JPH11124134A - 易開口性容器蓋 - Google Patents

易開口性容器蓋

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JPH11124134A
JPH11124134A JP28740897A JP28740897A JPH11124134A JP H11124134 A JPH11124134 A JP H11124134A JP 28740897 A JP28740897 A JP 28740897A JP 28740897 A JP28740897 A JP 28740897A JP H11124134 A JPH11124134 A JP H11124134A
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JP
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opening
lid
film
metal
easy
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JP28740897A
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English (en)
Inventor
Michiko Tsurumaru
迪子 鶴丸
Akira Tada
晃 多田
Masashi Ikebuchi
雅志 池渕
Tomoshi Fujita
智志 藤田
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Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開封用タブ先端の押し込みによりスコアを切
断して開口を行う際に開口不良を生じることなく、開口
操作が軽快に行われると共に、耐内容物性にも優れた易
開口性容器蓋を提供するにある。 【解決手段】 開口区画部の押し込みによりスコアを切
断して開口を行う易開口性金属蓋において、該金属蓋は
蓋用金属素材と金属素材の容器内面となる側に施された
熱可塑性樹脂層とのラミネート板からなり、金属素材の
容器内面となる側の表面粗さが山と谷との差(最大高さ
粗さ)で表して0.05乃至20μmの範囲内にあり、
金属素材と樹脂層との界面における気泡面積率が30%
より小であることを特徴とする易開口性金属蓋。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラミネート板から
なる易開口性容器蓋に関するもので、より詳細には開封
用タブ先端の押し込みによりスコアを切断して開口を行
う際の開口性が向上し、且つ耐内容物性も向上した易開
口性容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、格別の器具を用いることなく手で
容易に開封できる缶詰用缶として、所謂イージイオープ
ン蓋付缶体が広く使用されている。この缶蓋は、加工性
の点から金属素材としてアルミシートやぶりき、TFS
を用い、この金属板から成る缶蓋に、金属板の厚み方向
の途中に達するようにスコアを設けて、開口用部分を区
画し、この開口用部分に蓋板自体でリベットを形成さ
せ、このリベットでプルタブを固定したものであり、缶
胴部材のフランジとの間に二重巻締されて使用されるも
のである。
【0003】このイージイオープン蓋では、スコア加工
やリベット加工に際して内面塗膜に傷が入ることから、
加工後に補正塗りを行うことが必要となる。
【0004】このような補正塗りが不要でしかも耐腐食
性に優れた缶蓋として、特開昭62−52045号公報
には、アルミニウム基質と、該基質の缶詰内部となる側
に位置する厚さ10乃至40μm二軸延伸ポリエチレン
テレフタレートフィルム層と、アルミニウム基質及びフ
ィルム層の間に介在する厚みが0.3 乃至3μmのエポキ
シ−フェノール樹脂系接着プライマー層との複合材から
成り、該アルミニウム基質にはその厚み方向の途中に達
するようにスコアが形成されていることを特徴とするイ
ージイオープン蓋が記載されている。
【0005】また、特開昭63−12445号公報に
は、上記複合材が工具や移送具と接触する際に、フィル
ム上にピンホールやクラックが発生するのを防止するた
めに、フィルム表面に滑剤含有エポキシ系熱硬化性樹脂
塗膜の層を設けることが提案されている。
【0006】更に、特開平3−63124号公報には、
開封片によりスコアを切断して開口を行う易開口性金属
蓋において、蓋用金属素材と、該金属素材の少なくとも
容器用内面側に設けられたエチレンテレフタレート単位
を主体とするポリエステル二軸配向フィルムとから成る
ラミネートから構成され、前記フィルムは、下記式 17≧I(100)/I(110)≧4 ここで、I(100) はポリエステル被膜に平行な(10
0)によるX線回折強度、I(110) はポリエステル被膜
に平行な(110)によるX線回折強度であり、を満足
するX線回折強度比を有し、且つ、結晶の面内配向の異
方性指数が30以下であることを特徴とする耐腐食性、開
口性、耐フェザリング性に優れたイージイオープン容器
蓋が記載されている。
【0007】易開口性容器蓋(イージイオープン蓋)と
しては、切り取られた開口片が路上等にポイ捨てされる
おそれを解消するため、開封用タブや開口片が蓋に結合
したまま残るようにした所謂ステイオンタブ(SOT)
形式の易開口性容器蓋も広く用いれるようになってい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ステイオンタブ(SO
T)形式の易開口性容器蓋では、開封用タブ先端の押し
込みによりスコアを切断して開口を行うが、この開口操
作では、ラミネート板の内面側樹脂層が引き延ばされる
形でスコアの切断が行われるため、金属基材と内面樹脂
層との間でデラミネーションが発生する傾向がある。こ
のため、金属基材の切断と樹脂層の切断とが時間的にず
れて進行し、開口に際して、固い、粘い等の感触が発生
し、開口を軽快に行うことができないという問題があ
る。
【0009】特に、内容物として、スープ、コーヒー飲
料、紅茶飲料、緑茶飲料等を充填した缶詰製品では、湯
の中で暖めた状態或いはホットベンダーで暖めた状態で
取り出し、開口操作を行う場合が多く、この場合には内
面樹脂層が伸びやすい状態となっているため、上記傾向
が特に顕著である。
【0010】従って、本発明の目的は、開封用タブ先端
の押し込みによりスコアを切断して開口を行う際に開口
不良を生じることなく、開口操作が軽快に行われると共
に、耐内容物性にも優れた易開口性容器蓋を提供するに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、開口区
画部の押し込みによりスコアを切断して開口を行う易開
口性金属蓋において、該金属蓋は蓋用金属素材と金属素
材の容器内面となる側に施された熱可塑性樹脂層とのラ
ミネート板からなり、金属素材の容器内面となる側の山
と谷との差(最大高さ粗さ)が0.05乃至20μmの
範囲内にあり、金属素材と樹脂層との界面における気泡
面積率が30%より小であることを特徴とする易開口性
金属蓋が提供される。本発明において、 1.金属素材と樹脂層との界面における気泡が、長さ方
向に6mm以下で幅方向に160μm以下である寸法を
有すること、 2.前記ラミネート板は、0T折り曲げ試験に付したと
き、折り曲げ加工部の金属露出が通電値として1mA以
下であるものであること、 3.前記熱可塑性樹脂層が65℃において800%以下
の伸び率を有する熱可塑性樹脂であること、が好まし
い。
【0012】
【発明の実施形態】
[作用]本発明者らは、開口区画部の押し込みによりス
コアを切断して開口を行う易開口性容器蓋用のラミネー
ト板について包括的な研究を重ねた結果、従来のラミネ
ート板においては、金属素材と熱可塑性樹脂層との界面
には、微細でしかも肉眼では検出できない気泡がかなり
介在しており、この気泡の存在がスコアの開口性に大き
な影響を与えること、及び用いる金属素材の表面状態、
特に表面粗さがある一定の範囲にあることが界面での気
泡面積率を減少させるのに最も有効であると共に、スコ
アの開口性にも大きな影響を与えることを見出した。
【0013】金属素材と熱可塑性樹脂層との界面に存在
する気泡は、後述する試験法に示すとおり、超音波顕微
鏡撮影により測定検出することができ、これは前記界面
