JPH1113847A - Ｖベルト式無段変速機構 - Google Patents

Ｖベルト式無段変速機構

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JPH1113847A
JPH1113847A JP9174903A JP17490397A JPH1113847A JP H1113847 A JPH1113847 A JP H1113847A JP 9174903 A JP9174903 A JP 9174903A JP 17490397 A JP17490397 A JP 17490397A JP H1113847 A JPH1113847 A JP H1113847A
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primary pulley
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Ｖベルト及びプライマリプーリ間にスベリが発
生しても耐久性を保持し、製作コストの低減化を図るこ
とができるＶベルト式無段変速機構を提供する。 【解決手段】入力軸２４上に配設したプライマリプーリ
２６と、出力軸３２上に配設したセカンダリプーリ３４
と、プライマリプーリ及びセカンダリプーリ間に、変速
比の変化とともにベルト有効半径が変化して巻き付いく
無端状のＶベルト３とを備えた装置である。プライマリ
プーリは、互いに対向するシーブ面２６ａ 1 、２６ｂ1
によりＶ字溝２６ｄを形成している。また、セカンダリ
プーリは、互いに対向するシーブ面３４ａ1 、３４ｂ1
によりＶ字溝３４ｄを形成している。そして、無端状の
ベルト３ａに多数のコマ３ｂを列状に取り付けたＶベル
トを、前記Ｖ字溝２６ｄ、３４ｄに係合している。そし
て、プライマリプーリのシーブ面を滑らかな表面あらさ
となるように形成した。また、セカンダリプーリのシー
ブ面を、粗い表面あらさとなるように形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、Ｖベルト式無段
変速機構に関する。
【０００２】
【従来の技術】Ｖベルト式無段変速機構は、図２に示す
ように、入力軸側に配設したプライマリプーリ１と、出
力軸側に配設したセカンダリプーリ２と、これらプライ
マリプーリ１及びセカンダリプーリ２間に巻き付いてい
るＶベルト３とを備えている。
【０００３】また、プライマリプーリ１及びセカンダリ
プーリ２は、図３に示すように、シーブ面（傾斜面）５
ａを形成して回転軸（入力軸又は出力軸）６上に固着し
ている固定プーリ５と、回転軸６の軸線方向に移動可能
に配設され、固定プーリ５のシーブ面５ａと対向するシ
ーブ面（傾斜面）７ａとでＶ字溝８を形成している可動
プーリ７とを備えている。ここで、固定プーリ５のシー
ブ面５ａ及び可動プーリ７のシーブ面７ａは、プライマ
リプーリ１、セカンダリプーリ２の両者とも同一の表面
あらさで形成している。
【０００４】また、前記Ｖベルト３は、図２に示すよう
に、無端状としたスチール製のベルト３ａに、薄板形状
としたスチール製のコマ３ｂを列状に多数取り付けた構
造であり、プライマリプーリ１のＶ字溝８及びセカンダ
リプーリ２のＶ字溝８にコマ３ｂが係合し、コマ３ｂが
押し合う押圧力によってプライマリプーリ１側からセカ
ンダリプーリ２側に動力が伝達されるようになってい
る。
【０００５】そして、変速比が大きいときには、図２の
（Ａ）に示すように、プライマリプーリ１のＶ字溝８の
幅が拡大してＶベルト３を巻き付ける有効半径（以下、
ベルト有効半径と称する。）が小さくなり、セカンダリ
プーリ２のＶ字溝８の幅が狭くなってベルト有効半径が
大きくなる。また、変速比が小さいときには、図２の
（Ｂ）に示すように、プライマリプーリ１のＶ字溝８の
幅が狭くなってベルト有効半径が大きくなり、セカンダ
リプーリ２のＶ字溝８の幅が拡大してベルト有効半径が
小さくなる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば低車
