JPH11135443A - 堆積膜の形成装置及び形成方法 - Google Patents

堆積膜の形成装置及び形成方法

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JPH11135443A
JPH11135443A JP9316424A JP31642497A JPH11135443A JP H11135443 A JPH11135443 A JP H11135443A JP 9316424 A JP9316424 A JP 9316424A JP 31642497 A JP31642497 A JP 31642497A JP H11135443 A JPH11135443 A JP H11135443A
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forming
film
reaction vessel
pores
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Kazuyoshi Akiyama
和敬 秋山
Kazuhiko Takada
和彦 高田
Tatsuji Okamura
竜次 岡村
Hitoshi Murayama
仁 村山
Toshiyasu Shirasago
寿康 白砂
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Canon Inc
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C16/00Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes
    • C23C16/44Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes characterised by the method of coating
    • C23C16/4401Means for minimising impurities, e.g. dust, moisture or residual gas, in the reaction chamber
    • C23C16/4404Coatings or surface treatment on the inside of the reaction chamber or on parts thereof

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、反応容器内部の堆積膜の膜はがれを
極力防止して、球状突起の発生を抑制し、品質の優れた
電子写真用感光体を形成しえる堆積膜の形成装置及び形
成方法を提供することを目的としている。 【解決手段】本発明は、反応容器の内部に少なくとも高
周波電力を導入する手段、原料ガスを導入する手段、堆
積膜を形成するための基体を支持する基体支持手段を備
え、前記高周波電力によりグロー放電を発生させ、原料
ガスを分解し前記基体支持手段により支持される基体上
に堆積膜を形成する堆積膜の形成装置または形成方法に
おいて、前記反応容器の内部の表面または構造物の堆積
膜が堆積する表面の少なくとも一部を多孔質セラミック
ス材料で構成し、該部への堆積膜の密着性を強固にする
ことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は堆積膜の形成装置及
び形成方法に関し、特に、プラズマCVDによる非晶質
シリコン系電子写真用感光体の形成装置及び形成方法に
関する
【0002】
【従来の技術】像形成分野において、光受容部材におけ
る光受容層を形成する光導電材料としては、高感度で、
SN比〔光電流(Ip)/暗電流(Id)〕が高く、照
射する電磁波のスペクトル特性に適合した吸収スペクト
ルを有すること、光応答性が早く、所望の暗抵抗値を有
すること、使用時において人体に対して無害であるこ
と、等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィ
スで使用される電子写真装置内に組み込まれる電子写真
用光受容部材の場合には、上記の使用時における無公害
性は重要な点である。こうした要求を満足し得る材料と
してアモルファスシリコン(a−Si)をもちいた電子
写真用光受容部材があげられる。例えば特開昭54−8
6341号公報には、a−Siを光導電層に用いた、耐
湿性、耐久性、電気特性に優れた電子写真用光受容部材
に関する技術が記載されている。こうした技術により電
気的、光学的、光導伝的特性および、使用環境特性、耐
久性が向上し、更に、画像品位の向上の可能な、a−S
iで構成された電子写真用光受容部材が実用化されると
ころとなった。
【0003】一方で、a−Si電子写真用光受容部材の
製造には高度な技術が必要とされる。とくに電子写真用
光受容部材の場合、他のデバイスに比較して、大面積で
かつ、厚い膜厚が必要とされるため、どのように均一性
を確保するか、また、a−Si膜堆積中に異物を核とし
て発生する、膜の異常成長をどのように防止するかが重
要な要素となる。そのような観点から、いかに工業的に
安定して高品質なa−Si電子写真用光受容部材を製造
するかの点についてもさまざまな提案がなされて来た。
