JP3446002B2 - 表面外観およびプレス成形性に優れた塗装下地用薄鋼板の製造方法 - Google Patents

表面外観およびプレス成形性に優れた塗装下地用薄鋼板の製造方法

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JP3446002B2 JP15736497A JP15736497A JP3446002B2 JP 3446002 B2 JP3446002 B2 JP 3446002B2 JP 15736497 A JP15736497 A JP 15736497A JP 15736497 A JP15736497 A JP 15736497A JP 3446002 B2 JP3446002 B2 JP 3446002B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プレス成形性に優
れ、しかも表面外観の均一性に優れた塗装下地用薄鋼板
の工業的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電用部材を始めとして
塗装下地用材料としてのプレス成形性の優れた薄鋼板へ
のニーズが高まっている。薄鋼板のプレス成形性を改善
するためには、鋼中のC,Nを極力低減し、さらに鋼中
の固溶C,NをTiなどの炭窒化物形成元素で固定した
所謂IF(Interstitial Free )鋼の使用が一般的であ
る。ところが、Tiを所定量以上添加したIF鋼冷延鋼
板を元に合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した場合、特
有の線状の外観ムラ(以下、スジムラ)が発生すること
が知られており、特に塗装した後外板として使用される
部材では問題になっていた。
【0003】このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表
面外観上の問題点に対して、特開平3-180429号公報では
Ti添加量を抑え、Nbを複合添加させ、さらに焼鈍後
の冷却速度に規定を設けることで対処しようとしてい
る。鋼中Ti量を減少させ、Nbを代替元素として添加
すればスジムラは軽減されるが、固溶Cの一部はNbC
として析出するために冷間圧延後の焼鈍過程で一部のC
が再固溶し、Ti添加IF鋼と比較して材質、特に深絞
り性の劣化は避けられない。
【0004】また、特開平6-101009号公報に示された様
に、鋼中へのB添加と熱延低温仕上との組み合わせによ
りスジムラを軽減しようとする技術もあるが、本文中に
「820℃から880℃の本来は原理的に好ましくない
とされる温度域の熱延仕上げ温度では鋼板の表面層は
(α+γ)域となるものの、鋼板の中心層ではγ域圧延
となるため、(111)集合組織が発達する」と記載さ
れているように、Ti添加IF鋼の優れた材質を必ずし
も十分に発揮できない難点がある。
【0005】一方、様々な付加的処理によって鋼板表面
に出現したスジムラを目立たなくする試みも提案されて
いる。すなわち、特開平2-11746 号公報は鋼板表面をチ
オ硫酸水溶液で処理後、焼鈍、めっきする技術であり、
特開平2-38550 号公報には、スジムラの原因は表面の微
細結晶粒の影響によるものであって、スジムラの解消方
法として、表面の結晶粒をプレ焼鈍などによって粗大化
させたり、熱延板・冷間圧延板の表面を研削する方法な
どが開示されている。
【0006】さらに特開平2-038549号公報では鋼板表面
にFe系めっきを施した後、焼鈍する技術であり、特開
平2-133560号公報は鋼板表面に5ミクロン以上の窒化層
を形成後、めっきを行う技術、特開平3-281764号公報は
鋼板表面を酸洗した後焼鈍する技術である。
【0007】また、めっき条件からのアプローチとし
て、特開平3-158449号公報は浴中の鋼板に超音波振動を
付加する技術であり、特開平7-243012号公報は焼鈍直後
の鋼板にイオンプレーティングなどの方法によりAlめ
っきを施した後、特定のめっき浴で溶融亜鉛めっきする
方法である。
【0008】いずれの方法においても、通常の合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の製造工程に、さらに工程を増やすも
