JPH1180612A - 粉体塗料及びそれを用いる皮膜形成方法 - Google Patents

粉体塗料及びそれを用いる皮膜形成方法

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JPH1180612A
JPH1180612A JP25261797A JP25261797A JPH1180612A JP H1180612 A JPH1180612 A JP H1180612A JP 25261797 A JP25261797 A JP 25261797A JP 25261797 A JP25261797 A JP 25261797A JP H1180612 A JPH1180612 A JP H1180612A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の溶剤塗装により行われていた導電性皮
膜の形成を粉体塗装により行うとともに、粉体塗装法に
より良好な帯電防止性及び電磁波遮蔽性を有する導電性
皮膜を容易に形成できる粉体塗料及びそれを用いる皮膜
形成方法を提供する。 【解決手段】 予め表面に粘着層を形成させた被塗装物
に、粉体塗料を皮膜形成媒体を介して付着させた後に熱
処理を行う皮膜形成方法に使用される粉体塗料であっ
て、その粉体塗料は導電性粒子及び樹脂粒子を含有する
ものである。その粉体塗料は、導電性粒子と樹脂粒子と
の乾式混合により得られるものが好ましく、それらの重
量割合は1:0.2〜0.8が好適である。又、その樹
脂粒子は、フロー軟化点が60〜110℃であり、低温
硬化性のものが好ましい。更に、樹脂粒子の粒子径分布
としては、粒子径が5μm以下の粒子の体積割合が全樹
脂粒子中の30%以上のものを用いることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予め表面に粘着層
が形成された被塗装物に皮膜形成媒体を介して粉体塗料
粒子を塗布する皮膜形成法に使用される粉体塗料、及び
その粉体塗料を用いる皮膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、導電性皮膜を形成するには、
導電性粒子、樹脂及び有機溶剤を含む溶剤型塗料が使用
されている。この溶剤型塗料は、導電性のシ−トまたは
フィルムを用いての皮膜形成とは異なり、スプレー塗装
により複雑な形状の被塗装物についても均一に塗装でき
るという利点を有しているものであるが、液だれ等の問
題があるため、1回の塗布では10〜20μm程度の皮
膜しか形成することができず、40〜60μm程度の皮
膜を形成させるには複数回(2〜5回程度)の塗布が必
要であり、作業能率が悪く、また、被塗装物に付着しな
かった塗料を回収することができず、材料ロスが多い等
の問題を抱かえている。そこで、1回の塗布で40〜6
0μm程度の皮膜を形成すること及び付着しなかった塗
料を回収利用することが可能な導電性粒子を内包する樹
脂粒子よりなる無溶剤型の粉体塗料が提案されている
が、通常、帯電防止能及び電磁波遮蔽能を有する導電性
皮膜を形成させるには、その表面抵抗値を104 〜10
5 Ω/□程度よりも低くすることが求められており、そ
のためには粉体塗料中に導電性粒子を高割合で添加する
ことが必要である。
【0003】ところで、粉体塗料を製造するには、通
常、生産性及び経済性等の面から溶融混練させて得られ
た混練物を粉砕する乾式法が採用されているが、この製
法では、粉体塗料に導電性粒子を多量に添加すると、溶
融混練時に過負荷による吐出量の低下、混練機の停止或
いは流動性の低下により材料供給フィーダー内等におい
て材料のブリッジ等が発生して粉体塗料の生産性が低下
する。また、得られた混練物は、ボソボソの状態になり
材料の均一な分散物を得ることができない。一方、原料
モノマーの懸濁重合法または乳化重合法等を利用する湿
式法により粉体塗料を製造する場合には、例えば、金属
の導電性粒子を樹脂中に多量に混合させようとしても、
その導電性粒子の比重が樹脂の比重よりも極端に大きい
ため、導電性粒子のみが分離して沈殿し、樹脂中に導電
性粒子を均一に混合させることは非常に困難である。
【0004】そして、導電性粒子を多量に含有する粉体
塗料は、従来の塗装法では、塗装性の面からも次のよう
な問題点を有している。 粉体塗料粒子を、スプレーガンの内部または吐出部に
おいて荷電させた後、アースが取り付けられた被塗装物
に吹き付けて、被塗装物の表面に電気的付着力により付
着させる静電スプレー塗装法では、導電性粉体塗料は荷
電性が劣るため、その塗装性は低下する。また、プラス
チックス、ガラス等の絶縁性の材料からなる被塗装物で
は電気的付着力を利用することができないので、静電ス
プレー塗装は非常に困難である。 粉体塗料粒子がエアーの力により流動化している流動
槽内に、粉体塗料の融点以上に加熱された被塗装物を通
過させることにより、粉体塗料粒子を瞬時に溶融させて
被塗装物の表面に付着させる流動浸漬法では、上記粉体
塗料に導電性粒子として金属粉を用いた場合には、真比
重が非常に高くなるため、塗装機内の流動槽中において
粉体塗料の均一な流動状態は得られ難く、したがって、
均一な塗膜形成は困難である。また、プラスチックス等
