JP4183816B2 - ワンピースゴルフボール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクル可能なボール、特にワンピースゴルフボールの材料として好適な熱可塑性樹脂組成物及び該組成物から高い生産効率で射出成形できるワンピースゴルフボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ソリッドゴルフボールは、ツーピースゴルフボールとワンピースゴルフボールとに大別されており、練習場用ゴルフボールとしては、耐久性に優れていて、且つ安価なワンピースゴルフボールが、主として使用されている。
【0003】
ここでワンピースゴルフボールは、ブタジエンゴムを加硫成形して作製されている。加硫成形は熱可塑性樹脂の成形に比べて時間がかかるため、コストダウン、生産性アップの弊害となっている。また、使用後のボールは焼却などの廃棄処分に付するしかなく、ゴミ減量問題と合わせてリサイクル可能なゴルフボールが要望されている。
【0004】
リサイクル可能なゴルフボールで、且つ打撃スポットがへこむ等の問題が起らないように架橋ゴムが有する復元力をできる限り持たせたゴルフボール材料として、例えば、特開平8―113679号公報に、動的架橋をしたジエン系ゴム(以下、「架橋ゴム」という)粒子を、熱可塑性樹脂中に分散させた熱可塑性樹脂組成物が提案されている。この熱可塑性樹脂組成物は、ゴム弾性を有する架橋ゴム粒子が復元力を発揮するとともに、架橋ゴム粒子が熱可塑性樹脂中に微分散されているので射出成形が可能であり、しかも加熱溶融を繰返しても物性の低下がほとんどないので、リサイクル可能である。さらに、この熱可塑性樹脂組成物を用いるならば、射出成形によりゴルフボールを製造でき、また製造されたゴルフボールは復元力があるので打撃スポットがへこんだりすることがなく、使用寿命が長くなる。
【0005】
ここで、特開平8―113679号公報に記載の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂として、エチレン−アクリル酸共重合体の金属イオン中和物、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属イオン中和物、エチレン−アクリル酸−メタクリル酸三元共重合体の金属イオン中和物などで代表されるアイオノマー樹脂が用いられている。
【0006】
しかし、上記熱可塑性樹脂性組成物は、射出成形した場合に、冷却に時間がかかり生産性が悪いという問題がある。すなわち、上記アイオノマー樹脂は、一般に融点が90℃程度と低いにも拘わらず溶融後の粘度が高いため、良好な射出成形するためには220〜230℃というような高温で射出しなければならない。一方、射出成形により形成される硬化体の取り出しは、融点以下、すなわち90℃以下にまで冷却してからでないと取り出せないが、220〜230℃というような高温から90℃以下までの冷却には時間がかかる。金型に特殊な冷却装置を取り付ける等して冷却時間を短縮することも考えられるが、コストアップの原因となる。また、射出成形時の温度を低めに設定して、射出成形時の温度と融点との温度差を小さくすることにより冷却時間を短縮することも考えられるが、組成物の流動性が不十分な状態で射出成形すると、成形体にしわが生じたり、へこみが生じたりするなどボールのように、高い真球度が要求される成形体の成形には不適当である。
【0007】
さらに、アイオノマーとジエン系ゴムの動的架橋により得られる弾性体は、アイオノマー樹脂による高反発性能を有しているが、ボール表面のクラブフェースとの摩擦係数が低く、ボールを打ったときのスピン量が低減するため、コントロール性が良くないという欠点もあった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、成形性及び生産性を改良したリサイクル可能なボール用熱可塑性樹脂組成物、並びに当該組成物を用いて製造したワンピースゴルフボールを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のボール用熱可塑性樹脂組成物は、ジエン系ゴムを動的架橋してなるゴム微粒子が、熱可塑性エラストマー中に分散されてなることを特徴とする。
【0010】
前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー、及び熱可塑性ポリアミド系エラストマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特に融点が130〜230℃であることが好ましい。また、前記熱可塑性エラストマーと前記ジエン系ゴムの含有重量比率(熱可塑性エラストマー/ジエン系ゴム)は、95/5〜20/80であることが好ましい。
【0011】
本発明のワンピースゴルフボールは、本発明のボール用熱可塑性樹脂組成物の硬化体で形成されたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のゴルフボール用熱可塑性樹脂組成物について説明する。
