JPH0951660A - 小型凹状電気部材用絶縁塗膜の形成方法 - Google Patents

小型凹状電気部材用絶縁塗膜の形成方法

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JPH0951660A
JPH0951660A JP22115795A JP22115795A JPH0951660A JP H0951660 A JPH0951660 A JP H0951660A JP 22115795 A JP22115795 A JP 22115795A JP 22115795 A JP22115795 A JP 22115795A JP H0951660 A JPH0951660 A JP H0951660A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】回転子コア等の小型凹状電気部材用の薄膜の絶
縁塗膜、そのエッジが薄くなり過ぎない絶縁塗膜を提供
する。 【構成】摩擦荷電式静電粉体ガン又は内部荷電式静電粉
体ガンを使用して粉体塗料を塗布し、加熱する。その加
熱を架橋開始温度未満、架橋開始温度以上の2段階で行
う。 【効果】凹部の内部にも薄膜の絶縁塗膜を形成すること
ができ、2段加熱することによりさらにエッジの絶縁塗
膜も薄くなり過ぎないようにすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば小型モータ
のコアに絶縁塗膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】家電、自動車電装、AV(オーディオビ
ジュアル)、電気通信分野等には小型モーターが使用さ
れており、これらの小型モーターのアーマチュア(電流
が通る巻線構造物)は鉄心(コア)の周側に凹状の溝
(スロット)を介して極を設け、これら極に巻線を施し
ている。このアーマチュアを動作させるために巻線に通
電すると、熱を発生することを避けることができず、温
度が上昇するとその動作特性が変わるので冷却すること
が好ましいが、これらの用途における小型モータは比較
的外気に接触し易い状態で使用されているので、その放
熱が比較的容易てある。しかし、最近OA(オフィスオ
ートメーション)、FA(ファクトリーオートメーショ
ン)などのコンピュータ本体や、ハードディスク、光磁
気ディスクなど周辺機器の駆動部分にも小型モータを使
用することが広がるにつれて、この小型モータが収容さ
れる空間も限られたものになり、しかも外気と接触し難
い箇所で使用されるようになってきており、放熱し難い
状態で使用されることが多くなってきている。それのみ
ならず、これら機器の小型化、高性能化の要求を満たす
ために、小型モータの収容空間はますます小さくなって
きており、しかもほこりにより動作不良が生じないよう
に密閉して使用されるようになってきているので、小型
モータはますます放熱し難い状態で使用されることが多
くなっている。
【0003】このように放熱し難い状態で使用される小
型モータの場合には、でき得る限り発熱を抑制する工夫
が必要になり、そのためには図1に示すコアの場合に
は、コア本体1の周側にスロット2a、2a・・を介し
て設けた極3a、3a・・に施した巻線4a、4a・・
に流れる電流による発熱を低くすることが求められてい
る。これを実現するには、巻線は絶縁塗膜5を介して施
されるので、その絶縁塗膜の厚さを薄くすることが求め
られ、現在200μm〜300μmである膜厚を例えば
100μm以下、さらに将来は50μm以下の薄膜にし
ても使用できるようにすることが期待されている。小型
モーターのコアに絶縁塗膜を形成する場合に必要なこと
としては、コアの平坦部だけではなくスロット2a、
2a・・の周壁、すなわち極の両側にも塗装できるこ
と、極3a、3a・・のエッジ部にも要求される絶縁
塗膜が形成できることが求められる。このような絶縁塗
膜を液状塗料の塗布により形成することも行われている
が、一般にこの種の塗料は溶剤を含んでいるので乾燥塗
膜が20μmを越えるような厚膜塗装では乾燥や焼付け
