JPH1060656A - 堆積膜形成方法および堆積膜形成装置 - Google Patents

堆積膜形成方法および堆積膜形成装置

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JPH1060656A
JPH1060656A JP24137496A JP24137496A JPH1060656A JP H1060656 A JPH1060656 A JP H1060656A JP 24137496 A JP24137496 A JP 24137496A JP 24137496 A JP24137496 A JP 24137496A JP H1060656 A JPH1060656 A JP H1060656A
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frequency
cylindrical conductive
frequency electrode
substrate
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JP24137496A
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Tatsuyuki Aoike
達行 青池
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、高周波電極上に付着した堆積膜の膜
剥れによる基体上の堆積膜の汚染を防止し、構造欠陥が
きわめて少なく、生産性に優れた堆積膜形成方法および
装置を提供することを目的としている。 【解決手段】本発明は、複数の円筒状導電性基体を配置
した減圧可能な反応容器内に、原料ガス導入手段により
原料ガスを導入すると共に、高周波電極を介して高周波
電力を導入し、該高周波電力により前記原料ガスを分解
することによって前記円筒状導電性基体上に堆積膜を形
成する堆積膜形成方法または装置において、前記高周波
電極が導電性部材を母体とし、該導電性部材の表面を堆
積膜との密着性が高い材料からなる被覆部材で覆うこと
により構成され、該被覆部材を前記円筒状導電性基体と
同一のステージに固定することにより、反応容器内に固
定された前記導電性部材と分離して該ステージと共に反
応容器内に出し入れするようにしたことを特徴とするも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基体上に堆積膜、と
りわけ機能性堆積膜、特に半導体デバイス、電子写真用
光受容部材、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイ
ス、光起電力デバイス等に用いる、アモルファス半導体
を形成するプラズマCVDによる堆積膜形成方法および
堆積膜形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイス、電子写真用光受容部
材、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、光起電
力デバイス、またその他の各種エレクトロニクス素子等
に用いる素子部材として、アモルファスシリコン、例え
ば水素または/及びハロゲンで補償されたアモルファス
シリコン等のアモルファス材料で構成された半導体等用
の堆積膜が提案され、その中のいくつかは実用に付され
ている。しかし、これらのデバイスのいくつかは、その
生産において特性やコスト等の面で問題を持っているも
のもある。例えば電子写真用光受容部材を製造する場合
では、比較的大面積に堆積膜を形成することもあり、堆
積膜の膜厚や電気特性を均一に、しかも膜欠陥を少なく
形成することが難しく、充分な生産性や歩留りを確保出
来る堆積膜の形成方法が求められている。
【0003】従来の堆積膜形成方法に用いる堆積膜形成
装置の一例を図17に示す。図17に示される堆積膜形
成装置は、円筒状導電性基体上にアモルファスシリコン
膜(以下、「a−Si膜」と記す)を堆積して電子写真
用光受容部材を形成する場合に好適な堆積膜形成装置の
一例である。図17(A)は前記堆積膜形成装置の横断
面を模式的に示した図である。図17(B)は前記堆積
膜形成装置の縦断面を模式的に示した図である。
【0004】図17(A)(B)において1000は反
応容器であり、排気管1005を介して排気装置(不図
示)に接続されている。成膜用の原料ガス、例えばシラ
ンガス、メタンガス、ジボランガス、ホスフィンガスな
どはボンベ、圧力調整器、マスフローコントローラー、
バルブ等により構成される原料ガス供給系(不図示)に
接続された原料ガス供給管1003より基体1001に
よって形成された内部チャンバ1002内部に供給され
る。内部チャンバ1002内のガス圧は、通常の場合1
×10-2〜1000Paの所望の圧力となるように、排
気速度が調整される。
【0005】マイクロ波電源(不図示)からアイソレー
ター(不図示)、導波管1007、マイクロ波導入窓1
006を経て、例えば2.45GHzのマイクロ波電力
を内部チャンバ1002内に導入することにより、内部
チャンバ1002内にグロー放電を発生させ、基体10
01上に堆積膜を形成する。基体1001はホルダー
(不図示)を介して回転軸1008により支持されてい
る。さらに回転軸1008はギヤ1010を介してモー
ター1009と接続され、モーターにより基体を回転さ
せることによって、基体1001上に均一な堆積膜が形
成される。また基体1001はヒーター1004によっ
て、堆積膜の形成に必要な温度、例えば50〜400℃
まで加熱される。
【0006】このような従来の堆積膜形成装置を用い
て、前述した問題点を改善する堆積膜形成装置として、
特開平3−219081号公報に、マイクロ波を用いた
プラズマCVD法による堆積膜の形成装置が開示されて
いる。該公報によれば、反応容器内に基体、マイクロ波
導入手段、原料ガス導入手段を配置し、原料ガス導入手
段と基体間に電界を印加することによって、膜厚や電気
特性の均一性を高める堆積膜の形成装置が開示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記のよ
うな堆積膜形成方法において、原料ガス導入手段と基体
間に高周波電力を印加することにより堆積膜の性能をよ
り向上させ得る可能性を見いだし検討を進めた所、電気
的性能の向上が認められるものの、堆積膜の構造欠陥が
十分には減少せず、堆積膜の総合的性能向上としては不
十分な結果しか得られなかった。特に近年の電子写真装
置においては、文字画像だけではなく写真画像をも忠実
に複写することが望まれており、したがって中間濃度画
像の再現性向上等の更なる画像特性の向上が求められて
いる。そのためには原稿画像により忠実な潜像を形成
し、粒径のより細かい現像剤を用いて現像する方向で、
電子写真装置の解像力を向上させる努力がなされてい
る。
【0008】その結果、電子写真用光受容部材としての
堆積膜には、安定して高い暗部電位を形成し、画像露光
に正確に反応する感度を有するような電気的特性の向上
や、画像濃度の均一性、特には電子写真装置の解像力向
上に見合う画像欠陥の低減、つまりは画像欠陥の原因と
なる球状突起と呼ばれる堆積膜の構造欠陥の減少等が重
要な課題となっており、前述したような従来の堆積膜形
成方法では、これらの堆積膜の総合的な性能向上に十分
に満足できる対応をさせることは難しかった。更に近年
の電子写真装置においては、電子写真装置の小型化・コ
ストダウンが求められており、その結果、電子写真装置
に組み込まれる電子写真用光受容部材においてもコスト
ダウンが求められており、そのためにも充分な生産性や
歩留りを確保出来る堆積膜形成方法が求められている。
【0009】そこで、本発明は、上記従来のものにおけ
る課題を解決し、高周波電極上に付着した堆積膜の膜剥
れによる基体上の堆積膜の汚染を防止し、構造欠陥がき
わめて少なく、生産性に優れた堆積膜形成方法および装
置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、複数の円筒状導電性基体を配置した減圧可
能な反応容器内に、原料ガス導入手段により原料ガスを
導入すると共に、高周波電極を介して高周波電力を導入
し、該高周波電力により前記原料ガスを分解することに
よって前記円筒状導電性基体上に堆積膜を形成する堆積
膜形成方法または装置において、前記高周波電極が導電
性部材を母体とし、該導電性部材の表面を堆積膜との密
着性が高い材料からなる被覆部材で覆うことにより構成
され、該被覆部材を前記円筒状導電性基体と同一のステ
ージに固定することにより、反応容器内に固定された前
記導電性部材と分離して該ステージと共に反応容器内に
出し入れするようにしたものである。そして、本発明に
はつぎの構成が含まれる。 (1)前記同一のステージに固定された円筒状導電性基
体と前記被覆部材とは、洗浄処理装置内で該円筒状導電
性基体と前記被覆部材の洗浄を行なった後に、該ステー
ジと共に反応容器内に設置する構成。 (2)前記被覆部材が、セラミックス材である構成。 (3)前記被覆部材のセラミックス材が、Al2O3、B
N、AlN、ZrSiO4、ZrSiO4−2MgO2・A
l2O3・5SiO2の内の少なくとも一つである構成。 (4)前記導電性部材が、ステンレス、アルミニウム、
チタニウム、ニッケル、インコネルの内の少なくとも一
つである構成。 (5)前記円筒状導電性基体は、同一円周上に配置され
該円筒状導電性基体の配置円内に高周波電力が導入され
る構成。 (6)前記円筒状導電性基体は、回転自在に構成されて
いる構成。 (7)前記高周波電極が複数配置されている構成。 (8)前記高周波電力の周波数が、50MHz〜450
MHzである構成。 (9)前記高周波電極が、原料ガス導入手段を兼ねる構
成。 (10)前記高周波電極が、加熱または冷却する機構を
有する構成。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、以上の構成により上記
した本発明の目的を達成するものであるが、それは、本
発明者の鋭意、研究した結果によるつぎのような知見に
基づくものである。すなわち、本発明者は、高周波電極
上に堆積する堆積膜の、高周波電極表面との付着力を強
めること、放電空間内からのイオンポテンシャルによる
エネルギーの影響を受けづらくすることにより、高周波
電極上に堆積する堆積膜をはがれにくくして、画像欠陥
を減らす装置構成を検討した結果、放電空間内に設ける
高周波電極を、導電性部材を母体とし、該導電性部材表
面を堆積膜との密着性が高い材料からなる被覆部材で覆
うことにより、高周波電極からの膜はがれを低減させる
ことが可能となり、しいては堆積膜の構造欠陥を極力減
らすことが可能であることを見いだした。
【0012】更に、本発明者は上述の装置構成を用いて
生産性の優れた堆積膜の形成方法の検討を行なった。前
述の円筒状導電性基体上に堆積膜を形成後、該円筒状導
電性基体を成膜装置外に取り出す際に、前記高周波電極
を同時に取り出し、該高周波電極上に堆積した膜を取り
除いた後に、該高周波電極を新たな円筒状導電性基体と
いっしょに成膜装置内に設置することにより、効率よく
成膜装置内の組み上げを行なう事が出来ることが判明し
た。しかしながら、前記高周波電極に導入される高周波
電力は、導入経路のインダクタンスの影響を受けやす
く、そのために高周波電力の伝搬効率が変動しやすい。
したがって、前記高周波電極を成膜装置に設置するさい
に、高周波電極接続部の電気的な接続の微妙な変動が、
そのまま導入経路のインダクタンスの変動となって、放
電空間内に導入される高周波電力が変動す要因となり、
その結果、堆積膜の特性が変動したり、放電の安定性が
損なわれたりして、生産性が低下する要因となる可能性
が認められた。このような問題は、50〜450MHz
