JP2005128366A - 電子写真感光体の製造装置及び製造方法。 - Google Patents

電子写真感光体の製造装置及び製造方法。 Download PDF

Info

Publication number
JP2005128366A
JP2005128366A JP2003365476A JP2003365476A JP2005128366A JP 2005128366 A JP2005128366 A JP 2005128366A JP 2003365476 A JP2003365476 A JP 2003365476A JP 2003365476 A JP2003365476 A JP 2003365476A JP 2005128366 A JP2005128366 A JP 2005128366A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction vessel
photosensitive member
electrophotographic photosensitive
adhesion layer
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003365476A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigenori Ueda
重教 植田
Tomohito Ozawa
智仁 小澤
Makoto Aoki
誠 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2003365476A priority Critical patent/JP2005128366A/ja
Publication of JP2005128366A publication Critical patent/JP2005128366A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 電子写真用感光体に使用可能な堆積膜の形成に於いて、画像欠陥の低減が可能な電子写真感光体の製造装置及び方法を提供する。
【解決手段】 減圧可能な反応容器の内面に密着層を形成した後に円筒状基体を設置し、該円筒状基体状に堆積膜を形成する電子写真感光体の製造装置及び製造方法であって、該密着層はガラス上に該密着層を1μm及び該電子写真感光体の初期5μmの堆積膜を順次積層した積層膜状態で該ガラス面から破断する臨界荷重が50mN以上700mN以下であることを特徴とする
【選択図】 図1

Description

本発明は、基体上に堆積膜、とりわけ機能性膜、特に電子写真感光体に用いられる堆積膜の製造装置及び製造方法に関するものである。
従来、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス等を形成するための真空処理方法には、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、プラズマエッチング法等、高周波電力により生成されるプラズマを用いた堆積膜形成法が知られており、そのための装置も数多く実用化されている。
例えば、プラズマCVD法を用いた堆積膜形成方法、つまり、高周波電力のグロー放電により原料ガスのプラズマを生成し、その分解種を基板上に堆積させることによって堆積膜を形成する方法がある。この方法を用いた場合、例えば、原料ガスにシランガスを用いることで、アモルファスシリコン(以下「a−Si」と記す)薄膜の形成方法が知られており、その製造装置も各種提案されている。
このような電子写真感光体形成装置により高品質な堆積膜の形成が行われているが、更なる品質向上のために電子写真感光体形成方法及び装置の改良が進められている。
例えば一部が誘電体で構成された遮蔽板の内部に複数の円筒状基体を同一円周上に等間隔で配置し、電極を該遮蔽板の内外に配置して円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成方法及び装置の技術に関して開示されている(特許文献1参照)。この堆積膜形成方法及び装置を用いて円筒状基体上に堆積膜を形成することにより、画像欠陥の低減効果が得られることが示されている。
更に非導電性材料で構成された反応容器内に複数の円筒状基体を同一円周上に等間隔で配置し、カソード電極を該反応容器の内外に配置して円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成方法及び装置の技術に関して開示されている(特許文献2参照)。この堆積膜形成方法及び装置を用いて円筒状基体上に堆積膜を形成することにより、堆積膜特性の均一性向上の効果が得られることが示されている。
また、反応容器内に剥離しにくい絶縁膜を形成させる目的でマイクロ波を用いたプラズマ生成手段により処理容器内部に絶縁膜を堆積させる技術に関して開示されている(特許文献3)。
更に、成膜室の内壁及び内部治具表面にシリコン、炭素及び炭化シリコンより選択された材料皮膜をプラズマCVDにより形成し装置内の腐食、劣化を抑える技術が開示されている(特許文献4)。
特開平11−026388号公報 特開平11−092932号公報 特開2003−37105号公報 特開平6−168885号公報
上記従来の方法及び装置により、良好な堆積膜が形成される。しかしながら、これら堆積膜を用いた製品に対する市場の要求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、より高品質の堆積膜が求められるようになっている。
例えば、電子写真感光体の場合、電子写真装置のプロセススピード向上、装置の小型化、低価格化等の要求は非常に高く、これらを実現可能な感光体特性、具体的には帯電能、感度等の向上、あるいは生産コストの低減、生産時の良品率向上が不可欠となっている。
また、近年その普及が目覚しいデジタル電子写真装置やカラー電子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画等のコピーも頻繁に成されるため、従来以上に画像濃度むらの低減が求められるようになっている。また同時に、画像上に白点或いは黒点等の画像欠陥を引き起こす球状突起等の構造欠陥についても、従来以上の低減が求められている。
このような構造欠陥は、堆積膜形成前から被処理物上に付着したダスト等の異物を起源として成長したもののほか、堆積膜形成途中に装置内に形成された堆積膜が、膜中の内部応力により微小な膜剥れが発生し、放電空間内に膜片となって拡散、その一部が基体上に付着したものが起源として成長したものが存在する。そのため、成膜前の基体は厳密に洗浄され、クリーンルームなどのダスト管理された環境で反応容器内に運搬することにより、基体にダストが付着することを極力避けるようにしてきた。また、反応容器内に形成された堆積膜が剥れるのを防止するために、反応容器内壁や反応容器内の構成部品等の表面に対して、粗面化する処理や、表面エネルギーの大きいセラミック材で被覆する処理等を施してきた。しかし部材の粗面化処理は広範囲を均一に粗面化することが難しいため部分的な膜剥れが発生する場合があった。更に部材表面をセラミック材で被覆した場合、初期状態では膜の密着性は良好であるが耐久性に関しては繰り返しの使用により疲労しセラミックス材自体が部材から剥れる場合があるため耐久性、コスト面で改善が望まれている。
