JP2018163360A - 回折光学素子の光学材料設計方法および回折光学素子の製造方法 - Google Patents

回折光学素子の光学材料設計方法および回折光学素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018163360A
JP2018163360A JP2018107422A JP2018107422A JP2018163360A JP 2018163360 A JP2018163360 A JP 2018163360A JP 2018107422 A JP2018107422 A JP 2018107422A JP 2018107422 A JP2018107422 A JP 2018107422A JP 2018163360 A JP2018163360 A JP 2018163360A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical material
refractive index
optical element
optical
wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018107422A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6536718B2 (ja
Inventor
祥佑 井口
Tadasuke Iguchi
祥佑 井口
志保 西村
Shiho Nishimura
志保 西村
隆志 玄間
Takashi Genma
隆志 玄間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2018107422A priority Critical patent/JP6536718B2/ja
Publication of JP2018163360A publication Critical patent/JP2018163360A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6536718B2 publication Critical patent/JP6536718B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Abstract

【課題】無機微粒子分散型の樹脂を用いずに、有機化合物からなる樹脂成分を用いた光学材料で形成される回折光学素子であっても回折光学格子としての性能に優れた低屈折率高分散の光学材料と高屈折率低分散の光学材料との組合せを見出す。【解決手段】回折光学素子が使用される光の波長をλとし、波長の下限をλ1とし、波長の上限をλ2とし、第1光学材料と第2光学材料との屈折率の差をn21(λ)とし、最大値が1となるように規格化されたイメージセンサの分光感度特性を示す関数をg(λ)としたとき、次式の条件を満足するか否かを判定し、この条件を満足する候補の第1光学材料および第2光学材料を、回折光学素子に用いることが可能な光学材料として決定する。【選択図】なし

