JPH11123929A - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JPH11123929A
JPH11123929A JP29118997A JP29118997A JPH11123929A JP H11123929 A JPH11123929 A JP H11123929A JP 29118997 A JP29118997 A JP 29118997A JP 29118997 A JP29118997 A JP 29118997A JP H11123929 A JPH11123929 A JP H11123929A
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JP
Japan
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compressor
air
temperature
outside air
mode
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JP29118997A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Takano
義昭 高野
Hiroshi Kinoshita
宏 木下
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンプレッサ7の摺動部分の潤滑不足を防止
する。 【解決手段】 外気温度が0℃以下で、且つ吸込口モー
ドが内気循環モードの場合には、内気温度が15℃以上
に上昇するまで、外部可変容量型のコンプレッサ7から
吐出される冷媒の吐出容量を、目標エバ後温度に応じて
算出される目標吐出容量よりも大容量で運転することに
より、コンプレッサ7から吐出されたオイル高含有の冷
媒が冷凍サイクル16を一巡して速やかにコンプレッサ
7に帰還し、オイルの戻り性能が高まる。また、低外気
温で、且つ吸込口モードが外気導入モードの場合には、
低湿度で、低温の外気が空調ダクト2内に導入されるの
で、電磁クラッチ8をOFFしてエンジンEからコンプ
レッサ7への回転動力の伝達を遮断することにより、エ
ンジンEの燃料消費率を減少して燃料経済性を向上させ
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部からの信号に
基づき容量可変制御を行う外部可変容量型のコンプレッ
サを備えた車両用空調装置に関するもので、特にコンプ
レッサの摺動部分の潤滑不足を回避することが可能な車
両用空調装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、両頭斜板式またはワッブル式
の可変容量型のコンプレッサは、車両に搭載されたエン
ジンから動力が伝達されることにより回転する駆動軸
と、この駆動軸により駆動されてピストンを往復摺動さ
せる斜板とを備えている。そして、その可変容量型のコ
ンプレッサには、ワッブル式ではその斜板傾角を制御し
てピストンのストロークを制御することによりコンプレ
ッサの吐出容量を制御し、両頭斜板式では有効圧縮スト
ロークを制御することによりコンプレッサの吐出容量を
制御している。
【0003】そして、従来の通常の容量可変制御では、
コンプレッサの起動に際して、吸込口モードが外気導入
モードで、且つ外気温度が所定温度(例えば0℃)以下
の場合は、エバポレータの熱負荷(以下エバポレータ負
荷と言う)が小さく、つまりエバポレータに吸い込まれ
る空気の吸込温度が低く、コンプレッサの吐出容量が自
動的に小容量運転となり、コンプレッサの吐出口から吐
出される冷媒が冷凍サイクルを一巡してコンプレッサに
帰還するのに長時間を要してしまい、コンプレッサの吐
出口から吐出される冷媒に随伴するコンプレッサオイル
が長時間コンプレッサに帰還せず、コンプレッサの摺動
部分が潤滑不足に陥るという問題が生じていた。
【0004】そこで、特開平6−297937号公報に
おいては、外気温度が所定温度(例えば0℃)以下の場
合に、コンプレッサの起動から所定時間だけコンプレッ
サを大容量運転することにより、コンプレッサの吐出口
から吐出されたオイル高含有の冷媒が冷凍サイクルを一
巡して速やかにコンプレッサに帰還して、コンプレッサ
の摺動部分の潤滑不足を解消するようにした車両用空調
装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の車両
用空調装置においては、外気温度が所定温度(例えば0