また、感光体の成膜前に反応容器内を密着層で被覆することにより堆積膜の膜剥れを防止する手段が用いられる。プラズマCVDで形成される密着層であればエッチングによる除去が容易であり感光体の成膜毎に密着層を設けられるため耐久性の心配もない。このような密着層としては例えば窒化シリコンがプラズマCVDで容易に形成が可能で密着性の高い膜として知られており感光体としても実績がある材料である。
しかし、密着性向上を目的とした場合、どのような特性が好ましいかに関しての知見は少ないのが現状である。また一般にプラズマCVD法は装置依存が大きいためガス流量、ガス圧、放電電力といった装置に依存する作成条件ではなく膜の密着性とダスト発生防止効果を的確に判断する判断基準が求められている。
(発明の目的)
本発明は上記課題の解決を目的とするものである。即ち、本発明は減圧可能な反応容器中に円筒状基体を設置し、該反応容器中に供給した原料ガスを高周波電力導入手段より導入された高周波電力により分解し、該円筒状基体上に堆積膜を形成する高周波−プラズマCVD法による堆積膜形成において、良好な膜特性を維持しながら、画像上に白点或いは黒点等の画像欠陥を引き起こす球状突起の低減が可能な、電子写真感光体の製造装置及び製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、特定の条件で測定した密着性の評価結果が特定の範囲になるような密着層を反応容器内に設けることで、感光体作成時に発生する反応容器内の微細な膜剥れを効果的に防止し、ダスト源を飛躍的に低減できることを見出した。更に密着性の評価に関して、部材と密着層との密着性評価では成膜時のダスト発生量との相関が正確に得られないことが判明した。これは密着層とその上に堆積される感光層との密着性が不十分でその界面から剥離する場合や密着層と感光層との応力バランスにより密着層そのものが剥離してしまう場合があるためである。よって密着性の評価は作成する感光体と同様の条件で作成した感光層と密着層との積層状態で評価することが最も重要である事が判明した。
即ち、少なくとも一部が誘電体材料と導電性材料で構成された減圧可能な反応容器内に円筒状基体が設置され該反応容器内に供給した原料ガスを高周波電力導入手段から導入された高周波電力により分解し該円筒状基体上に堆積膜を形成する電子写真感光体の製造装置に於いて少なくとも該反応容器の上蓋、側壁、底面で形成された該反応容器内面及び該反応容器内部の部材表面が密着層で被覆され、該密着層はガラス上に該密着層を形成後、該電子写真感光体の初期5μmの堆積膜を順次積層した積層膜状態で該ガラス面から破断する臨界荷重が50mN以上700mN以下であることを特徴とする。
更に前記密着層の破断臨界荷重がガラス上に該密着層及び該電子写真感光体の初期5μmの堆積膜を順次積層した積層膜状態で先端の半径10μmのダイヤモンドスタイラスを振幅50μm、振動周期30Hz、負荷速度1μm/sec、送りスピード10μm/secで移動しながら該スタイラスに荷重を加えた際に、該積層膜がガラス面から破断する臨界荷重であることを特徴とする。
更に前記密着層が珪素原子、窒素原子を少なくとも一つ含んだ非単結晶膜であることを特徴とする。
更に前記反応容器の少なくとも一部がアルミナセラミックで構成されている事を特徴とする。
更に前記密着層がプラズマCVDで形成した膜である事を特徴とする。
更に前記電子写真感光体の製造装置の高周波電力供給手段に供給する高周波電力の周波数が50MHz〜450MHzである事を特徴とする。
更に前記反応容器内面を密着層で被覆する工程の後に円筒状基体を設置しプラズマCVD法により該円筒状基体表面に堆積膜を形成することにより電子写真感光体を作成することを特徴とする。
更に前記反応容器の上蓋、側壁、底面で形成された該反応容器内面及び該反応容器内部の部材表面を被覆する密着層の膜厚が0.05μm以上10μm以下である事を特徴とする。
更に前記電子写真感光体の製造装置に於いて、同一の高周波電極に供給する高周波電力が10MHz以上250MHz以下の高周波を少なくとも2つ含み、該周波数範囲における電力値の上位2つの高周波をそれぞれ第1の高周波(周波数f1、電力P1)と第2の高周波(周波数f2、電力P2)としたときに、下記式を満たす条件で、
f2<f1 … (A)
0.1≦P2/(P1+P2)≦0.9 … (B)
反応容器内にプラズマを生成する事を特徴とする請求項1及至7に記載の電子写真感光体の製造装置。
(作用)
従来から密着層材料としては例えば少なくともシリコン原子を含み、炭素、窒素、酸素、水素、フッ素、ボロンなどを含む非単結晶材料、或いは少なくとも炭素原子を骨格とし、窒素、酸素、水素、フッ素、ボロンなどを含む非単結晶炭素材料、或いは窒化ボロン、窒化アルミニウムなどのIII−V族化合物、Al2O3、ZnO、InO2などの金属酸化物などが挙げられるが、下地となる金属(アルミニウムやステンレス)と親和性がよく、且つ電子写真感光体の初期の層として使用されるアモルファスシリコン系の膜とも親和性がよい材料として特に、少なくともシリコン原子と炭素原子とを含む非単結晶炭化珪素膜や、少なくともシリコン原子と窒素原子とを含む非単結晶窒化珪素膜が挙げられるが、中でも非単結晶窒化珪素膜が最も好ましいと判断し密着層の材料として選択し検討を行った。
まず反応容器内面にガラス基板を設置した状態で窒化シリコンからなる密着層をプラズマCVDにより堆積し、スクラッチ試験により密着性を評価した。ここでスクラッチ試験とは、レコード針状のダイヤモンドスタイラスに荷重をかけながら表面を引っ掻き密着層がガラス基板から剥離する臨界荷重を測定し、その値を密着性とする測定方法である。
上記スクラッチ試験により様々な条件で作成した窒化シリコン密着層の密着性を評価し、反応容器内に密着性の異なる窒化シリコン密着層を形成した後、従来の方法で電子写真感光体を作成し微細な膜剥れにより発生する球状突起突起数との相関を検討した。その結果、窒化シリコン単層膜から得られた密着性の値と球状突起数に顕著な相関が見られず、特に同じ密着層を用いた場合でも電子写真感光体の作成条件を変化させると球状突起数が異なってしまう現象が発生した。
本発明者らは、密着性の評価方法に関して更に検討を重ねた結果、反応容器内面に設置したガラス基板に密着層を堆積し、更に実際に作成する電子写真感光体と同一の膜を積層した時のスクラッチ試験結果と球状突起数が非常によく一致することを見出した。
