JPH11140420A - ゼラチン変性物およびその製造方法 - Google Patents

ゼラチン変性物およびその製造方法

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JPH11140420A
JPH11140420A JP30615097A JP30615097A JPH11140420A JP H11140420 A JPH11140420 A JP H11140420A JP 30615097 A JP30615097 A JP 30615097A JP 30615097 A JP30615097 A JP 30615097A JP H11140420 A JPH11140420 A JP H11140420A
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gelatin
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JP30615097A
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Hirohito Suzuki
啓仁 鈴木
Masayuki Mimasu
正幸 三舛
Masaya Takahashi
真哉 高橋
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Original Assignee
Nitta Gelatin Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン化銀粒子乳剤の製造工程において、
物理熟成に用いられる有効な銀量の減少が少なく、かつ
物理抑制性の低いゼラチン変性物およびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 ゼラチンの一部を構成するヒスチジン残
基の少なくとも一つにおいて末端のイミダゾール基が封
鎖された構造となっているゼラチン変性物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼラチン変性物お
よびその製造方法に関する。さらに詳しくは、写真用ハ
ロゲン化銀粒子乳剤の製造に好適に用いられるゼラチン
変性物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】写真用のハロゲン化銀粒子乳剤は、分散
媒としてのゼラチンとハロゲン化銀粒子、その他添加剤
からなるものであり、例えばゼラチン溶媒中にハロゲン
化アルカリ水溶液および硝酸銀等の銀塩水溶液を加える
ことでハロゲン化銀の粒子形成、熟成による粒子成長、
化学増感を行うことで得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなハロゲン化
銀粒子乳剤の製造工程の中でも特に物理熟成工程におい
て、所望の形状・大きさを有するハロゲン化銀微粒子を
高収率で得るべく、ゼラチンの改良という面からも種々
のアプローチがなされている。しかしながら、いずれも
実用上十分満足の行くものではなく、物理熟成に用いら
れる有効な銀量が減少するという問題や、粒子成長(物
理熟成)を抑制する(物理抑制性)という問題は依然解
決されていない。
【0004】したがって、本発明では、ハロゲン化銀粒
子乳剤の製造工程において、物理熟成に用いられる有効
な銀量の減少が少なく、かつ物理抑制性の低いゼラチン
変性物およびその製造方法を提供することを課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】ゼラチンの一部を構成す
るヒスチジン残基の末端イミダゾール基が銀イオンと錯
体を形成することが従来より知られている。また、ゼラ
チンがアミノ基を有するためにゼラチン分子が正に帯電
し、ハロゲンイオンが吸着して負に帯電しているハロゲ
ン銀粒子との間で引力が働き、ハロゲン銀粒子表面にゼ