速領域からアクセルペダルを大きく踏み込んで車両を急
激に加速する場合、変速比が大きい状態に変化したＶベ
ルト式無段変速機構は、プライマリプーリ１は高速で回
転し、セカンダリプーリ１は車体のイナーシャ（車体を
停止させようとする慣性）が作用して低速で回転するの
で、プライマリプーリ１のＶ字溝８に係合しているコマ
３ｂがベルト３ａに沿ってセカンダリプーリ１側に移動
してセカンダリプーリ１のＶ字溝８に挟み込まれている
コマ３ｂを押圧していくとき、プライマリプーリ１側か
ら移動したコマ３ｂがセカンダリプーリ２側で詰まって
いく。このため、セカンダリプーリ１側へ移動できずに
プライマリプーリ１のＶ字溝８で係合しているコマ３ｂ
と、プライマリプーリ１側のシーブ面５ａ、７ａとの間
に相対的なスベリが発生しやすい。
【０００７】ここで、前述したように、固定プーリ５の
シーブ面５ａ及び可動プーリ７のシーブ面７ａは、プラ
イマリプーリ１、セカンダリプーリ２の両者とも同一の
表面あらさで形成しているが、プライマリプーリ１、セ
カンダリプーリ２のシーブ面５ａ、７ａを粗い表面あら
さで形成すると、上述したようにプライマリプーリ１側
でコマ３ｂ及びシーブ面５ａ、７ａとの相対的なスベリ
が発生すると、プライマリプーリ１のシーブ面５ａ、７
ａに摩耗、剥離等の損傷が生じやすく、プライマリプー
リ１の耐久性の面で問題がある。
【０００８】逆に、プライマリプーリ１、セカンダリプ
ーリ２のシーブ面５ａ、７ａを滑らかな表面あらさで形
成する場合も考えられるが、セカンダリプーリ２側では
コマ３ｂ及びシーブ面５ａ、７ａとの相対的なスベリが
発生しないので、無意味な加工を施すことになる。ま
た、通常、砥石を使用した研削加工によってシーブ面５
ａ、７ｂを成形しているが、プライマリプーリ１、セカ
ンダリプーリ２の両者に対して研削加工を行うと、砥石
の寿命が低下しやすく、製作コストの面でも問題があ
る。
【０００９】そこで、この発明は上記従来技術の未解決
の課題に着目してなされたものであり、Ｖベルト及びプ
ライマリプーリ間にスベリが発生しても耐久性を保持す
ることができるとともに、製作コストの低減化を図るこ
とができるＶベルト式無段変速機構を提供することを目
的としている。
【００１０】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本発明は、入力軸上に配設したプライマリプーリ
と、出力軸上に配設したセカンダリプーリと、これらプ
ライマリプーリ及びセカンダリプーリ間に、変速比の変
化とともにベルト有効半径が変化しながら巻き付いてい
る無端状のＶベルトとを備え、前記プライマリプーリ及
びセカンダリプーリは、前記入力軸又は前記出力軸に固
定されてそれらの軸線と交叉する方向にシーブ面を形成
した固定プーリと、前記軸線方向に移動可能に配置され
て前記固定プーリのシーブ面と対向するシーブ面を形成
した可動プーリと、前記固定プーリ及び可動プーリの互
いに対向するシーブ面により形成されて前記可動プーリ
の移動により幅が変化するＶ字溝とを備え、前記Ｖベル
トは、無端状のスチール製のベルトに多数のスチール製
のコマを列状に取り付けてなり、前記コマが前記Ｖ字溝
に係合するようにしたＶベルト無段変速機構において、
前記プライマリプーリの固定プーリ及び可動プーリのシ
ーブ面を、滑らかな表面あらさとなるように形成すると
ともに、前記セカンダリプーリの固定プーリ及び可動プ
ーリのシーブ面を、粗さの上限値を大きく設定した所定
範囲内の表面あらさとなるように形成した。
【００１１】
【発明の効果】低車速領域からアクセルペダルを大きく
踏み込んで車両を急激に加速する場合、プライマリプー
リは高速で回転し、セカンダリプーリは車体のイナーシ
ャ（車体を停止させようとする慣性）が作用して低速で
回転するので、プライマリプーリ側から移動したコマが
セカンダリプーリ側で詰まっていき、プライマリプーリ
のＶ字溝で係合しているコマと、プライマリプーリのシ
ーブ面との間に相対的なスベリが発生しやすい。