のであって、製造コストが著しく高くなることは否めな
い。このように、従来知られている製造技術はプレス成
形性と表面性状の両者に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の工業的製造方法としては、好ましい方法であるとは
到底言えない。
【0009】そこで、本発明者らはプレス成形性に優れ
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を特開
平7-228944号公報において提案した。この方法では合金
化溶融亜鉛めっき鋼板における上記スジムラを無くすた
めに、鋼中Ti量によって決まる比較的低温の加熱温度
でスラブ加熱を行うことを特徴としている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ほと
んどの従来技術においては、必然的にコスト高を招く
か、またはTi添加IF鋼が本来持つ優れたプレス成形
性を犠牲にして表面外観を改善させるため、工業的に好
ましい製造方法であるとは言えない。
【0011】一方、先に提案した本発明者らの特開平7-
228944号公報の方法によれば、0.01〜0.15%T
i添加鋼において付加的な工程を経ることなく表面外観
の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造可能となる
が、鋼成分あるいは熱延ストリップの幅によっては熱延
時の圧延負荷が大きくなるため、安定して製造すること
が困難な場合があることを経験した。
【0012】さらに、合金化溶融亜鉛めっき鋼板におい
て上記スジムラの問題は従来からも知られていたが、冷
延鋼板(焼鈍板)や、それを基に製造した電気めっき鋼
板上にも上記スジムラが見い出され、塗装条件によって
は使用時に外観上の問題となることがわかっている。
【0013】そこで、本発明の目的は、優れたプレス成
形性を有するTi添加IF鋼薄板の表面性状を安定的
に、しかも低コストで向上させる表面外観およびプレス
成形性に優れた塗装下地用薄鋼板の製造方法を提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決し目的
を達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。
【0015】(1)本発明の鋼板の製造方法は、重量%
で、C:0.005%以下と、S:0.015%以下
と、N:0.005%以下と、Ti:0.02〜0.3
%とからなる鋼組成を有する鋼板を製造する方法におい
て、鋼を連続鋳造してスラブとした後加熱し、表面温度
が1100℃以上のスラブに下記(1)式を満足する酸
素を含む酸化性ガスを吹き付け、1時間以上の酸化処理
を行った後、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍を行うこ
とを特徴とする表面外観およびプレス成形性に優れた塗
装下地用薄鋼板の製造方法である。
【0016】 O2 %≧96×Ti%+6.16 …(1) 但し、O2 %は酸化性ガス中の酸素濃度、Ti%は鋼中
Ti含有量(重量%)である。
【0017】(2)本発明の鋼板の製造方法は、鋼成分
として、さらに重量%でB:0.0002〜0.002
%を含有することを特徴とする上記(1)に記載の表面
外観およびプレス成形性に優れた塗装下地用薄鋼板の製
造方法である。
【0018】(3)本発明の鋼板の製造方法は、鋼中の
P含有量を重量%で0.1%以下に規制し、熱間圧延、
酸洗、冷間圧延及び焼鈍を行い、その後溶融亜鉛めっき
及び合金化処理することを特徴とする上記(1)または
(2)に記載の表面外観およびプレス成形性に優れた塗
装下地用薄鋼板の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明者らは、かかる目的を達成
するために上記スジムラの発生メカニズムを鋭意研究し
た結果、Ti添加IF鋼のスジムラは連続鋳造スラブを
加熱する際に表層に生ずる窒化現象のムラに起因するこ
とが判明し、本発明を開示するに至ったのである。
【0020】以下に、本発明の基となった研究結果を詳
述する。
【0021】一般に、Ti添加IF鋼においては、鋼中
