JPH11135842A - 熱電素子 - Google Patents

熱電素子

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JPH11135842A
JPH11135842A JP9298334A JP29833497A JPH11135842A JP H11135842 A JPH11135842 A JP H11135842A JP 9298334 A JP9298334 A JP 9298334A JP 29833497 A JP29833497 A JP 29833497A JP H11135842 A JPH11135842 A JP H11135842A
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pad
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Shigeru Watanabe
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部の熱源や冷却対象物への熱的な接触が良
好に行え、かつ電気的な引き出しも確実に行える熱電素
子を提供する。 【解決手段】 多数のp型熱電半導体51とn型熱電半
導体52の間隙を絶縁体50で満たし、端面を電極膜5
8で配線し、引き出しパッド59を設けている微小な熱
電素子に対して、電極膜58と引き出しパッド59に接
するように異方性導電シート60を備え、異方性導電シ
ート60の上には引き出しパッド59と相対する位置に
接合電極61を有したヒートシンク62を配置してい
る。異方性導電シート60を用いることで、引き出しパ
ッド59と対向している接合電極61のみが電気的に接
続され、他の部分は絶縁され良好な電気接触が得られ
る。同様に、温接点および冷接点とヒートシンク62と
の熱接触も良好に保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電対を多数内部
に備えた熱電素子に関し、とくに微小な熱電素子におい
て外部に対して安定に接触がとれる構造に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電対はその両端に温度差を与えること
により電圧を発生し、反対に電極に電圧を与えると温度
差を生じる性質をもち、この熱・電気変換特性を利用し
ようして作られているのが熱電素子である。
【0003】たとえば熱電素子は熱を電気エネルギーに
変換できる方法として発電素子に、あるいは電気エネル
ギーで対象物を冷やしたりする冷却素子に応用される。
【0004】ところで熱電素子は構造やその動作が簡単
なため、他の熱/電気変換システムに比べて微小化に有
利なところから発電素子としては腕時計などの携帯用電
子機器内部での発電、また冷却素子としてはICなどの
局所的な冷却などへの応用が広がっている。
【0005】熱電素子として発電あるいは冷却に使われ
ている半導体材料の中でもっとも一般的なのはビスマス
(Bi)とテルル(Te)を主成分にしたいわゆるBi
Te合金である。この材料は室温近辺で現在もっとも性
能がよいため各所で多用されているが、大きな欠点とし
て機械的強度が弱く非常にもろい材料であることがあげ
られる。
【0006】そのため微小な熱電素子を作製するために
いくつかの検討がなされているが、たとえば特開昭63
−20880号公報に一つの作製方法が記載されてい
る。図21にはこの公報に開示されている熱電素子の配
線前の構造を示す。熱電素子は柱状のn型熱電半導体と
p型熱電半導体と有機樹脂等の絶縁材から構成されてい
る。絶縁材が用いられるのは、半導体材料を機械的に固
定するためである。
【0007】そして、図22に示すように、電極膜を配
置してp型とn型の半導体を接続する。電極膜を形成す
る方法としては、真空蒸着法などの真空技術を用いて金
属膜を形成し、その金属膜をフォトリソグラフィーの手
法を用いてパターン化することで実現する。
【0008】この配線方法を利用する理由は、たとえば
半導体材料の断面が100μm角より小さく、その数が
1000以上にもなる微小な熱電素子内部の配線を確実
に行うためである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで熱電素子は発
電に用いる場合でも冷却素子として用いる場合において
も外部の回路と接続しなくては当然ながらその機能を発
することはできない。そして同時に熱電対の温接点と冷
接点の外部熱源や冷却対象物への熱的に良好な接触も備
えなければならない。
【0010】確かに引用の公報の構造をとれば、脆い熱
電半導体を用いても小さな熱電素子構造を実現すること
