JP3325728B2 - 粉体塗料、その製造方法、およびそれを使用した粉体塗装方法 - Google Patents

粉体塗料、その製造方法、およびそれを使用した粉体塗装方法

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JP3325728B2 JP29022694A JP29022694A JP3325728B2 JP 3325728 B2 JP3325728 B2 JP 3325728B2 JP 29022694 A JP29022694 A JP 29022694A JP 29022694 A JP29022694 A JP 29022694A JP 3325728 B2 JP3325728 B2 JP 3325728B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜塗装に適した粉体塗
料、その製造方法、およびそれを使用した粉体塗装方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料は、溶剤塗料に比べ、揮発分、
臭気とも少ないため公害対策および環境規制の面で非常
に有益であることは周知である。従来より、コロナ帯電
方式のスプレーガンが粉体塗料塗装に使用されている。
この方式では、スプレーガンの先端に設けられたコロナ
電極から生成されたコロナイオンによって帯電された粉
体塗料が、導電体である被塗物と電極との間に形成され
た電界及び空気流に沿って飛翔して被塗物に付着する。
【0003】このコロナ帯電方式には、2つの大きな問
題点があることが分かっている。1つはファラデーケー
ジ効果と呼ばれ、電界(電気力線)が被塗物の凹部に形
成されないため粉体塗料が凹部には少量しか付着せず、
逆に電気力線が集中するエッジ部には多量に付着すると
いう現象である。他の1つは逆電離現象と呼ばれ、被塗
物上に堆積された粉体塗料及び遊離コロナイオンの蓄積
電荷が大きくなりすぎて火花放電を生じ、塗装面にクレ
ータ状の不良箇所を生じる現象である。
【0004】これらの問題を解決するため、近年、トリ
ボ帯電方式スプレーガンが使用されてきている。この方
式では、粉体塗料がスプレーガン内壁との摩擦によって
帯電し、空気流のみによって被塗物まで飛翔して付着す
る。この方式によれば電界が形成されないので、凹部へ
も粉体塗料が良好に付着することができる。また、遊離
イオンが発生しないので逆電離現象も起きにくい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、粉体塗
料の帯電が摩擦だけによるため、絶対的な帯電量はコロ
ナ帯電方式よりも低い。したがって、スプレーガンから
の粉体塗料の吐出速度を上げると充分な帯電量が得られ
ないため、および連続して使用するとスプレーガン内壁
に摩擦電荷が蓄積されるため、粉体塗料の摩擦帯電量が
低下して被塗物への付着が不充分になる。このため、粉
体塗料の摩擦帯電性の調整、スプレーガンからの吐出速
度および吐出量の調整が、塗装後の塗面の仕上がり状態
に大きな影響を及ぼしていた。
【0006】トリボ帯電方式スプレーガンには、平均粒
径が30μm程度の粉体塗料が広く使用されていた。3
0μmより小さい平均粒径を有する粉体塗料では流動性
が悪化し、摩擦帯電不良やスプレーガン内部での粒子塊
の発生、選択付着による回収粉の品質劣化などが発生し
易い。また、良好なレベリング性を得るためには均一な
粉体付着層を形成させることが必須であるが、そのため
には粒子径の2〜3倍の付着層を必要とする。したがっ
て、従来の粉体塗料では塗膜の厚さを60μm程度にせ
ざるを得なかった。上記帯電性、レベリング性、および
流動性の他に、市場ではさらにトータルコストダウン等
が要望されている。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、塗膜の薄膜化を可能ならしめる小粒径を有し、か
つトリボ帯電方式のスプレーガンを使用して連続塗装し
ても被塗物への付着量が低下せず、良好なレベリング性
を有する粉体塗料、その製造方法、および得られた粉体
塗料を好適に塗装できる粉体塗装方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の粉体塗料は、結
着樹脂および硬化剤を含有する粉体粒子と、無機微粉体
とからなる粉体塗料であって、上記粉体粒子の平均粒子
径が5〜20μmであり、上記無機微粉体は、フッ素原
子を含有するシラン化合物と、フッ素原子を含有しない
シラン化合物とを用いて表面処理され、その表面にフッ
素原子数よりシリコン原子数が多く存在しており、BE
T法による比表面積が70m2 /g以上であり、単位表
面積当りのCO2 ガス吸着個数が4.0個/nm2 以下
であって、上記粉体粒子100重量%に対して0.05
〜5重量%の割合で粉体粒子表面に付着していることを
特徴とするものである。
【0009】以下、本発明の粉体塗料についてより詳細
に説明する。本発明の粉体塗料は、粉体粒子と、無機微
粉体とからなる。上記粉体粒子は、結着樹脂、硬化剤、
およびその他の添加剤を含有している。該結着樹脂とし
ては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メラ
ミン樹脂等が使用できる。硬化剤としては、イソシアネ
ート、アミン、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィ
ド、三フッ化ホウ素酸、酸ジヒドラジド、イミダゾール
等が挙げられる。その他の添加剤としては、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、およびケイ酸
カルシウム等の充填剤、アクリルオリゴマー、およびシ
リコーン等の流展剤、酸化チタン、酸化クロム、酸化
鉄、およびカーボンブラック等の着色剤、および発泡防
止剤等を例示できる。
【0010】本発明の粉体粒子の粒子径は、コールター
カウンターTAII型で測定される体積50%径が5〜
20μmという範囲になければならない。体積50%径
が5μm未満の粉体粒子はファンデルワールスカなどに
起因する粒子間力が大きくなるため凝集しやすく粉体と
しての流動性が悪化するため、粉体塗料として実用的で
ない。さらに、このような小粒径の粉体粒子を一般的な
溶融混練、粉砕分級方法で製造しようとすると、粉砕分
級工程で大きなエネルギーを必要とするため、製造コス
トがかなり高くなってしまう。逆に、体積50%径が2
0μmを越えると、薄く均一な粉体付着層を被塗装面に
得ることができず、したがって良好な薄膜が得られな
い。
【0011】無機微粉末は酸化アルミニウム、シリカ、
酸化チタン等の無機微粒子であり、フッ素原子を含有す
るシラン化合物とフッ素原子を含有しないシラン化合物
を用いて表面処理され、表面にフッ素原子数がシリコン
原子数より少なく存在してなるものであり、BET法に
よる比表面積が70m2 /g以上であり、単位表面積当
りのCO2 ガス吸着個数が4.0個/nm2 以下という
特性を有するものである。BET法による比表面積が7
0m2 /g未満では、無機微粉末の1次粒子径が大きく
なり、粉体塗料粒子からの脱落が生じやすくなる。特
に、塗装時の回収粉の再利用に問題が生じるため、70
2 /g未満は好ましくない。また、CO2 ガスは大き
い4重極モーメントを有するH 2 O 分子に似た極性分子
であるため、CO2 ガスの吸着性によって水分の吸着し
やすさを判定することができる。したがって、単位面積
当りのCO2 ガス吸着個数が4.0個/nm2を越える
と、保存時に空気中の水分を吸着し、これにより帯電性
が損なわれるため好ましくない。
【0012】さらに、表面にフッ素原子数がシリコン原
子数より少なく存在しているため、流動性と帯電性との
バランスがとれている。なお、上記BET法による比表
面積、単位表面積当りのCO2 ガス吸着個数の測定にお
いては、日本ベル社製の高精度ガス自動吸着装置BEL
SORP28が使用される。
【0013】本発明の粉体塗料は、塗膜の薄膜化を可能
ならしめる小粒径を有しているため、良好なレベリング
性を有する。また、無機微粒子表面にはシリコン原子が
存在しているため、流動性にも優れている。さらに、無
機微粒子表面にはフッ素原子数がシリコン原子数より少
なく存在しているため、被塗物への付着とスプレーガン
内壁への摩擦電荷の蓄積とを考慮した、バランスのとれ
た帯電性を有している。このため、トリボ帯電方式のス
プレーガンを使用して連続塗装しても被塗物へ付着量が
低下することがない。
【0014】本発明の粉体塗料の製造方法は、結着樹脂
および硬化剤を含有する粉体粒子と無機微粉体とからな
る粉体塗料の製造方法であって、上記無機微粉体を得る
際、フッ素原子を含有するシラン化合物とフッ素原子を
含有しないシラン化合物とを用いて無機微粉体を表面処
理することを特徴とするものである。
【0015】以下、本発明の粉体塗料の製造方法をより
詳しく説明する。上記粉体粒子、先に説明した結着樹
脂、硬化剤、およびその他の添加剤を含有してなる組成
物を乾式混合し、熱溶融混練した後、粉砕、分級して得
ることもできるし、また懸濁重合法、乳化重合法等の重
合法で得ることもできる。特に、粉体塗料のレベリング
性等の特性について考慮すると、その粒子径が5〜20
μmの範囲になるように上記粉体粒子を粉砕・分級する
ことが好ましい。
【0016】無機微粉末は、酸化アルミニウム、シリ
カ、酸化チタンなどの微粒子に、フッ素原子を含有する
シラン化合物とフッ素原子を含有しないシラン化合物と
を併用して表面処理することにより得ることができる。
フッ素原子を含有するシラン化合物としては、フッ素原
子含有するシランカップリング剤、フッ素原子含有ポリ
シロキサンなどが好適に用いられる。フッ素原子を含有
しないシラン化合物としては、シリコーンオイル、メチ
ルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン、ヘ
キサメチルジシラザンなどのフッ素原子を含有しないシ
ランカップリング剤や、フッ素原子を含有しないポリシ
ロキサンなどが好適に用いられる。上記シリコーンオイ
ルは、鉱油、植物油などの有機系オイルと比較して、化
学的に不活性であり、温度変化に対する粘度変化が小さ
く、表面張力が小さいなど優れた特性を有している。シ
リコーンオイルの具体例としては、ジメチルシリコーン
オイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロロフェ
ニルシリコーンオイル、および脂肪酸エステル変性シリ
コーンオイル等の非反応性シリコーンオイル、メチル水
素シリコーンオイル、アセトキシ基含有シリコーンオイ
ルなどのけい素官能基形反応性シリコーンオイル、およ
びアミノ変性シリコーンオイル、およびアルコール変性
シリコーンオイルなどの炭素官能基形反応性シリコーン
オイルなどを例示することができる。
【0017】本発明の製造方法においては、上記フッ素
原子を含有するシラン化合物と、フッ素原子を含有しな
いシラン化合物とを同時に用いて上記無機微粉末を表面
処理することもできるし、どちらか一方で表面処理した
後、他方で表面処理するなど、両シラン化合物を同時に
使用することも、別々に使用することもできる。上記フ
ッ素原子を含有するシラン化合物からなる表面処理剤、
およびフッ素原子を含有しないシラン化合物からなる表
面処理剤は、被処理物である無機微粉末に疎水性を付与
することができるため、吸水性のある無機粒子の疎水化
処理剤として有用である。表面処理する手段には、表面
処理剤に微粒子を浸漬させる方法、表面処理剤を微粒子
にスプレーする方法などを例示することができるが、表
面処理剤を微粒子表面に付着させることができる限りど
のような手段を用いても構わない。
【0018】ついで、得られた粉体粒子100重量%に
対して無機微粒子を0.05〜5重量%の割合で添加し
て攪拌して、粉体粒子表面に無機微粒子を付着させるこ
とにより、上記特性を有する本発明の粉体塗料を得るこ
とができる。無機微粒子を粉体粒子の表面に付着させる
には、三井三池社製のヘンシェルミキサー、川田製作所
社製のスーパーミキサー等の高速ミキサーにて両者を乾
式混合すればよい。上記のように単に両者を混合してま
ぶすこと以外に、無機微粉末を粉体粒子の表面に付着す
る手段としては、混合した両者に加熱処理、または機械
的衝撃力を加える処理を施し、粉体粒子の表面に生じた
摩擦熱により、無機微粉末の一部を粉体粒子に埋設させ
てもよい。この処理には、先に例示した高速のせん断力
を与えるミキサー類以外に、表面改質装置として上市さ
れているハイブリダイザー(奈良機械社製)、カノフ
ュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)が使用可
能である。
【0019】本発明の粉体塗料の製造方法では、フッ素
原子を含有するシラン化合物、およびフッ素原子を含有
しないシラン化合物で無機微粒子の表面を処理している
ため、流動性と帯電性とに優れた粉体塗料を得ることが
できる。フッ素原子を含有しているシラン化合物のみで
表面処理された無機微粒子を使用することにより、粉体
塗料に優れた流動性を付与することができる。しかしな
がら、低い正帯電性しか付与することができない。正帯
電性が低い粉体塗料はトリボ帯電方式スプレーガンを使
用して塗装した場合、スプレーガン内壁への摩擦電荷の
蓄積は防止できるものの、被塗物への付着量が少なくな
るという欠点を有している。また、フッ素を含有してい
ないシラン化合物のみで表面処理された無機微粒子を使
用すると、上記場合において得られる正帯電性より高い
正帯電性を粉体塗料に付与することができる。しかしな
がら、トリボ帯電方式スプレーガンを使用した場合には
正帯電性が高すぎ、スプレーガン内壁に摩擦電荷が蓄積
されて被塗物への付着量が少なくなる。本発明の粉体塗
料の製造方法によれば、上記2種類の表面処理剤を使用
することにより、流動性と帯電性とのバランスのとれた
粉体塗料を製造することができる。
【0020】本発明の粉体塗料の塗装方法は、前記粉体
塗料を、スプレーガン内部の粉体塗料搬送部に形成され
たフッ素原子を含有する部材を用いて摩擦により正極性
に帯電した後、対象物に噴霧して塗装することを特徴と
する方法である。なお、前記フッ素原子を含有する部材
とは、フッ素原子を含有する処理剤で処理された部材を
も包含するものである。このように、部材を摩擦により
帯電させ、その荷電を利用して被塗物に付着させる方式
は、一般に、トリボ帯電方式と呼ばれている。このトリ
ボ帯電方式では、上記フッ素原子を含有する部材に粉体
塗料を摩擦させる速度を調整することにより、粉体塗料
の帯電量を調整している。上記フッ素原子を含有する部
材としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフ
ルオロクロルエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化
ビニリデン、ポリジクロルジフルオロエチレンなどを例
示することができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例および比較例に基づき本発明の
粉体塗料、粉体塗料の製造方法、および得られた粉体塗
料を使用した粉体塗料の塗装方法をより詳細に説明す
る。
【0022】<実施例1> 粉体粒子の製造 ・ポリエステル樹脂 55.8重量% (日本エステル社製 商品名:ER−6680) ・ブロックイソシアネート 10.2重量% (ダイセルヒュルス社製 商品名:BF−1540) ・二酸化チタン 33.0重量% (石原産業社製 商品名:CR−90) ・流展剤 0.66重量% (BASF社製 商品名:アクロナール4F) ・発泡防止剤 0.34重量% (みどり化学社製 商品名:ベンゾイン) 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、加圧ニーダーを用いて120℃で熱溶融混練した
後、ジェットミルで粉砕した。その後、乾式気流分級機
で体積50%径が13μmとなるように分級した。 無機微粉体の製造 酸化アルミニウム微粉末(BET比表面積:105.0
2 /g)に、フッ素原子を含有するシラン化合物(C
817SO2NC25(CH2)3Si(CH3O)3)からなる
表面処理剤A、及びフッ素原子を含有しないシラン化合
物(ジメチルシリコン)からなる表面処理剤Bを流動
槽内で噴霧し表面処理した。この時、フッ素原子数より
シリコン原子数が多くなるよう、表面処理剤Aと表面処
理剤Bとの配合量を調整した。表面処理後の酸化アルミ
ニウム微粉末のBET比表面積は90.1m2 /gであ
り、CO2 吸着個数は3.3個/nm2 であった。 粉体塗料の製造 得られた粉体粒子100重量部に対し、無機微粒子0.
4重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌混合して
粉体塗料を得た。 塗装工程 塗料搬送部が4フッ化エチレン樹脂からなるトリボ帯電
方式スプレーガンに得られた粉体塗料を適用し、粉体塗
料を正極に帯電させてブライト仕上げされたリン酸亜鉛
処理鋼板(SPCC−SB板)に吹き付けを行った後、
200℃で焼付けを行った。
【0023】<実施例2>得られた粉体粒子100重量
部に対し、無機微粉体0.4重量部添加するのを2.0
重量部添加する以外は実施例1と同様にして粉体塗料を
得て、塗装を行った。
【0024】<実施例3> 粉体粒子の製造 実施例1と同様にして粉体粒子を製造した。 無機微粉体の製造 酸化アルミニウム微粉末(BET比表面積:132.2
2 /g)に、フッ素原子を含有するシラン化合物(C
817SO2NC25(CH2)3Si(CH3O)3)からなる
表面処理剤A、及びフッ素原子を含有しないシラン化合
物(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルト
リメトキシシラン)からなる表面処理剤B’を流動槽内
で噴霧し表面処理した。この時、フッ素原子数よりシリ
コン原子数が多くなるよう、表面処理剤Aと表面処理剤
B’との配合量を調整した。表面処理後の酸化アルミニ
ウム微粉末のBET比表面積が116.7m2 /gであ
り、CO2 吸着個数は2.0個/nm2 であった。粉体
塗料の製造、および塗装工程は、実施例1と同様に行っ
た。
【0025】<比較例1>実施例1では体積50%径が
13μmである粉体粒子を使用したのに対して、4.8
μmである粉体粒子を使用した他は同様にして粉体塗料
を製造した後、塗装を行った。 <比較例2>実施例1では体積50%径が13μmであ
る粉体粒子を使用したのに対して、26.0μmである
粉体粒子を使用した他は同様にして粉体塗料を製造した
後、塗装を行った。 <比較例3>実施例1ではBET比表面積が90.1m
2 /gである表面処理された無機微粒子を使用したのに
対して、BET比表面積が68.0m2 /gの酸化アル
ミニウム微粉末を同様に処理し、処理後のBET比表面
積が52.3m2 /gである無機微粒子を使用した他は
同様にして粉体塗料を製造した後、塗装を行った。 <比較例4>実施例1ではCO2 ガス吸着個数が3.3
個/nm2 である表面処理された無機微粒子を使用した
のに対して、表面処理剤を減量し、処理後のCO2 ガス
吸着個数が5.0個/nm2 である無機微粒子を使用し
た他は同様にして粉体塗料を製造した後、塗装を行っ
た。
【0026】<比較例5>無機微粒子を得る際、表面処
理剤Aのみを使用し、フッ素原子よりもシリコン原子が
少なくなるようスプレーした。その他の工程は実施例1
と同様にして粉体粒子と無機微粒子とから粉体塗料を得
て、ついで塗装した。 <比較例6>無機微粒子を得る際、表面処理剤Bのみを
使用し、表面にフッ素原子が存在しない無機微粒子を得
た。得られた無機微粒子のBET比表面積は88.2m
2 /gであり、CO2 吸着個数は3.1個/nm2 であ
った。その他の工程は実施例1と同様にして粉体粒子と
無機微粒子とから粉体塗料を得て、ついで塗装した。 <比較例7>無機微粒子を含有させない他は実施例1と
同様にして粉体塗料を得て、次いで塗装した。 <比較例8>実施例1では粉体粒子100重量部に対し
て無機微粒子を0.4重量部添加したのに対して、6.
0重量部添加した以外は、実施例1と同様にして粉体塗
料を得て、次いで塗装した。
【0027】実施例1〜実施例3、および比較例1〜比
較例8でなされた吹き付けの状態、及びそれを焼付けし
た後の塗膜面について以下に示す評価をした。 (1)塗面への付着性 (2)連続噴射時の塗装量の変化 塗装当初の塗装量と、連続噴射時の塗装量とを、吐出量
に対する被塗物への塗着量の重量比にて測定し、その変
化を確認した。 (3)塗面状態 粉体塗料を吹き付け、それを焼き付けた後の塗面の状態
を目視により観察した。 (4)回収粉の状態 リン酸亜鉛処理鋼板(SPCC−SB板)に吹き付けを
行った際、上記鋼板に付着せず、下に散乱している粉体
塗料を回収し、その状態を観察した。更に回収粉体を再
度吹き付けテストに使用し、その塗着状態を観察した。
これらの項目についての評価結果を下記表1、および表
2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】上記表1および表2から明らかなように、
比較例で得られた粉体塗料と比較して、実施例1〜3で
得られた粉体塗料によれば、噴霧量に対する被塗物への
塗着効率も良好で、焼付け後の塗膜面も良好であった。 (5)塗膜厚測定 実施例、比較例1、および比較例3〜比較例8までは、
平均して約30μmの薄膜が得られた。これに対して、
比較例2では表面が平滑な薄膜は得られず、平滑な塗面
を得るためには膜厚を60μmと厚くする必要があっ
た。 (6)耐環境性試験 実施例および比較例で得られた粉体塗料を30日放置
(室温:約25℃、湿度:約70%)した後、塗装に使
用した。その結果、実施例1〜3で得られた粉体塗料は
何等問題なく塗装することができた。これに対して、比
較例4の粉体塗料では塗面への付着性が悪化し、塗面に
付着しない塗料がさらに多かった。 (7)凹凸が形成されている塗面に塗装を施した場合の
塗面状態 実施例1〜3で得られた粉体塗料は被塗物の凹部にも良
好に付着した。これに対して、比較例3〜5、および比
較例7で得られた粉体塗料は、実用上満足のいくように
塗装がなされなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明の粉体塗料は、結着樹脂および硬
化剤を含有する粉体粒子と、無機微粉体とからなる粉体
塗料であって、上記粉体粒子の平均粒子径が5〜20μ
mであり、上記無機微粉体の表面にはフッ素原子数より
シリコン原子数が多く存在しており、BET法による比
表面積が70m2 /g以上であり、単位表面積当りのC
2 ガス吸着個数が4.0個/nm2 以下であって、上
記粉体粒子100重量%に対して0.05〜5重量%の
割合で粉体粒子表面に付着していることを特徴とする粉
体塗料である。本発明の粉体塗料は、塗膜の薄膜化を可
能ならしめる小粒径を有しているため、良好なレベリン
グ性を有する。また、無機微粒子表面にはシリコン原子
が存在しているため、流動性にも優れている。さらに、
無機微粒子表面にはフッ素原子数がシリコン原子数より
少なく存在しているため、被塗物への付着とスプレーガ
ン内壁への摩擦電荷の蓄積とを考慮した、バランスのと
れた帯電性を有している。このため、トリボ帯電方式の
スプレーガンを使用して連続塗装しても被塗物へ付着量
が低下することがない。したがって、トリボ帯電方式の
スプレーガンを使用して連続塗装しても被塗物へ付着量
が低下せず、良好なレベリング性を有する。したがっ
て、単位面積当たりの粉体塗料の使用量を大幅に削減す
ることができ、市場で要望されているトータルコストダ
ウンを実現することができる。
【0032】本発明の粉体塗料の製造方法は、結着樹脂
および硬化剤を含有する粉体粒子と無機微粉体とからな
る粉体塗料の製造方法であって、上記無機微粉体を得る
際、フッ素原子を含有するシラン化合物とフッ素原子を
含有しないシラン化合物とを用いて無機微粉体を表面処
理することを特徴とする製造方法である。本発明の製造
方法によれば、上記優れた特性を有する粉体塗料を得る
ことができる。
【0033】本発明の粉体塗料の塗装方法は、上記粉体
塗料を、フッ素原子を含有する部材を用いて摩擦により
正極性に帯電した後、対象物に噴霧して塗装することを
特徴とする方法である。本発明の粉体塗料の塗装方法に
よれば、厚さが薄く、かつ優れたレベリング性を有する
塗装が実現できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 5/46 C09D 5/46 7/12 7/12 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/03 C09C 3/08 - 3/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂および硬化剤を含有する粉体粒
    子と、無機微粉体とからなる粉体塗料であって、 上記粉体粒子の平均粒子径が5〜20μmであり、 上記無機微粉体は、フッ素原子を含有するシラン化合物
    と、フッ素原子を含有しないシラン化合物とを用いて表
    面処理され、その表面にフッ素原子数よりシリコン原子
    数が多く存在しており、BET法による比表面積が70
    2 /g以上であり、単位表面積当りのCO2 ガス吸着
    個数が4.0個/nm2 以下であって、上記粉体粒子1
    00重量%に対して0.05〜5重量%の割合で粉体粒
    子表面に付着していることを特徴とする粉体塗料。
  2. 【請求項2】 結着樹脂および硬化剤を含有する粉体粒
    子と無機微粉体とからなる粉体塗料の製造方法であっ
    て、 上記無機微粉体を得る際、フッ素原子を含有するシラン
    化合物とフッ素原子を含有しないシラン化合物とを用い
    て、表面にフッ素原子数よりシリコン原子数が多く存在
    するように無機微粉体を表面処理することを特徴とする
    粉体塗料の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の粉体塗料を、スプレーガ
    ン内部の粉体塗料搬送部に形成されたフッ素原子を含有
    する部材を用いて摩擦させて正極性に帯電させた後、対
    象物に噴霧して塗装することを特徴とする粉体塗料の塗
    装方法。
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