐ
ために、例えば、以下の(1)、(2)の方法を採用す
ることが望ましい((2)の方法がさらに望まし
い。)。 (1)加熱炉内スラブ表面温度のムラを所定の方法で±
25℃以内に制御する。
02%、またはNb≦0.02%の合金元素を添加して
も本発明の効果を損なうものではない。また、製造方法
に関しても、冷間圧延後の薄板の表面窒素濃化層のN量
を請求項どおり制御できるのであれば特に限定するもの
ではない。具体的には、所定の組成に調整された鋼を連
続鋳造または造塊後分解圧延を行いスラブとし、プレス
成形性を損なわないよう仕上温度がAr3 点以上となる
ように熱間圧延した後、冷間圧延等が施され所定の厚さ
のTi−IF鋼薄板とする。この後、焼鈍や各種表面処
理、例えば電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっきさらには合
金化処理を施すことにより最終製品とする。なお、スラ
ブを加熱する際、表面窒化層のTiNの生成むらを防ぐ
ために、例えば、以下の(1)、(2)の方法を採用す
ることが望ましい((2)の方法がさらに望まし
い。)。 (1)加熱炉内スラブ表面温度のムラを所定の方法で±
25℃以内に制御する。
【0043】(2)窒化物の不均一性を改善するために
スラブ加熱段階で酸化性ガスをスラブ表面に吹き付け
る。 以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効果を立証す
る。
スラブ加熱段階で酸化性ガスをスラブ表面に吹き付け
る。 以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効果を立証す
る。
【0044】
【実施例】(実施例1)TiNの生成と生成むらを防ぐ
ために、スラブを再加熱せず、鋳造後直接熱間圧延工程
にスラブを流して薄板とした。以下にその製造条件を示
す。
ために、スラブを再加熱せず、鋳造後直接熱間圧延工程
にスラブを流して薄板とした。以下にその製造条件を示
す。
【0045】表1に示す成分の鋼(No.1〜4:本発
明鋼)を溶製して厚さ220mmのスラブとした後、鋳
造されたスラブの表面温度が1,060℃で保持された
状態で熱間仕上圧延機に搬送し、粗圧延により厚さ35
mmまで圧延し、さらに連続仕上圧延機により3.2m
mまで仕上圧延して巻き取った。得られた熱延板を酸洗
した後0.7mmまで冷間圧延し連続焼鈍した後、直ち
に片面当たり60g/m2 の溶融亜鉛めっきを施し55
0℃で合金化処理を行い、0.7%の調質圧延を行って
合金化溶融亜鉛めっき製品とした。従来品との工程の違
いを表2(No.1〜4:本発明鋼、No.5,6:従
来鋼)に示す。
明鋼)を溶製して厚さ220mmのスラブとした後、鋳
造されたスラブの表面温度が1,060℃で保持された
状態で熱間仕上圧延機に搬送し、粗圧延により厚さ35
mmまで圧延し、さらに連続仕上圧延機により3.2m
mまで仕上圧延して巻き取った。得られた熱延板を酸洗
した後0.7mmまで冷間圧延し連続焼鈍した後、直ち
に片面当たり60g/m2 の溶融亜鉛めっきを施し55
0℃で合金化処理を行い、0.7%の調質圧延を行って
合金化溶融亜鉛めっき製品とした。従来品との工程の違
いを表2(No.1〜4:本発明鋼、No.5,6:従
来鋼)に示す。
【0046】冷間圧延後、コイルTop部を抜き取り、
表層窒化部のN量分布を調べた。さらに得られた最終製
品の外観評点及びJIS5号試験片による材質を評価し
た。さらに、得られた製品の外観評価を行った。外観
は、スジムラの発生程度を5段階(1:悪〜5:良)で
目視評価した。
表層窒化部のN量分布を調べた。さらに得られた最終製
品の外観評点及びJIS5号試験片による材質を評価し
た。さらに、得られた製品の外観評価を行った。外観
は、スジムラの発生程度を5段階(1:悪〜5:良)で
目視評価した。
【0047】得られた製品の特性と外観評価結果を表3
に示す。プレス加工性はTs値とr値にて評価した。ま
た、外観評価は評点4以上なら塗装後スジムラが認識さ
れないことを示している。本発明範囲内(本発明鋼N
o.1〜4)においてはプレス加工性を損なうことなく
外観の優れた鋼板が得られた。
に示す。プレス加工性はTs値とr値にて評価した。ま
た、外観評価は評点4以上なら塗装後スジムラが認識さ
れないことを示している。本発明範囲内(本発明鋼N
o.1〜4)においてはプレス加工性を損なうことなく
外観の優れた鋼板が得られた。
【0048】一方、従来鋼No.5,6はプレス加工性
は良好であるが、表面窒化層のN濃度差が本発明の範囲
を越えているため、外観評価においてスジムラが認識さ
れた。特に、従来鋼No.6は表面窒化層のN量も本発
明の範囲を越えているため、めっきはがれも発生してい
る。
は良好であるが、表面窒化層のN濃度差が本発明の範囲
を越えているため、外観評価においてスジムラが認識さ
れた。特に、従来鋼No.6は表面窒化層のN量も本発
明の範囲を越えているため、めっきはがれも発生してい