の際に溶剤の揮発に伴ない著しく発泡し易く、平滑な一
様な厚さの塗膜が得られず、しかも発泡した塗膜は絶縁
性が悪くなるのでこれを回避する必要がある。そのため
には一回の塗装では10μm程度の塗膜が得られるに過
ぎないので、何回も重ね塗りをしなければならないが、
特にエッジ部においては塗布した塗料が流れ易く、最終
的に硬化された塗膜には薄いところが生じ易く、その部
分は絶縁性を悪くするので、その部分が生じないように
するためには厚目の塗装を行うことが必要になり、エッ
ジ部も平坦部も同時に塗装する通常の方法では平坦部の
塗膜の膜厚を40μm〜50μmにしなければならず、
そのためには、4〜5回の重ね塗りや補修塗装が必要に
なり、膜厚のバラツキが大きい上に、工数が増え、コス
ト高になるという問題がある。
【0004】厚膜塗膜を得るには、粉体塗料を塗装する
方法も用いられている。これには、図2の一部に示すよ
うに、流動槽6の下部に設けた多孔板6aの下から空気
を吹き出してその上の粉体塗料を吹き上げ、粉体粒子を
浮遊、流動化した状態で、多孔板6aの下側に設けた図
示省略した高電圧極とアースした被塗物のコアとの間に
電界を生じさせ、コアを回転させながらその浮遊、流動
化した粉体粒子を塗布し、その塗布されない流動槽から
流出する粉体は回収する静電流動浸漬装置が用いられて
いる。この方法では、その静電流動浸漬装置のうち電界
発生装置を用いない、いわゆる流動浸漬装置に用いる粉
体塗料、例えば平均粒径が70μm〜350μmの粗い
粒径のエポキシ樹脂系塗料が流動槽から流出する粉体の
量を少なくするために用いられている。そのため電界を
形成し難いスロット部にも粉体を行き渡らせ、十分な絶
縁性の塗膜を得るには、電界を形成し易い平坦部におけ
る粉体塗料の膜厚を200μm〜300μmの厚膜塗装
をする必要があり、このように粒径の大きな粉体塗料を
用いた場合には薄膜塗装をすることが困難である。粉体
塗料を薄膜塗装する方法としては、塗装ガンの先端にピ
ンを設け、被塗物をアースして両者の間に高電圧を印加
してコロナ放電を行い、その電界を利用して粉体粒子を
帯電させ、反対極性の被塗物に塗布し、加熱硬化させ
る、いわゆるコロナ荷電型静電粉体塗料塗装法も用いら
れており、この方法は、平均粒径が30μm〜35μm
の粉体塗料を使用するため40μm程度の薄膜塗装が可
能である。しかし、被塗物が凹部を有するような場合に
は、その奥には電界が生じ難く、粉体が塗装されない部
分を生じる、いわゆるファラデーケージ現象を起こし、
小型モータのコアのように例えば図1に示すスロット2
a、2a・・のように凹部を有するような構造の被塗物
に対する塗装はできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在行われている静電
流動浸漬法による塗装では、上述のように、上記コアの
場合、平坦部では約200〜300μmにもなり、膜厚
を薄くしたいという上記の要望を満たすことができない
という問題がある。また、粉体塗料には熱硬化性塗料が
用いられ、塗膜は加熱されて硬化されるが、その際誘導
加熱などを行って急速に温度を上げると、その塗膜は急
激に溶融して必要以上に低粘度となった瞬間に硬化して
流動性を失うので、特に被塗物のエッジ部において予想
外に膜厚が薄くなる現象を生じ、そのため絶縁耐圧の値
にバラツキを生じ易いという問題もある。
【0006】本発明の第1の目的は、凹部を有する小型
電気部材に膜厚の薄い、例えば100μm以下の絶縁塗
膜を形成できる小型凹状電気部材用絶縁塗膜の形成方法
を提供することにある。本発明の第2の目的は、エッジ
部における塗膜が加熱工程で薄くなることを軽減できる
小型凹状電気部材用絶縁塗膜の形成方法を提供すること
にある。本発明の第3の目的は、収納容積が小さくしか
も密閉して使用されるような例えば小型モータにおいて
コアの巻線を短くできその電気抵抗値を小さくできる絶
縁塗膜が得られるような小型凹状電気部材用絶縁塗膜の
形成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(1)、凹部を有する小型電気部材に絶
