JPH11130413A - 難溶性縮合リン酸メラミン及びその製造方法 - Google Patents

難溶性縮合リン酸メラミン及びその製造方法

Info

Publication number
JPH11130413A
JPH11130413A JP30118597A JP30118597A JPH11130413A JP H11130413 A JPH11130413 A JP H11130413A JP 30118597 A JP30118597 A JP 30118597A JP 30118597 A JP30118597 A JP 30118597A JP H11130413 A JPH11130413 A JP H11130413A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
melamine
phosphate
water
melamine phosphate
solubility
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP30118597A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3867234B2 (ja
Inventor
Atsushi Kanayama
敦 金山
Kazue Ibayashi
香寿枝 井林
Sachiko Numa
幸子 沼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
PHOSPHORUS CHEM IND
RIN KAGAKU KOGYO KK
Original Assignee
PHOSPHORUS CHEM IND
RIN KAGAKU KOGYO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by PHOSPHORUS CHEM IND, RIN KAGAKU KOGYO KK filed Critical PHOSPHORUS CHEM IND
Priority to JP30118597A priority Critical patent/JP3867234B2/ja
Publication of JPH11130413A publication Critical patent/JPH11130413A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3867234B2 publication Critical patent/JP3867234B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fireproofing Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂類の難燃剤用途に有用な難溶性縮合
リン酸メラミンを提供することにある。 【解決手段】 (A)メラミンと第一リン酸アンモニウム
及び/又はリン酸メラミン,(B)第一リン酸アンモニウ
ムとリン酸メラミン,(C)リン酸メラミン,から選ばれ
た1種からなり、かつメラミン/リン酸のモル比が1.05
〜1.50である原料組成物を300〜350℃で焼成して得ら
れ、特定のX線回折パターンを有する縮合リン酸メラミ
ンであって、該縮合リン酸メラミンのリン含量が13.0〜
14.7重量%であり、かつ水に対する溶解度が室温の水10
0ミリリットル中に0.05g以下である難溶性縮合リン酸
メラミン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難溶性縮合リン酸
メラミンに関し、特に、合成樹脂類の難燃剤用途に有用
な難溶性縮合リン酸メラミンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、リン酸メラミン系化合物は、防炎
性塗料や合板の難燃化添加剤として、オルトリン酸メラ
ミンから発展し、用途拡大と共に水に難溶性のものへと
改善されてきた。
【0003】ここで、従来から知られているリン酸メラ
ミン系化合物の製造法およびその性質について、説明す
る。
【0004】(1) 特公昭42-12428号公報には、80℃以上
の温度で、メラミンに対しモル比で大過剰のリン酸を含
有する分散液よりオルトリン酸メラミンを析出させるこ
とが記載されている。この製造法によって得られたオル
トリン酸メラミンは、例えばリン酸含量44.1%であり、
溶解度が0.68g/水100g(30℃)である。
【0005】(2) 米国特許第4,080,501号明細書には、
オルトリン酸とメラミンとを、少なくとも“1.5:1”の
モル比で反応させて得られるリン酸メラミンについて記