上記評価方法によれば、様々な形態、様々な方式(周波数、給電方法など)の感光体製造装置を用いた場合でも、上述したガラス上の積層膜でのスクラッチ試験による臨界荷重と、その積層膜と同様の層を用いた電子写真感光体の球状突起の数が、非常によく一致することが判明した。つまり、プラズマCVDという比較的装置敏感な膜形成方法を用いているにもかかわらず、本発明の目的である球状突起の抑制が、装置に依存せずに単一の方法で評価可能であり、層構成が簡便に決定でき、短期間、低コストで異常成長が極めて少ない感光体を得ることが出来る。
本発明者らは検討を進めるうち、ガラス上に密着層の膜を堆積し、その上に光導電層の膜を5μm堆積させたとき、最も球状突起の数と相関性が高いことが判った。これは、球状突起の起点となっている場所が、感光体作成時の初期に集中しており、5μmでそれらがほとんど網羅されているからである。また、5μmを超えて光導電層の膜厚を増やしていくと、測定中に光導電層が脆性破壊を起こし、膜途中から割れてしまって正確な密着性が得られないことが多くなる。これらの点から、密着性を最も効果的に反映する膜厚としては5μmが好ましいことがわかった。
また、このときの膜破断までの臨界荷重が50mN以上700mN以下の範囲にあることが最も好ましいことが判った。50mNより小さい場合には、実際の感光体作成時にも膜剥れが生じやすく、球状突起を効果的に減少させることが難しくなる。700mNより大きくなると、密着性は非常に良好であり、確かに感光体作成初期の微小剥れは非常に効果的に抑制されるが、感光体作成終盤になって基体上の膜が広範囲に剥れることがあった。これは、応力が大きすぎ、膜厚が厚くなった際に応力に耐えられなくなって膜剥れが発生したと考えられ、本願で着目した初期の応力バランス以外に、感光体に要求される数十μmの厚膜を作成した際の応力バランスも重要であることが判った。
以上の点から、ガラス基板上の膜としては、密着層の上に光導電層を5μm堆積させて積層膜としたものを用い、臨界荷重としては50mN以上700mN以下であることが、本発明の効果を得る上で最も望ましい。
更に、反応容器内面に形成する密着層の膜厚に関しては0.05μm以上10μm以下であることが好ましい。密着層の膜厚が0.05μmより薄いと密着層として機能せず球状突起数を抑制する能力が損なわれ逆に密着層の膜厚が10μmを越えると電子写真感光体の作成に伴い密着層上に感光層が数十μmの膜厚で積層されると微小な膜剥れは発生しないものの応力バランスが崩れ広範囲での膜剥れが発生する場合がる。
以上説明したように本発明によれば、少なくとも一部が誘電体材料と導電性材料で構成された減圧可能な反応容器内を密着層で被覆した後に円筒状基体が設置され該反応容器内に供給した原料ガスを高周波電力導入手段から導入された高周波電力により分解し該円筒状基体上に堆積膜を形成する電子写真感光体の製造装置および製造方法であって、該密着層の作成条件を、予めガラス基板上に該密着層の膜を形成し、その上に前記電子写真感光体の初期膜を5μm形成して積層膜とし、ダイヤモンドスタイラスを用いたマイクロスクラッチ試験を用いて評価したとき、膜が基板から破断する臨界荷重が50mN以上700mN以下となるように決定することにより、球状突起突起を極めて効果的に低減できる電子写真感光体の製造装置及び製造方法が提供出来る。更には、高品質で均一性の高い大面積の堆積膜を、更に高速で堆積させることが出来、製品品質の向上、スループットの向上や良品率向上による生産コスト低下を高い次元で両立することが可能となる。
本発明の第一の実施形態を図1に示す。図1(a)は本発明を用いたアモルファスシリコン感光体製造装置の一例を示した概略図である。図1(a)は概略断面図、図1(b)は図1(a)の切断線A−A’に沿う概略断面図。
円筒形の反応容器102の底面117には排気口107が設けられ排気口107は排気管117に接続され該排気管107の他端は不図示の排気装置に接続されている。反応容器102の中心部に、堆積膜の形成される1本の円筒状基体101が基体支持体106に載置された状態で配置されている。
VHF電源108から高周波電力をマッチングボックス105を介した後、高周波電極104より反応容器102内に高周波電力を供給する構成となっている。
電力分岐板113は、実質的に電磁波を閉じ込めるシールド114内にシールド114とは電気的に絶縁された状態で設置されている。即ち、絶縁体を介して、反応装置に固定されている構成となっている。さらに、放電初期の真空処理安定性を向上するために、電力分岐板113と高周波電極104の接続にはコンデンサーを介して接続してもよい。
高周波電極104から放出される高周波電力を反応容器102に効率良く導入するために、円筒形の反応容器102の側壁には誘電体であるセラミックスが用いられている。具体的なセラミックス材料としては、アルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コージェライト、ジルコン−コージェライト、酸化珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミックス等が挙げられる。これらのうち、真空処理時の不純物混入抑制、耐熱性等の点からアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素が好ましい。
更に、堆積膜の膜厚、膜質等のムラを改善する目的で図2に示した様に複数の高周波電源を接続した構成としてもよいこのように複数の周波数の高周波を同一電極に同方向から重畳させて供給することにより電極上ないしは導電性基体上の定在波を抑制する事ができ、より好ましい。尚、高周波電源を複数接続してあること以外は基本的に図1と同様の構成である。
高周波電源208、209は、各々の発振周波数の関係が、例えば高周波電源208が第1の高周波(周波数f1、電力値P1)を供給する第1の高周波電源、209が第2の高周波(周波数f2、電力値P2)を供給する第2の高周波電源とした場合、
50MHz≦f2<f1≦250MHz
0.1≦P2/(P1+P2)≦0.9
とすることで、堆積速度、特性、ムラ抑制の観点からバランスが最も好ましく、好適である。大面積で均一な膜堆積を高速に行うためには上述したような範囲の2つの高周波を重畳する技術を使用することが最も好ましい。
また、第1の高周波電源にはf1よりも低く、f2よりも高いカットオフ周波数特性をもつハイパスフィルターを設けてもよい。また、同様に第2の高周波電源にはf2よりも高く、f1よりも低いカットオフ周波数特性をもつローパスフィルターを設けてもよい。それらの周波数選択性は高い方が、それぞれの高周波電源に回り込む他方の電力が小さく出来、より好ましい。
また、前記電力の範囲が
0.2≦P2/(P1+P2)≦0.7
の場合がより好ましく、更に電力比の上限がf2/f1に設定することで、放電の安定性の点で最も好ましい。
また、前記周波数の範囲が、
0.5<f2/f1≦0.9
の範囲に設定するのが、より高い定在波抑制効果を得られるのでより好ましい。
