JPH11129866A - シートベルト用車体加速度センサー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シートバック内に取り付けられるリトラクタ
ーに装備される車体加速度センサーであって、リトラク
ターの取り付け角の変更に容易に対応することができる
良好なシートベルト用車体加速度センサーを提供する。 【解決手段】 センサーケース３６は、慣性体支持面３
６ａの向きがシートバック６２の傾斜状態に拘わらず適
正に保たれるようにシートバック６２の傾斜角度に応じ
てセンサーケース３６をその回動軸線回りに連動させる
伝達手段３９に連結されると共に巻取軸４の回動軸線を
中心として回動可能なケース支持部材３７に対し、着脱
可能に取付けられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シートベルト用車
体加速度センサーに関し、特に車両等のリクライニング
式シートのシートバック内に取り付けられるシートベル
ト用リトラクターに使用され、緊急時にウェビングの伸
び出しを阻止するロック手段を作動させるシートベルト
用車体加速度センサーの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、車両の乗員等を座席に安全に保持
するためのシートベルト装置には、急な加速、衝突又は
減速に反応する慣性感知手段によってリトラクターを物
理的にロックする緊急ロック機構を備えて乗員を効果的
及び安全に拘束すると共にウェビングによる圧迫感を低
減する緊急ロック式リトラクターが用いられている。

【０００３】こうした緊急ロック式リトラクターに用い
られる慣性感知手段としては、車体の加速度を感知する
車体加速度センサーがある。車体加速度センサーは、例
えば慣性体が車体の衝突や傾斜で移動すると、該慣性体
の上部に設けられたセンサーアームを揺動し、ウェビン
グが巻装された巻取軸のウェビング引き出し方向の回転
をロックするロック手段を作動させる構成である。

【０００４】近年、上述の如きリトラクターを車両等の
リクライニング式シートのシートバック（シート背もた
れ）内に取付け、シートバックの傾斜が変更されても同
様に作動可能であるシートベルト用車体加速度センサー
が種々提案されている。例えば、独国特許第４０３２１
５７号明細書や、特開平１−２０２５５３号及び特開平
３−１４８３５０号公報等に開示された車体加速度セン
サーのように、回動自在にリトラクターベースに支持さ
れたセンサーケースに対して、該センサーケース上の慣
性体支持面の向きがシートバックの傾斜状態に拘わらず
適正に保たれるように前記シートバックの傾斜角度に応
じて前記センサーケースをその回動軸線回りに連動させ
るべく、該センサーケースとシート金具との間に可撓軸
やギヤ装置等の伝達手段を配置してそれぞれを相対回転
しないように結合したり、シートバックの傾斜角度に応
じてセンサーケースを回転駆動するサーボモータ等の回
転駆動手段を装備したものが種々提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、シートバッ
ク内に取り付けられるシートベルト用リトラクターは、
シートバック内のフレームに固定されるが、例えば、乗
員に対するウェビングのフィット感を向上させる為、あ
るいは、ウェビングのシートバックからの出入りをスム
ーズにする為などの理由から、前記フレームに対してリ
トラクターベースが適宜傾斜した状態で取り付けられる
ことが多い。

【０００６】そこで、前記リトラクターに装備する前記
車体加速度センサーの動作信頼性を維持するためには、
前述したフレームに対するリトラクターベースの取り付
け角の変更に合わせて、センサーケースの慣性体支持面
やセンサーアームの慣性体に対する当接位置等の修正が
必要であり、シートの種類等に応じてリトラクターベー
スの取り付け角が多様化すれば、その分、車体加速度セ
ンサーも多種のものを用意する必要がある。

【０００７】しかしながら、上述の如き従来の車体加速
度センサーは、シートバックの傾動に連動させるための
伝達手段や回転駆動手段にセンサーケースが連結される
構成であり、該センサーケースが一旦リトラクターに組
み付けられてしまうと簡単に交換できない。その上、フ
レームに対するリトラクターの取り付け角の変更に合わ
せて、車体加速度センサーを改造する場合、車体加速度
センサーを構成する多くの部品も変更が必要となり、コ
ストアップを招くという問題があった。