【００１２】ところが、本発明は、プライマリプーリの
シーブ面を滑らかな表面あらさとなるように形成してお
り、スベリが発生してもコマとの摩擦係数が小さくな
る。したがって、プライマリプーリのシーブ面の摩耗、
剥離等の損傷が生じるおそれがなく、プライマリプーリ
の耐久性を向上させることができる。
【００１３】また、セカンダリプーリのシーブ面はコマ
との間にスベリが発生しないので、そのスーブ面を、粗
い表面あらさ、或いは滑らかな表面あらさで形成しても
何等問題がない。したがって、本発明のように、セカン
ダリプーリのシーブ面を、粗さの上限値を大きく設定し
た所定範囲内の表面あらさとなるように形成しているの
で、セカンダリプーリのシーブ面の表面あらさの度合い
を高精度に管理しなくて済む。また、プライマリプーリ
のシーブ面及びセカンダリプーリのシーブ面を、砥石を
使用した研削加工により形成する場合に、セカンダリプ
ーリのシーブ面を粗い表面あらさに形成すると、砥石の
寿命の長期化を図ることができ、製作コストの低減化を
図ることができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。なお、図２及び図３で示した
構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を
省略する。
【００１５】図１は、トランスアクスルに内蔵されてい
るＶベルト式無段変速機構を示すものである。このＶベ
ルト式無段変速機構は、ベアリング２０、２２に回転自
在に支持された入力軸２４と、入力軸２４上に配設した
プライマリプーリ２６と、ベアリング２８、３０に回転
自在に支持されて入力軸２４と平行に延在する出力軸３
２と、出力軸３２上に配設したセカンダリプーリ３４
と、プライマリプーリ２６及びセカンダリプーリ３４に
巻き付けた無端状のＶベルト３とを備えた機構である。
【００１６】そして、入力軸２４には、図示しないエン
ジンからトルクコンバータ及び前後進切換え装置を介し
て回転駆動力が伝達される。また、出力軸３２に伝達さ
れた回転力は、駆動ギヤ３８、図示しないアイドラギヤ
等の伝達ギヤを介して差動装置に伝達されて所定の変速
比で左右のドライブシャフトに伝達されるようになって
いる。
【００１７】前記プライマリプーリ２６は、入力軸２４
に一体形成した固定プーリ２６ａと、入力軸２４の軸線
Ｓ1 に沿って移動可能とされた可動プーリ２６ｂと、固
定プーリ２６ａと対向しない可動プーリ２６ｂの背面側
に設けたプライマリシリンダ室２６ｃとを備えている。
そして、固定プーリ２６ａ及び可動プーリ２６ｂの互い
に対向する面をシーブ面（傾斜面）２６ａ1 、２６ｂ1
とし、これらシーブ面２６ａ1 、２６ｂ1 によってＶ字
溝２６ｄが形成されている。
【００１８】また、セカンダリプーリ３４は、出力軸３
２に一体形成した固定プーリ３４ａと、出力軸３２の軸
線Ｓ2 に沿って移動可能とされた可動プーリ３４ｂと、
固定プーリ３４ａと対向しない可動プーリ３４ｂの背面
側に設けたセカンダリシリンダ室３４ｃとを備えてい
る。そして、固定プーリ３４ａ及び可動プーリ３４ｂの
互いに対向する面はシーブ面（傾斜面）３４ａ1 、３４
ｂ1 として形成されており、これらシーブ面３４ａ1 、
３４ｂ1 によってＶ字溝３４ｄが形成されている。
【００１９】また、Ｖベルト３は、図２で示した構造と
同様に、無端状とした２本のスチール製のベルト３ａ
に、薄板形状としたスチール製のコマ３ｂを列状に多数
取り付けた構造としており、プライマリプーリ２６のＶ
字溝２６ｄに位置するコマ３ｂがシーブ面２６ａ1 、２
６ｂ1 に係合し、セカンダリプーリ３４のＶ字溝３４ｄ
に位置するコマ３ｂがシーブ面３４ａ1 、３４ｂ1 に係
合している。
【００２０】ここで、プライマリプーリ２６のシーブ面
２６ａ1 、２６ｂ1 は、滑らかな表面あらさとなるよう
に形成されている。また、セカンダリプーリ３４のシー
ブ面３４ａ1 、３４ｂ1 は、粗い表面あらさとなるよう
に形成されている。
【００２１】上記構成のＶベルト式無段変速機構を搭載