縁塗膜を形成する方法において、粉体塗料を摩擦荷電式
静電粉体ガン又は内部荷電式静電粉体ガンを使用して上
記小型電気部材に塗布する工程と、該塗布された粉体塗
膜を加熱する工程を有することにより上記絶縁膜を形成
する小型凹状電気部材用絶縁塗膜の形成方法を提供する
ものである。また、本発明は、(2)、粉体塗料の粒径
が4μm〜40μmである上記(1)の小型凹状電気部
材用絶縁塗膜の形成方法、(3)、粉体塗料が熱硬化性
塗料であり、加熱工程が該塗料の塗布膜を架橋開始温度
未満に加熱して溶融した塗膜を平坦化する第1加熱工程
と、該第1加熱工程の後に該架橋反応を起こす温度に加
熱する第2加熱工程を有する上記(1)又は(2)の小
型凹状電気部材用絶縁塗膜の形成方法、(4)、小型電
気部材が小型モータのコアである上記(1)ないし
(3)のいずれかに記載の小型凹状電気部材用絶縁塗膜
の形成方法を提供するものである。
【0008】次に本発明を詳細に説明する。本発明にお
いて、「摩擦荷電式静電粉体ガンを使用して塗布」と
は、例えば図3に示すように、粉体塗料を空気とともに
ガンの筒体に導入し、ガン内壁と粉体塗料を接触させ、
摩擦により粉体塗料を荷電させ、その荷電粒子の空気流
を形成し、その荷電粒子と反対極性にセットした被塗物
に荷電粒子を付着させ、放電させる摩擦荷電式静電粉体
塗装方式であり、このような塗装方式では、上記コロナ
放電方式による塗装ではコロナピンからの電界が被塗物
の凹部に入り込み難いため、粉体塗料は凸部のみに塗布
され、凹部に入り込み難いファラデーケージ現象を生じ
るのに対し、このファラデーケージ現象を生ぜず、凹部
に対する優れた入り込み性を示す。また、「内部荷電式
静電粉体ガンを使用して塗布」とは、例えば図4に示す
ように、ガンの筒体に設けた電極と電極板の間に電界を
形成し、そこを粉体を通過させることにより粒子を荷電
させ(いわゆる内部荷電)、その荷電している粉体をそ
の荷電粒子と反対極性にセットした被塗物に付着させ、
放電させる内部荷電式静電粉体塗装方式であり、このよ
うな方式でも上記摩擦荷電式静電粉体塗装方式と同様に
ファラデーケージ現象を生ぜず、凹部に対する優れた入
り込み性を示す。本発明においては、摩擦荷電式静電粉
体塗装方式による摩擦荷電量を増加させるなどの目的で
摩擦荷電式静電粉体ガンにコロナ放電ピンを付加し、上
記したコロナ荷電型静電粉体塗装法を併用した静電粉体
ガンでも良いが、コロナ放電方式に特有なファラデーケ
ージの影響が少なく、実質的に被塗物の凹部に粉体を塗
布することができるものであれば良く、「摩擦荷電式静
電粉体ガンを使用して塗布」の中にこれも含まれる。
【0009】なお、摩擦荷電あるいは接触荷電において
荷電量及び荷電極性について物体間には、例えばポリウ
レタン、エポキシ、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩
化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラ
フレオエチレンのようにはじめのものほどプラスで後の
もの程マイナスになる荷電序列があり、これらのプラス
のものとマイナスのものを摩擦するとプラスのものはプ
ラス、マイナスのものはマイナスに帯電し、序列の差が
大きいほど荷電量も大きくなるという原理が知られてお
り、この原理を応用して、例えばプラス帯電のものとし
て上記のほかに顔料、硬化剤や、硬化促進剤、流動調整
剤、発泡防止剤等の添加剤を含有する粉体塗料を作成
し、一方マイナス帯電の上記材料からなる噴出管を作成
し、あるいはこれらを逆に前者をマイナス、後者をプラ
ス帯電するように材料を選択して噴出管から粉体塗料を
噴出させるようにして両者を摩擦させ、帯電させて反対
極性にした被塗物にその摩擦帯電粒子を塗装することが
できることは既に知られている。
【0010】本発明において、上記の摩擦荷電静電粉体
塗装方式あるいは内部荷電静電粉体塗装方式により塗装
する粉体塗料としては、平均粒径が4μm〜40μmの