載されており、「溶解度0.36g/100ml溶液(26℃)」
のものが例示されている。
【0006】(3) 特公昭40-28594号公報には、ピロリン
酸メラミンを得る方法として、オルトリン酸メラミンを
250〜270℃に加熱する方法が知られているが、この方法
では、メタリン酸が副生し、場合によっては一部熔融状
態を呈するので、この改良法として、リン酸含量27〜54
%のオルトリン酸メラミンを温度180〜250℃に加熱焼成
して、一部をピロリン酸メラミンに変化させる方法が開
示されている。代表的な例として、リン酸含量44%のオ
ルトリン酸メラミンから得られる焼成リン酸メラミンが
記載されており、その溶解度は「0.13g/水100g(30
℃)」であるとされている。
【0007】(4) 縮合リン酸メラミンの先行技術とし
て、特開昭61-126091号公報には、縮合リン酸と固相の
メラミンを、水性媒体の実質的不存在下で、自然発生温
度〜170℃の温度条件下で固相反応させて得る方法が記
載されている。
【0008】一方、リン酸メラミンの熱分析に関する研
究報告によれば、200〜265℃、あるいは、250〜300℃で
リン酸メラミンが脱水してピロリン酸メラミンになり、
次いで、300℃以上、 あるいは、300〜330℃でポリリン
酸メラミンになることが明らかにされている。(「Z.ano
rg.allg.Chem.」457,P20〜30(1979)及び「ACS Symp.Se
r.」(1990) 425 P.211〜238参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来例
(1)の特公昭42-12428号公報に記載のもの及び前記従来
例(2)の米国特許第4,080,501号明細書に記載のものは、
水媒体中でのメラミンとリン酸の反応によって得られる
オルトリン酸メラミンであり、水に対する溶解度が高い
ものである。
【0010】また、前記従来例(3)の特公昭40-28594号
公報に記載のものは、オルトリン酸メラミンを300℃未
満で焼成して一部ピロリン酸メラミンとするものである
が、なお水に対する溶解性は高く、難溶度を改善するに
は至っていない。
【0011】一方、前記従来例(4)の特開昭61-126091号
公報に記載の縮合リン酸メラミンは、難燃剤用途に有用
であることが該公報に記載されているが、縮合リン酸と
して“H3PO4含量:105%及び116%”のものが用いら
れ、吸湿性の強い反応系となっており、生成物のリン含
量が高く、水溶性も高い。そして、該公報に記載の実施
例によれば、水に対する溶解度の最も低いものでも「0.
71g/水100g(30℃)」で、そのリン含有率が16.3%で
ある。
【0012】また、前記リン酸メラミンの熱分解に関す
る研究報告では、温度と生成物質組成や生成物の水に対
する溶解性等の物性については明らかにされていない。
【0013】従来のリン酸メラミン系化合物を合成樹脂
難燃剤として使用する場合、吸湿によるマトリックス樹
脂との親和性の低下,ブリード発生,電気絶縁性などの
物性の低下が生じることがある。このため、従来のリン
酸メラミン系化合物を添加して得られた難燃性組成物の
用途が限定されているのが現状である。
【0014】また、近年、難燃樹脂組成物のノンハロゲ
ン化および低発煙化指向が高まる中で、チャー生成促進
効果を有するリン酸メラミン系難燃剤は、地球環境的に
も有意義な素材として、最近特に注目されている。こう
した中で、水に対する溶解度の小さい縮合リン酸メラミ
ンの開発が要望されている。
【0015】本発明は、上記要望に沿うものであって、
その目的とするところは、難溶性縮合リン酸メラミンを
提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
水に対する溶解度の小さい縮合リン酸メラミンを開発す
べく研究を行った結果、 ・メラミンおよびリン酸を含む組成物を加熱し、300〜3
50℃まで昇温し焼成脱水すると、二量縮合体であるピロ
リン酸メラミンを経て、更に脱水した縮合リン酸メラミ
ンが得られ、 ・生成物のリン含量が特定の範囲にある時に水に対する
溶解度は低くなり、その範囲外では急激に高くなるこ
と、 ・このリン含量は、出発原料のメラミン/リン酸のモル
比および焼成温度の調整によって達成できること、 ・そして、生成物である縮合リン酸メラミンは、特徴の
あるX線回折パターンを示すこと、という事実を見いだ
した。
【0017】本発明は、上記事実に基づき完成したもの
であって、「(A)メラミンと第一リン酸アンモニウム及
び/又はリン酸メラミン,(B)第一リン酸アンモニウム
とリン酸メラミン,(C)リン酸メラミン,からなる群か
ら選ばれた1種からなり、かつメラミン/リン酸のモル
