JPH11140131A - 溶解性に優れたポリアクリロニトリル系重合体粒子、その製造方法及び評価方法 - Google Patents

溶解性に優れたポリアクリロニトリル系重合体粒子、その製造方法及び評価方法

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JPH11140131A
JPH11140131A JP9321981A JP32198197A JPH11140131A JP H11140131 A JPH11140131 A JP H11140131A JP 9321981 A JP9321981 A JP 9321981A JP 32198197 A JP32198197 A JP 32198197A JP H11140131 A JPH11140131 A JP H11140131A
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polyacrylonitrile
polymer particles
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JP9321981A
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Kazuhiro Kameshima
一寛 亀島
Mitsuhiro Matsunaka
光広 松中
Yoshihiko Mishina
義彦 三品
Hiroshi Hosokawa
宏 細川
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F20/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride, ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F20/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms, Derivatives thereof
    • C08F20/42Nitriles
    • C08F20/44Acrylonitrile
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/12Polymerisation in non-solvents
    • C08F2/16Aqueous medium
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系懸濁重合によって製造されるポリアクリ
ロニトリル系重合体の粒子に、重合生産性を損なうこと
なく、溶剤に対する分散性及び溶解性に優れたポリアク
リロニトリル系重合体粒子及び該重合体粒子のレドック
ス水系懸濁重合による製造方法を提供する。 【解決手段】 アクリロニトリル共重合組成95重量%
以上、比粘度ηsp=0.1〜1.5、重合体粉体嵩比重
が0.30g/cm3 以下、200nm以上の細孔分布
平均、X線回折測定による結晶化指数が0.78以上、
ジメチルアセトアミド中18重量%分散液を0℃から溶
解終了温度まで昇温速度10℃/分で溶解する条件にお
いて、溶解進行時間が1.5分以下であることを特徴と
するポリアクリロニトリル系重合体粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアクリロニト
リル系重合体粒子及びその製造方法に関する。さらに詳
しくは、重合時の重合体粒子の溶解前の溶剤中における
分散性及び溶解性に優れたポリアクリロニトリル系重合
体粒子及びその製造方法並びに評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維の原料となるポリアクリロ
ニトリル系重合体は、一般に水系懸濁重合又は溶液重合
によって製造されている。特に水系懸濁重合方式は、溶
液重合に比べて短い滞在時間で連続生産が可能で、しか
も、簡便な重合反応容器を使用するため非常に生産性に
優れている。
【0003】この水系懸濁重合方式で生産されるアクリ
ロニトリル又はアクリロニトリルを主たる成分とする重
合体の粒子形状の制御については多くの検討が報告され
ている(伊藤ら、高分子論文集、Vol.43,1〜8
(1986)など)。しかし、重合体粒子形状と紡糸溶
剤との溶解性の相関についてはこれまでに殆ど検討され
ていない。また、重合反応後の重合体洗浄温度と重合体
溶解温度との関係についても断片的な報告があるが(H
onyarら、Faserfosch.U.Texti
ltech.,7,165(1956)、重合体粒子の
結晶化度と溶解温度に関するものではない。このような
経緯からこれまでは主として、ポリアクリロニトリル系
重合体の共重合組成と溶剤中への溶解温度及び固形分な
どから重合体粒子の溶解性の評価が行われてきた。
【0004】アクリロニトリル組成95%以上のポリア
クリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル組成95
%未満の重合体に比べ、紡糸溶剤に対する溶解可能な条
件範囲が狭いのが一般的である。そのため、溶解に適し
た粒子形状と結晶化度の保持が重合体の溶解性に重要な
要素となっている。
【0005】一方、アクリロニトリル組成95%以下の
ポリアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル組
成が95%より多い重合体に比べ、紡糸溶剤に対する溶
解が一般的に容易である。しかし、その反面溶解が低温
から始まることによって、溶剤溶解初期に重合体分散液
の重合体溶解濃度が高くなり、溶剤中の重合体粒子の分
散が不均一になりやすい。そのため、溶剤分散に適した
アクリロニトリル系重合体粒子とその製造方法が、重合
体粒子の溶解性に重要な要素となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水系
懸濁重合によって製造されるポリアクリロニトリル系重
合体の粒子に、重合生産性を損なうことなく、溶剤に対
する分散性及び溶解性に優れたポリアクリロニトリル系
重合体粒子、レドックス水系懸濁重合によるその重合体
粒子製造方法、重合体粒子の溶解性評価方法、及び重合
体粒子断面の評価方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するべく検討を重ねた結果、ポリアクリロニトリ
ル系重合体の重合条件と重合体水系分散液(スラリー)
の加熱洗浄処理によって、重合生産性を損なうことな
く、溶剤に対する溶解性及び分散性に優れたポリアクリ
ロニトリル系重合体粒子、レドックス水系懸濁重合によ
るその重合体粒子の製造方法を見出し本発明に到達し
た。
【0008】本発明は、アクリロニトリル共重合組成9
5重量%以上、比粘度ηspp=0.1〜1.5、重合体
粉体嵩比重が0.30g/cm3 以下、200nm以上
の細孔分布平均、X線回折測定による結晶化指数が0.