の高周波電力を用いる場合に顕著であった。
【0013】そこで本発明者は、導入経路のインダクタ
ンスに影響を与えることが少ない、前記高周波電極の被
覆部材のみを取り替える事により、堆積膜の特性の変動
を抑え、放電を安定させ、ひいては生産性を向上させる
堆積膜形成方法が実現可能である事を見いだし本発明に
いたった。また、前記高周波電極の導電性部材は成膜装
置への取付・取り外し作業の容易性を重視する必要がな
い為、該導電性部材の高周波電力導入部への接続を、高
周波電力の導入効率を最優先して設計することが可能と
なり、堆積膜の特性・均一性及び堆積膜の生産性をより
向上させることが可能となる。
【0014】以下、本発明の完成に至った経緯につい
て、まず、説明する。従来の堆積膜形成方法では、前記
特開平3−219081号公報に記載されてるように、
主に前記円筒状導電性基体の配置円内に形成される放電
空間内にマイクロ波電力を導入し、該放電空間内の原料
ガス導入手段と基体間に直流電界を印加する構成がとら
れていた。本発明者は、前述したように、前記放電空間
内に高周波電極を設け、この高周波電極と基体間に高周
波電力を印加することにより放電を形成して原料ガスを
分解することにより、基体上に堆積膜を得る装置構成で
検討を進めた結果、電気的特性の優れた堆積膜を得るこ
とが出来たものの、堆積膜の球状突起と呼ばれる構造欠
陥を満足出来るレベルまで減少させることは難しかっ
た。
【0015】そこで、本発明者は、堆積膜で球状突起と
呼ばれる構造欠陥が発生する原因を追求した所、基体表
面での付着物を核として球状突起が成長を始めることが
確認された。従来より、成膜前の基体は厳密に洗浄さ
れ、クリーンルーム等のダスト管理された環境から堆積
膜形成装置内に運搬されることにより、基体にダストが
付着することを極力避けるようにしてきた。このように
清浄な状態で堆積装置内に運搬された基体であるが、堆
積装置内においてもダストが付着する原因が存在する。
つまりは、放電空間内に原料ガスを導入し、高周波電極
により高周波電力を放電空間内に導入することにより、
放電空間内の原料ガスを分解し、基体上に堆積膜を形成
する際に、高周波電極表面にも堆積膜が堆積する。この
堆積膜には、堆積膜形成時の自らの応力、もしくは放電
空間内のイオンポテンシャルによるエネルギーを受ける
ことにより、応力歪みが蓄積され、この応力歪みがある
レベル以上蓄積されると、堆積膜が堆積膜片となって高
周波電極表面からはがれ飛び、放電空間内に拡散し、そ
の一部が基体上に付着し、基体上の堆積膜を汚染して欠
陥となることが判明した。
【0016】そこで本発明者は、高周波電極上に堆積す
る堆積膜の、高周波電極表面との付着力を強めること、
放電空間内からのイオンポテンシャルによるエネルギー
の影響を受けづらくすることにより、高周波電極上に堆
積する堆積膜をはがれにくくして、画像欠陥を減らす装
置構成を検討し、放電空間内に設ける高周波電極を、導
電性部材を母体とし、該導電性部材表面を堆積膜との密
着性が高い材料からなる被覆部材、特にはセラミックス
材からなる被覆部材で覆うことにより、高周波電極から
の膜はがれを低減させることが可能となり、しいては堆
積膜の構造欠陥を減らすことが可能であることを見いだ
した。
【0017】前記高周波電極の表面を堆積膜との密着性
が高い部材、特にはセラミックス材で構成することによ
り、セラミックス材は導電性部材に一般に用いられる金
属に比べて表面エネルギーが大きいために堆積膜との付
着力が大きくなり、堆積膜の膜はがれが低減される。さ
らに前記被覆部材にセラミックス材を用いると、前記高
周波電極表面を絶縁性とするために、放電空間のイオン
ポテンシャルによるエネルギーを受けづらくなり、前記
高周波電極表面の堆積膜中に蓄積される歪みが低減する
こととなり、堆積膜の膜剥がれを抑制出来ると考えられ
る。さらには、セラミックス材は硬度が高いため、セラ
ミックス材の表面にダストが付着しにくくなりこれも、
発塵を低減させる要因となっている。
【0018】更には、成膜装置に円筒状導電性基体を投
入する際には、第一に円筒状導電性基体を洗浄する工程
を行ない、第二に該円筒状導電性基体と高周波電極の被
覆部材とを同一のステージに組み込む工程を行ない、そ
の後該ステージを成膜装置に設置する工程を行なうのが
一般的であるが、ステージに組み込む作業の際に、前記
円筒状導電性基体や高周波電極の被覆部材にダストが付
着するのを完全に防ぐ事が出来ずに、画像欠陥の原因と
なる場合があった。
【0019】そこで、本発明者は、ステージに前記円筒
状導電性基体と高周波電極の被覆部材を組み込み後、ス
テージごと洗浄を行ない、その後に成膜装置に設置する
事により、ダストの付着を更に防ぐ事が可能となり、画
像欠陥の発生をより一層抑えることが可能であることを
見いだした。また、ステージに前記円筒状導電性基体と
高周波電極の被覆部材を組み込む作業は、洗浄前のほう
がダストの管理が容易で有るため、生産性を更に挙げる
事が可能であることが判明した。
【0020】以下図面を用いて本発明の堆積膜形成方法
をより詳細に説明する。図1(A)は本発明の堆積膜形
成方法を用いた堆積膜形成装置の1例の横断面を模式的
に示した図である。図1(B)は前記堆積膜形成装置の
縦断面を模式的に示した図である。図2(C)は前記堆
積膜形成装置のステージ部分の縦断面を模式的に示した
図である。図2(D)は前記堆積膜形成装置のステージ
を取り除いた部分の縦断面を模式的に示した図である。
図3(E)は前記堆積膜形成装置の高周波電極の横断面
を模式的に示した図である。図3(F)は前記堆積膜形
成装置の高周波電極の縦断面を模式的に示した図であ
る。
【0021】図1、図2、図3において100は反応容
器であり、排気管105を介して排気装置(不図示)に
接続されている。反応容器100は、真空気密構造であ
ればよく、その形状はいずれでも差し支えないが、円
筒、直方体等の形状が一般に用いられる。またその材質
もいずれでもよいが、機械的強度、高周波電力の漏洩防
止などの観点からAl、ステンレス等の金属が望まし
い。原料ガスはボンベ、圧力調整器、マスフローコント
ローラー、バルブ等により構成される原料ガス供給系
(不図示)に接続された原料ガス供給管103から基体
101によって形成された内部チャンバ111内に供給
される。
【0022】高周波電極102の一部を構成する導電性
部材121は、マッチングボックス106を介して高周
波電源107と接続されている。高周波電極102の一
部を構成する被覆部材122は、ステージ112に固定
され、前記導電性部材121の表面を覆っている。高周
波電極102と、基体101の間に高周波電力を印加す
ることによって、内部チャンバ111内にグロー放電を
発生させる。基体101はホルダー113を介して回転
軸108により支持されている。さらに回転軸108は
ギヤ110を介してモーター109と接続され、モータ
ー109により基体を回転させることによって、基体1
01上に均一な堆積膜が形成される。また基体101は
ヒーター104によって、堆積膜の形成に必要な温度ま
で加熱される。
【0023】本発明に用いられる高周波電極の導電性部
材121の材質としては、基本的には導電性の材質のも
のならばいずれでも良く、その材質はたとえばAl、F
e、Ni、Cr、Ti、Mo、Au、In、Nb、T
e、V、Pt、Pb、等の金属、およびこれらの合金、
たとえばステンレス、インコネル等が挙げられる。また
表面を導電処理したガラス、セラミックス等も用いるこ
とができる。本発明に用いられる高周波電極の被覆部材
122の材質としては、基本的には堆積膜との密着性が
高い材質のものならば特に制限はないが、セラミック材
が好適であり具体的には、例えば、Al2O3、BN、A
lN、ZrSiO4、TiO2、Cr2O3、MgO、Si
O2等、およびこれらの混合材料が挙げられるが、Al2
O3の耐酸性の優れた材料が、堆積膜の製造工程におい
て使用する例えばハロゲン原子を含む化合物ガス等に対
する耐食性の面から好ましい。
【0024】被覆部材は高周波電極の全面を覆うことが
好ましいが、高周波電源への接続等のために覆われない
部分が一部存在してもよい。高周波電極表面を構成する
被覆部材の厚さは特に制限はないが、耐久性及び均一性
を増すために、また製造コストの面から1mm〜10m
mが好ましく、2mm〜5mmがより好ましい。高周波
電極の形状は、特に制限はないが、本発明では円筒状の
ものが最適である。また、高周波電極の大きさは、小さ
すぎても本発明の効果が現れにくく、大きすぎても高周
波電極に付着する堆積膜が多くなり基体上の堆積速度を
低下させてしまう。また、条件によっては、放電を乱し
てしまう。本発明の高周波電極の断面積は、放電空間の
それの100分の1から、5分の1程度が好ましい。高
周波電極の長さは、基体の長さよりも1%から50%程
度長いことが好ましいが、逆に基体よりも短い場合でも
本発明は有効である。更には、高周波電極を放電空間内
に複数設けることにより、放電空間内の放電分布を更に
最適化することも出来る。又、高周波電極を加熱又は冷
却する手段を設けることにより、高周波電極と堆積膜の
付着力を高め、より膜はがれを防止することも出来る。
高周波電極を加熱するか、冷却するかは、堆積膜材料と
高周波電極表面の被覆部材の組み合わせにより決まる。
【0025】高周波電源より放電空間内に導入する高周
波電力の発振周波数は、50MHz〜450MHzであ
れば何れであっても差し支えない。本発明者の実験によ
れば、周波数が50MHz未満の場合は、条件によって
は放電が不安定となり、堆積膜の形成条件に制限が生じ
る場合があった。また450MHzより大きいと、高周
波電力の伝送特性が悪化し、さらには伝送途中での高周
波電力の漏れが起きやすく、場合によってグロー放電を
発生させること自体が困難になることもあった。高周波
の波形は特に制限は無いが、正弦波、矩形波等が適す
る。また高周波電力の大きさは、目的とする堆積膜の特
性等により、適宜決定されるが、基体1個あたり10〜
5000Wが望ましく、さらに20〜2000Wがより
望ましい。
【0026】本発明に用いられる原料ガス供給管103
の材質としては、いずれでも構わないが、例えば導電性
のものであれば、その材質はAl、Fe、Cr、Ni、
Ti、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Pt、P
b、等の金属、およびこれらの合金、たとえばステンレ
ス、インコネル等が挙げられる。また例えば絶縁性のも
のであれば、ガラス、セラミックス等を用いることがで
きる。また、ガラス、セラミックス等の絶縁性のものを
用いる場合、必要に応じて表面又は内面を導電処理して
もよい。また、セラミックスの材質は、たとえばAl2
O3、BN、AlN、ZrSiO4、TiO2、Cr2O
3、MgO、SiO2等、およびこれらの混合材料が好ま
し例として挙げられる。原料ガス供給管表面に付着する
堆積膜の剥がれを防止する観点から、堆積膜との密着性
が良いセラミック材を使用するのが好ましい例として上
げられる。
【0027】また、原料ガス供給管の形状としては、特
に制限は無いが、本発明では、円筒状のものが最適であ
り、断面の直径は3mm以上で本発明は有効であり、特
に5mm以上、20mm以下が最適である。更に、原料
ガス供給管に設けられるガス放出孔の方向としては、放
電空間全体に広がる方向に設けるのが望ましく、複数の
方向を持っているものが好ましい。又あるいは、材質自
体ポーラスなもので全方向に均一にガスを放出するのも
よい。又、原料ガス供給管を放電空間内に複数設けるこ
とにより、放電空間内の原料ガスの分布を更に均一にす
ることも出来る。
【0028】本発明に用いられるステージ112には、
少なくとも基体101、該基体101を支えるホルダー
113及び高周波電極の被覆部材122が設置され、前
記ステージ112を反応容器100内に出し入れするこ
