JPH1112872A - 複合意匠糸及びその製造方法 - Google Patents

複合意匠糸及びその製造方法

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JPH1112872A
JPH1112872A JP18029697A JP18029697A JPH1112872A JP H1112872 A JPH1112872 A JP H1112872A JP 18029697 A JP18029697 A JP 18029697A JP 18029697 A JP18029697 A JP 18029697A JP H1112872 A JPH1112872 A JP H1112872A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 染色したときに同一糸中の長手方向に異色の
スラブを現出する、最外層が異色性のスラブ部を糸の長
手方向に混在して含む複合意匠糸を提供し、また、かか
る複合意匠糸を仮撚加工により得る。 【解決手段】 芯糸外周に鞘糸が一重に捲回された道中
部及び鞘糸が多重に捲回されたスラブ部とを有する複合
意匠糸であって、鞘糸が染色性を異にする2本の鞘糸か
らなり、各鞘糸がそれぞれ最外層を形成する少なくとも
2種の異色性のスラブ部を糸の長手方向にランダム及び
/又は規則的に含む複合意匠糸、及びこの複合意匠糸
を、芯糸の仮撚加工における加撚域に、染色性を異にす
る2本の鞘糸を、2個の供給ガイドのうち一方が他方の
供給ガイドによる鞘糸の捲き付き振幅域より上流の位置
から下流の位置までを往復移動する2個の供給ガイドを
それぞれ介しオーバーフィード状態で供給することによ
り得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、最外層が異染色性
のスラブ部を糸の長手方向に含む複合意匠糸及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、複合仮撚糸として、芯糸の加
撚域にオーバーフィード状態で供給された鞘糸が一重捲
回構造の道中部と鞘糸が多重捲回構造のスラブ部とを有
する糸は、特公昭45−28018号公報、特公昭47
−49459号公報等で公知であり、これら複合仮撚糸
は、紬調の織物等の素材として広く使用されているが、
さらに、道中部でのずり抜けを防止するため、押さえ糸
を捲回させることが特開平7−150433号公報で、
また、スラブ部の長さ、大きさ、頻度に変化を与えるた
め、鞘糸の供給位置を芯糸の走行方向と正逆に移動させ
ることが特開平7−157933号公報で知られてい
る。
【0003】しかしながら、従来の複合仮撚糸は、いず
れも最終捲き付けの鞘糸或いは押さえ糸が最外層となる
スラブ部を有するものであり、例えば、鞘糸として異染
色性の2本或いは鞘糸とは異染色性の押さえ糸を用いた
ときでも、得られる複合仮撚糸には、せいぜい濃淡効果
或いはミックス効果を奏するスラブ部が現出するにすぎ
ず、一本の糸中のスラブ部はいずれも最終捲き付けの鞘
糸或いは押さえ糸による同一の染色性を有するものであ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の複合
仮撚糸とは異なり、一本の糸中に染色性を異にする糸で
それぞれ最外層を形成したスラブ部を混在させ、意匠性
に富む糸をを提供すべくなされたものであり、本発明の
目的は、染色したときに同一糸中の長手方向に異色のス
ラブを現出する、最外層が異色性のスラブ部を糸の長手
方向に混在して含む複合意匠糸を提供することにある。
また、かかる複合意匠糸を仮撚加工により得ることにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、芯糸外周に鞘