【０００８】従って、本発明の目的は上記課題を解消す
ることにあり、シートバック内に取り付けられるリトラ
クターに装備される車体加速度センサーであって、リト
ラクターの取り付け角の変更に容易に対応することがで
きる良好なシートベルト用車体加速度センサーを提供す
ることである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、車
両等のリクライニング式シートのシートバックに取付け
られたリトラクターベースと、該ベースに回動自在に支
持された巻取軸と、回動可能にリトラクターベースに支
持されたセンサーケースと、前記シートベルト用リトラ
クターの巻取軸のウェビング引出し方向への回転をロッ
クするロック手段を作動させる第１の位置と前記ロック
手段を作動させない第２の位置とにそれぞれ位置するべ
く前記センサーケース又はリトラクターベースに回動自
在に取付けられたセンサーアームと、所定以上の速度変
化を受けると前記センサーケースの慣性体支持面上を相
対移動し、前記センサーアームを前記第１の位置に移動
させる慣性体と、前記慣性体支持面の向きが前記シート
バックの傾斜状態に拘わらず適正に保たれるように前記
シートバックの傾斜角度に応じて前記センサーケースを
連動させる伝達手段とを備え、所定の車体加速度が作用
した時の前記慣性体の移動動作により前記ロック手段を
作動させるシートベルト用車体加速度センサーであっ
て、前記センサーケースが、前記伝達手段に連結される
と共に回動可能なケース支持部材に対し、着脱可能に取
付けられていることを特徴とするシートベルト用車体加
速度センサーにより達成される。

【００１０】上記構成によれば、シートバックの傾動に
連動してセンサーケースを回動させる伝達手段は、前記
ケース支持部材に連結されており、センサーケース自体
には関係しない。そこで、リトラクターの取り付け角の
変更に対しては、センサーアーム及び慣性体を取り付け
たセンサーケース・アッセンブリーや、センサーケース
のみを交換すればよく、センサーケースは、リトラクタ
ーに取り付けたケース支持部材に対して着脱可能である
ので、容易に付け替えることができる。又、多くの部品
を変更する必要がない。

【００１１】尚、好ましくは前記ケース支持部材が、前
記巻取軸の外周側に位置するリトラクターベースの非回
転部位に回動自在に軸支される。そして、前記非回転部
位としては、リトラクターベースに装着されて前記巻取
軸を回転自在に支持する軸受ブッシュの外周面や、前記
巻取軸の外周囲に位置するようにリトラクターベースに
突設された突起等が用いられる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の一実施形態に係るシートベルト用車体加速度センサー
を詳細に説明する。図１に示すように、本実施形態の車
体加速度センサー３２を備えたシートベルト用リトラク
ター１００は、車体に取り付けられたリクライニング式
シート６１のシートバック６２内に取り付けられてい
る。前記シートバック６２は、車体幅方向に延在する調
節軸（シートバックの調節軸線）７１を中心として枢動
し得るように、シート座部６３に接続されており、乗員
の体格などに応じて、傾斜状態が調整される。

【００１３】前記シートベルト用リトラクター１００
は、図２及び図３に示すように、ウェビング７０が巻装
される略円筒状のボビン２と、該ボビン２を挿通してリ
トラクターベース１に回転自在に支持される共に、爪車
であるラッチプレート４ａをー端側（図３中、右側）に
備えた巻取軸４と、車両緊急時に前記ラッチプレート４
ａのウェビング引出し方向の回転を阻止する緊急ロック
機構３００とを備えている。そして、該リトラクター１
００から前記シートバック６２に形成されたスロット６
４を貫通して延出したウェビング７０は、乗員をシート
に拘束する。

【００１４】前記シートバック６２のフレーム部材（図
示せず）に固定される前記リトラクターベース１は、そ
の大部分がコの字状断面を有するように金属板をプレス
成形したものであり、左右の側板ｌａ，１ｂの対向位置
には前記ボビン２と組み合わされた巻取軸４が回動自在
に橋架されている。前記リトラクターベース１の側板ｌ
ｂを挿通した巻取軸４の他端部には、該巻取軸４を介し
て前記ボビン２をウェビング７０巻取り方向に常時付勢
する公知の巻取りばね装置（図示せず）が装備されてい
る。

