JP4038270B2 - 成形性に優れた弾性材及びその製造方法並びに当該弾性材を用いたワンピースゴルフボール - Google Patents
成形性に優れた弾性材及びその製造方法並びに当該弾性材を用いたワンピースゴルフボール Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は成形性に優れた弾性材及びその製造方法並びに当該弾性材からなるワンピースゴルフボールに関するものであり、反発性を損なうことなく、打球感を確保し、しかも成形性に優れ、且つリサイクル可能なワンピースゴルフボールの材料として好適な弾性材及びその製造方法並びに当該弾性材からなるワンピースゴルフボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ソリッドゴルフボールは、ツーピースゴルフボールとワンピースゴルフボールとに大別されており、練習場用ゴルフボールとしては、耐久性に優れていて、且つ安価なワンピースゴルフボールが、主として使用されている。
【0003】
ここでワンピースゴルフボールは、ブタジエンゴムを加硫成形して作製されている。加硫成形は熱可塑性樹脂の成形に比べて時間がかかるため、コストダウン、生産性アップの弊害となっている。また、使用後のボールは焼却などの廃棄処分に付するしかなく、ゴミ減量問題と合わせてリサイクル可能なゴルフボールが要望されている。
【0004】
リサイクル可能なゴルフボールとして、熱可塑性エラストマー、特に反発性能に優れたアイオノマーを射出成形したワンピースゴルフボールが考えられる。しかし、全体を硬いアイオノマーで作製したワンピースゴルフボールは、打球感が硬くなりすぎる。一方、適度な打球感を有する程度の硬さに成形した場合、ツーピースボールや糸巻きゴルフボールのように外皮がガードされていないので、打撃による歪み量が大きく、しかも復元力がないので打撃スポットがへこむ等の問題があった。
【0005】
射出成形可能で、且つ架橋ゴムが有する復元力をできる限り持たせるとともに打球感も改善したゴルフボール材料として、熱可塑性樹脂にゴムをブレンドした組成物が提案されている。例えば、特開平8―113679号公報に、動的架橋をしたジエン系ゴム(以下、「架橋ゴム」という)粒子を、熱可塑性樹脂中に分散させたエラストマー組成物が開示されている。このエラストマー組成物は、ゴム弾性を有する架橋ゴム粒子が復元力を発揮するとともに、架橋ゴム粒子が熱可塑性樹脂中に微分散されているので、射出成形が可能であり、しかも加熱溶融を繰返しても物性の低下がほとんどないので、リサイクル可能である。さらに、このエラストマー組成物を用いるならば、射出成形によりゴルフボールを製造でき、また製造されたゴルフボールは復元力があるので打撃スポットがへこんだりすることがなく、使用寿命が長くなる。
【0006】
ここで、特開平8―113679号公報に記載のエラストマー組成物は、ジエン系ゴムとして、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)などが挙げられており、熱可塑性樹脂とジエン系ゴムとの含有比率(熱可塑性樹脂:ジエン系ゴム)としては、30:70〜95:5が記載されている。
【0007】
しかし、上記比率で上記ジエン系ゴムを配合し、動的架橋してなるエラストマー組成物は、射出成形が可能であるものの、組成物の流動性が充分でなく、成形体にしわが生じたり、へこみが生じたりするなど、成形性が充分とはいえない。このことは、エラストマー組成物中に配合するジエン系ゴムの配合割合が大きくなるほど組成物の流動性が低下し、顕著となる。一方、エラストマー組成物中に配合するジエン系ゴムの配合割合を小さくすることにより、成形性を上げ、反発係数を上げることができるが、硬くなりすぎて、打撃時の衝撃が大きくなりすぎる。すなわち、打球感が低下する。