のTiはC,S,Nと結びついてTiC,Ti4 2
2 ,TiS,TiN等の析出物を形成するが、一部のT
iは固溶状態のまま鋼中に存在する。特に熱延スラブ加
熱時にスラブ表層に存在する固溶状態のTiは雰囲気ガ
ス成分である酸素や窒素と結び付きやすいために、結晶
粒界などを介してガス成分が鋼中に侵入すると酸化や窒
化が起こる。
【0022】ここで酸化現象はFeに対しても起こり、
その上スケールの成長速度が比較的早いためTiの酸化
物は形成されたスケールとともに後工程において剥離除
去され、最終製品へ問題とはならない。ところが、雰囲
気中の酸素濃度が低い場合など、酸化速度が遅い場合に
は窒化によりスラブ表層に形成された極微細なTiNが
熱延後も残留し、最終的な表面品質に多大な影響を及ぼ
すことを知見した。
【0023】図1はその様子を表しており、表1に示す
組成の本発明鋼Bに関し、加熱炉内スラブ表層温度と熱
延、酸洗、冷延、溶融亜鉛めっきの工程を経て製造され
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面外観との関係を示す
ものである。このように、通常のスラブ加熱炉内雰囲気
(酸素濃度3〜7%)においてはスラブ表面温度が12
30℃付近を中心に最終製品の外観の劣化が認められ
る。
【0024】
【表1】 上記外観劣化の原因を検討した結果、以下が判明した。
【0025】スラブ表面には、鋳造時の鋳壁との接触状
態の変化に伴う凝固・冷却速度の違いに起因した場所的
な組成のばらつきが存在する。とりわけ、固溶Ti濃度
のゆらぎにより前記加熱炉内で析出するTiNの量およ
び分布も不均一となる。
【0026】通常、熱延された鋼板は酸洗脱スケール後
に冷間圧延され、連続焼鈍ラインなどで焼鈍される。こ
の時、表層の極く微細なTiN析出物の多く存在する領
域では再結晶が遅れる結果比較的粗大な回復組織が多く
観察されるようになり、その他の部分では再結晶粒が形
成されるようになる。このように、もともと連続鋳造ス
ラブ表面の不均一な領域が熱延および冷延によってスジ
状に引き伸ばされ、その領域内には比較的粗大なフェラ
イト展伸粒が散在するきわめて特徴的な表面組織となる
(図4の顕微鏡写真参照)。
【0027】このような、表層フェライト組織の不均一
性は、焼鈍および冷却時における表面酸化挙動に影響を
およぼすとともに、板面内で局所的に変形抵抗が異なる
結果、連続焼鈍炉内での張力付加やスキンパスミルにお
ける圧延によって冷延鋼板表面にわずかな凹凸を形成す
るようになり、外観上のスジムラとして認識されるよう
になる。さらに、上記冷延鋼板にZn,Zn−Fe,Z
n−Ni系などの電気めっきを施した場合にはその凹凸
がスジムラとして認識されるばかりでなく、電析結晶の
成長方位が下地冷延鋼板の表面フェライト結晶に左右さ
れるため、スジムラが強調される結果となる。
【0028】一方、このような表層フェライト組織の不
均一な鋼板を溶融亜鉛めっきした場合にも前述した表面
凹凸によりスジムラが認識されるようになるが、さらに
合金化処理によって以下のメカニズムにより強調され
る。
【0029】Ti添加IF鋼では鋼中のCを主としてT
iが強力に固定するため、結晶粒界の清浄度が高い。そ
のために冷延焼鈍後の(111)集合組織が発達しやす
く、優れた深絞り性が得られるが、一方ではその清浄な
結晶粒界のために溶融亜鉛めっき後の合金化処理時にア
ウトバースト反応と呼ばれる結晶粒界での急激なFe−
Zn反応が起こりやすくなり、合金化速度はこの反応に
律速されている。上述したように、アウトバースト反応
は下地フェライト組織の結晶粒界で発生するため、結晶
粒界の存在密度にムラが存在すると、Fe−Zn反応速
度に差異が生じ、最終的に合金化の進んだ領域と遅れた
領域ができることとなる。したがって、結晶粒界密度の
低いスジムラの部分では合金化が遅れることにより、色
調の差が出現するようになる(白っぽくなる)。
【0030】なお、図1に示したように加熱炉内スラブ
表層温度を低下あるいは上昇させることによって表面外
観は改善傾向を示すが、これは、前者では温度低下によ
る窒化量の減少、後者では酸化量の増加に伴う窒化層の
スケールオフにより説明することができる。
【0031】このように、冷延鋼板、およびそれを基に