した車両が、低車速領域からアクセルペダルを大きく踏
み込んで車両を急激に加速すると、プライマリプーリ２
６は高速で回転し、セカンダリプーリ３４は車体のイナ
ーシャ（車体を停止させようとする慣性）が作用して低
速で回転する。このとき、プライマリプーリ２６のＶ字
溝２６ｄに係合しているコマ３ｂがベルト３ａに沿って
セカンダリプーリ３４側に移動してセカンダリプーリ３
４のＶ字溝３４ｄに挟み込まれているコマ３ｂを押圧し
ていくが、セカンダリプーリ３４が低速で回転している
ので、プライマリプーリ２６側から移動したコマ３ｂが
セカンダリプーリ３４側で詰まっていく。
【００２２】このため、セカンダリプーリ３４側へ移動
できずにプライマリプーリ２６のＶ字溝８で係合してい
るコマ３ｂと、プライマリプーリ２６側のシーブ面２６
ａ1ａ、２６ｂ1 との間に相対的なスベリが発生する場
合があるが、本実施形態のプライマリプーリ２６のシー
ブ面２６ａ1 、２６ｂ1 は滑らかな表面あらさとなるよ
うに形成されており、スベリが発生してもコマ３ｂとの
摩擦係数が小さくなる。したがって、プライマリプーリ
２６のシーブ面２６ａ1 、２６ｂ1 の摩耗、剥離等の損
傷が生じるおそれがなく、プライマリプーリ２６の耐久
性を向上させることができる。
【００２３】また、本実施形態では、コマ３ｂとの間に
スベリが発生しないセカンダリプーリ３４のシーブ面３
４ａ1 、３４ｂ1 を、粗い表面あらさとなるように形成
しているので、プライマリプーリ２６のシーブ面２６ａ
1 、２６ｂ1 、セカンダリプーリ３４のシーブ面３４ａ
1 、３４ｂ1 を研削加工によって成形する際に、砥石の
寿命の長期化を図ることができ、製作コストの低減化を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】トランスアクスル内に配設したＶベルト式無段
変速機構を示す図である。
【図２】従来のプライマリプーリ及びセカンダリプーリ
間のＶ字溝に係合したＶベルトを示す図である。
【図３】Ｖベルトの構成要素を示す斜視図である。
【符号の説明】
２４ 入力軸 ２６ プライマリプーリ ２６ａ 固定プーリ ２６ｂ 可動プーリ ２６ａ1 、２６ｂ1 シーブ面 ２６ｄ、３４ｄ Ｖ字溝 ３２ 出力軸 ３４ セカンダリプーリ ３４ａ 固定プーリ ３４ｂ 可動プーリ ３４ａ1 、３４ｂ1 シーブ面 ３ Ｖベルト ３ａ スチール製ベルト ３ｂ コマ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 入力軸上に配設したプライマリプーリ
    と、出力軸上に配設したセカンダリプーリと、これらプ
    ライマリプーリ及びセカンダリプーリ間に、変速比の変
    化とともにベルト有効半径が変化しながら巻き付いてい
    る無端状のＶベルトとを備え、前記プライマリプーリ及
    びセカンダリプーリは、前記入力軸又は前記出力軸に固
    定されてそれらの軸線と交叉する方向にシーブ面を形成
    した固定プーリと、前記軸線方向に移動可能に配置され
    て前記固定プーリのシーブ面と対向するシーブ面を形成
    した可動プーリと、前記固定プーリ及び可動プーリの互
    いに対向するシーブ面により形成されて前記可動プーリ
    の移動により幅が変化するＶ字溝とを備え、前記Ｖベル
    トは、無端状のスチール製のベルトに多数のスチール製
    のコマを列状に取り付けてなり、前記コマが前記Ｖ字溝
    に係合するようにしたＶベルト無段変速機構において、 前記プライマリプーリの固定プーリ及び可動プーリのシ
    ーブ面を、滑らかな表面あらさとなるように形成すると
    ともに、前記セカンダリプーリの固定プーリ及び可動プ
    ーリのシーブ面を、粗さの上限値を大きく設定した所定
    範囲内の表面あらさとなるように形成したことを特徴と
    するＶベルト式無段変速機構。
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