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、反発性能、打球感を損なうことなく、成形性を改良したリサイクル可能なワンピースゴルフボール、並びに当該ワンピースゴルフボールを提供できる弾性材及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の成形性に優れた弾性材の製造方法は、アイオノマーを含有する熱可塑性樹脂中で、液状ジエン系ゴム及び固形状ジエン系ゴムを樹脂架橋剤の存在下、動的架橋する工程を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の成形性に優れた弾性材は、アイオノマーを含有する熱可塑性樹脂中に架橋ゴム微粒子が分散されている弾性材において、前記架橋ゴム微粒子は、液状ジエン系ゴム及び固形状ジエン系ゴムを樹脂架橋剤の存在下、動的架橋されてなるものであることを特徴とする。前記固形状ジエン系ゴムと前記液状ジエン系ゴムとの含有量比率(液状ジエン系ゴム/固形状ジエン系ゴム)は0.01〜0.5であり、且つ前記熱可塑性樹脂と前記ジエン系ゴム総量との含有重量比(熱可塑性樹脂:ジエン系ゴム)は、35:70〜95:5であることが好ましい。本発明のワンピースゴルフボールは、本発明の弾性材を用いて作製したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の成形性に優れた弾性材について、その製造方法とともに説明する。
【0012】
本発明の成形性に優れた弾性材は、熱可塑性樹脂中に架橋ゴム微粒子が分散されている弾性材において、前記架橋ゴム微粒子は、液状ジエン系ゴム及び固形状ジエン系ゴムを架橋剤により動的架橋したものである。
【0013】
本発明の弾性材中に用いられるアイオノマーを含有する熱可塑性樹脂は、融点80〜170℃以下のアイオノマーを含有する熱可塑性樹脂が好ましい。アイオノマー以外の樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらのうち、融点80〜150℃の熱可塑性樹脂であり、高反発性を達成し得るアイオノマーが好ましく用いられる。
【0014】
アイオノマーとしては、高強度、高弾性であるという点から従来よりツーピースゴルフ用のカバーとして用いられているアイオノマー、すなわちα―オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸共重合体の金属イオン中和物が好ましく用いられる。共重合体を中和する金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等の1価金属イオン;亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、銅イオン、マンガンイオンなどの2価金属イオン;アルミニウムイオン、ネオジウムイオンなどの3価金属イオンなどが挙げられるが、特に亜鉛イオンが金属イオン凝集体の結合力が大きいので好ましい。凝集体の結合力が大きくなる程、機械的特性が向上し、反発性が向上するからである。尚、融点が80〜170℃、特に80〜150℃が好ましいとしたのは、高融点の樹脂を用いると、樹脂の加熱溶融工程、すなわち動的架橋工程、成形工程でゴムが熱劣化して、ゴムによる復元力が低下するからである。
【0015】
上記のようなアイオノマーの具体例としては、三井デュポンポリケミカル株式会社製のハイミラン1605(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1707(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1706(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミランAM7315(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミランAM7317(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1555(ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、ハイミラン1557(亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、エクソン株式会社製のアイオテック8000(ナトリウムイオン中和エチレン−アクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)、デュポン社製のサーリン930(リチウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂の商品名)などが挙げられる。
