JPH11125709A - 回折光学素子を用いた光学系 - Google Patents

回折光学素子を用いた光学系

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JPH11125709A
JPH11125709A JP28863197A JP28863197A JPH11125709A JP H11125709 A JPH11125709 A JP H11125709A JP 28863197 A JP28863197 A JP 28863197A JP 28863197 A JP28863197 A JP 28863197A JP H11125709 A JPH11125709 A JP H11125709A
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optical element
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JP28863197A
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Yuji Kamo
加茂裕二
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Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折光学素子を用いた光学系においてより簡
単な方法で不要次数光のフレアによる画像の劣化を少な
くすること。 【解決手段】 回折光学素子を有し、不要次数光による
フレア光が目立たなくなるように、不要次数光の像面に
おけるスポットを大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回折光学素子(D
iffractive Optical Elemen
t:以下、DOEと呼ぶ。)を用いた光学系に関するも
のであり、例えば銀塩カメラや電子カメラ等の撮影光学
系や、カメラのファインダー、双眼鏡等の目視観察光学
系に利用される光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、屈折率の差によって光線を屈
折させる屈折光学素子は扱いやすく加工も容易なので、
一般的に広く用いられてきた。また、その他の光学素子
としては、光の回折現象を利用した回折光学素子が存在
したが、加工的な問題もあって、従来は光を分岐させる
回折格子のような限られたものしか実用されてこなかっ
た。
【0003】ところが、近年になってリソグラフィー手
法や超精密加工等の技術が進歩して比較的容易に製作で
きるようになったことから、この回折光学素子が注目さ
れ利用されてきている。
【0004】また、回折光学素子(DOE)は屈折光学
素子と異なった特性があることからも注目されている。
DOEのアッベ数は、一般的なガラス硝材には存在しな
い−3.45という逆分散の特性を有している。
【0005】ここで、まず、そのDOEについて説明を
行う。DOEに関しては、「光学」22巻635〜64
2頁及び730頁〜737頁に詳しく解説されている。
【0006】従来のレンズが媒質の界面における屈折作
用に基づいているのに対し、DOEは光の回折作用に基
づいている。一般的に、図1で示すような回折格子へ光
が入射したとき、回折作用にて射出する光は以下の関係
式を満たす。 sinθ−sinθ’=mλ/d ・・・(a) ただし、θは入射角、θ’は射出角、λは光の波長、d
は回折格子のピッチ、mは回折次数である。
【0007】したがって、リング状の回折格子のピッチ
を適切に構成してやれば、光を一点に集中させることが
でき、レンズ作用を持たせることができる。すなわち、
j番目の格子のリング半径をrj 、回折面の焦点距離を
fとすると、j番目の格子により回折された光線と中心
を通る光線との光路差が波長の整数倍になるように構成
すれば、2つの光は強め合うことになる。つまり、以下
の関係式を満たす。
【0008】 √(rj 2 +f2 )−f=jλ ・・・(b−1) また、rj が焦点距離に対して余り大きくなければ、格
子のリング半径rj は次の式で表される。
【0009】 rj =√(2jλf) ・・・(b−2) 一方、回折格子の構成法としては、明暗のリングにて構
成する振幅変調型、屈折率あるいは光路長を変える位相
変調型等が提案されている。振幅変調型のDOEでは複
数の回折次数光が発生するため、入射光の光量と1次回
折光の光量比(以下、回折効率と呼ぶ。)は最大でも6
%程度である。あるいは、振幅変調型のDOEを漂白処
理等を施して改良したとしても、回折効率は最大で34
%程度である。しかし、同じく位相変調型のDOEで
も、その断面形状を図2に示すような鋸歯形状で構成す
れば回折効率を100%まで向上することができる。そ
のようなDOEをキノフォームと称している。このと
き、鋸歯状の山の高さは次式で与えられる。 h=mλ/(n−1) ・・・(c) ただし、hは山の高さ、mは回折次数(以下、設計回折
次数と呼ぶ。)、nは回折面を構成する光学部材の屈折
率である。
【0010】ところが、(c)式は波長の式になってい
るため、回折効率100%は只一つの波長でしか達成さ
れない。このように回折効率DM (λ)は波長に依存
し、その関係を表したものが次の式である。 DM (λ)=sinc2 [π{M −m{(1−n)/(1−nDOE )}(λDOE /λ)}] ・・・(d) ただし、M、mはそれぞれ使用回折次数、設計回折次
数、λ、λDOE はそれぞれ使用波長、設計波長、n、n
DOE はそれぞれ波長λ、λDOE のときの回折面を構成す
る光学部材の屈折率である。
【0011】また、キノフォーム形状を図3のように階
段近似したものは、バイナリー光学素子と呼ばれたりす
るが、これはリソグラフィー的手法にて比較的容易に製
作できる。バイナリー光学素子では、4段階近似で81
%、8段階近似で95%、16段階近似で99%の回折
効率が得られることが知られている。このようなDOE
はすでにバーコードスキャナーや光ピックアップに採用
され実用化されている。
【0012】そこで、近年では、一般的な硝材には存在
しない高分散なDOEの特性を、撮影光学系や目視観察
光学系のような白色で使用する光学系に応用し、色収差
補正に積極的に利用されようとしてきている。撮影光学
系に応用したものとして、例えばカメラ用の望遠レンズ
にDOEを用いた特開平6−324262号のものがあ
った。そこでは、DOEの回折効率を最大にする波長が
示されている。また、フィルムカメラ用の単レンズにD
OEを用いたWO95/18393のものがあった。こ
れも同様に、条件式でDOEの回折効率を最大にする波
長(nominal or central wavelength )を設定してい
た。また、「回折光学素子入門」(監修:(社)応用物
理学会 日本光学会 光設計研究グループ)の40〜4
9頁には、カメラ用の望遠レンズやトリプレットレンズ
にDOEを用いた設計例が示されていた。ただし、そこ
に示された望遠レンズ1は、2次スペクトルが大きく発
生しており、性能が未達成であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、白色の
ような広い波長域においてDOEを用いると、回折効率
の波長依存性の影響が問題となってくる。図4はこの影
響を表すグラフであり、波長によるDOEの回折効率の
変化を示したものである。これは従来技術で説明した回
折効率の式(d)より計算しており、1次光の回折効率
を500nmで最大にしたときの0次光、1次光、2次
光の回折効率の変化を表している。また、これ以降で
は、結像に関わる光(1次光)を設計次数光、それ以外
の次数の不要な光(1次光以外の全ての次数光。図4の
グラフに示した例では0次光、2次光)をまとめて不要
次数光と呼ぶ。このように波長域が広い場合には、使用
波長が設計波長と異なると、設計次数光の回折効率が低
下してしまい、それ以外の不要次数光の回折効率が大き
くなってしまう。
【0014】これから分かるように、青色の短波長側と
赤色の長波長側において不要次数光が多く発生するた
め、像面では青と赤のフレアが発生する。この様子を具
体的に示したものが、像面における点像を表した図5
(a)である。この図に示されたように、不要次数光
は、画面中心部では設計次数光の点像の周りに軸上色収
差が発生しているかのように現れ、また、画面周辺部で
は設計次数光の点像から離れた位置に倍率色収差が発生
しているかのように現れる。
【0015】そのため、白色下で使用する光学系にDO
Eを用いるときには、このフレアの影響を考慮しなけれ
ば画質が劣化する。また、像面上での点像のボケを、以
下スポットと呼ぶ。
【0016】ところが、DOEを撮影光学系に応用した
従来の先行例には、この問題を解決する方法は示されて
いなかった。特開平6−324262号やWO95/1
8393では、回折効率を最大にする波長を設定してい
るが、不要次数光の光量のバランスを取っているだけ
で、フレアはまだ目立ってしまっていた。
【0017】一方、特開平9−127321号、特開平
9−127322号では、積層された2又は3種類の光
学材料の境界面にキノフォーム形状のパターンを構成し
た回折面を用いることにより、回折効率の波長依存性を
軽減している。ところが、回折面の上にさらに光学材料
を構成するので、製作が従来に比べ難しく加工工数がか
かるため、従来のレンズ等に比べてコストが高くなって
しまう欠点があった。
【0018】本発明は従来技術のこのような問題点に鑑
みてなされたものであり、その目的は、回折光学素子を
用いた光学系においてより簡単な方法で不要次数光のフ
レアによる画像の劣化を少なくすることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の第1の回折光学素子を用いた光学系は、回折
光学素子を有し、不要次数光によるフレア光が目立たな
くなるように、不要次数光の像面におけるスポットを大
きくしたことを特徴とするものである。
【0020】本発明の第2の回折光学素子を用いた光学
系は、回折光学素子を有し、不要次数光によるフレア光
が目立たなくなるように、不要次数光の色を変化させて
いることを特徴とするものである。
【0021】まず、本発明の第1の回折光学素子を用い
た光学系について、このような構成をとった理由と作用
を説明する。DOEは回折現象を利用しているため、原
理上、波長が変わると不要次数光が発生するのは避けら
れない。その量は、一般的なキノフォームでは、図4の
ように、不要次数光が少なくなるように設計波長(回折
効率を100%にする波長)を500nmにしてバラン