78以上、ジメチルアセトアミド中18重量%分散液を
0℃から溶解終了温度まで昇温速度10℃/分で溶解す
る条件において、溶解進行時間が1.5分以下であるこ
とを特徴とする溶解性に優れたポリアクリロニトリル系
重合体粒子を第一の発明とする。
【0009】さらに本発明は、レドックス水系懸濁重合
において、水/モノマー比=X、レドックス触媒比=
Y、重合釜内pH=Zの条件が、2.5≦X≦10、Y
≦2X、2.5≦Y≦10、1.5≦Z≦3.5の範囲
内で重合することを特徴とする上記第一の発明のポリア
クリロニトリル系重合体粒子の製造方法にある。
【0010】また、本発明は、アクリロニトリル共重合
組成95重量%未満、比粘度ηsp=0.1〜1.5、重
合体粉体嵩比重が0.15g/cm3 以上、200nm
以下の細孔分布平均、X線回折測定による結晶化指数が
0.78以上、ジメチルアセトアミド中20重量%分散
液を0℃から溶解終了温度まで昇温速度10℃/分で溶
解する条件において、溶解進行時間が2分以上4分以下
であることを特徴とする溶解性の優れたポリアクリロニ
トリル系重合体粒子を第二の発明とする。
【0011】また、さらに本発明は、レドックス水系懸
濁重合において、水/モノマー比=X、レドックス触媒
比=Y、重合釜内pH=Zの条件が、1.5≦X≦1
0、1≦Y≦10、1.5≦Z≦3.5の範囲内で重合
することを特徴とする上記第二の発明のポリアクリロニ
トリル系重合体粒子の製造方法にある。
【0012】さらに本発明は、前記第一及び第二の発明
のポリアクリロニトリル系重合体粒子の製造に当り、重
合体粒子の水系分散スラリーを85℃以上で5分間以上
加熱洗浄処理することを特徴とするポリアクリロニトリ
ル系重合体粒子の製造方法にある。
【0013】さらに本発明は、ポリアクリロニトリル系
重合体粒子の溶剤分散液を用い、昇温ステージ付き位相
差顕微鏡により、一定昇温速度条件の溶解進行時間を測
定することを特徴とするポリアクリロニトリル系重合体
粒子の溶解性評価方法にある。
【0014】さらに本発明は、ポリアクリロニトリル系
重合体粒子をポリウレタン樹脂で包埋した後切断し、切
断面をイオンプラズマエッチング処理して包埋樹脂をエ
ッチングし、重合体粒子断面を走査型電子顕微鏡を用い
て観察することを特徴とするポリアクリロニトリル系重
合体粒子の評価方法にある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の第一の発明である溶解性
の優れたポリアクリロニトリル系重合体粒子は、アクリ
ロニトリル単量体95〜100重量%、及びラジカル重
合で使用されるビニル骨格を有するアクリロニトリルと
共重合可能な他のビニル単量体0〜5重量%からなる
(共)重合体から構成される。
【0016】アクリロニトリルと共重合可能な他のビニ
ル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル
類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロ
ゲン化ビニル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ク
ロトン酸等の酸類及びそれらの塩類、マレイン酸イミ
ド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、ス
チレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)ア
リルスルホン酸ナトリウム、(メタ)アリルオキシベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリ
ウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸及びそれらの塩類などが挙げられる。
【0017】本発明の第二の発明である溶解性の優れた
ポリアクリロニトリル系重合体粒子は、アクリロニトリ
ル単量体95重量%未満及びラジカル重合で使用される
ビニル骨格を有するアクリロニトリルと共重合可能な他
のビニル単量体5重量%以上からなる共重合体から構成
される。共重合単量体としては、上記第一の発明の重合
体粒子を構成する際に用いられるものと同様の単量体が
用いられる。
【0018】上記組成比からなる本発明のアクリロニト
リル系(共)重合体粒子は、アクリル繊維の原料重合体
の分子量分布の指標として、比粘度ηsp=0.1〜1.
5の範囲内になるように重合条件を調整する。すなわ
ち、重合に当って還元剤/酸化剤の比を一定の下で量を
増やすとηspは減少し、減らすとηspは増加する。その
範囲を外れると溶解性が劣ったものとなる。
【0019】重合は水系懸濁方式によるレドックス重合
を採用する。すなわち、本発明のポリアクリロニトリル
系重合体粒子は、水系懸濁方式によるレドックス重合に
よって製造される。
【0020】図1(図面代用写真)に本発明の第一の発
明のポリアクリロニトリル系重合体粒子の断面拡大写真
を示す。第一の発明は、図1の拡大写真に示すように、
ポリアクリロニトリル系重合体粒子の形状を嵩比重0.