の耐熱性に劣る材料からなる被塗装物では、被塗装物を
予め加熱する際に変形等が起こりやすいため、流動浸漬
法による塗装は困難である。 荷電された粉体塗料粒子がエアーの力により流動化し
ている流動槽内に、ア−スが取り付けられた被塗装物を
通過させて、粉体塗料粒子を被塗装物の表面に電気的付
着力により付着させる静電流動浸漬法では、上記した
及びと同様の問題が発生するため、静電流動浸漬法に
よる塗装も困難である。 上記のような理由から、粉体塗装による導電性皮膜の形
成は、粉体塗料の製造面及び塗装面の双方に問題を有し
ているために実施されておらず、したがって、導電性皮
膜の形成は、もっぱら溶剤型塗料を用いたスプレー塗装
により行われているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記した実情に鑑みてなされたものである。す
なわち、本発明の目的は、従来の溶剤塗装法による導電
性皮膜の形成に代えて、粉体塗装法により複雑な形状を
有する絶縁性の材料からなる被塗装物上にも、導電性皮
膜が容易に得られる粉体塗料及びその粉体塗料を用いて
導電性皮膜が容易に形成できる皮膜形成方法を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、粉体塗装法に
より良好な帯電防止性及び電磁波遮蔽性を有する導電性
皮膜を形成できる粉体塗料及びそれを用いる皮膜形成方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、導電性皮
膜の形成が容易な粉体塗料及びそれを用いる皮膜形成法
について鋭意検討した結果、先に提案した、粉体を用い
る特定の皮膜形成方法(特開平5−302176号公
報)に、特定の材料からなる粉体塗料を適用することに
より上記の課題が達成できることを見出し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明の粉体塗料は、予め
表面に粘着層を形成させた被塗装物に、粉体塗料を皮膜
形成媒体を介して付着させた後に熱処理を行う皮膜形成
法に使用される粉体塗料であって、導電性粒子及び樹脂
粒子を含有することを特徴とする。そして、その粉体塗
料は、導電性粒子と樹脂粒子との乾式混合により得られ
るものであることが好ましく、また、導電性粒子と樹脂
粒子との重量割合は1:0.2〜0.8の範囲のもので
あることが好適である。さらに、樹脂粒子としては、フ
ロー軟化点が60〜110℃の範囲の熱硬化性のもので
あり、低温硬化性のものを用いることが好ましい。さら
に、樹脂粒子の粒子径分布としては、粒子径が5μm以
下の粒子の体積割合が、全樹脂粒子中の30%以上であ
ることが好ましい。また、本発明の皮膜形成方法は、上
記の粉体塗料を用いることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず、図面を参照して、本発明の粉
体塗料が使用される皮膜形成方法について説明する。図
1は、本発明の粉体塗料を用いて被塗装物の表面に皮膜
を形成する方法に用いられる加震塗装機の概略断面図の
一例を示す。図1に示されているように、加震装置V上
に配置された容器Cに、表面に未硬化樹脂やその他の液
状または液状物質等により粘着層が形成された被塗装物
W、後述する粉体塗料及び同じく皮膜形成媒体等の混合
体Tを入れて、加震装置Vにより容器Cに振動を与える
と、被塗装物Wの表面に粉体粒子の付着層が形成され
る。
【0008】上記の容器Cは、硬質合成樹脂または金属
等の硬質材料等からなっており、上部に開口部c1を有
する碗状に形成されている。また、その底部c2の中央
部を上方に膨出させることにより、開口部c1と同程度
の高さに到達する柱状部c3が突設されている。加震装
置Vは、機台Fの上に振動板f3が配置されているもの
であり、その機台Fには、コイルスプリングf1及びf
2が設けられて振動板f3と連結されている。振動板f
3の中央部から上部に突設して設けられた垂直軸f4の
上端部には、容器Cの柱状部c3が取付けられている。
また、振動板f3の中央部から下部にはモーターf5が
取付けられ、そのモーターf5の出力軸f6には、重錘
f7が偏心して取付けられている。従って、モーターf
5を回転させると、偏心した重錘f7が回転して、振動
板f3上に取付けられた垂直軸f4を介して容器Cが加
震されるものである。
【0009】本発明に用いられる加震塗装機は、図1に
示されているものに限定されるものではなく、例えば、
容器として円筒状容器、箱形容器、螺旋管状容器等の種
々の容器が使用可能である。また、容器を振動させる代
わりに、容器内に振動体を配置して混合体を振動させて
被塗装物に皮膜を形成させることによっても、または混
合体を羽根状物で撹拌させることによっても、被塗装物
に皮膜を形成することができる。
【0010】上記の塗装機内において、被塗装物は、粉
体塗料及び皮膜形成媒体等と共に加震されると、表面に
粘着層が形成された被塗装物には、皮膜形成媒体を介し
て粘着層に粉体塗料の粒子(以下、これを「粉体粒子」
ともいう)が付着する。この付着した粉体粒子は皮膜形
成媒体により叩かれて、粘着層に圧接または圧入されて
強固に付着するようになる。その後、さらに皮膜形成媒
体に繰り返し叩かれると、粘着剤が粉体粒子付着層の表