ラチンが吸着されやすいことも知られている。本発明者
らは、これらが上記のような問題の一要因であると考
え、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の課題は、以下の構成に
より達成される。 (1) ゼラチンの一部を構成するヒスチジン残基の少なく
とも一つにおいて末端のイミダゾール基が封鎖された構
造となっているゼラチン変性物。 (2) 末端のイミダゾール基が封鎖された構造が、下記式
(Aー1)、(A−2)、(B)、(C−1)および
(C−2)のうちの少なくとも一つで示される構造であ
る、前記(1)記載のゼラチン変性物。
【0007】
【化6】
【0008】(ただし、Rはアルキル基を表す。Gel
はゼラチン鎖を表す。)
【0009】
【化7】
【0010】(ただし、Rはアルキル基を表す。Gel
はゼラチン鎖を表す。)
【0011】
【化8】
【0012】(ただし、Rはアルキル基を表す。Gel
はゼラチン鎖を表す。) (3) ゼラチン中のアミノ基の少なくとも一つが化学修飾
されている、前記(1)または(2)記載のゼラチン変性物。 (4) ゼラチンと無水テトラカルボン酸との反応によって
アミノ基が化学修飾されている、前記(3)記載のゼラチ
ン変性物。
【0013】(5) ゼラチン中のアミノ基の少なくとも一
つが無水テトラカルボン酸との反応によって化学修飾さ
れているゼラチン変性物。 (6) アミノ基が無水テトラカルボン酸との反応によっ
て、下記式(D)または(E)で示される構造となって
いる、前記(5)記載のゼラチン変性物。
【0014】
【化9】
【0015】(ただし、Raは4価の有機基を表す。G
elはゼラチン鎖を表す。)
【0016】
【化10】
【0017】(ただし、Raは4価の有機基を表す。G
elはゼラチン鎖を表す。) (7) ゼラチンを、一般式O(COOR)2で示される化
合物(1)(ただし、Rは、アルキル基を表す。)と反
応させる、ゼラチン変性物の製造方法。 (8) ゼラチン中のアミノ基の少なくとも一つを化学修飾
した後に、前記化合物(1)と反応させる、前記(7)記
載のゼラチン変性物の製造方法。
【0018】(9) ゼラチンと無水テトラカルボン酸との
反応によってアミノ基を化学修飾する、前記(8)記載の
ゼラチン変性物の製造方法。 (10) ゼラチンを、無水テトラカルボン酸と反応させ
る、ゼラチン変性物の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のゼラチン変性物
をその製造方法とともに詳細に説明する。ゼラチンの一
部を構成するアミノ酸残基のうち、ヒスチジン残基は通
常35〜55μmol/gである。ヒスチジンは下記式
で示されるものであり、末端にイミダゾール基を有す
る。
【0020】
【化11】
【0021】本発明のゼラチン変性物では、ヒスチジン
残基の少なくとも一つにおいて末端のイミダゾール基が
封鎖された構造となっていることが重要であり、これに
よりイミダゾール基と銀イオンとの錯体形成が抑制され
る。前記錯体形成を十分に抑制するためには、好ましく
は30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ま
しくは80%以上のヒスチジン残基において末端のイミ
ダゾール基が封鎖された構造となっていることが好まし
い。イミダゾール基が封鎖されているとは、イミダゾー
ルのN−1位またはN−3位の窒素のいずれかが置換さ
れた誘導体、または両者が置換された誘導体が形成され
ていることをいう。
【0022】イミダゾール基を封鎖する方法としては特
に限定されるものではないが、例えば、一般式O(CO
OR)2で示される化合物(1)(ただし、Rはアルキ
ル基を表す。)によるN−アルコキシホルミル化、光増
感酸化、ヨード酢酸によるN−アルキル化、ジアゾテト
ラゾールによるC−ジアゾ化等が挙げられる。これらの
うちで化合物(1)によるN−アルコキシホルミル化が