30g/cm3 以下で、かつ水銀圧入式ポロシメーター
法により測定した細孔分布平均が200nm以上の多孔
質状にすることによって、溶剤の粒子内部への含浸性を
高めて溶解性を向上させたことを特徴としている。
【0021】重合体粒子にこのような形状を付与するた
めには、重合時に析出する重合体微粒子の重合析出速度
と凝集速度を制御する水/モノマー比=X、レドックス
触媒として還元剤/酸化剤重量比=Y、重合釜内pH=
Zの選定が必要であり、2.5≦X≦10、Y≦2X、
2.5≦Y≦10、1.5≦Z≦3.5の範囲で仕込を
行い、レドックス懸濁重合を行うことによって達成され
る。X、Y、Zがこの範囲を外れると、得られるアクリ
ロニトリル系重合体は、溶解性が劣ったものとなり、紡
糸安定性が低下する。
【0022】図2(図面代用写真)に本発明の第二の発
明のポリアクリロニトリル系重合体粒子の断面拡大写真
を示す。第二の発明は、ポリアクリロニトリル系重合体
粒子の形状を嵩比重0.15g/cm3 以上で、かつ水
銀圧入式ポロシメーター法により測定した細孔分布平均
が200nm以下にすることによって、溶剤の粒子内部
への含浸を遅延し、溶剤分散性を向上させたことを特徴
としている。
【0023】本発明の第二の発明において、重合体粒子
にこのような形状を付与するためには、重合時に析出す
る重合体微粒子の重合析出速度と凝集速度を制御する水
/モノマー比=X、レドックス触媒として還元剤/酸化
剤の重量比=Y、重合釜内pH=Zの選定が1.5≦X
≦10、1≦Y≦10、1.5≦Z≦3.5の範囲で仕
込みを行いレドックス懸濁重合を行う必要がある。この
範囲外では得られる重合体の溶解性が劣り、紡糸安定性
が低下する。
【0024】本発明において使用できるレドックス触媒
としては、還元剤としては亜硫酸水素ナトリウム、亜硫
酸水素アンモニウム、アルキルメルカプタン類、好まし
くは亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、
酸化剤としては過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過
硫酸アンモニウム、亜塩素酸ナトリウム、好ましくは過
硫酸アンモニウムを挙げることができる。
【0025】重合釜滞在時間については、0.5時間〜
10時間、好ましくは1〜2時間が生産速度の点から適
する。
【0026】上記の条件によってレドックス重合して得
られたポリアクリロニトリル系重合体粒子は、溶剤に対
する分散性に優れたものであるが、さらに、分散性を向
上するために重合体スラリーを加熱洗浄処理することが
好ましい。加熱洗浄処理は、重合体粒子の水系分散スラ
リーを85℃以上の熱水で5分間以上行う。具体的に
は、イオン交換水を用いて85〜100℃で5〜30分
間、たとえば、ドラムフィルターを用いて連続洗浄する
のが好ましい。
【0027】本発明のポリアクリロニトリル系重合体
は、重合後加熱洗浄処理されることによってX線回折強
度から求めた重合体結晶化指数が0.78以上となる。
重合体の結晶化指数が0.78以上であると溶剤に対す
る分散性に優れたものとなる。
【0028】本発明のポリアクリロニトリル系重合体
は、重合体粒子の嵩比重が第一の発明にあっては0.3
0g/cm3 以下、細孔分布平均が200nm以上、第
二の発明にあっては嵩比重が0.15g/cm3 以上、
200nm以下の細孔分布平均であることと、結晶化指
数が0.78以上であることと相まって、第一の発明に
あっては、0℃のジメチルアセトアミド18重量%分散
液の粘度で、分散20分後に50センチポイズ以下であ
り、また昇温装置つき位相差顕微鏡にて測定した0℃か
ら溶解終了までに至る間の溶解進行時間が1.5分以下
であるという優れた溶剤分散性及び溶解性を示す。
【0029】また、第二の発明にあっては、0℃のジメ
チルアセトアミド20重量%分散液の粘度で、分散20
分後に50センチポイズ以下であり、また、昇温装置つ
き位相差顕微鏡にて測定した0℃から溶解終了までに至
る間の溶解進行時間が、2分以上4.0分以下であると
いう優れた溶剤分散性及び溶解性を示す。
【0030】本発明は、ポリアクリロニトリル系重合体
粒子の溶剤分散液を用い、昇温ステージ付き位相差顕微
鏡により、一定昇温速度条件の溶解進行時間を測定する
ことによりポリアクリロニトリル系重合体粒子の溶解性
を評価する方法を包含する。
【0031】ポリアクリロニトリル系重合体溶剤にポリ
アクリロニトリル系重合体粒子を一定濃度で均一に分散
した分散液を、スライドグラスに挟み昇温ステージ付き
位相差顕微鏡で10℃/分で昇温しながら200倍の視
野内の重合体粒子を測定し、溶解進行率を算出してポリ
アクリロニトリル系重合体粒子の溶解性を評価すること
ができる。すなわち、本発明の第1の発明にあっては同
じ重合体組成でも溶剤の粒子内部への含浸性が向上する
ので溶解完了温度が低く保てる。また、第2の発明にあ
っては低温での重合体粒子内部への溶剤の含浸性が遅延
できるため、溶解開始温度を高温にできる。このため、
溶解に要する時間が短縮できる。
【0032】本発明は、ポリアクリロニトリル系重合体
粒子の断面を観察して重合体粒子を評価する方法を包含
