JPH11132169A - 横置き型スクロールコンプレッサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑油経路の最上流側に供給されるオイル
を、なるべく温度の低い箇所から導くと共に、冷媒の脈
流等によるオイル液面の乱れによるオイル吸引量の不具
合を防止し、吸引するオイル量を安定して確保する。 【解決手段】 圧縮部側オイル溜は、固定スクロール部
材及びブロックによって駆動部側高圧空間及び駆動部側
オイル溜と直接的に遮断されていることから冷媒の脈流
等によるオイル液面の変動が抑制されており、また、駆
動部を構成するロータやステータの発熱から隔離された
状態であると共に、密閉ケースからの放熱により温度が
低い潤滑が収納される。この圧縮部を潤滑するオイル
を、前記圧縮部側オイル溜から直接オイル経路の最上流
側へ導くようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、空調装置の冷媒圧
縮に用いられるスクロールコンプレッサであって、特に
横長に配される横置き型スクロールコンプレッサに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】特開昭５９−２９７９１号公報第３図に
開示されるスクロール圧縮機は、オイル溜が密閉ケース
下方に設けられた横置き型のスクロールコンプレッサ
で、固定スクロール部材の中央を軸方向に貫通する吐出
孔が設けられ、該吐出孔の周囲に油分離エレメント２９
を設けたものである。

【０００３】また、特開平６−３４６８８４号公報に開
示される電動圧縮機は、オイル溜が密閉ケース下方に設
けられた横置き型のスクロールコンプレッサで、固定ス
クロール部材の中央を貫通する吐出孔が設けられ、該吐
出孔の周囲に網２１を設けたものである。

【０００４】さらに、特開平７−１８９９５２号公報図
２及び図４は、オイル溜が密閉ケース下方に設けられた
横置き型スクロールコンプレッサを開示する。このスク
ロールコンプレッサにおいて、吐出孔と連通する吐出空
間が引用符号を付されないカバーによって画成され、該
吐出空間と駆動装置が配された高圧空間とは固定鏡板外
周に設けられた吐出通路、軸受部品に設けられた吐出通
路を介して連通される。また、オイル溜に収容されたオ
イルは駆動軸の一端に取付られたポンプによって吸引さ
れて駆動軸内に形成された吸油経路を介して駆動軸に他
端側へ送られる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
５９−２９７９１号公報第３図に開示されるスクロール
圧縮機の分離エレメントは、所定の通気抵抗を有するた
めに、吐出孔から吐出される冷媒の脈流をある程度吸収
できるが、効率が悪くなるという問題点を有し、該分離
エレメントを取り外した場合には、吐出抵抗は低減する
ものの、吐出される冷媒の脈流によってオイル溜に収容
されたオイルの液面が乱され、オイルの液面が吸油配管
の開口端よりも低くなって吸油配管に高圧の冷媒が吸引
されてオイルの吸引を阻害するという不具合が生じる。

【０００６】また、特開平６−３４６８８４号公報に開
示される電動圧縮機の場合は、吐出孔から吐出される冷
媒の脈流は、吐出孔の前面に配置された金網によってあ
る程度吸収されると共に、例え冷媒の脈流によってオイ
ル溜のオイルの液面が乱されても、オイルを吸引するポ
ンプが駆動軸の先端に配置されることから、脈流による
オイルに液面の乱れの影響はあまり受けない。しかしな
がら、駆動軸の端部にポンプを設けたり、駆動軸を貫通
する孔を形成する必要があることから、部品点数の増
加、作業工数の増加等によってコストアップするという
不具合がある。

【０００７】さらに、特開平７−１８９９５２号公報図
２及び図４に開示されたスクロール圧縮機も同様に、吐
出孔側とオイル吸引側とが離してあるため、吐出孔から
吐出される冷媒の脈流によるオイル液面の乱れの影響は
オイルの吸引側には及ばないが、吸引側の構造が複雑と
なるという不具合を有する。また、この引例において
は、吐出孔近傍に吐出空間が画成されるが、この吐出空
間の下方はオイル溜と連通していると推定されることか
ら、吐出孔から吐出される冷媒の脈流によってこの近傍
のオイル液面は乱されることが推定される。よって、こ
の引例においては駆動軸の端部にポンプ及びオイル吸引
パイプを配する必要がある。