に空気が存在すると、超音波の反射が起きるという原理
を利用するものである。この超音波顕微鏡撮影による写
真では、超音波反射部分と超音波の非反射部分とが存在
するので、これを画像処理し、全面積当たりの超音波反
射部分の面積を求めることにより、気泡面積率(%)が
求められる。
【0014】本発明では、ラミネート板の気泡面積率を
30%以下、好適には25%よりも小、最も好適には2
0%以下とすることにより、後述する例に示すとおり、
開口不良率(開口ができなかったものや、開口できても
開口部に樹脂層のはみ出し等が発生したものの割合)を
4%以下、特に0%に抑制できると共に、開口を至って
軽快に行うことが可能となる。
【0015】一方、本明細書において、金属素材の表面
粗さは、JIS B 0601で規定する最大高さRm
axで表すことができる。この表面粗さは、材料の圧延
目に直角方向に断面曲線(粗さ曲線)を求め、この曲線
から基準長さだけ抜き取った部分の平均線に平行な2直
線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔を断
面曲線の縦倍率の方向に測定してこの値をマイクロメー
トル(μm)で表わしたものである。
【0016】本発明において、金属素材表面の最大高さ
が0.05乃至20μm、特に好適には0.2乃至10
μmの範囲とすることが、気泡面積率を上記の範囲に制
御し、開口不良を解消し、開口操作の軽快さを達成する
ために重要である。
【0017】金属素材と熱可塑性樹脂層との界面に微細
な気泡が存在する理由は、金属素材と熱可塑性樹脂層と
のラミネートに際して、周囲の空気が巻き込まれること
によるが、金属素材表面の最大高さが本発明で規定した
範囲にある場合には、このような空気の巻き込みが少な
く、しかも金属素材表面が熱可塑性樹脂層に、デラミネ
ーションを防止し、密着性を向上させるようなアンカー
効果を付与するためと考えられる。
【0018】一方、最大高さRmaxが上記範囲を上回
ると、気泡面積率を本発明で規定した範囲に制御するこ
とが困難となる傾向があると共に、仮に気泡面積率を3
0%よりも小さくできたとしても、やはり開口不良率が
増大し、開口操作の軽快さが失われる傾向がある。ま
た、最大高さ粗さが本発明で規定した範囲を下回ると、
やはり開口不良率が増大し、また開口操作の軽快さが失
われる傾向がある。これは、前述したアンカー効果が損
なわれるためと考えられる。
【0019】本発明においては、金属素材と樹脂層との
界面における気泡が、長さ方向に6mm以下で幅方向に
160μm以下である寸法、特に好適には長さ方向に4
mm以下で幅方向に100μm以下である寸法を有する
ことが好ましい。気泡の大きさが、上記寸法範囲に抑制
されていると、開口不良が発生しなく、開口の軽快さも
失われることがない。
【0020】また、本発明で用いるラミネート板は、0
T折り曲げ試験に付したとき、折り曲げ加工部の金属露
出が通電値として1mA以下であるものであることが好
ましい。0T折り曲げ試験とは、ラミネート板をスペー
サーを介することなく180゜折り曲げる試験をいう。
この折り曲げ部における通電値、即ち、エナメルレータ
ーにおける電流値が1mAを越えるようなものでは、耐
内容物性が悪く、腐食や金属溶出、更には漏洩等等が発
生しやすい。
【0021】更に、本発明に用いる熱可塑性樹脂層は、
65℃において800%以下の伸び率を有する熱可塑性
樹脂であることが、易開口性の点で好ましい。この伸び
率とは、ラミネート板の状態ではなく、熱可塑性樹脂層
単独の状態で上記温度で測定した値をいう。また、本発
明でいう伸び率とは、常温での伸び率とは異なり、加熱
状態での伸び率であることに注目する必要がある。この
伸び率が800%を上回る場合には、開口不良率が増大
し、開口の軽快さも失われる傾向がある。
【0022】この65℃での伸び率は、90%以上であ
ることが蓋への加工後の耐内容物性を向上させる見地か
ら好ましい。伸び率が上記範囲を下回る場合には、前記
折り曲げ加工部の通電値が1.5mAを越えるようにな
り、耐内容物性が低下する傾向がある。
【0023】以上説明した本発明によれば、開口区画部
の押し込みによりスコアを切断して開口を行う際に開口
不良を生じることなく、開口操作が軽快に行われると共
に、この易開口性蓋は耐内容物性にも優れている。
【0024】[金属素材]本発明において、金属素材と
しては各種アルミ材や各種鋼板等の従来イージイオープ
ン蓋に使用されている金属素材は全て使用できる。
【0025】アルミ材としては、例えば純アルミやアル
ミと他の合金用金属、特にマグネシウム、マンガン等の
少量を含むアルミ合金が使用される。
【0026】通常のアルミニウム素材は、電気化学的に
鋼よりも卑の状態にあり、両金属が電解質系に共存する
と、アルミニウムの腐食が進行する。かかる見地から、
本発明においては、Cu 0〜0.8%、Mg 0〜
2.8%、Mn 0〜1.5%、Fe 0〜0.5%、
Si 0〜0.5%(%は重量基準)を含むアルミ合金
をアルミ材として用いることにより、前記系での腐食を
有効に防止できる。即ち、合金成分として含有されるC
uは0%乃至0.8%、特に0.05乃至0.4%の範
囲にあることが耐食性の点より望ましい。このCuはアル
ミニウム素材を電気化学的に貴な状態にもたらす作用を
し、鋼−アルミ系の腐食がより有効に防止されることに
なる。また、Mgは0乃至2.8%の範囲が耐食性の点
より望ましい。2.8%を越えると鋼とカップルされた
ときに孔食を生じ易くなる。Mnは0%乃至1.5%が
加工性の点より望ましい。1.5%を越えるとリベット
加工等の加工が困難となる。勿論、巻締に用いる缶が、
アルミニウム製である場合には、このような制限は特に
受けない。
【0027】アルミニウム材の厚みは、蓋の大きさ等に
よっても相違するが一般に0.20乃至0.50mm、
特に0.23乃至0.30mmの範囲内にあるのがよ
い。アルミ材への内面材の密着性や耐腐食性の見地から
は、アルミ材の表面に表面処理膜を形成させることが一
般に望ましい。表面処理としては、クロメート処理、ジ
ルコニウム処理、リン酸処理、ポリアクリル酸処理、陽
極酸化処理等が好ましい例である。表面処理被膜の形成
例として一例を挙げると、クロメート処理膜の形成は、
それ自体公知の手段、例えば、アルミ材を、苛性ソーダ
で脱脂と若干のエッチングを行なった後、CrO3 4g
/L、H3 PO4 12g/L、F 0.65g/L、残り
は水のような処理液に浸漬する化学処理により行われ
る。クロメート処理膜の厚みは、表面積当りのCr原子
の重量で表わして、5乃至50mg/dm2 、特に10
乃至35mg/dm2 の範囲内にあることが密着性の点
より望ましい。
【0028】一方、各種鋼板類としては、クロメート表
面処理鋼板、特に電解クロム酸処理鋼板、クロメート処
理ニッケルめっき鋼板、クロメート処理鉄・錫合金めっ
き鋼板、クロメート処理錫ニッケル合金めっき鋼板、ク
ロメート処理鉄・錫ニッケル合金めっき鋼板、クロメー
ト処理アルミニウムめっき鋼板、クロメート処理ぶりき
等が使用される。鋼板基質の厚みは、耐圧変形性と加工
性及び易開口性との兼合いにより決定され、一般に0.1
乃至0.4 mm、特に0.12乃至0.35mmの範囲にあるのが望ま
しい。
【0029】これらの内でも、電解クロム酸処理鋼板が
好ましいものであり、このものは、鋼板基質の上に金属
クロム層とその上の非金属クロム層とを備えている。金
属クロム層の厚みは、耐腐食性と加工性との兼合いによ
り決定され、その量は30乃至300mg/m2 、特に
50乃至250mg/m2 の範囲にあることが望まし
い。また非金属クロム層の厚みは、塗膜密着性や接着剥
離強度に関連するものであり、クロム量として表わして
4乃至40mg/m2 、特に7乃至30mg/m 2 の範
囲にあることが望ましい。
【0030】[熱可塑性樹脂層]蓋内面材となる熱可塑
性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4
−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレ
ン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オ
レフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等の
ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチ
レン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニ
ル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリ
スチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、AB
S、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレ
ン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化
ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチ
ル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナ
イロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロ
ン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカー
ボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれら
の混合物のいずれかの樹脂でもよい。
【0031】上記熱可塑性樹脂層には、それ自体公知の
フィルム用配合剤、例えば非晶質シリカ等のアンチブロ
ッキング剤、無機フィラー、各種帯電防止剤、滑剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合す
ることができる。
【0032】熱可塑性樹脂の金属板への被覆は、熱融着
法、ドライラミネーション、押出コート法等により行わ
れ、被覆樹脂と金属板との間に接着性(熱融着性)が乏
しい場合には、例えばウレタン系接着剤、エポキシ系接
着剤、酸変性オレフィン樹脂系接着剤、コポリアミド系
接着剤、コポリエステル系接着剤等を介在させることが
できる。
【0033】また、熱可塑性樹脂の厚みは、一般に3乃
至50μm、特に5乃至40μmの範囲にあることが望
ましい。フィルムを用いた熱融着の場合、未延伸のもの
でも延伸のものでもよい。
【0034】好適な熱可塑性樹脂として、エチレングリ
コールやブチレングリコールを主体とするアルコール成
分と、芳香族二塩基酸、例えばテレフタル酸、イソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸等の酸成分とから誘導さ
れる熱可塑性ポリエステルが挙げられる。
【0035】原料ポリエステルとしては、ポリエチレン
テレフタレートそのものも著しく制限されたラミネート
条件下で使用可能であるが、フィルムの到達し得る最高
結晶化度を下げることが耐衝撃性や加工性の点で望まし
く、この目的のためにポリエステル中にエチレンテレフ
タレート以外の共重合エステル単位を導入するのがよ
い。エチレンテレフタレート単位或いはブチレンテレフ
タレート単位を主体とし、他のエステル単位の少量を含
む融点が210乃至252℃共重合ポリエステルを用い
ることが特に好ましい。尚、ホモポリエチレンテレフタ
レートの融点は一般に255〜265℃である。
【0036】一般に共重合ポリエステル中の二塩基酸成
分の70モル%以上、特に75モル%以上がテレフタル
酸成分から成り、ジオール成分の70モル%以上、特に
75モル%以上がエチレングリコールまたはブチレング
リコールから成り、二塩基酸成分の1乃至30モル%、
特に5乃至25モル%がテレフタル酸以外の二塩基酸成
分から成ることが好ましい。
【0037】テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イ
ソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸:シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸:コハク酸、アジピン酸、セバチン
酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸:の1種
又は2種以上の組合せが挙げられ、エチレングリコール
またはブチレングリコール以外のジオール成分として
は、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタ
ノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物
等の1種又は2種以上が挙げられる。勿論、これらのコ
モノマーの組合せは、共重合ポリエステルの融点を前記
範囲とするものでなければならない。
【0038】また、このポリエステルは、成形時の溶融
流動特性を改善するために、三官能以上の多塩基酸及び
多価アルコールから成る群より選択された少なくとも1
種の分岐乃至架橋成分を含有することができる。これら
の分岐乃至架橋成分は、3.0モル%以下、好適には
0.05乃至3.0モル%の範囲にあるのがよい。
【0039】三官能以上の多塩基酸及び多価アルコール
としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ヘミメリ
ット酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、
1,1,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペン
タントリカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタン
テトラカルボン酸、ビフェニル−3,4,3’,4’−
テトラカルボン酸等の多塩基酸や、ペンタエリスリトー
ル、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,
6−ヘキサントリオール、ソルビトール、1,1,4,
4−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等
の多価アルコールが挙げられる。
【0040】三官能以上の多塩基酸及び多価アルコール
ビスフエノールの多官能成分は、ポリエステル乃至ポリ
エステル全体当たり0.05乃至3.0モル%、好まし
くは0.1乃至3.0モル%含有されていることが好ま
しく、
【0041】用いるコポリエステルは、フィルムを形成
するに足る分子量を有するべきであり、このためには固
有粘度(I.V.)が0.52乃至1.9dl/g、特
に0.53乃至1.4dl/gの範囲にあるものが望ま
しい。
【0042】上記熱可塑性ポリエステルは、予め形成さ
れたフィルムの形でラミネート板の形成に用いることも
できるし、また押出コートによりラミネート板を形成す
ることもできる。
【0043】前者の場合、未配向のT−ダイフィルムを
用いることもできるが、耐食性や耐衝撃性の点では、二
軸延伸された分子配向フィルムを用いることが好まし
い。二軸配向の程度は、偏光蛍光法、複屈折法、密度勾
配管法密度等でも確認することができる。
【0044】二軸延伸フィルムとしては、エチレンテレ
フタレート単位またはブチレンテレフタレート単位を主
体とするポリエステルを、T−ダイ法やインフレーショ
ン製膜法でフィルムに成形し、このフィルムを延伸温度
で、逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィルムを熱
固定することにより製造されたフィルムを挙げることが
できる。
【0045】フィルムの延伸は一般に80乃至110℃
の温度で、面積延伸倍率が2.5乃至16.0、特に
4.0乃至14.0となる範囲で行うのがよく、フィル
ムの熱固定は、130乃至240℃、特に150乃至2
30℃の範囲で行うのがよい。
【0046】二軸延伸フィルムと金属素材との接着に接
着用プライマーを用いる場合に、フィルムへの接着用プ
ライマーとの密着性を高めるために、フィルムの表面を
コロナ放電処理しておくこともできる。その場合コロナ
放電処理の程度は、そのぬれ張力が44dyne/cm
以上となるようなものであることが望ましい。
【0047】この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーテ
ィング処理を行っておくことも可能である。
【0048】[ラミネート板]本発明の易開口性容器蓋
の製造に用いるラミネート板の断面構造の一例を示す図
1において、このラミネート板1は、金属基材2の容器