する。重合体粒子の断面を観察するには、まず、断面の
観察のための前処理として重合体粒子をポリウレタン樹
脂中に包埋して硬化させ、鋭利な刃物で重合体粒子の埋
まっているポリウレタン樹脂を切断する。次いで、切断
面に出現する重合体粒子の断面部分を露出するためポリ
ウレタン樹脂をプラズマエッチング処理する。次いで露
出した重合体粒子断面を走査型電子顕微鏡を用いて拡大
して観察することによりポリアクリロニトリル系重合体
粒子を評価することができる。エッチング処理により露
出した重合体粒子表面に金蒸着を施すと観察が容易に行
える。
【0033】プラズマエッチング処理にあたっては、プ
ラズマ出力電圧、反射出力、酸素供給量、処理時間を調
整して重合体粒子断面が破砕されないようにエッチング
処理厚みを調節する。
【0034】
【実施例】次に、実施例を掲げて本発明をさらに詳述す
る。なお、本明細書及び実施例においてポリアクリロニ
トリル系重合体粒子の組成の分析、物性の測定、評価の
ために用いた測定方法、評価方法を以下に示す。
【0035】[比粘度ηsp測定]0.1グラムの重合体
を100mlのジメチルホルムアミドに75℃で45分
間溶解し、25℃における溶液粘度をウベローデ型粘度
計で測定した。
【0036】[重合体共重合組成の分析]ジメチルスル
ホキシド−d6溶媒に5重量%試料を溶解し、日本電子
製EX−270型NMRにより120℃で40回積算し
た。ケミカルシフトの積分比から共重合組成を求めた。
【0037】[重合体嵩比重の測定]JIS K672
1塩化ビニル樹脂試験方法の嵩比重測定方法により、ポ
リアクリロニトリル系重合体粉体の嵩比重を測定した。
【0038】[細孔分布平均の速度]CARLO ER
BA INSTRUMENTS社製POROSIMET
ER4000型を使用し、水銀圧入式ポロシメーター法
で圧力変化に伴う水銀圧入量の変化により重合体粒子の
細孔分布を測定し、その平均を求めた。
【0039】[重合体粒子の断面の観察]調製した実施
例重合体粒子試料を、ポリウレタン樹脂中に包埋して硬
化させ、鋭利な刃物によりポリアクリロニトリル系重合
体粒子を包埋しているポリウレタン樹脂を切断した。切
断面に出現する重合体粒子の断面部分を露出するため
に、ポリウレタン樹脂をヤマト科学製プラズマリアクタ
ーPR−31型によりプラズマ出力電圧100W、反射
出力5W、酸素供給量100ml/分で処理時間1〜3
00秒の間で、重合体断面が破砕されないように処理厚
みを調製しプラズマエッチング処理で削り出した。次
に、試料表面に金蒸着を施した後、日本電子製JSM−
T20型走査型電子顕微鏡により、露出した重合体粒子
断面を拡大して観察した。図1、図2の代用写真に見ら
れるように全体が細孔分布平均200nm以上の多孔質
状の断面を有していた。
【0040】[重合体粒子個数による溶解進行時間と溶
解進行率の測定]−5℃に冷却したジメチルアセトアミ
ド溶剤に固形分18%で均一に分散したポリアクリロニ
トリル系重合体粒子分散液をスライドグラスに挟み、L
INKAM社製ホットステージにより10℃/分で昇温
しながら、位相差顕微鏡像によって200倍の視野内の
重合体粒子個数を計測した。溶解前の粒子個数をn
(0)個、溶解昇温中t℃のときの粒子個数をn(t)
個として、溶解進行率を次の式により算出した。また、
溶解進行率0%(溶解開始)から100%(溶解終了)
までに要する時間を溶解進行時間(分)とした。
【0041】
【数1】溶解進行率(%)=(1−n(t)/n
(0))×100
【0042】[紡糸原液の重合体分散粘度]得られた重
合体の固形分18%(ただし第二発明の場合は20%)
の溶剤スラリーの重合体分散性について、0℃における
溶解前の溶剤分散スラリー粘度(分散20分後)をB型
粘度計で評価した。
【0043】[X線回折測定]重合体粉体粒子試料のX
線回折強度を測定した。 測定装置:(株)リガク製RU−200(CuKα線:
Niフィルター使用) 管電圧/管電流:40kV/190mA スキャン速
度:4°/min.2θ=17度付近の回折ピークの高
さから簡易的に結晶化指数(h2/h1)を求めた(h
1:ベースラインからピーク頂点までの高さ、h2:ピ
ーク底辺からピーク頂点までの高さ)。
【0044】[実施例1]容量80リットルのステンレ
ス製でグラスライニングしたタービン撹拌翼付き重合釜
に、脱イオン交換水65.5リットル、表1に示した組
成比の単量体14.5kgをあらかじめ仕込み、水/単
量体=4(w/w)、単量体100重量部に対してレド
ックス重合開始剤過硫酸アンモニウム1.0重量部、亜
硫酸水素アンモニウム7.0重量部、硫酸第一鉄(Fe
2 SO4 ・7H2 O)0.0005重量部、硫酸0.7
重量部をそれぞれ脱イオン交換水に溶解し、連続的に供
給した。反応液のpHが3.0になるように硫酸供給量
で調節し、重合反応液温度を60℃に保ち、十分な撹拌
を行い、平均滞在時間80分になるように、重合釜反応
溢流口より連続的に重合体水系分散液(重合スラリー)
を取り出した。
【0045】重合スラリーには、シュウ酸ナトリウム
0.5重量部、重炭酸ナトリウム1.5重量部を100
重量部の脱イオン交換水に溶解した重合停止剤水溶液
を、重合スラリーのpHが5.5〜6.0になるように