した各種表面処理鋼板におけるTi添加IF鋼板特有の
スジムラ発現メカニズムを解明した結果、本発明者ら
は、熱延の加熱段階でTi含有量によって決定される酸
素濃度の酸化性ガスをスラブ表面に吹付けることによっ
て表層の酸化を促進し、窒化物の不均一性を改善すれ
ば、スジムラが実用上問題にならないまで軽減されるこ
とを新規に知見し本発明に至った。
【0032】すなわち、本発明は、鋼組成及び鋼の加熱
・酸化処理工程を含む製造条件を下記範囲に限定するこ
とにより、優れたプレス成形性を有するTi添加IF鋼
薄板の表面性状を安定的に、しかも低コストで向上させ
る表面外観およびプレス成形性に優れた塗装下地用薄鋼
板の製造方法を提供することができる。
【0033】以下に本発明の成分添加理由、成分限定理
由及び製造条件の限定理由について説明する。
【0034】(1)成分組成範囲 C:0.005%以下 Cはプレス成形性の向上のためにできるだけ少ない方が
よいが、実用上本発明の効果を損なわない範囲としてそ
の上限は0.005%である。ただし、極めて高いプレ
ス成形性が要求される場合には0.002%を上限とす
るのが好ましい。
【0035】S:0.015%以下 Sは鋼の延性を劣化させ、さらにTiと結び付くことに
より固溶Cを固定するために有効に作用する所謂有効T
i量(後述する有効Ti量=Ti* )を減少させるため
にできるだけ少ない方がよいが、実用上本発明の効果を
損なわない範囲として、その上限は0.015%であ
る。
【0036】N:0.005%以下 Nはプレス成形性向上のためには少ない方がよいが、実
用上本発明の効果を損なわない範囲として、その上限は
0.005%である。ただし、高い成形性が要求される
場合には、0.002%を上限とするのが好ましい。
【0037】Ti:0.02〜0.3% Tiは鋼中のC、Nを固定してプレス成形性を向上させ
るために添加する。したがって、0.02%未満ではそ
の効果が少なく、0.3%を超えて添加しても、その効
果が飽和するばかりか、Tiに起因するスジムラが抑制
できなくなるため、この範囲に限定した。また、とくに
高いプレス成形性が要求される場合には、Ti添加量の
範囲をTi* /C(原子比)≧4の範囲に限定すること
が望ましい。なお、有効Ti量(Ti* )=Ti%−
(48/32)S%−(48/14)N%である。
【0038】B:0.0002〜0.002% Ti添加IF鋼では前述したように結晶粒界の清浄度が
高く、結晶粒界強度が低いため、2次加工脆性が低下す
る傾向がある。したがって、2次加工脆性が要求される
用途にはBを添加することができる。ただし、0.00
02%未満ではその効果が無く、0.002%を超えて
含有すると、延性が著しく劣化するため、この範囲に限
定した。
【0039】P:0.1%以下 Pは最も安価に鋼を強化できる元素であり、強化元素と
して添加されるが、とくに合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
製造する場合にはフェライト結晶上における合金化反応
を極端に遅延させるため、相対的にフェライト結晶粒界
との合金加速度の差が大きくなり、Ti添加IF鋼特有
のスジムラがさらに発生しやすくなる。したがって、合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合には0.1%以
下、好ましくは0.05%以下に抑制する必要がある。
【0040】上記以外の鋼中元素、例えばSi,Mn,
Sol.Al,Nbに関しては本発明は特に規定するも
のではない。しかし以下のような添加範囲が好ましい。
【0041】Si:0.05%以下 Siは鋼の強化に有効な元素であるが、0.05%を越
えて含有すると、Siに起因する線状の合金化ムラが発
生しやすくなり、表面外観を著しく劣化させるため好ま
しくない。
【0042】Mn:2.5%以下 Mnも鋼の強化のために有効な元素である。しかし、
2.5%を越えて含有するとプレス成形性を著しく劣化
させるので好ましくない。
【0043】sol.Al:0.02〜0.1% Alは脱酸のために必要であるため、通常、0.02%
以上0.1%以下程度添加される。
【0044】Nb:0.005%以下 Nbはさらに表面外観の向上が要求される場合に微量に
