JPH11140348A - 粉体塗料及びその塗装方法 - Google Patents

粉体塗料及びその塗装方法

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JPH11140348A
JPH11140348A JP30470297A JP30470297A JPH11140348A JP H11140348 A JPH11140348 A JP H11140348A JP 30470297 A JP30470297 A JP 30470297A JP 30470297 A JP30470297 A JP 30470297A JP H11140348 A JPH11140348 A JP H11140348A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強靭且つ柔軟な皮膜を、多様な形状を有する
絶縁性のガラス表面へも容易に形成することができ、且
つ飛散防止効果の高い皮膜を形成することのできる粉体
塗料及びその塗装方法を提供する。 【解決手段】 本発明の粉体塗料は、ポリウレタン樹脂
またはポリエチレン樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂粒
子を含有する粉体塗料粒子の表面に、アルミナ微粒子が
付着されてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強靭且つ柔軟な皮
膜を形成する粉体塗料に関するものであり、ガラス表面
に塗装することでガラス破片の飛散防止機能を有する皮
膜を形成することのできる粉体塗料及びその塗装方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、PL法の制定に見られるように、
製品の安全性に対する要求が高くなってきており、ガラ
ス製品においても例外ではない。例えば扉、窓などに用
いられているガラス製品は、破損時に破片が飛散し、こ
れにより人が負傷するなどの危険性があった。これまで
に、ガラスの破片の飛散を防ぐため、溶剤型塗料をガラ
ス表面に塗布することで飛散防止作用を持つ皮膜を形成
する、あるいはラミネートフィルム等の飛散防止フィル
ムをガラス表面に張り付ける等の対策が講じられてき
た。
【0003】しかし、樹脂と各種添加剤と有機溶剤とか
らなる溶剤型塗料は、ラミネートフィルムと比較して、
形状の複雑なガラス表面への塗装作業性は優れている
が、皮膜形成時に有機溶剤が揮発することで人体及び環
境へ悪影響を及ぼすという問題があった。一方、ラミネ
ートフィルム等の飛散防止フィルムによる皮膜形成は、
平坦なガラス表面には適しているが、瓶等の複雑な形状
のガラス表面における均一な皮膜形成は困難であるとい
う問題があった。
【0004】そこで、溶剤型塗料に代わり粉体塗料を用
いてガラス表面に飛散防止作用を持つ皮膜を形成させる
方法が提案された。粉体塗料は、溶剤型塗料に比べ揮発
成分、臭気とも低いレベルにあり、人体及び環境に与え
る影響が小さく、非常に好ましい塗料であるとされてい
る。従来、一般的に行われている粉体塗料を用いた塗装
方法として、以下のような方法を挙げることができる。
【0005】:粉体塗料粒子がエアーの力により流動
化している流動槽内に、粉体塗料の融点以上(300〜
350℃程度)に加熱した被塗装物を通過させることに
より、粉体塗料の粒子を瞬時に溶融させて被塗装物の表
面に付着させる流動浸漬法。 :荷電された粉体塗料粒子がエアーの力により流動化
している流動槽内に、アースを取り付けた被塗装物を通
過させて、粉体塗料粒子を被塗装物の表面に電気的付着
力により付着させる静電流動浸漬法。 :粉体塗料粒子をスプレーガンの内部または吐出部で
荷電させた後、アースを取りつけた被塗装物に吹き付け
て、被塗装物の表面に電気的付着力により付着させる静
電スプレー塗装法。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記の流動浸漬法で
は、予め被塗装物を300〜350℃程度に加熱する工
程が必要であり効率的ではない。特に被塗装物がガラス
の場合、急加熱、あるいは急冷することで、ガラス表面
と内部では温度差が生じ、熱膨張の差により内部応力が
発生するため、ガラスが破損する危険性がある。また、
前記の静電流動浸漬法及び静電スプレー塗装法では、粉
体塗料粒子を被塗装物の表面に電気的付着力により付着