る。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】 (実施例2)TiNの生成と生成むらを防ぐために、ス
ラブ再加熱時間を低くかつ短くし、さらに薄板の表面を
深く酸洗して一様にした。以下にその製造条件を示す。
ラブ再加熱時間を低くかつ短くし、さらに薄板の表面を
深く酸洗して一様にした。以下にその製造条件を示す。
【0052】表4に示す成分の鋼(No.1:本発明
鋼)を溶製して厚さ220mmのスラブとした。1,1
80℃で150分間だけ加熱してから熱間圧延を行い
3.2mmの熱延コイルとした。得られた熱延板を片面
につき表層から60μmを酸洗し、1.9mmまで冷間
圧延し850℃で連続焼鈍した後、2%の調質圧延を行
ってから片面当たり20g/m2 の電気亜鉛めっきを施
して最終製品とした。従来品との工程の違いを表5(N
o.1:本発明鋼、No.2:従来鋼)に示す。
鋼)を溶製して厚さ220mmのスラブとした。1,1
80℃で150分間だけ加熱してから熱間圧延を行い
3.2mmの熱延コイルとした。得られた熱延板を片面
につき表層から60μmを酸洗し、1.9mmまで冷間
圧延し850℃で連続焼鈍した後、2%の調質圧延を行
ってから片面当たり20g/m2 の電気亜鉛めっきを施
して最終製品とした。従来品との工程の違いを表5(N
o.1:本発明鋼、No.2:従来鋼)に示す。
【0053】冷間圧延後、コイルTop部を抜き取り、
表層窒化部のN量分布を調べた。さらに得られた最終製
品の外観評点及びJIS5号試験片による材質を実施例
1と同様の方法で評価した。さらに、得られた製品の外
観評価を行った。外観は、スジムラの発生程度を5段階
(1:悪〜5:良)で目視評価した。得られた製品の特
性と外観評価結果を表6に示す。本発明範囲内(本発明
鋼No.1)においてはプレス加工性を損なうことなく
外観の優れた鋼板が得られた。
表層窒化部のN量分布を調べた。さらに得られた最終製
品の外観評点及びJIS5号試験片による材質を実施例
1と同様の方法で評価した。さらに、得られた製品の外
観評価を行った。外観は、スジムラの発生程度を5段階
(1:悪〜5:良)で目視評価した。得られた製品の特
性と外観評価結果を表6に示す。本発明範囲内(本発明
鋼No.1)においてはプレス加工性を損なうことなく
外観の優れた鋼板が得られた。
【0054】一方、従来鋼No.2はプレス加工性は良
好であるが、表面窒化層のN濃度差及びN量が本発明の
範囲を越えているため、外観評価においてスジムラが認
識された。
好であるが、表面窒化層のN濃度差及びN量が本発明の
範囲を越えているため、外観評価においてスジムラが認
識された。
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】 (実施例3)TiNの生成と生成むらを防ぐために、T
i量を減らし、かつ熱延工程前の再加熱温度を低くし
た。以下にその製造条件を示す。
i量を減らし、かつ熱延工程前の再加熱温度を低くし
た。以下にその製造条件を示す。
【0058】表7に示す成分の鋼(No.1:本発明
鋼)を溶製して厚さ220mmのスラブとした。一旦冷
却後1,180℃で加熱してから熱間圧延を行い熱延コ
イルとした。得られた熱延板を酸洗した後、0.65m
mまで冷間圧延した。800℃で連続焼鈍した後、2%
の調質圧延を行って焼鈍材の製品とした。従来品との工
程の違いを表8(No.1:本発明鋼、No.2:従来
鋼)に示す。
鋼)を溶製して厚さ220mmのスラブとした。一旦冷
却後1,180℃で加熱してから熱間圧延を行い熱延コ
イルとした。得られた熱延板を酸洗した後、0.65m
mまで冷間圧延した。800℃で連続焼鈍した後、2%
の調質圧延を行って焼鈍材の製品とした。従来品との工
程の違いを表8(No.1:本発明鋼、No.2:従来
鋼)に示す。
【0059】冷間圧延後、コイルTop部を抜き取り、
表層窒化部のN量分布を調べた。さらに最終製品の外観
評点及びJIS5号試験片による材質を評価した。さら
に、得られた製品の外観評価を行った。外観は、スジム
ラの発生程度を5段階(1:悪〜5:良)で目視評価し
た。
表層窒化部のN量分布を調べた。さらに最終製品の外観
評点及びJIS5号試験片による材質を評価した。さら
に、得られた製品の外観評価を行った。外観は、スジム
ラの発生程度を5段階(1:悪〜5:良)で目視評価し
た。
【0060】得られた製品の特性と外観評価結果を表9
に示す。プレス加工性はTs値と平均r値にて評価し
た。また、外観評価は評点4以上なら目視後スジムラが
認識されないことを示している。本発明範囲内(本発明
鋼No.1)においてはプレス加工性を損なうことなく
外観の優れた鋼板が得られた。
に示す。プレス加工性はTs値と平均r値にて評価し
た。また、外観評価は評点4以上なら目視後スジムラが
認識されないことを示している。本発明範囲内(本発明
鋼No.1)においてはプレス加工性を損なうことなく
外観の優れた鋼板が得られた。
【0061】一方、従来鋼No.2はプレス加工性は良
好であるが、表面窒化層のN濃度差が本発明の範囲を越
