JPH11137723A - 反発性に優れた弾性材及びこれを用いたワンピースゴルフボール - Google Patents
反発性に優れた弾性材及びこれを用いたワンピースゴルフボールInfo
- Publication number
- JPH11137723A JPH11137723A JP9303109A JP30310997A JPH11137723A JP H11137723 A JPH11137723 A JP H11137723A JP 9303109 A JP9303109 A JP 9303109A JP 30310997 A JP30310997 A JP 30310997A JP H11137723 A JPH11137723 A JP H11137723A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diene rubber
- ionomer
- elastic material
- rubber
- vulcanizing agent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 熱射出成形ができるリサイクル可能なワンピ
ースゴルフボールであって、しかも反発性能に優れたワ
ンピースゴルフボール、及び当該ボールを提供できる弾
性材を提供する。 【解決手段】 樹脂加硫剤により動的架橋されたジエン
系ゴムがアイオノマー中に微分散されていて、且つ曲げ
弾性率が600〜3000kgf/cm2 である弾性
材、及びこれを用いて作製したワンピースゴルフボー
ル。
ースゴルフボールであって、しかも反発性能に優れたワ
ンピースゴルフボール、及び当該ボールを提供できる弾
性材を提供する。 【解決手段】 樹脂加硫剤により動的架橋されたジエン
系ゴムがアイオノマー中に微分散されていて、且つ曲げ
弾性率が600〜3000kgf/cm2 である弾性
材、及びこれを用いて作製したワンピースゴルフボー
ル。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反発性に優れた弾性
材及び当該弾性材からなるワンピースゴルフボールに関
するものであり、製造方法に優れ、且つリサイクル性に
も優れていて、しかも従来のワンピースゴルフボールと
同程度の飛行性能を有するワンピースゴルフボールに好
適な弾性材及び及び当該弾性材からなるワンピースゴル
フボールに関するものである。
材及び当該弾性材からなるワンピースゴルフボールに関
するものであり、製造方法に優れ、且つリサイクル性に
も優れていて、しかも従来のワンピースゴルフボールと
同程度の飛行性能を有するワンピースゴルフボールに好
適な弾性材及び及び当該弾性材からなるワンピースゴル
フボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ソリッ
ドゴルフボールは、ツーピースゴルフボールとワンピー
スゴルフボールとに大別されており、練習場用ゴルフボ
ールとしては、耐久性に優れていて、且つ安価なワンピ
ースゴルフボールが、主として使用されている。
ドゴルフボールは、ツーピースゴルフボールとワンピー
スゴルフボールとに大別されており、練習場用ゴルフボ
ールとしては、耐久性に優れていて、且つ安価なワンピ
ースゴルフボールが、主として使用されている。
【0003】ここでワンピースゴルフボールは、ブタジ
エンゴムを加硫成形して作製されている。加硫成形は熱
可塑性樹脂の成形に比べて時間がかかるため、コストダ
ウン、生産性アップの弊害となっている。また、使用後
のボールは焼却などの廃棄処分に付するしかなく、ゴミ
減量問題と合わせてリサイクル可能なゴルフボールが要
望されている。
エンゴムを加硫成形して作製されている。加硫成形は熱
可塑性樹脂の成形に比べて時間がかかるため、コストダ
ウン、生産性アップの弊害となっている。また、使用後
のボールは焼却などの廃棄処分に付するしかなく、ゴミ
減量問題と合わせてリサイクル可能なゴルフボールが要
望されている。
【0004】リサイクル可能なゴルフボールとして、熱
可塑性エラストマー、特に反発性能に優れたアイオノマ
ーを射出成形したワンピースゴルフボールが考えられ
る。しかし、全体を硬いアイオノマーで作製したワンピ
ースゴルフボールは、打球感が硬くなりすぎる。一方、
適度な打球感を有する程度の硬さに成形した場合、ツー
ピースボールや糸巻きゴルフボールのように外皮がガー
ドされていないので、打撃による歪み量が大きく、しか
も復元力がないので打撃スポットがへこむ等の問題があ
った。
可塑性エラストマー、特に反発性能に優れたアイオノマ
ーを射出成形したワンピースゴルフボールが考えられ
る。しかし、全体を硬いアイオノマーで作製したワンピ
ースゴルフボールは、打球感が硬くなりすぎる。一方、
適度な打球感を有する程度の硬さに成形した場合、ツー
ピースボールや糸巻きゴルフボールのように外皮がガー
ドされていないので、打撃による歪み量が大きく、しか
も復元力がないので打撃スポットがへこむ等の問題があ
った。
【0005】射出成形可能で、且つ架橋ゴムが有する復
元力をできる限り持たせるとともに打球感も改善したゴ
ルフボール材料として、熱可塑性樹脂にゴムをブレンド
した組成物が考えられる。例えば、特開平8―1136
79号公報に、動的架橋をしたジエン系ゴム(以下、
「架橋ジエン系ゴム」という)粒子を、熱可塑性樹脂中
に分散させたエラストマー組成物が開示されている。こ
のエラストマー組成物は、ゴム弾性を有する架橋ジエン
系ゴム粒子が復元力を発揮するとともに、架橋ジエン系
ゴム粒子が熱可塑性樹脂中に微分散されているので、射
出成形可能であり、しかも加熱溶融を繰返しても物性の
低下がほとんどないので、リサイクル可能である。さら
に、このエラストマー組成物を用いるならば、射出成形
によりゴルフボールを製造でき、また製造されたゴルフ
ボールは復元力があるので打撃スポットがへこんだりす
ることがなく、使用寿命が長くなる。
元力をできる限り持たせるとともに打球感も改善したゴ
ルフボール材料として、熱可塑性樹脂にゴムをブレンド
した組成物が考えられる。例えば、特開平8―1136
79号公報に、動的架橋をしたジエン系ゴム(以下、
「架橋ジエン系ゴム」という)粒子を、熱可塑性樹脂中
に分散させたエラストマー組成物が開示されている。こ
のエラストマー組成物は、ゴム弾性を有する架橋ジエン
系ゴム粒子が復元力を発揮するとともに、架橋ジエン系
ゴム粒子が熱可塑性樹脂中に微分散されているので、射
出成形可能であり、しかも加熱溶融を繰返しても物性の
低下がほとんどないので、リサイクル可能である。さら
に、このエラストマー組成物を用いるならば、射出成形
によりゴルフボールを製造でき、また製造されたゴルフ
ボールは復元力があるので打撃スポットがへこんだりす
ることがなく、使用寿命が長くなる。
【0006】ここで、特開平8―113679号公報に
記載のエラストマー組成物は、熱可塑性樹脂として反発
性に優れたアイオノマーが例示され、架橋剤としては、
硫黄、オキシム系加硫剤が例示されている。しかし、ア
イオノマー及びジエン系ゴムを含有する系に、架橋剤と
して硫黄(必要により加硫促進剤を添加)又はオキシム
系架橋剤を配合して、ジエン系ゴムを動的架橋させたエ
ラストマー組成物を用いて製造したゴルフボールは、反
発性が劣り、満足できるレベルではない。
記載のエラストマー組成物は、熱可塑性樹脂として反発
性に優れたアイオノマーが例示され、架橋剤としては、
硫黄、オキシム系加硫剤が例示されている。しかし、ア
イオノマー及びジエン系ゴムを含有する系に、架橋剤と
して硫黄(必要により加硫促進剤を添加)又はオキシム
系架橋剤を配合して、ジエン系ゴムを動的架橋させたエ
ラストマー組成物を用いて製造したゴルフボールは、反
発性が劣り、満足できるレベルではない。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、熱射出成形がで
きるリサイクル可能なワンピースゴルフボールであっ
て、しかも反発性能に優れたワンピースゴルフボール、
及び当該ワンピースゴルフボールを提供できる弾性材を
提供することにある。
ものであり、その目的とするところは、熱射出成形がで
きるリサイクル可能なワンピースゴルフボールであっ
て、しかも反発性能に優れたワンピースゴルフボール、
及び当該ワンピースゴルフボールを提供できる弾性材を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ジエン系
ゴムの動的架橋に用いられる硫黄等の加硫剤がアイオノ
マーのイオンクラスターを破壊しているために、アイオ
ノマーが本来有する曲げ弾性率を低下せしめ、このこと
が反発性向上の支障となっているのではないかと考え、
種々の架橋剤について検討したところ、樹脂加硫剤を用
いた場合には、他の加硫剤を用いた場合よりも反発性が
優れていることを見い出し、本発明を完成した。