とくに、電子写真用光受容部材については、コピー画像
上に細かい白い点が発生するいわゆる「白ポチ」の原因
となる球状突起の発生が重大な問題となる。この様な球
状突起の発生原因として、ほこりや、堆積膜形成装置内
部に付着した膜が剥れる事によって生じる破片などが、
基体や形成途中の堆積膜に付着し、これを核として堆積
膜が異常成長を起こす事がわかっている。この様な球状
突起の発生を防止するための技術として、さまざまな装
置上の改良が試みられている。例えば付着した膜の密着
性を向上し、膜はがれを防止するための素材として表面
粗さを制御したセラミックス材料を反応容器の内部に使
用することで、その部位よりの膜はがれが大きく軽減さ
れることが知られている。そうした技術の一例として、
特開平4−247877号公報には、ガス放出穴近傍を
セラミックスで形成することで膜はがれを防止し、球状
突起の発生を抑制する技術が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
電子写真装置は従来にもまして、高画質化、高速化、高
耐久化が求められている。さらに、サービスコストの低
減のため、各部品の信頼性向上によりメンテナンス回数
の低減が必要とされ、電子写真用光受容部材はさまざま
な環境下でサービスマンのメンテナンスを受けないま
ま、以前にもまして長時間繰り返し使用を続けられる様
になった。このような状況下では、従来の電子写真用光
受容部材は改善されるべき余地が残されている。こうし
た状況の中で、従来は画像上で認識しえない様な微小な
球状突起であっても、さまざまな問題を引き起こすこと
がわかってきた。特に電子写真プロセスが高速化され、
また、高画質化のためにトナーの粒径を小さくして行っ
た場合、感光体表面に廃トナーが溶けて付着する融着が
大きな問題とされる。この融着は微小な球状突起がきっ
かけとしてトナーが付着することにより発生し、画像形
成を繰り返すに従って次第に成長して行くことがわかっ
た。また、融着が発生しない場合でも、長期に渡って画
像形成を繰り返すうちに、微小な球状突起が欠落する場
合がある。この場合は球状突起が小さなものであって
も、電子写真用感光体の電位保持能力が損なわれるた
め、実際の球状突起の直径に対して2倍から10倍程度
の範囲で電位が低下し白ポチとなって画像上にあらわれ
ることがわかってきた。
【0005】その一方で、この様な微小な球状突起の発
生を防止するためには、前述の様な表面粗さを制御した
セラミックス材料を用いた技術においても、電子写真用
感光体の製造工程上に問題を生じる場合があるのが現状
となっている。前記特開平4−247877号公報によ
ればセラミックスの表面の10点平均粗さ(Rz)を5
μm以上200μm以下の範囲にすることで膜はがれの
防止に効果があるとしている。この様にセラミックス材
料を反応容器の内部に使用することは、膜はがれの防止
に効果的であることは先述した通りである。上記の様に
表面をあらしたセラミックスを用いた場合、セラミック
ス本来がもつa−Si堆積膜に対する密着性のよさと、
表面積を増大させることによる単位面積あたりの膜の応
力を緩和させることによる効果を得ることができる。
【0006】セラミックス材料の表面粗さを制御する場
合、その方法としては投射体を吹きつけることによるブ
ラスト加工が最も一般的に用いられている。しかしなが
ら一般に燒結されたセラミックス、特に膜はがれ防止に
好適とされるアルミナセラミックスは硬度が高いため、
ブラスト加工で表面粗さを所望の値に均一に仕上げるこ
とは実際には簡単ではない。特に円筒形状のセラミック
ス材料の場合、その形状から、投射体を均一に吹きつけ
ることが難しく、実際の表面粗さには部位によってばら
つく場合がみられた。
【0007】このように部位によって表面粗さが異なっ
ているケースでは、極端に表面粗さが異なる部分の境界
付近で微小な膜はがれを発生させるケースがあり、微小
な球状突起の発生原因となる場合がみられた。表面粗さ
のばらつきを抑えるためには、部品の各点の表面粗さを
測定した後、再度ブラスト加工をほどこす作業を繰り返
すことになるが、これはコスト管理上好ましくない。ま
た、注意深いブラスト加工によって表面が均一にあれた
部品であっても、長期にわたって使用する間には次第に
堆積膜の密着性が悪化して行くことも明らかになってき
た。その原因は、セラミックス部品に対する機械的なス
トレス、例えば他の部品と擦れ合わさったりして表面が
削られていくことにある。こうした問題を避けるため、
部品には定期的なブラスト加工により表面の再加工を余
儀なくされ、その際にも表面粗さの管理が困難であるこ
とは前述の通りである。さらに、セラミックス材料で構
成された反応容器内の部品の形状によっては、堆積膜が
付着するにも係わらず、ブラスト加工が困難である部位
も生じる。その結果膜はがれ防止の効果が十分に得られ
ない場合もある。発明者らの経験によれば、こうした部
品を使用することによって堆積膜形成中の反応容器の内
部で膜はがれが発生した場合でも、その規模は軽微であ
ることから、電子写真用感光体上に発生する球状突起は
微小なものであり、コピー画像上で白ポチとなるような
球状突起を電子写真用感光体表面に発生させるに至るケ
ースはまれであるが、前述した近年における従来にもま
しての電子写真装置に対するより高い要求から、白ポチ
