JP2012189983A - 回折光学素子及びこれを有する光学系 - Google Patents
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Description
本発明は、回折光学素子及びこれを有する光学系(特に顕微鏡光学系)に関する。
回折光学素子を使うと従来技術と比較して色収差補正などに優位点があり、ハイスペックな光学系の設計が可能である。しかしながら、回折光学素子には、結像に寄与する次数の回折光だけでなく、その他の次数(不要次数)の回折光がフレアになるという問題があった。フレア光量が多い場合に目立つのは当然であるが、少ない場合でも色味が強いと目立ってしまう。そこで、不要次数の回折光によるフレア光を白色化することで、目立ちにくくした回折光学素子の設計方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載の設計方法には、回折光学素子を構成する材料については明記されていない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、不要次数の回折光によるフレアを目立たなくするため、色味を軽減してフレア光量とバランスを取ることができるように、回折光学面を形成する2種類の材料の組み合わせと、回折光学面の格子高とを規定した、密着複層型の回折光学素子及びこれを有する光学系を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明は、相対的に高屈折率の材料で形成された第1の光学素子要素と、相対的に低屈折率の材料で形成された第2の光学素子要素が密着しており、当該界面に回折格子溝が形成された回折光学面を有する回折光学素子において、以下の条件式を満足する。
ここで、x、λSW及びλLWは、
とする。
但し、 nd1,nF1,nC1,nSW1,nLW1:前記第1の光学素子要素の材料のd線,F線,C線,前記波長λSW,前記波長λLWにおける屈折率、
nd2,nF2,nC2,nSW2,nLW2:前記第2の光学素子要素の材料のd線,F線,C線
,前記波長λSW,前記波長λLWにおける屈折率、
h:前記回折光学面の格子高。
但し、 nd1,nF1,nC1,nSW1,nLW1:前記第1の光学素子要素の材料のd線,F線,C線,前記波長λSW,前記波長λLWにおける屈折率、
nd2,nF2,nC2,nSW2,nLW2:前記第2の光学素子要素の材料のd線,F線,C線
,前記波長λSW,前記波長λLWにおける屈折率、
h:前記回折光学面の格子高。
また、本発明の光学系は、上記構成の回折光学素子を有して構成される。
本発明によれば、不要次数の回折光によるフレアを目立たなくするため、色味を軽減してフレア光量とバランスを取ることができるように、回折光学面を形成する2種類の材料の組み合わせと、回折光学面の格子高とを規定した、回折光学素子及びこれを有する光学系を提供することができる。
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る回折光学素子DOEは、相対的に高屈折率低分散の材料で形成された第1の光学素子要素11と、相対的に低屈折率高分散の材料で形成された第2の光学素子要素12が密着しており、その界面に格子高hで多数の回折格子溝13aを設けて回折光学面13を構成した、いわゆる「密着複層型回折光学素子」である。
このような密着複層型の回折光学素子DOEでは、上記のように高屈折率低分散の材料と低屈折率高分散の材料を組み合わせることで、広い波長域に亘り高い回折効率を目指している。なお、本実施形態において「回折効率」は、光学系として使用する回折光の光束の入射光束に対する比(回折光束/入射光束)を示す。
このような第1及び第2の光学素子要素11,12を形成する2種類の材料の屈折率に関して、使用波長域の任意の波長で式(1)の関係が満たされる場合、不要次数の回折光の回折効率はスカラー計算では0になる。
但し、λ0は基準波長を、λは(使用波長域の)任意の波長を、n01,n1は第1の光学素子要素11の材料の基準波長λ0,任意の波長λにおける屈折率を、n02,n2は第2の光学素子要素12の材料の基準波長λ0,任意の波長λにおける屈折率を示す。
しかしながら、式(1)を満たす材料は存在せず、回折効率には波長依存性が存在し、ある波長(ブレーズ波長)ではスカラー計算で100%の回折効率になっていても、他の波長での回折効率が落ちてしまう。一般的には、可視波長域で使用する場合、第1及び第2の光学素子要素11,12を形成する材料の屈折率には、以下の式(2)の関係があると良いとされている。