比が1.05〜1.50である原料組成物を300〜350℃で焼成し
て得られ、下記に示すX線回折パターンを有する縮合リ
ン酸メラミンであって、該縮合リン酸メラミンのリン含
量が13.0〜14.7重量%であることを特徴とする難溶性縮
合リン酸メラミン。 (上記“強度”中の符号「W,M,S,VS」は、それ
ぞれ「弱い,中位,強い,非常に強い」を表す。)」
(請求項1)を要旨とする。
【0018】また、本発明に係る難溶性縮合リン酸メラ
ミンは、 ・水に対する溶解度が室温の水100ミリリットル中に0.0
5g以下であること、を特徴とする(請求項2)。
【0019】本発明に係る難溶性縮合リン酸メラミン
は、前記したX線回折パターンを有するものであるが、
一方、ピロリン酸メラミンのX線回折パターンは、次の
通りである。
【0020】本発明の縮合リン酸メラミンのX線回折パ
ターンは、上記ピロリン酸メラミンのX線回折パターン
と明らかに異なり、リン酸メラミンの高縮合化構造に特
徴的なものと考えられる。しかし、このX線パターンが
本発明の縮合リン酸メラミンの唯一の特徴点ではなく、
後記するとおり、縮合リン酸メラミンのリン含量を特定
の範囲に規定する点も特徴とする。
【0021】前記縮合リン酸メラミンのX線回折パター
ンは、比較的縮合度の高い生成物に共通の特徴であっ
て、生成物のリン含量や水に対する溶解度が本発明の範
囲外のものにも類似のX線回折パターンを示すものがあ
る。本発明では、前記したX線回折パターンを有し、か
つ出発原料のメラミン/リン酸のモル比,生成物(縮合
リン酸メラミン)のリン含量を特定の範囲にあることを
要旨とする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。本発明の縮合リン酸メラミンにおいて、その
出発原料としては、メラミン,第一リン酸アンモニウム
およびリン酸メラミンから選ばれる。例えば、メラミン
と第一リン酸アンモニウムの混合物,メラミンとリン酸
メラミンの混合物,リン酸メラミンと第一リン酸アンモ
ニウムの混合物,メラミンと第一リン酸アンモニウムと
リン酸メラミンの混合物,リン酸メラミン単独など、メ
ラミンとリン酸のモル比が1.05〜1.50の範囲にあるなら
ば、どのように組み合わせてもよい。
【0023】本発明において、出発原料として用いる
「リン酸メラミン」とは、オルトリン酸とメラミンの反
応で得られる塩類の総称であって、従来技術の製造方法
で得られるオルトリン酸メラミンを使用することができ
る。特に「C366・H3PO4」「6(C366)・5
(H3PO4)・4(H2O)」あるいは「4(C366・3(H3
PO4)・3(H2O)」は、メラミン分散水溶液にリン酸を
加えることにより容易に得られるので、本発明の出発原
料として好ましい。
【0024】また、本発明の縮合リン酸メラミンにおい
て、その生成過程で、反応中間体としてピロリン酸メラ
ミンを経由することがわかっており、したがって、ピロ
リン酸メラミンもまた本発明におけるリン酸メラミンの
1つであり、ピロリン酸メラミンを出発原料とするもの
も本発明の範囲に含む。
【0025】出発原料のメラミン/リン酸のモル比が1.
0付近で、縮合反応が最も速く進行するのが観察されて
おり、安定な生成物が得られることが推測できるが、加
熱焼成においては、脱水縮合のみならずメラミンの揮散
も生起するので、リン酸に対しメラミンを過剰に用いる
ことが必須要件である。
【0026】出発原料のメラミン/リン酸のモル比を1.
05未満にした場合、生成物のリン含量は14.7重量%を超
え、水に対する溶解度も0.05g/100mlを超える。こ
の場合、水に対する溶解度が高くなるのは、メラミンの
量が十分でなく、メラミンの揮散によって、メラミンと
結合しない遊離のリン酸やメタリン酸ガラスが部分的に
生成するためと考えられる。
【0027】モル比が1.50を超えると生成物のリン含量
は13.0重量%未満となり、水に対する溶解度も0.05g/
100mlを超える。これは、過剰のメラミンが脱水縮合
反応を阻害して生成物が低縮合物となるためと考えられ
る。本発明の縮合リン酸メラミンでは、生成物(縮合リ
ン酸メラミン)のリン含量が13.0〜14.7重量%の範囲
で、水に対する溶解度が0.05g/100ml以下となり、
樹脂用難燃剤として好ましいものが得られる。
【0028】原料組成物のモル比の上限は、反応条件に
より多少変わりうるものであり、必要以上にメラミンを
使用することは、経済的に得策でなく、特に、水に対す
る溶解度が0.05g/100ml以下の生成物を得るには、
原料モル比は「1.50」を超えないことが望ましい。
【0029】本発明の縮合リン酸メラミンを製造する際
には、焼成温度も重要な要件の1つである。すなわち、