【０００８】さらにまた、オイル吸引パイプを、潤滑油
の戻しパイプや、ロータ若しくはステータの近傍に配し
た場合、ロータやステータの熱により温度が高くなった
潤滑油を吸引するという不具合も想定される。

【０００９】このため、この発明は、潤滑油経路の最上
流側に供給されるオイルを、なるべく温度の低い箇所か
ら導くと共に、冷媒の脈流等によるオイル液面の乱れに
よるオイル吸引量の不具合を防止し、吸引するオイル量
を安定して確保することのできる横置き型スクロールコ
ンプレッサを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】従って、この発明は、横
方向に中心軸を有する略円筒状の密閉ケースと、該密閉
ケース内に配された駆動部と、前記密閉ケース内に形成
され、密閉ケースに形成された吐出パイプと連通する駆
動部側高圧空間と、該駆動部側高圧空間の下方に位置す
る駆動部側オイル溜と、前記駆動部から延出する回転軸
と、前記回転軸の中心軸に偏心して前記回転軸の端部か
ら延出する偏心軸と、前記回転軸を回転自在に保持する
ブロックと、前記偏心軸に装着され該偏心軸と反対側に
形成される渦巻状の揺動スクロールを有する揺動スクロ
ール部材と、前記揺動スクロール部材を揺動自在に前記
ブロックとの間に保持する固定スクロール部材と、前記
揺動スクロール部材及び前記固定スクロール部材によっ
て画成される圧縮室と、該固定スクロール部材の略中央
を貫通して前記圧縮室の最終段と連通する吐出孔と、該
吐出孔の周縁を覆うカバーと、該カバーによって画成さ
れ、前記吐出孔と連通すると共に前記駆動部側高圧空間
と連通する吐出空間と、前記吐出空間を画成する前記カ
バーと前記密閉ケースの間に画成されると共に前記駆動
部側高圧空間と連通する圧縮部側高圧空間と、該圧縮部
側高圧空間の下方に位置すると共に前記駆動部側オイル
溜と連通する圧縮部側オイル溜とを具備する横置き型ス
クロールコンプレッサにおいて、前記ブロック、前記揺
動スクロール部材、及び前記固定スクロール部材によっ
て構成される圧縮部の各部に潤滑油を供給するオイル経
路の最上流側と、前記圧縮部側オイル溜とを連通するオ
イル通路を設けたことにある。

【００１１】よって、本発明に係る上記構成の横置き型
スクロールコンプレッサにおいて、圧縮部側オイル溜
は、固定スクロール部材及びブロックによって駆動部側
高圧空間及び駆動部側オイル溜と直接的に遮断されてい
ることから冷媒の脈流等によるオイル液面の変動が抑制
されており、また、駆動部を構成するロータやステータ
の発熱から隔離された状態であると共に、密閉ケースか
らの放熱により温度が低い潤滑が収納される。そして、
この圧縮部を潤滑するオイルを、前記圧縮部側オイル溜
から直接オイル経路の最上流側へ導くようにして、相対
的に温度の低い潤滑油を安定してオイル経路の上流側に
供給するので、上記課題を達成することができるもので
ある。

【００１２】また、上記発明において、前記オイル通路
は、前記固定スクロール部材及び前記ブロックに形成さ
れ、一端が前記圧縮部側オイル溜と連通する貫通孔と、
前記ブロックに固着された吸油ブロックに形成され、前
記貫通孔の他端と前記オイル経路の最上流側とを連通す
る連通孔とをによって構成されることにある。これによ
って、簡易な構造で上記発明の実施が可能となるともの
である。

【００１３】さらに、前記圧縮部側高圧空間は、前記固
定スクロール部材及び前記ブロックに貫通して形成さ
れ、所定の通気抵抗を有する均圧孔を介して、前記駆動
部側高圧空間と連通することが望ましい。均圧孔の絞り
作用により、圧縮部側高圧空間の圧力が前記駆動部側の
高圧圧力よりも下がるために、駆動部側オイル溜から圧
縮部側オイル溜にオイルが移動しやすいため、圧縮部側
オイル溜のオイル量を確保することができるものであ
る。