えているため、外観評価においてスジムラが認識され
た。
好であるが、表面窒化層のN濃度差が本発明の範囲を越
えているため、外観評価においてスジムラが認識され
た。
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
表面窒化層のN量を特定することにより、プレス成形性
を損なうことなく表面外観に優れたTi−IF鋼薄板が
工業的に安定して製造可能になり、その工業的価値は大
きい。
表面窒化層のN量を特定することにより、プレス成形性
を損なうことなく表面外観に優れたTi−IF鋼薄板が
工業的に安定して製造可能になり、その工業的価値は大
きい。
【図1】粗大なフェライト展伸粒が散在していることを
示す金属の表面組織の顕微鏡写真。
示す金属の表面組織の顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 Ti添加鋼の冷延薄板上の任意の1点に
おける表面窒化層のN量:C1重量%と、その点から少
なくとも板幅方向に沿って1mm以上離間した位置にお
ける表面窒化層のN量:C2重量%との差の絶対値Cd
=|C2%−C1%|≦0.002重量%であることを
特徴とする、表面外観に優れたTi−IF鋼薄板。但
し、表面窒化層は下記(1)式で定義される。 冷延材の表面窒化層厚み(μm/片面)=3500×冷延材板厚/スラブ厚 …(1) - 【請求項2】 請求項1に記載のTi−IF鋼薄板であ
って、 さらに、表面窒化層のN量≦0.009重量%であるこ
とを特徴とする、表面外観に優れた合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板下地用Ti−IF鋼薄板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31778797A JP3271568B2 (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | 表面外観に優れたTi−IF鋼薄板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31778797A JP3271568B2 (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | 表面外観に優れたTi−IF鋼薄板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11140621A true JPH11140621A (ja) | 1999-05-25 |
JP3271568B2 JP3271568B2 (ja) | 2002-04-02 |
Family
ID=18092046
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31778797A Expired - Fee Related JP3271568B2 (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | 表面外観に優れたTi−IF鋼薄板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3271568B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104946978A (zh) * | 2015-07-07 | 2015-09-30 | 新余钢铁集团有限公司 | 一种用于家电面板的彩涂冷轧基板及其制造方法 |
CN105603299A (zh) * | 2016-02-03 | 2016-05-25 | 首钢总公司 | 超深冲无间隙原子钢及其生产方法 |
CN112593142A (zh) * | 2020-10-26 | 2021-04-02 | 邯郸钢铁集团有限责任公司 | 一种低成本高纯净超低碳钢带及其生产方法 |
-
1997
- 1997-11-05 JP JP31778797A patent/JP3271568B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104946978A (zh) * | 2015-07-07 | 2015-09-30 | 新余钢铁集团有限公司 | 一种用于家电面板的彩涂冷轧基板及其制造方法 |
CN105603299A (zh) * | 2016-02-03 | 2016-05-25 | 首钢总公司 | 超深冲无间隙原子钢及其生产方法 |
CN112593142A (zh) * | 2020-10-26 | 2021-04-02 | 邯郸钢铁集团有限责任公司 | 一种低成本高纯净超低碳钢带及其生产方法 |
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---|---|
JP3271568B2 (ja) | 2002-04-02 |
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