にならない微小な球状突起に対しても、対策が望まれて
いるのが実情である。
【0008】そこで、本発明は、上記した従来のものに
対する課題を解決し、反応容器内部の堆積膜の膜はがれ
を極力防止して、球状突起の発生を抑制し、品質の優れ
た電子写真用感光体を形成しえる堆積膜の形成装置及び
形成方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、堆積膜の形成装置及び形成方法をつぎのよ
うに構成したことを特徴とするものである。すなわち、
本発明の堆積膜の形成装置は、反応容器の内部に少なく
とも高周波電力を導入する手段、原料ガスを導入する手
段、堆積膜を形成するための基体を支持する基体支持手
段を備え、前記高周波電力によりグロー放電を発生さ
せ、原料ガスを分解し前記基体支持手段により支持され
る基体上に堆積膜を形成する堆積膜の形成装置におい
て、前記反応容器の内部の表面または構造物の堆積膜が
堆積する表面の少なくとも一部を多孔質セラミックス材
料で構成し、該部への堆積膜の密着性を強固にすること
を特徴としている。また、本発明の堆積膜の形成装置
は、前記多項質セラミックスの気孔の平均直径が、1μ
m以上150μm以下、見かけ気孔率が10%以上39
%以下、または2μm以上100μm以下、見かけの気
孔率が20%以上35%以下であることを特徴としてい
る。また、本発明の堆積膜の形成装置は、前記多孔質セ
ラミックスが、アルミナセラミックスで構成されること
を特徴としている。また、本発明の堆積膜の形成装置
は、前記多孔質セラミックスが、窒化ホウ素で構成され
ることを特徴としている。また、本発明の堆積膜の形成
装置は、前記多孔質セラミックスが、二酸化チタンで構
成されることを特徴としている。また、本発明の堆積膜
の形成方法は、反応容器の内部に原料ガスを導入し、高
周波電力によりグロー放電を発生させ、前記原料ガスを
分解し前記反応容器内に配された基体上に堆積膜を形成
する堆積膜の形成方法において、前記反応容器の内部の
表面または構造物の堆積膜が堆積する表面の少なくとも
一部を多孔質セラミックス材料で構成し、該部への堆積
膜の密着性を強固にして堆積膜を形成することを特徴と
している。また、本発明の堆積膜の形成方法は、前記多
項質セラミックスの気孔の平均直径が、1μm以上15
0μm以下、見かけ気孔率が10%以上39%以下、ま
たは2μm以上100μm以下、見かけの気孔率が20
%以上35%以下であることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、上記した構成により、
従来の様にブラスト加工等の機械的な粗面化の方法に頼
ることなしに、従って部品の形状に左右されずに均一で
良好な表面粗さの部品を得ることができ、同時に良好な
表面粗さを定期的な粗面化の再加工を必要とせず長期間
にわたって得ることができる。加えて、多孔体として、
セラミックス材料を用いることで、耐熱性、耐蝕性等の
特性を利用し、反応容器内部へ広く適用することができ
る。本発明で用いる多孔質セラミックスとはセラミック
ス中に気孔が実質的に均一に分散し、これらが3次元的
に連なって通気性を有する状態にあるものをいう。この
性質は、セラミックス材料のあらゆる面で均一な表面性
を得るために重要である。
【0011】本発明では、セラミックス表面に気孔があ
るため、表面積が増加することに加え、堆積膜が成長す
る過程で、気孔内部に堆積膜がまわり込み、さらに表面
に堆積膜のバルクが形成されて行くに従って、これがア
ンカーの役割を果たすことでセラミックスと堆積膜の密
着性を強固にする効果を発揮する。本発明者らの実験に
よれば、気孔の平均直径が1μm未満の場合は気孔内部
の堆積膜の回り込みが十分でないため、電子写真用感光
体の球状突起の防止効果において、気孔を持たないセラ
ミックス材料を用いた従来の堆積膜形成装置に対して明
確な差異は認められなかった。一方、気孔の平均直径が
150μmをこえると、条件によっては多孔質セラミッ
クスの表面上に膜が形成されずに粉体状のものが形成さ
れ、逆に球状突起が増加する傾向が見られた。これは気
孔が大きいと気孔内部とセラミックス粒子の表面に連続
した膜が形成される前に、島状に堆積膜が厚く堆積する
ため、膜の一部が応力に耐え切れず微小な膜はがれを発
生するためと推測される。このように、本発明の効果
は、多孔質セラミックスの表面上に各気孔間をつなぐ様
に連続した堆積膜が形成されることによって効果が発揮
される。
【0012】また、見かけの気孔率が10%未満の場合
は、気孔の分布がまばらになるため、前記したアンカー
の効果がうすれることによりやはり孔を持たないセラミ
ックス材料を用いた従来の堆積膜形成装置に対して明確
な差異は認められなかった。一方見かけの気孔率が39
%を越える場合には機械的な強度が急速に悪化する傾向
が見られ、場合によっては堆積膜の応力に耐えられず、
セラミックス材料そのものが剥離する場合があり、実用
的なものはえられなかった。従って気孔の平均直径は、
1μm以上150μm以下、かつ見かけの気孔率は10
%以上39%以下が好適であり、見かけの気孔率を横軸
に、気孔の平均直径を縦軸に取った場合、図3の実線で
囲まれた部分が好適に使用できる。さらに、気孔の平均
直径が2μm以上100μm以下、かつ見かけの気孔率