させるため、従来の粉体塗料では絶縁体であるガラス表
面への粉体塗料の付着性が悪く、飛散防止効果の高い均
一な皮膜を形成することは困難である。上記の点に鑑み
本発明は、多様な形状を有する絶縁性のガラス表面へも
容易に塗装することができ、且つ飛散防止効果の高い皮
膜を形成することのできる粉体塗料及びその塗装方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る粉体塗料
は、ポリウレタン樹脂またはポリエチレン樹脂を主成分
とする熱可塑性樹脂粒子を含有する粉体塗料であり、そ
の表面に、アルミナ微粒子が付着されてなることを特徴
とする。前記アルミナ微粒子の添加量は、粉体塗料粒子
100重量部に対して、0.1〜1.0重量部の範囲に
あることが好ましい。本発明の粉体塗料は、体積平均粒
子径が10μm〜60μmであることが好ましく、更に
好ましくは10μm〜30μmである。また、前記熱可
塑性樹脂粒子は真円度が0.80以上であることが好ま
しい。また、本発明に係る粉体塗料の塗装方法は、前記
粉体塗料を静電スプレー塗装機により正荷電させてガラ
ス表面に塗装することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明の粉体塗料は、強靭且つ柔軟な皮膜
を形成するものであり、ガラス表面に塗布することで飛
散防止作用を持つ皮膜を形成するものであり、熱可塑性
樹脂粒子の主成分となる樹脂としては、抗張力及び伸び
が大きいものが好ましく、抗張力が100g/cm2
上であり、且つ、伸びが300%以上の樹脂が好まし
い。本発明の熱可塑性樹脂粒子の主成分であるポリウレ
タン樹脂またはポリエチレン樹脂は抗張力及び伸びが共
に大きいので、飛散防止皮膜の結着樹脂として優れてい
る。一般的に、急激な温度変化に弱いガラスへの塗装に
用いるためには、熱処理温度を200℃程度以下にする
ことが好ましく、本発明においては、フロー軟化点が8
0〜140℃程度のポリウレタン樹脂またはポリエチレ
ン樹脂を使用することが、平滑な皮膜を得る上で好まし
い。
【0009】そして、本発明の熱可塑性樹脂粒子には、
必要に応じて、カ−ボンブラック、二酸化チタン、銅フ
タロシアニン等の公知の着色剤を始め、可塑剤、安定
剤、ワックス等の各種添加剤を適宜添加しても良い。
【0010】本発明の粉体塗料では、アルミナ微粒子が
乾式混合により熱可塑性樹脂粒子を含有する粉体塗料粒
子の表面に付着していることが重要である。これによ
り、粉体塗料のガラス表面への付着性(塗装性)が格段
に向上するからである。これは、珪素を主成分とするガ
ラス表面とアルミナ微粒子とのフェルミ準位差から、両
者の接触面ではガラス表面が負に、粉体塗料粒子の表面
のアルミナ微粒子が正に分極を起こし電気的引力が発生
するため、粉体塗料粒子のガラス表面への付着力が増加
するためと考えられる。
【0011】また、アルミナ微粒子には、粉体塗料の流
動性を向上させる働きもあり、塗装時の粉体塗料の塗装
機内への付着や凝集粉の発生を防止する。また、これに
より粉体塗料の個々の粒子を均一に荷電させることがで
きるので、塗装性(塗着効率)が向上する。粉体塗料粒
子の表面に、アルミナ微粒子を均一に付着させる為に
は、アルミナ微粒子の平均粒子径が小さなものほど好ま
しく、具体的には一次粒子径が50nm以下のものを好
適に使用することができる。
【0012】アルミナ微粒子の添加量は、粉体塗料粒子
100重量部に対して0.1〜1.0重量部の範囲にあ
ることが好ましい。その理由は、アルミナ微粒子の添加
量が0.1重量部未満では、粉体塗料粒子のガラス表面
への付着力増加の効果が不十分で塗着性が低く、また、
流動性が不充分であり、塗装機内で発生した凝集粉が被
塗装物上に付着し、プツ(丘状の凸部)等の皮膜欠陥を
引き起こし易いからである。逆にアルミナ微粒子の添加
量が1.0重量部を超えると、アルミナ微粒子が過添加
となり、粉体塗料粒子の表面に付着していないアルミナ
微粒子が増加し、ガラス表面と粉体塗料粒子との間に入
り込むために付着力が低下し塗装性が悪化すると同時
に、熱処理時にアルミナ微粒子は溶融した粉体塗料粒子
の表面で増粘剤として働くため、皮膜表面の平滑性が悪
化するからである。
【0013】前記アルミナ微粒子を本発明の熱可塑性樹
脂粒子を含有する粉体塗料の表面に付着させるには、ヘ
ンシェルミキサー等の撹拌羽根を有する高速撹拌混合機