焼成温度が300℃未満では、縮合反応は不完全であり、
生成物中に原料のリン酸メラミンが残留したり、縮合反
応もピロリン酸メラミンの生成に止まるため、生成物の
水に対する溶解度は増大する。また、焼成温度が350℃
を超えると、メラミンの揮散が増大しメラミンと結合し
ないリン酸残基が生成し、水に対する溶解度増大の原因
となる。
【0030】したがって、本発明の縮合リン酸メラミン
を製造する条件として、焼成温度は300〜350℃とするも
のである。予備実験によれば、電気炉内で所定の原料組
成物をるつぼで焼成したところ、焼成物(生成物)の重量
は、焼成時間1時間と焼成時間2時間とでは差違が小さ
かった。その理由は、縮合反応は、焼成時間1時間で完
結しているためと思われる。焼成時間が長すぎると、メ
ラミンの揮散も生起するので、生成物の水に対する溶解
度の増大につながり、好ましくない。
【0031】本発明の縮合リン酸メラミンは、固相反応
により生成し、そのため、反応時の原料の均一性が生成
物の水溶性に影響を与える。すなわち、反応組成物を均
一に保つことが重要である。反応には、攪拌・混合が可
能で、ガス排出口を有する密閉外熱式反応装置を用いる
と好都合であり、ニーダー,リボンミキサー等が利用で
きる。このような混合機は、縮合反応により生成した水
成分の離脱にも役立ち、縮合反応を促進する。また、こ
のような装置では、攪拌混合しながら反応させるため、
生成物は、塊状ではなく、粗粒体あるいは粉体として得
られる。これを粉砕して所望の粒度にすれば、難燃剤用
に適した形態となる。
【0032】本発明において、第一リン酸アンモニウム
を含まず、メラミン及びリン酸メラミン系化合物を出発
原料とした場合、生成物が褐色に着色する場合がある。
これは、メラミンの一部が酸素と反応して褐色固体を生
成するためと考えられる。この着色反応は、焼成の際に
窒素等の不活性ガスを導入して酸素を除去することによ
り防止できる。
【0033】第一リン酸アンモニウムを出発原料とする
場合は、着色が少ない。この理由は、反応中にアンモニ
アが発生し、メラミンと酸素の反応を阻止するためと考
えられる。しかし、第一リン酸アンモニウムの仕込量が
少ない場合も生成物に着色が見られるので、やはり窒素
を導入することが好ましい。窒素の導入量は、酸素を排
除又は進入抑制するのに充分な量であればよく、好まし
くは、反応装置内に存在する酸素濃度が5%以下となる
ように導入する。
【0034】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は、いかな
る意味においても本発明を制限するものではない。
【0035】以下の実施例,比較例で使用する出発原料
のうち、第一リン酸アンモニウム及びメラミンは、和光
純薬工業社製を用いた。また、出発原料のリン酸メラミ
ンは、次のようにして製造したリン酸メラミンA,B,
Cを用いた。
【0036】(リン酸メラミンAーリン酸メラミン製造
例A)水5リットルにメラミン126gを添加し、攪拌し
ながら沸騰するまで加熱した。これに85%リン酸115g
を添加し、攪拌を続けながら1時間沸騰させた後、反応
液を冷却すると結晶が析出した。上記析出物を濾過し、
得た固体を沸騰水5リットルに溶解し、再び冷却して析
出した結晶を濾過分離し、70℃で乾燥し、生成物180g
を得た。X線回折測定によれば、この結晶は「4(C36
6)・3(H3PO4)・3(H2O)」であった。
【0037】(リン酸メラミンBーリン酸メラミン製造
例B)水2リットルにメラミン126gを添加し、攪拌し
ながら沸騰するまで加熱した。これに85%リン酸115g
を添加し、攪拌を続けながら1時間80〜100℃に保った
後、反応液を冷却すると結晶が析出した。上記析出物を
濾過し、得た固体を沸騰水2リットルに分散させ、攪拌
しながら80℃で1時間保った後、再び冷却して析出した
結晶を濾過分離し、70℃で乾燥し、生成物190gを得
た。X線回折測定によれば、この結晶は「6(C366)
・5(H3PO4)・4(H2O)」であった。
【0038】(リン酸メラミンCーリン酸メラミン製造
例C)水0.8リットルにメラミン126gを添加し、攪拌し
ながら70℃まで加熱した。これに85%リン酸148gを添
加し、攪拌を続けながら1時間70℃に保った後、反応液
を放冷すると結晶が析出した。上記析出物を濾過し、得
た固体を70℃で乾燥し、生成物220gを得た。X線回折
測定によれば、この結晶は「C366・H3PO4」で
あった。
【0039】(実施例1)リン酸アンモニウム115gと
メラミン139gとをニーダー[株式会社パウレック製の
“FM−NW−l型(容量;1リットル)”]に入れ、窒
素を0.03リットル/分の速度で送入しつつ加熱した。30