添加することができる。これは、Nbが鋼中のCと反応
してNbCを形成しその一部は焼鈍時に再溶解するた
め、固溶Cが鋼中に存在するようになるためである。こ
のような固溶Cは前述したように結晶粒界を安定化させ
るが、一方では深絞り性を劣化させる。したがって、
0.005%以下に抑えるべきである。
【0045】上記の成分組成範囲に調整することによ
り、表面外観およびプレス成形性に優れた塗装下地用薄
鋼板を安定的に、しかも低コストで得ることが可能とな
る。このような特性の鋼板は以下の製造方法により製造
することができる。
【0046】(2)鋼板製造工程 上記の成分組成範囲に調整された溶鋼を連続鋳造してス
ラブとする。鋳造されたスラブは一旦冷片にしてから再
加熱される。このときスラブ表裏面を熱間あるいは冷間
で手入れ(研削)してもよい。
【0047】次に、熱間圧延直前の温度が1100℃以
上のスラブ表面に、鋼中Ti量との関係で下記(1)式
を満足する酸素を含む酸化性ガスを吹付けて酸化処理を
行う。
【0048】 O2 %≧96×Ti%+6.16 …(1) 但し、O2 %は酸化性ガス中の酸素濃度、Ti%は鋼中
Ti含有量(重量%)である。この加熱・酸化処理条件
は、本発明者らが行った以下の実験により明らかとなっ
た。
【0049】図2は、表1に示す組成のスラブを用い、
スラブ表面温度が1230℃で吹付けガス中の酸素量を
種々変更し酸化処理(1時間)を行い、熱延、酸洗、冷
延、溶融亜鉛めっきの工程を経て製造された合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の表面外観との関係を表した図である。
この図から、鋼中Ti量に応じてO2 %≧96×Ti%
+6.16なる酸素濃度で処理を行うことにより、表面
外観が改善されることが判明した。酸素濃度の上限につ
いては、100%まで処理可能であり、酸素濃度が高い
ほど酸化反応が急激に起こるため、後述する処理時間を
短くすることができる。但し、急速に酸化するとスケー
ルだけでなく、内部酸化が起こりやすくなるため、35
%以下が好ましい。
【0050】なお、図1に示したようにスラブ表面温度
を変化させれば表面外観が改善される場合もあるが、工
業的なスラブ加熱炉においてはスラブの上下面、および
エッジ部など場所によって温度が異なるために、本発明
では表面外観が最も悪くなる1100℃以上の温度領域
における改善を意図した。スラブ加熱温度の下限は低温
域で窒化量が減少されるため、1100℃である。上限
については、燃料原単位の増大を防止するため、好まし
くは1300℃である。
【0051】また、図3に示されるように酸化処理時間
は60分で十分である。ここで図3は表1に示す組成の
本発明鋼BおよびEのスラブをスラブ加熱炉の均熱帯で
雰囲気中酸素濃度15%、35%の酸素富加空気の吹き
付けにより種々の時間酸化処理し、図1と同様に合金化
処理後の表面外観を調査したものである。なお、過度の
酸化処理はスケール発生による歩留低下に繋がるため好
ましくない。すなわち、酸化処理時間は1〜4時間の範
囲が好ましい。なお、本発明において使用される酸化性
ガスの酸素以外の成分は特に規定しないが、空気、窒
素、CO2 、H2 O、アルゴンなどが例として挙げられ
る。また、これらのガスはスラブ表面温度を低下させな
い程度に加熱することが望ましい。
【0052】このように、所定温度で加熱・酸化処理さ
れたスラブは通常の条件により熱間圧延以降の工程を施
される。すなわち、得られた熱延鋼板に対して、酸洗、
冷延、焼鈍、さらには各種表面処理、例えば電気亜鉛め
っき、溶融亜鉛めっき更には合金化処理などが施され
る。
【0053】なお、スラブの表面温度は放射温度計によ
って計測される表面温度である。また、熱間圧延工程に
おけるデスケーリングについては、本発明では特に限定
しないが、本発明が目的とするスジムラ以外の各種熱延
スケール性表面欠陥を軽減することができるため、使用
することが推奨される。
【0054】以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効
果を立証する。
【0055】
【実施例】
(実施例1)表2に示す成分の本発明鋼No.1を溶製
して厚さ270mmのスラブとし、スラブ加熱炉内で所
