JPH11132922A - 透過電子顕微鏡用試料とその作成方法 - Google Patents

透過電子顕微鏡用試料とその作成方法

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JPH11132922A
JPH11132922A JP30151697A JP30151697A JPH11132922A JP H11132922 A JPH11132922 A JP H11132922A JP 30151697 A JP30151697 A JP 30151697A JP 30151697 A JP30151697 A JP 30151697A JP H11132922 A JPH11132922 A JP H11132922A
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JP
Japan
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sample
electron microscope
transmission electron
tem
section
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JP30151697A
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English (en)
Inventor
Ryuji Eto
竜二 江藤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electronics Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易かつ短時間で、スパッタエッチング速度
の異なる材料を均一に薄片化可能とする。 【解決手段】 Si基板上に形成されたTEM観察対象
となる材料2を内側として、3枚のSi基板をエポキシ
樹脂で固定して円柱状に整形し、TEM観察対象となる
材料2に垂直に、ダイシングソー装置を用いた切り込み
溝12を形成する。その後、Arをイオン種としたイオ
ンビーム7の照射により、切り込み溝12に沿った方向
からのみ選択的にイオンビーム7をTEM観察対象の材
料2とその周辺部に入射し、スパッタエッチングにより
薄片化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透過電子顕微鏡用
試料およびその作成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体デバイスパターンの微細化
に伴い、結晶性評価や微小領域の分析などの必要性から
透過型電子顕微鏡(以下、TEMと略す)による観察技
術の重要性が高まっている。しかし、TEMによる観察
には、観察領域を0.3μmまで薄片化しなければなら
ず、その作業は非常に困難である。半導体材料のTEM
試料作成には、回転研磨機などを使用して試料研磨した
後、最終的な仕上げ加工にアルゴン(以下、Arと略
す)をイオン種としたイオンスパッタエッチング法を用
いるのが一般的である。
【0003】図14〜図19にはArをイオン種とした
スパッタエッチングを用いた断面観察用試料の作成方法
が、図20には作成された試料をTEM観察するための
配置が示されている。
【0004】図14に示すように、長方形のシリコン
(以下、Siと略す)基板1の最表面にTEM観察対象
となる材料2が形成されている。
【0005】まず図15に示すように、TEM観察対象
となる材料2にダミーSi基板3をエポキシ樹脂で固定
する。このダミーSi基板3は、研磨やダイシングソー
装置による加工の際に発生するTEM観察対象となる材
料2の欠損と、スパッタエッチングの際の材料表面のイ
オン照射ダメージを防ぐために必要であり、3枚のダミ
ーSi基板3を使用したのは3mmφのTEM試料ホル
ダーに装着し易くするためで、Si基板1とダミーSi
基板3が充分に厚い場合には、図14の外側2枚のダミ
ーSi基板3は必要としない。
【0006】次に、図16に示すように、TEM観察対
象となる材料2を直径とした約3mmφの円柱状試料4
に整形し、円柱の高さが100μm程度になるように上
下平面部を研磨し、平面部の片側を凹凸の少ない鏡面状
に仕上げ研磨する。これは、スパッタエッチングの際に
厚さむらの少ない試料を得るためである。
【0007】次に、図17に示すように、鏡面状に研磨
された平面部の反対側の平面部を、TEM観察対象とな
る材料2が中央となるようディンプリング加工により半
球状の研磨面5を形成し、鏡面状の仕上げ研磨する。こ