0℃までの昇温に2時間を要し、300〜330℃で1時間保
持した。その後、加熱を中止し、ニーダーの回転と窒素
の送入を続けながら5時間放冷した。この間、ニーダー
からのオフガスを水に接触させ、アンモニアを捕集し
た。
【0040】放冷した後、ニーダーの上蓋を取り外し、
容器部を回転転倒させて生成物を取り出し、193gの生
成物を得た。焼成生成物を粉砕機[ホソカワミクロン社
製“バンタムミルAP−B”]で粉砕し、縮合リン酸メ
ラミンを得た。この縮合リン酸メラミンは、リン含量が
14.7重量%であり、水に対する溶解度が0.02g/100m
lであった。
【0041】本実施例1における上記した出発原料,出
発原料のメラミン/リン酸モル比,焼成条件,生成物の
収量,得られた縮合リン酸メラミン(生成物)のリン含量
および水に対する溶解度,を表1に示した。
【0042】(実施例2〜5,比較例1〜2)反応条件
をそれぞれ表1に示す条件に変え、その他は前記実施例
1と同様の操作をして、縮合リン酸メラミンを得た。出
発原料,出発原料のメラミン/リン酸モル比,焼成条
件,生成物の収量,得られた縮合リン酸メラミンのリン
含量および水に対する溶解度,を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】なお、生成物のリン含量の測定法および水
に対する溶解度の測定法は、以下の通りである。 (a) リン含量の測定法 試料を精秤し、濃硝酸と過塩素酸の混液で分解した後、
リンバナドモリブデン酸吸光光度法により測定した(日
本化学会編「実験化学講座15」、丸善、(1958)、P.371-3
72参照)。 (b) 水に対する溶解度の測定法 試料1.0gを100mlの純水中に分散させ、室温(25℃)で
1時間撹拌した後、孔径0.45μmのメンブランフィルタ
ーで濾過し、その濾液50ml以上を秤量瓶に受け、105
℃の恒温槽で蒸発させ、残渣固形物を精秤して100ml
当りに換算した。
【0045】前記表1から明らかなように、本発明で規
定する「出発原料のメラミン/リン酸のモル比“1.05〜
1.50”」に設定して得た実施例1〜5では、同じく本発
明で規定する「縮合リン酸メラミンのリン含量“13.0〜
14.7重量%”」の範囲内にあり、そして、水に対する溶
解度は、いずれも、0.05g/100ml以下であって、小
さい値を有するものである。
【0046】これに対して、本発明で規定する前記モル
比の範囲外に設定して得た比較例1,2では、同じく本
発明で規定する前記リン含量の範囲外の「15.0重量%,
12.5重量%」であり、そして、水に対する溶解度は、
「0.07g/100ml,0.10g/100ml」であって、大き
い値を有するものであった。
【0047】前記実施例1〜5,比較例1〜2のうち、
実施例1,4および比較例1で得られた縮合リン酸メラ
ミンについて、X線回折装置[株式会社リガク製“RINT
2200”(カウンタ:シンチレーションカウンタ)]で、C
u Kα1のX線(40kV,20mA)を用い測定した 。そのX
線回折データを表2に示す。(なお、表2に、本発明で
規定するX線回折パターンおよびピロリン酸メラミンの
X線回折パターンを付記した。)
【0048】
【表2】
【0049】表2から、実施例1,4で得られた縮合リ
ン酸メラミンのX線回折パターンは、比較例1のそれと
は格別差が認められないが、ピロリン酸メラミンのそれ
とは異なる。したがって、実施例1,4で得られた縮合
リン酸メラミンは、ピロリン酸メラミンではなく、より
縮合度の高いポリリン酸塩構造のものと考えられる。
【0050】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したように、特定の
X線回折パターンを有する縮合リン酸メラミンであっ
て、リン含量が13.0〜14.7重量%であることを特徴と
し、これにより、水に対する溶解度が小さく、合成樹脂
難燃剤に好適な縮合リン酸メラミンを提供するものであ
る。
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 難溶性縮合リン酸メラミン及びその
製造方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
水に対する溶解度の小さい縮合リン酸メラミンを開発す
べく研究を行った結果、 ・メラミンおよびリン酸を含む組成物を、固相で、加熱
し、300〜350℃まで昇温し焼成脱水すると、二量縮合体
であるピロリン酸メラミンを経て、更に脱水した縮合リ
ン酸メラミンが得られ、 ・生成物のリン含量が特定の範囲にある時に水に対する
溶解度は低くなり、その範囲外では急激に高くなるこ
と、 ・このリン含量は、出発原料のメラミン/リン酸のモル