は出来る。しかし開示されているのは熱電半導体を配線
するところまでであり、外部への接続および熱接触に関
する確実な方法は示されていない。たとえばこの熱電素
子の温接点あるいは冷接点をなしている電極部分を冷却
対象物に接触させると、電極自体は隠れてしまい外部へ
の電気的な接触ができなくなるという問題が生じてしま
う。
【0011】このように従来例においては微小な熱電素
子の外部接続においては有効な手法は開示されていな
い。
【0012】そこで、簡単に考えられる外部への接触の
方法としては、リード線を用いそれを半田などで電極へ
接続することが考えられる。しかし、半田付けをすると
半田によって電極表面より盛り上がった部分ができてし
まい、今度は外部への良好な熱的な接触が難しくなる。
【0013】さらには、リードをつけたままその後の実
装作業をしなければならないため、リードが切れたり、
半田がはずれたりという問題も懸念される。
【0014】〔発明の目的〕そこで本発明の目的は上記
の問題を解決し、外部への良好な熱接触をとりつつ安定
した電気的接続を有する微小な熱電素子を提供すること
にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明の熱電素子では、複数の柱状のp型熱電半導体
とn型熱電半導体と、隣り合った熱電半導体の間隙には
絶縁体と、上面および下面に位置し隣り合ったp型とn
型の熱電半導体に接し、複数の熱電半導体を連続させる
電極膜と、連続した熱電半導体の最端部には引き出しパ
ッドと、電極膜と引き出しパッドに接する異方性導電シ
ートと、異方性導電シートに接し、引き出しパッドと相
対する位置に接合電極を備えたヒートシンクとを有する
ことを特徴とする。
【0016】あるいは本発明の熱電素子においては、複
数の柱状のp型熱電半導体とn型熱電半導体と、隣り合
った熱電半導体の間隙には絶縁体と、上面および下面に
位置し隣り合ったp型とn型の熱電半導体に接し、複数
の熱電半導体を連続させる電極膜と、連続した熱電半導
体の最端部には引き出しパッドと、引き出しパッド以外
の電極膜上には絶縁膜と、引き出しパッド上には導電性
接着剤と、絶縁膜と導電性接着剤に接する導電性のヒー
トシンクとを有することを特徴とする。
【0017】(作用)本発明の第1手段によれば、厚さ
方向のみに導通がある異方性導電シートを用いること
で、引き出しパッドと対向している接合電極のみが電気
的に接続され、他の部分は絶縁され良好な電気接触が得
られる。そして同様に異方性導電シートは厚さ方向は熱
伝導も良好なため、温接点および冷接点とヒートシンク
との熱接触は良好に保たれる。
【0018】さらに本発明の第2の手段によれば、ヒー
トシンクが同時に外部接触部をかねており、引き出しパ
ッドとの電気接触は導電性接着剤で良好に保たれる。そ
して、熱接触も薄い接着層を介しているのみであるか
ら、良好に保つことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明の熱電素
子の構造における最適な実施形態について説明する。
【0020】(第1の実施の形態)はじめに図1〜図8
を用いて第1の実施の形態における熱電素子の構造につ
いて説明する。まず図1は本発明の熱電素子の全体的な
構成を示す断面図である。熱電素子は大きく分けて熱電
素子ブロック53と異方性導電シート60とヒートシン
ク62とからなっている。
【0021】熱電素子ブロック53は柱状のBiTeS
bの焼結体からなるp型熱電半導体51とBiTeから
なるn型熱電半導体52の複数を一定の間隔を持って規
則的に配置し、その間隙を埋める形で絶縁体50を充填
する。絶縁体50はエポキシ系の樹脂から構成してお
り、熱電半導体間の絶縁を確保するとともに脆い熱電半
導体を強固に固定し、機械的な強度を保つ役割もしてい
る。
【0022】この熱電素子ブロック53の上面55の構
成は図2に示す。柱状の熱電半導体の形状は50μm×
80μm×2000μmであり、約4mm角の中に10
00対の熱電対となる半導体が含まれる。
【0023】熱電素子ブロック53の上面55および下
面56には、電極膜58を配する。電極膜58は約10
0nmのCr(クロム)膜と約900nmのAu(金)
膜の2層膜からなる。
【0024】電極膜58の上面55における平面的な配
置および下面56における平面的な配置を図3および図
4に示す。電極膜58は上面と下面において隣り合った
p型熱電半導体51とn型熱電半導体52の端部を交互
に接続し、複数の熱電半導体を直列化する構成となって
いる。つまり電極膜58によってp型熱電半導体51と
n型熱電半導体は複数の連続した熱電対となり、電極膜
58は熱電対の温接点あるいは冷接点をなすことにな
る。
【0025】また電極膜58と同じ面上には引き出しパ