スを取っても、全光量に対して、g線では7.4%、F
線では0.2%、d線では8.6%、C線では19.7
%発生し、波長域の両端で大きくなってしまう。そのた
め、DOEを白色下で使用したときにフレアが目立つの
は、この不要次数光の光量が大きくなることが原因であ
ると考えられる。
【0022】ところが、従来の設計例では、不要次数光
は、図5(a)のように像面位置で十分集光しており、
像面上での強度分布は図5(b)のようになっていた。
ここで、図5(b)は、縦軸に光強度をとり横軸に像位
置をとった像面上での強度分布を模式的に表したもので
あり、図の左が画面中心部、図の右が画面周辺部の場合
を示している。この図に示すように、不要次数光の強度
分布は鋭いピークを持っていたので、撮像手段であるフ
ィルム、CCDあるいは目に感知されてしまい、目立ち
やすくなっていた。特に輝度が高い金属の反射等の被写
体に対しては、顕著であった。
【0023】そこで、本発明では、図6(a)のよう
に、像面において設計次数光に比べて不要次数光のスポ
ットを大きくして単位面積当たりの強度を下げることに
より、不要次数光を目立たなくするようにした。このよ
うにすれぱ、光量自体は同じであっても不要次数光が像
面では大きくボケているため、図6(b)に示すよう
に、強度分布のピークが鈍く、撮像手段であるフィル
ム、CCDあるいは目に感知され難くできる。その結
果、DOEを用いてもフレアが気にならない良好な画像
を得ることが可能になる。
【0024】次に、このように良好な画像が得られるよ
うな不要次数光のスポットの大きさについて説明を加え
る。不要次数光のスポットが目立つと判断するのは人な
ので、目自体の要因と画像を観察するときの状況を十分
考慮する必要がある。人が画像を観察する状況には様々
な場合があるが、実際の場面においてその観察方法は、
実像の場合と虚像の場合では大きく異なっている。実像
を形成する光学系としては例えばカメラがあるが、実際
に光学系が形成する像に比べて拡大された写真プリント
等の画像を見るような場合が多い。それに対して、ファ
インダーや双眼鏡等の虚像を形成する光学系では、形成
された虚像を直接目で観察する場合が多い。したがっ
て、これらの違いを考慮してそれぞれの場合における不
要次数光のスポットの大きさを規定した。
【0025】まず、実像を形成する光学系においては、
写真プリント等の画像を観察する状況を考慮した次の条
件式を満たすように、不要次数光のスポットを大きくす
ればよい。 FNO・S・1300/(2Ih)>350 ・・・(1) ここで、FNO:光学系のFナンバー S :像面における不要次数光のスポットの大きさ Ih:光学系の像高 である。ただし、光学系の明るさを入射側開口数(NA
とする。)で表す場合は、FNOは1/(2・NA)とす
る。また、スポットの大きさは直径である。
【0026】この式は、光学系を同じFナンバーにした
ときの許容錯乱円(2Ih/1300)を基準として不
要次数光のスポットの大きさを規定したものである。許
容錯乱円とは目の分解能から決まり、写真を観察する際
に許容される像のボケをフィルム上での大きさに置き換
えたものであり、光学系の性能の目安になっている。ま
た、この許容錯乱円は略フィルムの対角長によって決ま
り、おおよそ対角長/1000〜対角長/1500にな
ることが知られている(以上、「カメラ技術ハンドブッ
ク」写真工業出版社刊を参考)。したがって、この許容
錯乱円を基準にすることにより、不要次数光のスポット
を規定することができる。また、この式は、フィルムを
使った光学系に限らず、CCD等の撮像素子を使った光
学系に対しても当然適用できる。この条件式を越える
と、不要次数光のスポットが小さくなるので、集光され
てフレアが目立ってしまう。
【0027】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。 FNO・S・1300/(2Ih)>500 ・・・(2) ここで、FNO:光学系のFナンバー S :像面における不要次数光のスポットの大きさ Ih:光学系の像高 である。ただし、光学系の明るさを入射側開口数(NA
とする。)で表す場合は、FNOは1/(2・NA)とす
る。
【0028】また、虚像を形成する光学系においては、
直接目で観察することが多いので、スポットの大きさを
定めた次の条件式を満たすのがよい。 ε>15′ ・・・(3) ここで、ε:不要次数光のスポットの視野角である。
【0029】この条件式を越えると、不要次数光のスポ
ットが小さくなるので、集光されてフレアが目立ってし
まう。
【0030】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。 ε>25′ ・・・(4) ここで、ε:不要次数光のスポットの視野角である。
【0031】次に説明するのは、このように不要次数光
のスポットを大きくするための効果的な2つの方法であ
る。1つめは、不要次数光の焦点位置を像面から離して
おく方法である。DOEは、図7に光路を示すように、
回折次数によって回折面Aからの光線の進む方向が異な
るので、次数によって焦点距離が変わってくる。この焦
点距離は、次に示す理由から規則的になることが分か
る。従来技術で説明した(a)式のsinθ’は近軸領
域ではθ’であり、(a)式の入射角をθ=0(平行
光〉とすると、θ’は次数に比例していることが分か
る。また、焦点距離は近軸光線追跡の公式より、入射光
線高を1とすると、1/θ’になるので、DOEの焦点
距離は、次数の逆数に比例することが分かる。具体的に
は、例えば設計次数を1としたときには、0次光の焦点
距離は∞になり、また、2次光の焦点距離は1次光の1
/2倍になる。これから分かるように、光学系全体にお
ける各次数の焦点位置は、DOEより像側の光学系の影
響もあるが、略規則的に変化し、一般には、設計次数光
m次の焦点位置の前後に同じような距離で不要次数光m
−1,m+1次の焦点が現れることが多い。
【0032】このように、不要次数光の焦点位置が像面
から離れていれば、一般的な光学系でも言えるように、
デフォーカス作用によりスポットは大きくなるので、単
位面積当たりの強度が低くなることはよく知られている
通りである。ところが、その強度のピークを十分低くす
るためには、焦点位置を大きく変える必要があるにもか
かわらず、従来の設計例では、不要次数光の焦点位置が
像面の近くにあったため、強度が高くフレアが目立って
いた。
【0033】そこで、本発明では、不要次数光が目立た
なくなるように、不要次数光の焦点位置を像面から離す
ように構成した。この方法では、DOEの焦点距離を操
作するだけで不要次数光のスポットの大きさが変えられ
るので、非常にコントロールしやすいという利点があ
る。また、焦点位置をコントロールすることは、不要次
数光の像そのものを像面から遠ざけることになり、周辺
のスポットも略同様に大きくすることができるので、効
果的である。
【0034】次に、不要次数光を目立たなくするような
不要次数光の焦点位置について説明する。先に不要次数
光のスポットの大きさを人の目の分解能を考慮して、実
像を結ぶ光学系においては許容錯乱円を基準にして規定
した。また、許容錯乱円はおおよそ対角長によって決ま
ることもそこで説明した。そのため、人が画像を観察す
る状況を考慮するには、不要次数光の焦点位置を像高に
よって規定すればよい。したがって、実像を結ぶ光学系
は次の条件式を満たすようにすれぱよい。
【0035】 |fb1’−fb1|/Ih>0.5 ・・・(5) ここで、fb1’:不要次数光の焦点位置 fb1:設計次数光の焦点位置 Ih:光学系の像高 である。
【0036】この条件式を越えると、不要次数光の焦点
位置が近くなって不要次数光によるフレアが目立ちやす
くなってしまう。
【0037】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。 |fb1’−fb1|/Ih>0.8 ・・・(6) ここで、fb1’:不要次数光の焦点位置 fb1:設計次数光の焦点位置 Ih:光学系の像高 である。
【0038】また、虚像を結ぶ光学系においては次の条
件式を満たすのがよい。虚像の場合は、一般的にm-1
単位が使用されているので、焦点位置の条件式もそれに
合わせている。 |fb2’−fb2|・Ih/1000>0.2 ・・・(7) ここで、fb2’:不要次数光の焦点位置(ただし、単位
はm-1) fb2:設計次数光の焦点位置(ただし、単位はm-1) Ih:光学系の像高 である。
【0039】この条件式を越えると、同様に不要次数光
の焦点位置が近くなって不要次数光によるフレアが目立
ちやすくなってしまう。なお好ましくは、次の条件式を
満たすのがよい。
【0040】 |fb2’−fb2|・Ih/1000>0.4 ・・・(8) ここで、fb2’:不要次数光の焦点位置(ただし、単位
はm-1) fb2:設計次数光の焦点位置(ただし、単位はm-1) Ih:光学系の像高 である。
【0041】次に、不要次数光の焦点位置が像面から遠
くなるような光学系の詳細な構成について説明する。D
OEは回折現象によるため、各次数の焦点距離には規則
性があることは上記で説明した。また、近軸理論から明
らかなように、レンズの持つ横倍率の2乗、すなわち縦
倍率が焦点位置に影響を及ぼす。このため、光学系全体
における不要次数光の焦点位置は、DOEの設計次数光
の焦点距離とそれより像側のレンズの縦倍率によって決
まってくる。したがって、不要次数光の焦点位置が像面
から遠くなるようにするには、実像を結ぶ光学系は次の
条件を満たすのがよい。また、ここでも人が画像を観察
する状況を考慮するため、同様に像高によって規定して
いる。
【0042】 |fDOE ・(mg ’−mg 2 /Ih|>0.5 ・・・(9) ここで、fDOE :回折光学素子の焦点距離 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。ただし、回折面が第1面の場合は、mg ’=
0、また、回折面が最終面の場合は、mg =1とする。
【0043】この式において、回折面が第1面の場合に
は、mg ’が、また、回折面が最終面の場合はmg が定
義できないが、焦点位置を定義するための式なので、こ
こではそれぞれmg ’=0,mg =1と定義する。この
条件式を越えると、不要次数光の焦点位置が近くなって
不要次数光によるフレアが目立ちやすくなってしまう。
【0044】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。
【0045】 |fDOE ・(mg ’−mg 2 /Ih|>0.65 ・・・(10) ここで、fDOE :回折光学素子の焦点距離 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。ただし、回折面が第1面の場合は、mg ’=
0、また、回折面が最終面の場合は、mg =1とする。
【0046】また、同様に虚像を結ぶ光学系の場合には
次の条件式を満たすのがよい。 |fDOE ・α2 ・(mg ’−mg 2 ・1000/Ih|>0.025 ・・・(11) ここで、fDOE :回折光学素子の焦点距離 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。ただし、回折面が第1面の場合は、mg ’=
0、また、回折面が最終面の場合は、mg =1とする。
αは、α=(10+100/fb )/fb で定義する値
である。ただし、fb は設計次数光の焦点位置である。
【0047】虚像の場合は、目で見る光学系がほとんど
である。そのため、この条件式は目で見たときの焦点位
置で規定している。αはそれを考慮した係数であり、焦
点距離10mmの場合の横倍率を示している。
【0048】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。 |fDOE ・α2 ・(mg ’−mg 2 ・1000/Ih|>0.05 ・・・(12) ここで、fDOE :回折光学素子の焦点距離 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。ただし、回折面が第1面の場合は、mg ’=
0、また、回折面が最終面の場合は、mg =1とする。
αは、α=(10+100/fb )/fb で定義する値
である。ただし、fb は設計次数光の焦点位置である。
【0049】また、色収差補正を考慮すれば、少なくと
も1面ずつの正パワーと負パワーを持つ回折面を有する
のがよい。回折面はアッベ数が−3.45と分散が非常
に大きいので、光学系をうまく構成しないと、逆に色収
差が悪化してしまうことがある。特に、パワーを強くし
すぎると色補正のバランスが崩れてしまう。そのため、
上記のように構成することにより、パワーの異なる回折
面同士でそれ自体の色収差をキャンセルしつつ、焦点位
置を大きく変化させることができるので効果的である。
【0050】スポットを大きくするための2つめの方法
は、不要次数光の収差をコントロールする方法である。
スポットを大きくするため、先に不要次数光の焦点位置
を変える方法について述べた。この方法でも十分効果が
あるが、不要次数光の焦点位置を変化させるためにはD
OEの焦点距離に大きく依存する特徴があった。一方、
DOEのアッベ数は−3.45と従来のガラスに比べて
非常に色分散が大きく異常分散性も強いため、DOEの
焦点距離を制限しておかないと色収差のバランスが崩れ
てしまう。特に枚数の少ないレンズ系では、DOEの焦
点距離が色収差補正にとって重要であった。
【0051】DOEは次数によって焦点距離が変わるこ
とをすでに説明したが、同時に回折次数により光線の屈
曲度合が異なるので、そこで発生する収差量も次数によ
って変わってくる。また、そのときにはそれ以降の光路
も回折次数によって変わってくるため、そこでも収差発
生量が変わってくる。このように、不要次数光の収差
は、DOEやその他のレンズによる影響により、各次数
により収差量の差が発生してくる。
【0052】そこで、本発明では、不要次数光が目立た
なくなるように不要次数光の収差をコントロールするよ
うに構成した。ただし、不要次数光の収差を発生させる
といっても、当然設計次数光の収差は良好でなければな
らない。そのため、光学系のその他のレンズ等をうまく
構成することにより、不要次数光の収差だけを変えるこ
とが必要になる。
【0053】この方法では、余りDOEの焦点距離には
依らないので、例えば不要次数光の焦点位置が像面と近
くなってしまう場合でも、色収差を良好に補正しながら
不要次数光を目立たなくするように構成することが可能
である。
【0054】次に、不要次数光を目立たなくするような
不要次数光の収差について説明する。不要次数光による
フレアを目立たなくするようにスポットを大きくするに
は、その収差を適切に発生させる必要がある。すでに説
明したように、不要次数光の焦点位置は設計次数光とは
異なる位置にあるので、収差を発生させる方向にも注意
しなければならない。
【0055】球面収差の場合は、瞳の周辺に行くに従い
像面から遠くなる方向に発生するような収差にするのが
よい。そうすれば、不要次数光の焦点位置よりさらに像
面より離れた位置で光線が光軸を横切るので、不要次数
光のデフォーカス作用のみよりも大きな効果でスポット
を大きくすることができる。球面収差は、画面中心でも
現れる唯一の収差であり、この収差を悪くしておけば中
心から周辺までスポットを大きくすることができ効果が
高い。また、球面収差を大きくすれば、不要次数光の近
軸焦点位置が像面に近い場合でもスポットを大きくでき
るので、色収差補正の関係上でDOEのパワーを余り強
くできない光学系において特に有効である。
【0056】また、像面湾曲収差の場合は、像面から遠
くなる方向に発生させるような収差にすればよい。そう
すれば、画面周辺部では不要次数光の焦点位置よりさら
に像面から離れた位置に集光するので、より効果的にス
ポットを大きくすることができる。像面湾曲収差による
方法は画面の周辺部で有効であり、高次のコマ収差が発
生して周辺部のスポットのコントロールが難しい場合に
特に効果的である。
【0057】この場合、実像を結ぶ光学系では、次の条
件式を満たすようにするのがよい。また、ここでもすで
に説明したように、人の目の分解能を考慮するため、像
高によってその量を規定している。 |DMmax1|/Ih>0.25 ・・・(13) ここで、DMmax1:不要次数光の焦点位置を基準にした
ときの、像面から最も離れたときの不要次数光の像面湾
曲収差(メリディオナル方向)の値 Ih:光学系の像高 である。
【0058】この条件式を越えると、画面の周辺部にお
いて不要次数光が像面に近い所で集光してしまうので、
不要次数光のフレアが目立ちやすくなってしまう。
【0059】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。 |DMmax1|/Ih>0.5 ・・・(14) ここで、DMmax1:不要次数光の焦点位置を基準にした
ときの、像面から最も離れたときの不要次数光の像面湾
曲収差(メリディオナル方向)の値 Ih:光学系の像高 である。
【0060】また、虚像を結ぶ光学系では、次の条件式
を満たすようにするのがよい。虚像の場合は、一般的に
-1の単位が使用されているので、焦点位置の条件式も
それに合わせている。 |DMmax2|・Ih/1000>0.1 ・・・(15) ここで、DMmax2:不要次数光の焦点位置を基準にした
ときの、像面から最も離れたときの不要次数光の像面湾
曲収差(メリディオナル方向)の値(ただし、単位はm
-1) Ih:光学系の像高 である。
【0061】この条件式を越えると、画面の周辺部にお
いて不要次数光が像面に近い所で集光してしまうので、
不要次数光のフレアが目立ちやすくなってしまう。
【0062】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。 |DMmax2|・Ih/1000>0.2 ・・・(16) ここで、DMmax2:不要次数光の焦点位置を基準にした
ときの、像面から最も離れたときの不要次数光の像面湾
曲収差(メリディオナル方向)の値(ただし、単位はm
-1) Ih:光学系の像高 である。
【0063】また、以上説明したような収差をコントロ
ールする方法により不要次数光の強度分布を均一にする
こともできるので、不要次数光をより目立たなくさせる
ことが可能である。
【0064】次に、不要次数光の収差によりフレアが目
立たなくなるような光学系の詳細な構成について説明す
る。先に説明したように、回折面の各次数の焦点距離
は、次数によって規則的に変わっている。また、回折面
での光線高は次数によっては変わらないので、そこで発
生する収差発生量もおおよそ規則的に変わるといってよ
い。例えば、DOEにおける2次光の収差発生量は1次
光の発生量に比例して大きくなり、また、特に0次光の
場合の収差発生量は常に0になる。したがって、回折面
における設計次数光の収差発生量を大きくして光学系を
構成しておけば、不要次数光との収差の隔差を大きくす
ることができるので、光学系の設計次数光の収差を良好
にしつつ、不要次数光の収差だけを大きくすることがで
きる。
【0065】また、そのとき、回折面には非球面効果を
有している方が設計次数光の収差発生量を大きくできる
ので効果的である。また、回折面で収差発生量を大きく
するため、非球面を少なくとも1面有していると、さら
に効果的である。そのとき、この非球面は回折面で発生
する収差と逆方向の収差を発生させておくのがよい。
【0066】次に、不要次数光の収差を効果的に発生さ
せる回折面の構成について説明する。不要次数光のスポ
ットを大きくするために、周辺部では像面湾曲収差を発
生させるのがよいことをすでに説明した。この像面湾曲
収差は周辺部における焦点位置の収差といえるので、回
折面を光軸近傍から周辺部に向かってパワーを変化させ
るように構成すれば、周辺部でその焦点を変化させるこ
とが可能になる。また、すでに説明したように、不要次
数光の焦点位置は設計次数光とは異なる位置にあるの
で、スポットを大きくするために像面から離れる方向に
収差を発生させるようにパワーを与える必要がある。そ
れを考慮すると、回折面は周辺に行くにつれパワーが強
くなるのがよい。
【0067】したがって、実像を形成する光学系におい
ては、回折面は次の条件式を満たすようするのがよい。 |(fDmax−fDmin)・(mg ’−mg 2 /Ih|>0.05 ・・・(17) ここで、fDmax:回折光学素子の面の焦点距離の最大値 fDmin:回折光学素子の面の焦点距離の最小値 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。
【0068】ただし、この条件式の回折光学素子の面の
焦点距離fDmax、fDminは、回折面をウルトラ・ハイ・
インデックス法で表した場合、近軸のパワーの関係を用
いて次のように定義する。 fD (y)=1/[(n−1)・{1/rD1(y)−1/rD2(y)}] ここで、fD (y):高さyのときの回折面の焦点距離 n:ウルトラ・ハイ・インデックス法によるd線の屈折
率 rD1(y):物体側曲率半径 rD2(y):像側曲率半径 ただし、rD1(y)、rD2(y)は、非球面効果がない
場合には、近軸曲率半径と一致する。また、非球面効果
がある場合には、次の式で定義した曲率半径とする。こ
の式は、光軸上に中心を持つ円の方程式と高さyでの面
の法線の方程式の連立方程式から導き出すことができ
る。
【0069】 r(y)=y・{1+f’(y)2 }/f”(y) ここで、y:光軸からの高さ f(y):非球面定義式 である。
【0070】この条件式を越えると、画面の周辺部にお
いて不要次数光が像面に近い所で集光してしまうので、
不要次数光のフレアが目立ちやすくなってしまう。
【0071】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。 |(fDmax−fDmin)・(mg ’−mg 2 /Ih|>0.08 ・・・(18) ここで、fDmax:回折光学素子の面の焦点距離の最大値 fDmin:回折光学素子の面の焦点距離の最小値 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。
【0072】また、虚像を形成する光学系においては、
回折面は次の条件式を満たすようするのがよい。 |(fDmax−fDmin)・α2 ・(mg ’−mg 2 ・Ih/1000| >0.001 ・・・(19) ここで、fDmax:回折光学素子の面の焦点距離の最大値 fDmin:回折光学素子の面の焦点距離の最小値 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。αは、α=(10+100/fb )/fb で定
義する値である。ただし、fb は設計次数光の焦点位置
である。
【0073】ただし、この条件式の回折光学素子の面の
焦点距離fDmax、fDminは、回折面をウルトラ・ハイ・
インデックス法で表した場合、近軸のパワーの関係を用
いて次のように定義する。 fD (y)=1/[(n−1)・{1/rD1(y)−1
/rD2(y)}] ここで、fD (y):高さyのときの回折面の焦点距離 n:ウルトラ・ハイ・インデックス法によるd線の屈折
率 rD1(y):物体側曲率半径 rD2(y):像側曲率半径 ただし、rD1(y)、rD2(y)は、非球面効果がない
場合には、近軸曲率半径と一致する。また、非球面効果
がある場合には、次の式で定義した曲率半径とする。こ
の式は、光軸上に中心を持つ円の方程式と高さyでの面
の法線の方程式の連立方程式から導き出すことができ
る。
【0074】 r(y)=y・{1+f’(y)2 }/f”(y) ここで、y:光軸からの高さ f(y):非球面定義式 である。
【0075】虚像の場合は目で見る光学系がほとんどで
ある。そのため、この条件式は目で見たときを考慮して
いる。αはそれを考慮した係数であり、焦点距離10m
mの場合の横倍率を示している。
【0076】この条件式を越えると、画面の周辺部にお
いて不要次数光が像面に近い所で集光してしまうので、
不要次数光のフレアが目立ちやすくなってしまう。
【0077】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。
【0078】 |(fDmax−fDmin)・α2 ・(mg ’−mg 2 ・Ih/1000| >0.005 ・・・(20) ここで、fDmax:回折光学素子の面の焦点距離の最大値 fDmin:回折光学素子の面の焦点距離の最小値 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。αは、α=(10+100/fb )/fb で定
義する値である。ただし、fb は設計次数光の焦点位置
である。
【0079】このように、本発明の第1の回折光学素子
を用いた光学系について説明した方法を用いれば、光学
系の構成を工夫することで目的が達成でき、新たな部材
や装置を用いる必要がないので、コスト的に非常に有利
である。
【0080】次に、本発明の第2の回折光学素子を用い
た光学系について、このような構成をとった理由と作用
を説明する。第1の回折光学素子を用いた光学系につい
て説明したように、DOEを白色下で使用したときに発
生するフレアが目立つのは、不要次数光の光量が大きく
なることが原因であると考えられた。ところが、カラー
画像を見る場合には必ずしもそれだけではない。写真や
ファインダ等の画面を見るときに限らず、看板や標識等
でも色によって注意を引き付ける度合いが異なっている
ことは経験上知られている。このような心理的影響を数
値化したものに、誘目性と呼ばれる尺度がある。
【0081】この誘目性は、色を観察する際の注意の引
かれやすさの主観的評価であり、誘目尺度値のレベルに
よってその目立ちやすさの度合いを示している。それに
よると、目立ちやすい色は背景が黒の場合は、順に、
黄、黄赤、赤、黄緑、赤紫、青、緑、青緑、紫、青紫と
なり、背景が白の場合は、赤、黄、黄赤、青、赤紫、
緑、黄緑、紫、青紫となる(「色彩科学ハンドブック」
日本色彩学会編、東京大学出版会)。
【0082】一方、DOEは、図4に示すような波長依
存性により、波長域の両端での回折効率が低下してしま
う。図4に示されているように、2次光は短波長側(青
側)で、また、0次光では長波長側(赤側)で回折効率
が特に低下するので、フレアは2次光による青と0次光
による赤の2色の色が現れやすい。この色は誘目性でい
うと、比較的目立ちやすい色であった。
【0083】そこで、本発明では、この不要次数光によ
るフレアが目立たなくなるように、その色を変化させる
ように構成した。そうすれば、光学系にDOEを用いて
も、写真やファインダ等の画面を見る場合にフレアに注
意が引き付けられないので、フレアが気にならない良好
な画像を得ることが可能になる。
【0084】すでに説明した理由で、DOEの場合は波
長依存性より青と赤のフレアが現れやすい。ところで、
青と赤の2色を混合すれば紫系統の色に変えることがで
きるが、この紫系統の色は誘目尺度値でいうと目立ちに
くい色である。したがって、色の異なる青と赤の2つの
不要次数光を重ね合わせて色を紫系統の色に変化させれ
ば、フレアに注意が引き付けられないようにすることが
でき効果的である。
【0085】その方法としては、少なくとも1枚ずつの
正パワーと負パワーの回折面を用いるのがよい。同じ次
数光でもDOEのパワーの符号が異なる場合には、設計
次数光に対して不要次数光の現れる方向が像面上で逆に
なる。そのため、パワーの異なる2つの回折面を用いる
ことにより、それぞれ色の異なる不要次数光を重ね合わ
せることが可能になる。また、2つの回折面を使用すれ
ば、異常分散性(DOEの特性(a)式より明らか)を
キャンセルできるので、色収差の補正にも効果がある。
さらに、DOEのパワーを比較的自由にコントロールす
ることができるようになるので、本発明の第1の光学系
について説明したような像面でのスポットを大きくする
ことも同時に可能になる。
【0086】また、このとき、不要次数光を重ね合わせ
るためには、像面上での主光線位置が略同じであるよう
にするのがよい。そうすれば、光学系の明るさを暗くし
た場合、例えばFナンバーを大きくして光束が細くなっ
ていった場合でも、不要次数光が重なり合っているので
フレアが気にならない。
【0087】また、不要次数光を重ね合わせるために
は、像面上でのスポットの大きさを略同じにするのがよ
い。そうすれば、フレアの色が紫系統になる面積の割合
が増えるので、フレアが気にならなくなる。このとき、
次の条件式を満たすのがよい。
【0088】 0.33<|{fDOE1・(mg1’−mg12 } /{fDOE2・(mg2’−mg22 }|<3・・・(21) ここで、fDOE1:第1回折面の焦点距離 mg1’:第1回折面を含んでそれより像側の横倍率 mg1:第1回折面を含まないでそれより像側の横倍率 fDOE2:第2回折面の焦点距離 mg2’:第2回折面を含んでそれより像側の横倍率 mg2:第2回折面を含まないでそれより像側の横倍率 である。この条件式の上限、下限を越えると、像面上で
の不要次数光の位置がずれて重なり合う面積の割合が低
くなって目立ってしまう。
【0089】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。
【0090】 0.5<|{fDOE1・(mg1’−mg12 } /{fDOE2・(mg2’−mg22 }|<2・・・(22) ここで、fDOE1:第1回折面の焦点距離 mg1’:第1回折面を含んでそれより像側の横倍率 mg1:第1回折面を含まないでそれより像側の横倍率 fDOE2:第2回折面の焦点距離 mg2’:第2回折面を含んでそれより像側の横倍率 mg2:第2回折面を含まないでそれより像側の横倍率 である。
【0091】以上に、不要次数光を重ねて紫系統にすれ
ば、誘目性によりフレアを目立たなくすることができる
ことを説明した。ところが、不要次数光の強度が余りに
違うと、重なり合わせてもフレアが目立ったままになっ
てしまう可能性がある。不要次数光の強度は図4で説明
した回折効率の影響が大きいが、さらにフィルム等の分
光感度(目で観察する光学系は比視感度)や光学系の透
過率等によって決まる。また、回折効率を最大にする設
計波長を変えることによって、波長域の両端での不要次
数光の発生の度合い、すなわち強度が変わってくる。
【0092】そのため、実像を形成する光学系において
は、フィルムやCCDの分光感度を考慮して次の条件式
を満たすのがよい。 460<λDOE <560 ・・・(23) ここで、λDOE :設計波長(単位はnm)である。
【0093】この式の上限を越えると、重なり合わせた
フレアが青に近くなり、下限を越えると、重なり合わせ
たフレアが赤に近くなり、共にフレアが目立ちやすくな
ってしまう。
【0094】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。
【0095】 480<λDOE <540 ・・・(24) また、虚像を形成する光学系においては、比視感度を考
慮して次の条件式を満たすのがよい。 530<λDOE <630 ・・・(25) ここで、λDOE :設計波長(単位はnm)である。
【0096】この式の上限を越えると、重なり合わせた
フレアが青に近くなり、下限を越えると、重なり合わせ
たフレアが赤に近くなり、共にフレアが目立ちやすくな
ってしまう。
【0097】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。 550<λDOE <610 ・・・(26) 次に、少なくとも1枚ずつの正パワーと負パワーの回折
面を用いて不要次数光を重ね合わせる場合の色収差補正
を考慮した最適な構成について説明する。DOEのアッ
ベ数は−3.45と非常に高分散なので、この正パワー
と負パワーの回折面をうまく配置しないと、逆に色収差