【００１４】さらにまた、前記オイル経路は、駆動軸を
回転自在に保持するブロック、前記駆動軸の端部、及び
該駆動軸の端部を軸方向に支持するシールベアリングに
よって画成されるオイル空間を最上流側とし、一方で該
オイル空間から、前記駆動軸の外周面であって前記ブロ
ックに装着された主軸受との当接面に形成されたスパイ
ラル溝を介してオイル溜（駆動部側オイル溜）に回帰す
る第１の潤滑油経路と、他方で前記オイル空間から、前
記偏心軸に形成されたオイル導引孔を介して、前記偏心
軸と前記揺動スクロール部材に形成の揺動軸受との間に
画成された軸受空間に至り、前記偏心軸と前記揺動軸受
の間を潤滑して前記揺動スクロール部材の揺動空間及び
揺動スクロール部材の自転を防止するオルダムリングを
潤滑して、圧縮室の吸入側に至り、冷媒と共に駆動部高
圧空間に流入してオイル分離され、オイル溜に回帰する
第２の潤滑油経路とによって構成されるものである。

【００１５】このように、潤滑油は、上記オイル経路を
通過してそれぞれ駆動部側オイル溜に回帰し、駆動部側
オイル溜に滞留したオイルを圧縮部側オイル溜に移動さ
せることができるので、圧縮部側オイル溜のオイルを安
定して状態に保つことができるものである。さらに、安
定した状態でオイルを導くことができるので、オイルの
供給を確実にできるものである。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面により説明する。

【００１７】図１に示す横置き型スクロールコンプレッ
サ１は、水平方向に延出する中心軸を有する密閉ケース
２と、該密閉ケース２内に配された駆動部３と、該駆動
部３によって駆動される圧縮部４とによって構成され
る。

【００１８】前記密閉ケース２は、側部に冷媒吸入パイ
プ５が装着された円筒状ケース６と、該円筒状ケース６
の両端を閉塞する一対の蓋部７Ａ、７Ｂによって構成さ
れるもので、該一方の蓋部７Ａには冷媒吐出パイプ８
と、前記駆動部３への電力を供給する電源端子９が設け
られるものである。

【００１９】前記駆動部３は、この実施の形態において
はブラシレスモータであり、前記円筒状ケース６の内周
面に固着され励磁コイル１０が巻回されて回転磁界を発
生させるステータ１１と、該ステータ１１と対峙する位
置に配され、交互に磁極が異なるように配された永久磁
石を有するロータ１２と、該ロータ１２が固着される回
転軸１３とによって構成される。この回転軸１３は水平
方向の延出して設けられ、前記蓋部７Ａ側の一端は、前
記円筒状ケース５に固着された保持プレート１４の中央
部分に配されたベアリングからなるサブ軸受１８によっ
て回転自在に保持されるものである。

【００２０】また、この保持プレート１４には、冷媒通
孔１４Ａが形成され、さらにこの冷媒通孔１４Ａの対峙
する部分には冷媒ガイド１４Ｂが形成される。これによ
って冷媒通孔１４Ａを軸方向に通過した冷媒は、冷媒ガ
イド１４Ｂに導かれて径方向外方に方向転換させられ、
円筒状ケース６の内面に衝突して冷媒とオイルのオイル
分離が行なわれるものである。さらに、保持プレート１
４の下部には、駆動部側オイル溜７３を連通する連通開
口部１４Ｃが形成されているものである。

【００２１】前記回転軸１３の他端側には、拡径されて
形成された拡径部１３Ａ、さらにその端部には該回転軸
１３の中心軸に偏心して突出する偏心軸３４が形成され
る。この回転軸１３の他端側に形成された前記拡径部１
３Ａは、前記円筒状ケースの内周面に固着されたブロッ
ク１５の貫通孔に装着されたメイン軸受１７に回動自在
に保持されると共に、その外周側面にスパイラル溝８５
が駆動軸１３の回転方向に傾斜して形成される。具体的
には、前記スパイラル溝８５は、回転軸１３の回転方向
先端となる一端が下記するオイル空間８５に開口し、回
転方向後端となる他端が下記する吐出オイル空間９１に
開口するものである。また、前記回転軸１３の前記ロー
タ１２と前記拡径部１３Ａの間には、下記する揺動スク
ロール部材２０との回転バランスをとるためのバランス
ウェート１９が設けられる。

【００２２】前記圧縮部４は、図２に拡大して示すよう
に、前記ブロック１５と、前記偏心軸３４に装着される
揺動スクロール部材２０と、該揺動スクロール部材２０
と噛合して圧縮室３０を画成する固定スクロール部材４
０とによって構成される。