但し、nd1,nF1,nC1は第1の光学素子要素11の材料のd線,F線,C線における屈折率を、nd2,nF2,nC2は第2の光学素子要素12の材料のd線,F線,C線における屈折率を、λd,λC,λFはd線、C線、F線の各波長を示す。
しかしながら、回折光学素子DOEに通常使用されるような屈折率分散を持った材料では、短波長域で屈折率の変化が大きく、式(2)を満たすような材料の組み合わせでは、短波長域での回折効率が落ちてしまい、不要次数の回折光によるフレア光が青っぽくなって目立ってしまう。
上記のような通常の材料で形成された回折光学素子DOEでは、ブレーズ波長(λ)とそのときの格子高(h)において図2に示すような関係(h=λ/(n1−n2))が見られる。ここで、n1とn2は、それぞれ波長λにおける高屈低分散材料と低屈高分散材料の屈折率を示す。この関係を利用して、格子高を変えた場合のブレーズ波長及びスカラー回折効率を求め、その結果を図3に示す。図3から分かるように、適切な格子高を設定することにより、広い波長範囲で高い回折効率が得られる。また、回折効率の落ちた部分が不要次数の回折光によるフレア源となるので、ブレーズさせる格子高によってフレア光の色が変化することが分かる。
ここで、ブレーズさせる格子高が最小になるブレーズ波長を「中心波長」と呼ぶと、中心波長は第1及び第2の光学素子要素11,12を形成する材料の分散に依存しており、いくつかの材料の組み合わせで調べた結果、中心波長と材料の分散には図4のようなほぼ線形の関係があることが分かった(図中の◆印参照)。なお、図4では、材料の分散の指標をxとし、式(3)のように定義している。
但し、nd1,nF1,nC1は第1の光学素子要素11の材料のd線,F線,C線における屈折率を、nd2,nF2,nC2は第2の光学素子要素12の材料のd線,F線,C線における屈折率を示す。
また、フレア光の色を調べるため、光源光の波長分布を仮定し、いくつかの材料の組み合わせにおいて、入射光源光に対するフレア光の色差を計算し、色差が最小になるブレー
ズ波長と、(フレアの色が目立ちにくいとする目安として)色差が10以下になるブレーズ波長をシミュレーションした結果を図4に示す。
ズ波長と、(フレアの色が目立ちにくいとする目安として)色差が10以下になるブレーズ波長をシミュレーションした結果を図4に示す。
なお、光源光の波長分布はハロゲンランプに、熱線吸収フィルタを組み合わせ、さらにニュートラルカラーバランスフィルタを組み合わせたもの(図5参照)を仮定した。色差は、L*a*b*表色系での値から[(L*)^2+(a*)^2+(b*)^2]^1/2として計算した。なお、L*は明度を表し、a*とb*は色度座標となる。また、最大値を1に規格化した光源光分布(図5)では、L*=81.9、a*≒0、b*≒0となっている。フレア光の分布は、スカラー計算による回折効率をηとし、(1−η+0.005)×光源光分布とした。定数部分の前記+0.005は、実際の厚さを考慮した回折光学素子の電磁場シミュレーションでは回折効率が落ちるため、スカラー計算では出てこない部分として加えたものである。
図4のシミュレーション結果から、第1及び第2の光学素子要素11,12を形成する材料の分散の指標xは、式(4)を満足することが好ましい。
式(4)を満足する場合、フレア光の色味が少なく(赤、青、緑の各フレア光量のバランスが取れ)、フレア光量の少ない格子高が存在する。しかしながら、式(4)の下限値を下回ると、中心波長が青の波長域になるため、格子高の変化によって、赤のフレア光量が多い状態から青のフレア光量が多い状態に変化し、色のバランスを取るのが難しくなる。つまり、中心波長が短くなるため、フレア光の色味が少ない格子高が存在しなくなる。また、式(4)の上限値を上回ると、中心波長が緑の波長域になるため、格子高の変化によって、赤と青のフレア光量が多い状態から緑のフレア光量の多い状態に変化し、色のバランスが取れるような格子高は存在するものの、フレア光量が多く(L*が大きく)なる。つまり、フレア光の色味が少なくなる格子高で、フレア光量が多くなってしまう。
さらに、式(4)の範囲で、格子高は式(5)を満足することが好ましい。なお、λSWとλLWは、図4のシミュレーション結果から導出された(式(4)の範囲内の)ある指標xでのおおよそ色差10以下となるブレーズ波長の下限波長と上限波長であり、式(6)のように定義される。
なお、式(6)を導出するにあたり、波長の変化に対して格子高の変化が緩やかな(中心波長よりも)長波長側のブレーズ波長の値を参考にしている。
但し、nSW1,nLW1は第1の光学素子要素11の材料の波長λSW,波長λLWにおける屈折率を、nSW2,nLW2は第2の光学素子要素12の材料の波長λSW,波長λLWにおける屈