Description

本発明は、回折光学素子に用いられる光学材料に関する。
回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)は、薄いながらも所定の光
学特性を得られることから、光学機器によく用いられるようになってきている。一例を挙げれば、低屈折率高分散の光学材料と高屈折率低分散の光学材料とを回折格子溝を設けて積層して構成される密着複層型の回折光学素子が用いられている。密着複層型の回折光学素子においては、これを構成する低屈折率高分散の光学材料と高屈折率低分散の光学材料との屈折率の差および分散値の差が大きいほど、回折光学素子としての性能が得やすい。そのため、これら屈折率の差および分散値の差が大きくなる光学材料が求められている。これら屈折率の差および分散値の差を大きくするために、光学材料として無機微粒子を分散させた樹脂を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−342254号公報
しかしながら、無機微粒子を樹脂組成物に完全に均一に分散させることは難しく、無機微粒子を分散させた樹脂を用いて回折光学素子を安定して成形することは困難である。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、無機微粒子分散型の樹脂を用いず、有機化合物からなる樹脂成分を用いた光学材料で形成される回折光学素子であっても回折光学格子としての性能に優れた、低屈折率高分散の光学材料と高屈折率低分散の光学材料との組合せを見出すこと、また見出された光学材料の組合せを用いて性能の高い回折光学素子を得ることを課題とする。
上記の課題を解決する回折光学素子の光学材料設計方法は、それぞれが有機化合物からなる樹脂を主成分とし無機微粒子を含まない低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料とを回折格子溝を設けて積層して構成される密着複層型の回折光学素子の光学材料設計方法であって、前記回折光学素子が使用される光の波長をλ[nm]とし、前記波長の下限をλ1[nm]とし、前記波長の上限をλ2[nm]とし、前記回折光学素子に用いる候補の前記第1光学材料と前記第2光学材料との屈折率の差をn21(λ)とし、最大値が1となるように規格化されたイメージセンサの分光感度特性を示す関数をg(λ)としたとき、後述の式(3)で表される条件を満足するか否かを判定し、前記条件を満足する前記候補の前記第1光学材料および前記第2光学材料を、前記回折光学素子に用いることが可能な光学材料として決定するようになっている。
上記の課題を解決する回折光学素子の製造方法は、それぞれが有機化合物からなる樹脂を主成分とし無機微粒子を含まない低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料とを回折格子溝を設けて積層して構成される密着複層型の回折光学素子の製造方法であって、前記回折光学素子が使用される光の波長をλ[nm]とし、前記波長の下限をλ1[nm]とし、前記波長の上限をλ2[nm]とし、前記回折光学素子に用いる候補の前記第1光学材料と前記第2光学材料との屈折率の差をn21(λ)とし、最大値が
1となるように規格化されたイメージセンサの分光感度特性を示す関数をg(λ)としたとき、後述の式(3)で表される条件を満足するか否かを判定し、前記条件を満足する前記候補の前記第1光学材料および前記第2光学材料を、前記回折光学素子に用いることが可能な光学材料として決定することを含んでいる。
回折光学素子の光学材料の組み合わせに応じて求まる格子高さおよびフレア総量のグラフである。 密着複層型の回折光学素子の構成を示す断面図である。 密着複層型の回折光学素子を備えて構成されるレンズの断面図である。 (a)はブレーズ波長がd線の回折光学素子におけるフレア比率と波長との関係を示すグラフであり、(a)はブレーズ波長がe線の回折光学素子におけるフレア比率と波長との関係を示すグラフである。 (a)はブレーズ波長がd線の回折光学素子における波面段差と波長との関係を示すグラフであり、(a)はブレーズ波長がe線の回折光学素子における波面段差と波長との関係を示すグラフである。 屈折率差と波長との関係を示すグラフである。 フレア比率と波長との関係を示すグラフである。 格子高さの変化に応じたフレア比率と波長との関係を示すグラフである。 フレア総量と格子高さとの関係を示すグラフである。 回折光学素子の光学材料設計方法を示すフローチャートである。 比視感度曲線を示すグラフである。 回折光学素子を用いた撮像装置を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本実施形態の回折光学素子(DOE)およびこれを用いた光学レンズの例を説明する。図2は、密着複層型の回折光学素子DOEの構造(断面構造)を示している。この回折光学素子DOEは、それぞれが有機化合物からなる樹脂を主成分とし無機微粒子を含まない低屈折率高分散の第1光学材料からなる第1回折光学要素1と、高屈折率低分散の第2光学材料からなる第2回折光学要素2とから構成され、第1および第2回折光学要素1,2の間に鋸歯状のレリーフパターン5(回折格子を形成する溝パターン)が形成されている。
図3は、上述の回折光学素子DOEを用いた光学レンズ(以下、PFレンズ10と称する)の例を示している。このPFレンズ10は、第1レンズ要素11と第2レンズ要素12との間に回折光学素子DOEを挟んで構成される。第1および第2レンズ要素11,12は、一般的なガラス、樹脂等から所定のレンズ形状に形成されたものである。
上述の回折光学素子DOEにおいて、それぞれが有機化合物からなる樹脂を主成分とし無機微粒子を含まない第1光学材料と第2光学材料との屈折率の差をn21(λ)とし、回折光学素子DOEが使用される光の波長をλ(λ1≦λ≦λ2)とし、所定の重み付け関数をg(λ)としたとき、次式(1)の条件を満足している。
Figure 2018163360
式(1)は、屈折率の差n21(λ)で規定される第1光学材料と第2光学材料において
、回折効率の観点から適正な組み合わせの範囲を示すもので、第1光学材料と第2光学材料との組み合わせにおいてフレア総量Fが最小となる場合のフレア総量Fmを規定したものである。式(1)の上限値としてフレア総量Fm=0.23という値は、フレアが十分抑えられた値である。しかしながら、さらに、回折光学素子を搭載する光学系用途に応じたフレア色(回折光により生じるフレアの色)を実現するために、格子高さの調整しろが必要となる場合がある。回折光学素子を構成する第1光学材料と第2光学材料とが式(1)の条件を満足するように材料を選択することにより、フレア色の色調調整を施す為に格子高さを僅かに修正した場合であっても、フレアの増加を最小限に抑えつつ、回折フレア結像性能の優れた回折光学素子を提供することができる。
上述の回折光学素子DOEにおいて、それぞれが有機化合物からなる樹脂を主成分とし無機微粒子を含まない第1光学材料と第2光学材料との屈折率の差をn21(λ)とし、回折光学素子DOEが使用される光の波長をλ(λ1≦λ≦λ2)とし、所定の重み付け関数をg(λ)としたとき、次式(2)の条件を満足している。
Figure 2018163360
式(2)は、屈折率の差n21(λ)で規定される第1光学材料と第2光学材料において、格子高さの観点から適正な組み合わせの範囲を示すものである。式(2)の上限値を上回ると、回折光学素子DOEを成形する際、光学材料を押し広げるときに気泡が混入しやすくなるため、成形が難しくなる。また、金型(成形型)を剥離する際にパターンの欠け等が生じ易くなる。
さらに、上述の回折光学素子DOEにおいて、それぞれが有機化合物からなる樹脂を主成分とし無機微粒子を含まない第1光学材料と第2光学材料との屈折率の差をn21(λ)とし、回折光学素子DOEが使用される光の波長をλ(λ1≦λ≦λ2)とし、所定の重み付け関数をg(λ)としたとき、次式(3)の条件を満足している。
Figure 2018163360
式(3)は、屈折率の差n21(λ)で規定される第1光学材料と第2光学材料において、回折効率の観点からさらに適正な組み合わせの範囲を示すもので、第1光学材料と第2光学材料との組み合わせにおいてフレア総量Fが最小となる場合のさらに好ましいフレア総量Fmを規定したものである。