とにより、反応容器100内への基体101及び高周波
電極の被覆部材122の設置及び取り出しを行なう。前
記ステージは、反応容器の一部を形成する真空気密構造
であってもよく、その場合の材質は反応容器と同様なA
l、ステンレス等の金属が望ましい。又、前記ステージ
は、反応容器内に設置されてもよく、その場合の材質
は、基体や高周波電極の被覆部材を支えれるだけの強度
があればよく、Al、ステンレス等の金属、Al2O3、
TiO2等のセラミックス、ポリカーボネート、ポリス
チレン等の合成樹脂等が望ましい。また、セラミック
ス、合成樹脂等の絶縁性のものを用いる場合、必要に応
じて表面を導電処理してもよい。
【0029】次に図1、図2、図3の装置を用いた堆積
膜形成の手順について説明する。この装置を用いた堆積
膜の形成は、例えば以下のように行なうことができる。
まず、反応容器100内に、あらかじめ脱脂洗浄した基
体101を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポン
プ)により反応容器100内を排気する。続いて、基体
101を回転させながら、ヒーター104により基体1
01の温度を50℃〜400℃の所望の温度に制御す
る。基体101が所望の温度になったところで、原料ガ
ス供給系(不図示)より原料ガスを原料ガス供給管10
3を通して内部チャンバ111内に供給する。このとき
ガスの突出等、極端な圧力変動が起きないよう注意す
る。次に原料ガスの流量が所定の流量になったところ
で、真空計(不図示)を見ながら排気バルブ(不図示)
を調整し、所望の内圧を得る。
【0030】内圧が安定したところで、高周波電源10
7を所望の電力に設定して、マッチングボックス106
を通じて高周波電極102に高周波電力を印加し、グロ
ー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応
容器100内に導入された原料ガスが分解され、基体1
01上に所定の堆積膜が形成されるところとなる。所望
の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止め、
反応容器への原料ガスの流入を止め、堆積膜の形成を終
える。目的とする堆積膜の特性のため、基体上に複数の
層からなる堆積膜を形成する場合には、前記の操作を繰
り返すことによって、所望の層構成の堆積膜を得ること
ができる。
【0031】本発明において使用される原料ガスは、例
えばアモルファスシリコンを形成する場合にはSiH
4、Si2H6等のガス状態の、またはガス化し得る水
素化珪素(シラン類)が、シリコン導入用ガスとして有
効に使用される。また、水素化珪素のほかにも、弗素原
子を含む珪素化合物、いわゆる弗素原子で置換されたシ
ラン誘導体、具体的には、たとえばSiF4、Si2F6
等のフッ化珪素や、SiH3F、SiH2F2、SiHF3
等の弗素置換水素化珪素等、ガス状の、またはガス化し
得る物質も本発明のシリコン導入用ガスとしては有効で
ある。また、これらのシリコン導入用の原料ガスを必要
に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用しても本発明には何等差し支えない。
【0032】またa−Si膜にハロゲン原子を含有させ
るためのハロゲン導入用ガスとして有効なのは、たとえ
ばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロ
ゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等の
ガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく
挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原
子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハ
ロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして
挙げることができる。好適に使用し得るハロゲン化合物
としては、具体的には弗素ガス(F2)、BrF、Cl
F、ClF3、BrF3、BrF5、IF3、IF7等のハ
ロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を
含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシ
ラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF4、
Si2F6等の弗化珪素が好ましいものとして挙げるこ
とができる。
【0033】本発明においては、ハロゲン導入用ガスと
して上記されたハロゲン化合物或いはハロゲン原子を含
む硅素化合物が有効なものとして使用されるものである
が、その他に、HF、HCl、HBr、HI等のハロゲ
ン化水素、SiH3F、SiH2F2、SiHF3、SiH
2I2、SiH2Cl2、SiHCl3、SiH2Br2、Si
HBr3等のハロゲン置換水素化硅素、等々のガス状態
の或いはガス化し得る、水素原子を構成要素の1つとす
るハロゲン化物も有効な原料ガスとして挙げることがで
きる。これ等の水素原子を含むハロゲン化物は、ハロゲ
ン原子と共に水素原子も導入されるので、本発明におい
ては好適なハロゲン原子導入用ガスとして使用される。
更に、a−Si膜に水素原子を含有させるための水素導
入用ガスとして有効なのは、上記の他にH2、D2あるい
はSiH4、Si2H6、Si3H8、Si4H10等の水素化
硅素が挙げられる。
【0034】さらには前記のガスに加えて、必要に応じ
て周期律表3族に属する元素(以後「第3族元素」と略
記する)、または周期律表5族に属する元素(以後「第
5族元素」と略記する)を伝導性を制御する元素、いわ
ゆるドーパントとして用いることもできる。
【0035】第3族元素としては、具体的には、硼素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第5族元素としては、具
体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。例えば硼素導入用ガスとしては、B2H6、B
4H10等の水素化硼素、BF3、BCl3等のハロゲン化
硼素等が挙げられる。この他の第3族元素導入用ガスと
して、AlCl3、GaCl3、Ga(CH3)3、InC
l3、TlCl3等も挙げることができる。また燐導入用
ガスとしては、PH3、P2H4等の水素化燐、PH4
I、PF3、PCl3、PBr3、PI3等のハロゲン化燐
が使用できる。この他の第5族元素導入用ガスとして、
AsH3、AsF3、AsCl3、AsBr3、AsF5、
SbH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、
BiH3、BiCl3、BiBr3等も挙げることができ
る。また、これらの伝導性を制御する元素導入用ガスを
必要に応じてH2および/またはHeにより希釈して使
用してもよい。
【0036】また、例えばアモルファスシリコンカーバ
イト(a−SiC)を形成する場合には、前記の原料ガ
スのほかに、炭素原子導入用のガスとして、CとHとを
構成原子とする、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、
炭素数2〜4のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のア
セチレン系炭化水素等を使用できる。具体的には、飽和
炭化水素としては、メタン(CH4)、エタン(C2H
6)等、エチレン系炭化水素としては、エチレン(C2H
4)、プロピレン(C3H6)等、アセチレン系炭化水素
としては、アセチレン(C2H2)力、メチルアセチレン
(C3H4)等が挙げられる。
【0037】また、例えばアモルファス酸化シリコン
(a−SiO)を形成する場合には、前記の原料ガスの
ほかに、酸素原子導入用のガスとして使用出来るものと
して、酸素(O2)、オゾン(O3)、一酸化窒素(N
O)、二酸化窒素(NO2)、一二酸化窒素(N2O)、
三二酸化窒素(N2O3)、四二酸化窒素(N2O4)、五
二酸化窒素(N2O5)、三酸化窒素(NO3)、シリコ
ン原子(Si)と酸素原子(O)と水素原子(H)とを
構成原子とする例えば、ジシロキサン(H3SiOSi
H3)、トリシロキサン(H3SiOSiH2OSiH3)
等の低級シロキサン等を挙げることができる。
【0038】本発明において、例えばアモルファス窒化
シリコン(a−SiN)を形成する場合には、前記の原
料ガスのほかに、窒素原子導入用のガスとして使用出来
るものとして、窒素(N2)、アンモニア(NH3)、ヒ
ドラジン(H2NNH2)、アジ化水素(HN3)、アン
モニウム(NH4N3)のガス状のまたはガス化し得る窒
素、窒素物及びアジ化物等の窒素化合物を挙げることが
できる。この他に、窒素原子の導入に加えて、ハロゲン
原子の導入も行えるという点から、三弗化窒素(F3
N)、四弗化窒素(F4N2)等のハロゲン化窒素化合物
を挙げることができる。
【0039】本発明を用いて電子写真用光受容部材を作
成する場合の層構成の代表例は以下のようなものであ
る。図9は、層構成を説明するための模式的構成図であ
る。図9(A)に示す電子写真用光受容部材500は、
基体501の上に水素及び/又はハロゲンを含有するa
−Si(以下、「a−Si(H、X)」と記す)からな
り光導電性を有する光導電層502が設けられている。
図9(B)に示す電子写真用光受容部材500は、基体
501の上に、a−Si(H、X)からなり光導電性を
有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面
層503とから構成されている。図9(C)に示す電子
写真用光受容部材500は、基体501の上に、a−S
i(H、X)からなり光導電性を有する光導電層502
と、アモルファスシリコン系表面層503と、アモルフ
ァスシリコン系電荷注入阻止層504とから構成されて
いる。図9(D)に示す電子写真用光受容部材500
は、基体501の上に、光導電層502が設けられてい
る。該光導電層502はa−Si(H、X)からなる電
荷発生層505ならびに電荷輸送層506とからなり、
その上にアモルファスシリコン系表面層503が設けら
れている。図9(E)に示す電子写真用光受容部材50
0は、基体501の上に、a−Si(H、X)からなり
光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリ
コン系表面層503と、アモルファスシリコン系電荷注
入阻止層504と、アモルファスシリコン系上部阻止層
507から構成されている。
【0040】電子写真用光受容部材の基体としては、導
電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性基体として
は、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、
Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合
金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエス
テル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースア
セテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
レン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシー
ト、ガラス、セラミック等の電気絶縁性基体の少なくと
も光受容層を形成する側の表面を導電処理した基体も用
いることができる。さらに光受容層を形成する側と反対
側も導電処理することが望ましい。
【0041】基体501の形状は円筒状であることが好
ましく、その厚さは、所望通りの電子写真用光受容部材
500を形成し得るように適宜決定するが、電子写真用
光受容部材500としての可撓性が要求される場合に
は、基体501としての機能が充分発揮できる範囲内で
可能な限り薄くすることができる。しかしながら、基体
501は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点か
ら通常は10μm以上とされる。
【0042】基体501の表面形状は平滑平面、または
凹凸表面とすることができる。例えば電子写真用光受容
部材などで、レーザー光などの可干渉性光を用いて像記
録を行う場合には、可視画像において現われる干渉縞模
様による画像不良を解消するために、特開昭60−16
8156号公報、特開昭60−178457号公報、特
開昭60−225854号公報等に記載された公知の方
法により作製された凹凸表面であることができる。
【0043】本発明における光導電層は、つぎのような
ものである。光導電層502は基体501上に、所望特
性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が
設定されて作成される。光導電層502を形成するに
は、基本的には前述したようなシリコン導入用ガスと、
水素導入用ガスまたは/及びハロゲン導入用ガスを、堆
積室内に所望のガス状態で導入して、該堆積室内にグロ
ー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されて
ある所定の基体501上にa−Si(H、X)からなる
層を形成させる。また、光導電層502中のa−Si膜
に水素原子または/及びハロゲン原子が含有されること
により、Si原子の未結合手を補償し、層品質の向上、
特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために必
須不可欠であるからである。よって水素原子またはハロ
ゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和
の含有量は1〜40原子%、より好ましくは5〜35原
子%とされるのが望ましい。光導電層502中に含有さ
れる水素原子または/及びハロゲン原子の量を制御する
には、例えば基体501の温度、水素原子または/及び
ハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の
堆積室内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0044】光導電層502には必要に応じて伝導性を
制御する元素を含有させることが好ましい。伝導性を制
御する元素は、光導電層502中に万偏なく均一に分布
した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向には
不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
前記伝導性を制御する元素としては、前述した第3族元
素または第5族元素を用いることができる。光導電層5
02に含有される伝導性を制御する元素の含有量として
は、好ましくは1×10-2〜1×102原子ppm、よ
り好ましくは5×10-2〜50原子ppm、最適には
0.1〜10原子ppmとされるのが望ましい。
【0045】伝導性を制御する元素、たとえば、第3族
元素あるいは第5族元素を構造的に導入するには、層形
成の際に、前述した第3族元素導入用ガスあるいは第5
族元素導入用ガスを堆積室中に、光導電層502を形成
するための他のガスとともに導入してやればよい。さら
に光導電層502に炭素原子及び/または酸素原子及び
/または窒素原子を含有させることも有効である。炭素
原子及び/または酸素原子/及びまたは窒素原子の含有
量は好ましくは1×10-5〜30原子%、より好ましく
は1×10-4〜20原子%、最適には1×10-3〜10
原子%が望ましい。炭素原子及び/または酸素原子及び
/または窒素原子は、光導電層502中に万遍なく均一
に含有されても良いし、光導電層502の層厚方向に含
有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があ
っても良い。炭素原子及び/または酸素原子及び/また
は窒素原子を構造的に導入するには、層形成の際に、前
述した炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素
原子導入用ガスを堆積室中に、光導電層502を形成す
るための他のガスとともに導入してやればよい。
【0046】光導電層502の層厚は所望の電子写真特
性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望に
したがって決定され、好ましくは5〜80μm、より好
ましくは10〜60μm、最適には15〜45μmとさ
れるのが望ましい。目的を達成し得る特性を有する光導
電層502を形成するには、基体501の温度、堆積室
内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要があ
る。基体501の温度(Ts)は、層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは
50〜400℃、より好ましくは150〜350℃、最
適には200〜300℃とするのが望ましい。堆積室内
のガス圧も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選
択されるが、通常の場合、好ましくは0.01〜100
0Pa、より好ましくは0.05〜500Pa、最適に
は0.1〜100Paとするのが好ましい。
【0047】光導電層502を形成するための基体温
度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙
げられるが、その他にもシリコン導入用のガスやその他
の原子導入用ガスとの混合比、放電電力等を適宜設定す
ることが必要である。これら条件は通常は独立的に別々
に決められるものではなく、所望の特性を有する電子写
真光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基
づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0048】本発明においては、上述のようにして基体
501上に形成された光導電層502の上に、更にアモ
ルファスシリコン系の表面層503を形成することが好
ましい。この表面層503は主に耐湿性、連続繰り返し
使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性向上を
主たる目的として設けられる。表面層503は、アモル
ファスシリコン系の材料であればいずれの材質でも可能
であるが、例えば、水素原子(H)及び/またはハロゲ
ン原子(X)を含有し、更に炭素原子を含有するアモル
ファスシリコン(以下「a−SiC(H、X)」と表記
する)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子
(X)を含有し、更に酸素原子を含有するアモルファス
シリコン(以下「a−SiO(H、X)」と表記す
る)、水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)
を含有し、更に窒素原子を含有するアモルファスシリコ
ン(以下「a−SiN(H、X)」と表記する)、水素
原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含有し、
更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを
含有するアモルファスシリコン(以下「a−Si(C、
O、N)(H、X)」と表記する)等の材料が好適に用
いられる。
【0049】表面層503は真空堆積膜形成方法によっ
て、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの
数値条件が設定されて作成される。例えば、a−SiC
(H、X)よりなる表面層503を形成するには、基本
的には前述したシリコン原子導入用ガスと、炭素原子導
入用ガスと、水素原子導入用ガスまたは/及びハロゲン
原子導入用ガスを、内部を減圧にし得る堆積室内に所望
のガス状態で導入して、該堆積室内にグロー放電を生起
させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層50
2を形成した基体501上にa−SiC(H、X)から
なる層を形成すればよい。
【0050】表面層503をa−Si(C、O、N)
(H、X)を主成分として構成する場合の炭素量及び/
または酸素原子及び/または窒素原子の含有量は1%か
ら90%の範囲が好ましく、5%から70%がより好ま
しく、最適には10%から50%が望ましい。
【0051】また、表面層503中に水素原子または/
及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、こ
れはシリコン原子や炭素原子及び/又は酸素原子及び/
又は窒素原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に
光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために重
要である。水素原子及び/またはハロゲン原子の含有量
は、通常の場合1〜70原子%、好適には10〜60原
子%、最適には20〜50原子%とするのが望ましい。
表面層503中に含有される水素原子または/及びハロ
ゲン原子の量を制御するには、例えば基体501の温
度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるた
めに使用される原料物質の堆積室内へ導入する量、放電
電力等を制御すればよい。
【0052】炭素原子及び/または酸素原子及び/また
は窒素原子は、表面層503中に万遍なく均一に含有さ
れても良いし、表面層503の層厚方向に含有量が変化
するような不均一な分布をもたせた部分があっても良
い。さらに表面層503には必要に応じて伝導性を制御
する元素を含有させても良い。伝導性を制御する元素
は、表面層503中に万偏なく均一に分布した状態で含
有されても良いし、あるいは層厚方向には不均一な分布
状態で含有している部分があってもよい。前記の伝導性
を制御する元素としては、前述した第3族元素または第
5族元素を用いることができる。
【0053】表面層503に含有される伝導性を制御す
る元素の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1×
103原子ppm、より好ましくは5×10-3〜5×1
2原子ppm、最適には1×10-2〜1×102原子p
pmとされるのが望ましい。伝導性を制御する元素、た
とえば、第3族元素あるいは第5族元素を構造的に導入
するには、層形成の際に、前述した第3族元素導入用ガ
スあるいは第5族元素導入用ガスを堆積室中に、表面層
503を形成するための他のガスとともに導入してやれ
ばよい。表面層503の層厚としては、通常0.01〜
3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜
1μmとされるのが望ましいものである。層厚が0.0
1μmよりも薄いと電子写真用光受容部材を使用中に摩