加えた。調製した重合体水系分散液(重合スラリー)
を、オリバー型連続フィルターによって脱水処理した
後、重合体に対して10倍量の温水で再び重合スラリー
化分散した。さらに重合スラリーを再度オリバー型連続
フィルターによって脱水処理し、ペレット成形して乾燥
後、ハンマーミルで粉砕した。得られた重合体粒子の嵩
比重は0.30g/cm3 以下、細孔分布平均が200
nm以上であった。
【0046】[実施例2〜7]表1に示したように水/
単量体比=X、レドックス触媒重量比=Y、重合釜内p
H=Zを、2.5≦X≦10、Y≦2X、2.5≦Y≦
10、1.5≦Z≦3.5の範囲内で条件変更したほか
は実施例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体
粒子を得た。結果を実施例1によるものも含め一括して
表1に示した。何れも嵩比重が0.30g/cm3
下、細孔分布平均が200nm以上であった。
【0047】
【表1】
【0048】[比較例1〜9]表2に示したように水/
単量体比=X、レドックス触媒重量比=Y、重合釜内p
H=Zを、2.5≦X≦10、Y≦2X、2.5≦Y≦
10、1.5≦Z≦3.5の範囲外に変更したほかは実
施例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体粒子
を得た。結果を表2に示した。嵩比重は0.30g/c
3 以上、細孔分布平均が200nm以下になった。
【0049】
【表2】
【0050】[実施例8〜11]実施例1で用いたもの
と同様の重合釜に、脱イオン交換水65.5リットル、
表3に示した組成比の単量体14.5kgをあらかじめ
仕込み、水/単量体=4(w/w)、単量体100重量
部に対してレドックス重合開始剤過硫酸アンモニウム
1.0重量部、亜硫酸水素アンモニウム3.0重量部、
硫酸第一鉄(Fe2SO4 ・7H2 O)0.0005重
量部、硫酸0.7重量部をそれぞれ脱イオン交換水に溶
解し、連続的に供給した。反応液のpHが3.0になる
ように硫酸供給量で調節し、重合反応液温度を60℃に
保ち、十分な撹拌を行い、平均滞在時間80分になるよ
うに、重合釜反応溢流口より連続的に重合体水系分散液
(重合スラリー)を取り出した。
【0051】重合スラリーには、シュウ酸ナトリウム
0.5重量部、重炭酸ナトリウム1.5重量部を100
重量部の脱イオン交換水に溶解した重合停止剤水溶液
を、重合スラリーのpHが5.5〜6.0になるように
加えた。調製した重合体水系分散液(重合スラリー)
を、オリバー型連続フィルターによって脱水処理した
後、重合体に対して10倍量の温水で再び重合スラリー
化分散した。さらに撹拌タンク内で表3に示した加熱洗
浄処理を施した。そのスラリーを再度オリバー型連続フ
ィルターによって脱水処理し、ペレット成形して乾燥
後、ハンマーミルで粉砕して重合体粒子を得た。結果を
表3に示した。加熱洗浄処理条件が85℃で、かつ滞在
時間が5分であるアクリロニトリル組成95重量%以上
の各共重合体粒子の溶解進行時間は1.5分以下であっ
た。
【0052】[比較例10〜15]表3に示した組成比
割合及び重合条件で実施例8〜11と同様に操作し、表
3に示した条件で加熱洗浄処理を施した。得られた結果
を実施例8〜11とともに一括して表3に示した。加熱
洗浄処理条件が85℃で、かつ滞在時間が5分であるア
クリロニトリル組成95重量%未満の各共重合体粒子の
溶解進行時間は1.5分以上であった。
【0053】
【表3】
【0054】[比較例16〜22]実施例1で用いたも
のと同様の重合釜に、脱イオン交換水65.5リット
ル、表4に示した組成比の単量体14.5kgをあらか
じめ仕込み、水/単量体=4(w/w)、単量体100
重量部に対してレドックス重合開始剤過硫酸アンモニウ
ム1.0重量部、亜硫酸水素アンモニウム3.0重量
部、硫酸第一鉄(Fe2SO4 ・7H2 O)0.000
5重量部、硫酸0.7重量部をそれぞれ脱イオン交換水
に溶解し、連続的に供給した。反応液のpHが3.0に
なるように硫酸供給量で調節し、重合反応液温度を60
℃に保ち、十分な撹拌を行い、平均滞在時間80分にな
るように、重合釜反応溢流口より連続的に重合体水系分
散液(重合スラリー)を取り出した。
【0055】重合スラリーには、シュウ酸ナトリウム
0.5重量部、重炭酸ナトリウム1.5重量部を100
重量部の脱イオン交換水に溶解した重合停止剤水溶液
を、重合スラリーのpHが5.5〜6.0になるように
加えた。調製した重合体水系分散液(重合スラリー)
を、オリバー型連続フィルターによって脱水処理した
後、重合体に対して10倍量の温水で再び重合スラリー
化分散した。さらに撹拌タンク内で表4の加熱洗浄処理
を施した。そのスラリーを再度オリバー型連続フィルタ
ーによって脱水処理し、ペレット成形して乾燥後、ハン
マーミルで粉砕した。結果を表4に示した。加熱洗浄処
理条件が85℃未満で、かつ滞在時間が5分以下である
アクリロニトリル組成95重量%以下の各共重合体粒子
の溶解進行時間が1.5分以上であった。
【0056】
【表4】
【0057】[実施例12〜15]実施例1で用いたも
のと同様の重合釜に、脱イオン交換水65.5リット
ル、表5に示したようにアクリロニトリル単量体14.
