JPH11135691A - 電子回路装置 - Google Patents

電子回路装置

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JPH11135691A
JPH11135691A JP29984997A JP29984997A JPH11135691A JP H11135691 A JPH11135691 A JP H11135691A JP 29984997 A JP29984997 A JP 29984997A JP 29984997 A JP29984997 A JP 29984997A JP H11135691 A JPH11135691 A JP H11135691A
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JP
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resin
chip carrier
grease
semiconductor element
electronic circuit
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JP29984997A
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Inventor
Ryoji Okada
亮二 岡田
Takashi Osanawa
尚 長縄
Keiji Taguchi
啓二 田口
Mitsuru Honma
満 本間
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体素子からの発熱を効率よく放熱し、熱
変形による障害などを、防止した電子回路装置を実現す
る。 【解決手段】 チップキャリア2と伝熱体3の間に、グ
リースもしくはオイルを塗布した樹脂6を付設し、その
樹脂6を介してチップキャリアと伝熱体とを密着させる
ことによって、チップキャリア2の高さ、傾きのばらつ
きを樹脂6の弾性でキャンセルして良好な密着状態とし
た。こうした密着状態の良さとグリースまたはオイルの
塗布により接触熱抵抗を大幅に低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子を高密
度に実装した電子回路装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器の高速演算、高性能化に伴い、
電子機器に用いられる半導体素子の高速演算、高密度化
が進んでいる。この結果、半導体素子の外部接続端子が
増加し、さらに半導体実装基板への高密度実装が必要と
されている。この要求に応えるべく、半導体素子、もし
くはチップキャリアの電極端子上に凸型の突起電極を突
設し、この突起電極を介して半導体素子を半導体実装基
板へ接合する方法が採用されている。しかしながらこの
方法では、半導体素子と実装基板との接触面積が小さく
なるために、半導体素子と実装基板との間の熱抵抗が増
し、消費電力の大きい半導体素子の場合、実装基板以外
の放熱経路を特設する必要があった。
【0003】そこで、半導体素子の背面に伝熱体、もし
くは冷却体を密着させ新たな放熱経路を作り出す方法が
考案された。しかしながら、1個の伝熱体、もしくは冷
却体を密着させる方式では、次に示す課題が見いだされ
た。先ず、半導体素子、もしくはチップキャリアの高さ
のばらつきである。電子機器では多数の半導体素子、も
しくはチップキャリアが実装されるため、凸型の突起電
極の高さばらつき、半導体素子の厚みばらつきが原因で
実装基板上に接合された半導体素子面の高さ、傾きがば
らつき、単一平面を形成することはない。その結果、単
一の伝熱体、冷却体によって冷却する場合、全ての素子
が伝熱体もしくは冷却体に密着せず、半導体素子の高さ
が低い場合、素子は十分な冷却がなされない。逆に半導
体素子の高さが高すぎる場合、伝熱体の押しつけによっ
て過大の力が加わり、前記の凸型の突起電極が変形、破
壊する可能性が生じる。他の課題として、稼働時におけ
る半導体素子の熱変形が考えられる。半導体素子は、オ
ン・オフ時に発熱によって熱変形を生じる。この際、密
着する冷却体、もしくは伝熱体が剛体の場合、半導体素
子、もしくは突起電極に、圧縮、引張りの応力が生じ、
長期間の稼働によって電極が破壊される可能性がある。
【0004】これらの課題を解決するために各種の冷却
構造が考案された。高さのばらつく半導体素子の接触面
に高熱伝導性のグリースを塗布し、グリースを介して伝
熱面に接触させる方法が、特開平4-167453号に開示され
ている。この構造は、グリースがクッションとして作用
し、半導体素子の高さばらつきをキャンセルするもので
ある。
【0005】必要な強度を持たせた硬い層と、柔らかく
変形しやすい層を設けた2層構造の熱伝導性シリコーン
樹脂シートを、半導体素子と伝熱体との間に挟み込み、
半導体素子の高さばらつきをキャンセルする方法が、特
開平2-196453号に開示されている。この構造は、熱伝導
性シリコーン樹脂シートがクッションとして作用し、半
導体素子の高さばらつきをキャンセルするものである。
【0006】半導体素子に接する伝熱体面に凹部を設
け、その凹部内に熱伝導性と弾性を有する球状物質を充
填し、さらに熱伝導性に優れる熱硬化性樹脂を充填した
冷却構造体が、特開平5-235213号に開示されている。こ
の構造は、優れた熱伝導性を維持し、且つ弾性を有する
伝熱体によって、高さのばらつく半導体素子全てと良好
な密着状態を形成するものである。
【0007】高さのばらつく半導体素子を、弾性を有す
る金属スポンジを介在させてロー材によって伝熱体に接
続した冷却構造体が、特開平7-245362号に開示されてい
る。この構造は、金属スポンジ体がクッションとして作
用し、半導体素子の高さばらつきをキャンセルするもの
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来構造は冷却面、も
しくは伝熱面に、熱伝導性と弾性を有する層を形成し
て、半導体素子の高さばらつきをキャンセルし、一定の
発熱量、高さばらつきに対応するものであった。しか
し、これらの従来技術には下記のような問題がある。ま
ず、特開平4-167453号記載の構造では、グリースを接触
面に塗布するため、接触抵抗は極めて低い。しかしなが
ら、グリースの場合でも以下の課題がある。通常の高熱
伝導性グリースは、高熱伝導性の微粒子、例えばAg、C
u、Al等の金属微粒子、もしくはC、AlN、SiO2等の非金
属微粒子を高密度にオイル中に分散したものである。グ
リースに長期間加圧、もしくは加熱・冷却を繰り返し与
えると、グリースが流れ逃げだす、もしくはグリースが
変質し固化する場合がある。この場合、必要量のグリー
スが失われる、もしくはグリースの粘性が失われ、半導
体素子の変形に対応できなくなり、さらに塗布部分に隙
間が生じ、接触熱抵抗が著しく増す。この状態では、半
導体素子を冷却することは困難となる。なお、この従来
構造では、撥油性皮膜を伝熱体のグリース塗布面に形成
し、グリースの逃げを防止する構造となっているが、撥
油性皮膜だけでグリースの逃げ防止を行うことは困難で
ある。さらに、グリースは高粘度ながらも液体であるた
め、塗布領域の圧縮変形に対しては容易に変形するが、
塗布領域が拡大変形に転じた場合、一旦移動したグリー
スが粘性だけによって戻ることは困難である。したがっ
て、装置の稼働時、停止時の発熱、冷却時による熱変形
の繰り返しによって、徐々に接触面からグリースがはみ
出し、必要十分量を接触面に維持できなくなる。また、
この現象はグリース層の厚いほど顕著である。
【0009】特開平2-196453号に開示された構造では、
半導体素子の高さばらつきや熱変形を2層構造の樹脂シ
ートによって吸収するため、樹脂シートとしてはその分
の膜厚が必要となる。樹脂シートは高熱伝導性とはい
え、現状では十分な熱伝導性を有する材料はなく、その
熱抵抗は大きい。したがって、素子の高さばらつきや熱
変形を吸収できる膜厚の樹脂シートを用いると熱抵抗が
大きくなり、高発熱素子に適用することは極めて困難と
なる。
【0010】特開平5-235213号に開示された構造では、
弾性体は球状弾性体と熱硬化性樹脂から構成される。し
たがって、半導体素子との接着は球状弾性体との点接
触、もしくは熱硬化性樹脂との面接触となる。点接触は
接触面積が小さく、接触熱抵抗が大きい。また、熱硬化
性樹脂は一般的に表面にうねり、凹凸が形成され、同様
に接触熱抵抗が大きい。その結果、接触熱抵抗により比
較的熱伝導率が低く、より高発熱の半導体素子には適用
困難である。
【0011】特開平7-245362号に開示された構造では、
半導体素子はロー材を介して金属スポンジ体に接着され
る。したがって、接触熱抵抗は無いと考えられ、良好な
伝熱特性が得られる。しかしながら、半導体素子は背面
と電極面との両面で接着されるため、稼働時、停止時の
発熱、冷却時の熱変形が拘束される。したがって、比較
的剛性の低い電極接続面側に過大の力が加わり、長期稼
働によって電極部のクリープ、もしくは破壊・破断が生
じる可能性がある。金属スポンジは金属体に比較すれば
弾性を有するが、樹脂に比べれば剛体であり、変形吸収
能に劣るため、上記熱変形を吸収することは困難であ
る。
【0012】本発明は、上記の諸問題に鑑みなされたも
のであり、半導体素子の発熱量が増した場合でも、半導
体から発生する熱を十分に放熱でき、かつ半導体素子の
熱変形を吸収できる、信頼性が高い電子回路装置を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、半導体素子もしくはチップキャリアを
複数個搭載した基板と伝熱体を有する電子回路装置にお
いて、グリースあるいはオイルを塗布した樹脂が半導体
素子もしくはチップキャリアと伝熱体との間に介装され
て成ることを特徴とする電子回路装置を開示する。
【0014】また、本発明は、半導体素子もしくはチッ
プキャリアを複数個搭載した基板と伝熱体を有する電子
回路装置において、伝熱体のチップキャリア側の面には
樹脂が被覆され、さらに該樹脂にグリースもしくはオイ
ルが塗布されており、かつ半導体素子もしくはチップキ
ャリアの伝熱体側の面には低融点金属が被覆されて成る
ことを特徴とする電子回路装置を開示する。
【0015】また、本発明は、半導体素子もしくはチッ
プキャリアを複数個搭載した基板と伝熱体を有する電子
回路装置において、伝熱体のチップキャリア側の面には
樹脂が被覆され、さらに該樹脂にグリースもしくはオイ
ルが塗布されており、かつ半導体素子もしくはチップキ
ャリアの伝熱体側の面には低融点金属が被覆されてお
り、さらに前記樹脂と前記低融点金属との間に平板が介
装されて成ることを特徴とする電子回路装置を開示す
る。
【0016】さらに、本発明は、半導体素子もしくはチ
ップキャリアを複数個搭載した基板と伝熱体を有する電
子回路装置において、伝熱体のチップキャリア側の面に
は枠形状の樹脂とその枠内部に分割された樹脂が被覆さ
れ、さらに前記枠形状樹脂および前記分割された樹脂の
間に形成された溝、および前記分割された樹脂の表面に
グリースもしくはオイルが塗布されており、かつ半導体
素子もしくはチップキャリアの伝熱体側の面には低融点
金属が被覆されて成ることを特徴とする電子回路装置を
開示する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図1は、本発明になる電子回路装置
の構成例を示す斜視概略図であり、その内部を説明する
ため一部構成部品をカットしている。同図において、モ
ジュール1は本発明の電子回路装置であり、チップキャ
リア2、伝熱体3、配線基板4等から構成されている。
チップキャリア2は、配線基板4上に格子状に複数配置
されており、熱伝導性に優れる窒化アルミ(以後AlNと表
記する)で形成されている。配線基板4の四辺に接合さ
れているフレーム41は鉄-ニッケル合金で製作した。
連結ピン42は、配線基板4のチップキャリア2搭載面
の背面に設けられており、配線基板4内を通りチップキ
ャリア2と連結する。連結ピン42を大基板(図示せず)
に差込むことによって、モジュール1を電気的、機械的
に連結接続する。伝熱体3は、その内部に冷却材の流路
32を有し、上面に冷却材の流入出口31が設けられて
いる。樹脂シート6は、チップキャリア2と伝熱体3と
の間に付設され、両者の挟み込みによって多少の圧縮状
態で用いられる。伝熱体3とフレーム41とは四辺に張
り出したつば部分でボルト締結され、モジュールを構成
する。なお、ここでは液体冷却を例に取り図示している
が、空冷の場合は伝熱体3のかわりに放熱フィンを取り
付ければよく、本発明は冷却方法に制限されるものでは
ない。
【0018】図2は、詳細構造を示すチップキャリア2
を含む縦断面図である。但し、煩雑さを避けるためチッ
プキャリア2の断面を示していない。チップキャリア2
と配線基板4との接合面には、はんだで構成されたボー
ル状電極5が多数配列されており、チップキャリア2内
の半導体素子(図示せず)と配線基板4との電気的接続を
行い、さらに配線基板4上にチップキャリア2を機械的
に固定する役割を果たす。
【0019】樹脂シート6の両面にはオイル(図示せず)
が塗布されている。本構成例では、樹脂シート6とし
て、銀(Ag)微粒子を多量に分散含有するシリコン系樹脂
を用いた。一般的に樹脂は熱伝導性に劣るため、熱伝導
性を高めるにはAg、Cu、Al等の金属微粒子、もしくは
C、AlN、ZnO、SiO2等の非金属微粒子からなる高熱伝導
性微粒子を分散させねばならない。しかしながら、微粒
子を過多に分散すると、剛体となり弾性が失われる。そ
こで、熱伝導性が優れ、また鱗片状の微細な銀微粒子を
分散することで、良好な弾性特性を維持しつつ、優れた
熱伝導性を有する樹脂シートを実現した。この樹脂シー
ト6の厚みは、チップキャリア2の高さばらつき、変形
量、発熱量、シートの熱伝導性、弾性率によって決定さ
れる。本構成例の場合、チップキャリア2の高さばらつ
きをキャンセルできる圧縮量を有し、さらに十分な冷却
を確保できる熱抵抗以下とできる膜厚0.15mmを用い
た。両面に塗布したオイルは、シリコン系オイルであ
り、樹脂シート6と伝熱体3、およびチップキャリア2
との密着性を高め、接触熱抵抗を低減する。一般に樹脂
シートにオイルを塗布すると、樹脂がオイルを吸収し、
その弾性等が変質することが懸念され、特に、どちらも
シリコン系のような同系材料の場合、その懸念は強い。
しかしながら、今回各種条件の検討によって、電子回路
装置に用いる温度範囲であれば、オイル吸収による変質
は軽微であり、長期使用が可能であることが明らかとな
った。なお、この樹脂シート両面にグリスを塗布しても
同様な効果が得られる。
【0020】図12は、図1、図2に示した構成につい
ての実験結果を示すもので、伝熱体3の接触面に膜厚
0.03mmの樹脂膜6を被覆し、その伝熱体3をチップキ
ャリア2へ押しつけた場合の、押しつけ力と、チップキ
ャリア2と伝熱体3間の熱抵抗との関係を示すグラフで
ある。縦軸は熱抵抗であり、グリース、もしくはオイル
を用いず(樹脂膜だけ)、伝熱体3の自重だけで接触した
ときの熱抵抗を基準値とした相対値である。図からわか
るように、樹脂膜6にグリース、もしくはオイルを塗布
し、さらに圧力を加えることによって、接触熱抵抗が低
減し、トータルの熱抵抗も大幅に低下する。例えば荷重
0.15MPaの条件で比較すれば、オイル塗布によって熱抵
抗を約1/5まで、熱伝導性グリース塗布によって約1/20
まで低減することができる。
【0021】図3は、本発明の他の構成例を示すもの
で、チップキャリア2をふくむ縦断面図として図示して
いる。但し、チップキャリア2はその断面を示していな
い。この構成例では、チップキャリア2の反基板面に低
融点金属7を設けた点が特徴である。チップキャリア2
の高さばらつきが大きく、樹脂シート6の圧縮量だけで
そのばらつきをキャンセルできない場合、各チップキャ
リアの高さに応じて厚みを調節した低融点金属7を設
け、各チップキャリア2の高さを均一にする。ここで
は、取り扱いの容易さから、鉛-錫はんだ(以後、Pb-Sn
はんだと表記する)を用いるものとする。
【0022】図4は、この低融点金属7の形成手順を説
明する斜視図で、配線基板4に接合したチップキャリア
2の反基板面に、メタライズを施す(図示せず)。メタ
ライズは具体的には、Ni、Auの多層スパッタ膜の被覆で
ある。次いで、そのメタライズ面にPb-Snのはんだ膜を
形成する。Pb-Snはんだ膜の形成方法に制限はなく、加
熱して塗布する方法でも良く、めっき法でもよい。はん
だ膜厚は、各チップ高さのばらつきを解消できる厚みが
必要であり、本構成例ではおおよそ0.2mm厚とした。
こうして各チップキャリアの反基板面にはんだ膜を形成
したのち、その上部に伝熱体3を積み重ねる。図5はそ
のときの状態を示したもので、ここでは伝熱体3、配線
基板4等のハッチングは省略している。図5のように伝
熱体3を重ねた時点ではチップキャリア2の反基板面に
形成したはんだ膜面の高さはばらついており、単一平面
を形成することはない。この状態で、電気炉中で均一に
加熱し、Pb-Snのはんだ膜の溶解温度まで昇温する。は
んだ膜が溶解し、伝熱体の自重によって変形した後、徐
冷してはんだ膜を凝固させる。なお、この時、はんだ膜
7と伝熱体3との接着は防止せねばならないため、伝熱
体3のはんだ接触面には、はんだ塗れ性を低下させる処
理を事前に施しておく必要がある。本構成例では、酸化
膜を形成した、はんだ膜7が凝固後は、伝熱体3の接触
面を転写した状態となり、伝熱体3の接触面とほぼ同一
の平面を形成し、各チップキャリア2の高さばらつきを
解消することができる。なお、低融点金属の溶解温度は
180〜190℃のものとすると、200℃以上の融点
をもつはんだ製の電極5が融けることはなく、またチッ
プキャリアに搭載された回路が影響を受けることはな
い。
【0023】さらに本構成例では、樹脂シート6の両面
には高熱伝導性の微粒子を分散したグリース(図3には
図示せず、オイルでもよい)を塗布してある。このグリ
ースとしては銀の超微粒子をシリコンオイルに分散した
高熱伝導性グリースを用いた。図6は、樹脂シート6と
低融点金属7との接触状態を示す接触部縦断面の概念図
である。樹脂シート6の表面は比較的なめらかである
が、微視的に見れば表面に微細な凹凸が存在し、その凹
凸によって未接触部が生じ、接触熱抵抗を引き上げる要
因となっている。そこで上記のようにグリース8を塗布
すると、接触面の微視的な未接触部分に熱伝導グリース
8が充填され、接触熱抵抗を大幅に低減することができ
る。図7は、樹脂シート6、グリース8の構造を示す接
触部縦断面の概念図で、樹脂シート6内には、その面内
におおよそ平行に鱗片状の微細な銀微粒子6aがシリコ
ン樹脂6b中にほぼ均一に分散している。一方、グリー
ス8は、銀の超微粒子8aをシリコン系オイル8b中に
ほぼ均一に分散した構造である。なお、 樹脂にグリー
スを塗布した場合、樹脂がグリース中のオイルを吸収し
弾性が変質する、さらにグリースのオイル分が減少しグ
リースの粘性が変化すると懸念されていた。しかしなが
ら前述のごとく、各種条件の検討によって、電子回路装
置に用いる条件範囲であれば、イル吸収による樹脂の変
質、およびグリースの粘性低下も軽微であり、長期使用
が可能であることが明らかとなった。
【0024】図8及び図9は、本発明の低融点金属を用
いた他の構成例を示すもので、低融点金属7と伝熱体3
との間にAlN製の平板9を設置した点に特徴がある。図
3の構成例では、はんだ膜の溶解凝固面が直接伝熱体3
に接触するが、一般に、溶解凝固面は、面があれ、凝固
時の収縮によって平面を形成し難い。したがって、より
きびしい条件で用いる場合、すなわち熱抵抗をより低く
せねばならない場合は、図3の構成では実現困難とな
る。そこで、高い熱伝導性を有し、かつ優れた平面を維
持できるAlN平板9を低融点金属7と伝熱体3との間に
設置し、上記課題の解消を図った。さらに、本構造で
は、はんだ膜7と伝熱体3との接着は無く、事前の防止
処理も必要ない。
【0025】本構成例の形成手順は以下のようである。
まず、図8のように配線基板4に接合したチップキャリ
ア2の反基板面に、AlN製の平板9を設置する。チップ
キャリア2はAlN製であり、その反基板面には図3の場
合と同様にメタライズが施されている(図示せず)。一
方、AlN平板9のチップキャリア2側の面には、Pb-Snの
はんだ膜が形成されている(図示せず)。ここでは、メタ
ライズを施したAlN平板9を用いて、めっき法によってP
b-Snのはんだ膜を形成した。めっきによるはんだ膜は膜
厚が比較的均一であり本発明に適する。もし、はんだ膜
厚が均一でない場合は、追加工によって膜厚の均一化を
図る。なお、めっき膜厚はチップキャリア2の高さばら
つきを解消できる膜厚が必要であり、ここでは0.2mm
厚とした。
【0026】図9は、全てのチップキャリア2にAlN平
板9を乗せ、次いで伝熱体3を積み重ねた状態の縦断面
を示す。但し、チップキャリア2の断面は示しておら
ず、また図の煩雑さをさけるため伝熱体3、配線基板4
等にはハッチングを施していない。AlN平板9を乗せた
時点では、AlN平板9の面高さは、チップキャリア2の
各々の高さに応じてばらついており、一般には単一平面
を形成することはない。この状態で、電気炉中で均一に
加熱し、 AlN平板9のPb-Snのはんだ膜の溶解温度まで
昇温する。これによりはんだ膜のみが溶解し、伝熱体の
自重によって変形した後、徐冷してはんだ膜を凝固させ
る。その結果、 AlN平板9は伝熱体3の接触面を転写し
た状態となり、伝熱体3の接触面とほぼ同一の平面を形
成し、これが図9で示した低融点金属7となって各チッ
プキャリア2の高さばらつきを解消する。はんだ膜が凝
固後、伝熱体3を取り外し、グリース8を塗布した樹脂
シート6を付設し、改めて伝熱体3を組立てる。以上の
形成手順においても、低融点金属7の形成時の昇温によ
り、他の部分が影響を受けないのは、図3の構成例の場
合と同様である。そして、本構成例により、AlN平板9
を挿入することでさらに熱伝導性を高めることができ
る。
【0027】図10、図11は本発明のさらに他の構成
例を示すもので、図10はその詳細構造を示すチップキ
ャリア2を含むの縦断面図である。但し、チップキャリ
ア2はその断面を示していない。図11は、樹脂膜の平
面図で、この平面図のAA断面が図10になる。そして本
例はこの樹脂膜の形状に特徴がある。すなわち、伝熱体
3の接触面に被覆した樹脂膜63は、伝熱体3との接触
面内では微小な4角形が格子状に多数配列した形状とな
っている。また、その外形はAlN平板9よりも大きく、
内形がAlN平板9よりも小さい寸法の枠形状の樹脂膜6
2がチップキャリア2の反基板面の周辺に設けられてお
り、したがって図11でみると樹脂膜62、63の部分
は凸部を、ハッチを施したAlN平板9の部分が凹部を形
成している。
【0028】このような樹脂膜の形成には、熱硬化・接
着性のシリコン系樹脂を用いた。ペースト状の樹脂を印
刷法によって伝熱体3の接触面に被覆し、ついで加熱に
よって硬化させ、同時に伝熱体3の接触面に接着させ
た。本樹脂は加熱によって硬化するものの、硬化後の剛
性は低く、良好な弾性体となる。さらに、図1の場合の
樹脂シート6と同様に鱗片状の微細な銀微粒子を分散・
含有することにより、良好な弾性特性を維持しつつ、優
れた熱伝導性を与えることができる。樹脂62、63の
厚みは、半導体素子の発熱量、変形量、樹脂膜の弾性
率、樹脂の変形能によって決定される。今の場合、膜厚
0.05mmとした。また、樹脂膜62、63の表面、およ
び微小な4角形が配列したその間に、高熱伝導性グリー
ス8を塗布・充填した。その結果、樹脂膜とAlN平板9
との接触熱抵抗は大幅に低減した。また、樹脂膜62、
63を被覆した伝熱体3とチップキャリア2とを密着さ
せた状態では、樹脂膜62とAlN平板9とによって準密
閉空間が形成される。その結果、内部に密閉された状態
の高熱伝導性グリース8は、グリースの流れによる逃げ
だしが抑制され、グリース必要量の長期保持、および固
化の長期的防止ができる。その結果、長期的に高い信頼
性が得られる。なお、樹脂膜へのグリース塗布に関する
一般的懸念、および使用可能であることを明らかにする
ために各種検討を行ったことは前記と同様である。
【0029】なお、図10、図11では樹脂膜62で形
成される枠を設けるものとしたが、これはなくても熱抵
抗の低減には大きな効果があることはいうまでもない。
【0030】以上で本発明のいくつかの構成例を、チッ
プキャリアを搭載するものとして説明したが、これは半
導体素子そのものであってもよいことは明らかである。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、半導体素子の発熱量が
増大したときでも、その熱を十分効果的に放熱でき、熱
変形を生じるのを防止できる電子回路装置を実現できる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる電子回路装置の構成例を示す斜視
概略図である。
【図2】図1の装置のチップキャリアを含む縦断面図で
ある。
【図3】本発明の他の構成例を示すチップキャリアを含
む縦断面図である。
【図4】図3の構成例における低融点金属の形成方法を
示す図である。
【図5】図3の構成例における低融点金属の形成方法を
示す図である。
【図6】図3の樹脂シートと低融点金属との接触状態を
示す縦断面の概念図である。
【図7】図3の樹脂シートとグリースの構造を示す接触
部縦断面の概念図である。
【図8】本発明の他の構成例をその低融点金属の形成手
順で示した図である。
【図9】図8の構成例におけるチップキャリアにAlN平
板と伝熱体とを積み重ねた状態の縦断面を示す図であ
る。
【図10】本発明の他の構成を示すチップキャリアを含
む縦断面図である。
【図11】図10の樹脂膜の平面図である。
【図12】図1の構成例における伝熱体とチップキャリ
アとの間の熱抵抗を測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 電子回路装置を構成するモジュール 2 チップキャリア 3 伝熱体 4 配線基板 6 樹脂シート 6a 鱗片状の銀微粒子 6b シリコン樹脂 62、63 樹脂膜 7 低融点金属 8 熱伝導グリース 8a 銀の超微粒子 8b シリコンオイル 9 AlN平板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 満 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体素子もしくはチップキャリアを複
    数個搭載した基板と伝熱体を有する電子回路装置におい
    て、グリースあるいはオイルを塗布した樹脂が半導体素
    子もしくはチップキャリアと伝熱体との間に介装されて
    成ることを特徴とする電子回路装置。
  2. 【請求項2】 半導体素子もしくはチップキャリアを複
    数個搭載した基板と伝熱体を有する電子回路装置におい
    て、伝熱体のチップキャリア側の面には樹脂が被覆さ
    れ、さらに該樹脂にグリースもしくはオイルが塗布され
    ており、かつ半導体素子もしくはチップキャリアの伝熱
    体側の面には低融点金属が被覆されて成ることを特徴と
    する電子回路装置。
  3. 【請求項3】 半導体素子もしくはチップキャリアを複
    数個搭載した基板と伝熱体を有する電子回路装置におい
    て、伝熱体のチップキャリア側の面には樹脂が被覆さ
    れ、さらに該樹脂にグリースもしくはオイルが塗布され
    ており、かつ半導体素子もしくはチップキャリアの伝熱
    体側の面には低融点金属が被覆されており、さらに前記
    樹脂と前記低融点金属との間に平板が介装されて成るこ
    とを特徴とする電子回路装置。
  4. 【請求項4】 半導体素子もしくはチップキャリアを複
    数個搭載した基板と伝熱体を有する電子回路装置におい
    て、伝熱体のチップキャリア側の面には枠形状の樹脂と
    その枠内部に分割された樹脂が被覆され、さらに前記枠
    形状樹脂および前記分割された樹脂の間に形成された
    溝、および前記分割された樹脂の表面にグリースもしく
    はオイルが塗布されており、かつ半導体素子もしくはチ
    ップキャリアの伝熱体側の面には低融点金属が被覆され
    て成ることを特徴とする電子回路装置。
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