にて、粉体塗料粒子とアルミナ微粒子とを乾式混合すれ
ばよい。この時の付着とは、アルミナ微粒子が粉体塗料
粒子の表面に単に付着しているだけでも良いし、埋め込
まれていても良い。
【0014】本発明の粉体塗料では、体積平均粒子径が
10μm〜60μmであることが好ましく、より好まし
くは10μm〜30μmである。粉体塗料では、その体
積平均粒子径が小さい程、熱処理後の皮膜の平滑性が向
上するので好適である。しかしながら、体積平均粒子径
が10μm未満の粉体塗料は、比表面積の増加によりフ
ァンデルワールス力等の粒子間力が増大する。そのた
め、流動性が低下し凝集し易いため、凝集粉により皮膜
表面にプツ(丘状の凸部)等ができやすくなり、皮膜の
平滑性が低下するので好ましくない。また、凝集し易い
粉体塗料では、塗装時に粉体塗料の個々の粒子を均一に
荷電することが困難であり、塗着効率(塗装性)が低下
するという問題も現れる。一方、体積平均粒子径が60
μmを超えると、粉体塗料の個々の粒子の体積及び重量
が増加し、重量に対するガラス表面との電気的付着力が
不足するため、ガラス表面から粉体塗料が脱落し易くな
るために塗装性が低下するので好ましくない。尚、前記
体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置
(日機装社製、マイクロトラック)を用いて、粉体塗料
の粒子を、界面活性剤が添加された水中で超音波分散機
により十分に分散させた後に測定することができる。
【0015】この体積平均粒子径の問題は、静電スプレ
ー塗装法を用いてガラス表面に塗装を施す場合に顕著に
現れる。静電スプレー塗装法では、粉体塗料の粒子を搬
送エアーにより被塗装物の表面に吹き付けるため、60
μmより大きい体積平均粒子径を有する粉体塗料では、
粉体塗料の個々の粒子の運動エネルギーが増加し、それ
が粒子のガラス表面への付着力を上回り、ガラス表面に
付着した粒子が、後からきた粒子によりはじき飛ばされ
たり、体積増加のため搬送エアーにより吹き飛ばされ易
くなるために正常な皮膜形成を行うことが困難となり、
塗装性が低下することになる。また、熱可塑性樹脂粒子
の体積平均粒子径は前記粉体塗料における体積平均粒子
径と同様の理由により10μm〜60μmであることが
好ましく、より好ましくは10μm〜30μmである。
【0016】粉体塗料は、同一組成からなるものであれ
ば、真円度が高い程嵩比重が大きい。これは粉体塗料の
粒子がガラス表面に高密度に付着できることを意味し、
その結果、真円度の高い粉体塗料は、熱処理後の皮膜表
面の平滑性が高くなるので好ましい。本発明の粉体塗料
に用いられる熱可塑性樹脂粒子は、真円度≧0.8であ
ることが好ましい。尚、本発明での「真円度」とは、下
記一般式(1)で定義される。 真円度=4πΑ/B2 ・・・(1) ここで、Aは粒子の投射面積、Bは粒子の周囲長であ
る。この真円度は、例えば粉体塗料の粒子を透過型電子
顕微鏡で投射して投射像を得、それを画像解析装置(日
本アビオニクス社製、商品名:EXCELII)を用いて
画像解析することにより得たデータから算出することが
できる。上式から明らかなように、真円度は粒子の投影
像が真円に近づけば1に近くなり、不定形の場合、その
値は小さくなる。また、熱可塑性樹脂粒子の真円度は前
記粉体塗料における真円度と同様の理由により0.8以
上であることが好ましい。
【0017】本発明の粉体塗料を用いて、ガラス表面に
静電粉体塗装を施す場合、塗装作業性に優れる静電スプ
レー塗装法を用いることが好ましい。そのとき、塗装機
内部のフッ素樹脂部との摩擦により粉体塗料を正荷電す
るトリボ荷電方式のスプレーガンを用いることが、ガラ
ス表面と粉体塗料との付着性が向上するので好ましい。
これは、珪素を主成分とするガラス表面とアルミナ微粒
子とのフェルミ準位差から、両者の接触面ではガラス表
面が負に、粉体塗料粒子の表面のアルミナ微粒子が正に
分極を起こし電気的引力が発生するため、粉体塗料粒子
を正荷電することにより、ガラス表面への付着力が増加
するためと考えられる。粉体塗料の粒子を、負の高印加
電圧により負荷電させるコロナ荷電方式の静電塗装機を
用いても、本発明の粉体塗料をガラス表面に塗装するこ
とは可能であるが、上記の理由によりその塗装性はトリ
ボ荷電方式のスプレーガンと比較すると劣ってしまう。
【0018】本発明の粉体塗料に用いられる熱可塑性樹
脂粒子は、例えば以下に示す混練・粉砕法により調製す