定の温度まで加熱した後、種々の条件で酸化処理を施し
た(本発明例1〜8、比較例1〜9)。その後、厚さ3
5mmまでの粗圧延、3.2mmまでの仕上圧延を経て
熱延コイルを製造した。このとき、仕上温度は920
℃、巻取温度は620℃であった。次に、酸洗後の熱延
コイルを0.8mmまで冷間圧延し、連続溶融亜鉛めっ
きライン(CGL)に通板した。この時、焼鈍温度は8
50℃とし、通常の溶融亜鉛めっき工程後、最高板温が
460〜550℃となるように合金化処理を施し、0.
7%の調質圧延を行って製品を得た。なお、スラブ表裏
面をスラブ加熱前に片面あたり5mm研削した場合も評
価した。
【0056】スラブ加熱時の酸化処理は雰囲気ガス中に
酸素を富加することにより行い、予熱したガスを均熱帯
でスラブ表裏面に一様に吹き付けることにより行った。
なお、通常の雰囲気ガス中酸素濃度は約5%であった。
また、このときのスラブ表面温度を放射温度計で測定し
た。
【0057】酸化処理条件と最終的な合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の外観評点との関係及びJIS5号試験片によ
る材質の評価結果(TS,El,r値)を表3にまとめ
る。なお、外観はスジムラの発生程度を5段階で評価し
ている(1:悪…5:良)。ここで評点5は、化成処理
後にカチオン電着塗装を20ミクロンの膜厚で行い、外
観を検査した時にスジムラが検出されない程度である。
【0058】表3から、本発明範囲内の酸化処理(本発
明例1〜8)を施すことにより合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の外観特性が著しく改善されること、さらにTi添加
鋼独特の優れた深絞り加工性が上記酸化処理によってな
んら影響を受けないことがわかる。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】 (実施例2)表2に示す成分の本発明鋼No.2、3を
溶製して厚さ250mmのスラブとし、冷片とした後、
種々の加熱温度に加熱したのち酸化処理を施した(本発
明例9〜18、比較例10〜19)。その後、厚さ35
mmまでの粗圧延、2.8mmまでの仕上圧延を経て熱
延コイルを製造した。このとき、仕上温度は910℃、
巻取温度は560℃であった。次に、酸洗後の熱延コイ
ルを0.7mmまで冷間圧延し、連続溶融亜鉛めっきラ
イン(CGL)に通板した。この時、焼鈍温度は850
℃とし、通常の溶融亜鉛めっき工程後、最高板温が48
0〜540℃となるように合金化処理を施し、0.5%
の調質圧延を行って製品を得た。
【0061】スラブ加熱時の酸化処理は雰囲気ガス中に
酸素を富加することにより行い、予熱したガスを均熱帯
でスラブ表裏面に一様に吹き付けることにより行った。
なお、通常の雰囲気ガス中酸素濃度は約5%であった。
また、このときの表面温度を放射温度計で測定した。
【0062】酸化処理条件と最終的な合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の外観評点との関係及びJIS5号試験片によ
る材質の評価結果(TS,El,r値)を表4にまとめ
る。なお、外観はスジムラの発生程度を5段階で評価し
ている(1:悪…5:良)。
【0063】表4から、本発明範囲内の酸化処理(本発
明例9〜18)を施すことにより合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の外観特性が著しく改善されること、さらにTi添
加鋼独特の優れた深絞り加工性が上記酸化処理によって
なんら影響を受けないことがわかる。
【0064】
【表4】 (実施例3)表2に示す成分の本発明鋼No.3、4を
溶製して厚さ250mmのスラブとし、種々の加熱温度
に加熱したのち酸化処理を施した(本発明例19〜2
5、比較例20〜26)。その後、厚さ32mmまでの
粗圧延、3.2mmまでの仕上圧延を経て熱延コイルを
製造した。このとき、仕上温度は900℃、巻取温度は
560℃であった。次に、酸洗後の熱延コイルを0.6
5mmまで冷間圧延し、連続焼鈍ライン(CAL)およ
び、一部の材料(本発明鋼No.3)については連続電
気めっきライン(EGL)に通板し、片面あたり20g