比および焼成温度の調整によって達成できること、 ・そして、生成物である縮合リン酸メラミンは、特徴の
あるX線回折パターンを示すこと、という事実を見いだ
した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】本発明は、上記事実に基づき完成したもの
であって、「(A)メラミンと第一リン酸アンモニウム及
び/又はリン酸メラミン,(B)第一リン酸アンモニウム
とリン酸メラミン,(C)リン酸メラミン,からなる群か
ら選ばれた1種からなり、かつメラミン/リン酸のモル
比が1.05〜1.50である原料組成物を、固相反応により、
300〜350℃で焼成して得られ、下記に示すX線回折パタ
ーンを有し、リン含量が13.0〜14.7重量%であって、水
に対する溶解度が室温の水100ミリリットル中に0.05g
以下であることを特徴とする難溶性縮合リン酸メラミ
ン。 (上記“強度”中の符号「W,M,S,VS」は、それ
ぞれ「弱い,中位,強い,非常に強い」を表す。)」
(請求項1)を要旨とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】また、本発明に係る難溶性縮合リン酸メラ
ミンの製造方法は、「(A)メラミンと第一リン酸アン
モニウム及び/又はリン酸メラミン、(B)第一リン酸
アンモニウムとリン酸メラミン、(C)リン酸メラミ
ン、から選ばれた1種からなり、かつメラミン/リン酸
のモル比が1.05〜1.50である原料組成物を、固相で、30
0〜350℃で焼成することを特徴とする、下記 に示すX
線回折パターンを有し、リン含量が13.0〜14.7重量%で
ある縮合リン酸メラミンの製造方法。 (上記“強度”中の符号「W,M,S,VS」は、それ
ぞれ「弱い,中位,強い,非常に強い」を表す。)」(請
求項2) を要旨とし、加えて、 ・原料組成物をガス排出口を有する密閉外熱反応装置内
で攪拌・混合して反応させる(請求項3)、 ・反応装置内の酸素濃度が5%以下となるように窒素ガ
スを導入しながら、焼成する(請求項4)、 ・原料組成物が実質的に300〜350℃に達した後1〜2時
間焼成する(請求項5)、ことも製造方法の特徴に含まれ
る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したように、特定の
X線回折パターンを有する縮合リン酸メラミンであっ
て、リン含量が13.0〜14.7重量%であって、水に対する
溶解度が室温の水100ミリリットル中に0.05g以下であ
ることを特徴とし、これにより、合成樹脂難燃剤に好適
な縮合リン酸メラミンを提供するものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)メラミンと第一リン酸アンモニウム
    及び/又はリン酸メラミン,(B)第一リン酸アンモニウ
    ムとリン酸メラミン,(C)リン酸メラミン,から選ばれ
    た1種からなり、かつメラミン/リン酸のモル比が1.05
    〜1.50である原料組成物を300〜350℃で焼成して得ら
    れ、下記に示すX線回折パターンを有する縮合リン酸メ
    ラミンであって、該縮合リン酸メラミンのリン含量が1
    3.0〜14.7重量%であることを特徴とする難溶性縮合リ
    ン酸メラミン。 (上記“強度”中の符号「W,M,S,VS」は、それ
    ぞれ「弱い,中位,強い,非常に強い」を表す。)
  2. 【請求項2】 水に対する溶解度が室温の水100ミリリ
    ットル中に0.05g以下であることを特徴とする請求項1
    記載の難溶性縮合リン酸メラミン。
JP30118597A 1997-10-31 1997-10-31 難溶性縮合リン酸メラミン及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3867234B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30118597A JP3867234B2 (ja) 1997-10-31 1997-10-31 難溶性縮合リン酸メラミン及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30118597A JP3867234B2 (ja) 1997-10-31 1997-10-31 難溶性縮合リン酸メラミン及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11130413A true JPH11130413A (ja) 1999-05-18
JP3867234B2 JP3867234B2 (ja) 2007-01-10