を悪化させてしまう可能性があった。軸上色収差は正と
負の回折面のパワーをコントロールすれば色収差を打ち
消し合うことができるので、フレアを目立たなくさせな
がら良好に補正することができる。ところが、倍率色収
差は、収差論から知られるように軸上マージナル光線高
×周辺主光線高に関係しているので、正パワーと負パワ
ーの回折面があっても周辺光線高の符号が逆の場合に
は、収差が悪化してしまうことがある。
【0098】そのため、フレアを目立たなくさせること
と倍率色収差を良好に補正するために、正パワーと負パ
ワーの回折面を明るさ絞りに対して両方共同じ側に配置
する。そうすれば、周辺主光線高の符号が同じになるの
で、正パワーと負パワーの回折面で発生する倍率色収差
が同符号になり打ち消し合うことができる。
【0099】このように、本発明の第2の光学系でも、
光学系の構成を工夫することで目的が達成でき、新たな
部材や装置を用いる必要がないので、コスト的に非常に
有利である。
【0100】また、本発明の第1、第2の光学系につい
て、設計次数光は1次であるのが好ましい。従来技術で
説明した(d)式において、設計次数mを1〜5にした
ときの回折効率の変化を示したのが図8である。このよ
うに白色のような広い波長域では、設計次数を大きくす
ると波長の変化による回折効率の低下が激しくなってく
る。そのため、不要次数光によるフレアの発生を少なく
するには、設計次数を最も回折効率の低下の少ない1次
で構成するのがよい。
【0101】また、本発明の第1、第2の光学系につい
て、設計次数がm次のとき、考慮する不要次数はm−1
次とm+1次であるのが好ましい。従来技術で説明した
(d)式において、設計波長を500nm、設計次数1
次のときの不要次数−1次、0次、2次、3次の回折効
率の変化を示したのが図9である。このように、m−2
次とm+2次である−1、3次の回折効率は低くなって
いるので、白色下でも余り影響はない。したがって、考
慮する不要次数はm−1次とm+1次で十分である。
【0102】また、本発明の第1、第2の光学系につい
て、不要次数光のスポットは、m−1次光の場合はC
線、m+1次光の場合はF線又はg線で見るのがよい。
これは、波長と回折効率の関係より、不要次数光の強度
が強い部分の代表的な波長を選んだものである。したが
って、特にその波長だけ考慮しておけば、不要次数光に
よるフレアを見え難くすることができる。
【0103】また、不要次数光を見え難くして色にじみ
を軽減しても、設計次数光において色収差が発生したま
までは、高画質は達成できない。DOEは非常に高分散
な特性があるため、うまく構成しないと、設計次数光の
色収差が発生し逆に性能が低下してしまうこともある。
そのため、本発明の第1、第2の光学系において、次の
条件式を満たすのがよい。
【0104】 |1300・C/(2・Ih・FNO)|<4.5 ・・・(27) ここで、C:C線又はg線の軸上色収差量 Ih:光学系の像高 FNO:光学系のFナンバー である。ただし、光学系の明るさを入射側開口数(NA
とする。)で表す場合は、FNOは1/(2・NA)とす
る。この条件式を越えると、設計次数光の色収差が大き
くなり、高画質を満たせない。
【0105】なお好ましくは、次の条件式を満たすのが
よい。 |1300・C/(2・Ih・FNO)|<3 ・・・(28) ここで、C:C線又はg線の軸上色収差量 Ih:光学系の像高 FNO:光学系のFナンバー である。ただし、光学系の明るさを入射側開口数(NA
とする。)で表す場合は、FNOは1/(2・NA)とす
る。
【0106】
【発明の実施の形態】以下、本発明の回折光学素子を用
いた光学系の実施例1〜3について説明する。本発明に
よるレンズ系の回折面は、ウルトラ・ハイ・インデック
ス法を用いて設計しており、具体的には、回折面は厚み
が0で波長がd線のときの屈折率が1001の屈折型レ
ンズとして表現されている。したがって、後記する数値
データにおいても、以下に示すような通常の非球面式に
て記載する。すなわち、光軸方向をZ軸、光軸と垂直な
方向をY軸とすると、非球面は以下の式にて表せられ
る。また、この式は、条件式(17)等における回折面
の焦点距離を算出するときの非球面定義式f(y)にも
相当する。
【0107】 Z=CY2 /[1+√{1−(1+K)C2 2 }] +A4 4 +A6 6 +A8 8 +A1010+A1212・・・(e) ただし、Cは面頂における曲率(=1/r、rは曲率半
径)、Kは円錐係数、A4 、A6 、A8 、A10、A12
それぞれ4次、6次、8次、10次、12次の非球面係
数である。
【0108】また、回折面と厚みが0で接する面はDO
Eの基材表面である。そして、実際の製造においては、
回折面の非球面形状と基材表面の形状との差及び屈折率
から位相変化を求め、この位相変化を回折格子のピッチ
に換算して基材表面上に回折格子を形成する。そのた
め、回折面と示したウルトラ・ハイ・インデックス屈折
型レンズによる非球面は実際は存在しない。しかし、各
実施例に対応するレンズ断面図中には、数値データ中に
回折面として記載された面番も基材の面に表記してあ
る。
【0109】回折面の具体的な形状としては、例えば図
10に断面を示すようなものがある。図の(a)は、透
明部21と不透明部22が交互に配列され、不透明部2
2の厚みはほぼ0であるが、振幅変調型と呼ばれる回折
面である。図の(b)は、屈折率の異なる高屈折率部2
3と低屈折率部24を交互に配列して、屈折率差による
位相差にて回折作用を持たせたものである。図の(c)
は、矩形状の凹凸を交互に配列して厚みの差による位相
差にて回折作用を持たせたものである。これは2レベル
のバイナリー素子でもある。図の(d)は、表面を鋸歯
形状にしたものであり、キノフォームと呼ばれ、連続的
な厚みの差による位相差にて回折作用を持たせたもので
ある(図2)。図の(e)と(f)は、キノフォームを
4レベル及び8レベルで近似したバイナリー素子である
(図3)。このように回折面の形状にはいくつかの形式
があるが、本発明では、回折効率を高くして光量を有効
に利用したいため、図10(d)のキノフォームや図1
0(e)や図10(f)等の4レベル以上のバイナリー
素子を用いることが望ましい。
【0110】図11〜図13にそれぞれ実施例1〜3の
光軸を含むレンズ断面図を示す。以下、これらの実施例
を説明する。実施例1は、図11に示すように、フロン
トコンバータレンズCLにDOEを用いたものである。
フロントコンバータレンズCLは物体側の2枚からな
り、物体側より、両凸の正の第1レンズと両凹の負の第
2レンズからなり、第1レンズの物体側に正パワーの回
折面を、第2レンズの物体側に負パワーの回折面を設け
ている。また、この2枚のレンズ共プラスチックから構
成されている。
【0111】なお、フロントコンバータレンズCLを配
置するマスターレンズMLは、物体側より、物体側に凸
面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レン
ズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ、物体側
に凸面を向けた負メニスカスレンズ、両凹レンズ、両凸
レンズ、絞り、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた正メ
ニスカスレンズ、像面側に凸面を向けた負メニスカスレ
ンズ、両凸レンズ、平凹レンズからなる。
【0112】非球面は、フロントコンバータレンズCL
の2面の回折面と、マスターレンズMLの絞りの後の両
凸レンズの物体側の面、最も像側の平凹レンズの物体側
の面に用いている。
【0113】この実施例の無限物点における収差図を図
14に示す。図中、SAは球面収差、ASは非点収差、
DTは歪曲収差、CCは倍率色収差である(以下、同
じ)。また、図19にこの実施例の第1レンズの回折面
による中心(a)と周辺(最大像高の70%)(b)の
設計次数光と不要次数光のスポット図を、図20にこの
実施例の第2レンズの回折面による中心(a)と周辺
(最大像高の70%)(b)の設計次数光と不要次数光
のスポット図を示す。
【0114】この実施例では、不要次数光のスポットを
像面上で大きくしていると共に、不要次数光を重ね合わ
せてその色を目立たなくしている。
【0115】実施例2は、図12に示すように、ファイ
ンタレンズにDOEを用いたものである。このファイン
ダレンズは固定焦点であり、物体側より、両凸の正レン
ズと像反転部材であるプリズムからなる対物レンズ系O
bと、両凸で正のパワーを有する像反転部材であるプリ
ズムと両凸の正レンズからなる接眼レンズ系Ocから構
成されている。また、接眼レンズ系Ocの両凸レンズの
入射面に正パワーの回折面を設けている。非球面は、対
物レンズ系Obの両凸レンズの観察側の面と、接眼レン
ズ系Ocの回折面と、接眼レンズ系Ocの両凸レンズの
観察側の面に用いている。なお、図中、EPはアイポイ
ントである。
【0116】この実施例の無限物点における収差図を図
15に示す。また、図21にこの実施例における中心
(a)と周辺(最大像高の70%)(b)の設計次数光
と不要次数光のスポット図を示す。
【0117】この実施例では、不要次数光の焦点位置と
周辺での像面湾曲を同時に変化させているが、特に像面
湾曲収差によって不要次数光の像面上でのスポットを大
きくしている。
【0118】実施例3について、図13(a)に広角
端、同図(b)に中間画角、同図(c)に望遠端でのレ
ンズ断面図を示す。この実施例は、ファインダレンズに
DOEを用いたものである。このファインダレンズはズ
ーム系であり、物体側より、両凹の負の第1レンズと両
凸の正の第2レンズと絞りと物体側に凹の負メニスカス
レンズの第3レンズと図示していないが像反転部材であ
るダハミラーとからなる対物レンズ系Obと、絞りと凸
平の正のパワーを有する像反転部材であるプリズムと両
凸の正レンズからなる接眼レンズ系Ocから構成されて
いる。また、対物レンズ系Obの第1レンズと第2レン
ズを動かすことによってズーミングを行う。また、接眼
レンズ系Ocのプリズムの観察側の面に正パワーの回折
面を設けている。
【0119】非球面は、対物レンズ系Obの第2レンズ
の両面と、第3レンズの両面と、接眼レンズ系Ocの回
折面と、接眼レンズ系Ocの両凸レンズの物体側の面に
用いている。
【0120】この実施例の無限物点における広角端の収
差図を図16に、中間画角の収差図を図17に、望遠端
の収差図を図18にそれぞれ示す。また、この実施例の
中心(a)と周辺(最大像高の70%)(b)の広角端
での設計次数光と不要次数光のスポット図を図22に、
同様の中間画角での設計次数光と不要次数光のスポット
図を図23に、同様の望遠端での設計次数光と不要次数