上述の式(1)〜(3)を利用して、回折光学素子DOEに用いられる第1光学材料と第2光学材料を決定することができる。
以下、式(1)〜(3)の導出およびこの式を利用した光学材料設計方法について説明する。まず、本実施形態の光学材料設計方法で用いられるフレア比率について説明する。光学分野におけるスカラー理論によれば、m次回折光(m:整数)の回折効率ηm(λ)
は次式(4)〜(6)で表される。
Figure 2018163360
Figure 2018163360
Figure 2018163360
ここで、n1(λ)は波長λの光に対する第1光学材料の屈折率であり、n2(λ)は波長λの光に対する第2光学材料の屈折率である。また、dはレリーフパターン5の高さ(以下、格子高さと称する)であり、φ(λ)は波面段差を波長単位で表したものである。φ(λ)について理想的には、使用する全ての波長に対して次式(7)であることが求められる。
Figure 2018163360
このとき、1次回折光の回折効率η1(λ)は次式(8)で表される。
Figure 2018163360
またこのとき、0次回折光の回折効率η0(λ)は次式(9)で表される。
Figure 2018163360
またこのとき、2次回折光の回折効率η2(λ)は次式(10)で表される。
Figure 2018163360
本実施形態では、φ(λ)が理想からわずかにずれている場合を想定する。この場合、φ(λ)は次式(11)、(12)で表される。
Figure 2018163360
Figure 2018163360
ここで、Δn(λ)は波長λにおける理想的な屈折率差からのずれ量であり、次式(13)で表される。
Figure 2018163360
Δφ(λ)が1に比べて十分に小さいとき、1次回折光の回折効率η1(λ)は次式(
14)で表される。
Figure 2018163360
またこのとき、0次回折光の回折効率η0(λ)は次式(15)で表される。
Figure 2018163360
またこのとき、2次回折光の回折効率η2(λ)は次式(16)で表される。
Figure 2018163360
ここで、1次回折光に対する0次回折光および2次回折光の比率として、フレア比率fR(λ)を次式(17)のように定義する。
Figure 2018163360
この式(17)に前述の式(14)〜(16)を代入すると、フレア比率fR(λ)は
次式(18)で表される。
Figure 2018163360
さらに、Δφ(λ)が1に比べて十分に小さいとして近似すると、フレア比率fR(λ
)を次式(19)のように表すことができる。
Figure 2018163360
一例として、低屈折率高分散である第1光学材料としてフッ素系のアクリル酸エステルとフルオレン系のアクリル酸エステルとの混合物を主成分とする組成物を硬化させたものを用い、高屈折率低分散である第2光学材料としてトリシクロデカン骨格をもつアクリル酸エステルを反応させて得られたオリゴマーの硬化物(後述の第8グループに相当)を用いて、フレア比率をスカラー計算した結果と式(19)により近似計算した結果とを比較したグラフを図4に示す。なお、図4(a)はブレーズ波長がd線(587.56nm)の回折光学素子における計算結果であり、図4(b)はブレーズ波長がe線(546.07nm)の回折光学素子における計算結果である。図4に示すように、式(19)による近似精度は高いことがわかる。
なお、Δφ(λ)は、第1光学材料と第2光学材料の屈折率差および格子高さがわかれば、式(12)および式(13)を用いて算出することができる。Δφ(λ)の計算結果を図5に示す。なお、図5(a)はブレーズ波長がd線の回折光学素子における計算結果であり、図5(b)はブレーズ波長がe線の回折光学素子における計算結果である。
次に、式(19)で近似されるフレア比率を利用した格子高さの最適化方法について説明する。図4、5で用いた従来の回折光学素子における第1光学材料と第2光学材料との屈折率差と波長との関係を図6に示す。また、従来の回折光学素子におけるフレア比率と波長との関係を図7に示す。図6において、第1光学材料と第2光学材料との屈折率差を示す理想直線の傾きは、式(13)からも分かるように格子高さの逆数(1/d)である。そのため、理想的な屈折率差からのずれ量Δn(λ)は、格子高さdに依存する。また、式(19)より、フレア比率についても同様のことがいえる。すなわち、フレア(回折光学素子DOEを使用する際に不要となる0次回折光および2次回折光)の波長特性は、第1光学材料の屈折率n1(λ)と、第2光学材料の屈折率n2(λ)と、格子高さdで決まる。したがって、フレア比率を抑えるには、格子高さdを最適化する必要がある。なお、フレア比率fR(λ)は改めてfRとして次式(20)のように表すこともできる。
Figure 2018163360
波長λがλ1(例えば、400nm)からλ2(例えば、700nm)までの範囲で生
じるフレア比率の総和(以下、フレア総量と称する)Fは、フレア比率fR(λ)の積分
値として次式(21)のように表すことができる。
なお、本実施形態においては、回折光学素子をデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、一眼レフカメラの交換レンズ等、可視光を用いる撮像光学系として使用する場合、使用波長領域として前記波長の下限値λ1を400nm、前記波長の上限値λ2を700nmと設定する。
Figure 2018163360
ここで、g(λ)は、光学系のスペクトル分布、光学系の透過率、撮像系の感度など、或いはこれらの積で表される重み付け関数(波長λの関数)である。式(20)を用いて式(21)を展開すると、フレア総量Fは次式(22)で表される。
Figure 2018163360
ここで、式(22)の各項A,B,C,Dはそれぞれ、次式(23)〜(26)で表される。
Figure 2018163360
Figure 2018163360
Figure 2018163360
Figure 2018163360
フレア総量Fが最小となる条件は、次式(27)で表される。
Figure 2018163360
式(27)より、フレア総量Fが最小となる場合の格子高さdmは、次式(28)で表される。
Figure 2018163360
また、式(28)より、フレア総量Fが最小となる場合のフレア総量Fmは、次式(29)で表される。
Figure 2018163360
この式(28)および式(29)が、フレア総量Fが最小になるように格子高さdを最適化するための条件式となる。なお、光学系のスペクトル分布、光学系の透過率、撮像系の感度などを考慮しない場合、すなわち、g(λ)=1のとき、フレア総量Fが最小となる場合の格子高さdmは、次式(30)で表される。
Figure 2018163360
また、g(λ)=1のとき、フレア総量Fが最小となる場合のフレア総量Fmは、次式(31)で表される。
Figure 2018163360
一例として、低屈折率高分散である第1光学材料としてフッ素系のアクリル酸エステルとフルオレン系のアクリル酸エステルとの混合物を主成分とする組成物を硬化させたものを用い、高屈折率低分散である第2光学材料としてトリシクロデカン骨格をもつアクリル酸エステルを反応させて得られたオリゴマーの硬化物(後述の第8グループに相当)を用い、格子高さdを22.8μmから24.8μmまで変化させてそれぞれ算出したフレア比率fR(λ)を図8に示す。また、波長λが400nm〜700nmの範囲で算出した
フレア総量Fと格子高さdとの関係を図9に示す。なお、図9では、g(λ)=1としている。図9に示すように、格子高さdが23.8μm近傍の条件で、フレア総量Fが最小
になることがわかる。また、図8に示すように、フレア総量Fが最小になる格子高さdが23.8のときに、可視光における波長分布が最も均一になり、フレアの色が赤色や青色、あるいは緑色などに極端に偏るのを防ぐことができる。
このように、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料の屈折率の差が分かれば、式(28)〜(29)(もしくは、式(30)〜(31))を利用して、フレア総量Fが最小になるように格子高さdを最適化することができる。フレア総量Fが最小となる場合のフレア総量Fmについては、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料とが、次式(32)の条件を満足することが好ましい。
