JPH11130432A - 酸化錫粉末の製造方法 - Google Patents
酸化錫粉末の製造方法Info
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- JPH11130432A JPH11130432A JP29145597A JP29145597A JPH11130432A JP H11130432 A JPH11130432 A JP H11130432A JP 29145597 A JP29145597 A JP 29145597A JP 29145597 A JP29145597 A JP 29145597A JP H11130432 A JPH11130432 A JP H11130432A
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Abstract
結体用酸化錫粉末の製造方法を提供する。 【解決手段】加熱した硝酸アンモニウム溶液に、金属錫
粉末を加え、該溶液に硝酸を添加して、メタ錫酸を沈降
させ、この沈降メタ錫酸を仮焼して得る酸化錫粉末の製
造方法、必要に応じて、上記酸化錫粉末で、粒度2〜2
0μmの範囲の粉末が、50重量%以上含有されている
酸化錫粉末の製造方法。
Description
−ゲット用酸化錫粉末の製造方法に関するものである。
しては、特開平6ー199523号「酸化スズ粉末の製
造方法」に、まず第1段階として、金属スズを硝酸で溶
解して生じた沈積物(水酸化錫)を、ろ過、洗浄、乾燥
する。次に第2段階として、得られた水酸化錫を仮焼
し、酸化スズ粉末を得、この粉末と酸化インジュウムを
混合し所定の形状に加圧成形後焼結したスパッタリング
タ−ゲットを用いて、スパッタリングによる薄膜の形成
に用いる技術と、錫を陽極として、硝酸アンモニウム水
溶液を電解液として錫の電解を行い、得られた水酸化錫
をか焼することにより酸化錫粉末を得、この粉末を用い
て、上記と同様にして薄膜の形成に用いる技術が記載さ
れている。
速スパッタリングの利用がなされ、このスパッタリング
中での安定した放電とこれに伴う良質のITO膜の生成
が必要とされ、そのためには、スパッタリングタ−ゲッ
ト用として使用される焼結体は、高密度が要求される。
そのため、焼結体形成に利用される原料粉末としての酸
化錫粉末は、焼結体の高密度化に必要な特性を有してい
なければならない。 しかし、上述せる従来技術により
得られた中和法による酸化錫粉末は、粒度が不揃で、粒
度分布が広がっているため、焼結体の密度向上が難し
い。また、近年良質のITO膜製造のための酸化インジ
ュウムの製造方法が開発され、これに伴い高特性を有す
る酸化錫粉末が要求されるようになり、本出願人は特願
平9ー58978で高特性を有する酸化錫について出願
し、一次粒子のBET比表面積2〜10m2/g、結晶
粒子径800Å以上であって二次粒子の粒子径3〜30
μm範囲の物が50重量%以上の物性を有する酸化錫と
その製造方法を開示しており、高特性を有する酸化錫の
製造が可能となった。しかしながら更に高品位の酸化錫
粉末を安価、且つ安定して得るための研究を行った結
果、酸化錫粉末物性の改良とその製造方法、及び原料と
なる金属錫の品位も問題となることが判明した。
上記問題点を解決すべく鋭意研究開発に努めた結果、加
熱した硝酸アンモニウム溶液に、金属錫粉末を加え、該
溶液に硝酸を添加して、pH2以下の強酸領域中でメタ
錫酸を沈降させ、この沈降メタ錫酸を仮焼する方法によ
り得られる酸化錫粉末は、粒度分布がシャ−プで、結晶
子の大きい前記酸化錫と同様に高特性を有する粉末とな
り、上記問題点を解決するとの知見を得たのである。
のであって、(1)加熱した硝酸アンモニウム溶液に、
金属錫粉末を加え、該溶液に硝酸を添加して、メタ錫酸
を沈降させ、この沈降メタ錫酸を仮焼して得る酸化錫粉
末の製造方法、(2)上記金属錫の平均粒度が3mm以
下であることを特徴とする(1)記載の酸化錫粉末の製
造方法、(3)上記酸化錫粉末の、ピーク粒径と平均粒
径の比が0.8〜2.0であることを特徴とする(1)
及び(2)に記載の酸化錫粉末の製造方法、に特徴を有