れは、試料内にゆるやかな厚さむらを設けることによ
り、試料の一部分だけを薄片化することで、試料全体が
薄片化することによる試料強度の低下を防ぐためであ
る。
【0008】さらに、図18に示すように、ディンプリ
ング加工されていない平面部に試料補強用治具である単
孔グリッド6を固定することで、TEM試料の耐久性を
より向上させる。
【0009】その後、図19に示すように、Arをイオ
ン種としたイオンビーム7を試料表面に入射角8で入射
し、半球状の研磨面5とTEM観察対象となる材料2と
をその中心9で回転しながらスパッタエッチングし、T
EM観察対象となる材料2を中心として薄片化する。
【0010】上記方法で作成した試料を図20に示すよ
うな構成でTEMによる断面観察が可能な状態に配置
し、この試料のTEM観察対象の材料2に、TEMの電
子銃から透過電子線10を照射し、透過することによっ
てTEM観察する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の断面観察用試料の作成方法では、TEM観察対象とな
る材料とSi基板またはダミー基板との材質の違いによ
り、Arをイオン種としたスパッタエッチング速度に差
異が生じることから、TEM観察対象となる材料がSi
基板よりも早く薄片化して試料から脱落することや、S
i基板またはダミー基板がTEM観察対象の材料よりも
早く薄片化することで、TEM観察対象の材料を薄片化
することが困難になるという欠点がある。
【0012】上記課題について鑑み、本発明の目的は容
易かつ短時間で、TEM観察対象の材料とSi基板およ
びダミー基板を均一に薄片化することを可能とする透過
電子顕微鏡用試料およびその作成方法を提供するもので
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の透過電子顕微鏡用試料は、TEM観察対象
となる材料に垂直に切り込み溝を形成したものである。
また、TEM観察対象となる材料に対しスパッタエッチ
ング速度比率の小さい一定の角度で数本の切り込み溝を
形成したものである。これによれば、TEM観察対象と
なる材料への、Arをイオン種としたイオンビームの入
射方向が切り込み溝の幅や深さにより任意に限定できる
ことで、材料間で最もスパッタリングエッチング速度の
差異の少ない条件での加工が可能となり、容易で短時間
にかつ試料厚さむらの少ないTEM観察に適した試料を
作成できる。また、凹状の滑らかな厚さ勾配を有する切
り込み溝を形成することにより、TEM観察対象となる
材料とその周辺領域を優先的に薄片化することが可能と
なり、容易かつ短時間で試料作成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の透過電子顕微鏡
用試料の作成方法の第1の実施の形態にもとづくTEM
試料の断面図および平面図を示す。
【0015】図1において、2はSi基板上に形成され
たTEM観察対象となる材料である。6は単孔グリッ
ド、7はスパッタエッチングに用いるイオンビーム、8
はイオンビーム7とTEM試料11の表面とで構成され
るイオンビーム入射角度、11はTEM試料、12はダ
イシングソー装置を用いて、TEM観察対象となる材料
2に対し垂直に切削した切り込み溝で、13は切り込み
溝12の幅、14は切り込み溝12の深さ、15は切り
込み溝12とイオンビーム7とで構成される角度、16
はダイシングソー装置による切り込み残し厚さ、17は
TEM試料全体の厚さである。
【0016】この試料形状は、たとえばダイシングソー
装置による加工で形成することができる。TEM用試料
11はダイシングソー装置による加工の前に単孔グリッ
ド6に固定されている。各部の寸法は、イオンビーム7
の入射角度8と、イオンビーム7と切り込み溝12とで
構成される角度15によって決められる値で、切り込み
溝12の幅13は、角度15から三角関数により求めら
れる。Si基板とTEM観察すべき材料2とのスパッタ
エッチング速度の差異が最も小さくなるイオンビーム7
の入射角度8をθとすると、切り込み溝12の深さ14
は幅13とθで三角関数により求められる。ダイシング
ソー装置による切り込み残し厚さ16は10〜20μm
以内とし、TEM試料厚さ17は、深さ14と切り込み
残し厚さ16を加算した数値となり機械研磨などで円柱
状に整形されている。TEM観察対象の材料2はTEM
試料11の直径付近、または直径に対し左右対称としT
EM観察対象となる材料2と切り込み溝12とは垂直と
する。
【0017】ダイシングソー装置により上記加工を施し
た後に、得られたTEM用試料を図2に示すように切り
込み溝12とTEM観察対象となる材料2とが直交する