5kgをあらかじめ仕込み、水/単量体=4(w/
w)、単量体100重量部に対してレドックス重合開始
剤過硫酸アンモニウム1.0重量部、亜硫酸水素アンモ
ニウム3.0重量部、硫酸第一鉄(Fe2 SO4 ・7H
2 O)0.0005重量部、硫酸0.7重量部をそれぞ
れ脱イオン交換水に溶解し連続的に供給した。反応液の
pHが3.0になるように硫酸供給量で調節し、重合反
応液温度を60℃に保ち、十分な撹拌を行い、平均滞在
時間80分になるように、重合釜反応溢流口より連続的
に重合体水系分散液(重合スラリー)を取り出した。
【0058】重合スラリーには、シュウ酸ナトリウム
0.5重量部、重炭酸ナトリウム1.5重量部を100
重量部の脱イオン交換水に溶解した重合停止剤水溶液
を、重合スラリーのpHが5.5〜6.0になるように
加えた。調製した重合体水系分散液(重合スラリー)
を、オリバー型連続フィルターによって脱水処理した
後、重合体に対して10倍量の温水で再び重合スラリー
化分散した。さらに撹拌タンク内で表に示した加熱洗浄
処理を施した。そのスラリーを再度オリバー型連続フィ
ルターによって脱水処理し、ペレット成形して乾燥後、
ハンマーミルで粉砕した。結果を表5に示した。加熱洗
浄処理条件が85℃以上で、かつ滞在時間が5分以上で
あるアクリロニトリル組成100重量%の各重合体粒子
の溶解進行時間は1.5分以下であった。
【0059】[比較例23〜27]実施例1で用いたも
のと同様の重合釜に、脱イオン交換水65.5リット
ル、表5に示した組成比の単量体14.5kgをあらか
じめ仕込み、水/単量体=4(w/w)、単量体100
重量部に対してレドックス重合開始剤過硫酸アンモニウ
ム1.0重量部、亜硫酸水素アンモニウム3.0重量
部、硫酸第一鉄(Fe2SO4 ・7H2 O)0.000
5重量部、硫酸0.7重量部をそれぞれ脱イオン交換水
に溶解し、連続的に供給した。反応液のpHが3.0に
なるように硫酸供給量で調節し、重合反応液温度を60
℃に保ち、十分な撹拌を行い、平均滞在時間80分にな
るように、重合釜反応溢流口より連続的に重合体水系分
散液(重合スラリー)を取り出した。
【0060】重合スラリーには、シュウ酸ナトリウム
0.5重量部、重炭酸ナトリウム1.5重量部を100
重量部の脱イオン交換水に溶解した重合停止剤水溶液
を、重合スラリーのpHが5.5〜6.0になるように
加えた。調製した重合体水系分散液(重合スラリー)
を、オリバー型連続フィルターによって脱水処理した
後、重合体に対して10倍量の温水で再び重合スラリー
化分散した。さらに撹拌タンク内部で表5の加熱洗浄処
理を施した。そのスラリーを再度オリバー型連続フィル
ターによって脱水処理し、ペレット成形して乾燥後、ハ
ンマーミルで粉砕した。結果を一括して表5に示した。
加熱洗浄処理条件が85℃未満で、かつ滞在時間が5分
以下であるアクリロニトリル組成95重量%以上の各重
合体粒子の溶解進行時間が1.5分以上であった。
【0061】図3に、重合体粒子形状と加熱洗浄処理条
件の相違による溶解進行率をグラフで示した。多孔質状
で85℃、5分間加熱洗浄処理の実施例12の溶解進行
率のグラフであるが、比較例23,26,27に比べて
溶解進行率の上昇の傾きが垂直に近く、そのために溶解
終了温度が低くなった。
【0062】
【表5】
【0063】表5から明らかなように、85℃で5分間
重合体粒子を加熱洗浄処理することにより、表5に示す
ように回折強度すなわち結晶化指数が0.78以上に高
くなることから、重合体粒子の結晶化が進行したと推定
された。しかし、80℃で5分間、及び85℃で3分間
では結晶化指数が0.78以下であり、結晶化が十分に
進行しなかったと推定された。
【0064】また、表3〜5から明らかなように、85
℃以上、かつ、5分以上の加熱洗浄処理したことによっ
て、溶剤分散スラリー粘度が50c.p.以下になっ
た。しかし、85℃未満で5分以下の加熱洗浄処理で
は、溶剤分散スラリー粘度が50c.p.よりも高くな
って分散性が低下した。
【0065】[実施例16]実施例1で用いたものと同
様の重合釜に、脱イオン交換水48.0リットル、表6
に示した組成比の単量体12.0kgをあらかじめ仕込
み、水/単量体=1.5(w/w)、単量体100重量
部に対してレドックス重合開始剤過硫酸アンモニウム
1.0重量部、亜硫酸水素ナトリウム1.0重量部、硫
酸第一鉄(Fe2 SO4 ・7H2 O)0.0005重量
部、硫酸0.7重量部をそれぞれ脱イオン交換水に溶解
し、連続的に供給した。反応液のpHが3.0になるよ
うに硫酸供給量で調節し、重合反応液温度を60℃に保
ち、十分な撹拌を行い、平均滞在時間80分になるよう
に、重合釜反応溢流口より連続的に重合体水系分散液
(重合スラリー)を取り出した。
【0066】重合スラリーには、シュウ酸ナトリウム
0.5重量部、重炭酸ナトリウム1.5重量部を100
重量部の脱イオン交換水に溶解した重合停止剤水溶液
を、重合スラリーのpHが5.5〜6.0になるように
加えた。調製した重合体水系分散液(重合スラリー)