ッド59を配置する。引き出しパッド59は図3に見ら
れるように連続した熱電半導体の最端部に位置してい
る。
【0026】さらに上面55と下面56には異方性導電
シート60を配置し、その上には絶縁膜(図示せず)で
覆われた銅板からなるヒートシンク62を配置する。た
だし、上面55に位置しているヒートシンク62には接
合電極61が備えられている。
【0027】接合電極61が備えられたヒートシンク6
2の平面図を図5に示すが、接合電極61は前述の引き
出しパッド59と相対する位置になるよう構成してお
り、異方性導電シート60を介して両者は電気的に接続
する形となっている。
【0028】異方性導電シート60はその厚さ方向には
電気伝導性および熱伝導性が確保されているが、面方向
には絶縁性である。ゆえに、本発明の熱電素子は熱電素
子ブロック53の外部への電気的取り出しとヒートシン
ク62への熱的な接触が同時に可能な構造になってい
る。
【0029】ところで上記の配線の構成では引き出しパ
ッド59は上面のみに位置することになる。これは、p
型およびn型の熱電半導体の1対ごとが基本構成とな
り、全体で熱電半導体は偶数存在するからである。
【0030】これに対して必要に応じては直列化するp
型とn型の熱電半導体の数を奇数個にすることにより最
終端に位置する引き出しパッド59を上面55と下面5
6の両方の面に一つずつ位置する様にも構成できる。こ
のときの電極膜58のパターンは図6および図7に示
す。
【0031】このように上面55と下面56に一つずつ
の引き出しパッド59が配置されている熱電素子ブロッ
ク53に対しては、ヒートシンク62も一つの接合電極
61を有したものを上下一個ずつ配置することとなる。
そのときの熱電素子の構成は図8に示すようになる。
【0032】第1の実施の形態における熱電素子の構造
は上述の如くであるが、参考までにその製造方法につい
て記しておく。
【0033】図9に示すようにp型熱電半導体ブロック
1とn型熱電半導体ブロック2とを用意する。p型熱電
半導体ブロック1およびn型熱電半導体ブロック2は、
加工後にそれぞれ柱状のp型熱電半導体およびn型熱電
半導体となる半導体ブロックである。本例ではp型熱電
半導体ブロック1としてp型のBiTeSbの焼結体、
n型熱電半導体ブロック2としてn型のBiTeの焼結
体を用いる。
【0034】つづいて図10に示す工程では、p型熱電
半導体ブロック1に縦溝26を形成し、縦隔壁27を残
してp型溝入ブロック21とする。同様に、n型熱電半
導体ブロック2からn型溝入ブロック22を形成する
が、この時、p型溝入ブロック21とn型溝入ブロック
22とで、縦溝のピッチを同一にし、かつ、一方のブロ
ックの縦溝幅が他方のブロックの縦隔壁幅よりも大きく
なるようにする。
【0035】縦溝26の加工は、ワイヤーソーによる研
磨加工により行い、それぞれのブロックには深さ3mm
(外形の4mmを厚さ方向とする)、ピッチ120μ
m、幅70μmの縦溝26を形成する。
【0036】図11の工程では、図10に示したp型溝
入ブロック21とn型溝入ブロック22で、互いに縦溝
26に相手の縦隔壁27を挿入し合って組み合わせて一
体化する。組み合わせた2つのブロックは嵌合部に接着
層40を設けて固着することで一体化ブロック3とす
る。
【0037】接着層40に用いる接着剤としては低粘度
の常温硬化型のエポキシ系の接着剤を用い、毛管現象に
より接着剤を縦溝26と縦隔壁27との隙間に充填する
ことで、両ブロック固着とともに絶縁性も確保できる。
【0038】さて、このように図11において完成した
一体化ブロック3は、次に図12で示した再度の溝加工
工程により横溝46を形成し、溝入一体化ブロック43
にする。横溝46の加工は図10での縦溝26の工程と
同様に実施し、残った部分が横隔壁47となる。
【0039】すなわちワイヤーソーによる研磨加工によ
り横溝46を形成し、本例ではピッチ120μm、幅4
0μm、深さ3mmの横溝46を形成する。なお、溝幅
40μmはワイヤーソー加工での細幅としてのほぼ限界
値である。
【0040】図12の工程に続いて、図13に示すよう
に横溝46にエポキシ系の絶縁性樹脂を充填し硬化して
絶縁樹脂層54を形成する。絶縁樹脂層54で固めた溝
入一体化ブロック43は、その上下面を研削で除去し、
独立した柱状のp型熱電半導体とn型熱電半体となるよ
うに仕上げ、図14に示す熱電素子ブロック53を形成
する。前記図11に示した接着層40と図13に示した
絶縁樹脂層54は、電気的な絶縁を得るという同じ機能
を持つ層なので、図14以降では両者あわせて絶縁体5
0とする。
【0041】図14に示す熱電素子ブロック53の上面
55、下面56においてp型熱電半導体51とn型熱電
半導体52の配線を行う。ニッケルからなる金属板に開