【0016】
本発明の弾性材に含まれている架橋ゴム微粒子は、液状ジエン系ゴム及び固形状ジエン系ゴムを動的架橋されてなるものである。
【0017】
ここで、固形状ジエン系ゴムとは未加硫状態において固体状態を示す一般的ゴムで、具体的には数平均分子量が5000を超えるゴムをいう。固形状ジエン系ゴムの種類としては分子内にジエン成分を有しているゴムであればよく、例えば、エチレンプロピレンジエン3元共重合体(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。これらのうち、反発性を重視する場合には、BRやIR等の高反発弾性ゴムを用いることが好ましく、加工性を重視する場合は反発性を確保できる範囲内でEPDM等の耐熱性且つ高流動性ゴムを用いることが好ましい。
【0018】
液状ジエン系ゴムとは、未加硫状態において固体状態を示す一般的ジエン系ゴムよりも分子量が小さく、未加硫且つ常温状態で液体状態を示すゴムである。液状ジエン系ゴムは固形状ジエン系ゴムよりも熱可塑性樹脂中の分散性が良好であるため、動的架橋により得られる架橋ゴム微粒子の粒径を小さくすることができるととともに、弾性材における架橋ゴム微粒子の分散性を高めることができると考えられる。
【0019】
液状ジエン系ゴムの種類は特に限定しないが、液状多硫化物系合成ゴム、液状NBR、液状SBR、液状BRなどが一般に用いられている。このような液状ジエン系ゴムは通常の高分子量のゴム(固形状ジエン系ゴム)を解重合することにより得られ、一般に数平均分子量が5000以下、好ましくは4000以下で、500以上である。液状ゴムは、分子量が小さい程、弾性材における粘度低下効果は大きいが、分子量が500未満になると、取扱い性が悪くなるからである。
【0020】
配合するジエン系ゴム量のうち、液状ジエン系ゴムと固形状ジエン系ゴムとの重量含有割合(液状ジエン系ゴム/固形状ジエン系ゴム)は、0.01〜0.5、さらに0.45以下、特に0.4以下であることが好ましい。液状ジエン系ゴムの含有割合が高くなるほど、得られる弾性体の粘度は低くなって成形性は向上する傾向にあるが、全体が軟らかくなって反発性が低下する傾向にあるからである。また、液状ジエン系ゴムを配合することによる成形性向上の効果を十分に達成するためには、液状ジエン系ゴムと固形状ジエン系ゴムとの重量含有割合(液状ジエン系ゴム/固形状ジエン系ゴム)は0.05以上、特に0.1以上とすることが好ましい。
【0021】
本発明の弾性体における熱可塑性樹脂とジエン系ゴム(固形状ジエン系ゴムと液状ジエン系ゴムとの総量)の重量混合比(アイオノマー:ジエン系ゴム)は、35:65〜95:5、特に35:65〜80:20となる量だけ配合されていることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量がジエン系ゴムの配合量に対して多量になりすぎると成形性、反発性は向上するが、硬くなりすぎて打球感が低下する。一方、ジエン系ゴムの配合割合が多くなりすぎると、射出成形性が低下し、弾性材から作成されるボールの打撃時の変形が大きくなって反発性が低下するからである。
【0022】
上記ジエン系ゴムは、動的架橋された架橋ゴム粒子として、本発明の弾性材中に含有されている。このような弾性材は、熱可塑性樹脂、液状ジエン系ゴム及び固形状ジエン系ゴム、並びに架橋剤を配合してなる熱可塑性樹脂組成物を調製し、液状ジエン系ゴム及び固形状ジエン系ゴムを架橋剤で動的架橋することにより得られる。
【0023】
本発明に用いられる架橋剤としては、過酸化物以外であれば特に限定されることはなく、硫黄と加硫促進剤の併用、硫黄のみ、加硫促進剤のみ、オキシム、樹脂架橋剤などが挙げられる。熱可塑性樹脂としてアイオノマーを用いる場合には、上記架橋剤のうち樹脂架橋剤が最も好ましく用いられる。樹脂架橋剤は、一般にゴムに用いられる加硫剤である硫黄やオキシム系加硫剤と比べて極性を有しないので、混練から成形時に到るまでの動的架橋を行わせる際においても、アイオノマーのイオンクラスターに対してほとんど影響を及ぼすことがない。従って、混練から成形時に到るまでの動的架橋を行わせる際においても、アイオノマーの架橋構造を保持しつつ、換言すると反発性をはじめとする機械的特性を保持しつつ架橋されたジエン系ゴム粒子の微分散を達成することができるからである。