を、オリバー型連続フィルターによって脱水処理した
後、重合体に対して10倍量の温水で再び重合スラリー
化分散した。そのスラリーを再度オリバー型連続フィル
ターによって脱水処理し、ペレット成形して乾燥後、ハ
ンマーミルで粉砕した。その結果重合体粒子は表6に示
したように、嵩比重は0.15g/cm3 以上、細孔分
布平均が200nm以下になった。
【0067】[実施例17〜21]表6に示したように
水/単量体比=X、レドックス触媒重量比=Y、重合釜
内pH=Zを1.5≦X≦10、1.0≦Y≦5.0、
1.5≦Z≦3.5の範囲内で条件変更したほかは実施
例16と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体粒子
を得た。その結果を実施例16も含め一括して表6に示
した。表6から明らかなように各例とも嵩比重は0.1
5g/cm3 以上になり、細孔分布平均が200nm以
下になった。
【0068】
【表6】
【0069】[比較例28〜35]表7に示したように
水/単量体比=X、レドックス触媒重量比=Y、重合釜
内pH=Zを1.5≦X≦10、1.0≦Y≦5.0、
1.5≦Z≦3.5の範囲外で条件変更したほかは実施
例16と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体粒子
を得た。表7に示したように何れも嵩比重が0.15g
/cm3 以下になり、細孔分布平均が200nm以上に
なった。
【0070】
【表7】
【0071】[実施例22〜25]実施例1で用いたも
のと同様の重合釜に、脱イオン交換水66.7リット
ル、表8に示した組成比の単量体13.3kgをあらか
じめ仕込み、水/単量体=5(w/w)、単量体100
重量部に対してレドックス重合開始剤過硫酸アンモニウ
ム1.0重量部、亜硫酸水素ナトリウム1.0重量部、
硫酸第一鉄(Fe2 SO4 ・7H2 O)0.0005重
量部、硫酸0.7重量部をそれぞれ脱イオン交換水に溶
解し、連続的に供給した。反応液のpHが3.0になる
ように硫酸供給量で調節し、重合反応液温度を60℃に
保ち、十分な撹拌を行い、平均滞在時間80分になるよ
うに、重合釜反応溢流口より連続的に重合体水系分散液
(重合スラリー)を取り出した。
【0072】重合スラリーには、シュウ酸ナトリウム
0.5重量部、重炭酸ナトリウム1.5重量部を100
重量部の脱イオン交換水に溶解した重合停止剤水溶液
を、重合スラリーのpHが5.5〜6.0になるように
加えた。調製した重合体水系分散液(重合スラリー)
を、オリバー型連続フィルターによって脱水処理した
後、重合体に対して10倍量の温水で再び重合スラリー
化分散した。さらに撹拌タンク内で表8の加熱洗浄処理
を施した。そのスラリーを再度オリバー型連続フィルタ
ーによって脱水処理し、ペレット成形して乾燥後、ハン
マーミルで粉砕して重合体粒子を得た。結果を表8に示
した。加熱洗浄処理条件が85℃以上で、かつ滞在時間
が5分以上であるアクリロニトリル組成95重量%以下
の各重合体粒子の溶解進行時間は2分以上4分以下であ
った。
【0073】[比較例36〜38]実施例22と同様に
して重合スラリーを調製し、表8に示した加熱洗浄処理
を施し、重合体粒子を得た。結果を一括して表8に示し
た。加熱洗浄処理条件が85℃未満で、かつ滞在時間が
5分以下であるアクリロニトリル組成95重量%以下の
各共重合体粒子の溶解進行時間は4分よりも長くかかっ
た。
【0074】
【表8】
【0075】[実施例26〜28]実施例22と同様な
条件で表9に示した共重合組成比の重合体を調製し、8
5℃で5分間の加熱洗浄処理を施した。結果を表9に示
した。アクリロニトリル組成95重量%以下の各重合体
粒子の溶解進行時間は2分以上4分以下であった。
【0076】[比較例41〜44]実施例22と同様な
条件で表9に示した共重合組成比の重合体を調製し、8
5℃で5分間の加熱洗浄処理を施した。結果を一括して
表9に示した。アクリロニトリル組成95重量%より大
きい各重合体粒子の溶解進行時間は4分よりも長くなっ
た。
【0077】
【表9】
【0078】図4に、重合体粒子の嵩比重または細孔分
布平均と加熱洗浄処理条件の相違による溶解進行率をグ
ラフで示した。85℃、5分間加熱洗浄処理の実施例2
2とこれと加熱洗浄条件の異なる比較例37,40及び
嵩比重と細孔分布平均の異なる比較例39の溶解進行率
のグラフである。
【0079】[比較例47〜54]実施例22と同様な
条件で表10に示した共重合組成比の重合体を調製し、
80℃で5分間の加熱洗浄処理を施した。結果を表10
に示した。アクリロニトリル組成95重量%以下及び9
5重量%より大きい各重合体粒子の溶解進行時間は4分
よりも長くなった。
【0080】
【表10】
【0081】[比較例39,40,45,46]比較例
39,40は表8に、同45,46は表9に示したよう
に水/単量体比=X、レドックス触媒重量比=Y、重合
釜内pH=Zを1.5≦X≦10、1.0≦Y≦5.