蓋内面となる側に施された熱可塑性樹脂(ポリエステ
ル)層3及び容器蓋外面となる側に施された外面塗料層
4を備えている。この具体例では、熱可塑性樹脂層3の
最内面にも内面塗料層(オーバーコート層)5が形成さ
れている。熱可塑性樹脂層3と金属基材2との間には、
図示していないが、プライマー層が設けられていてもよ
い。
【0049】外面保護塗膜4としては、熱硬化性樹脂塗
料、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラ
ン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒ
ド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムア
ルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アル
キド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビ
スマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬
化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂、或は熱
可塑性樹脂塗料、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−
マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽
和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの
樹脂塗料は単独でも2種以上の組合せでも使用される。
また、アンダーコートと、トップコートの2層に設ける
こともできる。
【0050】外面保護塗膜4の厚みは、特に制限されな
いが、一般に2乃至6μmの厚みに設けるのが好まし
い。
【0051】本発明において、金属素材と熱可塑性樹脂
層との界面における気泡面積率が、金属素材の表面粗さ
によって大きく影響されることは既に指摘したとおりで
あるが、金属素材と熱可塑性樹脂層とのラミネート条件
によっても影響される。一般に、ラミネート温度を高く
して樹脂の軟化溶融の程度を高くすると、気泡面積率を
低くできる。また、ラミネート速度を遅くすることも、
空気の巻き込みを少なくして、気泡面積率を所定の範囲
に抑制するのに有効である。更に、ラミネートロールに
よる圧力を高くすることも気泡面積率を低くするのに有
効である。
【0052】本発明に用いる樹脂−金属ラミネート板
は、予め製膜されたポリエステル等の熱可塑性樹脂フィ
ルムを金属基体に熱接着させることによっても製造する
ことができるし、また別法として、ポリエステル等の熱
可塑性樹脂を溶融状態で金属基体上に押出しコートし
て、熱接着させることにより製造することができる。
【0053】本発明において、フィルムの熱接着や押出
コートに使用するポリエステル層は、単層であっても、
また多層の積層構造のものであってもよい。例えば、多
層ポリエステルの場合、下地樹脂層がエチレンテレフタ
レート系ポリエステルとブチレンテレフタレート系ポリ
エステルとのブレンド物から成り、表面樹脂層がエチレ
ンテレフタレート系結晶性ポリエステル或いはエチレン
テレフタレート単位を主体としエチレンイソフタレート
単位を20モル%以下の量で含む共重合ポリエステルか
ら成るのがよい。表面樹脂層は、70℃以上のガラス転
移点(Tg)を有することがフレーバー保持性の点で好
ましい。
【0054】本発明に使用するポリエステル等の熱可塑
性樹脂層の厚みは、全体として、2乃至100μm、特
に5乃至50μmの範囲にあるのが金属の保護効果及び
加工性の点でよい。多層ポリエステルの場合、ブレンド
物層と、エチレンテレフタレート系ポリエステル層と
は、96:4乃至4:96の厚み比を有するのがよい。
【0055】積層体の製造に予め製膜されたポリエステ
ル等のフィルムを使用する場合、このフィルムは、前述
したポリエステル等の熱可塑性樹脂をT−ダイ法でフィ
ルムに成形し、過冷却された未配向のキャストフィルム
とする。この未配向のフィルムを熱接着に用いることも
できるし、また、このキャストフィルムを延伸温度で、
逐次或いは同時二軸延伸し、延伸後のフィルムを熱固定
したものをラミネートの製造に用いることもできる。
【0056】ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムは
一般に二軸延伸されているのが好ましい。二軸配向の程
度は、X線回折法、偏光蛍光法、複屈折法、密度勾配管
法密度等でも確認することができる。フィルムの2軸延
伸の程度は、0.04乃至0.18の複屈折を有するも
のが適当である。フィルムの延伸は一般に80乃至11
0℃の温度で、面積延伸倍率が2.5乃至16.0、特
に4.0乃至14.0となる範囲から、ポリエステルの
種類や他の条件との関連で、複屈折(面方向屈折率−厚
み方向屈折率)が0.04乃至0.18の範囲となる延
伸倍率を選ぶ。また、フィルムの熱固定は、130乃至
240℃、特に150乃至230℃の範囲から、やはり
前記条件が満足されるような熱固定温度を選ぶ。
【0057】一般に必要でないが、接着用プライマーを
用いる場合には、フィルムへの接着用プライマーとの密
着性を高めるために、二軸延伸ポリエステルフィルムの
表面をコロナ放電処理しておくこともできる。その場合
コロナ放電処理の程度は、そのぬれ張力が44dyne
/cm以上となるようなものであることが望ましい。
【0058】この他、フィルムへのプラズマ処理、火炎
処理等のそれ自体公知の接着性向上表面処理やウレタン
樹脂系、変性ポリエステル樹脂系等の接着性向上コーテ
ィング処理を行っておくことも可能である。
【0059】ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムの
ラミネートは、必ずしもこれに限定されないが、次の方
法で製造される。先ず、金属板を加熱ロール等により、
用いるポリエステル等の融点(Tm)以上の温度
(T1 )に加熱し、ラミネートロール間に供給する。一
方、ポリエステル等のフィルムは、供給ロールから巻き
ほぐされ、ラミネートロール間に金属板と重なる位置関
係で供給される。ラミネートロールは、加熱ロールより
も若干低い温度(T2 )に保たれており、金属板の容器
内面側となる面にポリエステル等のフィルムを熱接着さ
せる。ラミネートロールの下方には、形成されるラミネ
ートを急冷するための冷却水を収容した水槽が設けられ
ており、この水槽中にラミネート板を導くことにより、
ラミネート板を急冷する。
【0060】金属板の加熱温度(T1 )は、一般にTm
+0℃乃至Tm+100℃、特にTm+0℃乃至Tm+
50℃の温度が適当であり、一方ラミネートロールの温
度T 2 は、70℃乃至180℃、特に80℃乃至150
℃の範囲が適当である。上記の温度設定により、金属板
上のポリエステルには、上記温度差に対応する温度勾配
が形成され、この温度勾配は次第に低温側に移行しやが
て消失するが、ポリエステルの表面側から金属板側への
厚み方向途中の部分が、溶融相から固相への遷移状態に
おいて配向の戻り現象を生じる温度領域を十分な時間を
かけて通過するようにする。このために、ラミネートロ
ール通過後のラミネートを、保温域で保温するのが有効
である。
【0061】ラミネート時におけるこのような温度勾配
の形成は、金属素材との界面における気泡面積率を減少
させながら、しかも腐食成分に対するバリアー性や耐衝
撃性の点で役立つ分子配向を温存させる上で極めて有効
なものである。
【0062】本発明に用いる樹脂−金属ラミネート板は
また、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を溶融状態で金属
基体上に押出しコートして、熱接着させることにより製
造することができる。
【0063】樹脂−金属ラミネート板の押出コート法に
よる製造は次のように行われる。金属板を必要により加
熱装置により予備加熱し、一対のラミネートロール間の
ニップ位置に供給する。一方、ポリエステル等の熱可塑
性樹脂は、押出機のダイヘッドを通して薄膜の形に押し
出し、ラミネートロールと金属板との間に供給され、ラ
ミネートロールにより金属板に圧着される。ラミネート
ロールは、一定の温度に保持されており、金属板にポリ
エステル等の熱可塑性樹脂から成る薄膜を圧着して両者