ゴムの動的架橋に用いられる硫黄等の加硫剤がアイオノ
マーのイオンクラスターを破壊しているために、アイオ
ノマーが本来有する曲げ弾性率を低下せしめ、このこと
が反発性向上の支障となっているのではないかと考え、
種々の架橋剤について検討したところ、樹脂加硫剤を用
いた場合には、他の加硫剤を用いた場合よりも反発性が
優れていることを見い出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち本発明の反発性に優れた弾性材
は、樹脂加硫剤により動的架橋されたジエン系ゴムがア
イオノマー中に微分散されていて、且つ曲げ弾性率が6
00〜3000kgf/cm2 であることを特徴とす
る。あるいは樹脂加硫剤により動的架橋されたジエン系
ゴムがアイオノマー中に微分散されていて、且つ前記ア
イオノマーとジエン系ゴムとの含有重量比(アイオノマ
ー:ジエン系ゴム)は、35:65〜95:5であるこ
とを特徴とする。
は、樹脂加硫剤により動的架橋されたジエン系ゴムがア
イオノマー中に微分散されていて、且つ曲げ弾性率が6
00〜3000kgf/cm2 であることを特徴とす
る。あるいは樹脂加硫剤により動的架橋されたジエン系
ゴムがアイオノマー中に微分散されていて、且つ前記ア
イオノマーとジエン系ゴムとの含有重量比(アイオノマ
ー:ジエン系ゴム)は、35:65〜95:5であるこ
とを特徴とする。
【0010】前記ジエン系ゴム100重量部に対して、
前記樹脂加硫剤は0.1〜20重量部含有されているこ
とが好ましい。また、アイオノマー及び該ジエン系ゴム
の双方と親和性を有する相溶化剤を含有していることが
好ましい。
前記樹脂加硫剤は0.1〜20重量部含有されているこ
とが好ましい。また、アイオノマー及び該ジエン系ゴム
の双方と親和性を有する相溶化剤を含有していることが
好ましい。
【0011】前記相溶化剤は、アイオノマーと相溶性を
有するか又は反応し得る部分を有し、且つジエン系ゴム
と相溶性を有するか又は反応し得る部分を有するもので
あり、具体的には、カルボキシル基変性ジエン系ゴム、
オキサゾリン基変性ジエン系ゴム、グリシジル基変性ジ
エン系ゴム、及びエポキシ基変性ジエン系ゴムよりなる
群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のワンピースゴルフボールは、本発明の弾性材か
らなることを特徴とする。
有するか又は反応し得る部分を有し、且つジエン系ゴム
と相溶性を有するか又は反応し得る部分を有するもので
あり、具体的には、カルボキシル基変性ジエン系ゴム、
オキサゾリン基変性ジエン系ゴム、グリシジル基変性ジ
エン系ゴム、及びエポキシ基変性ジエン系ゴムよりなる
群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のワンピースゴルフボールは、本発明の弾性材か
らなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の弾性材の実施形態につい
て、本発明の完成の経過とともに説明する。図1は、ア
イオノマーに動的架橋されたゴム粒子を分散させてなる
弾性材の曲げ弾性率と反発性との関係を示すグラフであ
る。図1において、横軸は曲げ弾性率を示し、縦軸は反
発指数を示している。
て、本発明の完成の経過とともに説明する。図1は、ア
イオノマーに動的架橋されたゴム粒子を分散させてなる
弾性材の曲げ弾性率と反発性との関係を示すグラフであ
る。図1において、横軸は曲げ弾性率を示し、縦軸は反
発指数を示している。
【0013】ここで、曲げ弾性率はJIS K7106
に基づいて測定した値であり、反発指数は、基準のゴル
フボール(アイオノマー:ジエン系ゴムの含有重量比率
を60:40とし、架橋剤として硫黄0.8重量部及び
加硫促進剤サンセラーNS(三新化学社の商品名で、N
−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリル−スルフェ
ンアミドである)を含有する弾性材を用いて射出成形し
たゴルフボール)の反発性を100として指数化したも
のである。反発性は、静止しているゴルフボールに19
8.4gの金属円筒物を45m/sの速度で衝突させ、
衝突前後の円筒物及びゴルフボールの速度を測定し、夫
々の速度及び重量から算出した値である。指数が大きい
程反発力が大きいことを示す。また、樹脂加硫剤を用い
た弾性材のゴルフボールは白丸(○)で示され、樹脂加
硫剤でさらに相溶化剤を添加した弾性材のゴルフボール
では白三角(△)で示され、樹脂加硫剤以外の架橋剤
(硫黄と加硫促進剤の組み合せ、オキシム系加硫剤な
ど)を用いた弾性材のゴルフボールは黒丸(●)で示さ
れている。
に基づいて測定した値であり、反発指数は、基準のゴル
フボール(アイオノマー:ジエン系ゴムの含有重量比率
を60:40とし、架橋剤として硫黄0.8重量部及び
加硫促進剤サンセラーNS(三新化学社の商品名で、N
−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリル−スルフェ
ンアミドである)を含有する弾性材を用いて射出成形し
たゴルフボール)の反発性を100として指数化したも
のである。反発性は、静止しているゴルフボールに19
8.4gの金属円筒物を45m/sの速度で衝突させ、
衝突前後の円筒物及びゴルフボールの速度を測定し、夫
々の速度及び重量から算出した値である。指数が大きい
程反発力が大きいことを示す。また、樹脂加硫剤を用い
た弾性材のゴルフボールは白丸(○)で示され、樹脂加
硫剤でさらに相溶化剤を添加した弾性材のゴルフボール
では白三角(△)で示され、樹脂加硫剤以外の架橋剤
(硫黄と加硫促進剤の組み合せ、オキシム系加硫剤な
ど)を用いた弾性材のゴルフボールは黒丸(●)で示さ
れている。
【0014】図1に示すグラフから、曲げ弾性率が大き
い程反発性が上がることが認められ、その向上の程度
は、樹脂加硫剤以外の架橋剤(●)では破線で示される
ようになっている。一方、樹脂加硫剤の場合には、一点
鎖線で示すようになり、反発指数が破線よりも10%程
度高くなっていることがわかる。すなわち、同程度の曲
げ弾性率を示す弾性材を用いてボールを作製した場合、
架橋剤として硫黄、オキシム系架橋剤を用いるよりも、
樹脂加硫剤を用いた弾性材の方が反発性が約10%以上
上昇することがわかる。
い程反発性が上がることが認められ、その向上の程度
は、樹脂加硫剤以外の架橋剤(●)では破線で示される
ようになっている。一方、樹脂加硫剤の場合には、一点
鎖線で示すようになり、反発指数が破線よりも10%程
度高くなっていることがわかる。すなわち、同程度の曲
げ弾性率を示す弾性材を用いてボールを作製した場合、
架橋剤として硫黄、オキシム系架橋剤を用いるよりも、
樹脂加硫剤を用いた弾性材の方が反発性が約10%以上
上昇することがわかる。
【0015】次に、アイオノマーとジエン系ゴムとの含
有割合を一定にした場合の弾性材(アイオノマー:ジエ
ン系ゴムの含有重量比率が60:40)における、曲げ
弾性率と反発指数との関係について、図2に基づいて説
明する。尚、用いた配合組成では、一般に曲げ弾性率は
1200〜1350kgf/cm2 程度となる。
有割合を一定にした場合の弾性材(アイオノマー:ジエ
ン系ゴムの含有重量比率が60:40)における、曲げ
弾性率と反発指数との関係について、図2に基づいて説
明する。尚、用いた配合組成では、一般に曲げ弾性率は
1200〜1350kgf/cm2 程度となる。
【0016】図2において、横軸は曲げ弾性率を示し、
縦軸は反発指数を示している。曲げ弾性率、反発指数の
測定方法、算出方法は、図1の場合と同様であり、ま
た、図中の記号も図1と同様である。
縦軸は反発指数を示している。曲げ弾性率、反発指数の
測定方法、算出方法は、図1の場合と同様であり、ま
た、図中の記号も図1と同様である。
【0017】図2に示すグラフから、樹脂加硫剤を用い
た弾性材(○)では、反発指数が110以上の領域でば
らつくのに対し、樹脂加硫剤以外の加硫剤を用いた弾性
材(●)では反発指数が100程度となることがわか
る。さらに相溶化剤を含有する弾性材を用いれば、反発
指数は115以上でばらついていることがわかる。
た弾性材(○)では、反発指数が110以上の領域でば
らつくのに対し、樹脂加硫剤以外の加硫剤を用いた弾性
材(●)では反発指数が100程度となることがわか
る。さらに相溶化剤を含有する弾性材を用いれば、反発
指数は115以上でばらついていることがわかる。
【0018】さらに、アイオノマーとブタジエンとの含
有重量比(アイオノマー:ブタジエン)を60:40と
し、架橋剤の種類だけを変えた3種類の弾性材のサンプ
ルa,b,cを作製し、それぞれについて示差走査型熱
量計でアイオノマーのイオンクラスターが崩壊するとき
の吸熱量(70℃付近の吸熱量)を測定したところ、表
1に示すようになった。