面に押し出され、その押し出された粘着剤に、皮膜形成
媒体を介してさらに粉体粒子が付着する。このようにし
て、被塗装物の表面への粉体粒子の付着が徐々に進行す
る。そして、被塗装物の表面の粉体粒子付着層が、皮膜
形成媒体によりさらに叩かれても粘着剤が粉体粒子付着
層の表面に押し出されなくなった時点で、実質的な粉体
粒子の付着工程、すなわち、皮膜形成は終了する。本発
明は、このような方法により被塗装物に粉体粒子付着層
が形成されるものであり、導電性粒子と樹脂粒子を含む
粉体粒子が多層にしかも高密度に充填されているという
特徴を有するものである。
【0011】本発明において、被塗装物に用いられるも
のとしては、工作機械、車両、船舶及び飛行機等の各種
部品、家電部品、電気・電子部品及び事務機器部品等が
挙げられる。また、被塗装物の材質としては、各種金属
類のみならず、従来では静電粉体塗装が困難とされてい
た絶縁材料であるセラミックス、ガラス、プラスチッ
ク、木材及び紙等が挙げられる。
【0012】また、上記した皮膜形成方法では、被塗装
物の表面に粉体粒子を付着させるために、予め粘着剤に
よる粘着層が形成されていなければならない。その粘着
剤としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステ
ル樹脂、フェノール樹脂等の一般的な未硬化状態の液状
或いは半液状の樹脂のみならず、その他の一般的な液状
または半液状物質、例えば、アミン類、エーテル類、グ
リコール類、タール類及びスチレン、アクリル類、フェ
ノール、イソシアネート等のモノマー、オリゴマー又は
ポリマー等を用いることができる。その粘着剤として
は、熱処理時に溶融した樹脂粒子と相溶性が良好であ
り、かつ被塗装物及び導電性粒子との密着性に優れてい
るものが好適に用いられる。そのためには、粘着剤中に
カップリング剤等の各種添加剤を適宜添加してもよい
し、また粘着剤が官能基を持つ物質を含む場合には、そ
の官能基と架橋反応することが可能な官能基を含有する
硬化剤を添加することが好ましい。そして、粘着剤に
は、必要に応じて、後述する各種導電性粒子、各種添加
剤、各種導電性樹脂又は導電性モノマー等を適宜添加し
てもよい。
【0013】被塗装物の表面に粘着層を形成するには、
被塗装物を粘着剤溶液に浸漬させるか、粘着剤をスプレ
ー等により被塗装物に吹き付けるか、または刷毛やロー
ラー等により粘着剤を被塗装物に塗布することにより行
う。その際、その粘着剤が高粘度のものであれば、エー
テル類、アルコール類、ケトン類、芳香族化合物等の一
般的な希釈剤を添加し適宜希釈して使用してもよい。ま
た、その際に希釈剤として溶解力の高い溶剤を用い、被
塗装物を浸漬させることにより被塗装物の脱脂等の洗浄
と粘着層の形成とを同時に行うことができるので効率的
である。粘着層の膜厚は、形成される皮膜の膜厚に影響
を及ぼすものであるから、粘着剤の粘度及び粘着力、ま
たは粉体塗料及び皮膜形成媒体の粒子径及び材質等によ
り適宜調整することが好ましい。
【0014】本発明に用いる皮膜形成媒体は、打撃力に
より皮膜形成の媒介を行う機能と、粉体粒子を被塗装物
の表面まで搬送させる機能とを有することが必要であ
る。また、その皮膜形成媒体の寸法は、被塗装物よりも
実質的に小さく、かつ、粉体粒子よりは実質的に大きい
ことが好ましい。被塗装物よりも大きい皮膜形成媒体で
は、被塗装物の表面に均一な打撃を加えることができな
いため、粉体粒子の付着むらが発生するとともに粉体粒
子付着層の表面の凹凸が大きくなり、熱処理後の皮膜表
面の平滑性が低下するから不適当である。一方、粉体塗
料の粒子よりも小さい皮膜形成媒体では、皮膜形成時に
粘着層中に埋め込まれ易くなるので不適当である。ただ
し、皮膜形成媒体は、その中の体積比で70%以下の範
囲であれば、被塗装物よりも大きな皮膜形成媒体が含ま
れていてもよい。
【0015】その皮膜形成媒体の材質としては、次の要
件を満たすものを採択することが重要である。すなわ
ち、皮膜形成媒体は、皮膜形成に使用前後のものを肉眼
による観察では大きな形状変化がなく、かつ、皮膜形成
過程において大きな弾性変形が起こらないものであるこ
とが不可欠であり、また、長期間使用すると若干の磨耗
は避けられないとしても、割れ、欠落、急激な磨耗等の
欠陥が発生しないものである。これらの要件を満たさな
い材質の皮膜形成媒体が用いられると、被塗装物との衝
突により、塑性変形または大きな弾性変形を起こす結
果、被塗装物に与える打撃力が不足したり不均一にな
り、所望の皮膜形成が行われなくなる。また、皮膜形成
媒体が割れたり欠けたりすると、その破片が粉体付着層
内に埋め込まれて皮膜欠陥を引き起こすことになる。
【0016】皮膜形成媒体の材質は、上記した要件を満
たすものである限り、鉄、炭素鋼、その他の合金鋼、銅
鉱及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金、そ
の他各種金属、またはAl2 3 、SiO2 、Ti
2 、ZrO2 、SiC等のセラミックス、ガラス、各
種プラスチック、各種ゴム、木材等のいずれも使用可能
である。また、皮膜形成媒体の大きさ及び材質は、被塗
装物の形状及び大きさ、粉体粒子の粒子径及び材質等に
応じて適宜選択される。さらに、皮膜形成媒体には、複