糸が一重に捲回された道中部及び鞘糸が多重に捲回され
たスラブ部とを有する複合意匠糸であって、鞘糸が染色
性を異にする2本の鞘糸からなり、各鞘糸がそれぞれ最
外層を形成する少なくとも2種の異色性のスラブ部を糸
の長手方向にランダム及び/又は規則的に含むことを特
徴とする複合意匠糸、
【0006】及び、芯糸の仮撚加工における加撚域に、
染色性を異にする2本の鞘糸をそれぞれ独立に供給ガイ
ドを介してオーバーフィード状態で供給し、芯糸の外周
に鞘糸を捲回した複合意匠糸を製造するに際し、一方の
供給ガイドを、移動可能とすると共に、他方の供給ガイ
ドによる鞘糸の捲き付き振幅域より上流の位置から下流
の位置までを往復移動させることを特徴とする複合意匠
糸の製造方法、にある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の複合意匠糸においては、
芯糸への鞘糸の捲回により一重捲回構造の道中部と三重
以上の多重捲回構造のスラブ部とが形成され、しかも、
スラブ部は、染色性を異にする2本の鞘糸の一方の鞘糸
が最外層をなす多重捲回構造のスラブ部と他方の鞘糸が
最外層をなす多重捲回構造のスラブ部とから構成されて
いる。道中部は、鞘糸としては芯糸に一重に捲回されて
形成されているが、2本の鞘糸がそれぞれ捲回されて形
成された部分、一方の鞘糸が捲回された上にさらに他方
の鞘糸が捲回された部分を含んでいる。
【0008】本発明の複合意匠糸は、各鞘糸がそれぞれ
スラブ部の最外層を形成し、一方の鞘糸が最外層を形成
するスラブ部、他方の鞘糸が最外層を形成するスラブ部
を有し、或いは一方の鞘糸に他方の鞘糸がミックスして
最外層を形成するスラブ部の少なくとも2種の異色性の
スラブ部を糸の長手方向にランダム及び/又は規則的に
含んでいる。
【0009】本発明の複合意匠糸における芯糸として
は、仮撚加工が適用されるフィラメント糸であればよ
く、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、セルロ
ースアセテート繊維、レーヨン繊維等が挙げられ、フィ
ラメント糸は、モノフィラメント糸であってもよいが、
マルチフィラメント糸であることが好ましい。
【0010】また、2本の鞘糸としては、染色性の相違
に基づき選択して組み合わされる限りにおいては特に制
限はなく、例えば分散染料で染色されるポリエステル繊
維、易染性ポリエステル繊維、セルロースアセテート繊
維、分散染料、反応染料で染色されるポリアミド繊維、
カチオン染料で染色されるアクリル繊維、スルホン酸基
導入のカチオン可染性ポリエステル繊維、反応染料、直
接染料で染色されるレーヨン等のマルチフィラメント糸
が挙げられ、これらの染色性の異なる鞘糸の組み合わせ
とする。
【0011】また、2本の鞘糸は、染色性が異なれば、
それらの一方或いは両方が異繊度糸、異収縮糸、部分配
向糸、高応力高収縮糸、極細糸或いはこれらの複合糸等
であってもよい。また、2本の鞘糸は、同じ繊度の鞘糸
であってもよいが、一方の鞘糸は、異色の色彩による意
匠効果を高める上で全繊度の25%以下である繊度の鞘
糸であることが好ましい。
【0012】特に好ましい本発明の複合意匠糸の糸構成
は、芯糸がポリエステルフィラメント糸、鞘糸の一方が
セルロースアセテートフィラメント糸又はレーヨンフィ
ラメント糸、鞘糸の他方がカチオン可染性ポリエステル
フィラメント糸であり、各鞘糸がそれぞれスラブ部の最
外層が形成されることにより、最外層の鞘糸に基づきス
ラブ部に異色性のスラブ部、さらには異感触性のスラブ
部を含まれることにより、色彩上だけでなく風合い上か
らも意匠効果に富む複合意匠糸となし得る。
【0013】本発明の複合意匠糸は、道中部、スラブ部