線を中心軸18とする等速回転をさせ、イオンビーム7
がTEM試料11の表面に対しある一定の角度で全ての
方向から照射される。そして、切り込み溝12に沿って
TEM観察対象となる材料2に対し、ある一定角度から
のみTEM観察対象となる材料2とその周辺領域にイオ
ンビーム7が入射可能となる。
【0018】このようにしてイオンガンから照射される
イオンビーム7により、TEM観察対象となる材料2
に、基板材料とのエッチング速度格差を抑えたスパッタ
エッチングが可能となる。
【0019】次に図3に、本発明の透過電子顕微鏡用試
料の作成方法の第2の実施の形態にもとづくTEM試料
の断面図および平面図を示す。
【0020】図3において、2はSi基板上に形成され
たTEM観察対象となる材料である。6は単孔グリッ
ド、7はスパッタエッチングに用いるイオンビーム、8
はイオンビーム7とTEM試料19の表面とで構成され
る角度である。19はTEM試料、20はダイシングソ
ー装置を用いて、TEM観察対象となる材料2に対し一
定の角度で切削された切り込み溝、21はTEM観察対
象となる材料2と切り込み溝20とで構成される角度、
22は切り込み溝20の幅、23は切り込み溝20の深
さ、24はダイシングソー装置による切り込み残し厚
さ、25はTEM試料全体の厚さである。
【0021】この試料形状は、たとえばダイシングソー
装置による加工で形成することができる。TEM用試料
はダイシングソー装置による切削の前に単孔グリッド6
に固定されている。各部の寸法は、イオンビーム7のT
EM試料19の表面に対する入射角度8と、TEM観察
対象となる材料2と基板材料とのスパッタエッチング速
度比率によって決められる値で、例えば切り込み溝20
とTEM観察対象となる材料2とで構成される角度21
を45度として±5度の誤差を見込んだ場合、TEM試
料19の直径と角度21から切り込み溝20の幅22は
三角関数により260μmと求められる。さらに、イオ
ンビーム7とTEM試料19の表面とで構成されるイオ
ンビーム入射角8を12度とした場合、切り込み溝20
の深さ23は三角関数により55μmとなる。ダイシン
グソー装置による切り込み残し厚さ24は10〜20μ
m以内とし、TEM試料厚さ25は、切り込み溝20の
深さ23と切り込み残し厚さ24を加算した数値とな
り、この場合約70μmとし、機械研磨などで円柱状に
整形されている。
【0022】ダイシングソー装置により上記加工を施し
た後に、得られたTEM用試料を図4に示すように切り
込み溝20とTEM観察対象となる材料2と直交する線
を中心軸26とする等速回転をさせ、イオンビーム7が
TEM試料19の表面に対しある一定の角度で全ての方
向から照射される。そして、切り込み溝20に沿ってT
EM観察対象となる材料2に対し、ある一定角度からの
みTEM観察対象となる材料2とその周辺領域にイオン
ビーム7が入射可能となる。
【0023】このようにしてイオンガンから照射される
イオンビーム7により、TEM観察対象となる材料2
に、基板材料とのエッチング速度格差を抑えたスパッタ
エッチングが可能となる。
【0024】ここでは図3に示されるTEM試料形状に
ついての各数値の算出にArをイオン種としたスパッタ
リングエッチングでのイオンビーム7の入射角度8を1
2度、切り込み溝20とTEM観察対象となる材料2と
で構成される角度21を45度とした場合を適用した
が、同様に、試料材料やイオン種、イオンガンとTEM
試料位置との構成の違いによるスパッタエッチング速度
を考慮し、必要に応じた数値を用いても同様の効果が得
られることはいうまでもない。
【0025】次に、本発明の第1の実施の形態の透過電
子顕微鏡用試料の作成方法について、ダイシングソー装
置を用いて行う第3の実施の形態を、図面を参照しなが
ら説明する。図5〜図9に工程手順を示す。
【0026】図5には断面観察用試料を作成するための
材料の1例が示されており、その構成は図14と同じも
のである。ダミーSi基板3はSi基板1と同じ材質の
ものが望ましいが必ずしも同じでなくともよい。
【0027】まず図6に示すように、TEM観察対象と
なる材料2にダミーSi基板3をエポキシ樹脂で固定す
る。
【0028】さらに、図7に示すように、TEM観察対
象となる材料2を直径とした約3mmφの円柱状試料4
に整形し、円柱の高さが150μmになるように上下平
面部を研磨する。このとき、底部平面を凹凸の少ない鏡
面研磨する。
【0029】さらに、図8に示すように、円柱状試料4
の鏡面研磨された底部平面に単孔グリッド6を固定す
る。
【0030】次に、図9に示すように、ダイシングソー
装置を用いてTEM観察対象となる材料2に垂直に切り