を熱接着させると共に両側から冷却して積層体を得る。
一般に、形成される積層体を更に冷却用水槽等に導い
て、熱結晶化を防止するため、急冷を行う。
【0064】この押出コート法では、樹脂組成の選択と
ロールや冷却槽による急冷とにより、ポリエステル等の
熱可塑性樹脂層は、結晶化度が、低いレベル、非晶密度
との差が0.05以下に抑制されているため、ついで行
うボタン加工乃至リベット加工等に対する十分な加工性
が保証される。勿論、急冷操作は上記例に限定されるも
のではなく、形成されるラミネート板に冷却水を噴霧し
て、ラミネート板を急冷することもできる。
【0065】金属基体に対するポリエステル等の熱可塑
性樹脂の熱接着は、溶融樹脂層が有する熱量と、金属板
が有する熱量とにより行われる。金属板の加熱温度(T
1 )は、一般に90℃乃至290℃、特に100℃乃至
280℃の温度が適当であり、一方ラミネートロールの
温度は10℃乃至150℃の範囲が適当である。
【0066】樹脂フィルムと金属素材の間に所望により
設ける接着プライマーは、金属素材とフィルムとの両方
に優れた接着性を示すものである。密着性と耐腐食性と
に優れたプライマー塗料の代表的なものは、種々のフェ
ノール類とホルムアルデヒドから誘導されるレゾール型
フェノールアルデヒド樹脂と、ビスフェノール型エポキ
シ樹脂とから成るフェノールエポキシ系塗料であり、特
にフェノール樹脂とエポキシ樹脂とを50:50乃至
5:95重量比、特に40:60乃至10:90の重量
比で含有する塗料である。
【0067】接着プライマー層は、一般に0.3乃至5
μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は予め
金属素材上に設けてもよく或いはフィルムを用いる場合
には、予めフィルム上に設けてもよい。
【0068】フィルムの容器内面となる側に対して所望
により設ける熱硬化性樹脂のトップコート層としては、
従来缶用に使用される熱硬化性樹脂塗料、特にフェノー
ル・アルデヒド樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムア
ルデヒド樹脂、ケトン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、グア
ナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、
熱硬化性アクリル樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、
ビスマレイミド樹脂、オレオレジナス塗料、熱硬化型ア
クリル塗料、熱硬化型ビニル塗料の1種または2種以上
の組合せである。これらの内でも、低温短時間焼付性の
点では、エポキシ−ユリア塗料、エポキシ変性ビニル塗
料、低温型エポキシ−フェノール塗料、水酸基型ポリエ
ステル−エポキシ塗料等が特に好ましい。このトップコ
ート層は1乃至10μmの厚みを有することが望まし
い。また、トップコート層には、素材搬送中において発
生する傷を防止するために、滑剤を予め含有させること
ができる。
【0069】本発明の好適な態様においては、二軸延伸
ポリエステルフィルムの一方の面にエポキシ系の如き熱
硬化性接着プライマーを塗布する工程と、金属素材に前
記塗装ポリエステルフィルムを接着プライマー層と金属
素材とが対面する位置関係でラミネートする工程と、必
要によっては得られるラミネート材の蓋内面となるべき
表面にトップコート層用熱硬化性樹脂塗料を塗装焼付す
る工程と、必要によって金属素材の蓋外面となるべき表
面に外面保護塗膜を形成させる工程とより蓋用ラミネー
ト板を製造する。また、このラミネート板をコイルコー
トにより内外面同時に塗装し、焼付処理に賦し、接着プ
ライマー層、トップコート層及び外面保護塗膜の硬化を
一挙に行うことが可能となる。
【0070】更に他の好適な態様においては、二軸延伸
ポリエステルフィルムの蓋内面となるべき表面にトップ
コート用熱硬化性樹脂塗料を塗布し、該フィルムの他方
の面にエポキシ系の如き熱硬化性接着ポリマーを塗布す
る工程と、塗装金属素材の一方の面に、前記塗装ポリエ
ステルフィルムを、接着プライマー層と金属素材とが対
面する位置関係で施す工程と、得られるラミネートを、
接着プライマー層及び、トップコート層の熱硬化性樹脂
塗膜が硬化するように熱処理する工程とにより、蓋用の
ラミネート板を製造する。
【0071】[易開口性容器蓋及びその製造]本発明の
イージイオープン容器蓋の上面を示す図2及び断面を拡
大して示す第図3において、この蓋10は、前述した図
1のラミネート板から形成されており、缶胴側面内面に
嵌合されるべき環状リム部(カウンターシンク)11を
介して外周側に密封用溝12を備えており、この環状リ
ム部11の内側には開口すべき部分13を区画するスコ
ア14が設けられている。この開口すべき部分(開口区
画部)13の外部には、これに近接して、蓋材を缶蓋外
面側に突出させて形成したリベット15が形成され、開
口用タブ16がこのリベット15のリベット打ちにより
以下に示すように固定されている。即ち、開口用タブ1
6は、一端に押し裂きによる開口用先端17及び他端に
保持用リング18を有し、開口用先端17に近接してリ
ベット15で固定される支点部分19が存在する。開口
すべき部分13はおおむねスコア14によって囲まれて
いるが、一部は蓋材にスコア14を経ることなく蓋10
に結合されている。前述した密封用溝12には、密封用
ゴム組成物のコンパウンド(シーラント)20がライニ
ングされていて、缶胴フランジとの間に密封が行われ
る。
【0072】開口に際しては、開口用タブ16のリング
18を保持して、これを上方に持上げる。これにより開
口用タブ16の開口用先端17が下方に押込まれ、スコ
ア14の一部が剪断開始される。次いで、リング18を
保持してこれを上方に引張ることにより、スコア14の
残留部が破断されて開口が容易に行われる。このタイプ
の蓋10では、タブ16が開口部分13と共に蓋から離
脱することなく、蓋に残ることになる。
【0073】上記具体例の蓋は、いわゆるステイ・オン
・タブであるが、勿論フルオープンのイージイオープン
蓋にも適用可能である。
【0074】本発明のイージイオープン蓋は、前述した
積層体を用いる点を除けば、それ自体公知の手段で行わ
れる。この工程を説明すると、先ずプレス成形工程で、
積層体シートを円板の形に打抜くと共に、所望の蓋形状
に成形する。
【0075】次いで、スコア刻印工程で、スコアダイス
を用いて、ふたの外面側からスコアが金属素材の途中に
達するようにスコアの刻印を行う。スコアにおける金属
素材の残留厚み(t2)は、金属素材の元厚み(t1)に対
して、t2/t1 ×100が10乃至50%で、t2が20乃
至150μmとなるようにするのがよい。また、スコア
の底部巾(d)は75μm以下、特に50μm以下とす
ることがフィルム層への傷の発生を防止する上で重要で
ある。
【0076】リベット形成工程において、リベット形成
ダイスを用いてスコアで区画された開口用部に外面に突
出したリベットを形成させ、タブ取付工程で、リベット
に開口タブを嵌合させ、リベットの突出部を鋲出してタ
ブを固定させる。リベット形成工程の代りに、接着タブ
の場合には、開口用部或いはタブにナイロン系接着剤テ
ープ等の接着剤を施こし、タブ取付工程でタブと開口用
部とを熱接着させる。最後にライニング工程において、
蓋の密封用溝に、ノズルを通して、密封用コンパウンド
をライニング塗布し、乾燥して密封剤層を形成させる。
この蓋と缶胴との二重巻締工程を説明すると、缶胴部材
のフランジとイージーオープン蓋の密封用溝部とを嵌合
させると共に、一次巻締用ロールを用いてフランジの周
囲に溝部を一次巻締させる。次いで、二次巻締工程にお
いて、このフランジ部を更に、缶胴側壁部に沿って更に
巻締して缶体とする。
【0077】缶胴部材としては、側面に接着剤(ナイロ
ン系接着剤)による継目や溶接による継目を備え、上下
に巻締用フランジを備えたテイン・フリー・スチール
(TFS、電解クロム酸処理鋼板)製のスリーピース缶
用缶胴部材や、絞り成形或いは深絞り成形で形成された
所謂ツーピース缶用のTFS或いはアルミニウム製缶胴
が好適に使用される。その他、本発明の蓋は、錫メッキ
鋼板(ブリキ)から形成され、ハンダ付或いは溶接によ
る継目を備えたスリーピース缶用缶胴や、絞りしごき加
工、深絞り加工、衝撃押出加工等により形成された所謂
ブリキ製のシームレス缶胴にも等しく適用できる。
【0078】
【実施例】本発明を次の例で説明する。実施例における