での一方の鞘糸による他方の鞘糸の押さえ、撚りによ
り、充分に固定され、集束性が良好で、ずり抜けがない
複合意匠糸であり、良好な製織性、製編性を有し、製
織、製編して織編物とし、適宜染料により染色したとき
に、糸の構成、特に鞘糸の構成に基づいて染色された糸
のスラブ部の異色効果により、従来の複合仮撚糸による
織編物には見られぬ極めて優れた意匠効果を奏する。
【0014】本発明の複合意匠糸は、基本的には、芯糸
の仮撚加工における加撚域に、染色性を異にする2本の
鞘糸をそれぞれ独立に供給ガイドを介してオーバーフィ
ード状態で供給し、芯糸の外周に鞘糸を捲回した複合意
匠糸を製造するに際し、一方の供給ガイドを、移動可能
とすると共に、他方の供給ガイドによる鞘糸の捲き付き
振幅域より上流の位置から下流の位置までを往復移動さ
せることにより製造される。
【0015】より詳しくは、芯糸の仮撚加工における加
撚域に、2本の鞘糸をそれぞれ独立に供給ガイドを介し
て供給するにあたり、2個の供給ガイドのうちの一方の
供給ガイドを芯糸の走行路と平行に移動可能にし、他方
の供給ガイドによる鞘糸の捲き付き振幅域より上流の位
置から下流の位置までの間を往復移動させることによ
り、一方の供給ガイドが他方の供給ガイドより上流の位
置にある状態と、一方の供給ガイドが他方の供給ガイド
より下流の位置にある状態とを作り、2個の供給ガイド
の相対的な位置関係がランダム及び/又は規則的に反転
するように設置して、2本の鞘糸を、それぞれ供給ガイ
ドを介し、オーバーフィード状態で供給して芯糸の外周
に捲回させることにより本発明の複合意匠糸が製造され
る。
【0016】本発明の複合意匠糸の製造方法において
は、上流に位置する供給ガイドを介して供給され芯糸の
周囲に捲回された鞘糸の外周に、下流に位置する供給ガ
イドを介して供給された鞘糸が捲回されるが、2個の供
給ガイドの相対的な位置関係をランダム及び/又は規則
的に反転させることにより、特に鞘糸の多重捲回のスラ
ブ部において、スラブ部の最外周となる鞘糸がランダム
及び/又は規則的に反転し、一方の鞘糸が最外周となる
スラブ部と他方の鞘糸が最外周となるスラブ部とが形成
する。
【0017】2個の供給ガイドは、一方の移動可能な供
給ガイドの移動を阻害しないよう他方の供給ガイドと芯
糸の走行路に対する位置角度をずらして設置し、好まし
くはそれぞれ芯糸の走行路に対し80〜200mmの距
離に設置する。また、2個の供給ガイドは、一方の供給
ガイドを移動可能とし、他方の供給ガイドを固定して設
置することが好ましいが、2個の供給ガイドの相対的な
位置関係が反転可能であれば、両方の供給ガイドをそれ
ぞれ移動可能に設置してもよい。
【0018】移動可能な供給ガイドは、芯糸の加撚域で
あって、他方の供給ガイドによる鞘糸の捲き付き振幅域
より上流の位置から下流の位置までの間を往復移動させ
る。移動可能な供給ガイドの移動速度、往復移動頻度
は、任意に設定されるが、供給ガイドを芯糸の走行方向
と同方向の下流へ移動させるときは、その移動速度を芯
糸の糸速(m/分)の0.3〜0.6倍の速度、供給ガ
イドを芯糸の走行方向とは逆方向の上流へ移動させると
きは、その移動速度を芯糸の糸速(m/分)の0.2〜
0.5倍の速度とすることが好ましい。
【0019】2本の鞘糸は、それぞれオーバーフィード
状態で芯糸の加撚域に供給する必要がある。各鞘糸のオ
ーバーフィード率は、2個の供給ガイドの位置関係によ
りそれぞれ変動可能とし、上流に位置する側の供給ガイ
ドを介して供給するときの鞘糸のオーバーフィード率
は、20〜100%、下流に位置する側の供給ガイドを
介して供給するときの鞘糸のオーバーフィード率は、7
0〜140%とすることが好ましい。
【0020】上流に位置する側の供給ガイドからの鞘糸
のオーバーフィード率と下流に位置する側の供給ガイド