光のスポット図を図24にそれぞれ示す。
【0121】この実施例でも、同様に不要次数光の焦点
位置と周辺での像面湾曲を同時に変化させているが、特
に焦点位置によって不要次数光の像面上でのスポットを
大きくしている。
【0122】以下に、上記実施例1〜3の数値データを
示す。各データ中、fは焦点距離、、fobは対物レンズ
系の焦点距離、fepは接眼レンズ系の焦点距離、FNO
Fナンバー、fB はバックフォーカス、ωは半画角、φ
は瞳径、r1 、r2 …は各レンズ面の曲率半径、d1
2 …は各レンズ面間の間隔、φ1 、φ2 …は各レンズ
面の有効径、nd1、nd2…は各レンズのd線の屈折率、
νd1、νd2…はd線のアッベ数であり、また、非球面形
状は前記(e)式にて表される。
【0123】 実施例1 f =148.52 FNO= 5.7 ω = 6.34° fB = 61.77 φ1 = 50.58 φ= 34.14 r1 = 49.93721 (回折面)d1 = 0.00000 nd1 =1001 νd1 =-3.45 r2 = 49.93929 d2 =17.96422 nd2 =1.49241 νd2 =57.66 r3 = -171.32435 d3 =10.53770 r4 = -76.98416 (回折面)d4 = 0.00000 nd3 =1001 νd3 =-3.45 r5 = -76.99122 d5 = 2.50000 nd4 =1.49241 νd4 =57.66 r6 = 46.35714 d6 = 3.50000 r7 = 247.07060 d7 = 2.40000 nd5 =1.80518 νd5 =25.42 r8 = 74.03930 d8 = 4.21600 nd6 =1.48749 νd6 =70.23 r9 = -184.01250 d9 = 0.20000 r10= 49.05590 d10= 3.15400 nd7 =1.72916 νd7 =54.68 r11= 166.32590 d11=30.71760 r12= 407.87420 d12= 1.50000 nd8 =1.77250 νd8 =49.60 r13= 16.05770 d13= 5.39400 r14= -28.19580 d14= 1.20000 nd9 =1.77250 νd9 =49.60 r15= 54.90090 d15= 0.20000 r16= 37.55390 d16= 2.87300 nd10=1.84666 νd10=23.78 r17= -78.69950 d17= 1.50000 r18= ∞(絞り) d18= 0.80000 r19= 38.13160 (非球面)d19= 2.51100 nd11=1.56016 νd11=60.30 r20= -103.84840 d20= 0.20000 r21= 22.42720 d21= 2.68000 nd12=1.48749 νd12=70.23 r22= 431.88110 d22= 2.11800 r23= -26.44210 d23= 1.20000 nd13=1.80518 νd13=25.42 r24= -192.57640 d24= 1.00000 r25= 31.92790 d25= 3.43100 nd14=1.60311 νd14=60.64 r26= -36.80100 d26= 7.02700 r27= ∞ (非球面)d27= 1.21200 nd15=1.79952 νd15=42.22 r28= 43.92620 非球面係数 第1面 K = 0.0000 A4 = 7.1253 ×10-11 A6 = 6.9126 ×10-14 A8 = 1.3674 ×10-16 A10=-1.6062 ×10-19 A12=-2.8003 ×10-26 第4面 K = 0.0000 A4 =-1.3482 ×10-10 A6 =-5.5717 ×10-13 A8 = 6.2479 ×10-16 A10= 1.6462 ×10-18 A12= 2.8827 ×10-26 第19面 K = 0.0000 A4 = 8.3634 ×10-6 A6 = 1.1592 ×10-8 A8 = 6.8945 ×10-11 A10= 4.7517 ×10-13 A12= 0 第27面 K = 0.0000 A4 =-5.2001 ×10-5 A6 =-1.5982 ×10-7 A8 = 4.3993 ×10-11 A10=-1.5466 ×10-14 A12= 0 。
【0124】 実施例2 fob= 8.76 fep= 19.54 ω = 28.47° φ = 4 φ8 = 11.376 r1 = ∞(絞り) d1 = 5.40000 r2 = 9.10054 d2 = 4.80144 nd1 =1.49241 νd1 =57.66 r3 = -6.76709 (非球面)d3 = 0.70000 r4 = ∞ d4 = 9.79200 nd2 =1.49241 νd2 =57.66 r5 = ∞ d5 = 1.00000 r6 = 29.10000 d6 =26.00000 nd3 =1.49241 νd3 =57.66 r7 = -92.46966 d7 = 0.70000 r8 = 19.91104 (回折面)d8 = 0.00000 nd4 =1001 νd4 =-3.45 r9 = 19.91144 d9 = 2.50000 nd5 =1.49241 νd5 =57.66 r10= -24.25124 (非球面)d10=15.00000 r11= ∞(EP) 非球面係数 第3面 K =-0.6303 A4 = 9.5175 ×10-4 A6 =-1.3475 ×10-5 A8 = 1.0691 ×10-6 A10=-2.1204 ×10-8 第8面 K = 0.0000 A4 = 2.8900 ×10-8 A6 = 1.2633 ×10-9 A8 =-1.0757 ×10-10 A10= 1.7575 ×10-12 第10面 K = 0.0000 A4 = 1.5320 ×10-4 A6 =-1.7569 ×10-6 A8 =-7.5255 ×10-8 A10= 2.0191 ×10-9
【0125】 実施例3 fob= 8.46 〜 12.97 〜 20.21 fep= 21.05 ω = 25.73°〜 16.09°〜 10.03° φ = 5 φ11= 8.992 r1 = -12.60009 d1 = 1.00000 nd1 =1.58423 νd1 =30.49 r2 = 12.23263 d2 =(可変) r3 = 8.66073 (非球面)d3 = 5.16550 nd2 =1.52542 νd2 =55.78 r4 = -7.42422 (非球面)d4 =(可変) r5 = ∞(絞り) d5 = 0.40000 r6 = -25.97580 (非球面)d6 = 1.50000 nd3 =1.58423 νd3 =30.49 r7 = -53.59938 (非球面)d7 =13.33000 r8 = ∞(絞り) d8 = 0.00000 r9 = 9.08700 d9 =29.50000 nd4 =1.52542 νd4 =55.78 r10= ∞ d10= 0.00000 nd5 =1001 νd5 =-3.45 r11= -410000.0000(回折面)d11= 1.70933 r12= 12.16575 (非球面)d12= 2.10000 nd6 =1.49241 νd6 =57.66 r13= -111.23645 d13=16.50000 r14= ∞(EP) 非球面係数 第3面 K = 0.0000 A4 =-6.6417 ×10-4 A6 =-1.4558 ×10-5 A8 =-1.1666 ×10-6 A10= 2.4026 ×10-8 第4面 K = 0.0000 A4 = 2.7643 ×10-4 A6 =-2.7493 ×10-5 A8 = 5.5890 ×10-7 A10=-4.4005 ×10-9 第6面 K = 0.0000 A4 =-1.1947 ×10-3 A6 = 2.2499 ×10-4 A8 =-6.8978 ×10-5 A10= 4.9897 ×10-6 第7面 K = 0.0000 A4 =-1.3663 ×10-3 A6 = 3.9508 ×10-4 A8 =-9.0569 ×10-5 A10= 5.9469 ×10-6 第11面 K = 0.0000 A4 =-3.2093 ×10-8 A6 = 1.0666 ×10-9 A8 =-7.1869 ×10-12 A10=-2.9699 ×10-13 第12面 K =-0.4308 A4 =-1.7162 ×10-4 A6 = 8.8593 ×10-6 A8 =-4.2087 ×10-7 A10= 7.6031 ×10-9
【0126】次に、上記実施例の条件式(1)〜(2
2)、(27)、(28)の値を次の表に示す。各条件
式は、1つの実施例において、不要次数光の0次と2次
の2種類について計算した。また、さらに、実施例1の
場合の条件式は、物体側からその回折面の番号を1、2
として、それぞれにおいて計算した。例えば、「第1D
OEにおける0次光の条件式」は“1−0”の記号で表
している。また、さらに、実施例3の場合は、広角端
(W)、中間画角(S)、望遠端(T)の3状態につい
てそれぞれ計算した。例えば、「広角端における0次光
の条件式」は“W−0”の記号で表している。
【0127】
【0128】上記の表において、例えば実施例1の条件
式(17)、(18)の欄には、0.234と0.11
2という数値が記載されている。ここで、1−2の欄は
空欄になっているが、数値が記載されていないのではな
く、1−0の記載の0.234と共通の値であるという
意味である。同様に、実施例1の条件式(21)、(2
2)の欄には、1.305という数値が記載されている
が、この数値は、1−0,1−2,2−0,2−2に共
通の値であることを意味している。その他の各実施例の
条件式についても同様である。
【0129】以上において、スポットの大きさの条件式
については、画面の中で最も小さくなる所で計算した。
また、スポットの大きさは、撮影レンズの場合は、0次
光をC線、2次光をg線で、また、ファインダレンズの
場合は、0次光をC線、2次光をF線で計算した。
【0130】また、不要次数光の焦点位置の条件式は、
本来最小錯乱円位置を焦点位置にするのが最適である
が、簡単のため、それに最も近いと思われる近軸焦点位
置で計算した。また、同様に、撮影レンズの場合は、0
次光をC線、2次光をg線で、また、ファインダレンズ
の場合は、0次光をC線、2次光をF線で焦点位置の差
を計算した。また、収差の条件式に関しても同様に上記
の波長で計算した。
【0131】以上説明した本発明の回折光学素子を用い