込み溝12を形成する。このとき、切り込み深さは13
0μmとし、TEM試料の切り残し厚さ16を20μm
とする。また、切り込み溝12の幅13は520μmで
切り込み溝12の底部に段差が生じないために、ダイシ
ングソー装置による切り込みは、一回とするか、粒径1
〜3μm程度の研磨剤を切削の際に併用して急峻な段差
や大きな凹凸が生じないようにする。
【0031】上記ダイシングソー装置を用いた加工によ
り、図1に示すような切り込み溝12を有するTEM試
料を作成可能である。
【0032】このようにして作成したTEM試料を図2
に示すような構成でArをイオン種としたスパッタエッ
チングにより、TEM観察対象となる材料2を中心とし
て薄片化する。スパッタエッチング後のTEM観察対象
となる材料2の厚さ27は0.3μm以下にする。そし
て、図10に示すような構成でTEMによる断面観察が
可能な状態に配置し、この試料のTEM観察対象となる
材料2に、TEMの電子銃から透過電子線10を照射
し、透過することによってTEM観察する。
【0033】ここでは図1に示されるTEM試料形状に
ついての各数値の算出にArをイオン種としたスパッタ
エッチングでのイオンビーム7のTEM試料11の表面
に対する入射角度8を12度、切り込み溝12に対する
入射角度15を10度とした場合を適用したが、同様に
試料材料やイオン源、イオンガンと試料位置との構成の
違いによるスパッタエッチング速度を考慮し、必要に応
じた数値を用いても同様の効果が得られることはいうま
でもない。
【0034】なお、本発明の第2の実施の形態の透過電
子顕微鏡用試料の作成方法についても、上記のダイシン
グソー装置を用いた試料作成方法で作成が可能である。
【0035】次に、図11に、本発明の透過電子顕微鏡
用試料の作成方法の第4の実施の形態にもとづくTEM
試料の断面図および平面図を示す。
【0036】図11において、2はSi基板上に形成さ
れたTEM観察対象となる材料である。6は単孔グリッ
ド、7はスパッタエッチングに用いるイオンビーム、8
はイオンビーム7とTEM試料28の表面とで構成され
る角度である。28はTEM試料、29はダイシングソ
ー装置を用いて、TEM観察対象となる材料2にたいし
一定の角度で切削された切り込み溝で、TEM観察対象
となる材料2とその周辺領域が最も薄くなっている。3
0はイオンビーム7と切り込み溝29とで構成される角
度、31は切り込み溝29の幅、32は切り込み溝29
の最深部の深さ、33はTEM観察対象となる材料2と
その周辺領域のダイシングソー装置による切り込み残し
厚さ、34はTEM試料全体の厚さである。
【0037】この試料形状は、たとえばダイシングソー
装置による加工で形成することができる。TEM用試料
はダイシングソー装置による切削の前に単孔グリッド6
に固定されている。各部の寸法は、イオンビーム7の試
料表面に対する入射角8とイオンビーム7と切り込み溝
29とのなす角30によって決められる。Si基板とT
EM観察すべき材料とのスパッタエッチング速度格差が
最も小さくなるイオンビーム7の角度30をθとする
と、切り込み溝29の幅31はTEM試料28の直径と
θの三角関数により求められる。また、切り込み溝29
の最深部の深さ32は、イオンビーム7の試料表面に対
する入射角8と幅31との三角関数により求められる。
TEM観察対象となる材料2とその周辺領域の切り込み
残し厚さ33は10〜20μm以内とし、TEM試料厚
さ34は、切り込み溝29の最深部の深さ32と切り込
み残し厚さ33を加算した数値となり機械研磨などで円
柱状に整形されている。TEM観察対象の材料2はTE
M試料28の直径付近、または直径にたいし左右対称と
し材料2と切り込み溝29とは垂直とする。
【0038】ダイシングソー装置により上記加工を施し
た後に、得られたTEM用試料を図12に示すように切
り込み溝29とTEM観察対象となる材料2と直交する
線を中心軸35とする等速回転をさせ、イオンビーム7
がTEM試料28の表面に対しある一定の角度で全ての
方向から照射される。そして、切り込み溝に沿って剤料
2に対し、ある一定角度からのみTEM観察対象となる
材料2とその周辺領域にイオンビーム7が入射可能とな
る。
【0039】このようにしてイオンガンから照射される
イオンビーム7により、TEM観察対象となる材料2
に、基板材料とのエッチング速度格差を抑えたスパッタ
エッチングが可能となり、さらに、切り込み溝29に設
けた滑らかな試料厚さの違いによってTEM観察対象と
なる材料2とその周辺領域のみを優先的に薄片化するこ
とで、TEM試料の薄片化部分の脱落などの破損を低減
できる。