【００２３】前記ブロック１５は、その中央を前記回転
軸１３の中心軸の軸方向（以下、軸方向）に貫通する貫
通孔１６を有し、該貫通孔１６にはメイン軸受１７が装
着されている。この貫通孔１６の揺動スクロール部材２
０側の端部には、シールベアリング５０を保持する段部
５１が形成され、さらにこの段部５１の揺動スクロール
部材２０側には、下記する揺動軸受２１が旋回する旋回
空間５２が形成される。また、前記ブロック１５の揺動
スクロール部材２０側端面には、旋回スクロール部材２
０を摺動自在に保持するスラスト軸受５３が形成され、
さらにこの端面には環状に形成されるオルダムリング収
納溝５４が形成され、さらにこのオルダムリング収納溝
５４の所定の位置から径方向に延出するブロック側オル
ダムリング噛合溝５５が形成されるものである。

【００２４】前記揺動スクロール部材２０には、前記ス
ラスト軸受５３と当接摺動する面に前記ブロック側オル
ダムリング噛合溝５５と垂直をなす位置に、揺動スクロ
ール側オルダムリング噛合溝２２が形成され、前記オル
ダムリング収納溝５４に収納されたオルダムリング５６
の爪部がブロック側オルダムリング噛合溝５５及び揺動
スクロール型オルダムリング噛合溝２２に噛合すること
によって、揺動スクロール部材２０の自転を防止するも
のである。

【００２５】前記揺動スクロール部材２０のブロック側
側面の中央部分には、前記偏心軸３４が装着される揺動
軸受２１が軸方向に突出して形成され、前記揺動軸受２
１に前記偏心軸３４が装着されることによって、前記揺
動軸受２１内に軸受空間２３が画成される。また、この
軸受空間２１は、下記するオイル空間８４と前記偏心軸
３４を貫通して形成されたオイル導引孔８６を介して連
通されるものである。さらに、前記揺動スクロール部材
２０の固定スクロール部材４０側の側面には、固定スク
ロール部材４０側に突出すると共に該側面に対して渦巻
き状に形成された揺動スクロール２４が形成される。

【００２６】前記固定スクロール部材４０は、前記揺動
スクロール部材２０を前記ブロック１５との間で旋回自
在に挟持するように前記ブロック１５に固定されるもの
で、前記揺動スクロール部材２０側に突出すると共に該
側面に対して渦巻き状に形成された固定スクロール４１
を有し、この固定スクロール４１は前記揺動スクロール
２４と噛合して前記圧縮室３０を画成するものである。
また、この圧縮室３０は前記揺動スクロール部材２０の
揺動運動に伴って外周方向から中心方向に漸次容積を減
少させて移動するもので、圧縮室３０の最外端が開口す
る吸入空間３１は前記冷媒吸入パイプ５と連通し、圧縮
室３０の最内端は固定スクロール部材４０の中央部分を
軸方向に貫通する吐出孔４２と連通するものである。

【００２７】さらに、前記吐出孔４２には逆止弁６０が
配され、さらに前記固定スクロール部材４０の蓋部７Ａ
側の側面には前記逆止弁６０を保持する逆止弁保持プレ
ート６１が装着される。また、この逆止弁保持プレート
６１は、下記する吐出空間６３とを連通するリーク孔６
４を開閉するリリーフ弁６５を保持固定するものであ
る。

【００２８】以上の構成により、回転軸１３の回転運動
によって自転が防止されて固定スクロール部材４０に対
して揺動運動する揺動スクロール部材２０によって圧縮
室３０はその外周部分から中心部分に向けて漸次容積を
減じると共に冷媒吸入パイプ５が連通する吸入空間３１
に対して容積を拡大し冷媒吸入パイプ５から冷媒を吸
引、圧縮、吐出するものである。

【００２９】また、前記ブロック１５の駆動部３側の側
面にはオイル循環戻し部９０が装着される。このオイル
循環戻し部９０は、前記スパイラル溝８２の吐出側端部
が連通する吐出オイル空間９１の周囲に囲設され、前記
吐出オイル空間９１と連通する環状のオイル溝９２を有
し、下方には該オイル溝９２と連通すると共に前記駆動
部側オイル溜７３に没入するオイル排出パイプ９３を有
するものである。また、前記吐出オイル空間９２の駆動
部３側は弾性部材９５を介してスリーブ９４でシールさ
れている。さらに、このオイル循環戻し部９０の駆動部
３側には遮蔽プレート９６が設けられ、この遮蔽プレー
ト９６は前記オイル循環戻し部９０と共に前記ブロック
１５に固定される。