【0024】
尚、樹脂架橋剤としては、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド、臭素化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド、フェノール樹脂、クマロン樹脂等が挙げられる。
【0025】
架橋剤の配合量は、ジエン系ゴム100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは1重量部以上である。0.1重量部未満では動的架橋が行われず、ジエン系ゴムの微粒子化が困難だからである。一方、20重量部を超えると、反発性の増加が殆ど認められない反面、架橋に利用されなかった過剰分の架橋剤が成形体(ゴルフボール)においてブルームの原因となったりするからである。
【0026】
動的架橋に付する熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂、液状ジエン系ゴム、固形状ジエン系ゴム、及び架橋剤の他に、さらに必要に応じて、相溶化剤、可塑剤、顔料などの充填剤を適宜配合してもよい。特に、相溶化剤は配合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂と架橋ゴム粒子とは相溶性が低いため、摩擦熱によるエネルギーロスが大きくなるので、相溶化剤の含有により摩擦熱を低減してヒステリシスロスを少なくできるからである。
【0027】
以上のような配合組成を有する熱可塑性樹脂組成物を、動的架橋に付する。ここで、動的架橋とは、本発明の弾性材の製造時に行なう混練工程、さらには成形時の押し出し工程で進行する加硫乃至架橋をいう。ジエン系ゴムの動的架橋は成形時までに行われればよく、具体的には、上記化合物を配合して均一に混練する際、あるいは射出成形や押し出し成形の際の成形材料の加熱溶融工程で行われてもよい。いずれにしても、動的架橋を行なう工程では、動的架橋条件に設定しておくことにより、混練り工程、押し出し工程、可塑化工程等でジエン系ゴムの動的架橋を行なうことができる。そして、いずれの工程においても、液状ジエン系ゴムは固形状ジエン系ゴムに比べて、熱可塑性樹脂中に均一に分散されやすく、均一に微分散された状態で動的架橋が達成されることとなる。そして、液状ゴムは、鎖延長しつつ動的架橋されて、固形状ジエン系ゴムと同様に架橋ゴム粒子となる。従って、本発明の弾性材は、従来の固形状ゴムを動的架橋させて得られる弾性材よりも架橋ゴム微粒子の分散の程度が高くなっていると考えられる。しかも個々の架橋ゴム粒子としては固形状ジエン系ゴムのみを用いた場合と同様の優れたゴム弾性を有していると考えられる。
【0028】
混練りは、従来から採用されている密閉型混練機、ニーダー、バンバリー、オープンロール等の各種混練り機を用いて行ない、均一に混練したものを成形に用いてもよいし、射出成形のように材料の溶融押し出し時に混練を行ってもよい。生産効率の面では、押し出し機で溶融押し出しする際に、混練り、動的架橋を行なうことが好ましい。
【0029】
動的架橋は、組成物の温度を架橋剤の反応温度より高温、好ましくは樹脂加硫剤の活性温度より10〜30℃高い温度で行なうことが好ましく、具体的には160〜230℃で行なうことが好ましい。動的架橋時の温度が低い場合はジエン系ゴムの架橋が十分に進行せず、また、たとえ架橋が生じたとしても架橋速度が遅いために作業効率が悪くなり、さらには組成物の流動性が低下し、ジエン系ゴムの分散が不充分となるからである。一方、動的架橋時の温度が上記範囲より高くなると、架橋が速く進みすぎて分散が悪くなり、また熱可塑性樹脂が劣化するからである。
【0030】
ここで、押し出し工程で動的架橋を行わせる場合、押し出し機のシリンダの部分の設定温度は、樹脂加硫剤の活性化反応温度より20℃程度低い温度に設定しても足りる。混練りにより発生する摩擦熱によって、押し出し機等の温度が架橋温度より低くても、組成物の温度は架橋温度以上にまで上昇するからである。
【0031】