口部を設け、開口部と、上面55におけるp型熱電半導
体51とn型熱電半導体52とが重なるように位置合わ
せを行い、熱電素子ブロック53の上面55に金属板を
密着させる。
【0042】この配線は蒸着法により膜を形成して行
う。蒸着膜にはCrとAuの2層膜を用いる。これによ
り、熱電素子ブロック53の上面55には、電極膜58
により図3の配線パターンが形成される。また、蒸着の
際2つの引き出しパッド59も形成する。
【0043】熱電素子ブロック53の下面56において
は、前述とは異なる開口部を有した金属板を用てい、下
面56に金属板を密着させて固定し、金属板をマスクと
してCrとAuの膜を蒸着により形成する。これによ
り、熱電素子ブロック53の下面56には、電極膜58
により図4の配線パターンが形成される。
【0044】つづいて図15に示すように、上面55お
よび下面56には異方性導電シート60を貼り付ける。
貼り付ける際には約100℃に加熱することで密着がと
れる。異方性導電シート60は接着力のある樹脂の中に
金属微粒子を分散してシート状に成型したものである
が、そのままの状態では含まれる金属微粒子はそれぞれ
がほとんど接していないように作られているため、シー
トとしては絶縁性を維持している。
【0045】ここに、図1に示すようにヒートシンク6
2を約10kg/cm2の力で異方性導電シート60が
多少つぶれるように上下から圧着する。ただし、上面5
5に位置したヒートシンクにはあらかじめ接合電極61
を設けてある。このときさらに150℃の温度をかける
ことで、異方性導電シート60は変形したまま固着し、
さらにはヒートシンク62も接着される。
【0046】ここでヒートシンク62への接合電極61
形成方法を述べる。表面がSiO2などの絶縁膜により
覆われた銅板を所定の形状に加工し、さらにAuを密着
層にCrを介して蒸着し、さらにはフォトリソグラフィ
ーの手法を用いてAuおよびCrをエッチング加工す
る。
【0047】あるいは、銅板を覆っている絶縁膜をフォ
トリソグラフィーの手法を用いて接合電極61となる形
状にエッチング除去することで、接合電極61の形状を
した穴をあけヒートシンク62全体を電極とすることも
できる。ただし、この場合は一つのヒートシンク62に
2カ所電極をもうけると両者がショートしてしまうた
め、1個の接合電極61のみを形成する時に用いる。
【0048】前述したように異方性導電シート60には
金属微粒子が含まれているが、このように上下から押さ
えつけられつぶれることで金属微粒子は厚さ方向に接触
することができる。そこで、このとき異方性導電シート
60は厚さ方向には導電性および熱伝導性を有すること
になる。
【0049】しかしながら、面方向はあまり変形しない
ため金属微粒子は初期の分散状態とあまり変わらず、絶
縁性を維持したままである。つまり異方性導電シート6
0が接している電極膜58は互いにショートすることは
なく、熱電対を連続するのみに働く。
【0050】接合電極61はヒートシンク62を異方性
導電シート60に圧着する際には、配線面の引き出しパ
ッド59に対向するような位置にあらかじめ合わせてお
く。つまり、接合電極61は引き出しパッド59の上の
みに存在し、他の電極膜58上には絶縁膜(図示せず)
が位置しているため、異方性導電シート60は引き出し
パッド59と接合電極61のみを電気的に接続し、熱電
素子の出力が外部に取り出せるよう構成されている。
【0051】しかし、ほかの電極膜58は、電気的には
ヒートシンク62側と直接は繋がっていないが、異方性
導電シート60により熱は良好に伝達される構成にもな
っている。
【0052】(第2の実施の形態)図16は本発明の第
2の熱電素子の全体的な構成を示すものである。この熱
電素子は熱電素子ブロック53と接着層とヒートシンク
62から構成してなる。熱電素子ブロック53はp型熱
電半導体51とn型熱電半導体52と絶縁体50と電極
膜58と引き出しパッド59で構成し、基本的に第1の
実施の形態で述べた熱電素子ブロック53と同じであ
る。ただしここで、引き出しパッド59は上面55と下
面56に一つずつ分けた構成をとっている。
【0053】熱電素子ブロック53の上面55と下面5
6には、接着層として導電性接着剤65および絶縁膜6
6を配する。導電性接着剤65は金属微粒子を多く含ん
だエポキシ樹脂系の接着剤であり、絶縁膜66はアルミ
ナや窒化硼素のような絶縁性微粒子を多く含んだエポキ
シ系の接着剤である。
【0054】そして導電性接着剤65は引き出しパッド
59の上にのみ配置し、絶縁膜66は引き出しパッド5
9以外の電極膜58上の全面に配置する。この2種の接
着剤を挟んで熱電素子ブロック53の上面55と下面5
6には銅板からなるヒートシンク62を配する。
【0055】導体であるヒートシンク62は導電性接着
剤65により電気的に接続され、熱電素子の出力は外部
に容易に出せる構成となる。他の電極膜58とヒートシ
ンク62との間には絶縁膜66が介在するため、電極膜
58同士がショートすることはない。さらに、両接着剤
ともに良熱伝導粒子を含んでいるため熱電素子ブロック
53の上面55,下面56との熱接触も良好に保てる。
【0056】さらに引き出しパッド59を上面55のみ
に2つ配する熱電素子ブロック53で構成する場合に
は、図17に示すように、引き出しパッド59側のヒー
トシンク62は2分割して構成することもできる。
【0057】また、上記においては絶縁膜66として熱
伝導性接着剤を用いているが、あらかじめ引き出しパッ
ド59をのぞく電極膜58全面にSiO2 等の絶縁膜6
6をコーティングしておけば、導電性接着剤65は引き
出しパッド59と電気的接触がとれればとくに範囲を選
ぶこと無く配置してもよい。
【0058】また、導電性接着剤65には熱電素子ブロ
ック53の耐熱性に問題がない範囲であれば、半田材料
なども用いて構成してもよい。
【0059】以上が第2の実施の形態における熱電素子
の構成であるが、参考までに製造方法も述べておく。
【0060】第2の実施の形態においても、図9から図
14に至る熱電半導体ブロックのワイヤーソー縦溝加
工、組み合わせ、接着剤の固着による一体化ブロック4
3の形成、ワイヤー横溝加工、絶縁性樹脂の充填、上面
と下面の研削による熱電素子ブロック53の形成、図3
から図7に示す蒸着による配線等は第1の実施の形態と
同様である。
【0061】これに続いて図18に示すように、引き出
しパッド59の上にのみ導電性接着剤65をスクリーン
印刷法によりコーティングする。さらには引き出しパッ
ド以外の電極膜58上全面には熱伝導性絶縁接着剤を同
様にスクリーン印刷法によりコーティングし、絶縁膜6
6を形成する。
【0062】さらに図16に示すように2種の接着剤を
コーティングした上には銅板からなるヒートシンク62
を圧着する。このとき同時に約100℃の温度をかけ接
着材を硬化させ、ヒートシンク62を完全に接着する。
【0063】このように構成された熱電素子を発電ある
いは冷却を目的として利用する場合の構成を図19およ
び図20に示す。本発明の熱電素子は、図のように外部
の低温物体71および高温物体72にヒートシンクを介
して直接接することができることがよくわかる。
【0064】またヒートシンク62に設けた接続電極6
1あるいはヒートシンク62本体から外部回路へ引き出
し線73を用いて接続することができる。
【0065】上記2つの実施の形態において熱電半導体
にはBiTe系の材料を用いているが、PbTe系、F
eSi系、Ir2 Sb3 系などに代表されるたの熱電材
料も用いることができる。
【0066】絶縁体にはエポキシ樹脂を用いているが、
ポリイミド樹脂、アクリル樹脂など液状から個体に変化
させられるものなら、他の樹脂も用いることができる。
【0067】電極膜、引き出しパッド、接合電極はCr
とAuの2層膜を用いているが、他の金属膜、たとえば
Cu、Fe、Ni、Al、Ti、Ag、Pt、などを1
層あるいは2層で用いてもよい。
【0068】ヒートシンクには銅板を用いているが、他
の材料の鉄あるいはその合金板、アルミ板、真鍮板、T
i板、Si板、セラミック板なども用いることができ
る。
【0069】
【発明の効果】上記の内容から明らかなように、第1の
実施の形態によれば、多数のp型とn型熱電半導体の間
隙を絶縁体で満たし、端面を電極膜で配線している微小
な熱電素子に対して、厚さ方向のみに導通がある異方性
導電シートを用いることで、引き出しパッドと対向して
いる接合電極のみが電気的に接続され、他の部分は絶縁
され良好な電気接触が得られる。そして同様に異方性導
電シートは厚さ方向は熱伝導も良好なため、温接点およ
び冷接点とヒートシンクとの熱接触は良好に保たれる。
【0070】さらに第2の実施の形態によれば、ヒート
シンクが同時に外部接触部をかねており、引き出しパッ
ドとの電気接触は導電性接着剤で良好に保たれる。そし
て、熱接触も熱伝導性接着剤あるいは薄い絶縁層を介し
ているのみであるから、良好に保つことができる。さら
に第2の実施の形態ではヒートシンクを接着する場合の
位置あわせがほとんど必要ない。
【0071】以上のように本発明では、多数のp型とn
型熱電半導体の間隙を絶縁体で満たし、端面を電極膜で
配線している微小な熱電素子へのヒートシンクの接着と
電気的な外部接続が簡単な構成で、確実に行うことがで
きる。
【0072】このように構成された熱電素子は発電ある
いは冷却を目的として、熱源にヒートシンクを介して直
接接することができ、またヒートシンクの一部あるいは
全体から容易に外部回路へ引き出し線で接続することが
でき、つまりは一般的な電子部品と同様な扱いが可能な
素子となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における熱電素子の全体構
成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における熱電素子の一部の
構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における熱電素子の一部の
構成を示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態における熱電素子の一部の
構成を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態における熱電素子の一部の
構成を示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態における熱電素子の一部の
構成を示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態における熱電素子の一部の
構成を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態における熱電素子の全体構
成を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における熱電素子の製造方
法を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態における熱電素子の製造
方法を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態における熱電素子の製造
方法を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態における熱電素子の製造
方法を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態における熱電素子の製造
方法を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態における熱電素子の製造
方法を示す斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態における熱電素子の製造
方法を示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態における熱電素子の全体
構成を示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態における熱電素子の全体
構成を示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態における熱電素子の製造
方法を示す断面図である。
【図19】本発明の実施の形態における熱電素子の使用
方法を示す断面図である。
【図20】本発明の実施の形態における熱電素子の使用
方法を示す断面図である。
【図21】従来の熱電素子の構成を示す斜視図である。
【図22】従来の熱電素子の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
50 絶縁体 51 p型熱電半導体 52 n型熱電半導体 58 電極膜 59 引き出しパッド 60 異方性導電シート 61 接続電極 62 ヒートシンク 65 導電性接着剤 66 絶縁膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の柱状のp型熱電半導体とn型熱電
    半導体と、 隣り合った熱電半導体の間隙には絶縁体と、 上面および下面に位置し隣り合ったp型とn型の熱電半
    導体に接し、複数の熱電半導体を連続させる電極膜と、 連続した熱電半導体の最端部には引き出しパッドと、 電極膜と引き出しパッドに接する異方性導電シートと、 異方性導電シートに接し、引き出しパッドと相対する位
    置に接合電極を備えたヒートシンクとを有することを特
    徴とする熱電素子。
  2. 【請求項2】 複数の柱状のp型熱電半導体とn型熱電
    半導体と、 隣り合った熱電半導体の間隙には絶縁体と、 上面および下面に位置し隣り合ったp型とn型の熱電半
    導体に接し、複数の熱電半導体を連続させる電極膜と、 連続した熱電半導体の最端部には引き出しパッドと、 引き出しパッド以外の電極膜上には絶縁膜と、 引き出しパッド上には導電性接着剤と、 絶縁膜と導電性接着剤に接する導電性のヒートシンクと
    を有することを特徴とする熱電素子。
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