が20%以上35%以下の、図3の斜線で示した範囲が
最適であった。
【0013】図1は本発明で使用される多孔質のセラミ
ックス材料の断面の模式図である。多孔質のセラミック
ス材料1はセラミックス粒子3の中に気孔4が均一に分
散した構造をとる。本来気孔は上記の様に3次元的に連
なるものであるが、図1及び図2では簡単のため球形の
気孔が均一に分散しているものとして表現している。多
孔質のセラミックス材料の表面2には気孔5が露出して
いる。表面粗さは気孔5の平均直径と見かけの気孔率と
によってほぼ決まる。従って従来使用された気孔を有し
ないセラミックス材料の様に表面をブラスト加工等の機
械加工であらす必要がない。また気孔の分布が均一であ
るので部材全体にわたって均一な表面粗さを得ることが
できる。
【0014】図2は本発明で使用される多孔質のセラミ
ックス材料を長期間使用し表面が摩耗した様子を模式的
に示した図である。向かって左側が摩耗前の状態、向か
って右側が摩耗後の状態を示している。図2では摩耗前
の表面2が摩耗後の表面6まで摩耗している。しかし摩
耗後の表面6に対しても気孔6が新たに露出するため表
面粗さが損なわれることはない。この場合も気孔が全堆
積中に均一に分散しているので、表面粗さは摩耗前と同
等に均一に得られている。これに対し、気孔を持たない
セラミックス材料では、後に実験で示す様に摩耗前に良
好な表面状態を保っていても、摩耗後には表面がなだら
かに(表面粗さRzが小さく)なる。また一度なだらか
になった場合には再度ブラスト加工等の加工を行なわな
い限り良好な表面粗さに回復することはない。
【0015】また本発明では、どの様な形状の部品であ
っても、素材そのものに均一に分散された気孔が、表面
のあらゆる箇所に露出する。したがって、ブラスト加工
等の表面あらし加工が困難な形状の部品であっても、本
発明によれば良好な堆積膜のはがれ防止効果を得ること
ができる。部品表面全体にわたって良好な表面粗さを得
ることができる。以上の様に本発明では、多孔質のセラ
ミックス材料を反応容器の内部に用いることで、反応容
器内部の形状や部品の使用頻度、あるいはブラスト加工
等の表面の粗面化のムラに左右されることなく、均一で
堆積膜の膜はがれ防止に対して良好な表面粗さを得るこ
とができ、これによって反応容器内部の膜はがれを効果
的に防止することで、電子写真用感光体表面の微小な球
状突起の発生を効果的に抑制することができる。
【0016】以下に、本発明の実施の形態の一例につい
て説明する。また、本発明で用いる多孔質セラミックス
材料の表面粗さは、多孔質セラミックス材料の気孔の平
均直径や気孔率によってほぼ決定される。もちろん、表
面粗さは多孔質セラミックス材料を形成した時の機械加
工によって大きく左右されるものであるが、前述した様
に長期間使用して摩耗した後の堆積膜の密着性を考える
とき、この様な機械加工による表面粗さは意味を持た
ず、気孔の平均直径や気孔率によって決定される表面粗
さが重要となる。この場合の表面粗さは、気孔の形状や
材質、あるいは多孔質セラミックスの製造条件等によっ
ても多少異なるため一概には言えないが、図3に示した
最適な範囲内の気孔の平均直径及び気孔率を持つもので
あれば、2.5mmを基準長さとする10点平均粗さ
(Rz)で15μmから120μmの範囲に入り、これ
らはいずれも堆積膜の膜はがれ防止の上での好適な範囲
内にある。本発明では、多孔質セラミックス材料を形成
する材質は、図3に示した気孔の平均直径及び気孔率の
最適な範囲を満足する均一な気孔を形成できる材質であ
れば、いずれのものであっても使用できる。例えば、ア
ルミナセラミックス、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケ
イ素、ジルコニア、窒化アルミニウム、コージェライ
ト、二酸化チタン、及びこれらの混合体が使用できる
が、堆積膜の密着性の高さからアルミナセラミックス、
窒化ホウ素、二酸化チタンが好適であり、さらに高周波
電力の吸収が問題とされる場合にはアルミナセラミック
ス、窒化ホウ素が最適である。
【0017】図4は本発明で使用できる堆積膜形成装置
の形態の一例を模式的に示した図である。図4(a)お
よび図4(b)は、複数の円筒状の導電性基体を同一円
周上に配置した構成をとった場合の、本発明の堆積膜形
成装置の一例の模式図であり、図4(a)は横断面図、
図4(b)は縦断面図をしめす。この装置は大別する
と、反応容器100、原料ガス供給装置(不図示)、と
反応容器100内を減圧にするための排気装置(図示せ
ず)、高周波電極102に電力を供給するための電源1
07から構成されている。反応容器100内には円筒状
で導電性の基体101、基体加熱用ヒーター104、高
周波電力を反応容器内に導入するための電極102が設
置され、電極102には高周波マッチングボックス10
6を介して高周波電源107が接続されている。基体1
01はホルダー(図示せず)を介して回転軸108に保
持されており、回転軸108は真空シール(図示せず)
を通して反応容器100の大気側に貫通し、ギア110
を介してモーター109に接続されている。またグロー
放電領域103内には原料ガス導入手段105が配置さ
れ、原料ガス供給装置(不図示)に接続されている。
【0018】図4に示した装置を用いて本発明を実施す