するものである。(4) 上記(1)記載のメタ錫酸の
生成沈降をpH2以下の強酸領域で行う上記(1)乃至
(3)に記載の酸化錫粉末の製造方法。
て、説明する。金属錫に硝酸を作用せしめると、直接酸
化して次式に示す反応により、 Sn+2HNO3=H2SnO3+NO+NO2 メタ錫酸(H2SnO3)が生成する。まず、金属錫粉末
を用意し、緩衝液として硝酸アンモニウム(NH4N
O3)(1〜4mol/l)溶液を用意する。緩衝液を
50℃以上に加熱後、金属錫粉末を加えて撹拌する。こ
の様にして準備した溶液に、所定量のHNO3を除々に
ゆっくりと添加する(4時間以上掛けて)。すると、上
記反応がゆっくりと進行し、除々に白色のメタ錫酸が生
成する。緩衝剤があるため、メタ錫酸は沈降性の良いも
のが出来る。次いで、メタ錫酸を500〜1100℃で
仮焼すると、粒度分布の揃った酸化錫(SnO2)粉末
が得られる。得られるSnO2粉末は、2次粒子が小さ
く、分布が従来よりシャ−プで、結晶子が大きい特徴を
有しており、このSnO2粉末を用いて、スパッタリン
グタ−ゲット用焼結体を構成すると、高密度焼結体が得
られ、高速スパッタリングにおいても、放電は安定して
おり、形成される膜も良質のものが得られる。
布が粉末の流動性の良否及び焼結体の密度の大小に影響
する作用をするので、比較的粒度分布範囲の狭い粒径が
揃った粉末が高性能のスパッタリング用焼結体用の粉と
しては優れており、従って、粒度分布において、各粒径
毎の分布量の最大量を示す粒径であるピーク粒径と各粒
径毎の分布量を総計し、その算術平均値である平均粒径
との比が0.8〜2.0の範囲内とすることが望まし
く、このい範囲外であると、粉末の流動性は悪く、得ら
れる焼結体の密度は、あまり大きくならない。
成に関与するが、その値が、1mol/l以下では、生
成するメタ錫酸の粒度が不揃いで粗大化し、一方その値
が、4mol/l以上では、経済的に不利なため、その
値は、1mol/l〜 4mol/lが望ましい。
く、生成したメタ錫酸が熟成せず沈降性の悪い粉末とな
り、その加熱温度が50℃以下では反応しないので、加
熱温度は50℃以上が望ましく、上限温度は特に限定さ
れないが70℃以上では使用すると容器等のスペックが
厳しくなり不経済となるので、温度の上限を70℃程度
とするのが望ましく、更に実用的には、60〜70℃が
望ましい。
する硝酸との接触面積が大きくなり、反応は早く進行
し、大きくなると反応の進行が遅くなり、生成物の粒度
等に影響を与えるため、平均粒度を3mmφ以下とする
が、粒度を小さくし過ぎると効果の割りに使用する金属
錫のコストが上昇し不経済となる。従って、下限値は硝
酸の添加速度と経済性を考慮して決めればよい。硝酸の
添加速度は、最終的に得られるSnO2粉末の粒度を決
める作用をするが、その値が速いと反応が速く、粉末粒
子が細かくなりすぎ、一方あまり長い時間を掛けること
は、不経済となるので、4〜10時間が望ましい。
100℃で仮焼することにより、粒度分布の揃った酸化
錫粉末が得られるが、より安定した良質の粉末を得るた
めには、850〜1050℃が望ましい。
液性は、pH2以下の強酸性領域とすることにより、S
n以外は液中に残留し、不純物が効率良く除去出来る。
従って、使用する金属錫の純度を低くすることが可能と
なる。例えば、4NのSnO 2を得るためには、従来は
4Nのメタル錫を使用しなければならなかったが、本発
明の方法を用いると3N程度のメタル錫を使用すること
ができる。また、pH2以上であると未反応のSnが残
留する可能性が大であり、好ましくはpH1.5以下の
範囲である。
明する。 (実施例1)まず、平均粒径3mmの錫メタルを25g
用意し、これをNH4NO3粉末:80g、H2O:50
0mlで調整したNH4NO3溶液に投入し、60℃に昇
温保持した状態で、これに濃HNO:62mlを攪拌し
ながら、分液ロ−トから10分毎に1.7mlずつ4時
間以上かけて添加した。その後も60℃に保持した状態
で、攪拌を続け、沈殿物が生成し、溶液の白濁状態が変
わらなくなるまで行った。この間の所要時間は4hrで
あった。この後溶液を室温まで自然冷却し、濾過(1.