折率を、hは回折光学面13の格子高を示す。
折率を、hは回折光学面13の格子高を示す。
格子高が式(5)を満足する場合、光源光に対して色差が10以下であるため、光源光に対してフレア光の色が目立ちにくくなる。
また、アスペクト比(=回折光学面13の格子高h/回折光学面13の最小ピッチp)が大きくなると、ブレーズ波長でも回折効率が落ち、不要次数の回折光によるフレア光が増える。一般に、回折光学素子は、中心部から周辺部にかけてピッチが細かくなる。アスペクト比を0.5以下に規定することにより、スカラー計算では考慮できないフレア光量を制限することができる。さらにアスペクト比は0.3以下にすることが望ましい。
以上のように、構成材料の屈折率、格子高及び回折光学面のアスペクト比を規定することにより、不要次数の光によるフレアの色味を軽減することができる回折光学素子を得ることができる。
以下、本実施形態に係る第1実施例〜第3実施例について、図面を用いて説明する。
(第1実施例)
図1に示す密着複層型の回折光学素子DOEを、第1の光学素子要素11を樹脂A(nd1=1.55715、nF1=1.56499、nC1=1.55385)で形成し、第2の光学素子要素12を樹脂B(nd2=1.52780、nF2=1.53911、nC2=1.52329)で形成し、回折光学面13の格子高hを19.88(μm)として構成した。中心波長は485nmとなる。
図1に示す密着複層型の回折光学素子DOEを、第1の光学素子要素11を樹脂A(nd1=1.55715、nF1=1.56499、nC1=1.55385)で形成し、第2の光学素子要素12を樹脂B(nd2=1.52780、nF2=1.53911、nC2=1.52329)で形成し、回折光学面13の格子高hを19.88(μm)として構成した。中心波長は485nmとなる。
光源光の波長分布には図4のシミュレーションで用いたもの、すなわちハロゲンランプに、熱線吸収フィルタを組み合わせ、さらにニュートラルカラーバランスフィルタを組み合わせたもの(図5参照)を想定しており、前記光源光に対する色差が10以下になる回折光学面13の格子高hの範囲は19.54(μm)≦h≦20.23(μm)であり、適切なブレーズ波長範囲は561nm〜598nmである。
このように回折光学素子DOEを構成することで、フレア光の色味及び光量を共に抑えることができた。
なお、本実施例は、式(3)〜式(6)をほぼ満足するように構成されており、指標xは-6.3、λSWは558.2、λLWは595.7となる。よって、nSW1は1.55896、nSW2は1.53033、nLW1は1.55670、nLW2は1.52717となり、格子高h(19.50(μm)≦h≦20.17(μm))と、適切なブレーズ波長範囲λSW〜λLW(558.2nm〜595.7nm)とが導出された。
参考として、本実施例の材料の組み合わせを用いて回折光学素子DOEを構成した場合のブレーズ波長と格子高との関係を図2に、格子高(ブレーズ波長)と回折効率との関係を図3に示す。
(第2実施例)
図1に示す密着複層型の回折光学素子DOEを、第1の光学素子要素11を低融点ガラスQ−LASFH18S(光ガラス)(nd1=1.851170、nF1=1.866116、nC1=1.844863)で形成し、第2の光学素子要素12を低融点ガラスQ−SF6S(光ガラス)(nd2=1.803010、nF2=1.825442、nC2=1.793991)で形成し、回折光学面13の格子高hを12.39(μm)として構成した。中心波長は516nmになる。
図1に示す密着複層型の回折光学素子DOEを、第1の光学素子要素11を低融点ガラスQ−LASFH18S(光ガラス)(nd1=1.851170、nF1=1.866116、nC1=1.844863)で形成し、第2の光学素子要素12を低融点ガラスQ−SF6S(光ガラス)(nd2=1.803010、nF2=1.825442、nC2=1.793991)で形成し、回折光学面13の格子高hを12.39(μm)として構成した。中心波長は516nmになる。
光源光の波長分布には図4のシミュレーションで用いたもの、すなわちハロゲンランプ
に、熱線吸収フィルタを組み合わせ、さらにニュートラルカラーバランスフィルタを組み合わせたもの(図5参照)を想定しており、前記光源光に対する色差が10以下になる回折光学面13の格子高hの範囲は12.23(μm)≦h≦12.56(μm)であり、適切なブレーズ波長範囲は591nm〜626nmである。
に、熱線吸収フィルタを組み合わせ、さらにニュートラルカラーバランスフィルタを組み合わせたもの(図5参照)を想定しており、前記光源光に対する色差が10以下になる回折光学面13の格子高hの範囲は12.23(μm)≦h≦12.56(μm)であり、適切なブレーズ波長範囲は591nm〜626nmである。