/m2 の亜鉛めっきを施した。この時、CAL焼鈍温度
は880℃とし、0.5%の調質圧延を行って製品とし
た。
【0065】スラブ加熱時の酸化処理は雰囲気ガス中に
酸素を富加することにより行い、予熱したガスを均熱帯
でスラブ表裏面に一様に吹き付けることにより行った。
なお、通常の雰囲気ガス中酸素濃度は約5%であった。
また、このときの表面温度を放射温度計で測定した。
【0066】酸化処理条件と最終的な電気亜鉛めっき鋼
板あるいは冷延鋼板の外観評点との関係及びJIS5号
試験片による材質の評価結果(TS,El,r値)を表
5にまとめる。なお、外観はスジムラの発生程度を5段
階で評価している(1:悪…5:良)。
【0067】表5から、本発明範囲内の酸化処理(本発
明例19〜25)を施すことにより合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の外観特性が著しく改善されること、さらにTi
添加鋼独特の優れた深絞り加工性が上記酸化処理によっ
てなんら影響を受けないことがわかる。
【0068】
【表5】
【0069】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
鋼組成及び鋼の加熱・酸化処理工程を含む製造条件を特
定することにより、プレス成形性に優れ、かつ表面外観
も美しい薄鋼板が工業的に安定して製造可能になり、そ
の工業的な価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るスラブ表面温度と表
面外観との関係を示す図。
【図2】本発明の実施の形態に係る合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板表面外観の鋼中Ti量・雰囲気中酸素濃度依存性
を示す図。
【図3】本発明の実施の形態に係る加熱炉内酸化処理時
間と表面外観との関係を示す図。
【図4】粗大なフェライト展伸粒が散在していることを
示す金属の表面組織の顕微鏡写真。
フロントページの続き (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 西本 昭彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−260061(JP,A) 特開 平10−158784(JP,A) 特公 昭60−15684(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 - 9/48 C21D 8/00 - 8/04 C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.005%以下と、
    S:0.015%以下と、N:0.005%以下と、T
    i:0.02〜0.3%とからなる鋼組成を有する鋼板
    を製造する方法において、 鋼を連続鋳造してスラブとした後加熱し、表面温度が1
    100℃以上のスラブに下記(1)式を満足する酸素を
    含む酸化性ガスを吹き付け、1時間以上の酸化処理を行
    った後、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍を行うことを
    特徴とする表面外観およびプレス成形性に優れた塗装下
    地用薄鋼板の製造方法。 O%≧96×Ti%+6.16 …(1) 但し、O%は酸化性ガス中の酸素濃度、Ti%は鋼中
    Ti含有量(重量%)である。
  2. 【請求項2】 鋼成分として、さらに重量%でB:0.
    0002〜0.002%を含有することを特徴とする請
    求項1に記載の表面外観およびプレス成形性に優れた塗
    装下地用薄鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 鋼中のP含有量を重量%で0.1%以下
    に規制し、熱間圧延、酸洗、冷間圧延及び焼鈍を行い、
    その後溶融亜鉛めっき及び合金化処理することを特徴と
    する請求項1または2に記載の表面外観およびプレス成
    形性に優れた塗装下地用薄鋼板の製造方法。
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