本発明のゴルフボール用熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー中、架橋ゴム微粒子が分散したものである。
【0013】
本発明の組成物中に用いられる熱可塑性エラストマーは、融点以下では凍結相又は結晶相を示すポリマーブロック又は水素結合により分子運動が拘束されているハードセグメントのポリマーブロックと可塑性を示すソフトセグメントのポリマーブロックとが結合してなるブロックコポリマーで、結合様式は、ハードブロックをHとし、ソフトブロックをSとして、H−S型、H−S−H型、(H−S)n で表されるマルチブロック型、星型など、特に限定しない。
【0014】
具体的には、ハードセグメントがポリスチレンでソフトセグメントがポリブタジエン、ポリイソプレン、又はこれらの水素添加物であるポリスチレン系エラストマー;ハードセグメントがポリエチレン又はポリプロピレンで、ソフトセグメントがブチルゴムやEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三共重合体)であるポリオレフィン系エラストマー;ハードセグメントがポリアミドでソフトセグメントがポリエステル又はポリエーテルであるポリアミド系エラストマー;ハードセグメントがポリエステルでソフトセグメントがポリエーテルであるポリエステル系エラストマー;ハードセグメントがウレタン結合を有するポリウレタン系ブロックでソフトセグメントがポリエステル又はポリエーテルであるポリウレタン系エラストマー;さらにはポリブタジエンブロックにエポキシ基が含有していたり、末端のポリスチレンブロックにOH基が付加されているものなど;及びこれらのエラストマーの2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうち、好ましいのは、ハードセグメントがポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドのエラストマーである。具体的には、ポリエステル系エラストマーとして大日本インキ化学工業株式会社製の「パンデックスT7890」、武田パーディッシュウレタン工業株式会社製の「エラストランET890」「エラストランS90A」等が挙げられる。また、ポリアミド系エラストマーとしては、東レ株式会社製の「ペバックス4033SN」「ペバックス5533SN」等が挙げられる。
【0015】
熱可塑性エラストマーの融点は130〜230℃であることが好ましく、より好ましくは160〜210℃である。この温度範囲に融点を有する熱可塑性エラストマーは、220〜240℃程度でジエン系ゴムの動的架橋及び組成物を射出成形することができ、融点以下に冷却すれば固化して取り出すことができる。つまり、ゴムが劣化しない程度の温度で且つ130℃以上の比較的高融点の熱可塑性樹脂を用いることにより、短時間で冷却固化することができ、射出成形サイクルを短くすることができる。
【0016】
また、このような熱可塑性エラストマーはソフトセグメントの持つ軟質さから、アイオノマーと比べて摩擦係数が大きく、特に湿潤状態のボールに対して、摩擦係数の低減が少なくて済むため、湿潤状態のボールに対してもスピンをかけることができる。すなわち、濡れた状態でのボールのコントロール性の低下が少なくて済むという効果がある。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、以上のような熱可塑性エラストマー中に、ジエン系ゴムを動的架橋してなるゴム粒子(架橋ゴム粒子)が分散したものである。
【0018】
ここで、本発明に用いられるジエン系ゴムは、分子内にジエン成分を有しているゴムであればよく、例えば、エチレンプロピレンジエン3元共重合体(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。これらのうち、反発性を重視する場合には、BRやIR等の高反発弾性ゴムを用いることが好ましく、加工性を重視する場合は反発性を確保できる範囲内でEPDM等の耐熱性且つ高流動性ゴムを用いることが好ましい。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性エラストマーとジエン系ゴムの重量混合比(熱可塑性エラストマー:ジエン系ゴム)は、95:5〜20:80、特に80:20〜40:60、より好ましくは80:20〜60:40となる量だけ配合されていることが好ましい。ジエン系ゴムの相対的含有量が少なくなり過ぎると塑性変形に対する復元力が低下し、また硬くなりすぎて打球感が低下する。一方、ジエン系ゴムの配合割合が多くなりすぎると、塑性物の流動性が悪くなって、成形性が低下するからである。ここで、本発明では、組成物におけるマトリックス樹脂として熱可塑性エラストマーを用いているので、従来のようにアイオノマーを用いた場合よりもジエン系ゴムの含有割合を少なくできる。つまり、熱可塑性エラストマーは、ソフトセグメントが衝撃変形を吸収するので、塑性変形がアイオノマーよりも起こりにくい。このことは、復元性を確保するために必要なジエン系ゴム量を減らすことができ、ひいては熱可塑性樹脂性樹脂組成物の流動性を上げることができることになる。