数の材質及び大きさのものを適宜混合して使用できる
し、また、それらに表面処理、表面皮膜等を施して使用
することもできる。さらにまた、複数の上記材料により
構成された複合皮膜形成媒体を用いてもよい。また、そ
れらの皮膜形成媒体の形状としては、球状、楕円状、立
方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四角錐、菱面体、
不定型体等の各種形状のものが用いられ、これらを単独
で、または適宜混合して用いてもよい。
【0017】次に、上記した塗装機等を用いる粉体塗装
により、被塗装物の表面に粉体粒子付着層を形成させた
後、被塗装物と皮膜形成媒体とを分別する。その後、所
定の温度及び時間にわたって熱処理を行うことにより成
膜が得られる。この所定の温度及び時間は、粉体塗料、
粘着剤及び被塗装物に使用される構成物質により好適な
皮膜が形成される条件により適宜決定されるものであ
る。例えば、粉体塗料または粘着剤として、被塗装物の
フロー軟化点以下の温度で硬化する熱硬化性のものを用
いると、その樹脂が持っている官能基が、硬化剤の官能
基と十分に架橋反応が行われる温度及び時間であり、ま
た、粉体塗料及び粘着剤が熱可塑性のものであると、被
塗装物の軟化点以下、かつ粉体塗料のフロー軟化点以上
の任意の温度及び時間である。
【0018】以下、本発明の粉体塗料について詳しく説
明する。本発明の粉体塗料は、導電性粒子と樹脂粒子と
を含有するものであり、予め表面に粘着層を形成させた
被塗装物に、粉体塗料を皮膜形成媒体を介して付着させ
た後、その粉体塗料が付着した被塗装物を熱処理するこ
とにより絶縁性材料からなる被塗装物に帯電防止または
電磁波遮蔽等の機能を有する導電性皮膜を容易に形成す
ることができる。
【0019】その粉体塗料の導電性粒子としては、
「金、銀、銅、白金、パラジウムまたはニッケル等」の
各種導電性金属粉及びその合金粉、導電性金属または導
電性樹脂等によって被覆された「各種金属粉・各種カー
ボングラファイト粉・各種プラスチック粉・各種無機質
粉末等」、各種導電性カーボン、各種カーボングラファ
イト等を単独でまたは2種以上を混合して使用すること
ができる。その導電性粒子の粒子径は、平均粒子径が5
0μm以下のものが好適であり、その粒子径分布は、一
山タイプのものでも二山以上のタイプのものでも用いる
ことができる。また、その形状は、偏平状(フレ−ク
状)、不定形、線状(フィラメント状)、球状、棒状、
樹枝状等のいずれのものも使用でき、これらを単独でま
たは2種以上を混合して用いてもよい。これらの導電性
粒子の材質、粒子径、粒子分布及び形状等は、所望する
導電性皮膜の機能により適宜調整される。
【0020】また、粉体塗料の樹脂粒子とは、少なくと
も結着樹脂を含むものであり、その結着樹脂としては、
熱硬化性樹脂も熱可塑性樹脂も共に用いることができ、
熱処理温度における溶融粘度が低い樹脂を用いることが
好ましい。溶融粘度が低い樹脂は、溶融時に導電性粒子
の表面に均一に行き亘らせることができ、導電性粒子間
の距離を小さくできると同時に、塗膜面からの導電性粒
子の脱落を低減することができるので好適である。ま
た、樹脂粒子としては、熱硬化性樹脂を用いた熱硬化性
のものが好ましい。その理由は、樹脂粒子が熱硬化性の
ものである場合、硬化収縮により導電性粒子同士の距離
を小さくすることができ、皮膜の導電性が向上するから
である。上記結着樹脂の具体例としては、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ユ
リア樹脂、メラニン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチ
レン、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリア
ミド樹脂等の粉体塗料に用いられている公知の樹脂を、
単独で又は混合して用いることができる。
【0021】そして、樹脂粒子の結着樹脂として熱硬化
性樹脂を用いる場合、その熱硬化性樹脂に含まれる官能
基と架橋反応できる官能基を含む硬化剤を添加すること
が好ましい。その硬化剤としては、例えば、アミン、ア
ミド、酸無水物、イソシアネート、ポリスルフィド、酸
ジヒドラジドまたはイミダゾール等の粉体塗料に用いら
れる公知の硬化剤を単独で又は混合して用いることがで
きる。さらに、樹脂粒子には、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウ
ム等の各種充填剤、酸化チタン、カーボンブラック、酸
化鉄、銅フタロシアニン、アゾ顔料、縮合多環顔料等の
各種着色剤、ポリアクリル酸ブチルエステル等のアクリ
ルオリゴマーやシリコーン等の各種流展剤、ベンゾイン
等の各種発泡防止剤、錫化合物等の硬化促進剤、ポリオ
レフィン等のワックス、シランカップリング剤等のカッ
プリング剤、界面活性剤または還元剤等の各種添加剤、
各種導電性樹脂または導電性モノマー、各種導電性粒子
等を必要に応じて適宜添加してもよい。また、樹脂粒子
のフロー軟化点が、60℃未満のものでは貯蔵安定性が
悪く、他方、110℃を越えるものでは、溶融粘度が高
いため溶融時に溶融された樹脂粒子を導電性粒子の表面