ものを使用することが好ましく、平均粒径が約50μm
〜70μmの粉体塗料を用いた上記静電流動浸漬法によ
る粉体塗料塗装法が元来100μmを越える膜厚の塗装
を行うことを目的としているのに対し、100μm以下
の膜厚のものに適用することが好ましい。50μm〜1
00μmの膜厚を得るためには、通常のコロナ荷電型静
電粉体塗料塗装法で使用されている平均粒径30μm〜
35μmの粉体塗料を用いることができるが、平均粒径
が4μm〜40μmの微粒子の粉体塗料を用いると、5
0μm以下、特に30μm以下の膜厚を得ることができ
る。平均粒径30μm程度の粉体塗料の粒度分布は通常
10μm〜70μm程度の各種の粒径を含んでいる。平
均粒径20μm以下の微粒子粉体塗料は通常のコロナ荷
電型静電粉体塗料塗装法で使用されているACMバルペ
ライザー(ホソカワミクロン株式会社製)などのピンミ
ルで粉砕した後、サイクロンで分級しても得られるが、
工業的には超音速ジェット粉砕機Acroplex(ア
ルピネ社製)や微粉砕機クリプトロン(川崎重工社製)
を粉砕機として使用し、下限及び上限をカットするサイ
クロン分級によっても得ることができる。また、一旦1
0μm以下の微粒子粉体塗料を製造した後、ヘンシェル
ミキサー(三井三池製作所製)などの流動化型混合機を
使用して撹拌混合し、数個の微粒子を加熱融着させて任
意の粒径に造粒することもできる。上記のことから、上
記(1)その他の発明において、「上記絶縁塗膜を形成
する」を「膜厚が10μm〜100μmとなる上記絶縁
塗膜を形成する」とすることができ、その際「粉体塗
料」を「平均粒子径4μm〜50μmの粉体塗料」とす
ることもできる。
【0011】被塗物のエッジの膜厚の平坦部の膜厚に対
する比率である、いわゆるエッジカバー率は、粉体塗膜
の加熱方法によっても改善することができ、その改善に
より特に薄膜では絶縁抵抗値のバラツキを少なくするこ
とができる。本発明においては、加熱は一段加熱でも良
いが、はじめ塗膜の架橋開始温度未満、ついで架橋開始
温度以上で加熱する二段加熱法を採用することが、エッ
ジカバー率の向上、塗膜の平滑化、絶縁耐圧のバラツキ
を減少させる点で好ましい。すなわち、従来は粉体塗装
したコアを誘導加熱法により加熱し、昇温したコアの余
熱で焼付を完了しようとする際、コアの温度が高温にな
り過ぎて、粉体塗膜の溶融粘度が著しく低下し、その後
瞬間的に硬化がはじまって塗膜が固化し、そのためエッ
ジカバー率は悪くなるが、本発明における二段加熱方式
によると、第1段階ではコアの温度を過度には上げず、
溶融塗膜の平滑化に必要な程度にし、第2段階でその架
橋反応を行わせる加熱を行うことによって、粉体塗料の
組成によっても異なるが、例えば従来の方法では40%
に留まっていたエッジカバー率を70%程度まで向上で
き、平坦部とエッジ部の膜厚の差を小さくすることがで
きるとともに、小型モータのコアの絶縁膜の場合にも絶
縁耐圧の値のバラツキを少なくし、性能の安定した製品
を得ることができる。これは塗膜が薄膜になるほど2段
加熱が有利になることを示す。なお、一段加熱、二段加
熱の各加熱工程は一定温度でも良いが、連続的に昇温さ
せる場合でも良い。加熱手段としては、赤外線照射加
熱、誘導加熱、熱風加熱等を用いることができ、前2者
は一段加熱工程、二段加熱工程の第1加熱工程、第2加
熱工程のいずれにも用いることができるが、熱風加熱は
粉体塗料の飛散がない第2加熱工程で用いることが好ま
しい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1に示す回転子のコアのコア本
体1の外周縁、スロット2a、2a・・・の周壁、その
間の極3a、3a・・に絶縁塗膜5を形成し、その後各
極には巻線4a、4a・・を施す。この絶縁塗膜を形成
する塗装に当たっては、図2に示すように、流動槽6に
空気を吹き込み多孔板6a上の粉体塗料を流動化し、そ
の流動化した粉体をインジエクター7に吸い込み、圧搾
空気8により摩擦荷電式静電粉体ガン9からその荷電さ
れた粉体塗料粒子10と空気を吐出する。その際、図3