測定は次の通り行った。
【0079】評価及び測定方法 * 表面粗さ サンプルの表面粗さを、測定方法「JIS B 060
1」に準じ、下記測定装置及び条件にて測定し、粗さの
山と谷の最大差(最大高さ)を求めた。 東京精密(株)製表面粗さ形状測定機“サーフコーム5
50A” 探針 :R5μm トレーシングスピード:0.3mm/sec
【0080】* 気泡面積率及び大きさ サンプル表面を超音波顕微鏡にて撮影し、得られた写真
について、常法にて画像処理し、気泡面積率及び大きさ
を求めた。
【0081】* 折曲げ加工及び加工部通電値 3cm×3cmに切出したラミネート板について、ラミ
ネート面が外側になるように0T(スペーサーなし)で
折曲げ、折曲げ加工部の通電値を測定した。
【0082】* 通電値測定方法:1%食塩水中におい
て、測定サンプルをアノードとし、対極としてのステン
レスとの間に+6Vの電圧を印可したときに流れる電流
値を測定した。
【0083】* フイルム伸び率 サンプルの金属素材を常法にて溶解し、得られたフリー
フイルムについて、下記測定装置及び条件にて伸び率*
を測定した。 *伸び率(%)=[(破断時のフィルム全長−フィルム
元長さ)/フィルム元長さ]×100 東洋ボールドウィン(株)製引張試験機“TENSIL
ON/UTM−III−500” 測定温度:65℃,引張速度500mm/min
【0084】* 開口評価 空缶に90℃のお湯を充填後、サンプル蓋を巻締め、1
30℃×50分のレトルト処理を行った。得られたサン
プル1000缶を室温で6ヶ月経時後、80℃にて24
時間保管後、パネラー10人にて通常の方法にて手開口
を行ない、開口(不良)率を求めた。また、開口官能性
(固い、粘い等)を5点評価で行い、パネラー10人の
平均値を求めた。 (開口官能性) 評点:1→2→3→4→5 程度:軽い→やや軽い→やや硬い→やや粘る→固 い、粘る
【0085】* 開缶評価空缶に下記内容物をホットパッ
ク後、サンプル蓋を巻締め、所定のレトルト処理を行っ
た。得られたサンプル100缶を37℃にて3ヶ月保存
後、開缶し、蓋内面状態を評価した。 (内容物及びレトルト処理条件) 梅粥 :124℃×30分 コーンスープ :125℃×45分 ぜんざい :130℃×50分 ココア :125℃×30分
【0086】実施例1 金属素材 板厚0.25mmのアルミニウム合金A5052H38
の仕上げ冷間圧延工程において、圧延ロール表面粗度を
調整し、アルミニウム表面の粗さについて、前記の測定
条件で、山と谷との最大差が2μmの材料を得た。次
に、この材料に、洗浄後クロム酸・りん酸表面処理を実
施した。 フィルム 厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート/
イソフタレート共重合ポリエステルフィルム(イソフタ
レート成分:12モル%)[PET/IA]の片面にエ
ポキシフェノール系樹脂の接着プライマを1g/m2
布し、乾燥した。 塗装ラミネート材の製造 前記アルミ材を225℃に加熱し、その片面に、前記共
重合ポリエステルフィルムをアルミ材と接着プライマと
が対面するように供給して熱圧着し、ラミネート後水冷
した。次いでラミネート板の未被覆アルミ面に、エポキ
シ尿素系塗料をロールコーターを用いて、固形分として
4g/m2 の塗布量になるように塗布し、190℃で1
0分間の焼付け処理を実施した。 蓋の製造 得られた塗装焼付けラミネート板について、ラミネート
面が蓋の内面側となるように直径68.7mmの蓋を打
ち抜き、これに蓋の外側からパーシャル開口型のスコア
加工(幅22mm、スコア残存厚み110μm、スコア幅
20μm)、リベット加工並びに開封用タブの取付を行
ない、SOT蓋を作製した。
【0087】得られたSOT蓋を用いて、前記条件にて
水パックを行ない、作製したサンプルについて80℃開
口評価を実施した。その結果、開口性は良好で、開口不
良は発生せず、官能的には評点1.0であった。
【0088】また、前記条件にて梅粥のテストパックを
行ない、作製したサンプルについて37℃×3ヶ月の経
時後、開缶評価を実施した。その結果、腐食等は認めら
れず、良好な状態であった。
【0089】このSOT蓋について、前記の条件にて気
泡面積率及び気泡の大きさを測定したところ、面積率2
%、大きさは長さ0.05mm、幅15μmであった。
また、フィルムについて、前記条件にて伸び率を測定し
たところ、300%であった。尚、ラミネート板での折
曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0090】実施例2 表面粗さの山と谷との最大差が10μmであるアルミニ
ウム材を用いた以外は、実施例1と同様にSOT蓋を作
製し、評価を行なった。その結果、開口性は良好で、開
口不良は発生せず、官能的には評点1.5であった。ま
た、梅粥について開缶評価を実施した結果、腐食等は認
められず、良好な状態であった。気泡については、面積
率は8%、大きさは長さ3.0mm、幅60μmであっ
た。また、フィルムの伸び率は、300%であった。
尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通電値は、0mA
であった。
【0091】実施例3 表面粗さの山と谷との最大差が19μmであるアルミニ
ウム材を用いた以外は、実施例1と同様にSOT蓋を作
製し、評価を行なった。その結果、開口性は良好で、開
口不良は発生せず、官能的には評点2.0であった。ま
た、梅粥について開缶評価を実施した結果、腐食等は認
められず、良好な状態であった。気泡については、面積
率は28%、大きさは長さ5.8mm、幅150μmで
あった。また、フィルムの伸び率は、300%であっ
た。尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通電値は、0
mAであった。
【0092】実施例4 表面粗さの山と谷との最大差が19μmであるアルミニ
ウム材を用い、ラミネート時の板温を235℃にした以
外は、実施例1と同様にSOT蓋を作製し、評価を行な
った。その結果、開口性は良好で、開口不良は発生せ
ず、官能的には評点1.2であった。また、梅粥につい
て開缶評価を実施した結果、腐食等は認められず、良好
な状態であった。気泡については、面積率は0.5%、
大きさは長さ0.1mm、幅20μmであった。また、
フィルムの伸び率は、250%であった。尚、ラミネー
ト板での折曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0093】実施例5 ラミネート時の板温を215℃にした以外は、実施例1
と同様にSOT蓋を作製し、評価を行なった。その結
果、開口性は良好で、開口不良は発生せず、官能的には
評点1.8であった。また、コーンスープについて開缶
評価を実施した結果、腐食等は認められず、良好な状態
であった。気泡については、面積率は20%、大きさは
長さ6.5mm、幅170μmであった。また、フィル
ムの伸び率は、250%であった。尚、ラミネート板で
の折曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0094】実施例6 ラミネート時の板温を210℃にした以外は、実施例1
と同様にSOT蓋を作製し、評価を行なった。その結
果、開口性は良好で、開口不良は発生せず、官能的には
評点2.2であった。また、コーンスープについて開缶
評価を実施した結果、腐食等は認められず、良好な状態
であった。気泡については、面積率は28%、大きさは
長さ6.8mm、幅180μmであった。また、フィル
ムの伸び率は、230%であった。尚、ラミネート板で
の折曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0095】実施例7 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート
共重合ポリエステルフィルムのイソフタレート成分を1
4モル%にし、ラミネート時の板温を220℃にした以
外は、実施例1と同様にSOT蓋を作製し、評価を行な
った。その結果、開口性は良好で、開口不良は発生せ
ず、官能的には評点2.2であった。また、コーンスー
プについて開缶評価を実施した結果、腐食等は認められ
ず、良好な状態であった。気泡については、面積率は2
%、大きさは長さ0.1mm、幅25μmであった。ま
た、フィルムの伸び率は、850%であった。尚、ラミ