からの鞘糸のオーバーフィード率は、上流に位置する側
の供給ガイドからの鞘糸のオーバーフィード率が下流に
位置する側の供給ガイドからの鞘糸のオーバーフィード
率より大であってもよいが、スラブ部の最外層のより完
全な被覆を得る上から、上流に位置する側の供給ガイド
からの鞘糸のオーバーフィード率より下流に位置する側
の供給ガイドからの鞘糸のオーバーフィード率を大とす
ることが好ましく、その差が40%以上あることが望ま
しい。
【0021】すなわち、例えば、2本の鞘糸のうちの一
方の鞘糸が移動可能な供給ガイドを介して供給されると
き、移動可能な供給ガイドが他方の供給ガイドより上流
にあるときの位置を検出し、そのオーバーフィード率を
小さくすると共に、移動可能な供給ガイドより相対的に
下流となった他方の供給ガイドを介しての他方の鞘糸の
オーバーフィード率を大きくし、また、移動可能な供給
ガイドが他方の供給ガイドより下流にあるときの位置を
検出し、そのオーバーフィード率を大きくすると共に、
移動可能な供給ガイドより相対的に上流となった他方の
供給ガイドを介しての他方の鞘糸のオーバーフィード率
を小さくする。
【0022】2本の鞘糸は、鞘糸供給ローラによってオ
ーバーフィード状態に供給され、それぞれのオーバーフ
ィード率は、2個の供給ガイドの相対的な位置関係をセ
ンサ−等により検出して予め設定された数値にランダム
及び/又は規則的に変わる鞘糸供給ローラの回転数によ
り制御される。また、芯糸は、マグネットテンサ、定速
ニップローラ等により一定に供給される。
【0023】本発明の複合意匠糸の製造方法における仮
撚加工には、熱可塑性フィラメント糸の仮撚加工に用い
られると同様の1ヒータ或いは2ヒータの仮撚加工機に
鞘糸の2個の供給ガイドを設け、一方の供給ガイドを他
方の供給ガイドによる鞘糸の捲き付き振幅域より上流の
位置から下流の位置までを往復移動可能に設けた装置が
用いられる。仮撚加工における仮撚具には特に制限はな
いが、スピンドル方式のものが好ましく用いられ、ま
た、仮撚数は、32500/D1/2×0.8〜3250
0/D1/2×1.0(D:全繊度)とすることが好まし
い。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0025】(実施例1〜4)2ヒータ方式の、仮撚具
としてスピンドルを用いた仮撚加工装置を用い、装置に
は2個の鞘糸供給ガイドを、一方の供給ガイドは、芯糸
加撚域の走行路に対し140mmの距離に固定して設置
し、他方の供給ガイドは、位置をずらして芯糸加撚域の
走行路に対し140mmの距離に芯糸加撚域の走行路と
平行に固定した供給ガイドの上方200mm、下方15
0mmの間の350mmの距離を移動可能なように設置
した。
【0026】前記装置にて、表1に示す芯糸、鞘糸A、
鞘糸Bを用いて、仮撚方向Z、第1ヒータ温度160
℃、第2ヒーター温度180℃とし、芯糸をマグネット
テンサにて供給し、鞘糸Aを移動可能な供給ガイドを介
し、鞘糸Bを固定した供給ガイドを介して芯糸の加撚域
にそれぞれ供給ローラにて供給した。鞘糸A供給ガイド
が移動して鞘糸B供給ガイドの上流に位置するときの鞘
糸Aのオーバーフィード率、鞘糸A供給ガイドが移動し
て鞘糸B供給ガイドの下流に位置するときの鞘糸Aのオ
ーバーフィード率、鞘糸A供給ガイドが移動して相対的
に鞘糸B供給ガイドが下流に位置するときの鞘糸Bのオ
ーバーフィード率、鞘糸A供給ガイドが移動して相対的
に鞘糸B供給ガイドが上流に位置するときの鞘糸Bのオ
ーバーフィード率、仮撚数、糸速、温度を、表2に示す
条件に設定してそれぞれ複合仮撚加工を行った。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】得られた複合意匠糸は、いずれも長さが