た光学系は、例えば次のように構成することができる。 〔1〕 回折光学素子を有し、不要次数光によるフレア
光が目立たなくなるように、不要次数光の像面における
スポットを大きくしたことを特徴とする回折光学素子を
用いた光学系。
【0132】〔2〕 上記〔1〕において、次の条件式
を満たし実像を形成することを特徴とする回折光学素子
を用いた光学系。 FNO・S・1300/(2Ih)>350 ・・・(1) ここで、FNO:光学系のFナンバー S :像面における不要次数光のスポットの大きさ Ih:光学系の像高 である。ただし、光学系の明るさを入射側開口数(NA
とする。)で表す場合は、FNOは1/(2・NA)とす
る。
【0133】〔3〕 上記〔1〕において、次の条件式
を満たし実像を形成することを特徴とする回折光学素子
を用いた光学系。 FNO・S・1300/(2Ih)>500 ・・・(2) ここで、FNO:光学系のFナンバー S :像面における不要次数光のスポットの大きさ Ih:光学系の像高 である。ただし、光学系の明るさを入射側開口数(NA
とする。)で表す場合は、FNOは1/(2・NA)とす
る。
【0134】〔4〕 上記〔1〕において、次の条件式
を満たし虚像を形成することを特徴とする回折光学素子
を用いた光学系。 ε>15′ ・・・(3) ここで、ε:不要次数光のスポットの視野角である。
【0135】〔5〕 上記〔1〕において、次の条件式
を満たし虚像を形成することを特徴とする回折光学素子
を用いた光学系。 ε>25′ ・・・(4) ここで、ε:不要次数光のスポットの視野角である。
【0136】〔6〕 回折光学素子を有し、不要次数光
によるフレア光が目立たなくなるように、不要次数光の
焦点位置を像面から遠ざけたことを特徴とする回折光学
素子を用いた光学系。
【0137】〔7〕 上記〔6〕において、不要次数光
の焦点位置は次の条件式を満たし実像を形成することを
特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 |fb1’−fb1|/Ih>0.5 ・・・(5) ここで、fb1’:不要次数光の焦点位置 fb1:設計次数光の焦点位置 Ih:光学系の像高 である。
【0138】〔8〕 上記〔6〕において、不要次数光
の焦点位置は次の条件式を満たし実像を形成することを
特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 |fb1’−fb1|/Ih>0.8 ・・・(6) ここで、fb1’:不要次数光の焦点位置 fb1:設計次数光の焦点位置 Ih:光学系の像高 である。
【0139】
〔9〕 上記〔6〕において、不要次数光
の焦点位置は次の条件式を満たし虚像を形成することを
特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 |fb2’−fb2|・Ih/1000>0.2 ・・・(7) ここで、fb2’:不要次数光の焦点位置(ただし、単位
はm-1) fb2:設計次数光の焦点位置(ただし、単位はm-1) Ih:光学系の像高 である。
【0140】〔10〕 上記〔6〕において、不要次数
光の焦点位置は次の条件式を満たし虚像を形成すること
を特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 |fb2’−fb2|・Ih/1000>0.4 ・・・(8) ここで、fb2’:不要次数光の焦点位置(ただし、単位
はm-1) fb2:設計次数光の焦点位置(ただし、単位はm-1) Ih:光学系の像高 である。
【0141】〔11〕 回折光学素子を有し、その焦点
距離が次の条件式を満たし実像を形成することを特徴と
する回折光学素子を用いた光学系。 |fDOE ・(mg ’−mg 2 /Ih|>0.5 ・・・(9) ここで、fDOE :回折光学素子の焦点距離 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。ただし、回折面が第1面の場合は、mg ’=
0、また、回折面が最終面の場合は、mg =1とする。
【0142】〔12〕 回折光学素子を有し、その焦点
距離が次の条件式を満たし実像を形成することを特徴と
する回折光学素子を用いた光学系。 |fDOE ・(mg ’−mg 2 /Ih|>0.65 ・・・(10) ここで、fDOE :回折光学素子の焦点距離 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。ただし、回折面が第1面の場合は、mg ’=
0、また、回折面が最終面の場合は、mg =1とする。
【0143】〔13〕 回折光学素子を有し、その焦点
距離が次の条件式を満たし虚像を形成することを特徴と
する回折光学素子を用いた光学系。 |fDOE ・α2 ・(mg ’−mg 2 ・1000/Ih|>0.025 ・・・(11) ここで、fDOE :回折光学素子の焦点距離 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。ただし、回折面が第1面の場合は、mg ’=
0、また、回折面が最終面の場合は、mg =1とする。
αは、α=(10+100/fb )/fb で定義する値
である。ただし、fb は設計次数光の焦点位置である。
【0144】〔14〕 回折光学素子を有し、その焦点
距離が次の条件式を満たし虚像を形成することを特徴と
する回折光学素子を用いた光学系。 |fDOE ・α2 ・(mg ’−mg 2 ・1000/Ih|>0.05 ・・・(12) ここで、fDOE :回折光学素子の焦点距離 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。ただし、回折面が第1面の場合は、mg ’=
0、また、回折面が最終面の場合は、mg =1とする。
αは、α=(10+100/fb )/fb で定義する値
である。ただし、fb は設計次数光の焦点位置である。
【0145】〔15〕 上記〔6〕において、少なくと
も1面ずつの正パワーと負パワーの回折面を有すること
を特徴とする回折光学素子を用いた光学系。
【0146】〔16〕 回折光学素子を有し、不要次数
光によるフレア光が目立たなくなるように、不要次数光
の収差を発生させたことを特徴とする回折光学素子を用
いた光学系。
【0147】〔17〕 回折光学素子を有し、不要次数
光によるフレア光が目立たなくなるように、不要次数光
の球面収差を瞳の周辺に行くに従い像面から遠ざける方
向に大きくしたことを特徴とする回折光学素子を用いた
光学系。
【0148】〔18〕 回折光学素子を有し、不要次数
光によるフレア光が目立たなくなるように、不要次数光
の像面湾曲収差を像面から遠ざける方向に大きくしたこ
とを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。
【0149】〔19〕 上記〔18〕において、不要次
数光の像面湾曲収差は次の条件式を満たし実像を形成す
ることを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 |DMmax1|/Ih>0.25 ・・・(13) ここで、DMmax1:不要次数光の焦点位置を基準にした
ときの、像面から最も離れたときの不要次数光の像面湾
曲収差(メリディオナル方向)の値 Ih:光学系の像高 である。
【0150】〔20〕 上記〔18〕において、不要次
数光の像面湾曲収差は次の条件式を満たし実像を形成す
ることを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 |DMmax1|/Ih>0.5 ・・・(14) ここで、DMmax1:不要次数光の焦点位置を基準にした
ときの、像面から最も離れたときの不要次数光の像面湾
曲収差(メリディオナル方向)の値 Ih:光学系の像高 である。
【0151】〔21〕 上記〔18〕において、不要次
数光の像面湾曲収差は次の条件式を満たし虚像を形成す
ることを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 |DMmax2|・Ih/1000>0.1 ・・・(15) ここで、DMmax2:不要次数光の焦点位置を基準にした
ときの、像面から最も離れたときの不要次数光の像面湾
曲収差(メリディオナル方向)の値(ただし、単位はm
-1) Ih:光学系の像高 である。
【0152】〔22〕 上記〔18〕において、不要次
数光の像面湾曲収差は次の条件式を満たし虚像を形成す
ることを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 |DMmax2|・Ih/1000>0.2 ・・・(16) ここで、DMmax2:不要次数光の焦点位置を基準にした
ときの、像面から最も離れたときの不要次数光の像面湾
曲収差(メリディオナル方向)の値(ただし、単位はm
-1) Ih:光学系の像高 である。
【0153】〔23〕 上記〔16〕から〔18〕の何
れか1項において、回折面には非球面効果を有している
ことを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。
【0154】〔24〕 上記〔18〕において、回折面
は周辺にいくにつれパワーが強くなることを特徴とする
回折光学素子を用いた光学系。
【0155】〔25〕 上記〔16〕から〔18〕の何
れか1項において、少なくとも1面の非球面を有してい
ることを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。
【0156】〔26〕 上記〔25〕において、非球面
は回折面で発生する収差と逆の収差を発生させているこ
とを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。
【0157】〔27〕 周辺にいくにつれパワーが強く
なる回折光学素子を有し、その面における焦点距離の変
化が次の条件式を満たし実像を形成することを特徴とす
る回折光学素子を用いた光学系。 |(fDmax−fDmin)・(mg ’−mg 2 /Ih|>0.05 ・・・(17) ここで、fDmax:回折光学素子の面の焦点距離の最大値 fDmin:回折光学素子の面の焦点距離の最小値 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。
【0158】〔28〕 周辺にいくにつれパワーが強く
なる回折光学素子を有し、その面における焦点距離の変
化が次の条件式を満たし実像を形成することを特徴とす