このようにして動的架橋を行なって得られる本発明の弾性材は、ジエン系ゴムが架橋剤により加硫された架橋ゴムの微粒子となって、熱可塑性樹脂中に微分散された状態となっている。かかる状態では、熱可塑性樹脂の加熱溶融状態において、架橋ゴム微粒子が無機充填材のような挙動を示す。そして、その流動性は、熱可塑性樹脂の種類、架橋ゴム微粒子の含有量が同じであっても、ジエン系ゴムとして固体状ゴムのみを用いた場合よりも、液状ジエン系ゴム及び固形状ジエン系ゴムの混合物を用いた方が得られる弾性体の粘度が小さくなる。このことは、動的架橋により形成された架橋ゴム粒子の分散の程度が、液状ジエン系ゴムを混合した方が小さくなるためと考えられる。弾性体の溶融粘度と成形性とは一義的関係にあり、粘度が小さい程、成形性に優れている。つまり、架橋ゴム微粒子が分散されているにも拘らず射出成形時の流れ性が良好で、成形時の不良発生が少なくて済む。
【0032】
本発明の弾性体において、成形温度(熱可塑性樹脂の種類、成形方法により異なるが、例えばアイオノマーの場合には200℃〜220℃)におけるモンサント加工性試験機(MPT)を用いて測定した粘度(Pa・sec)が、5000Pa・sec以下、好ましくは4300Pa・sec以下、特に4200Pa・sec以下であることが好ましい。この様な粘度では、成形性を満足することができる。すなわち、所定量を成形機に押し出し、射出する際の制御が行いやすく、歩留りが少なくて済む。
【0033】
ここで、成形温度における粘度が低い程、成形性に優れることは一般に知られていることであり、弾性剤中の架橋ゴム粒子の含有量、換言すると熱可塑性樹脂組成物中のジエン系ゴム含有量が少なくなる程、弾性材中の粘度が下がることは周知である。しかし、本発明において、反発性、打球感が同程度となるように熱可塑性樹脂とジエン系ゴムとの含有量比率を一定にした場合に、ジエン系ゴムの含有比率に応じて粘度を下げ、成形性を上げることが可能となる。
【0034】
そして、本発明の弾性材は、加熱溶融を繰返しても熱可塑性樹脂の加熱溶融が繰返されるだけで、架橋ゴム微粒子は加熱溶融工程で無機充填材のような挙動を示し続けることができるので、物性の低下がほとんどなく、リサイクル可能となる。さらに、分散しているゴム粒子が、動的架橋により加硫ゴムの状態となっているため、成形品(例えばゴルフボール)の状態において、ゴム弾性を発揮することができる。この架橋ゴム粒子の働きにより、復元力を発揮することができる。
【0035】
本発明の弾性材は、曲げ弾性率が600kgf/cm2 以上、好ましくは1000kgf/cm2 以上で、3000kgf/cm2 以下、好ましくは2500kgf/cm2 以下、更に好ましくは1300kgf/cm2 以下である。曲げ弾性率が600kgf/cm2 未満では、反発性が低くなりすぎるからである。一方、3000kgf/cm2 を超えると、相対的に架橋ゴム微粒子の含有量が少なくなっているので、打球感が硬くなりすぎるからである。
【0036】
本発明のワンピースゴルフボールは、以上のような構成を有する弾性体からなるものである。すなわち、上記弾性体を用いてゴルフボールに成形したものである。成形方法は、熱可塑性樹脂を成形する成形方法であれば特に限定しないが、射出成形、プレス成形などにより作製することができる。成形温度は、160〜230℃の範囲、特に190〜230℃で、使用する熱可塑性樹脂の種類、成形方法により適宜選択することが好ましい。成形温度が低すぎると、樹脂の流動性が低下し、成形品において樹脂の流れ不良に起因する傷が発生しやすくなるからである。一方、成形温度が高くなりすぎると、熱可塑性樹脂が劣化するだけでなく、ゴム焼けが起こり、含有されている架橋ゴム粒子のゴム弾性の低下、ひいては成形品の復元力の低下をもたらすからである。
【0037】
本発明のワンピースゴルフボールは、本発明の上記弾性材の性質に基づいて、成形時の歩留りがよく、しかも打球時の変形に対するヒステリシスロスが小さくて済み、反発性に優れている。しかも加熱溶融して再度利用することができるというリサイクル性があるので、現在の環境問題にも対処できる。
【0038】
【実施例】
〔測定方法、評価方法〕
▲1▼曲げ弾性率(kgf/cm2 )