ネート板での折曲げ加工部の通電値は、0mAであっ
た。
【0096】実施例8 フィルムの接着プライマを塗布せず、ラミネート時の板
温を240℃にした以外は、実施例1と同様にSOT蓋
を作製し、評価を行なった。その結果、開口性は良好
で、開口不良は発生せず、官能的には評点1.2であっ
た。また、コーンスープについて開缶評価を実施した結
果、腐食等は認められず、良好な状態であった。気泡に
ついては、面積率は0.3%、大きさは長さ0.05m
m、幅16μmであった。また、フィルムの伸び率は、
700%であった。尚、ラミネート板での折曲げ加工部
の通電値は、0mAであった。
【0097】実施例9 表面粗さの山と谷との最大差が4μmであるアルミニウ
ム材を用い、フィルムの樹脂組成をポリエチレンテレフ
タレート[PET]に、またフィルムの接着プライマを
塗布せず、ラミネート時の板温を255℃にした以外
は、実施例1と同様にSOT蓋を作製し、評価を行なっ
た。その結果、開口性は良好で、開口不良は発生せず、
官能的には評点1.6であった。また、コーンスープに
ついて開缶評価を実施した結果、腐食等は認められず、
良好な状態であった。気泡については、面積率は10
%、大きさは長さ0.5mm、幅35μmであった。ま
た、フィルムの伸び率は、250%であった。尚、ラミ
ネート板での折曲げ加工部の通電値は、0mAであっ
た。
【0098】実施例10 ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポ
リエステル樹脂(イソフタレート成分:12モル%)
[PET/IA]を260℃で溶融させ、押出しラミネ
ートした以外は、実施例1と同様にSOT蓋を作製し、
評価を行なった。その結果、開口性は良好で、開口不良
は発生せず、官能的には評点1.1であった。また、コ
ーンスープについて開缶評価を実施した結果、腐食等は
認められず、良好な状態であった。気泡については、全
く生じなかった。また、フィルムの伸び率は、780%
であった。尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通電値
は、0mAであった。
【0099】実施例11 フィルムの樹脂組成を二軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ート/ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエステルフィ
ルム(ナフタレンジカルボン酸成分:12モル%)[P
ET/NDC]した以外は、実施例1と同様にSOT蓋
を作製し、評価を行なった。その結果、開口性は良好
で、開口不良は発生せず、官能的には評点1.1であっ
た。また、ぜんざいについて開缶評価を実施した結果、
腐食等は認められず、良好な状態であった。気泡につい
ては、面積率は1%、大きさは長さ0.1mm、幅25
μmであった。また、フィルムの伸び率は、230%で
あった。尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通電値
は、0mAであった。
【0100】実施例12 表面粗さの山と谷との最大差が2μmである板厚0.2
3mm,材質T4CAのLTS材を用い、スコア加工の
スコア残存厚みを60μmにした以外は、実施例1と同
様にSOT蓋を作製し、評価を行なった。その結果、開
口性は良好で、開口不良は発生せず、官能的には評点
1.2であった。また、コーンスープについて開缶評価
を実施した結果、腐食等は認められず、良好な状態であ
った。気泡については、面積率は2%、大きさは長さ
0.1mm、幅25μmであった。また、フィルムの伸
び率は、300%であった。尚、ラミネート板での折曲
げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0101】実施例13 表面粗さの山と谷との最大差が2μmである板厚0.2
3mm,材質T4CAのTFS材を用い、スコア加工の
スコア残存厚みを60μmにした以外は、実施例1と同
様にSOT蓋を作製し、評価を行なった。その結果、開
口性は良好で、開口不良は発生せず、官能的には評点
1.2であった。また、コーンスープについて開缶評価
を実施した結果、腐食等は認められず、良好な状態であ
った。気泡については、面積率は2.5%、大きさは長
さ0.2mm、幅28μmであった。また、フィルムの
伸び率は、300%であった。尚、ラミネート板での折
曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0102】実施例14 実施例1と同様の塗装焼付けラミネート板について、ラ
ミネート面が蓋の内面側となるように直径68.7mm
の蓋を打ち抜き、これにプッシュイン開口用の円形(直
径15mm及び9mm)切れ込み加工(ヒンジあり)を
行ない、プッシュイン蓋を作製した。得られたプッシュ
イン蓋を用いて、前記条件にて実缶パックを行ない、作
製したサンプルについて前記条件にて開口評価を実施し
た。その結果、開口性は良好で、開口不良は発生せず、
官能的には評点1.2であった。また、ココアについて
開缶評価を実施した結果、腐食等は認められず、良好な
状態であった。
【0103】このプッシュイン蓋について、前記の条件
にて気泡面積率及び気泡の大きさを測定したところ、面
積率2%、大きさは長さ0.1mm、幅25μmであっ
た。また、フィルムについて、前記条件にて伸び率を測
定したところ、300%であった。尚、ラミネート板で
の折曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0104】比較例1 表面粗さの山と谷との最大差が21μmであるアルミニ
ウム材を用い、ラミネート時の板温を238℃にした以
外は、実施例1と同様にSOT蓋を作製し、評価を行な
った。その結果、開口不良が発生し(発生率1%)、官
能的には評点3.2であった。但し、梅粥について開缶
評価を実施した結果は、腐食等は認められず、良好な状
態であった。気泡については、面積率は1%、大きさは
長さ0.08mm、幅21μmであった。また、フィル
ムの伸び率は、400%であった。尚、ラミネート板で
の折曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0105】比較例2 表面粗さの山と谷との最大差が21μmであるアルミニ
ウム材を用いた以外は、実施例1と同様にSOT蓋を作
製し、評価を行なった。その結果、開口不良が発生し
(発生率4%)、官能的には評点3.8であった。但
し、梅粥について開缶評価を実施した結果は、腐食等は
認められず、良好な状態であった。気泡については、面
積率は29%、大きさは長さ5.9mm、幅150μm
であった。また、フィルムの伸び率は、300%であっ
た。尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通電値は、0
mAであった。
【0106】比較例3 表面粗さの山と谷との最大差が21μmであるアルミニ
ウム材を用い、ラミネート時の板温を220℃にした以
外は、実施例1と同様にSOT蓋を作製し、評価を行な
った。その結果、開口不良が発生し(発生率4%)、官
能的には評点4.1であった。但し、梅粥について開缶
評価を実施した結果は、腐食等は認められず、良好な状
態であった。気泡については、面積率は31%、大きさ
は長さ7.5mm、幅200μmであった。また、フィ
ルムの伸び率は、300%であった。尚、ラミネート板
での折曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0107】比較例4 表面粗さの山と谷との最大差が28μmであるアルミニ
ウム材を用い、ラミネート時の板温を235℃にした以
外は、実施例1と同様にSOT蓋を作製し、評価を行な
った。その結果、開口不良が発生し(発生率3%)、官
能的には評点3.4であった。但し、梅粥について開缶
評価を実施した結果は、腐食等は認められず、良好な状
態であった。気泡については、面積率は15%、大きさ
は長さ2.5mm、幅100μmであった。また、フィ
ルムの伸び率は、350%であった。尚、ラミネート板
での折曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0108】比較例5 表面粗さの山と谷との最大差が28μmであるアルミニ
ウム材を用いた以外は、実施例1と同様にSOT蓋を作
製し、評価を行なった。その結果、開口不良が発生し