有重量比(アイオノマー:ブタジエン)を60:40と
し、架橋剤の種類だけを変えた3種類の弾性材のサンプ
ルa,b,cを作製し、それぞれについて示差走査型熱
量計でアイオノマーのイオンクラスターが崩壊するとき
の吸熱量(70℃付近の吸熱量)を測定したところ、表
1に示すようになった。
【0019】
【表1】
【0020】すなわち、樹脂加硫剤を用いた弾性材(サ
ンプルa)の吸熱量は、硫黄と加硫促進材の組み合せを
用いた弾性材(サンプルb)あるいはオキシム系加硫剤
を用いた弾性材(サンプルc)の吸熱量よりも大きかっ
た。このことは、アイオノマー、架橋剤、ジエン系ゴム
が配合された系において、非共有電子対又は不対電子を
有する加硫剤が共存していると、ジエン系ゴムを動的架
橋させる間に、当該加硫剤の非共有電子対又は不対電子
がアイオノマーと金属イオンのイオン結合に対して影響
を及ぼすためと考えられる。すなわち、アイオノマーの
イオンクラスターを破壊するため、アイオノマーのカル
ボキシル基と金属イオンとの結合が割合が低下してしま
うためと考えられる。アイオノマーにおけるイオンクラ
スターの破壊は、アイオノマーの反発性の低下につなが
る。以上の見解に基づいて完成された本発明の実施形態
について説明する。
ンプルa)の吸熱量は、硫黄と加硫促進材の組み合せを
用いた弾性材(サンプルb)あるいはオキシム系加硫剤
を用いた弾性材(サンプルc)の吸熱量よりも大きかっ
た。このことは、アイオノマー、架橋剤、ジエン系ゴム
が配合された系において、非共有電子対又は不対電子を
有する加硫剤が共存していると、ジエン系ゴムを動的架
橋させる間に、当該加硫剤の非共有電子対又は不対電子
がアイオノマーと金属イオンのイオン結合に対して影響
を及ぼすためと考えられる。すなわち、アイオノマーの
イオンクラスターを破壊するため、アイオノマーのカル
ボキシル基と金属イオンとの結合が割合が低下してしま
うためと考えられる。アイオノマーにおけるイオンクラ
スターの破壊は、アイオノマーの反発性の低下につなが
る。以上の見解に基づいて完成された本発明の実施形態
について説明する。
【0021】本発明の反発性に優れた弾性材は、樹脂加
硫剤により動的架橋されたジエン系ゴムがアイオノマー
中に微分散されているものである。
硫剤により動的架橋されたジエン系ゴムがアイオノマー
中に微分散されているものである。
【0022】本発明の弾性材中に用いられるアイオノマ
ーとしては、高強度、高弾性であるという点から従来よ
りツーピースゴルフ用のカバーとして用いられているア
イオノマー、すなわちα―オレフィンとα、β−不飽和
カルボン酸共重合体の金属イオン中和物が好ましく用い
られる。共重合体を中和する金属イオンとしては、ナト
リウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等の1
価金属イオン;亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネ
シウムイオン、銅イオン、マンガンイオンなどの2価金
属イオン;アルミニウムイオン、ネオジウムイオンなど
の3価金属イオンなどが挙げられるが、特に亜鉛イオン
が金属イオンの凝集体の結合力が大きく、架橋ジエン系
ゴム粒子の分散に基づく機械的強度の低下が小さいこと
から好ましい。なお、融点250℃以下としたのは、2
50℃を超えると溶融混合時にジエン系ゴムが熱劣化し
て、ゴムによる復元力が低下するからである。
ーとしては、高強度、高弾性であるという点から従来よ
りツーピースゴルフ用のカバーとして用いられているア
イオノマー、すなわちα―オレフィンとα、β−不飽和
カルボン酸共重合体の金属イオン中和物が好ましく用い
られる。共重合体を中和する金属イオンとしては、ナト
リウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等の1
価金属イオン;亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネ
シウムイオン、銅イオン、マンガンイオンなどの2価金
属イオン;アルミニウムイオン、ネオジウムイオンなど
の3価金属イオンなどが挙げられるが、特に亜鉛イオン
が金属イオンの凝集体の結合力が大きく、架橋ジエン系
ゴム粒子の分散に基づく機械的強度の低下が小さいこと
から好ましい。なお、融点250℃以下としたのは、2
50℃を超えると溶融混合時にジエン系ゴムが熱劣化し
て、ゴムによる復元力が低下するからである。
【0023】上記のようなアイオノマーの具体例として
は、三井デュポンポリケミカル株式会社製のハイミラン
1605(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル
酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン
1707(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル
酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン
1706(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重
合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミランAM7
315(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合
体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミランAM73
17(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体
系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1555
(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合
体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1557
(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系ア
イオノマー樹脂の商品名)、エクソン株式会社製のアイ
オテック8000(ナトリウムイオン中和エチレン−ア
クリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、デュ
ポン社製のサーリン930(リチウムイオン中和エチレ
ン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品
名)などが挙げられる。
は、三井デュポンポリケミカル株式会社製のハイミラン
1605(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル
酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン
1707(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル
酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン
1706(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重
合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミランAM7
315(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合
体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミランAM73
17(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体
系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1555
(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合
体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1557
(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系ア
イオノマー樹脂の商品名)、エクソン株式会社製のアイ
オテック8000(ナトリウムイオン中和エチレン−ア
クリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、デュ
ポン社製のサーリン930(リチウムイオン中和エチレ