二軸押出機を用いて製造したペレット状の中間材料を金型を用いてプレス成形し、さらにそのプレス成形物から縦×横×厚みが80mm×13mm×2mmのサンプルを切り取り、このサンプルについて、JIS K7106に規定するオルゼン曲げ試験に準じて測定した。
【0039】
▲2▼粘度
二軸押出機を用いて均一に混練して得た弾性材について、図1に示すようなモンサント加工性試験機(MPT)を用いて、温度210℃の条件で見かけの粘度を測定した。尚、測定に用いたMPTのオリフィスの長さ(l)とオリフィスの内径(d)の割合(l/d)は30であり、せん断速度を100sec-1に設定した。
【0040】
粘度と成形性(評価方法については下記▲4▼参照)の関係は、図2に示すように相関関係があり、歩留りの観点から粘度(Pa・sec)は4300Pa・sec以下が好ましく、成形性100%とするためには4200Pa・sec以下であることが好ましいことがわかる。
【0041】
▲3▼反発係数
静止しているゴルフボールに198.4gの金属円筒物を45m/sの速度で衝突させ、衝突前後の円筒物及びゴルフボールの速度を測定し、夫々の速度及び重量から算出結果を、従来の弾性体(アイオノマー60重量部と固形状ゴム40重量部、樹脂架橋材4重量部からなる熱可塑性樹脂組成物を動的架橋してなる弾性体で、下記表1のNo.1に該当する)の反発係数を100として指数化した。指数が大きい程反発力が大きいことを示す。
【0042】
▲4▼成形性
各弾性材を用いて、100個のゴルフボールを射出成形し、目視で判別可能なボールのへこみ及び/又はしわの有無を観察した。100個のボール中、しわ、へこみを生じなかったボールの製造割合(%)を表す。かかる割合が高い程、成形性が良好であることを示す。
【0043】
▲5▼打球感
中級ゴルファー5人が金属ヘッドを有するウッド型ゴルフクラブを用いて各ボールを打球したときの打球時の衝撃の少なさを、No.1のボールの打球感を3点として、5段階(5:衝撃が非常に少ない、4:衝撃が小さい、2:衝撃が大きい、1:衝撃が非常に大きい)の5段階評価で表した。
【0044】
〔ワンピースゴルフボールの作製〕
熱可塑性樹脂として、デュポン社製のアイオノマーであるサーリンAD8511とサーリンAD8512との等量混合物(融点:90℃)を用いた。固形状ジエン系ゴムとして、JSR製のBR01(ブタジエンゴムの商品名)又は住友化学製のエスプレン505A(EPDMの商品名)を用いた。液状ジエン系ゴムとしては、日本曹達製のB−1000(数平均分子量1000のブタジエンホモポリマー)、同日本曹達製のC−1000(数平均分子量1300のポリブタジエンジカルボン酸)、クラレ製のLIR−390(数平均分子量4000のLIR−390のポリイソプレン)を用いた。架橋剤としては、樹脂架橋剤である田岡化学社製のタッキロール250―3(臭素化アルキルフェノールーホルムアルデヒド樹脂)を用いた。
【0045】
アイオノマーとジエン系ゴムとの混合比率を一定にし、ジエン系ゴムにおける液状ゴムと固形状ゴムとの混合割合を表1に示すように変えた以外は同様にした熱可塑性樹脂組成物を調製し、二軸押出機を用いて均一に混練して押し出すことによりペレット状の弾性材を作製し、この弾性材を用いて190〜220℃の条件で射出成形機で、No.1〜8のワンピースゴルフ(外径約42mm、重量45.1〜45.6g)を射出成形した。二軸押出機における混練及び押し出し条件は、160〜200℃であり、主として、この二軸押し出し機における混練及び押し出し工程の段階で動的架橋を起こさせた。得られた弾性材及びゴルフボールについて、上記測定・評価方法に基づいて、曲げ弾性率、粘度、反発係数、成形性、打球感について測定・評価した。各配合組成及び測定・評価結果について、表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1において、No.1〜6から、ジエン系ゴムにおける液状ゴムの含有割合が高いほど、粘度が小さくなり、打球感を満足することができるが、ジエン系ゴムにおける液状ゴムと固形状ゴムの含有量比率(液状ゴム/固形状ゴム)が0.5を超えると反発係数が低下することがわかる(No.6参照)。一方、ジエン系ゴムにおいて、液状ゴムを全く含有しない場合(No.1)は成形性が低く、打球感が低下する。つまり、ジエン系ゴムとアイオノマーの総重量(T=100)に対するアイオノマーの含有量(R=60)の割合(R/T)が60/100の場合には、粘度を4300Pa・sec以下、好ましくは4200Pa・sec以下とすることにより優れた成形性を確保できることがわかる。