このように回折光学素子DOEを構成することで、フレア光の色味及び光量を共に抑えることができた。
なお、本実施例は、式(3)〜式(6)をほぼ満足するように構成されており、指標xは-4.7、λSWは587.4、λLWは625.2となる。よって、nSW1は1.851190、nSW2は1.803039、nLW1は1.847460、nLW2は1.797672となり、格子高h(12.20(μm)≦h≦12.56(μm))と、適切なブレーズ波長範囲λSW〜λLW(587.4nm〜625.2nm)とが導出された。
参考として、本実施例の材料の組み合わせを用いて回折光学素子DOEを構成した場合のブレーズ波長と格子高との関係を図6に、格子高(ブレーズ波長)と回折効率との関係を図7に示す。
(第3実施例)
図8に示すように、第1実施例の密着複層型回折光学素子DOEを有する光学系を構成した。本実施例の光学系は、物体側から順に、顕微鏡対物レンズG1と、結像レンズG2とから構成される。
図8に示すように、第1実施例の密着複層型回折光学素子DOEを有する光学系を構成した。本実施例の光学系は、物体側から順に、顕微鏡対物レンズG1と、結像レンズG2とから構成される。
顕微鏡対物レンズG1は、物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズとの貼り合わせからなる接合レンズL13と、両凸レンズと両凹レンズと両凸レンズとの貼り合わせからなる接合レンズL14と、平行平板と第1実施例の回折光学素子DOEと平行平板との貼り合わせからなる接合レンズL15と、両凹レンズと両凸レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる接合レンズL16とを有して構成されている。
なお、接合レンズL15に含まれる第1実施例に係る回折光学素子DOEは、物体側に樹脂Bで形成された第2の光学素子要素12が、像側に樹脂Aで形成された第1の光学素子要素11が位置するように配置されている。
このような構成の顕微鏡対物レンズG1は、射出光が平行光束となるため、この平行光束を結像させるために結像レンズG2と組み合わせて用いられる。結像レンズG2は、物体側から順に並んだ、両凸レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる接合レンズL21と、両凸レンズと両凹レンズとの貼り合わせからなる接合レンズL22と、両端が平面からなるプリズムL23とを有して構成されている。なお、プリズムL23は、光路長のみを考慮しており、実形状を表しているわけではない。
以下の表1に、本実施例に係る光学系の諸元の表を示す。
表中の[全体諸元]において、f1は対物レンズG1の焦点距離、f2は結像レンズG2の焦点距離、βは(結像レンズG2と組み合わせた場合の)倍率、NAは(物体側の)開口数を示す。
表中の[レンズデータ]において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序を、Rは各光学面の曲率半径を、dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔を、ndはレンズの材質のd線(波長587.6nm)に対す
る屈折率を、νdはνd=(nd−1)/(nF−nC)で定義されるアッベ数を、nFとnCはそれぞれレンズ材質のF線とC線の屈折率を、曲率半径の「∞」は平面を示す。空気の屈折率「1.000」は省略する。
る屈折率を、νdはνd=(nd−1)/(nF−nC)で定義されるアッベ数を、nFとnCはそれぞれレンズ材質のF線とC線の屈折率を、曲率半径の「∞」は平面を示す。空気の屈折率「1.000」は省略する。
表中の[非球面データ]には、[レンズデータ]に示した非球面について、その形状を次式(a)で示す。なお、X(y)は非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸方向に沿った距離を、Rは基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)を、κは円錐定数を、Aiは第i次の非球面係数を示す。また、「E-n」は、「×10-n」を示す。例えば、1.234E-05=1.234×10-5である。
X(y)=(y2/R)/{1+(1−κ×y2/R2)1/2}
+A2×y2+A4×y4+A6×y6+A8×y8 …(a)
+A2×y2+A4×y4+A6×y6+A8×y8 …(a)
