JPH10230025A - ワンピースソリッドゴルフボール - Google Patents

ワンピースソリッドゴルフボール

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Publication number
JPH10230025A
JPH10230025A JP9037199A JP3719997A JPH10230025A JP H10230025 A JPH10230025 A JP H10230025A JP 9037199 A JP9037199 A JP 9037199A JP 3719997 A JP3719997 A JP 3719997A JP H10230025 A JPH10230025 A JP H10230025A
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JP
Japan
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golf ball
diene rubber
piece solid
rubber
solid golf
Prior art date
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Application number
JP9037199A
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English (en)
Inventor
Kohei Takemura
光平 竹村
Akihiko Hamada
明彦 浜田
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で、かつリサイクル性に優れ、し
かも従来と同等またはそれ以上の飛行性能を有するワン
ピースソリッドゴルフボールを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂中にジエン系ゴムを分散さ
せ、そのジエン系ゴムを架橋剤により動的架橋した、曲
げ弾性率が600〜3500kgf/cm2 の熱可塑性
エラストマー組成物でワンピースソリッドゴルフボール
を製造する。上記熱可塑性樹脂としてはアイオノマー樹
脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポ
リアセタールなどが好ましく、ジエン系ゴムとしてはエ
チレン−プロピレン−ジエンゴム、ブタジエンゴム、イ
ソプレンゴムなどが好ましく、上記熱可塑性樹脂とジエ
ン系ゴムの比は重量比で30:70〜95:5が好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフボールに関
し、さらに詳しくは、製造が容易で、かつリサイクル性
に優れ、しかも従来と同等またはそれ以上の飛行性能を
有するワンピースソリッドゴルフボールに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ソリッドゴルフボールは大別すると、ワ
ンピースソリッドゴルフボールとツーピースソリッドゴ
ルフボールとになるが、練習場用ゴルフボールとして
は、主にワンピースソリッドゴルフボールが使用されて
いる。
【0003】しかしながら、従来のワンピースソリッド
ゴルフボールは、通常、ブタジエンゴムを主材とするゴ
ム組成物の架橋成形体で構成される関係上、架橋成形に
時間がかかり、しかも使用後のボールは焼却などの廃棄
処分にせざるを得ず、リサイクル(再利用)ができない
という問題があった。
【0004】また、リサイクル可能な熱可塑性樹脂を射
出成形してワンピースソリッドゴルフボールを作製した
場合は、打球感が硬すぎたり、塑性変形を起こして打撃
スポットがへこむなどの問題を有していた。
【0005】さらに、打球感を改善するために、通常の
混合方法で樹脂とゴムを混合した材料でワンピースソリ
ッドゴルフボールを製造することも試みられているが、
この材料でも、打球時に塑性変形を起こし、しかも充分
な反発性能が得られないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ワンピース
ソリッドゴルフボールに関する上記のような問題点を解
決し、製造が容易で、かつリサイクル性に優れ、しかも
従来と同等またはそれ以上の飛行性能を有するワンピー
スソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂中
にジエン系ゴムを分散させ、そのジエン系ゴムを架橋剤
により動的架橋した、曲げ弾性率が600〜3500k