る場合、多孔質セラミックス材料は、素材の特性上使用
にさしつかえない部分であれば所望の部品に使用でき
る。例えば反応容器内部の壁面に直接堆積膜が付着する
のを防ぐための防着板や、同様の目的で電極に設置され
る電極カバー、基体101を支持するために基体の上下
に用いられるダミー基体(以上はいずれも図示せず)等
に用いることができる。
【0019】図5は、本発明における多孔質セラミック
ス材料を用いた場合の高周波導入手段の一例の断面を模
式的に示した図である。図5の例では反応容器100に
電極102が貫通して設置されている。電極102はガ
イシ120を介して反応容器より電気的に絶縁され、真
空シール121及び122により真空封止される。反応
容器100にはシールド123が設置され、電極102
を中心導体とする同軸構造を構成すると共に上部でマッ
チングボックス(図示せず)に接続される様になってい
る。ガイシ120の真空側には多孔質セラミックス材料
で形成されたガイシ124が設置される。また反応容器
の防着板125及び電極カバー126も多孔質セラミッ
クスで構成されている。以上の様に、本発明では多孔質
セラミックスを防着板として使用できる他、ガイシのよ
うな機能部品としても使用できる。とくにガイシのばあ
い、グロー放電開始時の異常放電や、電極カバーとガイ
シの間に生じる隙間よりプラズマが回り込むのを防ぐた
め、図5に示した様に凹形状の複雑な形状が望ましいと
される。従来この様な形状では、凹部の表面に均一にブ
ラスト加工を施すことは必ずしも容易ではなかったが、
本発明によればこの様な複雑な形状であっても、各表面
にわたって均一な表面粗さが得られるため、膜はがれ防
止に大きな効果が得られる。
【0020】次に、図4および図5に示した装置を用い
た場合の本発明の電子写真用感光体の形成装置を用いた
場合の堆積膜形成の手順を説明する。まず、反応容器1
00内に、あらかじめ脱脂洗浄した基体101を設置
し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応
容器100内を排気する。続いて、基体101を回転さ
せながら、ヒーター104により基体101の温度を2
0℃〜500℃の所望の温度に制御する。基体101が
所望の温度になったところで、原料ガス供給系(不図
示)より原料ガスを原料ガス供給管103を通して内部
チャンバ111内に供給する。このときガスの突出等、
極端な圧力変動が起きないよう注意する。次に原料ガス
の流量が所定の流量になったところで、真空計(不図
示)を見ながら排気バルブ(不図示)を調整し、所望の
内圧を得る。内圧が安定したところで、高周波電源10
7を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス
106を通じて高周波電極102に高周波電力を印加
し、グロー放電を生起させる。この放電エネルギーによ
って反応容器100内に導入された原料ガスが分解さ
れ、基体101上に所定の堆積膜が形成されるところと
なる。この際、基体101をモーター109によって堆
積膜形成中に回転させておくことで、基体の全面に堆積
膜が形成されるところとなる。所望の膜厚の形成が行わ
れた後、高周波電力の供給を止め、反応容器への原料ガ
スの流入を止め、堆積膜の形成を終える。目的とする堆
積膜の特性のため、基体上に複数の層からなる堆積膜を
形成する場合には、前記の操作を繰り返すことによっ
て、所望の層構成の堆積膜を得ることができる。
【0021】本発明では、基体として円筒状のものが使
用されるが、その材質は導電性材料または表面を導電処
理した材料が通常使用される。例えばAl、Cr、M
o、Au、In、Nb、Ni、Te、V、Ti、Pt、
Pb、Fe等の金属の他、これらの合金、例えばステン
レスなどが使用できる。また、表面を導電処理した材料
としてはアルミナセラミックス、窒化アルミニウム、窒
化ほう素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、酸化
ベリリウム、石英ガラス、パイレックスガラスなどの
他、ポリカーボネイト、テフロン等の合成樹脂が使用で
きる。表面を導電処理した材料を基体として使用する場
合、堆積膜を形成する側と反対側も導電処理することが
望ましい。本発明において使用される原料ガスは、例え
ばアモルファスシリコンを形成する場合にはSiH4、
Si2H6等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪
素(シラン類)が、Si供給用ガスとして有効に使用さ
れる。また、水素化珪素のほかにも、弗素原子を含む珪
素化合物、いわゆる弗素原子で置換されたシラン誘導
体、具体的には、たとえばSiF4、Si2F6等のフッ
化珪素や、SiH3F、SiH2F2、SiHF3等の弗素
置換水素化珪素等、ガス状の、またはガス化し得る物質
も本発明のSi供給用ガスとしては有効である。また、
これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてH2、H
e、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用しても本発
明には何等差し支えない。
【0022】さらには前記のガスに加えて、必要に応じ
て周期律表3族に属する原子、または周期律表5族に属
する原子を、いわゆるドーパントとして用いることもで
きる。例えばホウ素原子(B)を用いる場合には、B2
H6、B4H10等の水素化硼素、BF3、BCl3等のハロ
ゲン化硼素等が挙げられる。またリン原子を用いる場合
には、PH3、P2H4等の水素化燐が使用でぎる。
【0023】また、例えばアモルファスシリコンカーバ
イト(a−SiC)を形成する場合には、前記の原料ガ
スのほかに、炭素原子導入用のガスとして、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等を使用できる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4)、エタン(C2H
6)等、エチレン系炭化水素としては、エチレン(C2H
4)、プロピレン(C3H6)等、アセチレン系炭化水素
としては、アセチレン(C2H2)、メチルアセチレン
(C3H4)等が挙げられる。また、例えばアモルファス
酸化シリコン(a−SiO)を形成する場合には、前記
の原料ガスのほかに、酸素原子導入用のガスとして使用
出来るものとして、酸素(O2),オゾン(O3)、一酸
化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、一二酸化窒素
(N2O)、三二酸化窒素(N2O3)、四二酸化窒素
(N2O4)、五二酸化窒素(N2O5)、三酸化窒素(N
O3)、シリコン原子(Si)と酸素原子(O)と水素
原子(H)とを構成原子とする例えば、ジシロキサン
(H3SiOSiH3)、トリシロキサン(H3SiOS
iH2OSiH3)等の低級シロキサン等を挙げることが
できる。
【0024】本発明において、例えばアモルファス窒化
シリコン(a−SiN)を形成する場合には、前記の原
料ガスのほかに、窒素原子導入用のガスとして使用出来
るものとして、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、ヒ
ドラジン(H2NNH2)、アジ化水素(HN3)等のガ
ス状のまたはガス化し得る窒素、窒素物及びアジ化物等
の窒素化合物を挙げることができる。この他に、窒素原
子の供給に加えて、ハロゲン原子の供給も行えるという
点から、三弗化窒素(F3N),四弗化窒素(F4N2)
等のハロゲン化窒素化合物を挙げることができる。反応
容器内のガス圧も同様に目的とする堆積膜の特性により
適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは
0.01〜1000Pa、好ましくは0.03〜300
Pa、最適には0.1〜100Paとするのが好まし
い。
【0025】
【実施例】以下に、本発明の実験例および実施例につい
て説明するが、本発明はこれらによって何ら限定される
ものではない。 (実験例1)図4および図5でしめした電子写真用感光
体の形成装置に、見かけの気孔率のことなる多孔質セラ
ミックスを用いて作成した電極カバーを設置し、上述の
手順に従い、表1の条件で電子写真用感光体を作成し
た。なお、本実験例では各試料とも材質はアルミナセラ
ミックスとした。また、ガイシ、防着板の電極カバー以
外の部品については、気孔の平均直径3μm、気孔率3
0%の多孔質でセラミックスを用いて作成した。こうし
て得られた電子写真用感光体について表面を観察し、直
径5μm以上の球状突起の数を評価した。なお、球状突
起の評価は得られた電子写真用感光体の任意の点を9箇
所選び、各々の点について1cm2の範囲内にある球状
突起の個数を調べ、9点の合計数で評価した。その結果
を表2に示す。表2において球状突起の数は最もよかっ
た気孔の平均直径3μm、見かけの気孔率30%の試料
を用いた時の値を1として相対評価した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】 (比較実験例1)気孔を持たないアルミナセラミックス
を、ブラスト加工によってあらした電極カバーを作成し
た。実験例1と同様にして電子写真用感光体を作成し、
球状突起の評価を行なった。その結果、球状突起の数は
1.9であった。以上表2および比較実験例1の結果か
ら、気孔の平均直径が1μm以上150μm以下、及び
見かけの気孔率が10%以上39%以下の範囲で良好な
結果が得られた。また気孔の平均直径が2μm以上10
0μm以下、及び見かけの気孔率が20%以上35%以
下の範囲できわめて良好な結果が得られた。また、実験
例1で用いた気孔の平均直径2μm、見かけの気孔率2
0%の多孔質セラミックスの試料と、比較実験例1で用
いた気孔を持たない試料について、各々任意に選んだ2
0点の表面粗さ(2.5mmを基準長さとする10点平
均粗さ:Rz)を測定してそのばらつきを調べた。その
結果、多孔質セラミックスでは、最小値が28.9μ
m、最大値が34.3μmであったのに対し、気孔を持
たないセラミックスでは最小値が13.6μm、最大値
が59.3μmであり、このばらつきが球状突起を悪化
させる原因のひとつと考えられる。
【0028】(実験例2)図4及び図5に示した電子写
真用感光体の形成装置の内部に、アルミナセラミックス
を素材とした多孔質セラミックスで作成した直径26m
m、長さ30mm、厚さ3mmの試料を配置した。各々
の試料についての気孔の平均直径、見かけの気孔率を表
3に示した。これらの試料を電子写真用感光体の形成装
置の内部に配置した後、表1の条件で電子写真用感光体
を形成し、表3で示した工程を行なって再生処理を行な
った。なお、各工程間の移動は、同時に使用した他の部
品と同様にして、試料をステンレス製のかごに入れ、台
車にて搬送して行なった。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】 このサイクルを50回繰り返し、各々の試料について初
期の重量および表面粗さ(2.5mmを基準長さとする
10点平均粗さ:Rz)を測定し、それぞれ50サイク
ル終了後の値と比較した。なお、表面粗さについては、
測定位置によるばらつきを抑えるため、あらかじめ1c
2の範囲でマーキングをほどこし、そま範囲内で10
回Rzを測定し、平均値を比較した。
【0031】(比較実験例2)実験例2で用いた試料と
同様の寸法で、気孔を持たないアルミナセラミックスを
用いて、表面をブラスト加工によって約30μmにあら
した試料を作成した。この試料を試料Hとし、実験例2
の試料と同時に50サイクル工程を繰り返し、初期の重
量及び表面粗さと、50サイクル後の重量及び表面粗さ
を比較した。なお表面粗さについては、測定位置による
ばらつきを抑えるため、あらかじめ1cm2の範囲でマ
ーキングをほどこしその範囲内で10回Rzを測定し、
平均値を比較した。以上実験例2及び比較実験例2の結
果を表5に示した。
【0032】
【表5】 表5において、重量変化は、初期の重量に対する50サ
イクル後の重量の割合を100分率で示している。表5
の結果から見かけの気孔率が39%を越えると重量変化
が急激に大きくなることがわかる(試料G)。これは機
械的な強度が急激に弱まる傾向が顕著になり摩耗の度合
いが大きくなることに加えて、感光体形成中に堆積膜の
応力によってセラミックス材料が剥離した結果による。
この影響で50サイクル後の表面粗さは、初期に比べて
大きくなる結果が得られた。試料Aから試料Fまでは重
量変化も実用上問題ない範囲であり、表面粗さの変化も
ばらつぎの範囲内であったが、気孔を持たないセラミッ
クス材料である試料Hでは重量変化は最も小さい値が得
られたが表面粗さは半分以下になっていることがわか
る。これは、ブラスト加工により形成された表面の凸部
が摩耗によって失われたためと考えられる。
【0033】[実施例1]図4及び図5にしめした本発
明の電子写真用感光体の形成装置を用いて、表6の条件
で電子写真用感光体を作成した。
【0034】
【表6】 本実施例では、図5に示した防着板、ガイシ、電極カバ
ーを多孔質セラミックで形成し、材料としてアルミナセ
ラミックスを用いた。また、気孔の平均直径は2μm、
見かけの気孔率は28%とし、表面粗さ(Rz)は3
1.3μmであった。こうして作成した電子写真用感光
体を融着と白ポチの2つの項目について、次の方法で評
価した。
【0035】(融着)各々の電子写真用感光体を電子写
真装置(キヤノン社製NP6060を本テスト用に改造
したもの)にセットして、キヤノン製画像チャート(部
品番号:FY9−9060)を原稿台に置き25万枚の
画像形成を繰り返した後、感光体を取り出し、感光体の
表面と得られた画像を観察した。 融着について、 ◎・・・融着はみとめられない ○・・・感光体表面上融着が認められるが、画像上の欠
陥として判別できない △・・・画像上の欠陥が判別できるが実用上問題無し ×・・・画像上の欠陥が顕著で実用できない。 の、4段階で評価した。
【0036】(白ポチ)各々の電子写真用感光体を電子
写真装置(キヤノン社製NP6060を本テスト用に改
造したもの)にセットして画像露光を切り、初期の全面
黒色画像(ベタ黒画像)を作成する。さらにキヤノン製
画像チャート(部品番号:FY9−9060)を原稿台
に置き300万枚の画像形成を繰り返した後、再びベタ
黒画像を出力して初期の画像と共に白ポチの数を評価す
る。 白ポチについて、 ◎・・・きわめて良好 ○・・・良好 △・・・実用上問題無し ×・・・画像上の欠陥が顕著で実用できない。 の、4段階で評価した。
【0037】[実施例2]図4及び図5にしめした本発
明の電子写真用感光体の形成装置を用いて、表6の条件
で電子写真用感光体を作成した。本実施例では図5に示
した防着板、ガイシ、電極カバーを多孔質セラミックで
形成し、材料は窒化ホウ素とした。気孔の平均直径は1
5μm、見かけの気孔率は20%とし、表面粗さ(R
z)は22.6μmであった。こうして作成した電子写
真用感光体を実施例1と同様に融着、白ポチについて評
価した。
【0038】[実施例3]図4及び図5にしめした本発
明の電子写真用感光体の形成装置を用いて、表6の条件
で電子写真用感光体を作成した。本実施例では図5に示
した防着板、ガイシ、電極カバーを多孔質セラミックで
形成し、材料は二酸化チタンとした。気孔の平均直径は
15μm、見かけの気孔率は20%とし、表面粗さ(R
z)は22.6μmであった。こうして作成した電子写
真用感光体を実施例1と同様に融着、白ポチについて評
価した。
【0039】(比較例)図4及び図5にしめした本発明
の電子写真用感光体の形成装置を用いて、表6の条件で
電子写真用感光体を作成した。本実施例では図5に示し
た防着板、ガイシ、電極カバーを気孔を持たない、表面
にブラスト加工を施したアルミナセラミックスとした。
表面粗さ(Rz)は48.3μmであった。こうして作
成した電子写真用感光体を実施例1と同様に融着、白ポ
チについて評価した。以上実施例1から3、および比較
例1の結果をまとめて表7に示す。
【0040】
【表7】 表7から明らかな様に、本発明の電子写真用感光体の形
成装置ではいずれもきわめて良好な結果が得られた。
尚、以上の実施例及び比較例において、表面粗さの値は
各々の部材の任意の10点についてRzを計測し、その
平均値を記した。
【0041】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおり、前記反
応容器の内部の表面または構造物の堆積膜が堆積する表
面の少なくとも一部が、堆積膜の密着性を強固にする多
孔質セラミックス材料で構成することにより、ブラスト
加工等の機械的な粗面化によることなく均一で良好な表
面粗さを長期間にわたり確保することが可能となり、堆
積膜の膜はがれを効果的に防止することができ、球状突
起の発生を抑制し、品質の優れた電子写真用感光体を形
成しえる堆積膜の形成装置及び形成方法を実現すること
ができる。加えて、本発明においては多孔質セラミック
ス材料を用いることで、その耐熱性、耐蝕性等の特性を
利用し、反応容器内部へ広く適用することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる多孔質セラミックスの断面模式
図である。
【図2】本発明で用いる多孔質セラミックスの摩耗の様
子の模式図である。
【図3】本発明の多孔質セラミックスの気孔の平均直径
と平均の気孔率の良好な範囲をしめす図である。
【図4】本発明の堆積膜形成装置の一例を示す模式図で
ある。
【図5】本発明の堆積膜形成装置の高周波導入手段の一
例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:多孔質のセラミックス材料 2、6:表面 3:セラミックス粒子 4:気孔 5、7:表面に露出した気孔 100:反応容器 101:基体 102:原料ガス導入装置兼電極 104:基体加熱用ヒーター 106:高周波マッチングボックス 107:電源 108:回転軸 109:モーター 110:ギア 120、124:ガイシ 121、122:真空シール 123:シールド 125:防着板 126:電極カバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村山 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 白砂 寿康 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応容器の内部に少なくとも高周波電力を
    導入する手段、原料ガスを導入する手段、堆積膜を形成
    するための基体を支持する基体支持手段を備え、前記高
    周波電力によりグロー放電を発生させ、原料ガスを分解
    し前記基体支持手段により支持される基体上に堆積膜を
    形成する堆積膜の形成装置において、 前記反応容器の内部の表面または構造物の堆積膜が堆積
    する表面の少なくとも一部を多孔質セラミックス材料で
    構成し、該部への堆積膜の密着性を強固にすることを特
    徴とする堆積膜の形成装置。
  2. 【請求項2】前記多項質セラミックスの気孔の平均直径
    が、1μm以上150μm以下、見かけ気孔率が10%
    以上39%以下、または2μm以上100μm以下、見
    かけの気孔率が20%以上35%以下であることを特徴
    とする請求項1に記載の堆積膜の形成装置。
  3. 【請求項3】前記多孔質セラミックスが、アルミナセラ
    ミックスで構成されることを特徴とする請求項1または
    請求項2に記載の堆積膜の形成装置。
  4. 【請求項4】前記多孔質セラミックスが、窒化ホウ素で
    構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の堆積膜の形成装置。
  5. 【請求項5】前記多孔質セラミックスが、二酸化チタン
    で構成されることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の堆積膜の形成装置。
  6. 【請求項6】反応容器の内部に原料ガスを導入し、高周
    波電力によりグロー放電を発生させ、前記原料ガスを分
    解し前記反応容器内に配された基体上に堆積膜を形成す
    る堆積膜の形成方法において、 前記反応容器の内部の表面または構造物の堆積膜が堆積
    する表面の少なくとも一部を多孔質セラミックス材料で
    構成し、該部への堆積膜の密着性を強固にして堆積膜を
    形成することを特徴とする堆積膜の形成方法。
  7. 【請求項7】前記多項質セラミックスの気孔の平均直径
    が、1μm以上150μm以下、見かけ気孔率が10%
    以上39%以下、または2μm以上100μm以下、見
    かけの気孔率が20%以上35%以下であることを特徴
    とする請求項6に記載の堆積膜の形成方法。
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