に均一に行き亘らせることが困難であり塗膜面から導電
性粒子が脱落しやすい。このような理由から、樹脂粒子
としては、そのフロー軟化点が60〜110℃の範囲の
ものが好ましく、より好ましくは60〜100℃の範囲
のものである。なお、本発明にいうフロー軟化点とは、
島津製作所社製のフローテスタ(商品名:CFT−50
0)により、1.000cm2 のプランジャー、直径
0.99mmで、長さ1.00mmのダイを用い、20
kgFの加重をかけ、6.0℃/minの昇温速度で測
定した値を用いる。
【0022】本発明に用いる樹脂粒子は、上記の素材か
ら構成される材料をミキサーまたはブレンダー等を用い
て乾式混合し、得られた混合物をニーダーにより溶融混
練し、生成した混練物を冷却させる。その後、機械式ま
たは気流式の粉砕機を用いて粉砕し、次いで分級するこ
とにより得ることができる。この樹脂粒子の製造法は、
上記の方法に限られず、例えば、スプレードライ法また
は重合法等により製造することもできる。
【0023】次に、被塗装物が、プラスチックス等の耐
熱性が低い材料に塗装する場合に用いられる低温硬化性
の樹脂粒子について説明する。本発明にいう低温硬化性
の樹脂粒子とは、示差走査熱量測定(DSC)により、
1分間に10℃の割合で昇温した際に、110℃におい
て発熱反応が認められ、かつ、発熱のピークが140℃
以下である熱硬化性の樹脂粒子である。プラスチックス
等の耐熱性の低い被塗装物においては、樹脂粒子は12
0℃以下程度で硬化反応を進行させる必要がある。した
がって、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等のエポ
キシ基(グリシジル基)を有する熱硬化性樹脂と、芳香
族アミン類もしくは脂肪族アミン類とエポキシ樹脂とか
らなるエポキシ樹脂アミンアダクト型硬化剤やイミダゾ
ール類等の低温硬化型硬化剤とを含有した120℃以下
程度で硬化することができる低温硬化性の樹脂粒子を使
用する。しかし、上記熱硬化型樹脂及び低温硬化型硬化
剤とを組み合わせて、前記のような製造方法に基づいて
樹脂粒子を得ようとすると、材料を乾式混合した後、1
10℃程度の温度条件下でニーダーを用いて溶融混練す
ると、ニーダー内で硬化反応が起こり、硬化物がニーダ
ー内に付着し、吐出量の低下や詰まり等の発生や、架橋
反応により高分子化した混練物は粉砕性が悪化するとい
う問題が起こりやすい。また、混練した後、ニーダー内
に付着した硬化物の除去に、多大の労力を要する等の問
題も起こりやすい。そこで、プラスチックス等の耐熱性
が低い材料に塗装する場合に用いられる低温硬化性の樹
脂粒子は、まず熱硬化性樹脂と必要に応じて添加する前
記各種添加剤とを、予めミキサー或いはブレンダー等を
用いて乾式混合し、ニーダー等により溶融混練して粉砕
し、更に粉砕機を用いて粗粉砕して得られた粗粉砕物
に、次いで、低温硬化型硬化剤を添加して乾式混合し、
これを微粉砕及び分級することにより得ることができ
る。
【0024】また、低温硬化性の樹脂粒子の製造法は、
上記した製造法に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂と
必要に応じて添加する前記各種添加剤とを、予めミキサ
ー或いはブレンダー等を用いて乾式混合し、ニーダー等
により溶融混練して粉砕し、更に粉砕機を用いて粗粉砕
し、微粉砕して熱硬化性樹脂を含む粒子を得る。一方、
低温硬化型硬化剤は単独で微粉砕して硬化剤を含む粒子
を得る。次に、その熱硬化性樹脂を含む粒子とその硬化
剤を含む粒子とを乾式混合することにより樹脂粒子を得
ることができる。
【0025】本発明の粉体塗料に用いる樹脂粒子として
は、粒子径が5μm以下の粒子の体積割合が30%以上
含まれているものが好ましく、より好ましくは40%以
上、さらに好ましくは50%以上である。樹脂粒子の粒
子径は、小さい程被塗装物上の粉体塗料付着層内におい
て導電性粒子間の距離が小さくなるから、導電性粒子同
士の接触頻度が高くなるので形成される皮膜の導電性が
向上する。そのため、粒子径が5μm以下の粒子の割合
が大きければ大きい程、高導電性皮膜の形成に好適であ
る。また、5μm以下の粒子の体積割合が高い程、単位
体積(重量)当たりの樹脂粒子数が増加するため、被塗
装物上の粉体塗料付着層内で導電性粒子と樹脂粒子とが
均一に分散した状態で存在するようになり、熱処理時に
溶融した樹脂粒子が導電性粒子を結着させ易くなるか
ら、導電性粒子の皮膜からの脱離が低減できるという利
点がある。また、前述の低温硬化性の樹脂粒子におい
て、上記の粒子径の場合には、その粒子径が十分小さい
ことから樹脂の官能基と硬化剤との接触頻度が高くな
り、硬化反応が均一に行われ、十分な機械的強度を持っ
た皮膜が形成できるので好ましい。なお、樹脂粒子の粒
子径は、コールターエレクトロニクス社製のコールター
マルチサイザーIIを用いて、樹脂粒子を界面活性剤が添
加されている水中に超音波分散器を用いて十分に分散さ
せた後、樹脂粒子の濃度を5〜10%に調整し、樹脂粒
子の沈降防止のために小型スクリューにより撹拌させた
状態で、直径100μmのアパチャーを用いて測定し
た。
【0026】本発明の粉体塗料は、上記した導電性粒子
と樹脂粒子とを混合することにより得られる。この混合