gf/cm2 の熱可塑性エラストマー組成物でワンピー
スソリッドゴルフボールを製造するときは、上記課題を
容易に解決できることを見出し、本発明を完成するにい
たった。
【0008】上記熱可塑性エラストマー組成物は、熱可
塑性樹脂中に動的架橋した微細なジエン系ゴム粒子が分
散していて、その動的架橋したジエン系ゴム粒子がゴム
弾性を有しているので、復元力が優れており、塑性変形
を起こさず、しかも熱可塑性樹脂のマトリクスが連続層
を形成していて、熱可塑性樹脂の有する優れた反発性能
などが損なわれることなく保持されるので、高反発性能
を有している。
【0009】また、上記熱可塑性エラストマー組成物
は、射出成形が可能であり、かつリサイクル性も優れて
いる。すなわち、上記熱可塑性エラストマー組成物で
は、熱可塑性樹脂中に動的架橋されたジエン系ゴム粒子
が微分散されていて、そのジエン系ゴム粒子があたかも
無機充填剤のような挙動を示すので、射出成形での流れ
性が悪くならず、従って、射出成形が可能であり、従来
のようにプレスなどで架橋成形していたのに比べて、製
造が容易になり、生産性が向上する。また、上記熱可塑
性エラストマー組成物はマトリクス成分が熱可塑性樹脂
であるので、加熱溶融を繰り返しても、流動性や反発性
能などの特性の低下がほとんどなく、従って、リサイク
ルが可能である。
【0010】本発明において、動的架橋とは、ジエン系
ゴムが溶融された熱可塑性樹脂と一緒に混練されながら
架橋剤により架橋されることをいうが、本発明において
は、この動的架橋したジエン系ゴム粒子が熱可塑性樹脂
中に分散する熱可塑性エラストマー組成物に関して、そ
の曲げ弾性率が600〜3500kgf/cm2 である
ことを必要としているが、これは次の理由に基づいてい
る。
【0011】すなわち、上記熱可塑性エラストマー組成
物の曲げ弾性率が600kgf/cm2 より低い場合
は、軟らかすぎてゴルフボールにしたときにコンプレッ
ションが適正範囲外になり、飛行性能などが低下する。
また、熱可塑性エラストマー組成物の曲げ弾性率が35
00kgf/cm2 より高い場合は、硬すぎてゴルフボ
ールにしたときにコンプレッションが適正範囲外にな
り、打球感が硬くなってしまうなどの不都合を生じるこ
とになる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、熱可塑性エラス
トマー組成物の構成成分となる熱可塑性樹脂は、融点が
250℃以下のものが適している。融点が250℃より
高い熱可塑性樹脂を用いた場合は、ジエン系ゴムとの溶
融混合時にジエン系ゴムが熱劣化、すなわち焼けを起こ
してしまうので不適当であるが、融点が250℃以下の
熱可塑性樹脂であれば、そのような不都合を生じない。
【0013】上記熱可塑性樹脂としてはアイオノマー樹
脂と呼ばれ、従来からもゴルフボールのカバーの基材樹
脂として使用されているエチレン−アクリル酸共重合体
の金属イオン中和物、エチレン−メタクリル酸共重合体
の金属イオン中和物、エチレン−アクリル酸−メタクリ
ル酸三元共重合体の金属イオン中和物などが特に適して
いる。そして、上記共重合体を中和する金属イオンとし
ては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイ
オンなどのアルカリ金属イオン、亜鉛イオン、カルシウ
ムイオン、マグネシウムイオン、銅イオン、マンガンイ
オンなどの2価金属イオン、アルミニウムイオン、ネオ
ジウムイオンなどの3価金属イオンなどが挙げられる
が、特にナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシ
ウムイオン、亜鉛イオンなどが反発弾性の良好なアイオ
ノマー樹脂となることから好ましい。
【0014】上記のようなアイオノマー樹脂の具体例と
しては、たとえば、三井デュポンポリケミカル(株)か
ら「ハイミラン」の商品名で上市されている市販品や、
エクソン化学社から「アイオテック」の商品名で上市さ
れている市販品、デュポン社から「サーリン」の商品名
で上市されている市販品があり、いずれも本発明におい
て好適に使用できる。
【0015】また、上記アイオノマー樹脂以外にも、た
とえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、
ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアセタールなど
の熱可塑性樹脂も融点が250℃以下であれば使用する
ことができる。
【0016】一方、ジエン系ゴムとしては、特に限定さ
れるものではないが、たとえば、エチレン−プロピレン
−ジエンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、
イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、スチ
レン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−
ブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。
【0017】これらのジエン系ゴムを用いる場合におい
て、反発性能を重視する場合はブタジエンゴムやイソプ
レンゴムなどの高反発弾性ゴムを用いるのが適してお
り、加工性を重視する場合はエチレン−プロピレン−ジ
エンゴムなどの耐熱性で高流動性のゴムを用いるのが適
している。一般にワンピースソリッドゴルフボールの場
合、反発性能はあまり重視されないことが多いので、加
工性の優れたエチレン−プロピレン−ジエンゴムを用い
るのが特に適している。
【0018】この熱可塑性樹脂とジエン系ゴムとの比率
としては、重量比で30:70〜95:5、特に30:
70〜80:20が好ましい。熱可塑性樹脂の比率が上
記範囲より少ない場合は、熱可塑性樹脂の有する反発性
能などが低下して、飛行性能の優れたゴルフボールが得
られにくくなり、また熱可塑性樹脂の比率が上記範囲よ
り多い場合は、ジエン系ゴムの減少により復元力が低下
して、打撃によりボールが塑性変形を起こすおそれがあ
る。
【0019】ジエン系ゴムを動的架橋するための架橋剤
としては、特に限定されることなくゴム配合に通常用い
られる硫黄、架橋剤、架橋促進剤、オキシム、樹脂架橋
剤などの1種または2種以上を用いることができる。そ
れらの具体例を例示すると、たとえば、ジベゾチアジル
ジスルフィド、N,N′−ジシクロヘキシル−2−ベン
ゾチアジルスルフェンアミド、ヘキサメチレンテトラミ
ン、メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラ
ムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、
テトラブチルチウラムジスルフィドなどの架橋促進剤、
p−キノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノン
ジオキシムなどのオキシム、4、4’−ジチオ−ビス−
ジモルフォリン、アルキルフェノール−フォルムアルデ
ヒド、ブロミネイティッド−アルキルフェノール−フォ
ルムアルデヒド、ジメチロールアルキルフェノール樹
脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、アクリル酸亜鉛、
メタクリル酸亜鉛などのα,β−不飽和カルボン酸の金
属塩、酸化亜鉛、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化
物などが好適なものとして挙げられる。ただし、これら
に限られることはない。
【0020】架橋剤の量としては、熱可塑性樹脂とジエ
ン系ゴムとの混合物中のジエン系ゴム100重量部に対
して0.01〜10重量部、特に0.1〜5重量部が好
ましい。架橋剤の量がジエン系ゴム100重量部に対し
て0.01重量部より少ない場合は、ジエン系ゴムの架
橋が充分に行われないので復元力が充分に向上せず、架
橋剤の量がジエン系ゴム100重量部に対して10重量
部より多い場合は架橋に不必要な過剰の架橋剤がボール
表面にブルームしたり、架橋が進みすぎて熱可塑性が損
なわれるなど、不都合が生じるおそれがある。
【0021】熱可塑性エラストマー組成物の調製にあた
り、上記熱可塑性樹脂、ジエン系ゴム、架橋剤を含む系
に、充填剤、顔料、加工助剤、可塑剤などを含有させる
ようにしてもよい。
【0022】上記熱可塑性エラストマー組成物を調製す
るための混練およびジエン系ゴムの動的架橋に際して
は、密閉型混練機、押出機、オープンロールなど、種々
の混練手段を採用することができるが、生産効率の面か
らは押出機、特にプラスチック用二軸押出機、連続混練
押出機などを使用するのが適している。
【0023】上記のような架橋剤を含む配合物の混練時
の温度、すなわち、動的架橋時の温度は、架橋剤の活性
化温度より20℃低い温度から250℃の範囲が適して
いる。たとえば、硫黄と加硫促進剤を併用する場合、活
性化温度が一般に150℃程度であるので、動的架橋時
の温度としては130〜250℃が適している。また、
オキシム系架橋剤の場合、活性化温度が一般に180℃
程度であるので、動的架橋時の温度としては160〜2
50℃の範囲が適している。特に架橋剤の活性化温度よ
り10〜30℃より高い温度が好ましいが、これに限ら
れることはない。
【0024】動的架橋を行う際、ジエン系ゴムの架橋に
より一旦上昇したトルクが低下し、安定する直前または
安定した直後に動的架橋を終了するのが好ましい。動的
架橋の終了は、上記のようにトルク値によって管理する
のが適切であるが、時間でいうと、架橋剤の種類、配
合、配合物の量、混練方法などによって大きく異なる
が、通常、0.3〜60分程度であり、たとえば、硫黄
と加硫促進剤とを併用する場合は2〜30分程度で、オ
キシム系架橋剤を用いる場合は3〜60分程度であり、
α,β−不飽和カルボン酸の金属塩と過酸化物とを併用
する場合は0.3〜10分程度である。
【0025】本発明において、熱可塑性エラストマー組
成物は、前記のように、その曲げ弾性率が600〜35
00kgf/cm2 であることが必要である。これは、
熱可塑性エラストマー組成物の曲げ弾性率が600kg
f/cm2 より低い場合は、軟らかすぎてゴルフボール
にしたときにコンプレッションが適正範囲外になり、飛
行性能などが低下し、熱可塑性エラストマー組成物の曲
げ弾性率が3500kgf/cm2 より高い場合は、硬
すぎてゴルフボールにしたときにコンプレッションが適
正範囲外になり、打球感が硬くなってしまうなどの不都
合を生じるからである。
【0026】また、上記熱可塑性エラストマー組成物は
硬度がJIS−C硬度で50〜90であることが好まし
く、その熱可塑性樹脂中に分散する架橋ジエン系ゴム粒
子の平均粒径は0.001〜10μm程度であることが
好ましい。
【0027】そして、この熱可塑性エラストマー組成物
を射出成形または圧縮成形することによって本発明のワ
ンピースソリッドゴルフボールが得られるが、そのコン
プレッションとしては2〜4mm(ただし、このコンプ
レッションは、後記の実施例でもその測定方法を明記す
るように、ボールに初期荷重10kgfを負荷した状態
から終荷重130kgfをかけた時までの変形量をい
う)であることが好ましい。
【0028】ワンピースソリッドゴルフボールは一体成
形のゴルフボールであるが、その表面には常法に準じて
ディンプルを設けてもよいし、また、その表面にペイン
トやマーキングを施してもよい。
【0029】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0030】実施例1〜5および比較例1〜3 熱可塑性樹脂、ジエン系ゴム、架橋剤として、それぞれ
下記のものを用い、実施例1〜5については表1に記載
の配合量、比較例1〜3については表2に記載の配合量
で、熱可塑性樹脂に対するジエン系ゴムの比率や種類を
変えつつ、実施例1〜5と比較例3では動的架橋を行
い、比較例1〜2では混練りのみを行った。
【0031】熱可塑性樹脂: アイオノマー樹脂:ハイミランAM7315〔商品名、
三井デュポンポリケミカル(株)製、亜鉛イオン中和エ
チレン−メタクリル酸共重合系アイオノマー樹脂〕
【0032】ジエン系ゴム: EPDM:エスプレン501A〔商品名、住友化学工業
(株)製、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)〕
【0033】IR:IR2200〔商品名、日本ゼオン
(株)製、イソプレンゴム〕
【0034】BR:BR−11〔商品名、日本合成ゴム
(株)製、ブタジエンゴム〕
【0035】架橋剤: 硫黄 促進剤NS:〔大内新興化学工業(株)製、ノクセラー
NS(商品名)、N−第3−ブチル−2−ベンゾチアジ
ルスルフェンアミド〕
【0036】表1〜表2中の各材料の配合量を示す数値
は重量部によるものであり、各材料の表中への表示にあ
たっては、エチレン−プロピレン−ジエンゴムはその簡
略記号であるEPDMで表示し、イソプレンゴムはその
簡略記号であるIRで表示し、ブタジエンゴムはその簡
略記号であるBRで表示する。
【0037】そして、各材料の混練、ジエン系ゴムの動
的架橋、ボール成形はいずれも二軸混練型押出機により
行い、押出条件としては各ゾーン温度210〜250℃
を採用し、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を
得た。配合物の押出機内での滞留時間、すなわち、混練
時間は約1.5分であった。
【0038】得られた熱可塑性エラストマー組成物の一
部を用いて、厚み約2mmのシートを熱プレスにより成
形し、その成形シートを23℃の恒温室で2週間保存し
た後、ASTM D−747に準じて曲げ弾性率を測定
した。
【0039】つぎに、上記実施例1〜5および比較例1
〜3の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形機に充填
し、それを射出成形して外径42.7mmで重量45.
1〜45.6gのワンピースソリッドゴルフボールを製
造した。上記のようにゴルフボールの重量が範囲で示さ
れているのは各例によって材料の比重が異なることによ
るものである。
【0040】得られたワンピースソリッドゴルフボール
について、そのコンプレッション、反発係数、打球感を
調べ、かつ射出成形時の成形性を調べた。その結果を上
記曲げ弾性率の測定結果と共に表1〜表2に示す。コン
プレッション、反発係数の測定方法、打球感の評価方
法、成形性の評価方法などは次の通りである。
【0041】コンプレッション:ボールに初期荷重10
kgfを負荷した状態から終荷重130kgをかけた時
までの変形量を調べる。
【0042】反発係数:レジリエンスガンにより重さ1
98gのステンレス鋼製円柱を初速45m/sで打ち出
し、その前方においたボールに衝突させ、衝突前後の円
柱およびボールの速度をそれぞれ2つの光電管によって
測定し、それぞれの速度および重量から反発係数を算出
する。この反発係数が大きいほど、ボールの反発性能が
高く、飛行性能が優れていることを示す。
【0043】各実施例および比較例の反発係数の表中へ
の表示にあたっては、市販のブタジエンゴム系ワンピー
スソリッドゴルフボールの反発係数を100とした指数
で示す。この市販のブタジエンゴム系ワンピースソリッ
ドゴルフボールはブタジエンゴムを主材とするゴム組成
物をプレス架橋して(通常、140〜170℃で10〜
40分間程度加熱する)製造されたものであり、そのコ
ンプレッションは2.70mmである。
【0044】打球感:トッププロ10人によりボールを
ウッド1番クラブで実打して評価する。判定基準は以下
の通りであり、その評価結果を表中に表示する際も同様
の評価記号で表示するが、それは10人中8人以上がそ
の評価を下したことを示す。
【0045】判定基準: ○ : 良い ×H: 硬すぎて悪い ×S: 軟らかすぎて悪い
【0046】成形性:各熱可塑性エラストマー組成物を
射出し、ボールを成形する際の流れ性と表面状態を目視
にて判断し、次の評価基準により表示する。
【0047】評価基準: ◎:充分に流れて、ボール表面に流れ不良によるしわな
どがまったくない。 ○:充分にボール成形できるが、若干流れが悪いため、
高温(230〜250℃程度)での成形が必要である。 △:ボールの成形はできるが、高温で射出成形しても大
きなくぼみが発生する。 ×:流れにくく、ボールの射出成形ができない。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1〜5は、成形性が良く、かつ反発係数が市販のワン
ピースソリッドゴルフボールより大きく、反発性能が優
れていた。
【0051】これに対して、表2に示すように、比較例
1はアイオノマー樹脂だけで構成されているため、打球
感が硬くて悪かった。また、比較例2はEPDM(エチ
レン−プロピレン−ジエンゴム)をブレンドしている
が、動的架橋をしていないため、成形性が充分でない上
に、反発性能が悪く、比較例3はEPDMをブレンドし
動的架橋をしているが、曲げ弾性率が低いため、反発性
能が悪く、また成形性も悪かった。
【0052】実施例6 この実施例6では、リサイクル性について調べる。すな
わち、実施例2のゴルフボールを粉砕し、粉砕物を溶融
混合し、射出成形して外径42.7mmのワンピースソ
リッドゴルフボールソリッドゴルフボールを製造した。
【0053】射出成形時の成形性は、高温での射出成形
によって充分にボール成形ができ、実施例1などと同様
の評価基準で表示すれば「○」に該当する成形性を有し
ていた。
【0054】また、得られたゴルフボールのコンプレッ
ションは2.71mmで、反発係数(指数)は106で
あって、市販のブタジエンゴム系ワンピースソリッドゴ
ルフボールより反発性能が優れており、打球感も良好で
あった。
【0055】実施例7 この実施例7では、前記実施例2と架橋剤を変えて、そ
の成形性、反発係数、打球感などを評価した。
【0056】すなわち、熱可塑性樹脂やジエン系ゴムと
しては、前記実施例2と同様にアイオノマー樹脂に属す
るハイミランAM7315(商品名)とEPDMに属す
るエスプレン501A(商品名)を用い、これらの配合
量は実施例2と同様にハイミランAM7315(商品
名)60重量部、エスプレン501A(商品名)40重
量部とし、これに架橋剤としてアクリル酸亜鉛1重量
部、ジクミルパーオキサイド0.1重量部を配合し、混
練すると共にエスプレン501A(商品名)の動的架橋