0.8〜5cmのスラブ部が糸の長手方向に1m当たり
6〜12個の頻度で出現し、スラブ部とスラブ部との間
には長さが1〜20cmのストレートな道中部を有する
ものであった。
【0030】得られた複合意匠糸を引き揃え、赤色のカ
チオン染料で捺染により染色したところ、染色糸は、糸
の長手方向に長さ70〜90cmに亘る赤色のスラブ群
と長さ85〜125cmに亘る無着色のスラブ群とがほ
ぼランダムに混在し、赤色のスラブ群のスラブ部間に長
さ1〜20cmの赤色の道中部、無色のスラブ群のスラ
ブ部間に長さ1〜10cmの無色の道中部とを有するも
のであった。また、得られた複合意匠糸を、青色のカチ
オン染料と黄色の分散染料で浸染により染色したとこ
ろ、染色糸は、糸の長手方向に青緑色のスラブ部と黄色
のスラブ部とがほぼランダムに混在し、青緑色の道中部
と黄色の道中部を有するものであった。
【0031】(実施例5〜8)実施例1にて用いたと同
じ装置にて、表3に示す芯糸、鞘糸A、鞘糸Bを用い
て、仮撚方向Z、第1ヒータ温度160℃、第2ヒータ
ー温度180℃とし、芯糸をマグネットテンサにて供給
し、鞘糸Aを移動可能な供給ガイドを介し、鞘糸Bを固
定した供給ガイドを介して芯糸の加撚域にそれぞれ供給
ローラにて供給した。鞘糸A供給ガイドが移動して鞘糸
B供給ガイドの上流に位置するときの鞘糸Aのオーバー
フィード率、鞘糸A供給ガイドが移動して鞘糸B供給ガ
イドの下流に位置するときの鞘糸Aのオーバーフィード
率、鞘糸A供給ガイドが移動して相対的に鞘糸B供給ガ
イドが下流に位置するときの鞘糸Bのオーバーフィード
率、鞘糸A供給ガイドが移動して相対的に鞘糸B供給ガ
イドが上流に位置するときの鞘糸Bのオーバーフィード
率、仮撚数、糸速、温度を、表4に示す条件に設定して
それぞれ複合仮撚加工を行った。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】得られた複合意匠糸は、いずれも長さが
0.8〜10cmのスラブ部が糸の長手方向に1m当た
り4〜18個の頻度で出現し、スラブ部とスラブ部との
間には長さ1〜20cmのストレートな道中部を有する
ものであり、鞘糸Aガイドが上流部に位置するときの鞘
糸Aのオーバーフィード率と下流部に位置するときの鞘
糸Aのオーバーフィード率との差が大きい程道中部とス
ラブ部の形態が明瞭となり、またオーバーフィード率の
差が小さいとスラブの上にスラブが重なった太いスラブ
部が形成されていた。
【0035】実施例5で得られた複合意匠糸を引き揃
え、赤色の反応染料で捺染により染色したところ、染色
糸は、糸の長手方向に赤色のスラブ部と無着色のスラブ
部とがランダムに混在し、道中部にも赤色の道中部と無
色の道中部を有するものであり、実施例6〜8得られた
複合意匠糸を引き揃え、赤色のカチオン染料で捺染によ
り染色したところ、糸の長手方向に赤色のスラブ部と無
着色のスラブ部とがランダムに混在し、赤色の道中部と
無色の道中部を有するものであった。また、実施例5で
得られた複合意匠糸を、赤色の反応染料と青色のカチオ
ン染料で浸染により染色したところ、染色糸は、糸の長
手方向に赤色のスラブ部と青色のスラブ部とがほぼラン
ダムに混在し、赤色の道中部と青色の道中部を有するも
のであった。
【0036】
【発明の効果】本発明の複合意匠糸は、従来の複合仮撚
糸とは異なり、一本の糸中に染色性を異にする鞘糸でそ
れぞれ最外層が形成されたスラブ部が混在し、染色した
ときに、スラブ部が最外層の鞘糸に対応する異なる色相
に染色され得るものであり、同一糸中の長手方向に異色
のスラブを現出し、極めて意匠性に富む複合意匠糸とな
る。また、本発明の方法により、かかる複合意匠糸が仮
撚加工により容易に得ることができる。本発明の複合意