【0040】以下、第4の実施の形態の透過電子顕微鏡
用試料の作成方法について、ダイシングソー装置を用い
て行う第5の実施の形態を、図面を参照しながら説明す
る。
【0041】まず断面観察用試料を準備する。その構成
は図8と同じものである。次に、図13に示すように、
ダイシングソー装置を用いてTEM観察対象となる材料
2に材料2とその周辺領域で最も深く切り込む凹状の切
り込み溝29を形成する。このとき、切り込み溝29の
最深部の深さは130μmとし、切り込み溝の幅は52
0μmとする。ダイシングソー装置に用いる切削用丸型
ブレード36の半径37は、TEM試料28の直径より
も充分に大きいものとし、20mm前後が望ましい。切
削用丸型ブレード36の回転軸38は材料2の直上とな
り、切削用丸型ブレード36の向きは材料2に垂直とな
るように配置する。切削用丸型ブレード36をTEM試
料28の表面法線方向39の下方に、毎分10〜30μ
mの速度で滑らかに下降させることで、試料破損を少な
く抑えかつ滑らかな凹状の切り込み溝29を形成し、材
料2とその周辺領域の切り残し厚さ24を10〜20μ
mとする。
【0042】上記ダイシングソー装置を用いた加工によ
り、図11に示すような凹状の切り込み溝29を有する
TEM試料を作成可能である。
【0043】このようにして作成したTEM試料を図1
2に示すような構成でArをイオン種としたスパッタエ
ッチングにより、TEM観察対象となる材料2を中心と
して薄片化する。スパッタエッチング後のTEM観察対
象となる材料2の厚さ27は0.3μm以下にする。そ
して、図10に示すような構成でTEMによる断面観察
が可能な状態に配置し、この試料のTEM観察対象とな
る材料2に、TEMの電子銃から透過電子線10を照射
し、透過することによってTEM観察する。
【0044】ここでは図11に示されるTEM試料形状
についての各数値の算出にArをイオン種としたスパッ
タリングエッチングでのイオンビーム7の入射角度8を
12度、切り込み溝29に対する入射角度30を10度
とした場合を適用したが、同様にダイシングソー装置と
TEM試料の構成の違いや切削用丸型ブレードの種類、
試料材料やイオン源、イオンガンと試料位置との構成の
違いによるスパッタエッチング速度を考慮し、必要に応
じた数値を用いても同様の効果が得られることはいうま
でもない。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明は、TEM観察対
象となる材料に対して一定の角度を有する切り込み溝を
形成することにより、基板材料に対しスパッタエッチン
グ速度の大きく異なる材料でも、TEM観察に最適な試
料を作成することができ、試料破損の危険性を低減でき
るのみならず、従来の装置を応用した加工方法により、
特殊な装置を用いることなく、TEM試料の作成コスト
の上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の透過電子顕微鏡用
試料を示す断面図と平面図
【図2】本発明の第1の実施の形態の透過電子顕微鏡用
試料とイオンビームによるスパッタエッチング加工との
関係を示す配置図
【図3】本発明の第2の実施の形態の透過電子顕微鏡用
試料を示す断面図と平面図
【図4】本発明の第2の実施の形態の透過電子顕微鏡用
試料とイオンビームによるスパッタエッチング加工との
関係を示す配置図
【図5】本発明の第3の実施の形態の透過電子顕微鏡用
試料を作成するための工程を説明する斜視図
【図6】本発明の第3の実施の形態の透過電子顕微鏡用
試料を作成するための工程を説明する斜視図
【図7】本発明の第3の実施の形態の透過電子顕微鏡用
試料を作成するための工程を説明する斜視図
【図8】本発明の第3の実施の形態の透過電子顕微鏡用
試料を作成するための工程を説明する斜視図
【図9】本発明の第3の実施の形態の透過電子顕微鏡用
試料を作成するための工程を説明する斜視図
【図10】本発明の第3の実施の形態の断面観察用試料
と透過電子顕微鏡の電子線との関係を示す配置図
【図11】本発明の第4の実施の形態の透過電子顕微鏡
用試料を示す断面図と平面図
【図12】本発明の第4の実施の形態の透過電子顕微鏡
用試料とイオンビームによるスパッタエッチング加工と
の関係を示す配置図
【図13】本発明の第4の実施の形態の透過電子顕微鏡
用試料を作成するための工程を説明する斜視図
【図14】従来の透過電子顕微鏡用試料を作成するため
の工程を説明する斜視図
【図15】従来の透過電子顕微鏡用試料を作成するため
の工程を説明する斜視図
【図16】従来の透過電子顕微鏡用試料を作成するため
の工程を説明する斜視図
【図17】従来の透過電子顕微鏡用試料を作成するため