【００１５】本発明において、車両緊急時に前記巻取軸
４のウェビング引出し方向への回転を拘束する緊急ロッ
ク機構３００の具体的な構成は、公知の種々のものを採
用することができる。例えば、本実施形態の場合、ロッ
ク作動手段であるラチェットホイール１９が巻取軸４に
対して回転遅れを生じることにより、ラッチカップ１３
がロック手段であるポール１１をラッチプレート４ａに
係合させ、巻取軸４のウェビング引出し方向への回転を
阻止する。

【００１６】前記ラチェットホイール１９の下方には、
本発明に係る車体加速度センサー３２が装備されてい
る。本実施形態の車体加速度センサー３２は、図２及び
図３に示すように、センサーアーム３１、センサーケー
ス３６、慣性体３３、ケース支持部材３７、伝達手段３
９から構成されている。

【００１７】前記センサーケース３６は、前記慣性体３
３が載置される慣性体支持面３６ａと、前記センサーア
ーム３１を回動自在に支持するアーム支持部３６ｂとを
有した構造である。そして、前記センサーケース３６の
慣性体支持面３６ａは、中心部に向かって窪んだすり鉢
形である。また、前記ケース支持部材３７は、図４及び
図５に示すように、前記センサーケース３６が嵌め込み
により着脱可能に取り付けられるケース支持部４０と、
該ケース支持部４０の一側面から上方に延出してリトラ
クターベース１に回転自在に支持される軸支部４１と、
該軸支部４１から半径方向外方に向かって延設される舌
状の連結部４２とを有した構造である。又、後述の伝達
手段３９との連結部となる前記連結部４２には、長穴４
２ａが形成されており、シートバック６２の傾動時に
は、前記ケース支持部材３７が伝達手段３９によりシー
トバック６２の傾動に連動して回動操作される。

【００１８】前記ケース支持部４０は、図５に示すよう
に、センサーケース３６の側面を挟む側壁部４０ａと、
センサーケース３６の背面を押さえる後壁部４０ｂと、
センサーケース３６の底部を支える底壁部４０ｃと、該
底壁部４０ｃの前縁に突設された抜け止め部４０ｄとを
備えた構成であり、センサーケース３６を容易に着脱す
ることができると同時に、センサーケース３６を堅固に
保持可能とされている。

【００１９】前記ケース支持部材３７の軸支部４１は、
図３及び図４に示すように、貫通形成した取付孔４１ａ
（図５参照）が、リトラクターの巻取軸４の外周側に位
置するリトラクターベースの非回転部位である軸受ブッ
シュ３８を介して巻取軸４の回動軸線Ｓを中心として回
動自在に支持されている。即ち、前記ケース支持部材３
７は、前記軸支部４１に貫通形成した取付孔４１ａが前
記軸受ブッシュ３８に回動自在に支持された構成であ
り、巻取軸４に非接触なため、巻取軸４の回転によって
ケース支持部材３７の軸支部４１が摩耗することはな
く、摩耗によってセンサ感度や耐久性に影響が及ぶこと
を防止されている。

【００２０】前記センサーアーム３１は、基端側の軸部
３１ａが前記センサーケース３６に回転自在に支持され
ており、センサーケース３６をリトラクターに取り付け
た状態では、先端部３１ｂが前記ラチェットホイール１
９の歯１９ａに係合することによって前記巻取軸４のウ
ェビング引出し方向への回転をロックするロック手段を
作動させる第１の位置から、先端部３１ｂが前記歯１９
ａから離脱して前記ロック手段を作動させない第２の位
置まで前記軸部３１ａを回転中心として揺動変位可能で
ある。又、前記センサーアーム３１には、慣性体３３の
移動を検出するために慣性体３３の上部に接触する受け
皿形の接触部３１ｃが一体形成されている。なお、本発
明における「ロック手段」は、上記緊急ロック機構３０
０から車体加速度センサー３２を除いたものを意味す
る。

【００２１】そこで、前記センサーアーム３１の先端部
３１ｂがラチェットホイール１９の歯１９ａに係合する
と、前記ラチェットホイール１９が巻取軸４に対して回
転遅れを生じ、ラッチカップ１３を介してポール１１が
ラッチプレート４ａに係合して、巻取軸４のウェビング
引出し方向の回転が阻止される。前記慣性体３３は、球
形をなしており、前記慣性体支持面３６ａ上に載置され
て所定以上の速度変化を受けると前記慣性体支持面３６
ａ上を相対移動し、該慣性体３３に外接している前記セ
ンサーアーム３１を前記第１の位置に移動させる。