Figure 2018163360
すなわち、先に述べた式(1)の条件を満足していることが好ましい。以下に示すように、最小となるフレア総量Fmが0.23以下であれば回折光学素子DOEから生じるフレアが抑えられるため、回折光学素子DOEの光学性能を良好に保つことができる。本来、式(32)の上限値としてフレア総量Fm=0.23という値は、フレアが十分に抑えられた値である。しかしながら、回折光学素子を搭載する光学系の用途に応じ、わずかに残存するフレア光の色調の調整が必要となる場合がある。図8に示すように、格子高さが式(30)で表されるdmからプラス側またはマイナス側にずれると、フレア光の色調は変化する。この変化を利用し、格子高さを調整することによりフレア光の色調を調整することができる。フレア光の色調の調整のために、調整される格子高さの範囲は、通常約±0.05μmの範囲から±約0.5μmの範囲である。
図9は、図8の結果に比視感度を掛けたときの、格子高さとフレア総量の関係を表した図である。例えば図9においては、Fm=0.102が最小値であり、その時の格子高さが約±0.5μmの範囲にわたり変化した場合であっても、フレア総量Fmは0.23以下となる。したがって、この格子高さの範囲内であれば使用用途に応じてフレア光の色調を自由に調整することができる。つまり、式(32)の条件を満足することにより、色調の調整を実施した場合であっても十分な光学性能を保った回折光学素子を提供することができる。さらに、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折低分散の第2光学材料とのフレア総量の最小値Fmを基準として色調の調整を実施するので、格子高さの変化に対するフレア総量の変化率を最小限に抑えることが可能となる。このように、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料との屈折率の差が分かれば、式(28)〜(29)(もしくは、式(30)〜(31))を利用して、フレア総量Fが最小になるように最適な第1光学材料と第2光学材料との組み合わせを選択することができる。
さらに、フレア総量Fが最小となる場合の格子高さdmについて、式(33)の条件を満足することが好ましい。
Figure 2018163360
すなわち、先に述べた式(2)の条件を満足していることが好ましい。格子高さdmが式(33)の条件を満足していれば、回折光学素子DOEを容易に成形することができる。なお、式(33)の上限値を上回ると、回折光学素子DOEを成形する際、光学材料を押し広げるときに気泡が混入しやすくなり成形が難しくなる。また、金型(成形型)を剥離する際にパターンの欠け等が生じ易くなる等の問題も生じるため、成形条件等の制約が
大きくなる。
さらに、フレア総量Fが最小となる場合のフレア総量Fmについては、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料とが、次式(34)の条件を満足することが好ましい。
Figure 2018163360
式(34)は、屈折率の差n21(λ)で規定される第1光学材料と第2光学材料において、回折効率の観点からさらに適正な組み合わせの範囲を示すもので、第1光学材料と第2光学材料との組み合わせにおいてフレア総量Fが最小となる場合のさらに好ましいフレア総量Fmを規定したものである。式(34)の条件式を満足する第1光学材料と第2光学材料を選択することにより、フレア総量Fをさらに抑えられるとともに、フレア光の色調の調整自由度および製造条件の自由度を格段に増やすことができる。
続いて、式(1)〜(2)を利用した光学材料の設計フローについて、図10のフローチャートを参照しながら説明する。まず、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料の組み合わせの候補を決める(ステップST101)。候補となる組み合わせとして、第1光学材料と第2光学材料の両方が新規に創製された光学材料であってもよく、第1光学材料と第2光学材料のうち一方が新規に創製された光学材料で他方が既存の光学材料であってもよい。また、第1光学材料と第2光学材料の両方が既存の光学材料であってもよい。
次に、先のステップST101で決めた第1光学材料と第2光学材料の屈折率および屈折率の差を求める(ステップST102)。このとき、第1光学材料の屈折率n1(λ)
については、h線(405nm)、g線(436nm)、F線(486.1nm)、e線(546.07nm)、d線(587.56nm)、C線(656.3nm)等の複数の波長に対する屈折率をそれぞれ測定し、次式(35)で表される屈折率の分散曲線における各項の係数A0〜A5を算出して、各波長に対する屈折率を求める。
Figure 2018163360
また、第2光学材料の屈折率n2(λ)については、第1光学材料の屈折率n1(λ)と同様に複数の波長に対する屈折率をそれぞれ測定し、次式(36)で表される屈折率の分散曲線における各項の係数B0〜B5を算出して、各波長に対する屈折率を求める。
Figure 2018163360
そして、式(35)および式(36)を用いて、各波長に対する屈折率の差(n21(λ):式(6)を参照)を求める。なお、式(35)の係数A0〜A5と式(36)の係数B0〜B5は同義であるが、本実施形態では説明容易化のために区別して記載している。
以下、低屈折率高分散の第1光学材料および高屈折率低分散の第2光学材料の候補として合成した複数の樹脂について、以下14組の樹脂の組み合わせを選択し、上記計測を行
い、フレア総量Fm、最適格子高さdmを算出した。表1に樹脂の組み合わせを示す。樹脂の組み合わせは便宜的に第1〜第14グループと称する。以下において、低屈折率高分散の第1光学材料である樹脂を記号A、高屈折率低分散の第2光学材料である樹脂を記号Bでそれぞれ示すとともに、その記号の下位に、組成の樹脂に応じた番号をつけている。さらに、組成の樹脂が同じであっても配合比が異なるものについてはハイフン(−)1からハイフン(−)3を付与して区別している。
(表1)
グループ名 第1光学材料 第2光学材料
第1グループ 樹脂A1 樹脂B1
第2グループ 樹脂A2 樹脂B2
第3グループ 樹脂A3 樹脂B3
第4グループ 樹脂A1−1 樹脂B2−1
第5グループ 樹脂A1−1 樹脂B2−2
第6グループ 樹脂A1−2 樹脂B2−3
第7グループ 樹脂A1−2 樹脂B3−1
第8グループ 樹脂A1−2 樹脂B4
第9グループ 樹脂A4 樹脂B1
第10グループ 樹脂A4 樹脂B4−1
第11グループ 樹脂A2 樹脂B5
第12グループ 樹脂A2 樹脂B5−1
第13グループ 樹脂A4 樹脂B4−2
第14グループ 樹脂A2 樹脂B1
第1グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、フッ素系のアクリル酸エステルとフルオレン系のアクリル酸エステルとの混合物を主成分とする組成物を硬化させた樹脂である。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、チオールと、トリシクロデカン骨格をもつアクリル酸エステルを反応させて得られたオリゴマーを硬化させた樹脂である。
第2グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、ビスフェノール骨格をもつ樹脂である。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、チオールと、トリシクロデカン骨格をもつアクリル酸エステルを反応させて得られたオリゴマーを硬化させた樹脂である。
第3グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、ビスフェノール骨格をもつ樹脂である。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、2種のチオールと、トリシクロデカン骨格をもつアクリル酸エステルを反応させて得られたオリゴマーを硬化させた樹脂である。