更に、図2に示した装置の量産型の装置を図3に示す。図3(a)は、カソード電極を反応容器外に設置し、反応容器内に複数の円筒形基体を設置する構成とした電子写真感光体の量産型製造装置である。なお、図3(b)は、図3(a)のA−A’断面図を示している。
図3に示す反応装置は反応容器302内に6本の円筒形基体301が同一円周上に等間隔に設置される構成となっている。また、ガスを導入するガス導入管303が円筒形基体の配置円外の同一円周上等間隔に6本設置されている。
尚、図3に示す反応容器302の中心部に設けた、排気口307を同一円周上等間隔に取り囲むように円筒状基体301を複数本、配置したこと以外は図2と同様の構成である。
図4は、本発明により作成される電子写真感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。
図4(a)は、基体401の上に少なくとも水素を含むa−Siからなる光導電層402、電子写真装置における顕像保持能力をもつ表面層403が順に積層された電子写真感光体である。
図4(b)は本発明による電子写真感光体を説明する模式図であり基体401の上に電荷注入阻止層404、光導電層402、表面層403が順に積層された電子写真感光体である。
また、図5に本発明の密着性を評価するために用いるサンプルの模式的な断面図を示す。図5のサンプルは、ガラス基板500の上に、積層膜506が設けられ該積層膜は密着層505、シリコンを母体とする光導電層502がこの順で設けられている。
この密着層505の材料として、例えば少なくともシリコン原子を含み、炭素、窒素、酸素、水素、フッ素、ボロンなどを含む非単結晶材料、或いは少なくとも炭素原子を骨格とし、窒素、酸素、水素、フッ素、ボロンなどを含む非単結晶炭素材料、或いは窒化ボロン、窒化アルミニウムなどのIII−V族化合物、Al2O3、ZnO、InO2などの金属酸化物などが挙げられるが、前述したように下地となる金属(アルミニウムやステンレス)と親和性がよく、且つ電子写真感光体の初期の層として使用されるアモルファスシリコン系の膜とも親和性がよい材料が好ましい。特に、少なくともシリコン原子と炭素原子とを含む非単結晶炭化珪素膜や、少なくともシリコン原子と窒素原子とを含む非単結晶窒化珪素膜が好ましく、中でも非単結晶窒化珪素膜が最も好ましい。具体的には、非晶質窒化珪素(a−SiN)や水素化非晶質窒化珪素(a−SiN:H)、ハロゲンを含む水素化非晶質窒化珪素(a−SiN:H:X)が挙げられ、部分的に微結晶を含んでいてもよい。
密着層505を形成するのに有効に使用される原料ガスとしては、窒素原子を含むものとしては、窒素、窒化物、フッ素化窒素及びアジ化物などの窒素酸化物が挙げられる。具体的には、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、ヒドラジン(H2NNH2)、三フッ化窒素(NF3)、四フッ化窒素(N2F4)、アジ化水素(HN3)、アジ化アンモニウム(NH4N3)等が挙げられる。また、シリコン原子を含むものとしては、SiH4、Si2H6、Si3H8、Si4H10などのシラン類、及びシラン類の水素をハロゲンで置換したハロゲン置換水素化珪素などが挙げられる。
また、これらのガスに加え、希釈ガスとして水素(H2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)などを適宜混合しても良い。また、電気的な特性改善を目的として、ジボラン(B2H6)などの価電子制御用ガスを微量添加しても構わない。
これらのガスを用いて、所望の密着性を持つ膜が得られればどのような原料ガス、混合比を用いても構わないが、特にSi原子含有ガスとしてはSiH4を、窒素含有ガスとしてはN2を用いた場合に最も密着性に優れた膜が得られるため、これらを用いることが最も好ましい。
また、密着層505作成時の圧力としては、所望の密着性が得られればどのような圧力を用いても構わないが、ある程度以上高い方が密着性の向上が得られやすい。原因は不明だが、プラズマ中の活性種の挙動が変化し、堆積する膜の結合が変化するためと思われる。具体的な圧力の数値としては、厳密には周波数によって異なるが、50〜450MHzの高周波においては、好ましくは1.3Pa以上、より好ましくは2Pa以上とすることが望ましい。また、上限としては放電の安定性を考えると13.4Pa以下、より好ましくは10Pa以下が望ましい。
また図6に、前述したマイクロスクラッチ試験を模式的に示す。これはレコード針の摩擦振動を利用した表面の力学特性を測定する装置である。図6において、図5に示したガラス基板505上に形成した積層膜506の上をダイヤモンドスタイラス603を用いて引っ掻き(スクラッチ)ながら微小振動をモニターし、振動の変化を見ることで剥離の有無を判断できる。
具体的には、カートリッジ604を、x方向に振幅x、振動周期fにて走引させながら(x=xcos2πft)、y方向には一定の速度yで移動させ(y=yt)、同時に一定の割合でz方向にかける荷重を増やしていく。荷重Wはアーム605のz方向の弾性係数をkとし、z方向の変位をzとすると、W=kzで表される。この荷重Wはカートリッジ604のz方向への移動速度zに比例するため、zを負荷速度と称することとする。即ち荷重Wは負荷速度zを用いて表すと、W=kztと表すことが出来る。その際、ダイヤモンドスタイラス603から伸びるアーム605の先端に設置された磁石606の振動をコイル607でピックアップし、信号端子608から取り出し、増幅することで表面を移動するダイヤモンドスタイラス603と薄膜との摩擦運動をモニターすることが出来る。例えば、不図示のデータロガーなどを用いて振動の様子をモニターすればよい。薄膜がスタイラスの摩擦に耐えられなくなって破壊すると、摩擦力の信号が大きく変化する。この変化した時点での荷重を臨界荷重として記録する。その時点で荷重をなくし、測定を終える。測定後は、膜破壊が起こったと思われる場所を顕微鏡観察し、基板から剥離していることを確認する。以上のような手順で密着性の評価を行うことが出来る。
上述したスクラッチ試験のパラメータとしては、ダイヤモンドスタイラス603の先端半径、x方向の振動振幅x、振動周期f、負荷速度z、y方向への送りスピードyなどが挙げられる。これらについては、薄膜のスクラッチ試験として一般的なパラメータを用いればよいが、本発明者らの検討結果によると、以下の数値を用いた方がより好ましいことがわかった。具体的には、先端半径10μmのダイヤモンドスタイラスを使用し、振幅50μm、振動周期30Hz、負荷速度1μm/s、送りスピード10μm/sとすることが好ましい。この数値を用いることで、実際の感光体上の異常成長の数とスクラッチ試験結果との相関が最も良好に得られるため、好ましい。
次に図1、2、3の装置を用いた場合の堆積膜形成の概略を図1の装置を例に、以下に説明する。
反応容器102内にダミーの円筒状基体101を設置し、不図示の排気装置により、排気口107を介して排気管117へ、排気が行われ反応容器102内を排気する。続いて、ヒーター(不図示)により円筒状基体101を200℃〜300℃程度の所定の温度に加熱・制御する。