耗等の理由により表面層503が失われてしまい、3μ
mを越えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下が
みられる。
【0054】表面層503は、その要求される特性が所
望通りに与えられるように注意深く形成される。即ち、
Si、C及び/またはN及び/またはO、H及び/また
はXを構成要素とする物質はその形成条件によって構造
的には結晶からアモルファスまでの形態を取り、電気物
性的には導電性から半導体性、絶縁性までの間の性質
を、又、光導電的性質から非光導電的性質までの間の性
質を各々示すので、本発明においては、目的に応じた所
望の特性を有する化合物が形成される様に、所望に従っ
てその形成条件の選択が厳密になされる。例えば、表面
層503を耐圧性の向上を主な目的として設けるには、
使用環境に於いて電気絶縁性的挙動の顕著な非単結晶材
料として作成される。又、連続繰り返し使用特性や使用
環境特性の向上を主たる目的として表面層503が設け
られる場合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩
和され、照射される光に対して有る程度の感度を有する
非単結晶材料として形成される。
【0055】目的を達成し得る特性を有する表面層50
3を形成するには、基体501の温度、堆積室内のガス
圧を所望にしたがって、適宜設定する必要がある。基体
501の温度(Ts)は、層設計にしたがって適宜最適
範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは50〜4
00℃、より好ましくは150〜350℃、最適には2
50〜300℃とするのが望ましい。堆積室内のガス圧
も同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択される
が、通常の場合、好ましくは0.01〜1000Pa、
より好ましくは0.05〜500Pa、最適には0.1
〜100Paとするのが好ましい。表面層503を形成
するための基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として
前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別
々に決められるものではなく、所望の特性を有する電子
写真用光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性
に基づいて最適値を決めるのが望ましい。また表面層5
03と光導電層502との間に炭素原子及び/または酸
素原子及び/または窒素原子の含有量が光導電層502
に向かって連続的に減少する領域を設けても良い。これ
により表面層と光導電層502の密着性を向上させ、界
面での光の反射による干渉の影響をより少なくすること
ができると同時に、界面でのキャリアのトラップを防止
し、電子写真用光受容部材の特性向上を達し得る。
【0056】本発明においては、必要に応じて導電性基
体と光導電層502との間に、導電性基体側からの電荷
の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層504を設
けてもよい。すなわち、電荷注入阻止層504は電子写
真用光受容部材が一定極性の帯電処理をその表面に受け
た際、基体側より光導電層502側に電荷が注入される
のを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた
際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依
存性を有している。そのような機能を付与するために、
電荷注入阻止層504には伝導性を制御する元素を光導
電層502に比べ比較的多く含有させる。
【0057】更に必要に応じて光導電層502と表面層
503との間に、表面層側からの電荷の注入を阻止する
働きのある上部阻止層507を設けてもよい。すなわ
ち、上部阻止層507は電子写真用光受容部材が一定極
性の帯電処理をその表面に受けた際、表面層503側よ
り光導電層502側に電荷が注入されるのを阻止する機
能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのよう
な機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有してい
る。そのような機能を付与するために、上部阻止層50
7には電荷注入阻止層504と同様には伝導性を制御す
る元素を光導電層502に比べ比較的多く含有させる。
該層に含有される伝導性を制御する元素は、該層中に万
偏なく均一に分布されても良いし、あるいは層厚方向に
は万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態
で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一
な場合には、基体側に多く分布するように含有させるの
が好適である。しかしながら、いずれの場合にも基体の
表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく
含有されることが面内方向における特性の均一化をはか
る点からも必要である。
【0058】電荷注入阻止層504及び/または上部阻
止層507に含有される伝導性を制御する元素として
は、前述した第3族元素または第5族元素を用いること
ができる。電荷注入阻止層504及び/または上部阻止
層507中に含有される伝導性を制御する元素の含有量
としては、所望にしたがって適宜決定されるが、好まし
くは10〜1×104原子ppm、より好適には50〜
5×103原子ppm、最適には1×102〜3×103
原子ppmとされるのが望ましい。さらに、電荷注入阻
止層504及び/または上部阻止層507には、炭素原
子、窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させ
ることによって、該電荷注入阻止層504及び/または
上部阻止層507に直接接触して設けられる他の層との
間の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。
【0059】該層に含有される炭素原子または窒素原子
または酸素原子は該層中に万偏なく均一に分布されても
良いし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはい
るが、不均一に分布する状態で含有している部分があっ
てもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面
と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有
されることが面内方向における特性の均一化をはかる点
からも必要である。電荷注入阻止層504及び/または
上部阻止層507の全層領域に含有される炭素原子及び
/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、
所望の膜特性が得られるよう適宜決定されるが、一種の
場合はその量として、二種以上の場合はその総和とし
て、好ましくは1×10-3〜50原子%、より好適には
5×10-3〜30原子%、最適には1×10-2〜10原
子%とされるのが望ましい。
【0060】また、電荷注入阻止層504及び/または
上部阻止層507に含有される水素原子および/または
ハロゲン原子は層内に存在する未結合手を補償し膜質の
向上に効果を奏する。電荷注入阻止層504及び/また
は上部阻止層507中の水素原子またはハロゲン原子あ
るいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適に
は1〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適
には10〜30原子%とするのが望ましい。
【0061】電荷注入阻止層504の層厚は所望の電子
写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好
ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5
μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。
上部阻止層507の層厚は所望の電子写真特性が得られ
ること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.01
〜3μm、より好ましくは0.05〜2μm、最適には
0.1〜1μmとされるのが望ましい。電荷注入阻止層
504及び/または上部阻止層507を形成するには、
前述の光導電層502を形成する方法と同様の真空堆積
法が採用される。光導電層502と同様に、シリコン原
子導入用ガスとその他の原子の導入用ガスとの混合比、
堆積室内のガス圧、放電電力ならびに基体501の温度
を適宜設定することが必要である。
【0062】堆積室内のガス圧は適宜最適範囲が選択さ
れるが、通常の場合0.01〜1000Pa、好ましく
は0.05〜500Pa、最適には0.1〜100Pa
とするのが好ましい。電荷注入阻止層504及び/また
は上部阻止層507を形成するための希釈ガスの混合
比、ガス圧、放電電力、基体温度等の層作成ファクター
は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望
の特性を有する電荷注入阻止層504及び/または上部
阻止層507を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基
づいて各層作成ファクターの最適値を決めるのが望まし
い。
【0063】基体501と光導電層502あるいは電荷
注入阻止層504との間の密着性の一層の向上を図る目
的で、例えば、Si3N4、SiO2、SiO、あるいは
シリコン原子を母体とし、水素原子及び/またはハロゲ
ン原子と、炭素原子及び/または酸素原子及び/または
窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設
けても良い。更に、基体からの反射光による干渉模様の
発生を防止するための光吸収層を設けても良い。
【0064】本発明の堆積膜形成方法において、基体と
高周波電極の被覆部材を固定したステージを反応容器内
に投入する前に、あらかじめ洗浄処理装置内で該基体と
被覆部材を洗浄する場合に用いる洗浄処理装置の代表例
は以下のようなものである。
【0065】図8は洗浄処理装置の一例を模式的に示し
した図である。図8においてを洗浄処理装置は、処理部
402とステージ搬送機構403よりなっている。処理
部402は、組上げ台411、前洗浄槽421、洗浄槽
431、乾燥槽441、搬出台451よりなっている。
前洗浄槽421、洗浄槽431、乾燥層441とも液の
温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が付
いている。搬送機構403は、搬送レール465と搬送
アーム461よりなり、搬送アーム461は、レール4
65上を移動する移動機構462、ステージ401を保
持するチャッキング機構463及びチャッキング機構4
63を上下させるためのエアーシリンダー464よりな
っている。
【0066】組上げ台411上で、少なくとも基体、該
基体を支えるホルダー及び高周波電極の被覆部材が組み
込まれたステージ401は、搬送機構403により前洗
浄槽421に搬送される。前洗浄槽421中の界面活性
剤水溶液中で超音波処理されることにより基体表面等に
付着している油脂・ダストの洗浄が行なわれる。
【0067】次にステージ401は、搬送機構403に