0mvのPTEE使用)し、水濾過洗浄を3回(約10
0cc)行い、残渣物を、105℃で乾燥し、これを軽
く粉砕した後、2分割し、1つを900℃、4hr.焼
成し、本発明の酸化錫粉末1を得た。また他の1つを1
000℃、4hr.焼成し、本発明の酸化錫粉末2を得
た。尚、硝酸添加後の攪拌時の溶液のpHは0.5であ
った。
ル12gを、濃度1mol/lに調整したNH4NO3溶
液500mlに投入し、液温50℃に昇温維持した状態
で、濃HNO3:25 mlを分液ロートから10分毎
に0.5mlづつ添加した。その後も50℃に保持した
状態で攪拌を続け、沈殿物が生成し、溶液の白濁状態が
変わらなくなるまで行った。この間の所要時間は5hr
であった。この後溶液を室温まで自然冷却し、濾過
(1.0mvのPTEE使用)し、水濾過洗浄を3回
(約100cc)行い、残渣物を、105℃で乾燥し、
これを軽く粉砕した後、900℃、4hr.焼成し、本
発明の酸化錫粉末3を得た。なお、硝酸添加後の攪拌時
の溶液のpHは1.2であった。
℃以外は、実施例1と同一条件でメタ錫酸を生成させ同
じく同一条件で濾過乾燥させた後、温度900℃で4時
間焼成し本発明酸化錫粉末4を得た。
12g用意し、これをNH4NO3:80g、H2O:5
00mlで調整したNH4NO3溶液に投入し、30℃に
昇温保持した状態で、これに濃HNO3:25mlを攪
拌しながら、分液ロ−トから10分毎に0.8mlずつ
添加した。その後も30℃に保持した状態で、攪拌を続
けたが、10時間を経過しても未反応の錫メタルの残存
が確認された。
12g用意し、これをNH4NO3:80g、H2O:5
00mlで調整したNH4NO3溶液に投入し、60℃に
昇温保持した状態で、これに濃HNO3:25mlを攪
拌しながら、分液ロ−トから5分毎に0.8mlずつ添
加した。その後も60℃に保持した状態で、攪拌を続
け、沈殿物が生成し、溶液の白濁状態が変わらなくなる
まで行った。この間の所要時間は5hrであった。この
後溶液を室温まで自然冷却し、濾過(1.0mvのPT
EE使用)し、水濾過洗浄を3回(約100cc)行
い、残渣物を、105℃で乾燥した。これを軽く粉砕し
た後、温度900℃、4hr.焼成し、比較酸化錫粉末
2を得た。
12g用意し、これをNH4NO3:80g、H2O:5
00mlで調整したNH4NO3溶液に投入し、60℃に
昇温保持した状態で、これに濃HNO3:25mlを攪
拌しながら、分液ロ−トから10分毎に0.8mlずつ
添加した。その後も60℃に保持した状態で、攪拌を続
け、沈殿物が生成し、溶液の白濁状態が変わらなくなる
まで行った。この間の所要時間は6hrであった。この
後溶液を室温まで自然冷却し、濾過(1.0mvのPT
EE使用)し、水濾過洗浄を3回(約100cc)行
い、残渣物を、105℃で乾燥した。これを軽く粉砕し
た後、温度900℃、4hr.焼成し、比較粉末酸化錫
粉末3を得た。
g用意し、これにHNO3:25mlを加えて溶解し、
メタ錫を生成した。この溶解沈殿作用で生じた沈積物
(メタ錫酸)を、濾過させ、105℃で乾燥後、900
℃、4hr.焼成し、従来酸化錫粉末1を得た。
て、濃度2mol/lの硝酸アンモニウム水溶液を電解液と
して、電解槽の浴温を20℃、電流密度600A/m2で
錫の電解を行い、得られたメタ錫酸を105℃で乾燥
後、900℃、4hr.焼成し、従来酸化錫粉末2を得
た。
粉末1、2、3および4、従来酸化錫粉末1および2を
用いて、夫々レ−ザ−マイクロトラック法により、粒度
分布を測定した。結果は、図1〜図6に示す。
る粒径範囲が、比較的狭く、1山の分布となっている一
方、従来酸化錫粉末では、いずれも分布する粒径範囲
が、比較的広がっており2山の分布となっている。
びに従来酸化錫粉末1および2を用いて、夫々化学分析
により、不純物純度を調べたところ、次の表1の結果を
得た。
化錫粉末2及び3、並びに従来酸化錫粉末1及び2を用
いて、夫々ピーク粒径及び平均粒径並びに比表面積を測
定した。表2にその結果を示した。
粉末1、2、3および4は、比較酸化錫粉末2、3およ
び4並びに従来酸化錫粉末に較べ、粒度分布がシャ−プ
で、粒度のバラツキが小さく、2次粒子は比較的小さ
く、結晶子は大きく、純度が高いことが判る。
4、夫々10gを用い、比表面積2.5m2/g、2次
粒子の平均粒径が10.5μmの酸化インジウム粉末9