に示すように、摩擦荷電式静電粉体ガン9に送られた粉
体塗料と空気はガンの内壁と摩擦し粉体粒子は荷電され
て吐出される。なお、粉体塗料としてはその平均粒径が
4μm〜40μmの範囲のものを予め選定しておくこと
が好ましい。回転子のコア13はコア本体1の中心部を
貫通する軸11に支持され、アースされた状態て塗装ラ
イン上を回転しながら進行し、上記の摩擦荷電式静電粉
体ガン9により吐出された荷電粒子が静電引力により付
着される。この際、コロナ放電静電塗装方式のような電
界により塗装するものと異なり、ファラジーケージを生
じないのでスロットの周壁にも良く塗装が行われる。こ
のようにしてコアの周側が塗装されるが、付着しなかっ
た粉体塗料はラインの下側に設けた真空集塵機12によ
り吸い取り、図示省略したサイクロンで回収した後リサ
イクル使用される。塗装されたコア14は、ラインの前
方に設置した加熱装置により加熱され、焼付けられる。
加熱装置は一段加熱の場合は第1加熱工程15のみであ
り、その場合は例えば誘導加熱装置15aにより例えば
230℃〜250℃に加熱し、その後自然冷却されて塗
装は完成される。二段加熱の場合は第1加熱工程の後
に、さらに第2加熱工程を経てから自然冷却されて塗装
は完成されるが、第1加熱工程では例えば誘導加熱装置
15aにより例えば130℃まで加熱し、第2加熱工程
16では例えば誘導加熱装置16aを用いてコアの温度
を230℃まで加熱する。第1加熱工程での温度を13
0〜200℃にとどめ、第2加熱工程で赤外線装置ある
いは熱風加熱により架橋温度以上に加熱することもでき
る。塗膜の膜厚の調節は主として粉体塗料の粒径の選定
と、摩擦荷電式静電粉体ガンにおける粉体塗料のチャー
ジ値(ゲージ値)、吐出エアー圧(Kg/cm2 )、霧
化エアー圧(Kg/cm2 )、塗料供給量(g/分)に
より行う。粉体塗料のチャージ量は粉体塗料の種類によ
り異なるので摩擦荷電式静電粉体ガン用として適した種
類を選択することが必要である。このように、摩擦荷電
式静電粉体ガンにより塗装を行うと、ファラデーケージ
現象を生じることなく被塗物の凹部にも塗装することが
でき、その際、平均粒径の小さい粉体塗料を塗装する
と、膜厚を薄くすることができる。また、加熱を2段階
にすると、造膜過程と架橋過程に分けて加熱でき、造膜
過程で過度に温度が上昇しないようにすることにより特
に溶融塗膜の流れ易いエッジ部においてその流れを抑制
し、塗膜が部分的に過度に薄くなることを抑制すること
ができる。
【0013】なお、上記は摩擦荷電式静電粉体ガンによ
り塗装を行う場合について説明したが、内部荷電式静電
粉体ガンによる塗装の場合もこれに準じて行うことがで
きる。以下の実施例においても同様である。
【0014】
【実施例】
実施例1 エピコート1004(油化シエルエポキシ社製)47重
量部、酸化クロムグリーン48.4重量部、エアロジル
#200(デグサジパン社製充填剤)3重量部、無水ピ
ロメリット酸(硬化剤)2.6重量部をプレミキシング
した後、エクストルーダーにて練肉する。さらにピンミ
ルで粉砕した後、100メッシュ篩を用いてその通過分
(平均粒径31.4μm)を絶縁粉体塗料とした。これ
は静電粉体塗装用絶縁粉体塗料として用いることができ
るものである。この絶縁粉体塗料を上記したように図2
に従って塗布するが、その際摩擦荷電式静電粉体ガンと
してはノードソン株式会社製摩擦帯電塗装ガン100
PLUS−11を用い、ついで誘導加熱装置15aを用
いてこれによりコアの温度を235℃(架橋開始温度
(示差熱分析により測定)以上)、6秒加熱し、その後
自然冷却した。その得られた塗膜について後述の各種試
験を行い、その結果を表1に示す。
【0015】実施例2 実施例1において、誘導加熱装置15aの代わりに遠赤
外線装置を用いて第1加熱工程15とし、第2加熱装置
16に誘導加熱装置16aを用い、前者により粉体塗料
の塗膜をコアの温度で125℃(架橋開始温度未満)、
10秒加熱し、その塗膜を溶融して平滑な塗膜にする工
程を付加し、第2加熱工程で実施例1と同様に加熱した
以外は同様にして塗装を行い(第1加熱工程、第2加熱