(発生率12%)、官能的には評点5.0であった。ま
た、コーンスープについて開缶評価を実施した結果、ア
ンダーフィルムコロージョンが認められた。気泡につい
ては、面積率は40%、大きさは長さ8.5mm、幅2
50μmであった。また、フィルムの伸び率は、250
%であった。尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通電
値は、0mAであった。
【0109】比較例6 表面粗さの山と谷との最大差が30μmであるアルミニ
ウム材を用い、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート/
イソフタレート共重合ポリエステルフィルムのイソフタ
レート成分を14モル%にし、ラミネート時の板温を2
20℃にした以外は、実施例1と同様にSOT蓋を作製
し、評価を行なった。その結果、開口不良が発生し(発
生率10%)、官能的には評点5.0であった。但し、
梅粥について開缶評価を実施した結果は、腐食等は認め
られず、良好な状態であった。気泡については、面積率
は38%、大きさは長さ8.0mm、幅220μmであ
った。また、フィルムの伸び率は、850%であった。
尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通電値は、0mA
であった。
【0110】比較例7 表面粗さの山と谷との最大差が25μmであるアルミニ
ウム材を用い、フィルムの樹脂組成をホモPETに、フ
ィルムの接着プライマを塗布せず、ラミネート時の板温
を255℃にした以外は、実施例1と同様にSOT蓋を
作製し、評価を行なった。その結果、開口不良が発生し
(発生率8%)、官能的には評点3.5であった。ま
た、梅粥について開缶評価を実施した結果、アンダーフ
ィルムコロージョンが認められた。気泡については、面
積率は30%、大きさは長さ8.2mm、幅210μm
であった。また、フィルムの伸び率は、250%であっ
た。尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通電値は、0
mAであった。
【0111】比較例8 フィルムの接着プライマを塗布せず、ラミネート時の板
温を212℃にした以外は、実施例1と同様にSOT蓋
を作製し、評価を行なった。その結果、開口不良が発生
し(発生率5%)、官能的には評点4.1であった。ま
た、コーンスープについて開缶評価を実施した結果、ア
ンダーフィルムコロージョンが認められた。気泡につい
ては、面積率は32%、大きさは長さ4.0mm、幅1
40μmであった。また、フィルムの伸び率は、200
%であった。尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通電
値は、0mAであった。
【0112】比較例9 表面粗さの山と谷との最大差が10μmであるアルミニ
ウム材を用い、フィルムの接着プライマを塗布せず、ラ
ミネート時の板温を215℃にした以外は、実施例1と
同様にSOT蓋を作製し、評価を行なった。その結果、
開口不良が発生し(発生率12%)、官能的には評点
5.0であった。また、コーンスープについて開缶評価
を実施した結果、アンダーフィルムコロージョンが認め
られた。気泡については、面積率は40%、大きさは長
さ8.0mm、幅270μmであった。また、フィルム
の伸び率は、200%であった。尚、ラミネート板での
折曲げ加工部の通電値は、0mAであった。
【0113】比較例10 表面粗さの山と谷との最大差が0.03μmであるアル
ミニウム材を用いた以外は、実施例1と同様にSOT蓋
を作製し、評価を行なった。その結果、開口不良が発生
し(発生率5.0%)、官能的には評点3.5であっ
た。また、コーンスープについて開缶評価を実施した結
果、アンダーフィルムコロージョンが認められた。気泡
については、面積率は1%、大きさは長さ0.1mm、
幅15μmであった。また、フィルムの伸び率は、30
0%であった。尚、ラミネート板での折曲げ加工部の通
電値は、0mAであった。
【0114】比較例11 ラミネート時の板温を235℃に、ラミネート後の冷却
を空気放冷にした以外は、実施例1と同様にSOT蓋を
作製し、評価を行なった。その結果、開口性は良好で、
開口不良は発生せず、官能的には評点2.0であった。
但し、コーンスープについて開缶評価を実施した結果、
かなり激しいアンダーフィルムコロージョンが認められ
た。気泡については、面積率は1.8%、大きさは長さ
0.1mm、幅23μmであった。また、フィルムの伸
び率は80%であった。尚、ラミネート板での折曲げ加
工部の通電値は、1.5mAであった。
【0115】
【表1】
【0116】
【表2】
【0117】
【発明の効果】本発明によれば、開口区画部の押し込み
によりスコアを切断して開口を行う易開口性金属蓋にお
いて、金属蓋を蓋用金属素材と金属素材の容器内面とな
る側に施された熱可塑性樹脂層とのラミネート板から形
成し、金属素材を容器内面となる側の山と谷との差(最
大高さ粗さ)が0.05乃至20μmの範囲内とし、更
に、金属素材と樹脂層との界面における気泡面積率を3
0%より小となるようにしたことにより、開口を行う際
に開口不良を生じることなく、開口操作が軽快に行われ
ると共に、耐内容物性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の易開口性蓋の製造に用いるラミネート
板の断面構造を示す断面図である。
【図2】本発明の易開口性蓋の一例の上面図である。
【図3】本発明の図2の易開口性蓋の拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ラミネート板 2 金属基材 3 熱可塑性樹脂層 4 外面塗料層 5 内面塗料層 10 蓋 11 環状リム部 12 密封用溝 13 開口すべき部分 14 スコア 15 リベット 16 開口用タブ 17 開口用先端 18 保持用リング 19 支点部分

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開口区画部の押し込みによりスコアを切
    断して開口を行う易開口性金属蓋において、該金属蓋は
    蓋用金属素材と金属素材の容器内面となる側に施された
    熱可塑性樹脂層とのラミネート板からなり、金属素材の
    容器内面となる側の表面粗さが山と谷との差(最大高さ
    粗さ)で表して0.05乃至20μmの範囲内にあり、
    金属素材と樹脂層との界面における気泡面積率が30%
    より小であることを特徴とする易開口性金属蓋。
  2. 【請求項2】 金属素材と樹脂層との界面における気泡
    が、長さ方向に6mm以下で幅方向に160μm以下で
    ある寸法を有する請求項1記載の易開口性金属蓋。
  3. 【請求項3】 前記ラミネート板は、0T折り曲げ試験
    に付したとき、折り曲げ加工部の金属露出が通電値とし
    て1mA以下であるものである請求項1または2記載の
    易開口性金属蓋。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂層が65℃において8
    00%以下の伸び率を有する熱可塑性樹脂である請求項
    1乃至3の何れかに記載の易開口性金属蓋。
JP28740897A 1997-10-20 1997-10-20 易開口性容器蓋 Pending JPH11124134A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007102596A1 (ja) 2006-03-06 2007-09-13 Toyo Seikan Kaisha, Ltd. 高温開口性に優れたイージーオープン蓋

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007102596A1 (ja) 2006-03-06 2007-09-13 Toyo Seikan Kaisha, Ltd. 高温開口性に優れたイージーオープン蓋
US8470447B2 (en) 2006-03-06 2013-06-25 Toyo Seikan Kaisha, Ltd. Easy open ends that can be favorably opened at high temperatures

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