には、ミキサーまたはブレンダー等を用いて乾式混合
(ドライブレンド)することが粉体塗料の生産性及び導
電性粒子の酸化等に伴う導電性の低下防止から好まし
く、また、導電性粒子と樹脂粒子との混合割合は、目標
とする皮膜の導電性及び導電性粒子の抵抗値によって変
動するが、重量割合で1:0.2〜0.8の範囲である
ことが好ましく、より好ましくは1:0.3〜0.5の
範囲である。導電性粒子1重量部に樹脂粒子が0.2重
量部未満では、導電性粒子に対する結着樹脂の絶対量が
不足するから、熱処理後の皮膜から導電性粒子が脱離し
易くなるので不適当である。一方、導電性粒子1重量部
に樹脂粒子が0.8重量部より多くなると、導電性粒子
間の距離が大きくなりその接触頻度が低下するため、形
成される皮膜は表面抵抗が高くなり、帯電性防止または
電磁波遮蔽等の機能が低下するので不適当である。さら
に、本発明の粉体塗料には、導電性粒子と樹脂粒子の分
散性向上、粉体塗料の流動性及び貯蔵安定性の向上等を
目的として、必要に応じて、シリカ微粒子、アルミナ微
粒子等の無機微粒子やメチルメタクリレート等の架橋樹
脂微粒子等を乾式混合により適宜添加してもよい。
【0027】
【実施例】以下、実施例等に基づいて本発明を説明する
が、本発明はこれらにより限定されるものではない。 実施例1 樹脂粒子の製造 エポキシ樹脂 95.2重量% (商品名:エピコート1002、油化シェルエポキシ社製) 硬化剤(ジシアンジアミド) 3.0重量% 硬化促進剤(イミダゾール) 0.3重量% 流展剤(ポリアクリル酸ブチルエステル) 1.0重量% 発砲防止剤(ベンゾイン) 0.5重量% 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し
た後、110℃においてニーダーで溶融混練し、生成し
た混練物を冷却し、次に気流式の粉砕機を用いて粉砕し
た。その後、気流式の分級機を用いて粒子径の大きな粒
子を除去することにより樹脂粒子を得た。この樹脂粒子
は、フロー軟化点が79℃であり、粒子径が5μm以下
の粒子の体積割合は83%であった。 粉体塗料の製造 フレーク状と不定形とが混合されたニッケル粉(商品
名:HCA−1、インコ社製)と上記の樹脂粒子と
を、重量比1:0.3の割合でヘンシェルミキサーを用
いて十分に乾式混合することにより粉体塗料Aを得た。
【0028】被塗装物への粉体塗装 得られた粉体塗料Aを用いて、下記の方法により被塗装
物の表面に皮膜の形成を行なった。 −1.被塗装物 被塗装物には、膜厚125μmのポリイミドフィルム
(商品名:ユーピレックス、宇部興産社製)の背面に粘
着シート(商品名:アドウィルC、リンテック社製)を
張り付けた後、60mm×60mmに切断したフィルム
を使用した。 −2.洗浄及び粘着層の形成 粘着剤としては、液状エポキシ樹脂(YD−128、東
都化成社製)と硬化剤(イミダゾール、C11Z、四国化
成社製)とを95:5の比率で混合したものを、希釈剤
としてアセトンを用いて10重量%に希釈した樹脂溶液
を使用した。その溶液中に洗浄を兼ねて上記のフィルム
を浸漬した後、取り出してドライアーの温風で30秒間
乾燥させることにより、表面に粘着層を形成したフィル
ムを得た。 −3.塗装機 塗装機には、図1に示すものと同じ構造のものを使用
し、また、容器Cには容積2.8リットルで、深さ15
0mmのものを使用した。 −4.粉体塗料と皮膜形成媒体の混合 容器C内に、セラミックスをゴムで被覆した直径1.5
mmの皮膜形成媒体1000gと粉体塗料A40gとを
投入して箆で軽く撹拌混合した後、容器Cを5分間加震
させることにより粉体塗料Aと皮膜形成媒体とを均一に
混合させた。 −5.皮膜形成 上記の混合物が入った容器Cを加震し、その中に表面に
上記の粘着層を設けたフィルムを投入して90秒間皮膜
形成を行った。その後、そのフィルムを取り出し、熱風
乾燥炉を用いて180℃で15分間熱処理を行うことに
よりフィルム表面に皮膜を形成させた。
【0029】皮膜の評価 その皮膜が形成されたフィルムを常温で30分間放置し
た後、そのフィルム背面の粘着シートを剥がし、表面抵
抗測定器(商品名:MCP−T350、油化電子社製)
により皮膜の表面抵抗を測定した。この場合、被塗装物
として2枚のフィルムに塗装を行い、皮膜の表面抵抗
は、一枚につき3点測定し、合計6点の平均値を評価結
果とした。また、シールド効果測定装置(スペクトラム
アナライザー:TR−4172、シールド効果評価器:
TR−17301、アドバンテスト社製)を用いて、5
00〜1000MHzの電界電磁波の遮蔽効果について
測定した。なお、測定には、中央部(電磁波発信部と電
磁波受信部との直線上)に直径50mmの円形の穴をあ
けた2枚の銅板を試料アダプタとして用い、塗装を施し
ていない上記のポリイミドフィルムで電磁波遮蔽効果が
ゼロであることを確認した後に行った。
【0030】実施例2 樹脂粒子の製造 実施例1と同一の樹脂粒子を用いた。 粉体塗料の製造 フィラメント状のニッケル粉(商品名:ニッケルパウダ
ー255、インコ社製)とフレーク状の銀粉(商品名:
シルベストTCG−7、徳力化学社製)とを重量比5:
5の割合で配合した導電性粒子と上記の樹脂粒子と
を、重量比1:0.3の割合でヘンシェルミキサーを用