最も好ましい。
【0023】ゼラチンのヒスチジン残基の末端イミダゾ
ール基と化合物(1)とを反応させると、イミダゾール
基のN−1位および/またはN−3位が解離して、下記
式(A−1)および/または(A−2)で示される構造
が生成する。
【0024】
【化12】
【0025】(ただし、Rはアルキル基を表す。Gel
はゼラチン鎖を表す。) 式(A−1)、(A−2)の中には、さらに化合物
(1)と反応して下記式(F−1)、(F−2)で示さ
れる構造を経由して、下記式(B)で示される構造とな
るものもある。
【0026】
【化13】
【0027】(ただし、Rはアルキル基を表す。Gel
はゼラチン鎖を表す。)
【0028】
【化14】
【0029】(ただし、Rはアルキル基を表す。Gel
はゼラチン鎖を表す。) また、ゼラチン分子中のアミノ基は、N末端のα−アミ
ノ基、リジンおよびヒドロキシリジン残基のε−アミノ
基があり、通常300〜350μmol/g存在する。
そのため、式(F−1)、(F−2)のCHO基と、ゼ
ラチンの有するアミノ基(Gel−NH2)とが反応し
て、下記式(C−1)、(C−2)で示される結合が生
成する。
【0030】
【化15】
【0031】したがって、ゼラチンを化合物(1)と反
応させた場合には、通常、式(A−1)、(A−2)、
(B)、(C−1)および(C−2)で示される構造が
混在したゼラチン変性物が得られる。化合物(1)は、
上記一般式で示されるものであれば特に限定されない
が、Rが低級アルキル基であるもの、特にエチル基であ
るジエチルピロカーボネートを用いることが好ましい。
これら化合物(1)は、一種のみを用いてもよいし、二
種以上併用して用いてもよい。
【0032】通常のアシル化剤はアミノ基との反応性は
高いがイミダゾール基との反応性は低い。ところが、化
合物(1)は他のアシル化剤と異なり、イミダゾール基
との反応性が高いという特異性を有する。ただし、化合
物(1)はアミノ基との反応性も高いので、本発明にお
いて化合物(1)が選択的にイミダゾール基と反応する
ようにするためには、反応系のpHを中性付近以下とす
ることが好ましい。具体的には、アシル化剤とアミノ基
との反応が通常pH9付近で起こりやすいので、pH5
〜7程度とすることが好ましい。
【0033】ゼラチンと化合物(1)との反応は、好ま
しくは中性付近以下のpHに調整されたゼラチンの水溶
液に化合物(1)を添加する等の方法によればよい。ゼ
ラチンと化合物(1)とのモル比としては特に限定され
ないが、例えば、ゼラチンに対して100〜500μm
ol/g程度用いることができる。ゼラチンと化合物
(1)との反応は、高温で行うと化合物(1)の分解反
応が速く誘導化されにくい。また、ゼラチンが溶解状態
にないとヒスチジンとの接触が困難である。この2点か
らゼラチン融点付近(35〜40℃)で反応させるのが
最適である。
【0034】式(C−1)、(C−2)で示される構造
は、分子内および分子間のいずれにも形成されるが、異
なるゼラチン分子間で生成した場合には、ゼラチンが架
橋され高分子化する。目的に応じて分子量は適宜調節す
ればよいが、高分子化を望まない場合には、ゼラチン
の濃度を低くすることによってCHO基とアミノ基が反
応する確率を低くする方法、化合物(1)と反応させ
る前に、ゼラチン中のアミノ基(−NH2基)を化学修
飾することにより、CHO基と反応するアミノ基の量を
減少させる方法、等により、式(C−1)、(C−2)
で示される構造を生成しにくくすればよい。
【0035】としては、例えば、通常の反応ではゼラ
チン溶液のゼラチン濃度が5〜15重量%であるのに対
して、1重量%以下の低濃度とすることが好ましい。
としては、ゼラチンのアミノ基のうち、50%以上を化
学修飾することが好ましく、より好ましくは90%以
上、さらに好ましくは100%である。の方法として
は、ゼラチンを、酸無水物やイソシアネート基含有化合
物と反応させる方法のほか、脱アミノ化、ニトロフェニ
ル化等の方法が挙げられる。酸無水物としては、無水フ
タル酸、無水トリメリット酸、無水コハク酸、無水ピロ
メリット酸、無水メリット酸、無水マレイン酸、無水酢
酸等を挙げることができ、イソシアネート基含有化合物
としては、フェニルイソシアネート、シアン酸等を挙げ
ることができる。この中でも、反応後にカルボキシル基
などの負荷電基が導入されるものが好ましい。これは、
カルボキシル基が導入されるとゼラチン分子が負に帯電
するため、ハロゲンイオンが吸着して同じく負に帯電し
ているハロゲン銀粒子表面との間で反発力が働き、ハロ
ゲン銀粒子表面にゼラチンが吸着されにくくなるためで
ある。したがって、酸無水物の中でもカルボキシル基が
多いものが好ましく、例えば3個以上のもの、さらには
4個以上のものが好ましい。カルボキシル基が3個のも
の(無水トリカルボン酸)としては、無水トリメリット
酸、カルボキシル基が4個のもの(無水テトラカルボン
酸)としては、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸、無水ビフェニルテトラカルボン酸
等が挙げられる。
【0036】ゼラチンと下記式(G)で示される無水テ
トラカルボン酸とを反応させると、下記式(D)および
(H)で示される構造が生成する。
【0037】
【化16】
【0038】(ただし、Raは4価の有機基を表す。)
【0039】
【化17】
【0040】(ただし、Raは4価の有機基を表す。G
elはゼラチン鎖を表す。)
【0041】
【化18】
【0042】(ただし、Raは4価の有機基を表す。G
elはゼラチン鎖を表す。) 式(D)で示される構造は安定な構造であるが、式
(H)で示される構造は無水カルボン酸構造を有するた
め、これにさらにゼラチンのアミノ基が反応して、下記
式(E)で示される構造が生成する。
【0043】
【化19】
【0044】(ただし、Raは4価の有機基を表す。G
elはゼラチン鎖を表す。) したがって、ゼラチンを無水テトラカルボン酸と反応さ
せた場合には、通常、式(D)および(E)で示される
構造が混在したゼラチン変性物が得られる。式(E)で
示される構造は、分子内および分子間のいずれにも形成
されるが、異なるゼラチン分子間で生成した場合には、
ゼラチンが架橋され高分子化する。目的に応じて分子量
は適宜調節すればよいが、高分子化を望まない場合に
は、ゼラチンの濃度を低くすることによってCHO基と
アミノ基が反応する確率を低くする方法、等により、式
(E)で示される構造を生成しにくくすればよい。具体
的には、通常の反応ではゼラチン溶液のゼラチン濃度が
5〜15重量%であるのに対して、1重量%以下の低濃
度とすることが好ましい。
【0045】ゼラチンと酸またはその無水物との反応
は、例えば、ゼラチンの水溶液に酸またはその無水物を
添加する等の方法によればよい。ゼラチンと酸またはそ
の無水物とのモル比としては特に限定されないが、例え
ば、ゼラチンに対して400〜500μmol/g程度
用いることができる。本発明のイミダゾール基を封鎖し
たゼラチン変性物を用いて、公知の方法にしたがって写
真用ハロゲン化銀粒子乳剤を製造することができる。
【0046】また、ゼラチンと無水テトラカルボン酸と
の反応により得られるゼラチンのアミノ基が化学修飾さ
れたゼラチン変性物は、上記イミダゾール基を封鎖した
ゼラチン変性物の原料として用いられるだけでなく、写
真用ハロゲン化銀粒子乳剤の製造にも用いることができ
る。
【0047】
【実施例】以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以
下において残存イミダゾール基とエトキシホルミル基の
定量は次の方法により行った。 <残存イミダゾール基とエトキシホルミル基の定量方法
>次の〜の溶液を用意した。
【0048】PO4バッファー;Na2HPO4 0.05M+KH2
PO4 0.05M (pH6.5) DEP(ジエチルピロカーボネート)溶液;DEP0.
03mlを上記PO4バッファー100mlに溶解したもの ゼラチン溶液;0.25gサンプルゼラチンを上記PO4
バッファー100mlに溶解したもの 〜の溶液を用いて、A:+、B:+、C:
+の三種の混合溶液(いずれも等量混合)を作製
し、混合後室温で1時間放置した。その後、混合溶液
A,B,Cのそれぞれについて220〜300nmのス
ペクトルを測定し、次にしたがって残存イミダゾール基
とエトキシホルミル基を定量した。
【0049】残存イミダゾール基:スペクトルB−スペ
クトルC−スペクトルA 生成エトキシホルミル基:スペクトルC1−スペクトル
2 * スペクトルC1:エトキシホルミル化ゼラチンのス
ペクトルC スペクトルC2:元のゼラチンのスペクトルC [実施例1](トリメリット化ゼラチンのエトキシホル
ミル化) ゼラチン450gにイオン交換水2.55リットルを加
え、膨潤溶解し、15重量%ゼラチン溶液を得た。水酸
化ナトリウムを加えることにより、ゼラチン溶液のpH
を10に調製した。ゼラチン溶液の温度を60℃とし、
攪拌しながら無水トリメリット酸アセトン溶液(40重
量%)を0.17リットル添加した。この際、pHを
9.0〜10.0になるように水酸化ナトリウムを加え
ながら徐々に添加した。30分間反応後、硝酸にてpH
を6.0に調整した。
【0050】これを濾紙濾過、セット、乾燥し、トリメ
リット化ゼラチンを得た。このとき、アミノ基の封鎖率
は98.5%であった(グルタールアルデヒド発色法に
よる)。上記トリメリット化ゼラチン300gにイオン
交換水2.7リットルを加え、膨潤溶解し、10重量%
ゼラチン溶液を得た。水酸化ナトリウムまたは硝酸を加
えることにより、ゼラチン溶液のpHを6.0に調整し
た。ゼラチン溶液の温度を45℃とし、攪拌しながらジ
エチルピロカーボネート(DEP)を5ml加え、pH
6にて20分間反応させた。この操作を計4回繰り返し
た(DEP合計20ml)。
【0051】これを、セット、乾燥し、エトキシホルミ
ル化ゼラチン(1)を得た。 [実施例2](低濃度ゼラチン溶液を用いたエトキシホ
ルミル化) ゼラチン300gにイオン交換水29.7リットルを加
え、膨潤溶解し、1重量%ゼラチン溶液を得た。水酸化
ナトリウムまたは硝酸を加えることにより、ゼラチン溶
液のpHを6.0に調整した。ゼラチン溶液の温度を4
5℃とし、攪拌しながらジエチルピロカーボネート(D
EP)を5ml加え、pH6にて20分間反応させた。
この操作を計4回繰り返した(DEP合計20ml)。
東ソー(株)製TOSOH UF-50PSを用いて限外濾過を行
い、上記反応液を3リットルまで濃縮した。
【0052】これを、セット、乾燥し、エトキシホルミ
ル化ゼラチン(2)を得た。元ゼラチンではイミダゾー
ル基(λmax:236.9〜238.7nm)が43.0〜49.0μmol、エ
トキシホルミル基が0であったのに対し、エトキシホル
ミル化ゼラチン(2)では、残存イミダゾール基(λma
x:236.5〜238.0nm)が26.4〜28.2μmolと減少し、エト
キシホルミル基(λmax:233.8〜235.2nm)が27.9〜31.
8μmolと生成していることが確認された。これから、イ
ミダゾール基が封鎖されて、エトキシホルミル基が生成
していることがわかる。 [実施例3](コハク化ゼラチンのエトキシホルミル
化) ゼラチン450gにイオン交換水2.55リットルを加
え、膨潤溶解し、15重量%ゼラチン溶液を得た。水酸
化ナトリウムを加えることにより、ゼラチン溶液のpH
を10に調製した。ゼラチン溶液の温度を60℃とし、
攪拌しながら無水コハク酸を30g加えた。この際、p
Hを9〜10になるように水酸化ナトリウムを加えなが
ら30分間反応した。反応後、硝酸にてpHを6に調整
した。
【0053】これを濾紙濾過、セット、乾燥し、コハク
化ゼラチンを得た。このとき、アミノ基の封鎖率は9
9.5%であった(グルタールアルデヒド発色法によ
る)。上記コハク化ゼラチンを用いて実施例1でトリメ
リット化ゼラチンからエトキシホルミル化ゼラチン
(1)を作製したのと同様にしてエトキシホルミル化ゼ
ラチン(3)を作製した。
【0054】元ゼラチンではイミダゾール基(λmax:2
36.9〜238.7nm)が43.0〜49.0μmol、エトキシホルミル
基が0であったのに対し、エトキシホルミル化ゼラチン
(3)では、残存イミダゾール基(λmax:235.8〜237.
9nm)が17.8〜21.0μmolと減少し、エトキシホルミル基
(λmax:238.0〜240.5nm)が42〜45μmolと生成してい
ることが確認された。これから、イミダゾール基が封鎖
されて、エトキシホルミル基が生成していることがわか
る。 [実施例4](高分子量のエトキシホルミル化ゼラチ
ン) ゼラチン300gにイオン交換水2.7リットルを加
え、膨潤溶解し、10重量%ゼラチン溶液を得た。水酸
化ナトリウムまたは硝酸を加えることにより、ゼラチン
溶液のpHを6.0に調整した。ゼラチン溶液の温度を
45℃とし、攪拌しながらジエチルピロカーボネート
(DEP)を10ml加え、pH6にて30分間反応さ
せた。
【0055】これを、セット、乾燥し、エトキシホルミ
ル化ゼラチン(4)を得た。エトキシホルミル化ゼラチ
ン(4)におけるアミノ基の封鎖率は16.7%であっ
た(グルタールアルデヒド発色法による)。元ゼラチン
ではイミダゾール基(λmax:236.9〜238.7nm)が43.0
〜49.0μmol、エトキシホルミル基が0であったのに対
し、エトキシホルミル化ゼラチン(4)では、残存イミ
ダゾール基(λmax:236.2〜236.6nm)が12.3〜13.4μm
olと減少し、エトキシホルミル基(λmax:233.3〜235.
1nm)が65〜83μmolと生成していることが確認された。
また、分子量分布を測定したところ、γ成分以上が41
%(元ゼラチンのγ成分以上:20%)と上昇してい
た。分子量分布のスペクトルを図1に示す。
【0056】これらから、イミダゾール基が封鎖され
て、エトキシホルミル基が生成していることとがわか
る。また、式(C−1)および/または(C−2)で示
される結合によりゼラチン分子間に架橋結合が形成され
ていると推測される。 [実施例5](ピロメリット化ゼラチン) ゼラチン400gを40リットルのイオン交換水に溶解
し、ゼラチン溶液を得た。水酸化ナトリウムまたは硝酸
を加えることにより、ゼラチン溶液のpHを9.0に調
製した。ゼラチン溶液の温度を60℃とし、5重量%二
無水ピロメリット酸(アセトン溶媒)を1.5リットル
添加した。水酸化ナトリウムを用いてpHを9.0〜
9.5に保ち、30分間反応させた。硝酸を加えてpH
を6.0に調整し、濾紙で濾過した。さらに限外濾過膜
(分画分子量5万)を用いて反応液を5リットルまで濃
縮した。
【0057】これを、セット、乾燥し、ピロメリット化
ゼラチン(1)を得た。 [実施例6](高分子量のピロメリット化ゼラチン) ゼラチン450gを15リットルのイオン交換水に溶解
し、ゼラチン溶液を得た。水酸化ナトリウムを加えるこ
とにより、ゼラチン溶液のpHを9.0に調製した。ゼ
ラチン溶液の温度を60℃とし、二無水ピロメリット酸
を120g添加した。水酸化ナトリウムを用いてpHを
9.0〜9.5に保ち、30分間反応させた。硝酸を加
えてpHを6.0に調整し、濾紙で濾過した。
【0058】これを、セット、乾燥し、ピロメリット化
ゼラチン(2)を得た。ピロメリット化ゼラチン(2)
におけるアミノ基の置換度率は98.0%であた(グル
タールアルデヒド発色法による)。生成カルボキシル基
数は約100個/1000残基(計算値)であった。ま
た、分子量分布を測定したところ、γ成分以上が32%
(元ゼラチンのγ成分以上:20%)と上昇していた。
分子量分布のスペクトルを図2に示す。
【0059】これらから、アミノ基が化学修飾されて、
カルボキシル基が導入されていることがわかる。また、
式(E)で示される結合によりゼラチン分子間に架橋結
合が形成されていると推測される。 [参考例1]実施例1〜4で得られたエトキシホルミル
化ゼラチン(1)〜(4)と、比較のために元ゼラチン
について、遊離の銀の消費量を硝酸銀添加時のAg電位
測定によって評価した。
【0060】6.36gのゼラチンを72.6mlの蒸
留水にて膨潤溶解し、内温40℃にて銀電極(リファレ
ンス:ダブルジャンクション、内部液/3.33N K
Cl、外部液/過飽和KNO3)を漬け、5分放置後、
1/10N硝酸銀溶液を1.00ml添加し、30秒後
の電位を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】いずれの実施例のエトキシホルミル化ゼラ
チンも元ゼラチンに比べ硝酸銀添加による銀電位の上昇
が大きいことから、ゼラチンによる消費銀量の低下が示
唆される。 [参考例2]実施例5〜6で得られたピロメリット化ゼ
ラチン(1)〜(2)と、比較のために元ゼラチンにつ
いて、物理抑制度試験をPAGI法審議中Jeffrey & Cr
oome法に準じて行った。ただし、熟成時間は30秒〜1
0分(30秒毎に測定)で行った。pHは6に固定し熟
成した。OD値は粒子サイズと比例するので、OD値が
高いほど物理抑制度が低い(粒子が大きい)ことを表
す。結果を図3に示す。
【0063】図3から、熟成初期において、元ゼラチン
に比べ、ピロメリット化ゼラチン(1)、(2)は非常
に低い抑制性を示すことがわかる。いいかえれば、ピロ
メリット化することにより熟成速度が早まっていること
がわかる。これは、カルボキシル基残基数の上昇による
ハロゲン銀粒子表面とゼラチンの反撥力の上昇によるも
のと考えられる。 [参考例3]実施例1〜4で得られたエトキシホルミル
化ゼラチン(1)〜(4)と、比較のために元ゼラチン
について、物理抑制度試験をPAGI法審議中Jeffrey
&Croome法によって行った。結果を図4に示す。
【0064】図4から、エトキシホルミル化ゼラチン
(1)〜(4)は、pH5以上の熟成において、元ゼラ
チンに比べ、物理抑制度が低い(OD値が高い)ことが
わかる。これは、イミダゾール基のNの解離に伴う銀イ
オンとの錯体形成が、同残基の誘導化により阻止されて
いる結果と考えられる。 [PAGI法審議中Jeffrey&Croome法] (1) 試料ゼラチン5.00gを80mlの水に溶解す
る。
【0065】(2) このゼラチン溶液に1M硝酸または
0.5M水酸化ナトリウムを加えてよく攪拌し、pH4
〜9の範囲内で所定のpHに調整する。 (3) 水を加えて100.0gとし、よく攪拌して35℃
にまで加温する。 (4) 共栓付き三角フラスコに30.00gを分注し、残
液pHを35℃で測定する。
【0066】(5) 水67.5ml、0.1M塩化ナトリ
ウム水溶液1.50mlを加え60℃に加温する。 (6) 検液が60℃になったら400rpmで攪拌する。
回転数を確認できない場合は目安としてスタラーバーが
正常に回転している状態で、攪拌中の液面が静止液面か
ら約10mm上昇した高さとなるように回転速度を設定
しても良い。
【0067】(7) 攪拌しながら0.1M硝酸銀水溶液
1.00mlをオートピペットにて1秒以内に添加す
る。硝酸銀水溶液添加位置は中心付近とし、添加30秒
後に攪拌を停止する。 (8) 硝酸銀添加16分後、冷氷水で冷却し30秒間攪拌
する。 (9) 冷却後直ちに、検液を700nmで測定し、そのO
D値を物理抑制度とする。
【0068】(10) 熟成後の残液を35℃に調温してp
Hを測定し、熟成後pHとする。(ただし、測定(7)〜
(9)は、赤灯下暗室で熟成・測定する)
【0069】
【発明の効果】本発明によると、ゼラチンの一部を構成
するヒスチジン残基の末端のイミダゾール基が銀イオン
と強い錯体を形成することや、ハロゲン銀粒子表面にゼ
ラチンが吸着することを抑制することができる。したが
って、ハロゲン化銀粒子乳剤の製造工程の中でも特に物
理熟成工程において、物理熟成に用いられる有効な銀量
の減少が少なく、かつハロゲン化銀粒子の成長を抑制す
るおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で得られたエトキシホルミル化ゼラチ
ン(4)の分子量分布のスペクトルを示す図である。
【図2】実施例6で得られたピロメリット化ゼラチン
(2)の分子量分布のスペクトルを示す図である。
【図3】実施例で行った参考例2の結果を示す図であ
る。
【図4】実施例で行った参考例3の結果を示す図であ
る。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゼラチンの一部を構成するヒスチジン残
    基の少なくとも一つにおいて末端のイミダゾール基が封
    鎖された構造となっているゼラチン変性物。
  2. 【請求項2】 末端のイミダゾール基が封鎖された構造
    が、下記式(Aー1)、(A−2)、(B)、(C−
    1)および(C−2)のうちの少なくとも一つで示され
    る構造である、請求項1記載のゼラチン変性物。 【化1】 (ただし、Rはアルキル基を表す。Gelはゼラチン鎖
    を表す。) 【化2】 (ただし、Rはアルキル基を表す。Gelはゼラチン鎖
    を表す。) 【化3】 (ただし、Rはアルキル基を表す。Gelはゼラチン鎖
    を表す。)
  3. 【請求項3】 ゼラチン中のアミノ基の少なくとも一つ
    が化学修飾されている、請求項1または2記載のゼラチ
    ン変性物。
  4. 【請求項4】 ゼラチンと無水テトラカルボン酸との反
    応によってアミノ基が化学修飾されている、請求項3記
    載のゼラチン変性物。
  5. 【請求項5】 ゼラチン中のアミノ基の少なくとも一つ
    が無水テトラカルボン酸との反応によって化学修飾され
    ているゼラチン変性物。
  6. 【請求項6】 アミノ基が無水テトラカルボン酸との反
    応によって、下記式(D)または(E)で示される構造
    となっている、請求項5記載のゼラチン変性物。 【化4】 (ただし、Raは4価の有機基を表す。Gelはゼラチ
    ン鎖を表す。) 【化5】 (ただし、Raは4価の有機基を表す。Gelはゼラチ
    ン鎖を表す。)
  7. 【請求項7】 ゼラチンを、一般式O(COOR)2
    示される化合物(1)(ただし、Rは、アルキル基を表
    す。)と反応させる、ゼラチン変性物の製造方法。
  8. 【請求項8】 ゼラチン中のアミノ基の少なくとも一つ
    を化学修飾した後に、前記化合物(1)と反応させる、
    請求項7記載のゼラチン変性物の製造方法。
  9. 【請求項9】 ゼラチンと無水テトラカルボン酸との反
    応によってアミノ基を化学修飾する、請求項8記載のゼ
    ラチン変性物の製造方法。
  10. 【請求項10】 ゼラチンを、無水テトラカルボン酸と
    反応させる、ゼラチン変性物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11237704A (ja) * 1997-12-15 1999-08-31 Fuji Photo Film Co Ltd 平板状ハロゲン化銀乳剤の製造法
CN103725252A (zh) * 2014-01-08 2014-04-16 四川省纺织科学研究院 一种无甲醛胶黏剂及其制备方法和应用

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