工程併用)、実施例1と同様に測定した結果を表1に示
す。
【0016】実施例3 実施例1において、100メッシュの篩を用いる代わり
に、エクストルーダーを通した後、微粉砕機クリプトロ
ン(川崎重工社製)を用いて粉砕し、さらにサイクロン
により不要な微粒子と粗粒子をカットして平均粒径18
μmの微粒子絶縁粉体塗料(組成は実施例1と同じ)を
得、これを実施例1の絶縁粉体塗料の代わりに用いるこ
と以外は同様にして塗装を行い、実施例1と同様に測定
した結果を表1に示す。
【0017】実施例4 実施例3において、実施例2の場合と同様に加熱工程を
誘導加熱装置15aの代わりに遠赤外線装置を用いて第
1加熱工程15とし、第2加熱装置16に誘導加熱装置
16aを用い、前者により粉体塗料の塗膜をコアの温度
で125℃(架橋開始温度未満)、10秒加熱し、その
塗膜を溶融して平滑な塗膜にする工程を付加し、第2加
熱工程で実施例3と同様に加熱した以外は同様にして塗
装を行い(第1加熱工程、第2加熱工程併用)、実施例
1と同様に測定した結果を表1に示す。
【0018】比較例1 実施例1において、100メッシュの篩を用いる代わり
に70メッシュの篩を用いてその通過分(平均粒径78
μm)を粉体塗料(組成は実施例1と同じ)とした以外
は同様にして静電流動浸漬用絶縁粉体塗料を作成し、こ
れを静電流動浸漬法により塗装を行い、実施例1と同様
に測定した結果を表1に示す。
【0019】比較例2 実施例1の場合と同様な回転子コアを棚に並べ、溶剤型
絶縁塗料ポリペックW2337(日本ヒドラジン工業株
式会社)をスプレーにより塗布した後、150℃15分
焼付け、次に塗装面を下にして棚に並べ、同様に塗布を
行い、150℃、15分焼付ける。このようにして両面
塗装を1サイクルとし、それだけでは塗膜の厚さは10
μmに過ぎないので、5サイクルの塗装を繰り返し、得
られた塗膜について実施例1と同様に測定した結果を表
1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】試験法は以下のとおりである。 塗膜の状態 目視でコアの平坦部の塗膜の状態、特に平滑さの程度を
判定する。 膜厚測定 コア平坦部の膜厚を電磁膜厚計(エルコメータ)で10
点(10個のコア)測定し、その平均値を求める。 鉛筆硬度試験 JIS K 5400に準拠し、三菱鉛筆「ユニ」で塗
膜に傷の付かない最大硬度をもって鉛筆硬度とする。 エッジカバー率 平坦部とエッジ部の塗膜厚さを測定した後、後者の前者
に対する比率を求める。 絶縁抵抗 塗装したコアに巻線をした後、各コイル端を導通するよ
うに半田付けし、絶縁抵抗計の(+)端子を接続する。
コアの塗装してない生地(コア本体)にアース(−)端
子を接続させた後、250V−50MΩの電流の有無を
判定する。 抵抗値 コアの巻線の巻始めと巻終わり間の抵抗値を測定する。
10個のコアについて各1点合計10測定し、その平均
値を抵抗値とする。巻線抵抗温度係数表により25℃に
換算して表示する。 絶縁耐圧(絶縁破壊試験) 試験機の高圧出力端子と巻線コイルを接続し、接地端子
とコア本体を接続する。限流値1mA/ACに達したと
きの電圧を絶縁耐圧の値とする。10個の巻線コイルに
ついて各1点合計10点測定し、その平均値を絶縁耐圧
の値とし、その標準偏差を求める。
【0022】表1の結果から、実施例1、2の塗膜は比
較例1の塗膜に比べ、膜厚が約1/4になっているにも
かかわらず必要とする絶縁耐圧が得られ、そのバラツキ
も少なく、安定した製品が得られる。巻線の抵抗値が減
少し、コイルを動作させたときの発熱を抑制することが
できる。実施例1、2の塗膜を比較例2の塗膜と比べる
と、比較例2の塗膜は5回の重ね塗りで製造されたにも
かかわらず、エッジカバー率が小さく、そのバラツキも
大きく、そのため絶縁耐圧も低く、その標準偏差値も大
きく、製品としての安定性に欠けていることが分かる。
実施例1と2を比較すると、実施例2の2段加熱法によ
る塗膜はエッジカバー率のバラツキが小さく、安定し、
そのため絶縁耐圧の標準偏差の値が小さく、製品が安定