ン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品
名)などが挙げられる。
【0024】本発明に用いられるジエン系ゴムは、分子
内にジエン成分を有しているゴムであればよく、例え
ば、エチレンプロピレンジエン3元共重合体(EPD
M)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(I
R)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニ
トリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。こ
れらのうち、反発性を重視する場合には、BRやIR等
の高反発弾性ゴムを用いることが好ましく、加工性を重
視する場合はEPDM等の耐熱性且つ高流動性ゴムを用
いることが好ましい。このようなジエン系ゴムは、アイ
オノマーとジエン系ゴムの重量比(アイオノマー:ジエ
ン系ゴム)が、35:65〜95:5、特に35:65
〜80:20となる量だけ配合されていることが好まし
い。アイオノマーの含有量がジエン系ゴムの配合量に対
して多量になりすぎると硬くなりすぎて打球感が低下
し、一方、ジエン系ゴムの配合割合が多くなりすぎる
と、打撃時の変形が大きくなって反発性が低下し、射出
成形性が低下するからである。
内にジエン成分を有しているゴムであればよく、例え
ば、エチレンプロピレンジエン3元共重合体(EPD
M)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(I
R)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニ
トリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。こ
れらのうち、反発性を重視する場合には、BRやIR等
の高反発弾性ゴムを用いることが好ましく、加工性を重
視する場合はEPDM等の耐熱性且つ高流動性ゴムを用
いることが好ましい。このようなジエン系ゴムは、アイ
オノマーとジエン系ゴムの重量比(アイオノマー:ジエ
ン系ゴム)が、35:65〜95:5、特に35:65
〜80:20となる量だけ配合されていることが好まし
い。アイオノマーの含有量がジエン系ゴムの配合量に対
して多量になりすぎると硬くなりすぎて打球感が低下
し、一方、ジエン系ゴムの配合割合が多くなりすぎる
と、打撃時の変形が大きくなって反発性が低下し、射出
成形性が低下するからである。
【0025】上記ジエン系ゴムは、樹脂加硫剤により動
的架橋された架橋ゴム粒子として、本発明の弾性材中に
含有されている。ここで、動的架橋とは、本発明の弾性
材の製造時に行なう混練工程、さらには成形時の押し出
し工程で進行する加硫乃至架橋をいい、上記ジエン系ゴ
ム及び架橋剤を含む系を、後述の動的架橋条件とするこ
とにより達成される。
的架橋された架橋ゴム粒子として、本発明の弾性材中に
含有されている。ここで、動的架橋とは、本発明の弾性
材の製造時に行なう混練工程、さらには成形時の押し出
し工程で進行する加硫乃至架橋をいい、上記ジエン系ゴ
ム及び架橋剤を含む系を、後述の動的架橋条件とするこ
とにより達成される。
【0026】本発明に用いられる樹脂加硫剤は、アルキ
ルフェノール−ホルムアルデヒド、臭素化アルキルフェ
ノール−ホルムアルデヒド、フェノール樹脂、クマロン
樹脂等の樹脂架橋剤を用いることができる。これらは、
一般にゴムに用いられる加硫材である硫黄やオキシム系
加硫剤と比べて極性を有しないので、混練から成形時に
到るまでの動的架橋を行わせる際においても、アイオノ
マーのイオンクラスターに対してほとんど影響を及ぼす
ことがない。従って、混練から成形時に到るまでの動的
架橋を行わせる際においても、アイオノマーの架橋構造
を保持しつつ、架橋されたジエン系ゴム粒子の微分散を
達成することができる。
ルフェノール−ホルムアルデヒド、臭素化アルキルフェ
ノール−ホルムアルデヒド、フェノール樹脂、クマロン
樹脂等の樹脂架橋剤を用いることができる。これらは、
一般にゴムに用いられる加硫材である硫黄やオキシム系
加硫剤と比べて極性を有しないので、混練から成形時に
到るまでの動的架橋を行わせる際においても、アイオノ
マーのイオンクラスターに対してほとんど影響を及ぼす
ことがない。従って、混練から成形時に到るまでの動的
架橋を行わせる際においても、アイオノマーの架橋構造
を保持しつつ、架橋されたジエン系ゴム粒子の微分散を
達成することができる。
【0027】これらの架橋剤の配合量は、ジエン系ゴム
100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは
1重量部以上である。0.1重量部未満では動的架橋が
行われず、ジエン系ゴムの微粒子化が困難だからであ
る。一方、20重量部を超えると、反発性の増加が殆ど
認められない反面、架橋に利用されなかった過剰分の架
橋剤が成形体(ゴルフボール)においてブルームの原因
となったりするからである。
100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは
1重量部以上である。0.1重量部未満では動的架橋が
行われず、ジエン系ゴムの微粒子化が困難だからであ
る。一方、20重量部を超えると、反発性の増加が殆ど
認められない反面、架橋に利用されなかった過剰分の架
橋剤が成形体(ゴルフボール)においてブルームの原因
となったりするからである。
【0028】本発明の弾性材は、更に相溶化剤を含むこ
とが好ましい。アイオノマーと架橋ジエン系ゴム粒子と
は相溶性がないため、摩擦熱によるエネルギーロスが大
きい。相溶化剤は、両者の摩擦熱を低減して、打球など
の動的刺激に対するヒステリシスロスを少なくすること
により反発性を増加させることができるからである。
とが好ましい。アイオノマーと架橋ジエン系ゴム粒子と
は相溶性がないため、摩擦熱によるエネルギーロスが大
きい。相溶化剤は、両者の摩擦熱を低減して、打球など
の動的刺激に対するヒステリシスロスを少なくすること
により反発性を増加させることができるからである。
【0029】本発明の弾性材に用いられる相溶化剤は、
アイオノマーと相溶性を有するか(イオン結合又は水素
結合する場合を含む)又は反応し得る部分を有し、且つ
ジエン系ゴム(架橋ジエン系ゴム粒子を含む)と相溶性
を有するか又は反応し得る部分を有するものである。具
体的には、カルボキシル基を有するジエン系ゴム(カル
ボキシル基変性ジエン系ゴム)、オキサゾリン基を有す
るジエン系ゴム(オキサゾリン基変性ジエン系ゴム)、
エポキシ基を有するジエン系ゴム(エポキシ基変性ジエ
ン系ゴム、グリシジル基変性ジエン系ゴム)などが挙げ
られる。
アイオノマーと相溶性を有するか(イオン結合又は水素
結合する場合を含む)又は反応し得る部分を有し、且つ
ジエン系ゴム(架橋ジエン系ゴム粒子を含む)と相溶性
を有するか又は反応し得る部分を有するものである。具
体的には、カルボキシル基を有するジエン系ゴム(カル
ボキシル基変性ジエン系ゴム)、オキサゾリン基を有す
るジエン系ゴム(オキサゾリン基変性ジエン系ゴム)、
エポキシ基を有するジエン系ゴム(エポキシ基変性ジエ
ン系ゴム、グリシジル基変性ジエン系ゴム)などが挙げ
られる。
【0030】変性されるジエン系ゴムの種類は、本発明
の組成物に配合され得るジエン系ゴムと同種類のものを
用いることができる。すなわち、エチレンプロピレンジ
エン3元共重合体(EPDM)、ブタジエンゴム(B
R)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴ
ム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NB
R)などを変性して用いることができるが、相溶性の観
点から、架橋に用いられるジエン系ゴムと同種類のジエ
ン系ゴムを変性したものを用いることが好ましい。
の組成物に配合され得るジエン系ゴムと同種類のものを
用いることができる。すなわち、エチレンプロピレンジ
エン3元共重合体(EPDM)、ブタジエンゴム(B
R)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴ
ム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NB
R)などを変性して用いることができるが、相溶性の観
点から、架橋に用いられるジエン系ゴムと同種類のジエ
ン系ゴムを変性したものを用いることが好ましい。
【0031】上記カルボキシル基変性ジエン系ゴムとし
ては、マレイン酸又は無水マレイン酸をゴムに付加した
もの又はマレイン酸をジエン系ゴムの主鎖中に共重合し
てなるマレイン酸変性ジエン系ゴム、あるいはカルボン
酸をジエン系ゴムに付加したもの又はカルボン酸をジエ
ン系ゴムの主鎖中に共重合してなるカルボン酸変性ジエ