【００３０】この遮蔽プレート９６は、前記駆動部側オ
イル溜７３内に前記円筒状ケース６の下側面近傍まで延
出して形成され、前記駆動部側オイル溜７３を圧縮部側
と駆動部側に仕切るもので、これによって、駆動部側の
オイルは、バランスウェート１９の回転や駆動部３のロ
ータ１２の回転による影響により攪拌されるような状態
となりオイル面が乱れるが、前記遮蔽プレート９６を設
けたことによってオイル面の乱れを抑制することがで
き、前記圧縮部側オイル溜７４へのオイルの移動がスム
ーズに行われるものである。

【００３１】さらに、前記吐出空間６３は、前記固定ス
クロール部材４０の蓋部７Ｂ側側面に固着されたカバー
６２によって画成されており、該カバー６２と蓋部７Ｂ
との間に画成された圧縮部側高圧空間７２の下方に位置
する圧縮部側オイル溜７４のオイルから直接的に遮断さ
れている。また、この吐出空間６３と駆動部側高圧空間
７１とは、前記固定スクロール部材４０及び前記ブロッ
ク１５を軸方向に貫通して形成された冷媒通路７０によ
って連通されるものである。

【００３２】さらにこの駆動部側高圧空間７１と、蓋部
７Ｂ及び前記カバー６２によって画成された圧縮部側高
圧空間７２とは、前記固定スクロール部材４０及びブロ
ック１５を貫通して形成された均圧孔（図示しない）に
よって連通される。また、固定スクロール部材４０及び
ブロック１５の下方には前記駆動部側オイル溜７３と圧
縮部側オイル溜７４とを連通する導通孔（図示しない）
が形成されるものである。尚、前記均圧孔は、所定の通
路抵抗を有するように所定の径で形成されるものであ
る。これによって、前記圧縮部側高圧空間７２の圧力
は、前記均圧孔の絞り作用により、前記駆動部側高圧空
間７１よりも低い圧力となることから、前記駆動部側オ
イル溜７３内に滞留するオイルを効率よく圧縮部側オイ
ル溜７４へ導くことができるものである。

【００３３】また、前記固定スクロール部材４０及びブ
ロック１５を貫通して、一端が圧縮部側オイル溜７４に
連通する貫通孔８０が形成され、さらに前記ブロック１
５に固着された吸油ブロック８１には前記貫通孔８０の
他端とオイル空間８４とを連通する連通孔８２とが形成
され、この貫通孔８０と連通孔８２によってオイル通路
１００が構成される。尚、前記オイル空間８４は、駆動
軸１３の拡径部１３Ａの端部、メイン軸受１７の端部、
ブロック１５、シールベアリング５０によって画成され
たもので、前記スパイラル溝８５の一端及び前記オイル
導引孔８６の一端が開口するものである。

【００３４】これによって、圧縮部側オイル溜７４に滞
留するオイルは、オイル面にかかる高圧と前記吸入空間
３１との差圧及び前記スパイラル溝８５のポンプ作用に
よって圧縮部オイル溜７４から前記オイル通路１００を
介してオイル空間８４へ吸引される。そして、このオイ
ル空間８１に至ったオイルは、一方ではスパイラル溝８
５のポンプ作用によってスパイラル溝８５に吸引され、
前記拡径部１３Ａとメイン軸受１７との間の摺動部分を
潤滑した後、前記オイル吐出空間９１に至り、オイル循
環戻し部９０のオイル溝９２からオイル排出パイプ９３
を経て駆動部側オイル溜７３に戻るものである。これが
第１のオイル経路である。

【００３５】また、オイル空間８４に至ったオイルは、
他方では該オイル空間８４と吸入空間３１の差圧によっ
て、オイル導引孔８６に吸引され、軸受空間２３から揺
動軸受２１と偏心軸３４との当接摺動部分を潤滑して旋
回空間５２に至り、スラスト軸受５３と揺動スクロール
部材２０との当接摺動部分を潤滑し、さらにオルダムリ
ング５６と、オルダムリング収納溝５４、ブロック側オ
ルダムリング噛合溝５５及び揺動スクロール側オルダム
リング噛合溝２２との当接摺動部分を潤滑する。そし
て、吸入空間３１から圧縮室３０内に吸引され、圧縮室
３０のシール及び揺動スクロール部材２０と固定スクロ
ール部材４０との当接摺動部分の潤滑を行ない、圧縮さ
れて冷媒と共に吐出孔４２から吐出され、吐出空間６３
から冷媒通路７０を介して駆動部側高圧空間７１に至
り、冷媒吐出パイプ８から吐出されるまで間にオイル分
離されて駆動部側オイル溜７３に戻るものである。これ
が、第２のオイル経路である。