0gに夫々混合して、均一に攪拌したものを夫々型に入
れ、1.5t/cm2の加圧下で板状に成形し、更に1
600℃の温度下で2時間500kg/cm2の静水圧
を加えて、熱間プレス焼成を行って、夫々タ−ゲット材
1、2、3及び4を得た。このタ−ゲット材焼結体の密
度は、表2に示すように夫々理論密度の99.5〜9
8.8%であった。
錫粉末を用い、上記同様にして、比較及び従来タ−ゲッ
ト材を得た。このタ−ゲット材焼結体の密度は、同じく
表2に示すごとくとなった。
用いたタ−ゲット材、比較のタ−ゲット材および従来タ
ーゲット材を用いて、下記の高速スパッタリング条件下
でスパッタリング試験を行った。 高速スパッタリング条件 基板温度:200℃ 酸素分圧:3×10ー5Torr その結果、本発明のスパッタリングタ−ゲット1〜4を
用いた場合は、放電は安定しており、形成された膜も均
一で良質なものであった。(得られた膜の比抵抗は、
1.7×10ー4Ωと低かった)、しかし一方、比較及び
従来のスパッタリングタ−ゲットを用いた場合は、放電
が時々不安定で、得られた膜は膜質のムラが一部に見ら
れ良質の膜とは、認め難かった。得られた膜の比抵抗
は、4.5×10〜2.5×10Ω程度であった。
酸化錫粉末に較べ、粒度分布がシャ−プで、粒度のバラ
ツキが小さく、2次粒子は比較的小さく、結晶子大き
く、純度が高いので、この本発明の酸化錫粉末を適当な
酸化インジウム粉末と混合し、プレス成形した場合、プ
レス密度は高く、これを焼成した場合、得られるITO
焼結体は、高速スパッタリング用タ−ゲット材として利
用された場合、安定した放電が得られ、良質のITOス
パッタリング薄膜を得ることが出来、関連分野において
大いに貢献するものである。
Claims (4)
- 【請求項1】 加熱した硝酸アンモニウム溶液に、金属
錫を加え、該溶液に硝酸を添加して、メタ錫酸を沈降さ
せ、この沈降メタ錫酸を仮焼して得ることを特徴とする
酸化錫粉末の製造方法。 - 【請求項2】 上記金属錫の平均粒度が3mm以下であ
ることを特徴とする請求項1記載の酸化錫粉末の製造方
法。 - 【請求項3】 上記酸化錫粉末の、ピーク粒径と平均粒
径の比が0.8〜2.0であることを特徴とする請求項
1及び請求項2に記載の酸化錫粉末の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1記載のメタ錫酸の沈降を強酸性
領域で行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載
の酸化錫の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29145597A JP3173440B2 (ja) | 1997-10-24 | 1997-10-24 | 酸化錫粉末の製造方法 |
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JP29145597A JP3173440B2 (ja) | 1997-10-24 | 1997-10-24 | 酸化錫粉末の製造方法 |
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JPH11130432A true JPH11130432A (ja) | 1999-05-18 |
JP3173440B2 JP3173440B2 (ja) | 2001-06-04 |
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ID=17769098
Family Applications (1)
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JP29145597A Expired - Lifetime JP3173440B2 (ja) | 1997-10-24 | 1997-10-24 | 酸化錫粉末の製造方法 |
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- 1997-10-24 JP JP29145597A patent/JP3173440B2/ja not_active Expired - Lifetime
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