【００２２】前記伝達手段３９は、前記慣性体支持面３
６ａの向きが前記シートバック６２の傾斜状態に拘わら
ず適正（鉛直方向上方向き）に保たれるように、前記ケ
ース支持部材３７を介してセンサーケース３６を前記シ
ートバック６２の傾斜角度に応じてその回動軸線Ｓ回り
に回動させる。尚、伝達手段３９に連結された前記ケー
ス支持部材３７は、車両衝突時等に作用する慣性力で回
動軸線Ｓ回りに回動することはない。

【００２３】前記伝達手段３９は、図２及び図６に示す
ように、前記シート座部６３側に固定され、前記調節軸
７１を中心に周方向に延びるカム面を有するカム板５４
と、該カム板５４のカム面に従動して前記ケース支持部
材３７をセンサーケース３６の回動可能範囲のみ回動軸
線回りに連動させる伝達部材としての棒部材５１と、該
棒部材５１を摺動自在に収容したガイド筒５２とを備え
る。尚、本実施形態における棒部材５１に代えて、シー
トバック６２の内側面等の布設箇所に合わせて湾曲させ
ることが可能な適度の可撓性を有すると共に、カム板側
端部に連結された従動子が前記カム板のカム面に向かっ
て進退可能に配設され、他端部が前記センサーケースに
連結され、長手方向の力を受けた時にその力で座屈する
ことなくガイド筒内を摺動可能な適度の剛性を備えた可
撓性伝達部材であるワイヤを用いることもできる。

【００２４】前記棒部材５１が挿通するガイド筒５２の
リトラクター側端部は、図２に示すように、棒部材５１
のリトラクター側端部５１ｂがケース支持部材３７の連
結部４２周辺を通過するように、リトラクターベース１
の側板１ａに固定されている。また、ガイド筒５２のカ
ム板側端部は、図６に示すように、棒部材５１のカム板
側端部５１ａが前記カム板５４のカム面に向かって延出
するようにシートバック６２に固定装備された支持プレ
ート５６に位置決め固定されている。

【００２５】前記棒部材５１のリトラクター側端部５１
ｂは、前記連結部４２の長穴４２ａに係合するピン５５
を介して前記ケース支持部材３７に連結され、かつ、ガ
イド筒５２のリトラクター側端部に装着されたガイド部
材５７内に装備された図示略の圧縮コイルばねによっ
て、他端側に付勢されている。また、前記棒部材５１の
カム板側端部５１ａは、前記カム板５４のカム面に従動
する従動子として機能するもので、前記ガイド部材５７
内に装備された圧縮コイルばねの付勢力により、カム板
５４のカム面に当接した状態を維持するように付勢され
ている。

【００２６】シート座部６３に固定された前記カム板５
４は、外周面がシートバック６２の傾動時に前記棒部材
５１のカム板側端部５１ａを前記調節軸線７１に対して
進退操作するカム面となっている。前記カム板５４のカ
ム面は、前記シートバック６２の傾斜角度に応じて前記
ケース支持部材３７をその回動軸線Ｓ回りに連動させる
連動領域となる連動用カム面５４ａと、この連動用カム
面５４ａの前後に連なり、前記ケース支持部材３７をシ
ートバック６２の傾動に連動させない非連動領域となる
非連動用カム面５４ｂ，５４ｃとを備えた３つのカム面
から構成されている。

【００２７】そして、前記連動用カム面５４ａは、ウェ
ビングにより乗員を適正に拘束し得る前記リトラクター
１００の適正使用範囲内でのシートバック６２の傾動時
に、前記センサーケース３６の慣性体支持面３６ａの向
きが前記シートバック６２の傾斜状態に拘わらず適正に
保たれるように、前記棒部材５１のカム板側端部５１ａ
の進退動作を制御する。

【００２８】即ち、前記シートバック６２が、シートベ
ルトの使用範囲内で最大に前傾された状態（図１に示し
た状態）から最大に後傾された状態（図７に示した状
態）の範囲のときは、シートバック６２が前後傾操作さ
れると、それに応じてケース支持部材３７がその回動軸
線Ｓ回りに連動され、前記センサーケース３６の慣性体
支持面３６ａの向きは適正な状態に維持される。そこ
で、シートバック６２の傾斜状態を変えても、センサー
ケース３６は良好な姿勢が保たれ、かつ、車両緊急時の
衝撃等による慣性力で移動するのはセンサーケース３６
上の慣性体３３のみとなるため、センサー感度の鈍化等
が起こらず、車体の加速度を安定して確実に感知するこ
とができる。