【００３６】また、本実施の形態においては、前記吸油
ブロック８１をブロック１５と別体として成形し、前記
固定スクロール部材４０及びブロック１５に形成の貫通
孔８０と、前記オイル空間８４とを連通する連通孔８２
の形成を容易にするようにしたが、前記給油ブロック８
１をブロック１５と一体に成形してもよいものである。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、圧縮部の各部に潤滑油を供給するオイル経路の最上
流側に供給されるオイルを、圧縮部側オイル溜から供給
するようにしたことによって、安定したオイルの供給を
実現できるために、スクロールコンプレッサの信頼性を
向上させることができると共に、固定スクロール部材及
びブロックを貫通する貫通孔を設け、この貫通孔とオイ
ル経路とを連通する連通孔を有する給油ブロックを設け
るだけでよいことから、安価に形成することができるも
のである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明の実施の形態に係る横置き型スクロー
ルコンプレッサの断面図である。

【図２】本願発明の実施の形態に係る横置き型スクロー
ルコンプレッサの一部拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 横置き型スクロールコンプレッサ ２ 密閉ケース ３ 駆動部 ４ 圧縮部 １３ 駆動軸 １３Ａ 拡径部 １５ ブロック ２０ 揺動スクロール部材 ３０ 圧縮室 ３４ 偏心軸 ４０ 固定スクロール部材 ６３ 吐出空間 ７１ 駆動部側高圧空間 ７２ 圧縮部側高圧空間 ７３ 駆動部側オイル溜 ７４ 圧縮部側オイル溜 ８０ 貫通孔 ８１ 吸油ブロック ８２ 連通孔 ８４ オイル空間 １００ オイル通路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田邊 裕通 埼玉県大里郡江南町大字千代字東原39番地 株式会社ゼクセル江南工場内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 横方向に中心軸を有する略円筒状の密閉
   ケースと、該密閉ケース内に配された駆動部と、前記密
   閉ケース内に形成され、密閉ケースに形成された吐出パ
   イプと連通する駆動部側高圧空間と、該駆動部側高圧空
   間の下方に位置する駆動部側オイル溜と、前記駆動部か
   ら延出する回転軸と、前記回転軸の中心軸に偏心して前
   記回転軸の端部から延出する偏心軸と、前記回転軸を回
   転自在に保持するブロックと、前記偏心軸に装着され該
   偏心軸と反対側に形成される渦巻状の揺動スクロールを
   有する揺動スクロール部材と、前記揺動スクロール部材
   を揺動自在に前記ブロックとの間に保持する固定スクロ
   ール部材と、前記揺動スクロール部材及び前記固定スク
   ロール部材によって画成される圧縮室と、該固定スクロ
   ール部材の略中央を貫通して前記圧縮室の最終段と連通
   する吐出孔と、該吐出孔の周縁を覆うカバーと、該カバ
   ーによって画成され、前記吐出孔と連通すると共に前記
   駆動部側高圧空間と連通する吐出空間と、前記吐出空間
   を画成する前記カバーと前記密閉ケースの間に画成され
   ると共に前記駆動部側高圧空間と連通する圧縮部側高圧
   空間と、該圧縮部側高圧空間の下方に位置すると共に前
   記駆動部側オイル溜と連通する圧縮部側オイル溜とを具
   備する横置き型スクロールコンプレッサにおいて、 前記ブロック、前記揺動スクロール部材、及び前記固定
   スクロール部材によって構成される圧縮部の各部に潤滑
   油を供給するオイル経路の最上流側と、前記圧縮部側オ
   イル溜とを連通するオイル通路を設けたことを特徴とす
   る横置き型スクロールコンプレッサ。
2. 【請求項２】 前記オイル通路は、前記固定スクロール
   部材及び前記ブロックに形成され、一端が前記圧縮部側
   オイル溜と連通する貫通孔と、前記ブロックに固着され
   た給油ブロックに形成され、前記貫通孔の他端と前記オ
   イル経路の最上流側とを連通する連通孔とによって構成
   されることを特徴とする請求項１記載の横置き型スクロ
   ールコンプレッサ。