より洗浄槽431へ運ばれ、水により更に洗浄が行われ
る。水による洗浄の終わったステージ401は搬送機構
403により温水による乾燥槽441へ移動され、温水
にて引き上げ乾燥が行われる。乾燥工程の終了したステ
ージ401は、搬送機構403により搬出台451に運
ばれる。
【0068】本発明に於て、前洗浄を行なう場合は特に
界面活性剤等を含有した水系の洗浄が望ましい。水系の
洗浄を行う場合、界面活性剤を溶解する前の水の水質
は、いずれでも可能であるが、特に半導体グレードの純
水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。
【0069】半導体グレードの純水、特に超LSIグレ
ードの超純水としては、具体的には、水温25℃の時の
抵抗率として、下限値は1MΩ−cm以上、好ましくは
3MΩ−cm以上、最適には5MΩ−cm以上が本発明
には適している。上限値は理論抵抗値(18.25MΩ
−cm)までの何れの値でも可能であるが、コスト、生
産性の面から17MΩ−cm以下、好ましくは15MΩ
−cm以下、最適には13MΩ−cm以下が本発明には
適している。微粒子量としては、0.2μm以上が1ミ
リリットル中に10000個以下、好ましくは1000
個以下、最適には100個以下が本発明には適してい
る。微生物量としては、総生菌数が1ミリリットル中に
100個以下、好ましくは10個以下、最適には1個以
下が本発明には適している。有機物量(TOC)は、1
リットル中に10mg以下、好ましくは1mg以下、最
適には0.2mg以下が本発明には適している。
【0070】上記の水質の水を得る方法としては、活性
炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸
透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組
み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ま
しい。
【0071】前洗浄工程に於ける水の温度は、高すぎる
と基体上に酸化膜が発生してしまい、堆積膜の剥れ等の
原因となる。また、低すぎると十分な洗浄効果が得られ
ない。この為、水の温度としては、5℃以上、90℃以
下、好ましくは10℃以上、55℃以下、最適には15
℃以上、40℃以下が本発明には適している。
【0072】本発明において前洗浄工程で用いられる界
面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活
性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、または
それらの混合したもの等いずれのものでも可能である。
中でも、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル
塩、燐酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤または、
脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤は特に本発明
では効果的である。ビルダーとしては、燐酸塩、炭酸
塩、珪酸塩、ほう酸塩等を用いることが有効である。キ
レート剤としては、グルコン酸塩、EDTA、NTA、
燐酸塩等を用いることが有効である。
【0073】本発明に於いて前洗浄工程に超音波を用い
ることは本発明の効果を出す上で有効である。超音波の
周波数は、好ましくは100Hz以上、10MHz以
下、更に好ましくは1kHz以上、5MHz以下、最適
には10kHz以上100kHz以下が効果的である。
超音波の出力は、好ましくは0.1W/リットル以上、
1kW/リットル以下、更に好ましくは1W/リットル
以上、100W/リットル以下が効果的である。本発明
に於て、水による洗浄工程に使用される水の水質は、非
常に重要であり半導体グレードの純水、特に超LSIグ
レードの超純水が望ましい。
【0074】半導体グレードの純水、特に超LSIグレ
ードの超純水としては、前述した前洗浄工程と同様のも
のが望ましい。また、基体、特にアルミニウム性の基体
の場合、水による基体の腐食防止や、基体表面性の改善
による堆積膜との良好な電荷のやりとりを実現する等の
目的の為に、二酸化炭素を溶解した水を用いるのが望ま
しい。これらの水に溶解する二酸化炭素の量は飽和溶解
度までのいずれの量でも本発明は可能だが、多すぎると
水温が変動したときに泡が発生し基体表面に付着するこ
とによりスポット上のシミが発生する場合がある。更
に、溶解した二酸化炭素の量が多いとpHが小さくなる
ため基体にダメージを与える場合がある。一方、溶解し
た二酸化炭素の量が少なすぎると本発明の効果を得るこ
とができない。基体に要求される品質等を考慮しなが
ら、状況に合わせて二酸化炭素の溶解量を最適化する必
要がある。一般的に本発明による好ましい二酸化炭素の
溶解量は飽和溶解度の60%以下、更に好ましくは40
%の条件である。
【0075】本発明において二酸化炭素の溶解量は水の
導電率またはpHで管理することが実用的であるが、導
電率で管理した場合、好ましい範囲は2μS/cm以
上、40μS/cm以下、更に好ましくは4μS/cm
以上、30μS/cm以下、6μS/cm以上、25μ
S/cm以下、pHで管理した場合、好ましい範囲は
3.8以上、6.0以下、更に好ましくは4.0以上、
5.0以下で本発明は効果が顕著である。導電率の測定
は導電率計等により行い、値としては温度補正により2
5℃に換算した値を用いる。
【0076】二酸化炭素を水に溶解する方法はバブリン
グによる方法、隔膜を用いる方法等いずれでも良い。本
発明においては、二酸化炭素を溶解した水を用いること
が重要であり、炭酸イオンを得るために炭酸ナトリウム
等の炭酸塩を用いた場合、ナトリウムイオン等の陽イオ
ンが本発明の効果を阻害してしまう。
【0077】水により基体表面を洗浄するときは、ディ
ッピングにより洗浄する方法、水圧を掛けて吹き付ける
方法等がある。ディッピングにより洗浄する場合、水を
導入した水槽に基体を浸積する事が基本であるが、その
際に超音波を印加する、水流を与える、空気等を導入す
ることによりバブリングを行う等を併用すると本発明は
更に効果的なものとなる。
【0078】吹き付ける場合、水の圧力は、弱すぎると
本発明の効果が小さいものとなり、強すぎると得られた
電子写真感光体の画像上、特にハーフトーンの画像上で
梨肌状の模様が発生してしまう。この為、水の圧力とし
ては、2kg・f/cm2以上、300kg・f/cm2
以下、好ましくは10kg・f/cm2以上、200k
g・f/cm2以下、最適には20kg・f/cm2
上、150kg・f/cm2以下が本発明には適してい
る。但し、本発明に於ける圧力単位kg・f/cm
2は、重力キログラム毎平方センチメートルを意味し、
1kg・f/cm2は98066.5Paと等しい。
【0079】水を吹き付ける方法には、ポンプにより高
圧化した水をノズルから吹き付ける方法、または、ポン
プで汲み上げた水を高圧空気とノズルの手前で混合し
て、空気の圧力により吹き付ける方法等がある。水の流
量としては、発明の効果と、経済性から、基体1本当り
1リットル/min以上、200リットル/min以
下、好ましくは2リットル/min以上、100リット
ル/min以下、最適には5リットル/min以上、5
0リットル/min以下が本発明には適している。
【0080】洗浄工程における水の温度は、高すぎると
基体上に酸化膜が発生してしまい堆積膜の剥れ等の原因
となる、さらに本発明の効果が充分に得られない。ま
た、安定して二酸化炭素を水中に溶解しておくことが困
難である。反対に、低すぎてもやはり本発明の効果が充
分得ることはできない。この為、水の温度としては、5
℃以上、90℃以下、好ましくは10℃以上、75℃以
下、最適には15℃以上、60℃以下が本発明には適し
ている。水による洗浄処理の処理時間は、長すぎると基
体上に酸化膜が発生してしまい、短すぎると本発明の効
果が小さいため、10秒以上、30分以下、好ましくは
20秒以上、20分以下、最適には30秒以上、10分
以下が本発明には適している。
【0081】本発明に於て、水による温水乾燥を行う場
合、使用される水の水質は、非常に重要であり半導体グ
レードの純水、特に超LSIグレードの超純水が望まし
い。半導体グレードの純水、特に超LSIグレードの超
純水としては、前述した前洗浄工程と同様のものが望ま
しい。
【0082】また、基体、特にアルミニウム性の基体の
場合、水による基体の腐食防止や、基体表面性の改善に
よる堆積膜との良好な電荷のやりとりを実現する等の目
的の為に、二酸化炭素を溶解した水を用いるのが望まし
い。二酸化炭素を溶解する場合の、溶解量、方法等は、
前述した洗浄工程と同様のものが望ましい。温水乾燥工
程における温水の温度は、高すぎると基体上に酸化膜が
発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、
低すぎると乾燥が不十分となり、さらに本発明の効果が
充分得られない。この為、水の温度としては、30℃以
上、90℃以下、好ましくは35℃以上、80℃以下、
最適には40℃以上、70℃以下が本発明には適してい
る。
【0083】引ぎ上げ乾燥する際の引ぎ上げ速度は非常
に重要であり、好ましい範囲は100mm/min以
上、2000mm/min、更に好ましくは200mm
/min、最適には300mm/min以上、1000
mm/minが本発明には適している。水による洗浄処
理から堆積膜形成装置へ投入までの時間は、長すぎると
本発明の効果が小さくなってしまい、短すぎると工程が
安定しないため、1分以上、8時間以下、好ましくは2
分以上、4時間以下、最適には3分以上、2時間以下が
本発明には適している。
【0084】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。 [実施例1]図1、図2、図3に示した堆積膜形成装置
において、発振周波数105MHzの高周波電源107
を用い、ステンレス製の導電性部材121を反応容器1
00内に設置した。次に、ステージ112に厚さ3mm
のAl2O3を主成分とするセラミックス製の被覆部材1
22、表面にバリウム硼珪酸ガラス(コーニング(株)
製7059)を設置したアルミニウム製で外径80mm
の円筒状基体101を組み込み、反応容器100内に設
置した。次に、表1に示す光導電層の成膜条件に従っ
て、約1μmのa−Si膜を堆積して導電率比測定用サ
ンプルを作成すると共に放電安定性を評価した。この操
作を20回繰り返した。また、アルミニウム製の円筒状
基体101上にa−Si膜を表1に示す成膜条件に従っ
て成膜し、図9(C)に示す層構成の電子写真用光受容
部材を作成した。この操作を5回繰り返した。
【0085】[実施例2]図8に示した洗浄処理装置に
おいて、実施例1と同様なステージ401を表2に示す
前処理条件により洗浄した後に、実施例1と同様な堆積
膜形成装置の反応容器100内に設置した以外は、実施
例1と同様にして、導電率比測定用サンプル及び電子写
真用光受容部材を作成すると共に放電安定性を評価し
た。
【0086】(比較例1)図13、図14に示した堆積
膜形成装置を用い、ステージ812に実施例1と同様な
被覆部材822、基体801に加えて、導電性部材82
1を組み込こみ、反応容器800内に設置した以外は、
実施例1と同様にして、導電率比測定用サンプル及び電
子写真用光受容部材を作成すると共に放電安定性を評価
した。実施例1、実施例2及び比較例1で作成した導電
率比測定用サンプル、放電安定性及び電子写真用光受容
部材を次の方法で評価した。
【0087】(1)導電率比評価 各々の導電率比測定用サンプルについて、a−Si層の
表面にクロム(Cr)を蒸着して櫛型電極を形成した。