の工程を説明する斜視図
【図18】従来の透過電子顕微鏡用試料を作成するため
の工程を説明する斜視図
【図19】従来の透過電子顕微鏡用試料とイオンビーム
によるスパッタエッチング加工との関係を示す配置図
【図20】従来の透過電子顕微鏡用試料と透過電子顕微
鏡の電子線との関係を示す配置図
【符号の説明】
1 Si基板 2 TEM観察対象となる材料 6 単孔グリッド 7 Arをイオン種としたイオンビーム 8 イオンビームとTEM試料の表面とで構成される角
度 11、19、28 TEM試料 12、20、29 ダイシングソー装置による切り込み
溝 13、22、31 切り込み溝の幅 14、23、32 切り込み溝の深さ 15、21、30 切り込み溝とTEM観察対象となる
材料とで構成される角度 16、24、33 切り込み残し厚さ 17、25、34 TEM試料の全体の厚さ 18、26、35 切り込み溝とTEM観察対象となる
材料が直交する点を含む中心軸 27 スパッタエッチング後のTEM観察対象となる材
料の厚さ

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板上に形成されている断面観
    察箇所に対し垂直の切り込み溝が設けられていることを
    特徴とする透過電子顕微鏡用試料。
  2. 【請求項2】 シリコン基板上に形成されている断面観
    察箇所に対しある特定の角度で切り込み溝が設けられて
    いることを特徴とする透過電子顕微鏡用試料。
  3. 【請求項3】 試料補強用治具を取り付けたことを特徴
    とする請求項1または請求項2記載の透過電子顕微鏡用
    試料。
  4. 【請求項4】 シリコン基板上に形成されている断面観
    察箇所に対し滑らかな厚さ勾配を有する切り込み溝が設
    けられていることを特徴とする透過電子顕微鏡用試料。
  5. 【請求項5】 試料補強用治具を取り付けたことを特徴
    とする請求項4の透過電子顕微鏡用試料。
  6. 【請求項6】 シリコン基板上に形成されている断面観
    察箇所に対し切り込み溝を設けることを特徴とする透過
    電子顕微鏡用試料の作成方法。
  7. 【請求項7】 試料補強用治具を取り付けたうえで、前
    記切り込み溝を設けることを特徴とする請求項6記載の
    透過電子顕微鏡用試料の作成方法。
  8. 【請求項8】 前記断面観察箇所と前記切り込み溝とが
    直交する点を中心として回転させながら、前記切り込み
    溝を設けた角度からのみイオンビームを照射することで
    前記断面観察箇所を薄片化することを特徴とする請求項
    6または請求項7記載の透過電子顕微鏡用試料の作成方
    法。
  9. 【請求項9】 イオンビームのイオン種がアルゴンであ
    ることを特徴とする請求項8記載の透過電子顕微鏡用試
    料の作成方法。
  10. 【請求項10】 シリコン基板上に形成されている断面
    観察箇所に対し滑らかな厚さ勾配を有する切り込み溝を
    設けることを特徴とする透過電子顕微鏡用試料の作成方
    法。
  11. 【請求項11】 試料補強用治具を取り付けたうえで、
    前記切り込み溝を設けることを特徴とする請求項10記
    載の透過電子顕微鏡用試料の作成方法。
  12. 【請求項12】 前記断面観察箇所と前記切り込み溝と
    が直交する点を中心として回転させながら、前記切り込
    み溝を設けた角度からのみイオンビームを照射すること
    で前記断面観察箇所を薄片化することを特徴とする請求
    項10または請求項11記載の透過電子顕微鏡用試料の
    作成方法。
  13. 【請求項13】 前記切り込み溝の最薄となる箇所をイ
    オンビーム照射により優先的に薄片化することを特徴と
    する請求項10から請求項12のいずれかに記載の透過
    電子顕微鏡用試料の作成方法。
  14. 【請求項14】 切削用ブレードの回転軸を前記断面観
    察箇所の法線上に合わせ、前記切削用ブレードを断面観
    察用試料に降下させることで前記切り込み溝を設けるこ
    とを特徴とする請求項10から請求項13のいずれかに
    記載の透過電子顕微鏡用試料の作成方法。
  15. 【請求項15】 イオンビームのイオン種がアルゴンで
    あることを特徴とする請求項12または請求項13記載
    の透過電子顕微鏡用試料の作成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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