いて十分に乾式混合することにより粉体塗料Bを得た。 被塗装物への粉体塗装 粉体塗料として粉体塗料Bを用いたこと以外は、実施例
1と同様にしてフィルム表面に皮膜を形成させた。 皮膜の評価 実施例1と同様にして、得られた皮膜の評価を行った。
【0031】 実施例3 樹脂粒子の製造 アクリル樹脂 78.8重量% (DIC社製、商品名:A−253) 硬化剤(ドデカン二酸) 19.7重量% 流展剤(ポリアクリル酸ブチルエステル) 1.0重量% 発砲防止剤(ベンゾイン) 0.5重量% 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し
た後、100℃においてニーダーで溶融混練し、生成し
た混練物を冷却し、次に、気流式の分級機を用いて粉砕
した。その後、気流式の分級機を用いて粒子径の大きな
粒子を除去することにより樹脂粒子を得た。この樹脂粒
子は、フロー軟化点が107℃であり、粒子径が5μm
以下の粒子の体積割合は36%であった。 粉体塗料の製造 フレ−ク状と不定形の混合されたニッケル粉(商品名:
HCA−1、インコ社製)と上記の樹脂粒子とを、重
量比1:0.4の割合でヘンシェルミキサーを用いて十
分に乾式混合することにより粉体塗料Cを得た。 被塗装物への粉体塗装 粉体塗料として粉体塗料Cを用いるとともに、熱処理条
件を160℃で15分間に代えたこと以外は、実施例1
と同様にしてフィルム表面に皮膜を形成させた。 皮膜の評価 実施例1と同様にして、得られた皮膜の評価を行った。
【0032】 実施例4 樹脂粒子の製造 熱可塑性アクリル樹脂 98.0重量% (商品名:CPR−100、三井東圧社製) 流展剤(ポリアクリル酸ブチルエステル) 2.0重量% 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し
た後、150℃においてニーダーで溶融混練し、生成し
た混練物を冷却し、次に気流式の粉砕機を用いて粉砕し
た。その後、気流式の分級機を用いて粒子径の大きな粒
子を除去することにより樹脂粒子を得た。この樹脂粒子
は、フロー軟化点は135℃であり、粒子径が5μm以
下の粒子の体積割合は65%であった。 粉体塗料の製造 フィラメント状のニッケル粉(商品名:ニッケルパウダ
ー255、インコ社製)とフレーク状の銀粉(商品名:
シルベストTC−25A、徳力化学社製)を5:5の割
合で配合した導電性粒子と該樹脂粒子とを、重量比1:
0.6の割合でヘンシェルミキサーを用いて十分に乾式
混合することにより粉体塗料Dを得た。 被塗装物への粉体塗装 粉体塗料として粉体塗料Dを用いるとともに、熱処理の
条件を180℃で5分間に代えたこと以外は、実施例1
と同様にしてフィルム表面に皮膜を形成させた。 皮膜の評価 実施例1と同様にして、得られた皮膜の評価を行った。
【0033】 実施例5 樹脂粒子の製造 エポキシ樹脂 98.5重量% (エピコート1002、油化シェルエポキシ社製) 流展剤(ポリアクリル酸ブチルエステル) 1.0重量% 発泡防止剤(ベンゾイン) 0.5重量% 上記の配合比からなる材料を乾式で混合した後、ニーダ
ーにより溶融混練し、生成した混練物を冷却した後、粒
子径が2〜3mmになるように粗粉砕した。これと、硬
化剤(イミダゾール、C11Z、四国化成社製)とを9
5:5の割合で乾式混合した後、気流式の粉砕機により
微粉砕した。その後、気流式の分級機を用いて粒子径の
大きな粒子を除去することにより樹脂粒子を得た。この
樹脂粒子は、110℃で発熱反応があり、そのピークは
131℃であった。そして、フロー軟化点が79℃であ
り、粒子径が5μm以下の粒子の体積割合は72%であ
った。 粉体塗料の製造 得られた樹脂粒子と実施例2と同様の導電性粒子とを同
様の方法により同割合で乾式混合し、粉体塗料Eを得
た。 被塗装物への粉体塗装 粉体塗料として粉体塗料Eを用いるとともに、熱処理の
条件を100℃で30分間に代えたこと以外は、実施例
1と同様にしてフィルム表面に皮膜を形成させた。 皮膜の評価 実施例1と同様にして、得られた皮膜の評価を行った。
【0034】比較例1 実施例1と同一の粉体塗料A及び被塗装物とし、実施例
1と同一のフィルムの表面をアセトンで洗浄し、アース
を兼ねた治具を取り付けたものを使用し、コロナ帯電方
式の静電スプレーガン(商品名:GX−108、日本パ
ーカライジング社製)を用いて、印加電圧−60KVで
塗装を行った。しかし、絶縁材料であるフィルムには粉
体塗料が殆ど付着しなかったため、皮膜は形成できなか
った。
【0035】比較例2 実施例1と同一の粉体塗料A及び被塗装物とし、実施例
1と同一のフィルムの表面をアセトンで洗浄し、アース
を兼ねた治具を取り付けたものを使用し、静電流動浸漬
塗装機(商品名:C−30、ELECTROSTATI
C TECNOLOGY INC.社製)の流動槽内に
粉体塗料Aを300g投入し、流動化エアー流量を40
リットル/分にして印加電圧−60KVで被塗装物に塗
装を行った。しかし、流動槽内の粉体塗料が均一な流動
状態になることはなく、また、そのフィルムが絶縁材料
であるため、フィルムには粉体塗料が殆ど付着せず、皮
膜は形成できなかった。
【0036】比較例3 実施例1と同一の粉体塗料A及び被塗装物として同一の
フィルムを使用し、その表面に実施例1と同様の方法に