ン系ゴムが挙げられる。マレイン酸変性ジエン系ゴムと
しては、マレイン化EPDM、マレイン酸変性ブタジエ
ンゴム、マレイン酸変性IR、マレイン酸変性SBR、
マレイン酸変性NBRなどが挙げられ、カルボン酸変性
ジエン系ゴムとは、カルボン酸変性EPDM、カルボン
酸変性ブタジエンゴム、カルボン酸変性IR、カルボン
酸変性SBR、カルボン酸変性NBRなどが挙げられ
る。
ては、マレイン酸又は無水マレイン酸をゴムに付加した
もの又はマレイン酸をジエン系ゴムの主鎖中に共重合し
てなるマレイン酸変性ジエン系ゴム、あるいはカルボン
酸をジエン系ゴムに付加したもの又はカルボン酸をジエ
ン系ゴムの主鎖中に共重合してなるカルボン酸変性ジエ
ン系ゴムが挙げられる。マレイン酸変性ジエン系ゴムと
しては、マレイン化EPDM、マレイン酸変性ブタジエ
ンゴム、マレイン酸変性IR、マレイン酸変性SBR、
マレイン酸変性NBRなどが挙げられ、カルボン酸変性
ジエン系ゴムとは、カルボン酸変性EPDM、カルボン
酸変性ブタジエンゴム、カルボン酸変性IR、カルボン
酸変性SBR、カルボン酸変性NBRなどが挙げられ
る。
【0032】オキサゾリン基変性ジエン系ゴムとして
は、オキサゾリン基変性EPDM、オキサゾリン基変性
ブタジエンゴム、オキサゾリン基変性IR、オキサゾリ
ン基変性SBR、オキサゾリン基変性NBRなどが挙げ
られる。
は、オキサゾリン基変性EPDM、オキサゾリン基変性
ブタジエンゴム、オキサゾリン基変性IR、オキサゾリ
ン基変性SBR、オキサゾリン基変性NBRなどが挙げ
られる。
【0033】グリシジル基変性ジエン系ゴム及びエポキ
シ基変性ジエン系ゴムとしては、例えば、不飽和エポキ
シ化合物とジエン系ゴムとの共重合体などが挙げられる
が、これに限定されるものではない。上記の不飽和エポ
キシ化合物の例としては、グリシジルメタクリレートや
グリシジルアクリレート等の不飽和グリシジルエステル
類、アリルグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエ
ーテル類、エポキシアルケン類、グリシジルスチレン類
などが挙げられる。これらの相溶化剤は、1種類だけ用
いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
シ基変性ジエン系ゴムとしては、例えば、不飽和エポキ
シ化合物とジエン系ゴムとの共重合体などが挙げられる
が、これに限定されるものではない。上記の不飽和エポ
キシ化合物の例としては、グリシジルメタクリレートや
グリシジルアクリレート等の不飽和グリシジルエステル
類、アリルグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエ
ーテル類、エポキシアルケン類、グリシジルスチレン類
などが挙げられる。これらの相溶化剤は、1種類だけ用
いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0034】これらの相溶化剤は、ジエン系ゴム部分が
組成物中に含有されるジエン系ゴム又は架橋ゴム粒子と
相溶性が良好であり、且つ変性部分がアイオノマーと反
応して結合することにより良好な相溶性を発揮できる。
例えば、相溶化剤がカルボキシル基変性ジエン系ゴムの
場合には、カルボキシル基がアイオノマーと金属イオン
を介して架橋結合することができるとともに、変性ジエ
ン系ゴム部分がジエン系ゴムと相溶性を示す。
組成物中に含有されるジエン系ゴム又は架橋ゴム粒子と
相溶性が良好であり、且つ変性部分がアイオノマーと反
応して結合することにより良好な相溶性を発揮できる。
例えば、相溶化剤がカルボキシル基変性ジエン系ゴムの
場合には、カルボキシル基がアイオノマーと金属イオン
を介して架橋結合することができるとともに、変性ジエ
ン系ゴム部分がジエン系ゴムと相溶性を示す。
【0035】前記相溶化剤は、このようにアイオノマー
に対して相溶性又は結合形成するとともに、ジエン系ゴ
ムに対しても相溶性を有するので、ジエン系ゴムの動的
架橋前であればジエン系ゴムのアイオノマー中の分散性
を良好にし、動的架橋に際しての架橋ゴム粒子の微分散
化達成に寄与する。また動的架橋後には、架橋ゴム粒子
とアイオノマーとの相溶性、さらには両者の結合力を強
固なものとすることにより、組成物におけるエネルギー
ロスを小さくする。すなわち、打球時に生じるジエン系
ゴム粒子と熱可塑性樹脂との間に生じる摩擦を少なくす
ることにり、ゴルフボールのヒステリシスロスを小さく
することになるので、ボールの反発性が向上することに
なる。従って、上記相溶化剤のうち、オキサゾリン基変
性ジエン系ゴム、グリシジル基変性ジエン系ゴム、エポ
キシ基変性ジエン系ゴムは、熱可塑性樹脂、特にアイオ
ノマー樹脂との反応性が高すぎて動的架橋工程において
良好な混練り分散性が得られにくくなる傾向にあること
から、カルボン酸変性ジエン系ゴム、マレイン酸変性ジ
エン系ゴムなどのカルボキシル基変性ジエン系ゴムが好
ましく用いられ、特にマレイン酸変性EPDM、マレイ
ン酸変性ブタジエンゴムが好ましく用いられる。
に対して相溶性又は結合形成するとともに、ジエン系ゴ
ムに対しても相溶性を有するので、ジエン系ゴムの動的
架橋前であればジエン系ゴムのアイオノマー中の分散性
を良好にし、動的架橋に際しての架橋ゴム粒子の微分散
化達成に寄与する。また動的架橋後には、架橋ゴム粒子
とアイオノマーとの相溶性、さらには両者の結合力を強
固なものとすることにより、組成物におけるエネルギー
ロスを小さくする。すなわち、打球時に生じるジエン系
ゴム粒子と熱可塑性樹脂との間に生じる摩擦を少なくす
ることにり、ゴルフボールのヒステリシスロスを小さく
することになるので、ボールの反発性が向上することに
なる。従って、上記相溶化剤のうち、オキサゾリン基変
性ジエン系ゴム、グリシジル基変性ジエン系ゴム、エポ
キシ基変性ジエン系ゴムは、熱可塑性樹脂、特にアイオ
ノマー樹脂との反応性が高すぎて動的架橋工程において
良好な混練り分散性が得られにくくなる傾向にあること
から、カルボン酸変性ジエン系ゴム、マレイン酸変性ジ
エン系ゴムなどのカルボキシル基変性ジエン系ゴムが好
ましく用いられ、特にマレイン酸変性EPDM、マレイ
ン酸変性ブタジエンゴムが好ましく用いられる。
【0036】相溶化剤の配合量としては、アイオノマー
とジエン系ゴムとの総量100重量部に対して3重量部
〜40重量部が好ましく、相溶性の向上の点からは特に
5重量部以上が好ましい。一方、相溶化剤の配合量が多
くなりすぎると、相溶化剤とアイオノマーとの反応が過
剰となり、弾性材の弾性率が大きくなりすぎて硬くな
り、ゴルフボールに使用した場合には打球感が低下しや
すくなる反面、反発性の向上に対する効果は飽和して殆
ど変化しないので、30重量部以下、特に20重量以下
とすることが好ましい。
とジエン系ゴムとの総量100重量部に対して3重量部
〜40重量部が好ましく、相溶性の向上の点からは特に
5重量部以上が好ましい。一方、相溶化剤の配合量が多
くなりすぎると、相溶化剤とアイオノマーとの反応が過
剰となり、弾性材の弾性率が大きくなりすぎて硬くな
り、ゴルフボールに使用した場合には打球感が低下しや
すくなる反面、反発性の向上に対する効果は飽和して殆
ど変化しないので、30重量部以下、特に20重量以下
とすることが好ましい。
【0037】本発明の弾性材は、さらに必要に応じて、
可塑剤、顔料などの充填剤を適宜配合し、さらにジエン
系ゴムを動的架橋することにより得られるものである。
可塑剤、顔料などの充填剤を適宜配合し、さらにジエン
系ゴムを動的架橋することにより得られるものである。
【0038】ここで、ジエン系ゴムの動的架橋は成形時
までに行われればよく、具体的には、上記化合物を配合
して均一に混練する際、あるいは射出成形や押し出し成
形の際の成形材料の加熱溶融工程で行われてもよい。い
ずれにしても、動的架橋を行なう工程では、動的架橋条
件に設定しておくことにより、混練り工程、押し出し工
程、可塑化工程等でジエン系ゴムの動的架橋を行なうこ
とができる。
までに行われればよく、具体的には、上記化合物を配合
して均一に混練する際、あるいは射出成形や押し出し成
形の際の成形材料の加熱溶融工程で行われてもよい。い
ずれにしても、動的架橋を行なう工程では、動的架橋条
件に設定しておくことにより、混練り工程、押し出し工
程、可塑化工程等でジエン系ゴムの動的架橋を行なうこ
とができる。
【0039】混練りは、従来から採用されている密閉型
混練機、ニーダー、バンバリー、オープンロール等の各
種混練り機を用いて行ない、均一に混練したものを成形
に用いてもよいし、射出成形のように材料の溶融押し出
し時に混練を行ってもよい。生産効率の面では、押し出
し機で溶融押し出しする際に、混練り、動的架橋を行な
うことが好ましい。
混練機、ニーダー、バンバリー、オープンロール等の各
種混練り機を用いて行ない、均一に混練したものを成形