【００２９】又、センサーケース３６の回動可能範囲を
越えて前記シートバック６２が傾動された場合には、前
記棒部材５１が前記カム板５４の非連動用カム面５４
ｂ，５４ｃに従動して前記ケース支持部材３７をシート
バック６２の傾動に連動させないキャンセル状態とする
ので、シートバック６２のリクライニング角度がセンサ
ーケース３６の回動可能範囲に限られてしまうという不
都合も生じない。

【００３０】更に、前記リトラクター１００は、シート
の種類等に応じて図３中ベース取付穴１ｃを基準にベー
ス上端が矢印Ｘ−Ｘで示すシート幅方向（巻取軸の回動
軸線方向）や、シート前後方向に適宜傾斜して取り付け
られる場合があるが、本実施形態の上記車体加速度セン
サー３２では、シートバック６２の傾動に連動してセン
サーケース３６を回動させる伝達手段３９は、前記ケー
ス支持部材３７に連結されており、センサーケース３６
自体には関係しない。そこで、前記リトラクター１００
のシート幅方向やシート前後方向の取り付け角の変更に
対しては、センサーケース・アッセンブリーであるセン
サーアーム３１及び慣性体３３を取り付けたセンサーケ
ース３６を適宜交換すれだけで良く、前記センサーケー
ス３６は、リトラクターに取り付けたケース支持部材３
７に対して着脱可能であるので、容易に付け替えること
ができる。

【００３１】又、前記リトラクター１００の取り付け角
の変更に合わせて車体加速度センサーを改造する場合に
は、多くの部品変更が必要なく、実質的には、例えば、
センサーケース３６と該センサーケース３６に取り付け
られるセンサーアーム３１のみでよく、改造を必要とす
る部品が少ないため、リトラクター１００のシート幅方
向の取り付け角の変更に安価に対応することができる。

【００３２】図８及び図９は、リトラクター１００のシ
ート幅方向の取り付け角の変更に応じて改造したセンサ
ーケースとセンサーアームとの組立状態を示したもので
ある。図８の（ａ），（ｂ）は、リトラクター１００の
シート幅方向の取り付け角度が図３で時計回り方向に傾
斜（本実施形態においては１８゜）する場合のもので、
センサーケース５０の慣性体支持面やセンサーアーム５
１に一体形成される接触部５１ｃの慣性体接触面の向き
が、リトラクターのシート幅方向の取り付け傾斜角度が
０°の図３の場合と比較して、時計回り方向に１８゜の
傾きを持つように構成されている。

【００３３】一方、図９の（ａ），（ｂ）は、リトラク
ター１００のシート幅方向の取り付け角度が図３で反時
計回り方向に傾斜（本実施形態においては１８゜）する
場合のもので、センサーケース６０の慣性体支持面やセ
ンサーアーム６１に一体形成される接触部６１ｃの慣性
体接触面の向きが、リトラクターのシート幅方向の取り
付け傾斜角度が０°の図３の場合と比較して、反時計回
り方向に１８゜の傾きを持つように構成されている。

【００３４】そして、これらセンサーケース５０，６０
を取付けらるケース支持部材３７や慣性体３３は、何も
改造する必要がなく、図３に示した慣性体３３やケース
支持部材３７をそのまま利用することができる。このよ
うに、上記リトラクター１００の取り付け角の変更に対
して、改造が必要になる部品が従来の加速度センサーに
比べて少なくて済むため、取り付け角の異なる多種の車
体加速度センサーを安価に揃えることができ、また、リ
トラクターベースへの付け替えも容易にできるため、リ
トラクターの取り付け角の変更に対する対応が、容易か
つ迅速になる。

【００３５】また、上記実施形態では、前記ケース支持
部材３７を回転自在に支持する巻取軸４の外周側に位置
するリトラクターベースの非回転部位として、リトラク
ターベース１に装着されて前記巻取軸４を回転自在に支
持する軸受ブッシュ３８の外周面を用いたが、図１０に
示すように、前記巻取軸４の外周囲に位置するようにリ
トラクターベース１に突設された突起４３を使用するこ
とも可能である。