ダミーの円筒状基体101が所定の温度となったところで、不図示の原料ガス供給手段を介して、原料ガスを反応容器102内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器102内の圧力が安定したのを確認した後、高周波電力を高周波電源108よりマッチングボックス105を介して高周波電極104へ供給しする。
これにより、反応容器102の内に高周波電力が導入され、反応容器102内にグロー放電が生起し、原料ガスは励起解離して反応容器内部の全域に密着層が形成される。
所望の膜厚の形成が行なわれた後、高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して密着層の形成を終える。次に反応容器内を大気雰囲気に戻しダミーの円筒状基体101のみを取り出し円筒状基体101を設置し電子写真感光体の製造工程を行う。同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の感光体が形成される。
堆積膜の形成中、回転軸110を介して円筒状基体101をモーター111により所定の速度で回転させることにより、円筒状基体101表面全周に渡って堆積膜が形成される。
(実施例)
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本実施例及び比較例では、画像欠陥抑制の効果を明確にするために、円筒状基体以外のプラズマに曝される部材に対する表面加工は一切行わなかった。即ち、誘電体部材からなるアルミナセラミック材料で構成された反応容器の内面及び、導電性部材からなる基体支持体及び反応容器の蓋や底面等の部材表面を切削加工したままの表面状態としブラスト処理や溶射処理などの表面粗さ制御による堆積膜の膜剥れ対策は行わなかった。
図1に示す真空処理装置を用い、反応容器102のプラズマ空間側の内面の縦方向の中央位置にコーニング社製7059ガラス(25.4×76.2×0.8mm)基板を設置し表1に示す条件でa−SiN:Hからなる密着層を1μmの膜厚になるまで堆積した。次いで反応容器内をArガスでパージした後に表1の条件でa−Si:Hからなる光導電層を5μm堆積させた。このとき、表1のN2のガス量を、それぞれ100、300、500、700、900ml/min(normal)と異なる流量で密着層を形成した積層膜サンプルA〜Eを作成した。
作成したサンプルA〜Eは、図5に模式的に示した、走査型スクラッチテスタ(島津製作所製、SST−101)を用いて膜の密着性を調べた。測定条件としては、先端半径10μmのダイヤモンドスタイラスを使用し、振幅50μm、振動周期30Hz、負荷速度1μm/s、送りスピード10μm/sとした。結果は比較例1と共に表3に示す。
次に、図1に示す真空処理装置の反応容器102内に直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダーをダミーとして設置した後、上記サンプルA〜Eと同じ表1に示した密着層の作成条件で反応容器102、底面116、蓋115、ガス管103、基体支持体106の放電空間面に密着層を1μm堆積した。次いで反応容器102内をArガスでパージ及び冷却した後、大気雰囲気に戻しダミーシリンダーを取り出した後、表面切削及び洗浄処理済みの直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダーを反応容器内に再度、設置し表2の条件で電子写真感光体を作成した。この方法によりN2ガス流量の異なる密着層を、それぞれ反応容器内面に堆積した状態で作成した電子写真感光体A〜Eを作成した。
作成した電子写真感光体A〜Eの表面を顕微鏡で観察した。周方向に90度間隔で4方向を任意に選び、軸方向に2cm間隔で17点、周方向4列の計68点を選び、50倍の視野にて直径が10μm以上の球状突起の数をカウントし球状突起数の値とした。
結果は比較例1及び2と共に表3に示す。球状突起の評価は、比較例2の球状突起数を100とした相対比較である。従って、数値が小さいほど球状突起が少なく、良好である事を示す。
(比較例1)
図1の装置を用い、実施例1と同様に表1の条件で実施例1と同様の積層膜サンプルの堆積を行った。N2の流量は50、1000ml/min(normal)とし、サンプルF、Gを作成した。
取り出したサンプルを実施例1と同様の方法でスクラッチテスタにて評価した。結果は実施例1と共に表3に示す。
また、サンプルF、Gと同じ密着層の作成条件で反応容器102、底面116、蓋115、ガス管103、基体支持体106の放電空間面に密着層を1μmの膜厚で形成すること以外は実施例1と同様に表2の条件で電子写真感光体F、Gを作成した。
作成した電子写真感光体F、Gの球状突起数を実施例1と同様の方法で評価した。結果は実施例1と共に表3に示す。
(比較例2)
図1に示す真空処理装置の反応容器102内に直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダーを設置し、表2の条件により電子写真感光体Hを作成した。但し反応容器102、底面116、蓋115、ガス管103、基体支持体106の放電空間面に密着層の被覆はせずに電子写真感光体を作成した。作成した電子写真感光体の球状突起数を実施例1と同様の方法により評価し評価結果を表3に示す。
Figure 2005128366
※)実施例1では、それぞれ100、300、500、700、900[ml/min(normal)]の各流量で作成。比較例2では50、1000[ml/min(normal)]の各流量で作成。
Figure 2005128366
Figure 2005128366
以上の結果から、サンプルでの臨界荷重が本発明の50mN以上700mN以下の密着層で反応容器内部を被覆したCVD装置により作成した電子写真感光体の球状突起は激減することが判明した。また臨界荷重が50mNを下回ると密着層としての効果が低減し球状突起の低減に効果が見られず、700mNを越えると密着層の内部応力が大きくなり感光層がある程度まで積層された段階で膜剥れが発生する場合があった。
図1に示す構成の装置を用い、表4の条件で高周波電力の周波数を変えた以外は実施例1と同様の方法により積層膜サンプルの堆積を行った。高周波電源の周波数は40MHz、50MHz、150MHz、300MHz、450MHz、500MHzの6通りで、サンプルI〜Nを作成した。
取り出したサンプルI〜Nを実施例1と同様の方法でスクラッチテスタにて評価した。結果は表5に示す。
また、サンプルI〜Nで用いた表4の密着層の作成条件で反応容器102、底面116、蓋115、ガス管103、基体支持体106の放電空間面に密着層を1μmの膜厚で形成すること以外は実施例1と同様に表2の条件で電子写真感光体I〜Nを作成した。
作成した電子写真感光体I〜Nの球状突起数を実施例1と同様の方法で評価した。結果は表5に示す。
Figure 2005128366