次に該導電率比測定用サンプルを暗所に設置し、pAメ
ーター(日本ヒューレット・パッカード(株)製414
0B)を用いて、櫛型電極間に電圧を印加し、櫛型電極
間に流れる暗電流を測定した。次に5mWのHe−Ne
レーザーを櫛型電極部分に照射し、櫛型電極間に流れる
明電流を測定し、暗電流と明電流の比率により導電率比
を求めた。各々20個のサンプルの導電率比の平均値及
び標準偏差値を計算した。導電率比の平均値が大きいほ
ど光導電性が良く膜質に優れ、標準偏差値が小さいほど
安定性(再現性)に優れていることを示す。
【0088】(2)放電安定性評価 各々の導電率比測定用サンプルを作製する際の、マッチ
ングボックスの調整位置を記録し、各々20個のサンプ
ル作製時の調整位置の標準偏差値を計算した。標準偏差
値が小さいほど導入経路のインダクタンスの変動が小さ
く、安定性(再現性)に優れていることを示す。
【0089】(3)画像欠陥評価 各々の電子写真用光受容部材を電子写真装置(キヤノン
社製NP6750を実験用に改造したもの)にセットし
て、キヤノン製全面黒チャート(部品番号:FY9−9
073)を原稿台に置きコピーしたときに得られたコピ
ー画像の同一面積内にある直径0.2mm以上の白ポチ
の個数を調べ、各々5本の電子写真用光受容部材の白ポ
チ数の平均値を計算した。白ポチ数が少ないほど画像欠
陥が少なく生産性に優れていることを示す。
【0090】更には、各々の電子写真用光受容部材の表
面を光学顕微鏡で観察し、10cm平方当りでの直径1
5μm以上の球状突起の個数を調べ、各々5本の電子写
真用光受容部材の球状突起数の平均値を計算した。球状
突起数が少ないほど画像欠陥が少なく画質に優れている
ことを示す。以上の評価を表3に示す。表3において
は、比較例1の評価結果を1とする相対値で示した。表
3からわかる通り、比較例1のサンプル及び電子写真用
光受容部材に対して実施例1及び実施例2のサンプル及
び電子写真用光受容部材の方が、特性に優れ、バラツキ
が少ない。特に実施例2においては画像欠陥が少ない。
以上の結果より、本発明に従えば、特性、安定性及び生
産性に優れた堆積膜を形成することが出来、この堆積膜
を用いることにより優れた電子写真用光受容部材を形成
可能であることが判明した。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】 [実施例3]実施例2において、高周波電源107の発
振周波数を表4に示す発振周波数に変えた以外は、実施
例2と同様にして、導電率比測定用サンプル及び電子写
真用光受容部材を作成すると共に放電安定性を評価し
た。
【0094】(比較例2−1)実施例2において、高周
波電源107の発振周波数を13.56MHzに変え、
内圧を15Paとした以外は、実施例2と同様にして、
導電率比測定用サンプル及び電子写真用光受容部材を作
成すると共に放電安定性を評価した。
【0095】(比較例2−2)実施例2において、高周
波電源107の発振周波数を500MHzに変えた以外
は、実施例2と同様にして、導電率比測定用サンプル及
び電子写真用光受容部材を作成すると共に放電安定性を
評価した。実施例3及び比較例2で作成した導電率比測
定用サンプル、放電安定性及び電子写真用光受容部材を
実施例2と同様の手順で評価した。その結果を表4に示
す。表4においては、比較例2−1の評価結果を1とす
る相対値で示した。表4からわかる通り、比較例2のサ
ンプル及び電子写真用光受容部材に対して実施例3のサ
ンプル及び電子写真用光受容部材の方が、特性に優れ、
バラツキが少ない。以上の結果より、本発明に従えば、
特性、安定性及び生産性に優れた堆積膜を形成すること
が出来、この堆積膜を用いることにより優れた電子写真
用光受容部材を形成可能であることが判明した。
【0096】
【表4】 [実施例4]実施例2において、セラミック製の被覆部
材122を表5に示す材質及び厚みに変えた以外は、実
施例2と同様にして、導電率比測定用サンプル及び電子
写真用光受容部材を作成すると共に放電安定性を評価し
た。実施例4で作成した導電率比測定用サンプル、放電
安定性及び電子写真用光受容部材を実施例2と同様の手
順で評価した。その結果を表5に示す。表5において
は、比較例1の評価結果を1とする相対値で示した。表
5からわかる通り、比較例1のサンプル及び電子写真用
光受容部材に対して実施例4のサンプル及び電子写真用
光受容部材の方が、特性に優れ、バラツキが少ない。以
上の結果より、本発明に従えば、特性、安定性及び生産
性に優れた堆積膜を形成することが出来、この堆積膜を
用いることにより優れた電子写真用光受容部材を形成可
能であることが判明した。
【0097】
【表5】 [実施例5]実施例2において、導体性部材121を表
6に示す材質に変えた以外は、実施例2と同様にして、
導電率比測定用サンプル及び電子写真用光受容部材を作
成すると共に放電安定性を評価した。実施例5で作成し
た導電率比測定用サンプル、放電安定性及び電子写真用
光受容部材を実施例2と同様の手順で評価した。その結
果を表6に示す。表6においては、比較例1の評価結果
を1とする相対値で示した。表6からわかる通り、比較
例1のサンプル及び電子写真用光受容部材に対して実施
例5のサンプル及び電子写真用光受容部材の方が、特性
に優れ、バラツキが少ない。以上の結果より、本発明に
従えば、特性、安定性及び生産性に優れた堆積膜を形成
することが出来、この堆積膜を用いることにより優れた
電子写真用光受容部材を形成可能であることが判明し
た。
【0098】
【表6】 [実施例6]実施例2において、高周波電極102を図
10に示す、内部にシースヒーター623を組み込んだ
ステンレス製の導体性部材621を用いた高周波電極6
02に変え、高周波電極602を約200℃に加熱した
以外は、実施例2と同様にして、導電率比測定用サンプ
ル及び電子写真用光受容部材を作成すると共に放電安定
性を評価した。実施例6で作成した導電率比測定用サン
プル、放電安定性及び電子写真用光受容部材を実施例2
と同様の手順で評価した。その結果を実施例2と同様な
特性の導電率比測定用サンプル、放電安定性及び電子写
真用光受容部材が得られ、本発明に従えば、特性、安定
性及び生産性に優れた堆積膜を形成することが出来、こ
の堆積膜を用いることにより優れた電子写真用光受容部
材を形成可能であることが判明した。
【0099】[実施例7]実施例2において、高周波電
極102を図10に示す、内部に冷却パイプ623を組
み込んだステンレス製の導体性部材621を用いた高周
波電極602に変え、高周波電極602を約40℃にな
るように冷却した以外は、実施例2と同様にして、導電
率比測定用サンプル及び電子写真用光受容部材を作成す
ると共に放電安定性を評価した。実施例7で作成した導
電率比測定用サンプル、放電安定性及び電子写真用光受
容部材を実施例2と同様の手順で評価した。その結果を
実施例2と同様な特性の導電率比測定用サンプル、放電
安定性及び電子写真用光受容部材が得られ、本発明に従
えば、特性、安定性及び生産性に優れた堆積膜を形成す
ることが出来、この堆積膜を用いることにより優れた電
子写真用光受容部材を形成可能であることが判明した。
【0100】[実施例8]実施例2において、高周波電
極102及び原料ガス供給管103を図11、図12に
示す、原料ガス供給路703を内在する導電性部材72
1と被覆部材722からなる原料ガス導入管を兼ねる高
周波電極702に変え、表7に示す成膜条件で成膜した
以外は、実施例2と同様にして、導電率比測定用サンプ
ル及び図9(E)に示す層構成の電子写真用光受容部材
を作成すると共に放電安定性を評価した。
【0101】(比較例3)比較例1において、高周波電
極102及び原料ガス供給管103を図15、図16に
示す、原料ガス供給路903を内在する導電性部材92
1と被覆部材922からなる原料ガス導入管を兼ねる高
周波電極902に変え、表7に示す成膜条件で成膜した
以外は、比較例1と同様にして、導電率比測定用サンプ
ル及び図9(E)に示す層構成の電子写真用光受容部材
を作成すると共に放電安定性を評価した。実施例8及び
比較例3で作成した導電率比測定用サンプル、放電安定
性及び電子写真用光受容部材を実施例2と同様の手順で
評価した。その結果、比較例3に対して実施例8の導電
率比サンプルでは、導電率比平均で1.11倍、導電率
比標準偏差0.51倍良好で有り、比較例3に対して実
施例8の放電安定性では、調整位置標準偏差で0.62
倍良好で有り、比較例3に対して実施例8の電子写真用
光受容部材では、白ポチ数で0.84倍、球状突起数で
0.79倍良好で有り、本発明に従えば、特性、安定性
及び生産性に優れた堆積膜を形成することが出来、この
堆積膜を用いることにより優れた電子写真用光受容部材
を形成可能であることが判明した。
【0102】
【表7】 [実施例9]図4、図5に示した堆積膜装置において、
発振周波数105MHzの高周波電源207を用い、ス
テンレス製の導電性部材221を反応容器200内に設
置した。ステージ212に厚さ3mmのAl2O3を主成
分とするセラミックス製の被覆部材222、実施例1と
同様なバリウム硼珪酸ガラスを設置した円筒状基体20
1を組み込み、図8に示した洗浄処理装置で実施例2と
同様に洗浄した後に、反応容器200内に設置した。次
に、表8に示す光導電層の成膜条件に従って、実施例1
と同様に導電率比測定用サンプルを作成すると共に放電
安定性を評価した。また、アルミニウム製の円筒状基体
101上に、表8に示す成膜条件に従って実施例1と同
様に電子写真用光受容部材を作成した。
【0103】(比較例4)実施例9において、比較例1
と同様なステージに導電性部材も組み込まれた高周波電
極を設置した以外は、実施例9と同様にして、導電率比
測定用サンプル及び電子写真用光受容部材を作成すると
共に放電安定性を評価した。
【0104】実施例9で作成した導電率比測定用サンプ
ル、放電安定性及び電子写真用光受容部材を実施例2と
同様の手順で評価した。その結果、比較例4に対して実
施例9の導電率比サンプルでは、導電率比平均で1.1
4倍、導電率比標準偏差0.44倍良好で有り、比較例
4に対して実施例9の放電安定性では、調整位置標準偏
差で0.63倍良好で有り、比較例4に対して実施例9
の電子写真用光受容部材では、白ポチ数で0.88倍、
球状突起数で0.82倍良好で有り、本発明に従えば、
特性、安定性及び生産性に優れた堆積膜を形成すること
が出来、この堆積膜を用いることにより優れた電子写真
用光受容部材を形成可能であることが判明した。
【0105】
【表8】 [実施例10]図6、図7に示した堆積膜装置におい
て、発振周波数80MHzの高周波電源307を用い、
ステンレス製の導電性部材321を反応容器300内に
設置した。ステージ312に厚さ3mmのAl2O3を主
成分とするセラミックス製の被覆部材322、実施例1
と同様なバリウム硼珪酸ガラスを設置した円筒状基体3
01を組み込み、図8に示した洗浄処理装置で実施例2
と同様に洗浄した後に、反応容器300内に設置した。
次に、表9に示す光導電層の成膜条件に従って、実施例
1と同様に導電率比測定用サンプルを作成すると共に放
電安定性を評価した。また、アルミニウム製の円筒状基
体301上に、表9に示す成膜条件に従って図9(D)
に示す層構成の電子写真用光受容部材を実施例1と同様
に作成した。
【0106】(比較例5)実施例10において、比較例
1と同様なステージに導電性部材も組み込まれた高周波
電極を設置した以外は、実施例10と同様にして、導電
率比測定用サンプル及び電子写真用光受容部材を作成す
ると共に放電安定性を評価した。実施例10で作成した
導電率比測定用サンプル、放電安定性及び電子写真用光
受容部材を実施例2と同様の手順で評価した。その結
果、比較例5に対して実施例10の導電率比サンプルで
は、導電率比平均で1.09倍、導電率比標準偏差0.