本実施例の回折光学素子DOEに形成された回折光学面13(図1参照)の位相差は、通常の屈折率と上述の非球面式(a)とを用いて行う超高屈折率法により計算した。超高屈折率法とは、非球面形状と回折光学面の格子ピッチとの間の一定の等価関係を利用するものであり、本実施例においては、回折光学面を超高屈折率法のデータとして、すなわち、上述の非球面式(a)及びその係数により示している。
本実施例では、[レンズデータ]において、回折光学面が形成されたレンズ面には面番号の左側に*印を付し、超高屈折率法に用いるデータは[非球面データ]として諸元表内に示す。
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径R、面間隔d、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。
本実施例では、表中の面番号1〜29が、図8に示す曲率半径R1〜R29の各光学面に対応する。具体的には、面番号1〜21(曲率半径R1〜R21)が、対物レンズG1に相当する。面番号22〜29(曲率半径R22〜R29)が、結像レンズG2に相当する。面番号13〜16(曲率半径R13〜R16)が、図1に示す第1実施例の回折光学素子DOEに相当し、そのうちの面番号14,15(曲率半径R14,15)が、回折光学素子DOEの回折光学面13に相当する。
(表1)
[全体諸元]
f1=4
f2=200
β=50×
NA=0.8
[レンズデータ]
面番号 R d nd νd
物体面 ∞ 3.38
1 -4.220 4.00 1.903 35.7 L11
2 -5.421 0.20
3 -47.354 4.00 1.603 65.5 L12
4 -12.900 0.20
5 85.133 1.10 1.517 52.4 L13
6 12.610 8.00 1.498 82.5
7 -16.869 0.20
8 30.992 5.35 1.640 60.1 L14
9 -17.900 1.20 1.738 32.3
10 9.973 5.60 1.498 82.5
11 -32.895 3.00
12 ∞ 2.50 1.517 64.1 L15
13 ∞ 0.06 1.528 34.7 (樹脂B)
14 ∞ 0.00 10001.000 -3.5
*15 ∞ 0.06 1.557 50.2 (樹脂A)
16 ∞ 3.00 1.517 64.1
17 ∞ 16.10
18 -67.221 1.70 1.652 58.5 L16
19 12.651 2.70 1.717 29.5
20 -9.076 1.25 1.517 52.3
21 8.270 91.00
22 75.043 5.10 1.623 57.0 L21
23 -75.043 2.00 1.750 35.2
24 1600.58 7.50
25 50.256 5.10 1.668 42.0 L22
26 -84.541 1.80 1.613 44.4
27 36.911 5.50
28 ∞ 30.00 1.569 56.0 L23
29 ∞ 143.81
[非球面データ]
第15面(回折光学面)
κ=1.0000
A2=-5.9524E-08,A4=3.8419E-10,A6=-4.8802E-12,A8=6.5871E-15
[全体諸元]
f1=4
f2=200
β=50×
NA=0.8
[レンズデータ]
面番号 R d nd νd
物体面 ∞ 3.38
1 -4.220 4.00 1.903 35.7 L11
2 -5.421 0.20
3 -47.354 4.00 1.603 65.5 L12
4 -12.900 0.20
5 85.133 1.10 1.517 52.4 L13
6 12.610 8.00 1.498 82.5
7 -16.869 0.20
8 30.992 5.35 1.640 60.1 L14
9 -17.900 1.20 1.738 32.3
10 9.973 5.60 1.498 82.5
11 -32.895 3.00
12 ∞ 2.50 1.517 64.1 L15
13 ∞ 0.06 1.528 34.7 (樹脂B)
14 ∞ 0.00 10001.000 -3.5
*15 ∞ 0.06 1.557 50.2 (樹脂A)
16 ∞ 3.00 1.517 64.1
17 ∞ 16.10
18 -67.221 1.70 1.652 58.5 L16
19 12.651 2.70 1.717 29.5
20 -9.076 1.25 1.517 52.3
21 8.270 91.00
22 75.043 5.10 1.623 57.0 L21
23 -75.043 2.00 1.750 35.2
24 1600.58 7.50
25 50.256 5.10 1.668 42.0 L22