※)それぞれ40、50、150、300、450、500 (MHz)の各周波数で作成
Figure 2005128366
以上の結果から、密着層形成に用いる高周波電力の周波数は何れの周波数でも用いることができるが、特に50MHz以上450MHz以下の範囲が球状突起の低減に効果が見られた。50MHzを下回ると大面積での密着性にバラツキが見られる場合があり、450MHzを越えると臨界荷重で求めた密着性と球状突起の関係が一致せず評価精度が低下する場合があった。
図1に示した構成の装置を用いて表6の条件で密着層を形成すること以外は実施例1と同様に反応容器102、底面116、蓋115、ガス管103、基体支持体106の放電空間面に密着層を1μmの膜厚で形成した。尚、密着層の膜厚は、それぞれ0.03、0.05、0.3、3、5、10、13(μm)とした場合の7通りで電子写真感光体O〜Uを作成し球状突起数を実施例1と同様の方法で評価した。その評価結果を表7に示す。
Figure 2005128366
※)それぞれ0.03、0.05、0.3、3、5、10、13(μm)の膜厚で作成。
Figure 2005128366
以上の結果から、反応容器内部に被覆する密着層の膜厚は0.05μm以上10μm以下の範囲で球状突起数が特に低減している事が判明した。膜厚が0.05μmを下回ると密着層の効果が低減する場合があり、10μmを越えると感光層の積層膜厚が厚くなるにつれ感光層との応力バランスが崩れ膜剥れが発生する場合があった。
図1に示す真空処理装置を用い、反応容器102のプラズマ空間側の内面の縦方向の中央位置にコーニング社製7059ガラス(25.4×76.2×0.8mm)基板を設置し表8に示す条件でa−SiN:Hからなる密着層を1μmの膜厚になるまで堆積した。次いで反応容器内をArガスでパージした後に表9の電子写真感光体の作成条件の初期5μm分の膜、即ち表8に示した電荷注入阻止層を3μm、光導電層を2μmとなるように順次積層したサンプルを作成し密着性を実施例1と同様の方法で評価した。但し、表8の電力を、それぞれ100、300、500、700、900(w)と異なる電力で密着層を形成した積層膜サンプルV〜Zを作成した。
次に、図1に示す真空処理装置の反応容器102内に直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダーをダミーとして設置した後、上記サンプルO〜Sと同じ作成方法にて反応容器102、底面116、蓋115、ガス管103、基体支持体106の放電空間面に表8の密着層を1μm堆積した。次いで反応容器102内をArガスでパージ及び冷却した後、大気雰囲気に戻しダミーシリンダーを取り出した後、表面切削及び洗浄処理済みの直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダーを反応容器内に再度、設置し表9の条件で電子写真感光体を作成した。この方法により高周波電力の異なる密着層を、それぞれ反応容器内面に堆積した状態で作成した電子写真感光体O〜Sを作成した。
作成した電子写真感光体V〜Zの表面を実施例1と同様に評価した。
Figure 2005128366
※それぞれ100、300、500、700、900 (W)の各電力で作成。
Figure 2005128366
Figure 2005128366
以上の結果から、電子写真感光体の作成条件を変更した場合に於いても、作成する電子写真感光体の初期5μmに相当する感光層を密着層上に積層したガラスサンプルにより臨界荷重(密着性)することにより電子写真感光体の球状突起数との相関は一致することが判明した。
図2に示す真空処理装置を用い電源208、209により105MHz(f1)と60MHz(f2)の2種類の周波数の高周波電力を電極204に供給すること以外は実施例1と同様に、反応容器202内面(プラズマ空間側)の縦方向の中央位置にコーニング社製7059ガラス(25.4×76.2×0.8mm)基板を設置し表11に示す条件でa−SiN:Hからなる密着層を1μmの膜厚になるまで堆積した。次いで反応容器内をArガスでパージした後に表12の電子写真感光体の作成条件の初期5μm分の膜、即ち表11に示した電荷注入阻止層を3μm、光導電層を2μmとなるように順次積層したサンプルを作成し密着性を実施例1と同様の方法で評価した。但し、表11のN2流量を、それぞれ100、300、500、700、900[ml/min(normal)]と異なる流量で密着層を形成した積層膜サンプルA’〜E’を作成した。
次に、図2に示す真空処理装置の反応容器202内に直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダーをダミーとして設置した後、上記サンプルA’〜E’と同じ作成方法にて反応容器202、底面216、蓋215、ガス管203、基体支持体206の放電空間面に表11の密着層を1μm堆積した。次いで反応容器102内をArガスでパージ及び冷却した後、大気雰囲気に戻しダミーシリンダーを取り出した後、表面切削及び洗浄処理済みの直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダーを反応容器内に再度、設置し表12の条件で電子写真感光体を作成した。この方法により高周波電力の異なる密着層を、それぞれ反応容器内面に堆積した状態で作成した電子写真感光体A’〜E’を作成した。
作成した電子写真感光体A’〜E’の表面を実施例1と同様に評価した。更に本実施例では電子写真感光体の軸方向の球状突起数分布を以下の方法で球状突起数の軸方向バラツキとして評価した。
(球状突起数の軸方向バラツキ評価)
作成した電子写真感光体A’〜E’の表面を顕微鏡で観察し、50倍の視野にて直径が10μm以上の球状突起の数をカウントした。
電子写真感光体の軸方向の中央を0mm位置として軸方向の端部方向に50mm間隔で計7箇所の軸方向位置のそれぞれの位置で、周方向に15度間隔で24方向の球状突起数をカウントする。軸方向7箇所で得られた球状突起の最も多い値と最も少ない値の差を球状突起の軸方向バラツキとして評価した。
以上の結果を表13に示す。尚、球状突起の軸方向バラツキは、実施例4で作成した電子写真感光体Wを基準として電子写真感光体Wの軸方向バラツキを100とした相対比較である。従って、数値が小さいほど軸方向における球状突起バラツキが少なく、良好である事を示す。
Figure 2005128366
※それぞれ100、300、500、700、900 [ml/min(normal)]の各流量で作成。
Figure 2005128366
Figure 2005128366
以上の結果、同一電極に異なる周波数の高周波電力を複数印加することにより放電の均一性が増し密着層の密着性が広範囲でより均一化することにより単一周波数を用いた場合よりも更に球状突起の低減に効果があることが判明した。