0、1.5≦Z≦3.5の範囲外で条件変更し、実施例
22と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体を得
た。結果を比較例39,40は表8に、比較例45,4
6は表9に示した。85℃で5分間及び80℃で5分間
の加熱洗浄処理を施したが、各組成比の各重合体粒子の
溶解進行時間は何れも4分よりも長くなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の発明になるポリアクリロニトリル系重合
体粒子の断面拡大写真である。
【図2】第二の発明になるポリアクリロニトリル系重合
体粒子の断面拡大写真である。
【図3】重合体粒子形状と加熱洗浄処理条件による溶解
進行率のグラフである。
【図4】重合体粒子の嵩比重と加熱洗浄処理条件による
溶解進行のグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細川 宏 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリル共重合組成95重量%
    以上、比粘度ηsp=0.1〜1.5、重合体粉体嵩比重
    が0.30g/cm3 以下、200nm以上の細孔分布
    平均、X線回折測定による結晶化指数が0.78以上、
    ジメチルアセトアミド中18重量%分散液を0℃から溶
    解終了温度まで昇温速度10℃/分で溶解する条件にお
    いて、溶解進行時間が1.5分以下であることを特徴と
    する溶解性に優れたポリアクリロニトリル系重合体粒
    子。
  2. 【請求項2】 0℃のジメチルアセトアミド18重量%
    分散液の粘度が、分散20分後に50センチポイズ以下
    であることを特徴とする請求項1のポリアクリロニトリ
    ル系重合体粒子。
  3. 【請求項3】 アクリロニトリル共重合組成95重量%
    未満、比粘度ηsp=0.1〜1.5、重合体粉体嵩比重
    が0.15g/cm3 以上、200nm以下の細孔分布
    平均、X線回折測定による結晶化指数が0.78以上、
    ジメチルアセトアミド中20重量%分散液を0℃から溶
    解終了温度まで昇温速度10℃/分で溶解する条件にお
    いて、溶解進行時間が2分以上4分以下であることを特
    徴とする溶解性に優れたポリアクリロニトリル系重合体
    粒子。
  4. 【請求項4】 0℃のジメチルアセトアミド20重量%
    分散液の粘度が、分散20分後に50センチポイズ以下
    であることを特徴とする請求項3のポリアクリロニトリ
    ル系重合体粒子。
  5. 【請求項5】 レドックス水系懸濁重合において、水/
    モノマー比=X、レドックス触媒比=Y、重合釜内pH
    =Zの条件が、2.5≦X≦10、Y≦2X、2.5≦
    Y≦10、1.5≦Z≦3.5の範囲内にある特許請求
    項1のポリアクリロニトリル系重合体粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 レドックス水系懸濁重合において、水/
    モノマー比=X、レドックス触媒比=Y、重合釜内pH
    =Zの条件が、1.5≦X≦10、1≦Y≦10、1.
    5≦Z≦3.5の範囲内にある特許請求項3のポリアク
    リロニトリル系重合体粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 重合体粒子の水系分散スラリーを85℃
    以上で5分間以上加熱洗浄処理することを特徴とする請
    求項5又は6のポリアクリロニトリル系重合体粒子の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 ポリアクリロニトリル系重合体粒子の溶
    剤分散液を用い、昇温ステージ付き位相差顕微鏡によ
    り、一定昇温速度条件の溶解進行時間を測定することを
    特徴とするポリアクリロニトリル系重合体粒子の溶解性
    評価方法。
  9. 【請求項9】 ポリアクリロニトリル系合体粒子を樹脂
    で包埋して切断した後、切断面をイオンプラズマエッチ
    ング処理して包埋樹脂をエッチングし、重合体粒子断面
    を走査型電子顕微鏡を用いて観察することを特徴とする
    ポリアクリロニトリル系重合体粒子の評価方法。
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