第4グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第1グループにおける第1光学材料と同様で、配合比を変えたものである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、第2グループにおける第2光学材料と同様で、配合比を変えたものである。
第5グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第4グループにおける第1光学材料と同じである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、第2グループにおける第2光学材料と同様で、配合比を変えたものである。
第6グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第1グループにおける第1光学材料と同様で、配合比を変えたものである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、第2グループにおける第2光学材料と同様で、配合比を変えたものである。
第7グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第6グループにおける第1光学材料と同じである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、第3グループにおける第2光学材料と同様で、配合比を変えたものである。
第8グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第6グループにおける第1光学材料と同じである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、2種のチオール(1つ
はトリシクロデカン骨格をもつチオール)と、トリシクロデカン骨格をもつアクリル酸エステルを反応させて得られたオリゴマーを硬化させた樹脂である。
第9グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、ビスフェノール骨格を持つアクリル酸エステルとフッ素系のアクリル酸エステルとの混合物を硬化させた樹脂である。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、第1グループにおける第2光学材料と同じである。
第10グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第9グループにおける第1光学材料と同じである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、第8グループにおける第2光学材料と同様で、配合比を変えたものである。
第11グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第2グループにおける第1光学材料と同じである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、トリシクロデカン骨格をもつチオールと、トリシクロデカン骨格をもつアクリル酸エステルとを反応させて得られたオリゴマーを硬化させた樹脂である。
第12グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第2グループにおける第1光学材料と同じである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、第11グループにおける第2光学材料と同様で、配合比を変えたものである。
第13グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第9グループにおける第1光学材料と同じである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、第10グループにおける第2光学材料と同様で、配合比を変えたものである。
第14グループにおいて、低屈折率高分散の第1光学材料は、第2グループにおける第1光学材料と同じである。また、高屈折率低分散の第2光学材料は、第1グループにおける第2光学材料と同様である。
なお、上述した第1〜第14グループの樹脂はそれぞれ、光重合開始材を0.1〜0.5重量%含んでいる。
次に、表1に示した第1光学材料と第2光学材料の組合せからなる回折光学素子DOEについて算出した屈折率(係数A0〜A5および係数B0〜B5)を次の表2に示す。
(表2)
グループ名 A0/B01/B12/B23/B34/B45/B5
第1グループ 2.277981 -0.00464 0.014612 0.00261 -0.00036 0.0000342
2.367936 0.002708 0.02193 -0.00162 0.000288 -0.000016
第2グループ 2.275591 -0.00316 0.016172 0.002251 -0.00039 0.0000322
2.376195 -0.00692 -0.00014 0.005781 -0.00083 0.0000462
第3グループ 2.275591 -0.00316 0.016172 0.002251 -0.00039 0.0000322
2.319678 0.038251 0.045709 -0.00671 0.000793 -0.000035
第4グループ 2.265189 -0.0138 0.009935 0.001919 -0.0000018 -0.0000007
2.379781 -0.00406 0.003001 0.005383 -0.00083 0.000047
第5グループ 2.265189 -0.0138 0.009935 0.001919 -0.0000018 -0.0000007
2.317441 0.027186 0.054526 -0.01405 0.002489 -0.00016
第6グループ 2.29366 0.00071 0.019114 0.001897 -0.00028 0.0000304
2.329237 0.037535 0.063875 -0.01449 0.002227 -0.00013
第7グループ 2.286323 -0.00444 0.036998 -0.00791 0.001758 -0.00011
2.333714 0.040432 0.068656 -0.01621 0.002526 -0.00015
第8グループ 2.29366 0.00071 0.019114 0.001897 -0.00028 0.0000304
2.435204 -0.02572 -0.01407 0.009837 -0.0014 0.0000783
第9グループ 2.365574 -0.03098 -0.0153 0.011076 -0.00151 0.0000853
2.367936 0.002708 0.02193 -0.00162 0.000288 -0.000016
第10グループ 2.365574 -0.03098 -0.0153 0.011076 -0.00151 0.0000853
2.343431 0.019152 0.04043 -0.00727 0.001102 -0.00006
第11グループ 2.277563 -0.0031 0.016484 0.001416 -0.00014 0.0000123
2.314673 0.027899 0.049493 -0.00998 0.001438 -0.000076
第12グループ 2.277563 -0.0031 0.016484 0.001416 -0.00014 0.0000123
2.347063 0.002701 0.023477 -0.00291 0.000549 -0.000034
第13グループ 2.365574 -0.03098 -0.0153 0.011076 -0.00151 0.0000853
2.370312 0.004577 0.023047 -0.00194 0.000333 -0.000018
第14グループ 2.277563 -0.0031 0.016484 0.001416 -0.00014 0.0000123
2.367936 0.002708 0.02193 -0.00162 0.000288 -0.000016
次に、先のステップST102で求めた屈折率の差から、式(28)〜式(29)を利用して、フレア総量Fが最小となる場合の格子高さdmおよびフレア総量Fmを求める(ステップST103)。ここで、フレア総量Fが最小となる場合の格子高さdmおよびフレア総量Fmの算出例を次の表3および図1に示す。なお、表3および図1に示す各グループは、表1の各グループと同じである。また、格子高さdmおよびフレア総量Fmを算出する際、重み付け関数g(λ)として、図11に示すように、最大値が1となるように規格化された明所での比視感度曲線の式を用いている。
(表3)
グループ名 dm[μm] Fm
第1グループ 19.6 0.224
第2グループ 24.57 0.259
第3グループ 19.32 0.276
第4グループ 15.82 0.489
第5グループ 15.75 0.436
第6グループ 19.87 0.183
第7グループ 17.61 0.282
第8グループ 22.85 0.102
第9グループ 34.64 0.111
第10グループ 32.11 0.135
第11グループ 22.1 0.26
第12グループ 25.78 0.16
第13グループ 31.81 0.138
第14グループ 19.26 0.421
次に、先のステップST103で求めたフレア総量Fが最小となる場合の格子高さdmおよびフレア総量Fmが、前述の式(32)および式(33)の条件を満足しているか否か、すなわち、式(1)および式(2)の条件を満足しているか否かを判定する(ステップST104)。判定がYesの場合、候補である第1光学材料および第2光学材料を、回折光学素子DOEに使用可能な(適した)光学材料として決定する(ステップST105)。一方、判定がNoの場合、候補である第1光学材料および第2光学材料を、回折光学素子DOEに不適な光学材料として決定する(ステップST106)。例えば、上述の表3および図1の例において、第1、第6、第8、第12グループの第1光学材料および第2光学材料の組み合わせが回折光学素子DOEに用いることが可能な光学材料として決定される。これら4組の樹脂の組合せを用いることにより、無機微粒子分散型の樹脂を用いずとも有機化合物からなる樹脂のみでフレア光量を十分に小さい値に抑えられる。さらに、これらの樹脂の組合せからなる回折光学素子は、回折光学素子の用途に応じてフレア光の色調を調整した場合であっても、フレア光量の増加を十分に小さい値に抑えることができる。
なお、上述の表3および図1の例において、第9、第10、第13グループについても、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料の組み合わせとして式(1)の条件を満足している。このように式(1)の条件のみを満足している場合、成形条件は制約されるものの、フレア光量を十分に抑えることができ、回折光学素子の用途に応じてフレア光の色調を調整した場合であっても、フレア光量の増加を十分に小さい値に抑えた回折光学素子を実現することができる。
また、前述のステップST104において、先のステップST103で求めたフレア総量Fが最小となる場合の格子高さdmおよびフレア総量Fmが、前述の式(34)および式(33)の条件を満足しているか否か、すなわち、式(3)および式(2)の条件を満足しているか否かを判定するようにしてもよい。このようにすれば、さらにフレア光量を抑えることができるとともに、回折光学素子の用途に応じたフレア光の色調の調整自由度および製造条件の自由度を格段に向上させることができる。例えば、上述の表3および図1の例において、第6、第8、第12グループの第1光学材料および第2光学材料の組み合わせが回折光学素子DOEに用いることが可能な光学材料として決定される。
もちろん、式(3)の条件のみを満足することを判定条件として、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料との組み合わせを選択するようにしてもよい。このようにすれば、成形条件は制約されるものの、フレア光量をさらに抑えることができ、回折光学素子の用途に応じてフレア光の色調を調整した場合であっても、フレア光量の増加をさらに小さい値に抑えた回折光学素子を実現することができる。
図12に、本実施形態の密着複層型の回折光学素子(DOE)を搭載した光学機器の一例として撮像装置51を示す。この撮像装置51はいわゆるデジタル一眼レフカメラであり、カメラボディ52のレンズマウント(不図示)にレンズ鏡筒53が着脱自在に取り付けられる。そして、レンズ鏡筒53の撮像レンズ54を通した光がカメラボディ52の背面側に配置されたマルチチップモジュールのセンサチップ(固体撮像素子)55上に結像される。撮像レンズ54を構成する少なくとも1つのレンズ群56は、上述した密着複層型の回折光学素子(DOE)を含んでいる。
以上説明したように、本実施形態によれば、前述の式(1)の左辺において、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料の屈折率の差から、フレア総量Fが最小となる場合のフレア総量Fmを求めることができる。また、前述の式(2)の左辺において、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料の屈折率の差から、フレア総量Fが最小となる場合の格子高さdmを求めることができる。そして、このフレア総量Fmが式(1)の条件を満足する第1光学材料と第2光学材料の組み合わせを見つけるようにすれば、簡便な方法で、回折光学素子DOEに適した低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料とを得ることができる。さらに、格子高さdmが式(2)の条件を満足する第1光学材料と第2光学材料の組み合わせを見つけるようにすれば、簡便な方法で、加工上の制約が少ない回折光学素子DOEに適した低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料とを得ることができる。
さらに、本実施形態により、作成した回折光学素子を、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、一眼レフカメラの交換レンズ等の撮像光学系や顕微鏡等に使用することにより、フレア光量が少なく、かつ色収差を抑えた光学像を得ることができる。
なお、重み付け関数g(λ)を、最大値が1となるように規格化された比視感度特性を示す関数とすることで、顕微鏡や双眼鏡等、目視で観察するための観察光学系に用いられる回折光学素子DOEに適した、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2
光学材料とを得ることができる。また、比視感度には、図11に示すように、明所での比視感度と暗所での比視感度があり、用途に応じて使い分けることで、柔軟な光学材料設計が可能になる。
上述の実施形態において、重み付け関数g(λ)として、最大値が1となるように規格化された比視感度特性を示す関数を例示しているが、これに限られるものではなく、例えば、最大値が1となるように規格化されたイメージセンサ(図示せず)の分光感度特性を示す関数を用いるようにしてもよい。これにより、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、一眼レフカメラの交換レンズ等の、撮像光学系に用いられる回折光学素子DOEに適した、低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料とを得ることができる。
上述の実施形態において、回折光学素子DOEの断面構造が鋸歯状であるが、これに限られるものではなく、例えば、矩形状であってもよく、回折格子溝が形成されていればよい。
上述の実施形態において、式(1)および式(2)の条件を満足する光学材料の組み合わせとして、第1、第6、第8、第12グループの第1光学材料および第2光学材料を例示しているが、これに限られるものではなく、式(1)および式(2)の条件を満足する樹脂材料の組み合わせであればよい。
上述の実施形態において、光学材料の使用波長域として、400nm〜700nmの可視域を例示しているが、これに限られるものではなく、例えば、赤外線撮像装置や蛍光顕微鏡等、紫外域や赤外域の波長域に対応した光学材料を設計することも可能である。
DOE 回折光学素子
1 第1回折光学要素 2 第2回折光学要素
5 レリーフパターン(回折格子溝)
51 撮像装置(光学機器)

Claims (4)

  1. それぞれが有機化合物からなる樹脂を主成分とし無機微粒子を含まない低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料とを回折格子溝を設けて積層して構成される密着複層型の回折光学素子の光学材料設計方法であって、
    前記回折光学素子が使用される光の波長をλ[nm]とし、前記波長の下限をλ1[nm]とし、前記波長の上限をλ2[nm]とし、前記回折光学素子に用いる候補の前記第1光学材料と前記第2光学材料との屈折率の差をn21(λ)とし、最大値が1となるように規格化されたイメージセンサの分光感度特性を示す関数をg(λ)としたとき、次式
    Figure 2018163360
    の条件を満足するか否かを判定し、
    前記条件を満足する前記候補の前記第1光学材料および前記第2光学材料を、前記回折光学素子に用いることが可能な光学材料として決定する回折光学素子の光学材料設計方法。
  2. さらに次式の条件を満足するように前記候補の前記第1光学材料および前記第2光学材料を、前記回折光学素子に用いることが可能な光学材料として決定する請求項1に記載の回折光学素子の光学材料設計方法。
    Figure 2018163360
  3. それぞれが有機化合物からなる樹脂を主成分とし無機微粒子を含まない低屈折率高分散の第1光学材料と高屈折率低分散の第2光学材料とを回折格子溝を設けて積層して構成される密着複層型の回折光学素子の製造方法であって、
    前記回折光学素子が使用される光の波長をλ[nm]とし、前記波長の下限をλ1[nm]とし、前記波長の上限をλ2[nm]とし、前記回折光学素子に用いる候補の前記第1光学材料と前記第2光学材料との屈折率の差をn21(λ)とし、最大値が1となるように規格化されたイメージセンサの分光感度特性を示す関数をg(λ)としたとき、次式
    Figure 2018163360
    の条件を満足するか否かを判定し、
    前記条件を満足する前記候補の前記第1光学材料および前記第2光学材料を、前記回折光学素子に用いることが可能な光学材料として決定することを含む回折光学素子の製造方法。
  4. さらに次式の条件を満足するように前記候補の前記第1光学材料および前記第2光学材
    料を、前記回折光学素子に用いることが可能な光学材料として決定することを含む請求項3に記載の回折光学素子の製造方法。
    Figure 2018163360
JP2018107422A 2018-06-05 2018-06-05 回折光学素子の光学材料設計方法および回折光学素子の製造方法 Active JP6536718B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018107422A JP6536718B2 (ja) 2018-06-05 2018-06-05 回折光学素子の光学材料設計方法および回折光学素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018107422A JP6536718B2 (ja) 2018-06-05 2018-06-05 回折光学素子の光学材料設計方法および回折光学素子の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014266661A Division JP2016126157A (ja) 2014-12-26 2014-12-26 回折光学素子、光学機器、および回折光学素子の光学材料設計方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018163360A true JP2018163360A (ja) 2018-10-18
JP6536718B2 JP6536718B2 (ja) 2019-07-03

Family

ID=63861076

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018107422A Active JP6536718B2 (ja) 2018-06-05 2018-06-05 回折光学素子の光学材料設計方法および回折光学素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6536718B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06194571A (ja) * 1992-12-25 1994-07-15 Olympus Optical Co Ltd 内視鏡対物レンズ
JPH11125709A (ja) * 1997-10-21 1999-05-11 Olympus Optical Co Ltd 回折光学素子を用いた光学系
JP2000241614A (ja) * 1998-12-24 2000-09-08 Canon Inc 回折光学素子及びそれを有した撮影光学系
WO2006068138A1 (ja) * 2004-12-20 2006-06-29 Nikon Corporation 密着複層型回折光学素子、それに用いられる光学材料、樹脂前駆体及び樹脂前駆体組成物
WO2006068137A1 (ja) * 2004-12-20 2006-06-29 Nikon Corporation 密着複層型回折光学素子、それに用いられる光学材料、樹脂前駆体及び樹脂前駆体組成物
WO2006090614A1 (ja) * 2005-02-22 2006-08-31 Nikon Corporation 回折光学素子
JP2012189983A (ja) * 2011-02-22 2012-10-04 Nikon Corp 回折光学素子及びこれを有する光学系
WO2013168740A1 (ja) * 2012-05-09 2013-11-14 旭硝子株式会社 回折光学素子および撮像光学系

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06194571A (ja) * 1992-12-25 1994-07-15 Olympus Optical Co Ltd 内視鏡対物レンズ
JPH11125709A (ja) * 1997-10-21 1999-05-11 Olympus Optical Co Ltd 回折光学素子を用いた光学系
JP2000241614A (ja) * 1998-12-24 2000-09-08 Canon Inc 回折光学素子及びそれを有した撮影光学系
WO2006068138A1 (ja) * 2004-12-20 2006-06-29 Nikon Corporation 密着複層型回折光学素子、それに用いられる光学材料、樹脂前駆体及び樹脂前駆体組成物
WO2006068137A1 (ja) * 2004-12-20 2006-06-29 Nikon Corporation 密着複層型回折光学素子、それに用いられる光学材料、樹脂前駆体及び樹脂前駆体組成物
WO2006090614A1 (ja) * 2005-02-22 2006-08-31 Nikon Corporation 回折光学素子
JP2012189983A (ja) * 2011-02-22 2012-10-04 Nikon Corp 回折光学素子及びこれを有する光学系
WO2013168740A1 (ja) * 2012-05-09 2013-11-14 旭硝子株式会社 回折光学素子および撮像光学系

Also Published As

Publication number Publication date
JP6536718B2 (ja) 2019-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5137432B2 (ja) 密着2層型の回折光学素子とそれを用いた光学系及び光学機器
US8120852B2 (en) Diffractive optical element, optical system, and optical apparatus
JP4673120B2 (ja) 回折光学素子及びこれを有する光学系
JP5413714B2 (ja) 接眼レンズ
US7710651B2 (en) Contacting two-layer diffractive optical element
JP5258204B2 (ja) 回折光学素子とそれを用いた光学系並びに光学機器
CN104040405B (zh) 变焦光学系统
US20130148202A1 (en) Microscope objective lens
JP5546217B2 (ja) 回折光学素子およびそれを有する光学系、撮像装置
JP3691638B2 (ja) ズームレンズ及びそれを用いたカメラ
JP4006362B2 (ja) 回折光学素子、及びそれを有する光学系
JP5641461B2 (ja) ズーム光学系及びこれを有する撮像装置
JP3472154B2 (ja) 回折光学素子及びこれを有する光学系
JP2013125259A (ja) 回折光学素子、光学系および光学機器
JP2015011293A (ja) 回折光学素子の製造方法
JP5765998B2 (ja) 回折光学素子、光学系および光学機器
JP6536718B2 (ja) 回折光学素子の光学材料設計方法および回折光学素子の製造方法
US20030231396A1 (en) Diffractive optical element, and optical system and optical apparatus provided with the same
US6313958B1 (en) Diffractive-refractive photographic optical system
JP7071085B2 (ja) 回折光学素子、光学系、および、撮像装置
JP6961366B2 (ja) 光学系及びそれを有する撮像装置
JP2016126157A (ja) 回折光学素子、光学機器、および回折光学素子の光学材料設計方法
JP5615065B2 (ja) 回折光学素子、光学系及び光学機器
JP2012189983A (ja) 回折光学素子及びこれを有する光学系
US8508847B2 (en) Diffractive optical element and optical device

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190320

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190520

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6536718

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250