図3に示す真空処理装置を用い6本の電子写真感光体を同時に作成すること以外は実施例5と同様に反応容器302内に直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダーを6本ダミーとして設置した後、反応容器302、底面316、蓋315、ガス管303、基体支持体306の放電空間面に表11の条件で密着層を1μm堆積した(但し、N2ガスの流量は500 ml/min(normal)とした)。
次いで反応容器302内をArガスでパージ及び冷却した後、大気雰囲気に戻しダミーシリンダー6本を取り出した後、表面切削及び洗浄処理済みの直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー6本を反応容器内に再度、設置し表12の条件で6本の電子写真感光体C’1〜C’6を作成した。
作成した電子写真感光体C’1〜C’6の球状突起数を実施例1と同様の方法で比較例2の電子写真感光体を基準に突起数を評価し、6本間のバラツキを判定したその結果を表14に示す。
Figure 2005128366
以上の結果から、複数本の電子写真感光体を同時に作成可能な量産型の電子写真感光体の製造装置に於いても球状突起突起数の低減効果が維持され、さらにロット内でのバラツキもないことが判明した。
本発明係わるPCVD法を適用可能な製装置の概略図 本発明に係わるPCVD法を適用可能な製装置であって、異なる周波数の高周波電源を複数設けた製造装置の概略図 本発明係わるPCVD法を適用可能な量産型製装置の概略図 本発明に係わる電子写真感光体の一例を示す概略図 本発明に係わるスクラッチ試験に用いるサンプルの概略図 本発明に係わるスクラッチ試験機の動作原理を説明する為の概略図
符号の説明
100、200、300 真空処理装置
101、201、301 円筒状基体
102、202、302 反応容器
103、203、303 ガス導入管
104、204、304 高周波電極
105、205、305 マッチングボックス
106、206、306 基体支持体
107、207、307 排気口
108、208、308 第一の高周波電源
209、309 第二の高周波電源
110、210、310 回転軸
111、211、311 モーター
112、212、312 ギア
113、213、313 電力分岐部
114、214、314 シールド
115、215、315 蓋
116、216、316 底面
117、217、317 排気配管
401 基体
402 光導電層
403 表面層
404 電荷注入阻止層
500 ガラス基板
502 感光層
506 積層膜
603 ダイヤモンドスタイラス
604 カートリッジ
605 アーム
606 磁石
607 コイル
608 信号端子

Claims (17)

  1. 少なくとも一部が誘電体材料と導電性材料で構成された減圧可能な反応容器内に円筒状基体が設置され該反応容器内に供給した原料ガスを高周波電力導入手段から導入された高周波電力により分解し該円筒状基体上に堆積膜を形成する電子写真感光体の製造装置に於いて、少なくとも該反応容器の上蓋、側壁、底面で形成された該反応容器内面及び該反応容器内部の部材表面が密着層で被覆され、該密着層はガラス上に該密着層を形成後、該電子写真感光体の初期5μmの堆積膜を順次積層した積層膜状態で該ガラス面から破断する臨界荷重が50mN以上700mN以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造装置。
  2. 前記密着層の破断臨界荷重が、ガラス上に該密着層及び該電子写真感光体の初期5μmの堆積膜を順次積層した積層膜状態で先端の半径10μmのダイヤモンドスタイラスを振幅50μm、振動周期30Hz、負荷速度1μm/sec、送りスピード10μm/secで移動しながら該スタイラスに荷重を加えた際に、該積層膜がガラス面から破断する臨界荷重であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造装置。
  3. 前記密着層が珪素原子、窒素原子を少なくとも一つ含んだ非単結晶膜であることを特徴とする請求項1及至2に記載の電子写真感光体の製造装置。
  4. 前記反応容器の少なくとも一部がアルミナセラミックで構成されている事を特徴とする請求項1及至3に記載の電子写真感光体の製造装置。
  5. 前記密着層がプラズマCVDで形成した膜である事を特徴とする請求項1及至4に記載の電子写真感光体の製造装置。
  6. 前記電子写真感光体の製造装置の高周波電力供給手段に供給する高周波電力の周波数が50MHz〜450MHzである事を特徴とする請求項1及至5に記載の電子写真感光体の製造装置。
  7. 前記反応容器の上蓋、側壁、底面で形成された該反応容器内面及び該反応容器内部の部材表面を被覆する密着層の膜厚が0.05μm以上10μm以下である事を特徴とする請求項1及至6に記載の電子写真感光体の製造装置。
  8. 前記電子写真感光体の製造装置に於いて、同一の高周波電極に供給する高周波電力が10MHz以上250MHz以下の高周波を少なくとも2つ含み、該周波数範囲における電力値の上位2つの高周波をそれぞれ第1の高周波(周波数f1、電力P1)と第2の高周波(周波数f2、電力P2)としたときに、下記式を満たす条件で、
    f2<f1 … (A)
    1≦P2/(P1+P2)≦0.9 … (B)
    反応容器内にプラズマを生成する事を特徴とする請求項1及至7に記載の電子写真感光体の製造装置。
  9. 少なくとも一部が誘電体材料と導電性材料で構成された減圧可能な反応容器内に円筒状基体が設置され該反応容器内に供給した原料ガスを高周波電力導入手段から導入された高周波電力により分解し該円筒状基体上に堆積膜を形成する電子写真感光体の製造方法に於いて、該円筒状基体を設置する前に少なくとも該反応容器の上蓋、側壁、底面で形成された該反応容器内面及び該反応容器内部の部材表面を密着層で被覆する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、該密着層はガラス上に該密着層を堆積後に該電子写真感光体の初期5μmの堆積膜を順次積層した積層膜状態で該ガラス面から破断する臨界荷重が50mN以上700mN以下であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  10. 該密着層の破断臨界荷重がガラス上に該密着層及び電子写真感光体の初期5μmの堆積膜を順次積層した積層膜状態で先端の半径10μmのダイヤモンドスタイラスを振幅50μm、振動周期30Hz、負荷速度1μm/sec、送りスピード10μm/secで移動しながら該スタイラスに荷重を加えた際に、該積層膜がガラス面から破断する臨界荷重が50mN以上700mN以下であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 前記密着層が珪素、窒素の原子を少なくとも一つ含んだ非単結晶膜であることを特徴とする請求項9及至10に記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 前記反応容器内面を密着層で被覆する工程の後に円筒状基体を設置しプラズマCVD法により該円筒状基体表面に堆積膜を形成することにより電子写真感光体を作成することを特徴とする請求項9及至11に記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 前記反応容器の少なくとも一部がアルミナセラミックで構成されている事を特徴とする請求項9及至12に記載の電子写真感光体の製造装置。