48倍良好で有り、比較例5に対して実施例10の放電
安定性では、調整位置標準偏差で0.58倍良好で有
り、比較例5に対して実施例10の電子写真用光受容部
材では、白ポチ数で0.89倍、球状突起数で0.81
倍良好で有り、本発明に従えば、特性、安定性及び生産
性に優れた堆積膜を形成することが出来、この堆積膜を
用いることにより優れた電子写真用光受容部材を形成可
能であることが判明した。
【0107】
【表9】 [実施例11]外径30mmの円筒状基体101を16
本組み込んだ以外は実施例2と同様にして、導電率比測
定用サンプル及び電子写真用光受容部材を作成すると共
に放電安定性を評価した。実施例11で作成した導電率
比測定用サンプル、放電安定性及び電子写真用光受容部
材を実施例2と同様の手順で評価した。尚、電子写真用
光受容部材の評価にはキヤノン社製NP6030を実験
用に改造した電子写真装置を用いた。その結果、実施例
2と同様な特性の導電率比測定用サンプル、放電安定性
及び電子写真用光受容部材が得られ、本発明に従えば、
特性、安定性及び生産性に優れた堆積膜を形成すること
が出来、この堆積膜を用いることにより優れた電子写真
用光受容部材を形成可能であることが判明した。
【0108】
【発明の効果】本発明は、以上のように、高周波電極の
導電性部材の表面を覆う被覆部材を、円筒状導電性基体
と同一のステージに固定し、反応容器内に固定された前
記導電性部材と分離して該ステージと共に反応容器内に
出し入れするように構成することにより、前記高周波電
極の表面の被覆部材のみを取り替えることが可能とな
り、堆積膜の特性の変動を抑え、放電を安定させ、生産
性の向上が可能な堆積膜形成方法を実現することができ
る。そして、本発明は、このように被覆部材を、円筒状
導電性基体と同一のステージに固定する構成を採ること
により、ステージに前記円筒状導電性基体と高周波電極
の被覆部材を組み込み後、ステージごと洗浄を行ない、
その後に成膜装置に設置して、ダストの付着を更に防ぐ
ことが可能となり、画像欠陥の発生をより一層抑えるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の堆積膜形成装置及び高周波電極の一例
を示す模式図である。
【図2】本発明の堆積膜形成装置及び高周波電極の一例
を示す模式図である。
【図3】本発明の堆積膜形成装置及び高周波電極の一例
を示す模式図である。
【図4】本発明の別の堆積膜形成装置の一例を示す模式
図である。
【図5】本発明の別の堆積膜形成装置の一例を示す模式
図である。
【図6】本発明の別の堆積膜形成装置の一例を示す模式
図である。
【図7】本発明の別の堆積膜形成装置の一例を示す模式
図である。
【図8】本発明で使用される洗浄処理装置の一例を示す
模式図である。
【図9】本発明で作成される電子写真用光受容部材の層
構成の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の別の高周波電極の一例を示す模式図
である。
【図11】本発明の別の堆積膜形成装置及び高周波電極
の一例を示す模式図である。
【図12】本発明の別の堆積膜形成装置及び高周波電極
の一例を示す模式図である。
【図13】比較例の堆積膜形成装置及び高周波電極の一
例を示す模式図である。
【図14】比較例の堆積膜形成装置及び高周波電極の一
例を示す模式図である。
【図15】比較例の堆積膜形成装置及び高周波電極の一
例を示す模式図である。
【図16】比較例の堆積膜形成装置及び高周波電極の一
例を示す模式図である。
【図17】従来の堆積膜形成装置の一例を示す模式図で
ある。
【符号の説明】
100、200、300、700、800、900、1
000:反応容器 101、201、301、701、801、901、1
001:基体 102、202、302、602、802:高周波電極 103、203、303、803、1003:原料ガス
供給管 104、204、304、704、804、904、1
004:ヒーター 105、205、305、705、805、905、1
005:排気管 106、206、306、706、806、906:マ
ッチングボックス 107、207、307、707、807、907:高
周波電源 108、208、308、708、808、908、1
008:回転軸 109、209、309、709、809、909、1
009:モーター 110、210、310、710、810、910、1
010:ギヤ 111、211、311、711、811、911:内
部チャンバ 112、212、312、712、812、912:ス
テージ 113、213、313、713、813、913:ホ
ルダー 121、221、321、621、721、821、9
21:導電性部材 122、222、322、622、722、822、9
22:被覆部材 401:ステージ 402:処理部 403:ステージ搬送機構 411:組上げ台 421:前処理漕 431:洗浄漕 441:乾燥漕 451:搬出台 461:搬送アーム 462:移動機構 463:チャッキング機構 464:エアーシリンダー 465:レール 500:電子写真用光受容部材 501:基体 502:光導電層 503:表面層 504:電荷注入阻止層 505:電荷発生層 506:電荷輸送層 507:上部阻止層 623:シースヒーターまたは冷却パイプ 702、902:原料ガス導入管を兼ねる高周波電極 703、903:原料ガス供給路 1002:内部チャンバー 1006:マイクロ波導入窓 1007:導波管

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の円筒状導電性基体を配置した減圧可
    能な反応容器内に、原料ガス導入手段により原料ガスを
    導入すると共に、高周波電極を介して高周波電力を導入
    し、該高周波電力により前記原料ガスを分解することに
    よって前記円筒状導電性基体上に堆積膜を形成する堆積
    膜形成方法において、前記高周波電極が導電性部材を母
    体とし、該導電性部材の表面を堆積膜との密着性が高い
    材料からなる被覆部材で覆うことにより構成され、該被
    覆部材を前記円筒状導電性基体と同一のステージに固定
    することにより、反応容器内に固定された前記導電性部
    材と分離して該ステージと共に反応容器内に出し入れす
    るようにしたことを特徴とする堆積膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記同一のステージに固定された円筒状導
    電性基体と前記被覆部材とは、洗浄処理装置内で該円筒
    状導電性基体と前記被覆部材の洗浄を行なった後に、該
    ステージと共に反応容器内に設置することを特徴とする
    請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  3. 【請求項3】前記被覆部材が、セラミックス材であるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の堆積膜
    形成方法。
  4. 【請求項4】前記被覆部材のセラミックス材が、Al2
    O3、BN、AlN、ZrSiO4、ZrSiO4−2Mg
    O2・Al2O3・5SiO2の内の少なくとも一つである
    ことを特徴とする請求項3に記載の堆積膜形成方法。
  5. 【請求項5】前記導電性部材が、ステンレス、アルミニ
    ウム、チタニウム、ニッケル、インコネルの内の少なく
    とも一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の堆積膜形成方法。
  6. 【請求項6】前記円筒状導電性基体は、同一円周上に配
    置され該円筒状導電性基体の配置円内に高周波電力が導
    入されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項
    に記載の堆積膜形成方法。
  7. 【請求項7】前記円筒状導電性基体は、回転自在に構成
    されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の堆積膜形成方法。
  8. 【請求項8】前記高周波電極が複数配置されていること
    を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の堆積
    膜形成方法。
  9. 【請求項9】前記高周波電力の周波数が、50MHz〜
    450MHzであることを特徴とする請求項1〜8のい
    ずれか1項に記載の堆積膜形成方法。
  10. 【請求項10】前記高周波電極が、原料ガス導入手段を
    兼ねることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に
    記載の堆積膜形成方法。
  11. 【請求項11】前記高周波電極が、加熱または冷却する
    機構を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれ
    か1項に記載の堆積膜形成方法。
  12. 【請求項12】減圧可能な反応容器内に複数の円筒状導
    電性基体を同一円周上に配置し、原料ガスを前記円筒状
    導電性基体の配置円内に導入する手段と、高周波電力を
    前記円筒状導電性基体の配置円内に導入する高周波電極
    とを有し、該高周波電力によって前記原料ガスを分解す
    ることにより、前記円筒状導電性基体上に堆積膜を形成
    する堆積膜形成装置において、前記高周波電極が導電性
    部材を母体として形成され、該導電性部材の表面を堆積
    膜との密着性が高い材料からなる被覆部材で覆うことに
    よって構成し、該被覆部材を前記円筒状導電性基体と同
    一のステージに固定し、それを反応容器内に固定された
    前記導電性部材と分離して該ステージと共に反応容器内
    に出し入れするように構成したことを特徴とする堆積膜
    形成装置。
  13. 【請求項13】前記被覆部材が、セラミックス材である
    ことを特徴とする請求項12に記載の堆積膜形成装置。
  14. 【請求項14】前記被覆部材のセラミックス材が、Al
    2O3、BN、AlN、ZrSiO4、ZrSiO4−2M
    gO2・Al2O3・5SiO2の内の少なくとも一つであ
    ることを特徴とする請求項13に記載の堆積膜形成装
    置。
  15. 【請求項15】前記導電性部材が、ステンレス、アルミ
    ニウム、チタニウム、ニッケル、インコネルの内の少な
    くとも一つであることを特徴とする請求項12〜14の
    いずれか1項に記載の堆積膜形成装置。
  16. 【請求項16】前記円筒状導電性基体は、同一円周上に
    配置され該円筒状導電性基体の配置円内に高周波電力が
    導入されることを特徴とする請求項12〜15のいずれ
    か1項に記載の堆積膜形成装置。
  17. 【請求項17】前記円筒状導電性基体は、回転自在に構
    成されていることを特徴とする請求項12〜16のいず
    れか1項に記載の堆積膜形成装置。
  18. 【請求項18】前記高周波電極が複数配置されているこ
    とを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載
    の堆積膜形成装置。
  19. 【請求項19】前記高周波電極が、原料ガス導入手段を
    兼ねることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1
    項に記載の堆積膜形成装置。
  20. 【請求項20】前記高周波電極が、加熱または冷却する
    機構を有することを特徴とする請求項12〜19のいず
    れか1項に記載の堆積膜形成装置。
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