に用いてもよいし、射出成形のように材料の溶融押し出
し時に混練を行ってもよい。生産効率の面では、押し出
し機で溶融押し出しする際に、混練り、動的架橋を行な
うことが好ましい。
【0040】動的架橋は、組成物の温度を架橋剤の反応
温度より高温、好ましくは樹脂加硫剤の活性温度より1
0〜30℃高い温度から、250℃程度までの間の温度
にする必要がある。動的架橋時の温度が樹脂加硫剤の反
応温度より低い場合はジエン系ゴムの架橋が十分に進行
せず、また、たとえ架橋が生じたとしても架橋速度が遅
いために作業効率が悪くなるからである。一方、動的架
橋時の温度が上記範囲より高くなると、ジエン系ゴムの
劣化が進み、永久伸びなどが低下して復元力が低下をも
たらすからである。
温度より高温、好ましくは樹脂加硫剤の活性温度より1
0〜30℃高い温度から、250℃程度までの間の温度
にする必要がある。動的架橋時の温度が樹脂加硫剤の反
応温度より低い場合はジエン系ゴムの架橋が十分に進行
せず、また、たとえ架橋が生じたとしても架橋速度が遅
いために作業効率が悪くなるからである。一方、動的架
橋時の温度が上記範囲より高くなると、ジエン系ゴムの
劣化が進み、永久伸びなどが低下して復元力が低下をも
たらすからである。
【0041】ここで、押し出し工程で動的架橋を行わせ
る場合、押し出し機のシリンダの部分の設定温度は、樹
脂加硫剤の活性化反応温度より20℃程度低い温度に設
定しても足りる。混練りにより発生する摩擦熱によっ
て、押し出し機等の温度が架橋温度より低くても、組成
物温度は架橋温度以上にまで上昇するからである。
る場合、押し出し機のシリンダの部分の設定温度は、樹
脂加硫剤の活性化反応温度より20℃程度低い温度に設
定しても足りる。混練りにより発生する摩擦熱によっ
て、押し出し機等の温度が架橋温度より低くても、組成
物温度は架橋温度以上にまで上昇するからである。
【0042】このようにして動的架橋を行なうと、ジエ
ン系ゴムは、樹脂加硫剤により加硫された架橋ゴムの微
粒子となって、アイオノマー中に微分散された状態とな
っている。かかる状態では、アイオノマーの加熱溶融状
態において、架橋ゴム微粒子が無機充填材のような挙動
を示すので、加硫ゴムが分散されているにも拘らず射出
成形時の流れ性は悪くならない。つまり、加熱溶融を繰
返しても物性の低下がほとんどなく、リサイクル可能と
なる。さらに、分散しているゴム粒子が、動的架橋によ
り加硫ゴムの状態となっているため、ゴム弾性を発揮す
ることができる。このゴム粒子の働きにより、復元力を
発揮することができる。またさらに、このような架橋ゴ
ム微粒子は、相溶化剤の介在により、と相溶乃至は結合
状態にあるため、両者の摩擦に起因するエネルギーロス
が少ないものとなる。尚、動的架橋は、ジエン系ゴム自
体の架橋だけでなく、ジエン系ゴムと相溶化剤中のジエ
ン系ゴムとの間でも起こって、相溶化剤を介してジエン
系ゴムとアイオノマーとの結合を高める働きもある。
ン系ゴムは、樹脂加硫剤により加硫された架橋ゴムの微
粒子となって、アイオノマー中に微分散された状態とな
っている。かかる状態では、アイオノマーの加熱溶融状
態において、架橋ゴム微粒子が無機充填材のような挙動
を示すので、加硫ゴムが分散されているにも拘らず射出
成形時の流れ性は悪くならない。つまり、加熱溶融を繰
返しても物性の低下がほとんどなく、リサイクル可能と
なる。さらに、分散しているゴム粒子が、動的架橋によ
り加硫ゴムの状態となっているため、ゴム弾性を発揮す
ることができる。このゴム粒子の働きにより、復元力を
発揮することができる。またさらに、このような架橋ゴ
ム微粒子は、相溶化剤の介在により、と相溶乃至は結合
状態にあるため、両者の摩擦に起因するエネルギーロス
が少ないものとなる。尚、動的架橋は、ジエン系ゴム自
体の架橋だけでなく、ジエン系ゴムと相溶化剤中のジエ
ン系ゴムとの間でも起こって、相溶化剤を介してジエン
系ゴムとアイオノマーとの結合を高める働きもある。
【0043】本発明の弾性材は、上記配合組成物を動的
架橋して得られるもので、曲げ弾性率が600kgf/
cm2 以上、好ましくは670kgf/cm2 以上、さ
らに好ましくは990kgf/cm2 以上で、3000
kgf/cm2 、好ましくは2510kgf/cm2 、
更に好ましくは2160kgf/cm2 以下である。曲
げ弾性率が600kgf/cm2 未満では、反発性が低
くなりすぎて樹脂加硫剤を用いても満足し得る反発性は
得られないからである。つまり、この程度の曲げ弾性率
しか有しない弾性体は、元々、弾性、強度を発揮するア
イオノマーの含有量が少ないため、他の加硫剤による反
発性の低下も少なく、樹脂加硫剤による改善効果はそれ
程期待できないからである。一方、3000kgf/c
m2 を超えると、相対的にジエン系ゴムの含有量が少な
くなっているので、打球感が硬くなりすぎるからであ
る。
架橋して得られるもので、曲げ弾性率が600kgf/
cm2 以上、好ましくは670kgf/cm2 以上、さ
らに好ましくは990kgf/cm2 以上で、3000
kgf/cm2 、好ましくは2510kgf/cm2 、
更に好ましくは2160kgf/cm2 以下である。曲
げ弾性率が600kgf/cm2 未満では、反発性が低
くなりすぎて樹脂加硫剤を用いても満足し得る反発性は
得られないからである。つまり、この程度の曲げ弾性率
しか有しない弾性体は、元々、弾性、強度を発揮するア
イオノマーの含有量が少ないため、他の加硫剤による反
発性の低下も少なく、樹脂加硫剤による改善効果はそれ
程期待できないからである。一方、3000kgf/c
m2 を超えると、相対的にジエン系ゴムの含有量が少な
くなっているので、打球感が硬くなりすぎるからであ
る。
【0044】本発明のワンピースゴルフボールは、以上
のような構成を有する弾性体からなるものである。すな
わち、上記弾性体を用いてゴルフボールに成形したもの
である。成形方法は、熱可塑性樹脂を成形する成形方法
であれば特に限定しないが、射出成形、プレス成形など
により作製することができる。本発明のワンピースゴル
フボールは、本発明の上記弾性材の性質に基づいて、打
球時の変形に対するヒステリシスロスが小さくて済み、
反発性に優れている。具体的には、基準のワンピースゴ
ルフボール(アイオノマー:ジエン系ゴムの含有重量比
率を60:40とし、架橋剤として硫黄0.8重量部及
び加硫促進剤サンセラーNS(三新化学社の商品名)を
用いてジエン系ゴムを架橋したゴム粒子が分散されてい
て、曲げ弾性率が1310kgf/cm2 のゴルフボー
ル)と比べて、反発性が10%以上向上している。しか
も加熱溶融して再度利用することができるというリサイ
クル性があるので、現在の環境問題にも対処できる。
のような構成を有する弾性体からなるものである。すな
わち、上記弾性体を用いてゴルフボールに成形したもの
である。成形方法は、熱可塑性樹脂を成形する成形方法
であれば特に限定しないが、射出成形、プレス成形など
により作製することができる。本発明のワンピースゴル
フボールは、本発明の上記弾性材の性質に基づいて、打
球時の変形に対するヒステリシスロスが小さくて済み、
反発性に優れている。具体的には、基準のワンピースゴ
ルフボール(アイオノマー:ジエン系ゴムの含有重量比
率を60:40とし、架橋剤として硫黄0.8重量部及
び加硫促進剤サンセラーNS(三新化学社の商品名)を
用いてジエン系ゴムを架橋したゴム粒子が分散されてい
て、曲げ弾性率が1310kgf/cm2 のゴルフボー
ル)と比べて、反発性が10%以上向上している。しか
も加熱溶融して再度利用することができるというリサイ
クル性があるので、現在の環境問題にも対処できる。
【0045】
【実施例】〔ワンピースゴルフボールの作製〕アイオノ
マーとして、デュポン社製のアイオノマーであるサーリ
ンAD8511とサーリンAD8512との等量混合物
を用いた。ジエン系ゴムとして、JSR製のBR01
(ブタジエンゴムの商品名)又は住友化学製のエスプレ
ン505A(EPDMの商品名)を用いた。相溶化剤と
しては、CTB(宇部興産製のカルボン酸変性ブタジエ
ンゴム)、AN−PB(日本曹達製の無水マレイン酸変
性ブタジエンゴム)、ロイヤルタフ465(ユニロイヤ
ル製の無水マレイン酸変性EPDM)を用いた。樹脂系
加硫剤としては、田岡化学社製のタッキロール250―
3(臭素化アルキルフェノールーホルムアルデヒド樹
脂)を用いた。他の加硫剤としては。硫黄と加硫促進剤
(三新化学製のサンセラーNS)の組み合せ、オキシム
系架橋剤であるバルノックDGM(大内新興化学工業社
の商品名で、p,p−ベンゾイルキノンジオキシム)を
用いた。
マーとして、デュポン社製のアイオノマーであるサーリ
ンAD8511とサーリンAD8512との等量混合物
を用いた。ジエン系ゴムとして、JSR製のBR01
(ブタジエンゴムの商品名)又は住友化学製のエスプレ
ン505A(EPDMの商品名)を用いた。相溶化剤と