匠糸は、特に衣料分野における織編物の素材として好適
に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 重信 新潟県見附市柳橋町1103−1 株式会社近 藤商店内 (72)発明者 荒木 正明 新潟県見附市柳橋町1103−1 株式会社近 藤商店内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯糸外周に鞘糸が一重に捲回された道中
    部及び鞘糸が多重に捲回されたスラブ部とを有する複合
    意匠糸であって、鞘糸が染色性を異にする2本の鞘糸か
    らなり、各鞘糸がそれぞれ最外層を形成する少なくとも
    2種の異色性のスラブ部を糸の長手方向にランダム及び
    /又は規則的に含むことを特徴とする複合意匠糸。
  2. 【請求項2】 芯糸が、ポリエステルフィラメント糸で
    ある請求項1記載の複合意匠糸。
  3. 【請求項3】 2本の鞘糸が、一方がセルロースアセテ
    ートフィラメント糸、他方がカチオン可染性ポリエステ
    ルフィラメント糸である請求項1又は請求項2記載の複
    合意匠糸。
  4. 【請求項4】 2本の鞘糸が、一方がレーヨン糸、他方
    がカチオン可染性ポリエステルフィラメント糸である請
    求項1又は請求項2記載の複合意匠糸。
  5. 【請求項5】 芯糸の仮撚加工における加撚域に、染色
    性を異にする2本の鞘糸をそれぞれ独立に供給ガイドを
    介してオーバーフィード状態で供給し、芯糸の外周に鞘
    糸を捲回した複合意匠糸を製造するに際し、一方の供給
    ガイドを、移動可能とすると共に、他方の供給ガイドに
    よる鞘糸の捲き付き振幅域より上流の位置から下流の位
    置までを往復移動させることを特徴とする複合意匠糸の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 各鞘糸のオーバーフィード率を、2個の
    供給ガイドの位置関係により変動可能とする請求項5記
    載の複合意匠糸の製造方法。
  7. 【請求項7】 上流に位置する側の供給ガイドを介して
    の鞘糸のオーバーフィード率を20〜100%、下流に
    位置する側の供給ガイドを介しての鞘糸のオーバーフィ
    ード率を70〜140%とする請求項5又は請求項6記
    載の複合意匠糸の製造方法。
  8. 【請求項8】 上流に位置する側の供給ガイドからの鞘
    糸のオーバーフィード率より下流に位置する側の供給ガ
    イドからの鞘糸のオーバーフィード率を大とする請求項
    5、請求項6又は請求項7記載の複合意匠糸の製造方
    法。
JP18029697A 1997-06-23 1997-06-23 複合意匠糸及びその製造方法 Expired - Lifetime JP3703945B2 (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012201991A (ja) * 2011-03-24 2012-10-22 Mitsubishi Rayon Textile Co Ltd 麻調織物およびその製造方法
JP2020079451A (ja) * 2018-11-12 2020-05-28 三菱ケミカル株式会社 複合加工糸および織編物

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JP2020079451A (ja) * 2018-11-12 2020-05-28 三菱ケミカル株式会社 複合加工糸および織編物

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