  14. 前記密着層がプラズマCVD法で形成した膜である事を特徴とする請求項9及至13に記載の電子写真感光体の製造方法。
  15. 前記密着層の形成方法が原料ガスを50MHz〜450MHzの高周波電力により分解し該反応容器内面に堆積膜を形成した事を特徴とする請求項9及至14に記載の電子写真感光体の製造方法。
  16. 前記反応容器の上蓋、側壁、底面で形成された該反応容器内面及び該反応容器内部の部材表面を膜厚が0.05μm以上10μm以下の密着層で被覆する事を特徴とする請求項9及至15に記載の電子写真感光体の製造装置。
  17. 前記電子写真感光体の製造方法に於いて、同一の高周波電極に供給する高周波電力が10MHz以上250MHz以下の高周波を少なくとも2つ含み、該周波数範囲における電力値の上位2つの高周波をそれぞれ第1の高周波(周波数f1、電力P1)と第2の高周波(周波数f2、電力P2)としたときに、下記式を満たす条件で、
    f2<f1 … (A)
    0.1≦P2/(P1+P2)≦0.9 … (B)
    反応容器内にプラズマを生成する事を特徴とする請求項9及至16に記載の電子写真感光体の製造方法。
JP2003365476A 2003-10-27 2003-10-27 電子写真感光体の製造装置及び製造方法。 Withdrawn JP2005128366A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003365476A JP2005128366A (ja) 2003-10-27 2003-10-27 電子写真感光体の製造装置及び製造方法。

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003365476A JP2005128366A (ja) 2003-10-27 2003-10-27 電子写真感光体の製造装置及び製造方法。

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005128366A true JP2005128366A (ja) 2005-05-19

Family

ID=34644131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003365476A Withdrawn JP2005128366A (ja) 2003-10-27 2003-10-27 電子写真感光体の製造装置及び製造方法。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005128366A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007080811A (ja) * 2005-08-05 2007-03-29 Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc Asia 真空反応室のrfマッチングネットワーク及びその配置方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007080811A (ja) * 2005-08-05 2007-03-29 Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc Asia 真空反応室のrfマッチングネットワーク及びその配置方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5534070A (en) Plasma CVD process using a very-high-frequency and plasma CVD apparatus
JP3483494B2 (ja) 真空処理装置および真空処理方法、並びに該方法によって作成される電子写真感光体
US5849455A (en) Plasma processing method and plasma processing apparatus
JPH0689456B2 (ja) マイクロ波プラズマcvd法による機能性堆積膜形成装置
JP4095205B2 (ja) 堆積膜形成方法
EP0720205A1 (en) Deposited film forming apparatus and electrode for use in it
JP2005128366A (ja) 電子写真感光体の製造装置及び製造方法。
US6148763A (en) Deposited film forming apparatus
US20180188664A1 (en) Electrophotographic photoreceptor and image forming apparatus provided with same, and electrophotographic photoreceptor manufacturing apparatus
JP2005129817A (ja) 堆積膜形成方法
JP2005148374A (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP2007070695A (ja) 堆積膜形成方法
JP2008214659A (ja) 堆積膜の形成方法
JP2009108370A (ja) 堆積膜形成装置
JP2784784B2 (ja) マイクロ波プラズマcvd法による機能性堆積膜の形成方法及び形成装置
JP3154260B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法および電子写真感光体用基体の処理方法
JPH11135444A (ja) 堆積膜形成方法および装置
JP2010013717A (ja) 堆積膜形成装置
JPH07288233A (ja) 堆積膜形成装置
JP2004190079A (ja) 真空処理装置
JPH1060656A (ja) 堆積膜形成方法および堆積膜形成装置
JP2005264232A (ja) プラズマ処理装置
JPH07273047A (ja) 超短波を用いたプラズマcvd法及び該プラズマcvd装置
JPH11135439A (ja) プラズマ処理装置及び処理方法
JP2005002435A (ja) プラズマ処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070109