を行った。
【0057】得られた熱可塑性エラストマー組成物の曲
げ弾性率を実施例1などと同様に測定したところ127
0kgf/cm2 であった。また、得られた熱可塑性エ
ラストマー組成物で外径42.7mmのワンピースソリ
ッドゴルフボールの射出成形を行ったところ、成形性は
熱可塑性エラストマー組成物が充分に流れて、ボール表
面に流れ不良によるしわなどがまったくなかった。つま
り、前記実施例1などと同様の評価基準により表示する
と、この実施例7の成形性は「◎」であった。
【0058】また、得られたゴルフボールのコンプレッ
ション、反発係数、打球感を実施例1などと同様に調べ
たところ、コンプレッションは2.72mmで、反発係
数(指数)は115であって、市販のブタジエンゴム系
ワンピースソリッドゴルフボールより反発性能が優れて
いた。また、打球感も良好であり、前記評価基準により
表示すると「○」であった。
【0059】実施例8〜12 これらの実施例8〜12では、主として熱可塑性樹脂の
種類を変え、その特性を評価した。
【0060】熱可塑性樹脂に関しては、実施例8〜9で
はナイロン〔宇部興産(株)製のナイロン12(品番:
3024U)〕を用い、実施例10〜11ではPC〔ポ
リカーボネート、帝人化成(株)製のパンライトL−1
225(商品名)〕、実施例12ではPOM〔ポリオキ
シメチレン(ポリアセタール)、宇部興産(株)製のL
UCEL N127−LD(商品名)〕を用いた。それ
らの配合量は表3に示す通りである。
【0061】また、ジエン系ゴムとしては、実施例8〜
12のいずれもEPDM〔エチレン−プロピレン−ジエ
ンゴム、住友化学工業(株)製のエスプレン501A
(商品名)〕を用い、その配合量を表3に示すように変
動させた。
【0062】架橋剤としては、実施例8〜9ではタッキ
ロール250〔商品名、田岡化学工業(株)製、臭素化
アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂〕を用い、実
施例10〜11では硫黄とMBT(メルカプトベンゾチ
アゾール)を用い、実施例12では硫黄とDM(メルカ
プトベンゾチアジルジスルフィド)を用いた。それらの
配合量は表3に示す通りである。
【0063】これら実施例8〜12の場合も、前記実施
例1などと同様に、混練、ジエン系ゴムの動的架橋を行
い、その曲げ弾性率を測定した。また、得られた熱可塑
性エラストマー組成物を射出成形機に充填し、射出成形
して外径42.7mmのワンピースソリッドゴルフボー
ルを製造した。
【0064】上記ボール成形時の成形性および得られた
ゴルフボールのコンプレッション、反発係数、打球感を
前記実施例1などと同様に調べた。その結果を上記曲げ
弾性率の測定結果と共に表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】表3に示す結果から明らかなように、実施
例8〜12は、成形性が良く、かつ反発性能も市販のブ
タジエンゴム系ワンピースソリッドゴルフボールより優
れ、しかも打球感が良好であった。
【0067】以上のように、本発明のワンピースソリッ
ドゴルフボールは、射出成形によって製造できるので
(もとより、圧縮成形でも製造できる)、従来のブタジ
エンゴム系ワンピースソリッドゴルフボールに比べて製
造が容易であって、生産性を向上でき、かつ実施例6で
明らかにしたようにリサイクル性も優れていた。
【0068】さらに、本発明のワンピースソリッドゴル
フボールは、各実施例での反発係数の測定結果から明ら
かなように、市販のブタジエンゴム系ワンピースソリッ
ドゴルフボールと同等またはそれ以上の飛行性能を有し
ていた。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、製造
が容易で、かつリサイクル性も優れ、しかも飛行性能が
従来と同等またはそれ以上のワンピースソリッドゴルフ
ボールを提供することができた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂中にジエン系ゴムを分散さ
    せ、そのジエン系ゴムを架橋剤より動的架橋した、曲げ
    弾性率が600〜3500kgf/cm2 の熱可塑性エ
    ラストマー組成物の成形体からなるワンピースソリッド
    ゴルフボール。
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