26 -84.541 1.80 1.613 44.4
27 36.911 5.50
28 ∞ 30.00 1.569 56.0 L23
29 ∞ 143.81
[非球面データ]
第15面(回折光学面)
κ=1.0000
A2=-5.9524E-08,A4=3.8419E-10,A6=-4.8802E-12,A8=6.5871E-15
上記構成の光学系によれば、諸収差が良好に補正され、優れた結像性能が確保することができる。
本実施例の顕微鏡対物レンズでは、問題になる不要次数はおおよそ±5次光程度である。もっと高次の次数では回折角が大きくなるため、問題になりにくい。図9に第1実施例の条件で計算した電磁場解析計算結果を示す。すなわち、第1実施例の材料の組み合わせを用いて構成した等間隔ピッチの1次モデルにおいて、ブレーズ波長を580nmとし、格子高hを19.88μmとし、結像に−1次光を使う場合に、ピッチpを変化させて、アスペクト比(h/p)を変えたときの結果である。不要次数を±5次光で考えると、図9に示すように、アスペクト比が0.3のときにフレア光量は約0.5%であり、アスペクト比が0.5のときにフレア光量は約1%である。本実施例の回折光学面13(表1のレンズデータでは面番号14,15)の有効径はφ12.8mmであり、格子高hが19.88μmとすると、最小ピッチpは89.0μmになる。従って、アスペクト比は0.22になり、h/p≦0.5を満たすため、スカラー計算では考慮できないフレア光量を制限することができる。
以上説明したように、本発明に基づいて、回折光学面を形成する2種類の材料の組み合わせと、回折光学面の格子高とを規定すれば、不要次数の回折光によるフレアの色味を軽減することができる密着複層型の回折光学素子及びこれを有する光学系を提供することができる。
なお、本発明を分かりやすくするために、実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
DOE 密着複層型の回折光学素子
11 第1の光学素子要素
12 第2の光学素子要素
13 回折光学面
13a 回折格子溝
G1 対物レンズ
G2 結像レンズ
11 第1の光学素子要素
12 第2の光学素子要素
13 回折光学面
13a 回折格子溝
G1 対物レンズ
G2 結像レンズ
Claims (3)
- 相対的に高屈折率の材料で形成された第1の光学素子要素と、相対的に低屈折率の材料で形成された第2の光学素子要素が密着しており、当該界面に回折格子溝が形成された回折光学面を有する回折光学素子において、以下の条件式を満足することを特徴とする回折光学素子。
但し、 nd1,nF1,nC1,nSW1,nLW1:前記第1の光学素子要素の材料(高屈折率)のd線,F線,C線,前記波長λSW,前記波長λLWにおける屈折率、
nd2,nF2,nC2,nSW2,nLW2:前記第2の光学素子要素の材料(低屈折率)のd線,F線,C線,前記波長λSW,前記波長λLWにおける屈折率、
h:前記回折光学面の格子高。 - 前記回折光学面の最小ピッチpと格子高hのアスペクト比(h/p)が0.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の回折光学素子。
- 請求項1または2に記載の回折光学素子を有することを特徴とする光学系。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011237526A JP2012189983A (ja) | 2011-02-22 | 2011-10-28 | 回折光学素子及びこれを有する光学系 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011035569 | 2011-02-22 | ||
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016126157A (ja) * | 2014-12-26 | 2016-07-11 | 株式会社ニコン | 回折光学素子、光学機器、および回折光学素子の光学材料設計方法 |
JP2018163360A (ja) * | 2018-06-05 | 2018-10-18 | 株式会社ニコン | 回折光学素子の光学材料設計方法および回折光学素子の製造方法 |
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2011
- 2011-10-28 JP JP2011237526A patent/JP2012189983A/ja active Pending
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