【0020】
上記ジエン系ゴムの他、上記ジエン系ゴムの一部を変性してなるゴム、具体的にはカルボキシル基変性ジエン系ゴム、無水マレイン酸変性ジエン系ゴム、エポキシ基変性ジエン系ゴム、グリシジル基変性ジエン系ゴムなどを用いてもよい。但し、これらの変性ゴムは、反発性能を確保する観点から、ゴム成分全体の10重量%以下、好ましくは5重量%以下、また熱可塑性エラストマー100重量部に対して30重量部以下、好ましくは20重量部以下とすることが好ましい。
【0021】
上記ジエン系ゴムを架橋するのに用いられる架橋剤としては、特に限定せず、硫黄と加硫促進剤の併用、硫黄のみ、加硫促進剤のみ、オキシム、樹脂架橋剤などが挙げられ、これらは1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0022】
具体的には、粉末硫黄;亜鉛華と過酸化物との組合わせ;アクリル酸亜鉛、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸又はその金属塩;p−ベンゾイルキノンオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシム等のオキシム系架橋剤;アルキルフェノール−ホルムアルデヒド、臭素化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド、フェノール樹脂、クマロン樹脂等の樹脂架橋剤;ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N′−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、ヘキサメチレンテトラミン、メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、4,4′−ジチオ−ビス−ジモルフォリンン等の有機硫黄化合物などが挙げられる。
【0023】
架橋剤の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは1重量部以上である。0.1重量部未満では動的架橋が行われず、ジエン系ゴムの微粒子化が困難だからである。一方、20重量部を超えると、反発性の増加が殆ど認められない反面、架橋に利用されなかった過剰分の架橋剤が成形体(ゴルフボール)においてブルームの原因となったりするからである。
【0024】
本発明の組成物には、上記熱可塑性エラストマー及びジエン系ゴムの他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂を含有する場合には、エラストマー100重量部に対して、30重量部以下とすることが好ましく、より好ましくは20重量部以下とすることである。30重量部を超えると、反発性が低下するからである。
【0025】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、相溶化剤、可塑剤、顔料などの充填剤が適宜配合され得る。特に、相溶化剤は配合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂と架橋ゴム粒子とは相溶性が低いため、摩擦熱によるエネルギーロスが大きくなるので、相溶化剤の含有により摩擦熱を低減してヒステリシスロスを少なくできるからである。
【0026】
以上のような配合組成を有する熱可塑性樹脂組成物を動的架橋に付すると、上記ジエン系ゴムが動的架橋されて架橋ゴム粒子となって、エラストマー組成物中に分散された本発明のボール用熱可塑性樹脂組成物となる。
【0027】
ここで動的架橋とは、本発明の組成物の調製時に行なう混練工程、成形用ペレットやコンパウンドを調製する工程、さらには成形時の押し出し工程など、キャビティ内に組成物を充填するまでに行われる加硫乃至架橋をいう。いずれにしても、動的架橋できる条件に設定しておくことにより、混練り工程、押し出し工程、可塑化工程等でジエン系ゴムの動的架橋を行なうことができる。
【0028】
動的架橋は、組成物の温度をマトリックス樹脂である熱可塑性エラストマーの溶融温度よりも高温、好ましくは10〜30℃高い温度で、具体的には160〜250℃で行なうことが好ましく、より好ましくは190〜220℃で行なう。下限温度は、熱可塑性エラストマーの種類(融点)により組成物を押し出しするのに必要な温度が適宜選択される。一方、動的架橋時の温度が高くなりすぎると、架橋が速く進みすぎて架橋ゴム粒子の分散が悪くなり、また熱可塑性樹脂が劣化するので、250℃以下とすることが好ましい。
【0029】