る回折光学素子を用いた光学系。 |(fDmax−fDmin)・(mg ’−mg 2 /Ih|>0.08 ・・・(18) ここで、fDmax:回折光学素子の面の焦点距離の最大値 fDmin:回折光学素子の面の焦点距離の最小値 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。
【0159】〔29〕 周辺にいくにつれパワーが強く
なる回折光学素子を有し、その面における焦点距離の変
化が次の条件式を満たし虚像を形成することを特徴とす
る回折光学素子を用いた光学系。 |(fDmax−fDmin)・α2 ・(mg ’−mg 2 ・Ih/1000| >0.001 ・・・(19) ここで、fDmax:回折光学素子の面の焦点距離の最大値 fDmin:回折光学素子の面の焦点距離の最小値 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。αは、α=(10+100/fb )/fb で定
義する値である。ただし、fb は設計次数光の焦点位置
である。
【0160】〔30〕 周辺にいくにつれパワーが強く
なる回折光学素子を有し、その面における焦点距離の変
化が次の条件式を満たし虚像を形成することを特徴とす
る回折光学素子を用いた光学系。 |(fDmax−fDmin)・α2 ・(mg ’−mg 2 ・Ih/1000| >0.005 ・・・(20) ここで、fDmax:回折光学素子の面の焦点距離の最大値 fDmin:回折光学素子の面の焦点距離の最小値 mg ’:回折光学素子を含んでそれより像側の横倍率 mg :回折光学素子を含まないでそれより像側の横倍率 Ih:光学系の像高 である。αは、α=(10+100/fb )/fb で定
義する値である。ただし、fb は設計次数光の焦点位置
である。
【0161】〔31〕 回折光学素子を有し、不要次数
光によるフレア光が目立たなくなるように、不要次数光
の色を変化させていることを特徴とする回折光学素子を
用いた光学系。
【0162】〔32〕 上記〔31〕において、少なく
とも2面の回折面を有し不要次数光を重ね合わせている
ことを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。
【0163】〔33〕 上記〔32〕において、不要次
数光が重なり合うように像面での主光線位置が略同じ位
置にあることを特徴とする回折光学素子を用いた光学
系。
【0164】〔34〕 上記〔32〕において、不要次
数光が重なり合うように像面でのスポットの大きさが略
同じであることを特徴とする回折光学素子を用いた光学
系。
【0165】〔35〕 上記〔32〕から〔34〕の何
れか1項において、回折面の焦点距離は次の条件式を満
たしていることを特徴とする回折光学素子を用いた光学
系。 0.33<|{fDOE1・(mg1’−mg12 } /{fDOE2・(mg2’−mg22 }|<3・・・(21) ここで、fDOE1:第1回折面の焦点距離 mg1’:第1回折面を含んでそれより像側の横倍率 mg1:第1回折面を含まないでそれより像側の横倍率 fDOE2:第2回折面の焦点距離 mg2’:第2回折面を含んでそれより像側の横倍率 mg2:第2回折面を含まないでそれより像側の横倍率 である。
【0166】〔36〕 上記〔32〕から〔34〕の何
れか1項において、回折面の焦点距離は次の条件式を満
たしていることを特徴とする回折光学素子を用いた光学
系。 0.5<|{fDOE1・(mg1’−mg12 } /{fDOE2・(mg2’−mg22 }|<2・・・(22) ここで、fDOE1:第1回折面の焦点距離 mg1’:第1回折面を含んでそれより像側の横倍率 mg1:第1回折面を含まないでそれより像側の横倍率 fDOE2:第2回折面の焦点距離 mg2’:第2回折面を含んでそれより像側の横倍率 mg2:第2回折面を含まないでそれより像側の横倍率 である。
【0167】〔37〕 上記〔32〕において、回折効
率を最大にする設計波長が次の条件式を満たし実像を形
成することを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 460<λDOE <560 ・・・(23) ここで、λDOE :設計波長(単位はnm)である。
【0168】〔38〕 上記〔32〕において、回折効
率を最大にする設計波長が次の条件式を満たし実像を形
成することを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 480<λDOE <540 ・・・(24) ここで、λDOE :設計波長(単位はnm)である。
【0169】〔39〕 上記〔32〕において、回折効
率を最大にする設計波長が次の条件式を満たし虚像を形
成することを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 530<λDOE <630 ・・・(25) ここで、λDOE :設計波長(単位はnm)である。
【0170】〔40〕 上記〔32〕において、回折効
率を最大にする設計波長が次の条件式を満たし虚像を形
成することを特徴とする回折光学素子を用いた光学系。 550<λDOE <610 ・・・(26) ここで、λDOE :設計波長(単位はnm)である。
【0171】〔41〕 上記〔32〕において、少なく
とも1面ずつの正パワーと負パワーの回折面は明るさ絞
りに対し共に同じ側に配置したことを特徴とする回折光
学素子を用いた光学系。
【0172】〔42〕 上記〔1〕から〔41〕の何れ
か1項において、白色の下で使用することを特徴とする
回折光学素子を用いた光学系。
【0173】〔43〕 上記〔1〕から〔41〕の何れ
か1項において、設計次数がm次のとき、スポットを大
きくする不要次数はm−1とm+1次であることを特徴
とする回折光学素子を用いた光学系。
【0174】〔44〕 上記〔1〕から〔41〕の何れ
か1項において、設計次数mが1次であることを特徴と
する回折光学素子を用いた光学系。
【0175】〔45〕 上記〔1〕、〔6〕、〔1
1〕、〔12〕、〔16〕、〔17〕、〔18〕、〔2
7〕、〔28〕、〔31〕の何れか1項において、次の
条件式を満たし実像を形成することを特徴とする回折光
学素子を用いた光学系。 |1300・C/(2・Ih・FNO)|<4.5 ・・・(27) ここで、C:C線又はg線の軸上色収差量 Ih:光学系の像高 FNO:光学系のFナンバー である。ただし、光学系の明るさを入射側開口数(NA
とする。)で表す場合は、FNOは1/(2・NA)とす
る。
【0176】〔46〕 上記〔1〕、〔6〕、〔1
1〕、〔12〕、〔16〕、〔17〕、〔18〕、〔2
7〕、〔28〕、〔31〕の何れか1項において、次の
条件式を満たし実像を形成することを特徴とする回折光
学素子を用いた光学系。 |1300・C/(2・Ih・FNO)|<3 ・・・(28) ここで、C:C線又はg線の軸上色収差量 Ih:光学系の像高 FNO:光学系のFナンバー である。ただし、光学系の明るさを入射側開口数(NA
とする。)で表す場合は、FNOは1/(2・NA)とす
る。
【0177】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
では、DOEの不要次数光のスポットを像面上で大きく
することにより、又は、不要次数光のスポットの色を変
えることにより、白色下でDOEを用いても不要次数光
のフレアを目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回折現象を説明するための図である。
【図2】キノフォームの断面形状を示す図である。
【図3】バイナリー光学素子の断面形状を示す図であ
る。
【図4】設計波長を500nmにしたとき波長と回折効
率の関係を示す図である。
【図5】DOEを用いた従来の光学系によるスポットの
様子を示す図である。
【図6】本発明の光学系によるスポットの様子を示す図
である。
【図7】回折面での各次数の光線の進行方向を示す図で
ある。
【図8】設計次数を1〜5にしたときの回折効率の変化
を示す図である。
【図9】設計波長500nm、設計次数1次のときの不
要次数光の波長と回折効率の関係を示す図である。
【図10】本発明において用いる回折面の具体的な形状
と例示する断面図である。
【図11】本発明の実施例1のレンズ断面図である。
【図12】本発明の実施例2のレンズ断面図である。
【図13】本発明の実施例3のレンズ断面図である。
【図14】実施例1における無限物点における収差図で
ある。
【図15】実施例2における無限物点における収差図で
ある。
【図16】実施例3の無限物点における広角端の収差図
である。
【図17】実施例3の無限物点における中間画角の収差
図である。
【図18】実施例3の無限物点における望遠端の収差図
である。
【図19】実施例1の第1レンズの回折面による中心と
周辺の設計次数光と不要次数光のスポット図である。
【図20】実施例1の第2レンズの回折面による中心と
周辺の設計次数光と不要次数光のスポット図である。
【図21】実施例2における中心と周辺の設計次数光と
不要次数光のスポット図である。
【図22】実施例3における中心と周辺の広角端での設
計次数光と不要次数光のスポット図である。
【図23】実施例3における中心と周辺の中間画角での
設計次数光と不要次数光のスポット図である。
【図24】実施例3における中心と周辺の望遠端での設
計次数光と不要次数光のスポット図である。
【符号の説明】
A…回折面 CL…フロントコンバータレンズ ML…マスターレンズ Ob…対物レンズ系 Oc…接眼レンズ系 EP…アイポイント 21…透明部 22…不透明部 23…高屈折率部 24…低屈折率部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回折光学素子を有し、不要次数光による
    フレア光が目立たなくなるように、不要次数光の像面に
    おけるスポットを大きくしたことを特徴とする回折光学
    素子を用いた光学系。
  2. 【請求項2】 回折光学素子を有し、不要次数光による
    フレア光が目立たなくなるように、不要次数光の焦点位
    置を像面から遠ざけたことを特徴とする回折光学素子を
    用いた光学系。
  3. 【請求項3】 回折光学素子を有し、不要次数光による
    フレア光が目立たなくなるように、不要次数光の収差を
    発生させたことを特徴とする回折光学素子を用いた光学
    系。
  4. 【請求項4】 回折光学素子を有し、不要次数光による
    フレア光が目立たなくなるように、不要次数光の色を変
    化させていることを特徴とする回折光学素子を用いた光
    学系。
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