より粘着層を形成した。この被塗装物にアースを取り付
け、コロナ帯電方式の静電スプレーガン(商品名:GX
−108、日本パーカライジング社製)を用いて、印加
電圧−60KVで塗装を行った。その後、180℃で1
0分間熱処理を行うことによりフィルム表面に皮膜を形
成させた。その皮膜が形成されたフィルムを常温で30
分間放置した後、背面の粘着シートを剥がし、実施例1
と同様にして、得られた皮膜の評価を行った。
【0037】上記各実施例及び比較例において得られた
皮膜の評価結果を、表1に示す。
【表1】 表中、横線「−」は、皮膜形成ができなかったことを意
味し、また「測定不能」は、表面抵抗が106 Ω/□以
上であることを示している。
【0038】表1から明らかなように、本発明の粉体塗
料を用いる皮膜形成方法によって形成した皮膜は、表面
抵抗がいずれも103 Ω/□以下であり良好な導電性を
有するとともに、帯電防止皮膜または電磁波遮蔽皮膜と
して十分な機能を有していた。そして、本発明における
粉体塗料は、本発明の皮膜形成方法以外の従来の粉体塗
装方法に用られるとポリイミドフィルムの表面に皮膜を
形成できないのに対し、本発明の皮膜形成法方法に用い
られるとポリイミドフィルム等の絶縁性の被塗装物にも
容易に塗装されて良好な皮膜を形成することが可能であ
ることを示している。また、比較例3のように、上記し
た従来の塗装方法では、仮に被塗装物上に粘着層を形成
させ、その上に粉体塗料をスプレーガンにより吹き付け
ても、皮膜形成媒体による衝撃力がなければ、粘着層の
表面に粉体塗料が単に付着しているに過ぎないため、被
塗装物上の粉体塗料付着層内の導電性粒子の充填密度は
不足しており、導電性皮膜を形成することはできない。
【0039】
【発明の効果】本発明の粉体塗料は、導電性粒子を多い
割合で含むものであるが、容易に生産することが可能で
あり、生産性が高いという特徴を有している。また、本
発明の皮膜形成方法によれば、粉体塗装により帯電防止
皮膜または電磁波遮蔽皮膜を絶縁性或いは耐熱性の低い
被塗装物上にも容易に形成することができるので工業的
に非常に有益である。また、本発明の皮膜形成方法は、
従来一般に行われていた溶剤スプレー塗装のように複数
回(2〜5回程度)の重ね塗りを要することなく、一度
の塗装によって十分な機能を有する導電性皮膜を形成す
ることが可能であり、塗装作業能率も格段に向上する。
さらに、塗装作業を連続的に行うことにより、粉体は殆
ど完全に利用することが可能であって、溶剤スプレー塗
装のような材料ロス(吹き捨て)が少ないから、経済性
にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の粉体塗料を用いて皮膜形成を行う一
例の塗布機の概略断面図である。
【符号の説明】
C…容器、c1…開口部、c2…底部、c3…柱状部、
V…加震装置、F…機台、f1及びf2…コイルスプリ
ング、f3…振動板、f4…垂直軸、f5…モーター、
f6…出力軸、f7…重錘、T…混合体、W…被塗装
物。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 7/12 C09D 7/12 Z H05K 9/00 H05K 9/00 W (72)発明者 板谷 修 京都府京都市西京区松室追上町22番地の1 エリーパート2 401号 インターメタ リックス株式会社内 (72)発明者 藤原 晃 静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社 巴川製紙所化成品事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め表面に粘着層を有する被塗装物に、
    皮膜形成媒体を介して粉体塗料を付着させた後に熱処理
    を行う皮膜形成方法に使用される粉体塗料であって、導
    電性粒子及び樹脂粒子を含有することを特徴とする粉体
    塗料。
  2. 【請求項2】 樹脂粒子が、熱硬化性のものであること
    を特徴とする請求項1に記載の粉体塗料。
  3. 【請求項3】 樹脂粒子のフロー軟化点が、60〜11
    0℃の範囲のものであることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の粉体塗料。
  4. 【請求項4】 樹脂粒子が、低温硬化性のものであるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉
    体塗料。
  5. 【請求項5】 樹脂粒子中に占める粒子径が5μm以下
    の粒子の体積割合が30%以上であることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体塗料。
  6. 【請求項6】 被塗装物の表面に粘着層を形成し、得ら
    れた被塗装物に粉体塗料の粒子を皮膜形成媒体を介して
    付着させる皮膜形成方法において、請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の粉体塗料を用いることを特徴とする皮
    膜形成方法。
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