混練りは、従来から採用されている密閉型混練機、ニーダー、バンバリー、オープンロール等の各種混練り機を用いて行ない、均一に混練したものを成形に用いてもよいし、射出成形のように材料の溶融押し出し時に混練を行ってもよい。生産効率の面では、押し出し機で溶融押し出しする際に、混練り、動的架橋を行なうことが好ましい。
【0030】
このようにしてジエン系ゴムが動的架橋された架橋ゴム微粒子となって熱可塑性エラストマー中に分散されている熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーの加熱溶融状態において、架橋ゴム微粒子が無機充填材のような挙動を示す。従って、架橋ゴム微粒子が分散されているにも拘らず射出成形に供することができ、また、架橋ゴム微粒子が劣化しない限りにおいては、熱可塑性エラストマーを溶融して再び成形することが可能なので、リサイクル可能な成形体を提供することができる。分散しているゴム粒子が、動的架橋により加硫ゴムの状態となっているため、成形品(例えばゴルフボール)の状態において、ゴム弾性を発揮して、復元力を確保できる。
【0031】
本発明のワンピースゴルフボールは、以上のような構成を有する弾性体からなるものである。すなわち、上記熱可塑性樹脂性組成物を用いてゴルフボールに成形したものである。成形方法は、熱可塑性樹脂を成形する方法であれば使用することができ、射出成形、プレス成形などにより作製することができる。
【0032】
成形温度、例えば射出成形機のシリンダ設定温度は、熱可塑性樹脂組成物のマトリックス樹脂である熱可塑性エラストマーが溶融する温度であればよいが、成形体の形状維持、具体的にはボールの真球度を確保する点から、ある程度粘度を低くする必要がある。よって、融点より20℃以上高いことが好ましく、具体的には、熱可塑性エラストマーの種類(融点)により適宜選択されるが、180〜250℃、好ましくは190〜220℃である。成形温度が低すぎると、樹脂の流動性が低下し、成形品において樹脂の流れ不良に起因する傷が発生しやすくなるからである。一方、成形温度が高くなりすぎると、熱可塑性樹脂が劣化するだけでなく、ゴム焼けが起こり、含有されている架橋ゴム粒子のゴム弾性の低下、ひいては成形品の復元力の低下をもたらすからである。
【0033】
また、金型温度は、5〜90℃が好ましく、より好ましくは15〜80℃である。金型温度を低く設定することにより冷却速度を速めることができるが、低すぎるとキャビティ内に完全に充填されるまでに樹脂が冷却固化しはじめて、真球度が高い成形体が得られない場合が生じたり、ウェルドラインが生じ、割れの原因となることがある。
【0034】
本発明のワンピースゴルフボールは、本発明の上記熱可塑性樹脂組成物の性質に基づいて、従来よりも成形サイクルを短くすることができ、しかも成形性がよく、また湿潤状態においてもグラブフェースとの摩擦係数の低減が少なく、コントロール性を確保することができる。しかも加熱溶融して再度利用することができるというリサイクル性があるので、現在の環境問題にも対処できる。
【0035】
【実施例】
〔測定方法、評価方法〕
▲1▼反発係数
静止しているゴルフボールに198.4gの金属円筒物を45m/sの速度で衝突させ、衝突前後の円筒物及びゴルフボールの速度を測定し、夫々の速度及び重量から算出結果を、参考例(アイオノマー100重量部でジエン系ゴムを含有しない組成物で製造したボール)の反発係数を100として指数化した。指数が大きい程反発力が大きいことを示す。
【0036】
▲2▼成形性
各弾性材を用いてゴルフボールを射出成形し、目視で判別可能なボールのへこみ及び/又はしわの有無を観察した。肉眼でへこみ及びしわが認められない場合を「◎」、ゲート部分のへこみが認められ真球度が低下していた場合を「○」、目視にて認められるようなへこみ、内部気泡が認められた場合を「△」とした。
【0037】
▲3▼形状維持性
45m/secで100回鉄板に打撃した後のボールの最大外径及び最小外径をダイヤルゲージで測定し、〔最外外径−最小外径〕の値を算出した。算出値が0.3mm未満では「3」、0.3〜0.5mmでは「2」、0.5mm超では「1」と点数評価した。つまり、真球度を3段階で評価し、数字が大きい程、真球度が高いことを意味する。
【0038】
▲4▼コントロール性
ボールを水でぬらした状態で9番アイアンで各ゴルファーが5回づつ打撃を行ない、ボール落下点からボール停止点までの距離(ラン)を測定し、5回の平均値(m)を算出した。平均値が2m未満の場合を「○」、2m〜4m未満を「△」、4m以上の場合を「×」とした。
【0039】
▲5▼冷却時間
参考例(アイオノマー100重量部でジエン系ゴムを含有しない組成物で成形したゴルフボール)の冷却時間を100として、指数化した。指数が小さい程、冷却時間が短いことを示している。
【0040】
〔ワンピースゴルフボールの作製〕
(A)熱可塑性エラストマー含有の効果:
表1に示すような配合組成を有する熱可塑性樹脂組成物を調製した。熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(東レデュポン株式会社製のハイトレル4767(融点約200℃))を使用し、アイオノマーとしてはデュポン社製のサーリンAD8511とサーリンAD8512との等量混合物(融点:90℃)を用いた。ジエン系ゴムとしてJSR製のBR01(ブタジエンゴムの商品名)を用いた。架橋剤としては、樹脂架橋剤である田岡化学社製のタッキロール250―3(臭素化アルキルフェノールーホルムアルデヒド樹脂)を用いた。
【0041】
調製した熱可塑性樹脂組成物を、二軸押出機を用いて均一に混練して押し出すことにより、ブタジエンゴムが動的架橋されたペレットを作製した。熱可塑性樹脂性樹脂としてエラストマーを用いた場合には、動的架橋温度を230℃とし、アイオノマーを用いた場合には200℃とした。
【0042】
次に、得られたペレットを用いて230℃(参考例及び従来例については220℃)に設定した射出成形機で、No.1〜5及び参考例のワンピースゴルフ(外径約42mm、重量45.1〜45.6g)を射出成形した。金型温度は40℃とした。
【0043】
得られたゴルフボールについて、上記測定・評価方法に基づいて、反発係数、成形性、冷却時間、形状維持性、コントロール性について測定・評価した。各配合組成及び測定・評価結果について、表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0004183816
【0045】
表1からわかるように、熱可塑性樹脂として熱可塑性エラストマーを用いたものは、従来例よりも冷却時間を随分短くすることができた。また、熱可塑性エラストマーの含有量を40重量部以上、好ましくは60〜80重量部とすることにより、反発係数、成形性を従来例と同程度に保ちつつ、しかも形状維持性、コントロール性を従来例よりも優れたゴルフボールを得ることができた。
【0046】
(B)熱可塑性エラストマーの種類とその効果:
熱可塑性エラストマーの種類を表2に示すように変えた以外は、No.3と同様にしてワンピースゴルフボールを作製した。ここで、ポリアミド系エラストマーとしては、東レ株式会社製のペバックス4033SN(融点:168℃)、ポリウレタン系エラストマーとしては武田バーディシュウレタン工業株式会社製のエラストランET858D(融点:180℃)を用いた。そして、動的架橋はポリアミド系エラストマーの場合は200℃で行ない、ポリウレタン系エラストマーの場合は210℃で行なった。また、射出成形は、ポリアミド系エラストマー及びポリウレタン系エラストマーいずれの場合も220℃で行なった。
【0047】
作製したゴルフボールについて、上記測定・評価方法に基づいて、反発係数、成形性、冷却時間、形状維持性、コントロール性について測定・評価した。各配合組成及び測定・評価結果について、表2に示す。参考例及び従来例も併せて示す。
【0048】
【表2】
Figure 0004183816
【0049】
表2からわかるように、熱可塑性エラストマーの種類を変えても、成形性、形状維持性、コントロール性は同程度であったが、熱可塑性エラストマーの種類によって冷却時間が異なった。融点が高い程、冷却時間は短くて済み、また反発性も高い傾向にあった。従って、融点が200℃程度のポリエステル系エラストマーを用いた場合に、反発性に優れたボールを高い生産効率で生産することができることがわかる。
【0050】
【発明の効果】
本発明のボール用熱可塑性樹脂組成物を用いれば、従来のボール用熱可塑性樹脂組成物と比べて、成形性、反発性を損なうことなく、射出成形における冷却時間を短くでき、高い生産性で、真球度の高いボールを生産することができる。
【0051】
本発明のワンピースゴルフボールは、射出成形に供することができる本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いているので、リサイクル可能なボールであって、しかも従来よりも短い成形サイクルで、従来と同程度の反発性を有している。

Claims (3)

  1. ジエン系ゴムを動的架橋してなるゴム微粒子が、熱可塑性ポリエステル系エラストマー,熱可塑性ポリウレタン系エラストマー,及び熱可塑性ポリアミド系エラストマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー中に分散されてなる熱可塑性樹脂組成物の硬化体で形成されたことを特徴とするワンピースゴルフボール。
  2. 前記熱可塑性エラストマーは、融点が130〜230℃である請求項1に記載のワンピースゴルフボール。
  3. 前記熱可塑性エラストマーと前記ジエン系ゴムの含有重量比率(熱可塑性エラストマー/ジエン系ゴム)は、95/5〜20/80である請求項1又は2に記載のワンピースゴルフボール。
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