しては、CTB(宇部興産製のカルボン酸変性ブタジエ
ンゴム)、AN−PB(日本曹達製の無水マレイン酸変
性ブタジエンゴム)、ロイヤルタフ465(ユニロイヤ
ル製の無水マレイン酸変性EPDM)を用いた。樹脂系
加硫剤としては、田岡化学社製のタッキロール250―
3(臭素化アルキルフェノールーホルムアルデヒド樹
脂)を用いた。他の加硫剤としては。硫黄と加硫促進剤
(三新化学製のサンセラーNS)の組み合せ、オキシム
系架橋剤であるバルノックDGM(大内新興化学工業社
の商品名で、p,p−ベンゾイルキノンジオキシム)を
用いた。
【0046】上記化合物を表1に示すような割合で配合
した組成物を調製し、二軸押出機を用いて均一に混練し
て押し出すことによりペレット状の中間材料を作製し、
この中間材料を用いて160〜250℃の条件で射出成
形機で、No.1〜18のワンピースゴルフ(外径約4
2mm、重量45.1〜45.6g)を射出成形した。
二軸押出機における混練及び押し出し条件は、160〜
200℃であり、主として、この二軸押し出し機におけ
る混練及び押し出し工程の段階で動的架橋を起こさせ
た。尚、架橋剤の配合量は、ジエン系ゴムの配合量に応
じて選んだ。
した組成物を調製し、二軸押出機を用いて均一に混練し
て押し出すことによりペレット状の中間材料を作製し、
この中間材料を用いて160〜250℃の条件で射出成
形機で、No.1〜18のワンピースゴルフ(外径約4
2mm、重量45.1〜45.6g)を射出成形した。
二軸押出機における混練及び押し出し条件は、160〜
200℃であり、主として、この二軸押し出し機におけ
る混練及び押し出し工程の段階で動的架橋を起こさせ
た。尚、架橋剤の配合量は、ジエン系ゴムの配合量に応
じて選んだ。
【0047】架橋剤を含有しない弾性体(No.1)、
架橋剤として樹脂加硫剤以外の加硫剤を含む弾性体(N
o.3,7,13,16)、及び弾性率が600〜30
00kgf/cm2 の範囲にない弾性体のゴルフボール
は比較例に該当し、その他は本発明の実施例に該当す
る。
架橋剤として樹脂加硫剤以外の加硫剤を含む弾性体(N
o.3,7,13,16)、及び弾性率が600〜30
00kgf/cm2 の範囲にない弾性体のゴルフボール
は比較例に該当し、その他は本発明の実施例に該当す
る。
【0048】No.1〜18のワンピースゴルフボール
について、下記評価方法に従って成形性、反発性、打球
感について評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
について、下記評価方法に従って成形性、反発性、打球
感について評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
【0049】〔評価方法〕 曲げ弾性率(kgf/cm2 ) 二軸押出機を用いて製造したペレット状の中間材料を金
型を用いてプレス成形し、さらにそのプレス成形物から
縦×横×厚みが80×13×2のサンプルを切り取り、
このサンプルについて、JIS K7106に準じて測
定した。
型を用いてプレス成形し、さらにそのプレス成形物から
縦×横×厚みが80×13×2のサンプルを切り取り、
このサンプルについて、JIS K7106に準じて測
定した。
【0050】コンプレッション(mm) 製造したワンピースゴルフボールに130kgの荷重を
かけたときのたわみ変形量(mm)を測定した。
かけたときのたわみ変形量(mm)を測定した。
【0051】反発係数 静止しているゴルフボールに198.4gの金属円筒物
を45m/sの速度で衝突させ、衝突前後の円筒物及び
ゴルフボールの速度を測定し、夫々の速度及び重量から
算出結果を、比較例2の反発係数を100として指数化
した。指数が大きい程反発力が大きいことを示す。
を45m/sの速度で衝突させ、衝突前後の円筒物及び
ゴルフボールの速度を測定し、夫々の速度及び重量から
算出結果を、比較例2の反発係数を100として指数化
した。指数が大きい程反発力が大きいことを示す。
【0052】成形性 射出成形する際の組成物の流動性により評価した。いず
れも良好(◎)に射出成形できた。
れも良好(◎)に射出成形できた。
【0053】打球感 トップアマチュア10人によるW#1クラブでの打球時
の感触を平均したもので、この打球感を○(ツーピース
ゴルフボールと比べて変わらない)、△(少し硬めだが
問題ない範囲にある)、×(硬くて衝撃を感じる)の3
段階評価で表した。
の感触を平均したもので、この打球感を○(ツーピース
ゴルフボールと比べて変わらない)、△(少し硬めだが
問題ない範囲にある)、×(硬くて衝撃を感じる)の3
段階評価で表した。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】[評価]表2及び表3から、一般に曲げ弾
性率は、アイオノマーの含有率が小さくなるにしたがっ
て小さくなり、アイオノマーとジエン系ゴムの含有比率
が同じであれば加硫剤の含有量が多いほど、換言すると
架橋ゴム粒子の架橋度が多い程曲げ弾性率が大きくなる
ことがわかる。
性率は、アイオノマーの含有率が小さくなるにしたがっ
て小さくなり、アイオノマーとジエン系ゴムの含有比率
が同じであれば加硫剤の含有量が多いほど、換言すると
架橋ゴム粒子の架橋度が多い程曲げ弾性率が大きくなる
ことがわかる。
【0057】No.2〜4から、或いはNo.7〜13
から、或いはNo.15〜17から、樹脂加硫剤を用い
た弾性材の方が、樹脂加硫剤を用いない弾性材よりも反
発指数が高く、さらに相溶化剤を含む弾性材は反発指数
が高くなっていることがわかる。
から、或いはNo.15〜17から、樹脂加硫剤を用い
た弾性材の方が、樹脂加硫剤を用いない弾性材よりも反
発指数が高く、さらに相溶化剤を含む弾性材は反発指数
が高くなっていることがわかる。
【0058】また、打球感は、アイオノマーの含有量が
多くなるに従って低下し、アイオノマーの含有量が80
重量部を超えると若干低下し(No.5,6とNo.2
〜4参照)、90重量部を超えると実用的でなくなる。
多くなるに従って低下し、アイオノマーの含有量が80
重量部を超えると若干低下し(No.5,6とNo.2
〜4参照)、90重量部を超えると実用的でなくなる。
【0059】
【発明の効果】本発明の反発性に優れた弾性材は、熱可
塑性樹脂と同様の成形が可能であり、しかも繰り返し行
なう加熱溶融によっても物性が低下しないので、リサイ
クル可能である。
塑性樹脂と同様の成形が可能であり、しかも繰り返し行
なう加熱溶融によっても物性が低下しないので、リサイ
クル可能である。
【0060】また、本発明の弾性材を用いて製造したワ
ンピースゴルフボールは、打球感が硬くなく、しかも反
発性に優れている。しかも、ワンピースゴルフボールで
あるから、耐久性、生産性に優れ、安価である。
ンピースゴルフボールは、打球感が硬くなく、しかも反
発性に優れている。しかも、ワンピースゴルフボールで
あるから、耐久性、生産性に優れ、安価である。
【図1】曲げ弾性率と反発性の関係を示すグラフであ
る。
る。
【図2】アイオノマーとジエン系ゴムの含有量比率を一
定にした場合の曲げ弾性率と反発性の関係を示すグラフ
である。
定にした場合の曲げ弾性率と反発性の関係を示すグラフ
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 樹脂加硫剤により動的架橋されたジエン
系ゴムがアイオノマー中に微分散されていて、且つ曲げ
弾性率が600〜3000kgf/cm2 であることを
特徴とする反発性に優れた弾性材。 - 【請求項2】 樹脂加硫剤により動的架橋されたジエン
系ゴムがアイオノマー中に微分散されていて、且つ前記
アイオノマーとジエン系ゴムとの含有重量比(アイオノ
マー:ジエン系ゴム)は、35:65〜95:5である
ことを特徴とする反発性に優れた弾性材。 - 【請求項3】 前記ジエン系ゴム100重量部に対し
て、前記樹脂加硫剤は0.1〜20重量部含有されてい
る請求項1又はに2に記載の反発性に優れた弾性材。 - 【請求項4】 アイオノマー及び該ジエン系ゴムの双方
と親和性を有する相溶化剤を含有している請求項1〜3
のいずれかに記載の反発弾性に優れた弾性材。 - 【請求項5】 前記相溶化剤は、アイオノマーと相溶性
を有するか又は反応し得る部分を有し、且つジエン系ゴ
ムと相溶性を有するか又は反応し得る部分を有するもの
である請求項4に記載の反発弾性に優れた弾性材。 - 【請求項6】 前記相溶化剤は、カルボキシル基変性ジ
エン系ゴム、オキサゾリン基変性ジエン系ゴム、グリシ
ジル基変性ジエン系ゴム、及びエポキシ基変性ジエン系
ゴムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求
項5に記載の反発弾性に優れた弾性材。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の弾性材