Family

ID=17893803

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30118597A Expired - Fee Related JP3867234B2 (ja) 1997-10-31 1997-10-31 難溶性縮合リン酸メラミン及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3867234B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002520322A (ja) * 1998-07-08 2002-07-09 ディーエスエム エヌ.ブイ. 縮合度の高い、1,3,5−トリアジン化合物のポリリン酸塩、その製造方法及びポリマー組成物における難燃剤としての使用方法
WO2003031417A1 (en) * 2001-10-09 2003-04-17 Ciba Specialty Chemicals Holding Inc. Halogen-free flame retardant compounds
KR20060065057A (ko) * 2004-12-09 2006-06-14 주식회사 두본 시아누레이트를 같이 합성치환 시켜 제조한멜라민포스페이트계 난연제의 제조방법 및 그 응용
JP2008511590A (ja) * 2004-09-04 2008-04-17 ケミッシュ ファブリーク ブーデンハイム カーゲー 1、3、5−トリアジン化合物のポリリン酸塩誘導体、同品の製造方法及びその用途
US7507819B2 (en) 2005-08-30 2009-03-24 Chang Chun Plastics Co., Ltd. Method for preparing amino phosphate compounds
WO2011021498A1 (ja) * 2009-08-20 2011-02-24 堺化学工業株式会社 (ポリ)ピロリン酸ピペラジン粉粒体及びその製造方法
JP6279789B1 (ja) * 2017-03-31 2018-02-14 株式会社Adeka 難燃剤組成物及びそれを含有する難燃性合成樹脂組成物