していることがわかる。また、塗膜の平滑性が優れてい
るため巻線作業もし易い。また、実施例2の塗膜は実施
例1の塗膜と比較して膜厚は約17%薄くできるにもか
かわらず、十分な絶縁耐圧をもっている。実施例3、4
は微粒子絶縁粉体塗料を使用しているため、絶縁抵抗を
維持しながら塗膜の膜厚を実施例1、2の塗膜に比べて
さらに薄くすることができ、実施例3と4の塗膜では、
後者をさらに約7%薄くでき、エッジカバー率のバラツ
キも小さくできる。実施例3と実施例1ではその膜厚を
約34%、実施例4と実施例2ではその膜厚を約27%
薄くし、そのようにしても他の特性を損なわないことが
わかる。このように、小型モータのコア用絶縁塗膜とし
て優れていることがわかり、特に実施例4の塗膜、つい
で実施例3の塗膜は将来のさらなる小型化が予想される
モータのコア用絶縁膜としての使用が期待される。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、摩擦荷電式静電粉体塗
装方式又は内部荷電式静電粉体塗装方式により粉体塗料
を塗装するようにしたので、凹部を有する小型電気部
材、例えば小型モータのコアに膜厚の薄い塗膜を形成す
ることができ、特に粉体塗料の粒子径を4μm〜40μ
mにすることによりこれを一層良く実現することがで
き、しかも絶縁塗膜としての他の特性を損なわないよう
にできる。また、塗膜の加熱を2段階で行う場合には、
被塗物のエッジ部における塗膜が加熱工程で薄くなるこ
とを軽減でき、エッジカバー率を向上させることがで
き、塗膜を薄くすることができることと相まって、収納
容積が小さくしかも密閉して使用されるような例えば小
型モータにおいてそのコアの巻線を短くでき、その電気
抵抗値を小さくできるので、その動作時の発熱を抑制
し、さらに小型化されつつあるモータのコア用の優れた
絶縁塗膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転子のコアに巻線を施した状態の平面図であ
る。
【図2】その回転子のコアの本発明の実施例の方法によ
る塗装工程を示す説明図である。
【図3】摩擦荷電式静電粉体塗装ガンによる塗装の原理
説明図である。
【図4】内部荷電式静電粉体塗装ガンによる塗装の原理
説明図である。
【符号の説明】 1 コア本体 2a スロット 3a 極 4a 巻線 5 絶縁塗膜 6 流動槽 7 インジエクター 8 圧搾空気 9 摩擦荷電式静電粉体塗装ガン 10 荷電した粉体塗料粒子 13 コア 14 粉体塗料を塗布されたコア 15 第1加熱工程 16 第2加熱工程

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹部を有する小型電気部材に絶縁塗膜を
    形成する方法において、粉体塗料を摩擦荷電式静電粉体
    ガン又は内部荷電式静電粉体ガンを使用して上記小型電
    気部材に塗布する工程と、該塗布された粉体塗膜を加熱
    する工程を有することにより上記絶縁膜を形成する小型
    凹状電気部材用絶縁塗膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 粉体塗料の粒径が4μm〜40μmであ
    る請求項1記載の小型凹状電気部材用絶縁塗膜の形成方
    法。
  3. 【請求項3】 粉体塗料が熱硬化性塗料であり、加熱工
    程が該塗料の塗布膜を架橋開始温度未満に加熱して溶融
    した塗膜を平坦化する第1加熱工程と、該第1加熱工程
    の後に該架橋反応を起こす温度に加熱する第2加熱工程
    を有する請求項1又は2記載の小型凹状電気部材用絶縁
    塗膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 小型電気部材が小型モータのコアである
    請求項1ないし3のいずれかに記載の小型凹状電気部材
    用絶縁塗膜の形成方法。
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