からなるワンピースゴルフボール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9303109A JPH11137723A (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | 反発性に優れた弾性材及びこれを用いたワンピースゴルフボール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9303109A JPH11137723A (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | 反発性に優れた弾性材及びこれを用いたワンピースゴルフボール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11137723A true JPH11137723A (ja) | 1999-05-25 |
Family
ID=17917002
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9303109A Pending JPH11137723A (ja) | 1997-11-05 | 1997-11-05 | 反発性に優れた弾性材及びこれを用いたワンピースゴルフボール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11137723A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010119837A (ja) * | 2008-11-18 | 2010-06-03 | Bridgestone Sports Co Ltd | ゴルフボール用材料、ゴルフボール、及びゴルフボール用材料の製造方法 |
US9102825B2 (en) | 2013-09-17 | 2015-08-11 | Nike, Inc. | Dynamically crosslinked thermoplastic material process |
US9328224B2 (en) | 2013-09-17 | 2016-05-03 | Nike, Inc. | Dynamically crosslinked thermoplastic material process |
US20190321690A1 (en) * | 2018-04-18 | 2019-10-24 | Acushnet Company | Golf ball incorporating melt processable highly-crosslinked rubber-containing ionomer(s) |
US11338178B2 (en) | 2019-12-24 | 2022-05-24 | Bridgestone Sports Co., Ltd. | Golf ball and method of manufacture |
-
1997
- 1997-11-05 JP JP9303109A patent/JPH11137723A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010119837A (ja) * | 2008-11-18 | 2010-06-03 | Bridgestone Sports Co Ltd | ゴルフボール用材料、ゴルフボール、及びゴルフボール用材料の製造方法 |
US9102825B2 (en) | 2013-09-17 | 2015-08-11 | Nike, Inc. | Dynamically crosslinked thermoplastic material process |
US9127152B2 (en) | 2013-09-17 | 2015-09-08 | Nike, Inc. | Dynamically crosslinked thermoplastic material process |
US9328224B2 (en) | 2013-09-17 | 2016-05-03 | Nike, Inc. | Dynamically crosslinked thermoplastic material process |
US9481792B2 (en) | 2013-09-17 | 2016-11-01 | Nike, Inc. | Dynamically crosslinked thermoplastic material process |
US9598579B2 (en) | 2013-09-17 | 2017-03-21 | Nike, Inc. | Dynamically crosslinked thermoplastic material process |
TWI635118B (zh) * | 2013-09-17 | 2018-09-11 | 豐泰企業股份有限公司 | 動態交聯的熱塑性材料的方法(二) |
TWI635117B (zh) * | 2013-09-17 | 2018-09-11 | 豐泰企業股份有限公司 | 動態交聯的熱塑性材料的方法(一) |
US20190321690A1 (en) * | 2018-04-18 | 2019-10-24 | Acushnet Company | Golf ball incorporating melt processable highly-crosslinked rubber-containing ionomer(s) |
US10773132B2 (en) * | 2018-04-18 | 2020-09-15 | Acushnet Company | Golf ball incorporating melt processable highly-crosslinked rubber-containing ionomer(s) |
US11338178B2 (en) | 2019-12-24 | 2022-05-24 | Bridgestone Sports Co., Ltd. | Golf ball and method of manufacture |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3629420B2 (ja) | ゴルフボール | |
JP4074817B2 (ja) | ゴルフボール | |
JP2009240708A (ja) | マルチピースゴルフボール | |
JP4011910B2 (ja) | ゴルフボール | |
JP5334440B2 (ja) | ゴルフボール用ゴム組成物及び該組成物から形成されるコアを含むマルチピースゴルフボール | |
JP4020634B2 (ja) | ゴルフボール | |
JP2002017896A (ja) | 軽量ゴルフボール | |
JP4514302B2 (ja) | ゴルフボール | |
JPH11137723A (ja) | 反発性に優れた弾性材及びこれを用いたワンピースゴルフボール | |
JP4033364B2 (ja) | ゴルフボール用弾性材及びゴルフボールの製造方法 | |
JP4026898B2 (ja) | ワンピースゴルフボール用組成物及びこれを用いたワンピースゴルフボール | |
JP4043243B2 (ja) | ゴルフボール | |
US20020137852A1 (en) | Golf ball and rubber composition therefor | |
US6114453A (en) | Covering material composition for golf ball and process for producing the same | |
JP3827383B2 (ja) | ソリッドゴルフボールの製造方法 | |
JP4038270B2 (ja) | 成形性に優れた弾性材及びその製造方法並びに当該弾性材を用いたワンピースゴルフボール | |
JP4246296B2 (ja) | 弾性材を用いたワンピースゴルフボール | |
US7137908B2 (en) | Golf ball | |
JP2676578B2 (ja) | ゴルフボール用カバー材組成物 | |
JP4183816B2 (ja) | ワンピースゴルフボール | |
JPH09227737A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及びその用途 | |
JP4984024B2 (ja) | 高分子成型物の製造方法 | |
JPH10230025A (ja) | ワンピースソリッドゴルフボール | |
JP4020631B2 (ja) | ゴルフボール | |
JP3625326B2 (ja) | ゴルフボール |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020205 |