【００３６】図１１は、本発明の他の実施形態となるシ
ートベルト用車体加速度センサー８０を備えたシートベ
ルト用リトラクター２００の概略側面図である。本実施
形態のシートベルト用リトラクター２００は、前記車体
加速度センサー８０以外の部分は上記シートベルト用リ
トラクター１００と略同様の構成を有するので、詳細な
説明を省略する。

【００３７】前記車体加速度センサー８０は、センサー
アーム８３、センサーケース８１、慣性体３３、ケース
支持部材８２及び伝達手段９０から構成されている。本
実施形態のセンサーアーム８３は、リトラクターベース
１の側板１ａに固定された図示しないハンガーによって
基端側の軸部８３ａが回転自在に支持され、該ハンガー
を介してリトラクターベース１の側板１ａに取り付けら
れる。

【００３８】前記センサーケース８１は、前記慣性体３
３が載置される慣性体支持面８１ａと、前記ケース支持
部材８２に着脱可能に取り付けられる為のクランプ係止
爪８１ｂとを有した構造である。前記ケース支持部材８
２は、前記センサーケース８１が嵌装される凹部の内底
部に、前記クランプ係止爪８１ｂを係着する係合孔８２
ａを有すると共に、前記ハンガーの枢支軸に回転自在に
嵌合する支持孔８２ｃが周壁上縁の対向する２位置に装
備された構造をなしており、その一揺動端側には、後述
する伝達手段９０との連結部となるピン８５ａが形成さ
れた連結部８５が連設されている。

【００３９】そして、車両等のリクライニング式シート
６１のシートバック６２の調節軸７１に対して平行に延
在する前記支持孔８２ｃは、前記慣性体支持面８１ａの
中心部に載置された慣性体３３の中心を通る。そこで、
前記慣性体３３が前記慣性体支持面８１ａの中心に位置
している時には、前記ケース支持部材８２がその回動軸
線回りに回動しても、前記センサーアーム８３は前記第
２の位置に保持される。

【００４０】前記伝達手段９０は、図示しないギヤ装置
やモータ等の伝動装置によってシートバック６２の傾動
に連動して回動される伝達部材としての可撓性シャフト
９１と、該可撓性シャフト９１を摺動自在に収容したガ
イド筒９２と、前記可撓性シャフト９１のリトラクター
側端部に形成されたネジ部９３に螺合するアジャスタ９
５と、該ネジ部９３の先端を回転自在に且つ軸線方向に
変位しないように支持する軸受部９６とを備える。前記
アジャスタ９５は、前記ケース支持部材８２のピン８５
ａが挿通される長孔９５ａを備えており、前記可撓性シ
ャフト９１が回転すると、ネジ部９３に沿って直線運動
するので、ケース支持部材８２をシートバック６２の傾
動に連動して回動させることができる。

【００４１】そこで、前記伝達手段９０は、前記慣性体
支持面８１ａの向きが前記シートバック６２の傾斜状態
に拘わらず適正（鉛直方向上方向き）に保たれるよう
に、前記ケース支持部材８２を介してセンサーケース８
１を前記シートバック６２の傾斜角度に応じてその回動
軸線回りに回動させる。尚、伝達手段９０に連結された
前記ケース支持部材８２は、車両衝突時等に作用する慣
性力でその回動軸線回りに回動することはない。

【００４２】即ち、本実施形態の車体加速度センサー８
０は、上記実施形態の車体加速度センサー１００と同様
に、シートバック６２の傾動に連動してセンサーケース
８１を回動させる伝達手段９０が、前記前記ケース支持
部材８２に連結されており、センサーケース８１自体に
は関係しない。そこで、前記リトラクター２００のシー
ト前後方向の取り付け角の変更に対しては、多くの部品
変更が必要なく、実質的には、センサーケース８１のみ
を適宜交換するだけで良く、前記センサーケース８１
は、リトラクターに取り付けたケース支持部材８２に対
して着脱可能であるので、容易に付け替えることができ
る。尚、本発明におけるロック手段、センサーアーム、
センサーケース及び慣性体の構成は、上記各実施形態の
構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づい
て適宜変更可能であることは言うまでもない。