【0048】
また、No.3,7,8から、液状ゴムの混合割合が同じでも、液状ゴムの分子量が高くなるほど、粘度が高くなり、成形性の観点から、分子量が小さい液状ゴムを用いる方が好ましいことがわかる。
【0049】
次に、アイオノマーとジエン系ゴムの混合比率を変えた他は、No.1〜8と同様にして弾性材を調製し、No.9〜13のゴルフボールを作製した。得られた弾性材及びゴルフボールについて、上記測定・評価方法に基づいて、曲げ弾性率、粘度、反発係数、成形性、打球感について測定・評価した。各配合組成及び測定・評価結果を、表2に示す。参考として、ジエン系ゴム中の液状ゴムの割合が同じ弾性材(No.3,4)、ジエン系ゴムを全く含有しない弾性材(アイオノマー単独;参照例)も併せて表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表2から、樹脂組成物におけるジエン系ゴムの含有割合が多くなるほど打球感が向上するが、反発係数は低下することがわかる。
【0052】
No.9〜11、No.12と13、No.3と4のそれぞれの比較から、アイオノマーとジエン系ゴムの含有量比率が変わっても、ジエン系ゴム中の液状ゴムの割合が高くなるほど、粘度が低下し、成形性が高くなることがわかる。
【0053】
さらに、ジエン系ゴムとアイオノマーとの総量に対するアイオノマーの比率が大きくなる程、粘度が低下する傾向にあるが、No.13とNo.3との比較から、固形状ジエン系ゴムとしてEPDMを用いることにより粘度を下げることができることがわかる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の反発性に優れた弾性材は、熱可塑性樹脂と同程度の優れた成形性を有し、また繰り返し加熱溶融することができるので、リサイクル可能である。しかも反発性を損なうことなく、架橋ゴム粒子を含有しているので、硬すぎず、打球時の衝撃を緩和することができる。
【0055】
従って、本発明の弾性材を用いて製造したワンピースゴルフボールは、打球感が硬くなく、しかも反発性に優れている。また、ワンピースゴルフボールであるから、本発明の弾性材に基づいて生産性に優れ、またリサイクル可能で、耐久性性に優れ、安価である。
【0056】
本発明の製造方法によれば、優れた特性を有する本発明の弾性材の製造の歩留りを小さくできる。従って、リサイクル可能で、反発性、打球感を確保した架橋ゴム粒子含有の弾性材の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モンサント加工性試験機の構成を示す概略図である。
【図2】粘度と成形性との関係を表したグラフである。
Claims (5)
- アイオノマーを含有する熱可塑性樹脂中で、液状ジエン系ゴム及び固形状ジエン系ゴムを樹脂架橋剤の存在下、動的架橋する工程を含むことを特徴とする弾性材の製造方法。
- アイオノマーを含有する熱可塑性樹脂中に架橋ゴム微粒子が分散されている弾性材において、前記架橋ゴム微粒子は、液状ジエン系ゴム及び固形状ジエン系ゴムを樹脂架橋剤の存在下、動的架橋されてなるものであることを特徴とするゴルフボール用弾性材。
- 前記固形状ジエン系ゴムと前記液状ジエン系ゴムとの含有量比率(液状ジエン系ゴム/固形状ジエン系ゴム)は0.01〜0.5であり、且つ前記熱可塑性樹脂と前記ジエン系ゴム総量との含有重量比(熱可塑性樹脂:ジエン系ゴム)は、35:65〜95:5である請求項2に記載のゴルフボール用弾性材。
- 長さ(l)と内径(d)との割合(l/d)が30のオリフィスを備えたモンサント加工性試験機(MPT)を用いて、せん断速度100sec −1 、温度210℃の条件で測定したときの見かけの粘度が4200Pa・sec以下である請求項2又は3に記載のゴルフボール用弾性材。
- 請求項2〜4のいずれか1項に記載の弾性材からなるワンピースゴルフボール。
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