ることができる。ポリウレタン樹脂あるいはポリエチレ
ン樹脂に、必要により顔料、ワックス、可塑剤等の各種
添加剤を加え、ニーダー等により溶融混練した後、冷凍
粉砕機を用いて液体窒素等により混練物を凍結させた状
態で、粉砕することにより熱可塑性樹脂粒子を得ること
ができる。その後、熱可塑性樹脂粒子とアルミナ微粒子
とを、ミキサー等を用いて乾式混合することにより、本
発明の粉体塗料を得ることができる。しかしながら、本
発明の粉体塗料を、混練・粉砕法により製造した場合、
得られる粉体塗料の粒子径の下限は50μm程度である
ため生産性が悪いといった問題がある。
【0019】本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造法は、前
記の混練・粉砕法に限らず、例えば重合法等によっても
製造することができる。混練・粉砕法により製造された
粉体粒子は不定形をしているのに対して、重合法により
製造された粉体粒子は球形をしているという特徴を有し
ている。真円度を用いて比較すると、重合法により製造
された粉体粒子の真円度は0.65〜0.95程度であ
るのに対し、混練・粉砕法により製造された粉体粒子の
真円度は0.55〜0.7程度であり、前述の理由によ
り重合法により製造された粉体粒子は混練・粉砕法によ
り製造された粉体粒子よりも平滑な皮膜を得ることがで
きる。このような理由により、重合法により製造された
粉体粒子の方が、混練・粉砕法により製造された粉体粒
子より本発明の粉体塗料の原料として、より優れている
と判断される。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。 (実施例1)ポリウレタン樹脂粒子(日本ポリウレタン
社製、パールセンU−202A、抗張力160g/cm
2、伸び910%、フロー軟化点117℃、体積平均粒
子径52.5μm、真円度0.92)100重量部と、
アルミナ微粒子(日本アエロジル社製、Alumini
um Oxide C、一次粒子径13nm)0.2重
量部とをヘンシェルミキサーを用いて乾式混合した後
に、150メッシュの篩を用いて粗大粉を除去し、実施
例1の粉体塗料を得た。得られた粉体塗料の体積平均粒
子径は52.1μm、真円度は0.92であった。
【0021】(実施例2)ポリエチレン樹脂粒子(住友
精化社製、フローセンUF−1.5、抗張力170g/
cm2、伸び600%、フロー軟化点102℃、体積平
均粒子径15.5μm、真円度0.67)100重量部
と、アルミナ微粒子(日本アエロジル社製、Alumi
nium Oxide C)0.8重量部とをヘンシェ
ルミキサーを用いて乾式混合し、実施例2の粉体塗料を
得た。得られた粉体塗料の体積平均粒子径は15.2μ
m、真円度は0.67であった。
【0022】(実施例3)ポリエチレン樹脂粒子(住友
精化社製、フローセンUF−20、抗張力130g/c
2、伸び550%、フロー軟化点101℃、体積平均
粒子径26.5μm、真円度0.69)100重量部
と、アルミナ微粒子(日本アエロジル社製、Alumi
nium Oxide C)0.3重量部とをヘンシェ
ルミキサーを用いて乾式混合し、実施例3の粉体塗料を
得た。得られた粉体塗料の体積平均粒子径は26.2μ
m、真円度は0.69であった。
【0023】(比較例1)アルミナ微粒子を付着させな
いポリウレタン樹脂粒子(日本ポリウレタン社製、パー
ルセンU−202A)をそのまま比較例1の粉体塗料と
した。
【0024】(比較例2)アルミナ微粒子を付着させな
いポリエチレン樹脂粒子(住友精化社製、フローセンU
F−1.5)をそのまま比較例2の粉体塗料とした。
【0025】(比較例3)ポリウレタン樹脂粒子(日本
ポリウレタン社製、パールセンU−202A)100重
量部と、シリカ微粒子(日本アエロジル社製、AERO
SIL200)0.2重量部とをヘンシェルミキサーを
用いて乾式混合した後に、150メッシュの篩を用いて
粗大粉を除去し、比較例3の粉体塗料を得た。得られた
粉体塗料の体積平均粒子径は51.3μmであった。
【0026】(比較例4)エポキシ樹脂(東都化成社
製、YD−014)95.8重量%、硬化剤(ジシアン
ジアミド)2.5重量%、硬化促進剤(イミダゾ−ル)
0.2重量%、発泡防止剤(ベンゾイン)0.5重量
%、流展剤(ポリアクリル酸ブチルエステル)1.0重
量%とをスーパーミキサーで混合し、ニーダーで120
℃で熱溶融混練後、機械式の粉砕機により粉砕し、その
後、気流分級機で分級し、熱硬化性のエポキシ粉体粒子
を得た。この粉体100重量部と、アルミナ微粒子(日
本アエロジル社製、Aluminium Oxide
C)0.5重量部とをヘンシェルミキサーを用いて乾式
混合して比較例4の粉体塗料を得た。得られた粉体塗料
の体積平均粒子径は15.5μmであった。
【0027】(比較例5)ポリエステル樹脂(日本エス
テル社製、ER−6680)84.2重量%、硬化剤
(ポリイソシアネ−ト)14.0重量%、硬化促進剤
(ジブチル錫マレ−ト)0.3重量%、発泡防止剤(ベ
ンゾイン)0.5重量%、流展剤(ポリアクリル酸ブチ
ルエステル)1.0重量%とをスーパーミキサーで混合
し、ニーダーで120℃で熱溶融混練後、機械式の粉砕
機により粉砕し、その後、気流分級機で分級し、熱硬化
性のポリエステル粉体粒子を得た。この粉体100重量
部と、アルミナ微粒子(日本アエロジル社製、Alum
inium Oxide C)0.5重量部とをヘンシ
ェルミキサーを用いて乾式混合して比較例5の粉体塗料
を得た。得られた粉体塗料の体積平均粒子径は15.0
μmであった。
【0028】(比較例6)ポリアミド樹脂粒子(エルフ
アトケム社製 Orgasol 2002 D NAT
1)100重量部と、アルミナ微粒子(日本アエロジル
社製、Aluminium Oxide C)0.5重
量部とをヘンシェルミキサーを用いて乾式混合して比較
例6の粉体塗料を得た。得られた粉体塗料の体積平均粒
子径は21.1μmであった。
【0029】76mm×52mm×1.3mmのスライ
ドガラス(水研磨)の一端にアースを兼ねた治具を取り
付け、被塗装物とした。尚、スライドガラスは背面に粉
体塗料が付着しないように2枚重ねた状態で治具に取り
付けた。これに、実施例及び比較例のそれぞれの粉体塗
料について、トリボ荷電方式スプレーガン(松尾産業社
製、商品名:T−2m)を用いて以下の手順でスライド
ガラス表面への塗装を行った。
【0030】スプレーガンを、上下に50cmのストロ
ークで10m/分の速さで動くレシプロに固定し、スプ
レーガン先端と被塗装物との距離を15cm、吐出エア
ーの風速を1.0m/秒、粉体塗料の吐出量を100g
/分の塗装条件に設定した。上記スプレーガンと被塗装
物との間にA4サイズの紙を挿入し、粉体塗料の被塗装
物への付着を遮った状態で塗装機を始動し、塗装機が下
端の位置に来た時に紙を抜き取り、塗装を開始した。そ
の後、スプレーガンが被塗装物の前を2往復通過した
後、再び紙で遮ることで塗装を終了した。被塗装物を温
風乾燥機を用いて200℃で15分間熱処理し、皮膜を
形成した。上記手順を4回繰り返し、それぞれの粉体塗
料について4枚のスライドガラスに皮膜を形成した。4
枚の内の2枚を皮膜の平滑性及び塗装性の測定に使用
し、残りの2枚を飛散防止効果の測定に用いた。
【0031】皮膜の平滑性は目視により測定し、平滑な
ものを○、凹凸が激しかったりプツ(丘状の凸部)等の
皮膜欠陥がある場合は×とした。その後、塗装性の評価
としてスライドガラスを切断し、皮膜の膜厚を光学顕微
鏡を用いて測定した。このとき、皮膜の最も厚い部分と
最も薄い部分の平均値を膜厚とした。また、飛散防止効
果の測定は、JIS K 5400.8.3.2のデュ
ポン式に準ずる衝撃変形試験機を用いて行った。半径
6.35mmの打ち台と受け台との間にスライドガラス
を塗装面を上向きにして挟み、500gのおもりを30
cmの高さから落下させスライドガラスを割り、スライ
ドガラスの破片が飛散した最長距離を測定した。この場
合の最長距離とは肉眼で確認できるガラス片と打ち台の
中心部との最長距離である。尚、平滑性、塗装性、飛散
防止効果ともに2回の試験の平均値を測定値とした。測
定結果を表1に記す。
【0032】
【表1】
【0033】実施例の粉体塗料を用いて作成した皮膜
は、平滑性に優れ、ほぼ均一な膜厚を有していた。ま
た、スライドガラスを割っても破片は全く飛散せず、高
い飛散防止効果があることが確認された。これに対し、
アルミナ微粒子を添加していない比較例1及び2の粉体
塗料を用いて作成した皮膜は、粉体塗料の流動性が低い
ので凝集し易いために、皮膜にプツ(丘状の凸部)が多
数発生していた。アルミナ微粒子の代わりにシリカ微粒
子を付着させた比較例3の粉体塗料では、塗装時に粉体
塗料がガラス表面に殆ど付着しないため、均一な皮膜を
形成することができなかった。熱可塑性ポリウレタン樹
脂に代えて熱硬化性エポキシ樹脂粒子を用いた比較例
4、熱硬化性ポリエステル樹脂粒子を用いた比較例5、
及びポリアミド樹脂粒子を用いた比較例6の粉体塗料を
用いて作成した皮膜は、平滑性及び塗装性に優れていた
が、飛散防止効果はほとんど認められなかった。すなわ
ち、本発明の粉体塗料を用いて、トリボ荷電方式スプレ
ーガンにより塗装を施すことにより平滑性、塗装性、飛
散防止効果ともに優れた皮膜をガラス表面に形成するこ
とができる。
【0034】
【発明の効果】上述のごとく、本発明の粉体塗料は、ポ
リウレタン樹脂またはポリエチレン樹脂を主成分とする
熱可塑性樹脂粒子を含有する粉体塗料粒子の表面に、ア
ルミナ微粒子が付着されてなることを特徴とするもので
あって、強靭且つ柔軟な皮膜を形成することの可能な粉
体塗料であり、従来、溶剤型塗料による塗装あるいは、
ラミネートフィルムを貼り付けることにより行われてい
たガラス表面への飛散防止皮膜の形成を、粉体塗料を用
いて行うことが可能である。また、本発明の塗装方法
は、前記粉体塗料を正荷電させ、静電スプレー塗装機に
よりガラス表面に塗装することを特徴とするものであっ
て、平滑性が高く、均質で、ガラス破損時の破片の飛散
防止効果に優れた皮膜をガラス表面に形成することがで
きる。すなわち、人体及び環境への安全性が高い粉体塗
料を用いて、多様な形状を有する絶縁性のガラス表面へ
も容易に飛散防止効果の高い皮膜を形成することが可能
となり、工業的に非常に有用である。更に、本発明の粉
体塗料は、素材が金属等の導電性の被塗装物上にも、強
靭且つ柔軟な皮膜を形成することができるので、例え
ば、防震皮膜や滑り防止皮膜等への応用も可能である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタン樹脂またはポリエチレン樹
    脂を主成分とする熱可塑性樹脂粒子を含有する粉体塗料
    であり、その表面に、アルミナ微粒子が付着されてなる
    ことを特徴とする粉体塗料。
  2. 【請求項2】 アルミナ微粒子の添加量が、粉体塗料粒
    子100重量部に対して、0.1〜1.0重量部である
    ことを特徴とする請求項1に記載の粉体塗料。
  3. 【請求項3】 ガラス面への塗装に用いられることを特
    徴とする請求項1または2に記載の粉体塗料。
  4. 【請求項4】 体積平均粒子径が10μm〜60μmで
    あることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項
    に記載の粉体塗料。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂粒子がポリエチレン樹
    脂を主成分とし、該熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒子径
    が10μm〜30μmであることを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれか一項に記載の粉体塗料。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂粒子がポリウレタン樹
    脂を主成分とし、該熱可塑性樹脂粒子の真円度が0.8
    0以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れか一項に記載の粉体塗料。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか一項に記載
    の粉体塗料を静電スプレー塗装機により正荷電させてガ
    ラス表面に塗装することを特徴とする粉体塗料の塗装方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010202887A (ja) * 1998-01-16 2010-09-16 Cabot Corp 粉末コーティング組成物
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JP2021066847A (ja) * 2019-10-28 2021-04-30 三井化学株式会社 エチレン重合体粒子組成物、焼結フィルタおよび粉体塗料

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