【００４３】

【発明の効果】本発明のシートベルト用車体加速度セン
サーによれば、シートバックの傾動に連動してセンサー
ケースを回動させる伝達手段は、前記ケース支持部材に
連結されており、センサーケース自体には関係しない。
そこで、リトラクターの取り付け角の変更に対しては、
センサーアーム及び慣性体を取り付けたセンサーケース
・アッセンブリーや、センサーケースのみを適宜交換す
ればよく、センサーケースは、リトラクターに取り付け
たケース支持部材に対して着脱可能であるので、容易に
付け替えることができる。また、前記リトラクターの取
り付け角の変更に合わせて車体加速度センサーを改造す
る場合には、多くの部品変更が必要なく、実質的には、
例えば、センサーケースやセンサーアームのみでよく、
改造を必要とする部品が少ないため、リトラクターの取
り付け角の変更に安価に対応することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に基づく車体加速度センサ
ーを備えたシートベルト用リトラクターが取り付けられ
たリクライニング式シートの概略側面図である。

【図２】図１に示したシートベルト用リトラクターの側
面図である。

【図３】図１に示したシートベルト用リトラクターの部
分断面正面図である。

【図４】図１に示したセンサーケースをケース支持部材
に取り付けた状態を示すリトラクター要部側面図であ
る。

【図５】図４に示したセンサーケースをケース支持部材
から取り外した状態を示す分解図である。

【図６】図１に示した車体加速度センサーにおける伝達
手段の要部拡大図である。

【図７】シートバックが、シートベルトの使用範囲内で
最大に後傾された状態におけるリトラクター側面図であ
る。

【図８】（ａ）は本発明の他の実施形態となるセンサー
ケース及びセンサーアームの組立状態を示す正面図であ
り、（ｂ）はその側面図である。

【図９】（ａ）は本発明の他の実施形態となるセンサー
ケース及びセンサーアームの組立状態を示す正面図であ
り、（ｂ）はその側面図である。

【図１０】（ａ）は本発明の他の実施形態となる車体加
速度センサーのケース支持部材を装備したリトラクター
の部分側面図であり、（ｂ）はＢ−Ｂ線に沿う断面矢視
図である。

【図１１】本発明の他の実施形態となる車体加速度セン
サーを備えたリトラクターの概略側面図である。

【符号の説明】

１ リトラクターベース ２ ボビン ４ 巻取軸 １９ ラチェットホイール １１ ポール ３１ センサーアーム ３２ シートベルト用車体加速度センサー ３３ 慣性体 ３６ センサーケース ３６ａ 慣性体支持面 ３７ ケース支持部材 ３９ 伝達手段 ４０ ケース支持部 ４１ 軸支部 ４２ 連結部 ５１ 棒部材 ５２ ガイド筒 ５４ カム板 ６１ リクライニング式シート ６２ シートバック ６３ シート座部 ７０ ウェビング ７１ 調節軸 １００ シートベルト用リトラクター

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両等のリクライニング式シートのシー
   トバックに取付けられたリトラクターベースと、該ベー
   スに回動自在に支持された巻取軸と、回動可能にリトラ
   クターベースに支持されたセンサーケースと、前記シー
   トベルト用リトラクターの巻取軸のウェビング引出し方
   向への回転をロックするロック手段を作動させる第１の
   位置と前記ロック手段を作動させない第２の位置とにそ
   れぞれ位置するべく前記センサーケース又はリトラクタ
   ーベースに回動自在に取付けられたセンサーアームと、
   所定以上の速度変化を受けると前記センサーケースの慣
   性体支持面上を相対移動し、前記センサーアームを前記
   第１の位置に移動させる慣性体と、前記慣性体支持面の
   向きが前記シートバックの傾斜状態に拘わらず適正に保
   たれるように前記シートバックの傾斜角度に応じて前記
   センサーケースを連動させる伝達手段とを備え、所定の
   車体加速度が作用した時の前記慣性体の移動動作により
   前記ロック手段を作動させるシートベルト用車体加速度
   センサーであって、 前記センサーケースが、前記伝達手段に連結されると共
   に回動可能なケース支持部材に対し、着脱可能に取付け
   られていることを特徴とするシートベルト用車体加速度
   センサー。