JP3583532B2 - 粉体塗料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜塗装および塗面に対し高い平滑性を必要とする塗装に適した粉体塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料は、溶剤塗料に比べ揮発分、臭気ともに少なく、公害対策および環境規制の面で非常に有益であることは周知である。
しかし、従来上市されている粉体塗料は、平均粒子径が30〜40μm程度で厳密な分級がなされておらず、粒子径分布は非常にブロードで、5μm以下の超微粒子や80μm以上の粗粒子が混在していることにより塗膜面の荒れが発生しやすいものであった。そのため、十分平滑な塗膜面を形成するには2〜3層以上の粒子層が必要で、厚さが30〜40μm程度の溶剤塗料並の塗装は困難であった。
塗膜の平滑性を改良する目的で粉体塗料の粒子径を小さくすると、流動性と貯蔵安定性が悪化して非常に扱いにくくなるので、流動性付与剤の添加が不可欠である。しかし、流動性付与の目的で無機微粉末をドライブレンドすると、無機微粉末が樹脂および硬化剤との親和性がないことから、耐引っ掻き傷性が悪化するという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粉体塗料の小粒径化に不可欠な流動性付与剤である無機微粉末が引き起こす耐引っ掻き傷性不良を改善し、塗膜厚が30〜40μmの薄膜化を可能ならしめた粉体塗料を提供することを目的とし、これによって、粉体塗料を使用した塗面の平滑性の向上、塗膜の薄膜化による作業効率の向上、粉体塗料の消費量低減および回収された粉体塗料の再利用を可能ならしめ、トータルコストダウンを達成しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくも水酸基を含有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートとを主成分とし、かつポリオレフィンワックスを含有する粉体粒子の粒子径が
(イ)体積50%径が7〜20μm
(ロ)粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が20%以下
(ハ)粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が60%以下
であって、かつ該粉体粒子の表面に、BET法による比表面積が70m2 /g以上で、表面に存在するシラノール基が1.5個/nm2 以上であるシリカ微粉末を付着させたことを特徴とする粉体塗料である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0005】
本発明で用いられる水酸基を含有するポリエステルの酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびそれらの無水物;アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチル−テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチル−ヘキサヒドロフタル酸およびそれらの無水物などが用いられる。他方、アルコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1・3−ブタンジオール、1・4−ブタンジオール、1・6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシエチルフタレート、水添ビスフェノールA、水添−ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2・2・4−トリメチルペンタン−1・3−ジオールなどが用いられ、さらにモノエポキシ化合物も用いることができる。
【0006】
結着樹脂であるポリエステル樹脂は、全粉体塗料中50〜90重量%含有することが好適であり、水酸基価が、20〜200mgKOH/g,軟化点が60〜150℃、数平均分子量が1000〜10000程度のものが好ましく、分岐構造のものでも線状構造のものでも良い。
なお本発明の粉体塗料組成物には、ポリエステル樹脂以外に、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ファノール樹脂等の樹脂を全樹脂中に10重量%以内の配合比で含有してもよい。
本発明でいうポリオレフィンワックスは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が使用され、これらのワックスは塗膜の表面摩擦抵抗を低減するのに有効で、全粉体塗料中0.3〜7.0重量%含有することが好適である。添加量が0.3重量%未満では耐引っ掻き傷性が低下し、逆に7.0重量%を越えて多い場合は貯蔵安定性および塗膜の平滑性が悪化する。
【0007】
また、硬化剤であるポリイソシアネートはNCO基含量10〜25重量%で、全粉体塗料中5〜20重量%含有することが好適である。
そして、粉体粒子には硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム等の充填剤、アクリルオリゴマー、シリコーン等の流展剤、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、カーボンブラック等の着色剤、発泡防止剤等を適宜添加してもよい。
【0008】
上記の組成物を乾式混合し、熱溶融混練後、粉砕、分級により得られる本発明の粉体粒子の粒子径は、
(イ)体積50%径が7〜20μm
(ロ)粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が20%以下
(ハ)粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が60%以下
であることが必要である。体積50%径が7μm未満あるいは粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が60%より多い場合は、流動性不足から作業性及び貯蔵安定性が悪化し、逆に体積50%径が20μmより大きいか、あるいは粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が20%より多い場合は、粗粒が塗面を荒らすため、膜厚30〜40μmの薄膜塗装では平滑な塗面を形成することが出来ない。また、上記粒子径の条件(イ)、(ロ)および(ハ)を満たさない粉体塗料では、粒子径分布がブロードであるため粒子の荷電性の不均一が生じ、荷電の高い大粒径の粒子が選択的に付着するため回収粉に微粒子が集まりそのリサイクル性も悪化する。
粉砕分級方法により上記の範囲内に粉体粒子を調製するには、粉砕工程時にジェットミルやミクロンジェット等の高圧気流式の粉砕機で熱溶融混練物を粉砕し小粒径化した後、分級することにより得られることができる。その際の粉砕機における気流圧の強弱により上記範囲の粒子径にコントロールする。
【0009】
粒子径分布は、コールターカウンターTA−II型を用い、粉体粒子は界面活性剤を用いて水中で懸濁させ超音波分散機により30秒間分散させて濃度5〜9%の状態で測定する。
また、本発明においては、上記のような粒子径分布を有する粉体粒子の表面に、流動性を付与するため、BET法による比表面積が70m2 /g以上で表面にシラノール基が1.5個/nm2 以上存在するシリカ微粉末が粉体粒子の表面に付着されていなければならない。
一般的にシリカ微粉末はその表面上に存在するシラノール基の単位面積当たりの数により親水性と疎水性とに大別されるが、本発明では親水性のものが好適に使用される。そしてシラノール基の単位面積当たりの数はシランカップリング剤およびポリシロキサン等による表面処理の程度により任意に調整することができる。
具体的には、例えばヘキサメチルジシラザンをエタノールに溶解し、流動状態の未処理シリカ微粉末に適量を噴霧した後、加熱してエタノールを揮発させることにより調整できる。
【0010】
本発明ではシリカ表面の1.5個/nm2以上の多量のシラノール基が加熱(焼付)の際、硬化剤であるポリイソシアネートと反応結着するので、シリカ微粉末は塗膜中で粉体粒子の表面に強固に付着する。従って塗膜面に対する引っ掻き等の衝撃があっても、塗膜からシリカ微粉末が脱離するのを防止できる。
換言すれば、これにより塗膜表面の耐引っ掻き傷性の改善およびリコート(2コート2ベーク)時における塗膜間の密着性が向上する。シリカ表面のシラノール基は、圧力15mmHg以下で120℃、3時間乾燥した後、ジオキサン中で下記反応式のようにLiAlH4 と反応させることにより定量できる。
4(Si−OH)+LiAlH4→Si−O−Li+(Si−O−) 3 Al+4H2
*Wartmann,H.J;Dissertation ETH Zurich(1958)
本発明においてシリカ微粉末の比表面積を70m2/g以上にするにはシリカ粒子径を小さくする方法がある。
【0011】
シリカ微粉末のBET法による比表面積が70m2 /gより小さいと流動性付与効果が低下し、粉体粒子表面から脱落しやすくなり、粉体塗料の凝集粉の発生、荷電の不均一化が生じやすく、塗膜面の荒れが発生しやすくなる。シリカ微粉末の粉体粒子に対する付着の量は0.05重量%〜1.0重量%の範囲が望ましい。付着量が0.05重量%未満であると流動性付与効果が低下し、逆に1.0重量%を越えて多いと粉体塗料の溶融時のフロー性が低下するので柚肌になりやすい。
シリカ微粒子を粉体粒子の表面に付着させるには、三井三池社製のヘンシェルミキサー、川田製作所社製のスーパーミキサー等の高速ミキサーにて両者を乾式混合する方法がある。また、本発明の粉体塗料のガラス転移点は,55〜65℃であることが粉体塗料の貯蔵安定性および塗膜の平滑性を得る作用効果があるので好ましい。ガラス転移点はDSC測定装置を用いて測定すればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施例1
粉体塗料の製造
・ポリエステル樹脂
(日本エステル社製 商品名:ER−6680) 55.8重量部
・ポリイソシアネート
(ダイセルヒュルス社製 商品名:BF−1540) 10.2重量部
・ポリエチレンワックス
(ヘキストインダストリー社製 商品名:PE−130)1.0重量部
・二酸化チタン
(石原産業社製 商品名:CR−90) 33.0重量部
・流展剤(アクリル系コポリマー)
(BASF社製 商品名:アクロナール4F) 0.66重量部
・発泡防止剤
(みどり化学社製 商品名:ベンゾイン) 0.34重量部
上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が12.0μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が4.8%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が34.6%の粉体粒子を得た。得られた粉体粒子に、BET法比表面積が210m2 /g、シラノール基数3.0個/nm2 である親水性のシリカ微粉末を、0.3重量部の割合でヘンシェルミキサーで攪拌混合して本発明の粉体塗料を得た。
【0013】
実施例2
実施例1と同一の配合比からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が7.4μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が0%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が58.1%の粉体粒子を得た。得られた粉体粒子に実施例1と同一の材料と方法でシリカ微粉末を付着して本発明の粉体塗料を得た。
【0014】
実施例3
実施例1と同一の配合比からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が19.8μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が20.0%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が8.1%の粉体粒子を得た。得られた粉体粒子に実施例1と同一の材料と方法によりシリカ微粉末を付着して本発明の粉体塗料を得た。
【0015】
実施例4
実施例1のポリエチレンワックスの添加量を7.0重量部に増量した以外は同一配合比からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が15.0μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が2.1%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が40.9%の粉体粒子を得た。得られた粉体粒子に実施例1と同様の材料と方法によりシリカ微粉末を付着して本発明の粉体塗料を得た。
【0016】
実施例5
実施例1のポリエチレンワックスの添加量を0.3重量部に減量した以外は同一配合比からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が14.8μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が2.3%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が42.0%の粉体粒子を得た。得られた粉体粒子に実施例1と同様の材料と方法によりシリカ微粉末を付着して本発明の粉体塗料を得た。
【0017】
実施例6
ポリエチレンワックスの代わりにポリプロピレンワックス(ヘキストインダストリー社製商品名:ハイマー660P)を1.0重量部添加した以外は、実施例1と同一配合比からなる原料を、スーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が15.2μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が0.6%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が33.2%の粉体を得た。得られた粉体に実施例1と同様の材料と方法によりシリカ微粉末を付着して本発明の粉体塗料を得た。
【0018】
実施例7
実施例1の分級で得られた粉体粒子に、BET比表面積が210m2 /g、シラノール基数3.0個/nm2 であるシリカ微粉末を、0.05重量部の割合で攪拌混合して本発明の粉体塗料を得た。
【0019】
実施例8
実施例1の分級で得られた粉体粒子に、BET比表面積が210m2 /g、シラノール基数3.0個/nm2 であるシリカ微粉末を、1.0重量部の割合で攪拌混合して本発明の粉体塗料を得た。
【0020】
実施例9
実施例1の分級で得られた粉体粒子に、BET比表面積が70m2 /g、シラノール基数3.0個/nm2 であるシリカ微粉末を0.3重量部の割合で攪拌混合して本発明の粉体塗料を得た。
【0021】
実施例10
実施例1の分級で得られた粉体粒子に、BET比表面積が200m2 /g、シラノール基数1.5個/nm2 であるシリカ微粉末を0.3重量部の割合で攪拌混合して本発明の粉体塗料を得た。
【0022】
比較例1
実施例1と同一の配合比からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が5.5μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が0%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が70.3%の粉体粒子を得た。得られた粉体粒子に実施例1と同一の材料と方法によりシリカ微粉末を付着して比較用の粉体塗料を得た。
【0023】
比較例2
実施例1と同一の配合比からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が26.1μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が33.1%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が4.9%の粉体粒子を得た。得られた粉体粒子に実施例1と同一の材料と方法によりシリカ微粉末を付着して比較用の粉体塗料を得た。
【0024】
比較例3
実施例1と同一の配合比からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が14.4μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が24.1%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が66.4%の粉体粒子を得た。得られた粉体粒子に実施例1と同一の材料と方法によりシリカ微粉末を付着して比較用の粉体塗料を得た。
【0025】
比較例4
実施例1のポリエチレンワックスを無添加にした以外は同一配合からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が14.1μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が0.9%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が40.2%の粉体を得た。得られた粉体に実施例1と同様の材料と方法によりシリカ微粉末を付着して比較用の粉体塗料を得た。
【0026】
比較例5
実施例1の分級で得られた粉体粒子(シリカ微粉末を混合していないもの)をそのまま比較用の粉体塗料とした。
【0027】
比較例6
実施例1の分級で得られた粉体粒子に、BET比表面積が50m2 /g、シラノール基数3.0個/nm2 であるシリカ微粉末を0.3重量部攪拌混合して比較用の粉体塗料を得た。
【0028】
比較例7
実施例1の分級で得られた粉体粒子に、BET比表面積が170m2 /g、シラノール基数0.7個/nm2 であるシリカ微粉末を0.3重量部攪拌混合して比較用の粉体塗料を得た。
【0029】
比較例8
実施例1のポリエステル樹脂を水酸基を含有することなく末端にカルボキシル基を有するポリエステル樹脂(マック ウオータ社製 商品名 Cargi1130−3065)61重量%に代え、かつ、硬化剤をトリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)5重量部に変更した以外は同一配合からなる原料をスーパーミキサーで攪拌混合し、加圧ニーダーで130℃で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し、体積50%径が14.9μm、粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が0.9%、粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が35.1%の粉体粒子を得た。得られた粉体粒子に実施例1と同様の材料と方法にてシリカ微粉末を付着して比較用の粉体塗料を得た。
【0030】
上記の各実施例および各比較例で製造した粉体塗料を、0.8×70×150mmの日本テストパネル工業社製のテストパネル(品名:JIS G 3141SPCC−SB,仕様:PB−137M)に小野田社製コロナタイプの静電塗装ガン:GX−108を用いて−60KVにて膜厚30〜40μmになるように塗布した後、熱風乾燥炉で180℃/20分焼き付け、塗膜特性を評価した。
各実施例の塗膜特性の試験結果および粉体特性の試験結果を表1に、各比較例の塗膜特性試験結果および粉体特性試験結果を表2に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
なお表の判断記号は下記の注のとおりである。
注1)目視にて判定 ◎:非常に良い ○:良い △:やや悪い ×:悪い
注2)JIS K 5400 7.6に準じて60°反射率を測定
注3)JIS K 5400 8.2.2に準じて測定
注4)JIS K 5400 8.3.2に準じて、1/2インチ径、500gのおもりで測定
注5)爪で引っ掻いて目視判定
◎:非常に良い ○:実用上問題ない △:改良が必要 ×:非常に悪い
注6)ホソカワミクロン社製パウダーテスターを用いて測定
注7)粉体塗料を内径55mmφのポリ塩化ビニル容器に50gに入れ、40℃ 、7日間放置後、取り出し粉体塗料の状態を調べる。
◎:固まりなし ○:簡単につぶれる柔らかい固まりあり △:やや堅い固まりあり ×:堅い固まりあり
注8)未使用粉の体積50%径をXとし、回収粉の体積50%径をYとした場合、下記式で表される回収粉の体積50%径の低下率Zをリサイクル性の尺度とした。
Z(%)=〔(X−Y)/X〕×100
表1および表2の評価基準は次のとおりである。
◎:Z=5%以下、○:Z=6〜14%、△:Z=15〜29%、
×:Z=30%以上
【0034】
【発明の効果】
本発明の粉体塗料は、以下に記す作用効果を奏することができる。
▲1▼ 体積50%径が7〜20μmと十分小さいため、従来品と比較して塗膜の平滑性が良好であり、30〜40μm程度の薄膜でも十分平滑な塗膜が得られる。
▲2▼ 薄膜塗装が可能なので、従来品と比較して消費量を軽減でき、経済性の点で有利である。
▲3▼ 粒子径分布がシャープなので選択的塗着が発生しにくく、回収粉と未使用粉との粒子径の変化が殆ど無いため、回収粉のリサイクル性が良好である。
▲4▼ シャープな粒子径分布を有する小粒径の粉体粒子に、流動性付与剤として、表面に特定量のシラノール基を有するシリカ微粉末を付着することにより、粉体塗料の小粒径化の障害となっていた作業性、貯蔵安定性、耐爪傷性の悪化を改善することができる。
Claims (3)
- 少なくも水酸基を含有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートとを主成分とし、かつポリオレフィンワックスを含有する粉体粒子の粒子径が
(イ)体積50%径が7〜20μm
(ロ)粒子径が30μm以上の粒子の体積割合が20%以下
(ハ)粒子径が5μm以下の粒子の個数割合が60%以下
であって、かつ該粉体粒子の表面に、BET法による比表面積が70m2 /g以上で、表面に存在するシラノール基が1.5個/nm2 以上であるシリカ微粉末を付着させたことを特徴とする粉体塗料。 - ポリオレフィンワックスの含有量が粉体粒子中に0.3〜7.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の粉体塗料。
- シリカ微粉末が粉体粒子に対して0.05〜1.0重量%の割合で付着したことを特徴とする請求項1に記載の粉体塗料。
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