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011174095A (ja) * 1998-07-08 2011-09-08 Ciba Holding Inc 縮合度の高い、1,3,5−トリアジン化合物のポリリン酸塩、その製造方法及びポリマー組成物における難燃剤としての使用方法
JP2002520322A (ja) * 1998-07-08 2002-07-09 ディーエスエム エヌ.ブイ. 縮合度の高い、1,3,5−トリアジン化合物のポリリン酸塩、その製造方法及びポリマー組成物における難燃剤としての使用方法
WO2003031417A1 (en) * 2001-10-09 2003-04-17 Ciba Specialty Chemicals Holding Inc. Halogen-free flame retardant compounds
US7132466B2 (en) * 2001-10-09 2006-11-07 Ciba Specialty Chemicals Corporation Halogen-free flame retardant compounds
AU2002350469B2 (en) * 2001-10-09 2009-01-15 Ciba Holding Inc. Halogen-free flame retardant compounds
JP2008511590A (ja) * 2004-09-04 2008-04-17 ケミッシュ ファブリーク ブーデンハイム カーゲー 1、3、5−トリアジン化合物のポリリン酸塩誘導体、同品の製造方法及びその用途
KR20060065057A (ko) * 2004-12-09 2006-06-14 주식회사 두본 시아누레이트를 같이 합성치환 시켜 제조한멜라민포스페이트계 난연제의 제조방법 및 그 응용
US7507819B2 (en) 2005-08-30 2009-03-24 Chang Chun Plastics Co., Ltd. Method for preparing amino phosphate compounds
WO2011021498A1 (ja) * 2009-08-20 2011-02-24 堺化学工業株式会社 (ポリ)ピロリン酸ピペラジン粉粒体及びその製造方法
JPWO2011021498A1 (ja) * 2009-08-20 2013-01-24 堺化学工業株式会社 (ポリ)ピロリン酸ピペラジン粉粒体及びその製造方法
JP6279789B1 (ja) * 2017-03-31 2018-02-14 株式会社Adeka 難燃剤組成物及びそれを含有する難燃性合成樹脂組成物
WO2018181676A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 株式会社Adeka 難燃剤組成物及びそれを含有する難燃性合成樹脂組成物
JP2018172590A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 株式会社Adeka 難燃剤組成物及びそれを含有する難燃性合成樹脂組成物
CN110337483A (zh) * 2017-03-31 2019-10-15 株式会社艾迪科 阻燃剂组合物及含有其的阻燃性合成树脂组合物
US11753527B2 (en) 2017-03-31 2023-09-12 Adeka Corporation Flame retardant composition and flame-retardant synthetic resin composition containing same

Also Published As

Publication number Publication date
JP3867234B2 (ja) 2007-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6770205B2 (ja) Fe(II)P/Fe(II)MetP化合物を製造する方法
AU712183B2 (en) Melamine polymetaphosphate and process for its production
JP3211215B2 (ja) 結晶質リン酸ジルコニウム化合物の製造方法
US4138261A (en) Hardeners for use in water-glass cement compositions and process for making them
JP3867234B2 (ja) 難溶性縮合リン酸メラミン及びその製造方法
CN114539621B (zh) 一种含磷铝盐复合体及其制备方法和应用
AU2006307648A1 (en) Process for the preparation of an electrolyte
JPS60239313A (ja) 結晶質リン酸ジルコニウムの製造方法
US4235862A (en) Production of low sulphur chromium (III) oxide
JP3384412B2 (ja) 結晶質リン酸ジルコニウムの製造方法
US4337173A (en) Solid-solution type crystalline oxides and their precursors
US3860693A (en) Production of cyclic phosphonitrilic chloride polymers
JPS61201612A (ja) カルシウム−リン系アパタイトの製法
HU176544B (en) Process for preparing ignited phosphate fertilizers containing alkali
JPH0476356B2 (ja)
JP4051723B2 (ja) ポリメタリン酸メラミン及びその製造法
JPH04927B2 (ja)
US3325244A (en) Potassium pyrophosphate solution
JP3878940B2 (ja) メタ燐酸リチウムの製造方法
JP3503750B2 (ja) トリポリリン酸二水素鉄またはその二水和物の製造方法
JP2001089115A (ja) Ii型ポリリン酸アンモニウムの製造方法と、その中間組成物及びその製造方法
JP2007063557A (ja) アミノホスフェート難燃剤の製法
JPH0379289B2 (ja)
JPS627616A (ja) 結晶性アルカリ金属アルミニウム燐酸塩の製造法
SU1212940A1 (ru) Гексагидрат хлорфосфата хрома и способ его получени

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041005

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060927

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101020

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101020

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111020

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111020

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121020

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121020

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131020

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees