JP5915059B2 - エポキシ樹脂粉体塗料組成物で塗装された物品の製造方法 - Google Patents
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Description
粉体塗料中の微粉量が増加すると端面への付着傾向が強くなり、モーター内部への付着が低下する傾向がある。さらに凝集による流動不良や塗装ライン中での粉舞いが発生し、作業性が悪化する。
一方、使いやすい粒度分布に調整する手段として溶融混練したエポキシ樹脂混練物を粉砕する際にサイクロン捕集機などの微粉回収機を使用する方法が行われている。しかし、微粉を大幅に低減する場合、歩留まりの低下や生産時間増加による生産コストの増加が大きな問題である。
(1) エポキシ樹脂(A)、無機充填材(B)及び硬化剤(C)を必須成分としてなるエポキシ樹脂粉体塗料組成物を構成する多孔質粉体塗料粒子を含有してなるエポキシ樹脂粉体塗料組成物で塗装された物品の製造方法であって、
前記エポキシ樹脂(A)、前記無機充填材(B)及び前記硬化剤(C)を分散、混合した後、混練することによって、前記エポキシ樹脂(A)、前記無機充填材(B)及び前記硬化剤(C)の混合物からなる粉体塗料粒子を製造する工程(I)、及び、
前記工程(I)で得られた粉体塗料粒子の混合物を粉砕速度を調整して破砕することによって、表面に細孔を有する多孔質粉体塗料粒子を製造する工程(II)からなり、
該多孔質粉体塗料粒子を電子顕微鏡にて観察して求めた細孔径の平均が、1μm〜20μmであることを特徴とする多孔質粉体塗料粒子の製造方法
によって得られる多孔質粉体塗料を含有してなるエポキシ樹脂粉体塗料組成物
で塗装された物品の製造方法であって、
コロナ帯電方式の塗装機で塗装された物品の製造方法。
(2) 電子電気部品である前記(1)記載の物品の製造方法。
本発明に用いられるエポキシ樹脂(A)としては特に限定されない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などを用いることができ、これらを単独または混合して用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた場合は、塗膜が機械的特性、電気的特性に優れたものになり好ましい。また、これらのエポキシ樹脂の分子量やエポキシ当量なども特に限定されず、粉体塗料の配合や要求される性状に合わせて適宜選択すればよい。
一例を挙げると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた場合は、エポキシ当量が450〜2000であるのものを用いると、粉体塗料の塗装性が優れたものになり好ましい。
無機充填材(B)の配合量についても特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)、無機充填材(B)及び硬化剤(C)の合計量に対して30〜60重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜55重量%である。無機充填材(B)をかかる範囲の配合量とすることで、粉体塗料の塗装性を良好なものにできる。配合量が上記下限値よりも少ないと焼成時にタレやトガリといった外観上の不具合を起こすことがあり、一方、上記上限値よりも多いと塗膜の平滑性が低下することがある。
また、無機充填材(B)の粒径は特に限定されないが、通常、平均粒径として30μm以下のものが用いられる。かかる平均粒径を有する無機充填材を用いることにより、粉体塗料に良好な流動性と塗膜の強度を付与することができる。
本発明の多孔質粉体塗料粒子は、表面に細孔を有することを特徴とする。多孔質粉体塗料粒子が表面に細孔を有することで、多孔質粉体塗料粒子が構成するエポキシ樹脂粉体塗料組成物中の、直径が細孔径以下の微粉は細孔中に入り込むため、微粉量が低減される。そのため、ファラデーケージ効果による塗装不均一性や粉体凝集、粉舞いが抑えられる。
所定の原材料組成としたものを分散混合する方法は、具体的には、所定の組成比で原材料成分を配合し、これをヘンシェルミキサー等の分散混合装置によって十分に均一混合するものである。
また、原材料混合物を溶融混練して粉砕する方法は、具体的には、上記の方法で得られた原材料混合物を、エクストルーダー、ロールなどの溶融混練装置により溶融混合し、これを、粉砕装置を用いて適当な粒度に粉砕した後、分級するものである。
本発明の多孔質粉体塗料粒子の表面上に形成される細孔は、粉砕時に粉体同士が衝突することによって形成される。特に樹脂とフィラーの衝突によって樹脂側に細孔が形成されやすい。例えば、粉砕時の粉砕速度を調整することによって、細孔の直径を調整することができる。この他、粉砕時に平均粒径が細孔に近いフィラーを加え、衝突によって細孔を形成させる、あるいは、混練時の温度、粘度を調整してボイドを形成させる等の手段により、細孔を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂粉体塗料組成物は、エポキシ樹脂(A)、無機充填材(B)及び硬化剤(C)を含有する多孔質粉体塗料粒子により構成される。
本発明の多孔質粉体塗料粒子が構成するエポキシ樹脂粉体塗料組成物は、単独に存在している微粉が減少するため、微粉が発生源となっている凝集、流動性の低下や塗装機の目詰まりや塗装エアーによる粉舞いも低減される。
粒度分布が狭い粉体塗料が得られるため、塗装安定性やリサイクル性に優れた粉体塗料となる。
上記粉体塗料組成物をコロナ帯電塗装装置により物品に塗装した後は、常法に従って、160〜200℃程度で10〜60分間程度焼付けを行うことにより、硬化塗膜を得ることができる。上記塗装方法によって形成されてなる塗膜は、塗膜にスケ等の不都合がなく充分な膜厚を有するものであり、かつ、平滑であり、塗膜の外観が良好である。本発明のエポキシ樹脂粉体塗料組成物により塗装された物品は、このような良好な性質を有する塗膜であり、このような塗装された物品、それが電気電子部品である物品もまた本発明の1つである。
原材料成分を表1で示す配合比でヘンシェルミキサーにより20分間混合して、原材料混合物を調製した。これを、エクストルーダーを用いて混練後、粉砕装置にて4000rpmのミル回転速度で粉砕して得た平均粒子径60μmの粉体塗料を得た。無機微粒子はヘンシェルミキサーを使って混合を行った。
実施例と同様の配合で、粉砕速度1000rpmのミル回転速度で粉体塗料を得た。
<比較例2>
実施例と同様の配合で、粉砕速度7000rpmのミル回転速度で粉体塗料を得た。
(1)エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製・エピコート1055、エポキシ当量850)
(2)硬化剤:
3,3'-4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
(3)硬化促進剤:2−フェニルイミダゾール
(4)無機充填材:炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製・タンカルN−35、平均粒径22μm)
(試験方法)
1.粒度分布:乾式測定器にて評価した。
2.細孔径:電子顕微鏡にて粉体10について観察を行い、表面上に観察できた細孔径の平均を求めた。
3.粉体流動性:塗装槽へ粉体を投入し、粉体が澱みなく流動を開始する圧力を測定した。
4.塗装条件:電装モーター(長65mm、直径60mm、スロット深さ15mm)にコロナ帯電式静電流動浸漬塗装機により60秒間塗装した。
5.硬化条件:300kHzの高周波により60秒で230℃まで加熱した。
6.膜厚差:塗装後のモーターを切断し、端面と中央膜厚を測定し、膜厚差から評価した。
比較例2は回転速度が速すぎたために粉体の同士の衝撃が強くなり、粉体上に形成される孔の大きさは大きなものとなり、付着に適した粉体まで細孔に入り込んだために、均一性が低下する結果となった。
Claims (2)
- エポキシ樹脂(A)、無機充填材(B)及び硬化剤(C)を必須成分としてなるエポキシ樹脂粉体塗料組成物を構成する多孔質粉体塗料粒子を含有してなるエポキシ樹脂粉体塗料組成物で塗装された物品の製造方法であって、
前記エポキシ樹脂(A)、前記無機充填材(B)及び前記硬化剤(C)を分散、混合した後、混練することによって、前記エポキシ樹脂(A)、前記無機充填材(B)及び前記硬化剤(C)の混合物からなる粉体塗料粒子を製造する工程(I)、及び、
前記工程(I)で得られた粉体塗料粒子の混合物を粉砕速度を調整して破砕することによって、表面に細孔を有する多孔質粉体塗料粒子を製造する工程(II)からなり、
該多孔質粉体塗料粒子を電子顕微鏡にて観察して求めた細孔径の平均が、1μm〜20μmであることを特徴とする多孔質粉体塗料粒子の製造方法
によって得られる多孔質粉体塗料を含有してなるエポキシ樹脂粉体塗料組成物
で塗装された物品の製造方法であって、
コロナ帯電方式の塗装機で塗装された物品の製造方法。 - 電子電気部品である請求項1記載の物品の製造方法。
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