℃)以下の場合に、コンプレッサの起動から所定時間だ
けコンプレッサを大容量運転するようにしているが、吸
込口モードが外気導入モードの場合には、コンプレッサ
の起動から所定時間が経過してエンジンの冷却水温度が
上昇し、通常制御に戻ったとき、エバポレータに吸い込
まれる空気の吸込温度は上昇せず、エバポレータ負荷は
小さいままであり、コンプレッサの摺動部分の潤滑不足
を解消することはできなかった。
【0006】また、外気温度が所定温度以下で、且つ吸
込口モードが外気導入モードの場合には、低湿度の車室
外空気を空調ダクト内に導入してフロント窓ガラスの内
面の曇りを取り除くようにしているので、わざわざコン
プレッサを起動して冷却用熱交換器に空気冷却除湿作用
を行わせる必要はない。このような外気導入モード時
に、コンプレッサをエンジンにて駆動すれば、エンジン
負荷が大きいので、エンジンの燃料消費率が増加して燃
料経済性を悪化させてしまうという問題も生じてしま
う。
【0007】
【発明の目的】本発明の目的は、コンプレッサの摺動部
分の潤滑不足を防止でき、且つエンジンの燃料消費率を
減少して燃料経済性を向上させることのできる車両用空
調装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1ないし請求項4
に記載の発明によれば、外気温度が所定温度以下で、且
つ吸込口モードが内気循環モードの場合には、コンプレ
ッサを大容量で運転することにより、コンプレッサから
吐出されたオイル高含有の冷媒が冷凍サイクルを一巡し
て速やかにコンプレッサに帰還するので、オイルの戻り
性能が高まり、コンプレッサの摺動部分の潤滑不足を解
消できる。
【0009】ここで、外気温度が所定温度以下の場合で
も、エンジンの始動後に所定時間が経過するとエンジン
の冷却水温度が上昇し、加熱用熱交換器の放熱により車
室内の温度が上昇してくる。そのため、冷却用熱交換器
に吸い込まれる空気の吸込温度が上昇しているので、冷
却用熱交換器の負荷も大きくなる。したがって、外気温
度が所定温度以下の場合に、エンジンを始動してから所
定時間が経過したり、または内気温度が所定温度以上に
上昇したりした後に、目標吐出容量に基づく吐出容量制
御を行っても、目標吐出容量が大容量側に設定される。
このため、コンプレッサから吐出されたオイル高含有の
冷媒が冷凍サイクルを一巡して速やかにコンプレッサに
帰還するので、オイルの戻り性能が高まり、コンプレッ
サの摺動部分の潤滑不足を解消できる。
【0010】また、外気温度が所定温度以下で、且つ吸
込口モードが外気導入モードの場合には、低湿度の車室
外空気を空調ダクト内に導入してフロント窓ガラスの内
面の曇りを取り除くようにしているので、わざわざコン
プレッサを起動して冷却用熱交換器に空気冷却除湿作用
を行わせる必要はない。このため、外気温度が所定温度
以下で、且つ吸込口モードが外気導入モードの場合に
は、コンプレッサの運転を停止することにより、コンプ
レッサの摺動部分が潤滑不足となる状況を回避すること
により、コンプレッサの摺動部分が磨耗することはな
い。さらに、エンジン等によりコンプレッサを回転駆動
しなくても良いので、エンジン負荷を減少できる。
【0011】請求項5に記載の発明によれば、外気温度
が所定温度以下で、且つ吸込口モードが内気循環モード
の場合には、圧縮機本体の吸入圧力の設定値を目標吐出
容量の時よりも小さくするように吐出容量可変手段の電
気信号を制御することでコンプレッサを大容量で運転す
ることにより、コンプレッサの摺動部分の潤滑不足を防
止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
〔実施形態の構成〕図1ないし図12は本発明の実施形
態を示したもので、図1は自動車用空調装置の全体構成
を示した図で、図2は内外気切替箱と遠心式送風機を示
した図である。
【0013】本実施形態の自動車用空調装置は、エンジ
ンルーム内にエンジン(内燃機関、原動機)Eを搭載し
た自動車の車室内を空調する空調ユニット(エアコンユ
ニット)1における各空調手段(アクチュエータ)を、
空調制御装置(以下エアコンECUと呼ぶ)10によっ
て制御するように構成されている。
【0014】空調ユニット1は、自動車の車室内に空調
風を送るための空調ダクト2を備えている。この空調ダ
クト2の空気上流側には、内外気切替箱3および遠心式
送風機4が設けられている。内外気切替箱3は、空調ダ
クト2内に少なくとも車室内空気(以下内気と呼ぶ)ま
たは車室外空気(以下外気と呼ぶ)の一方または両方を
取り入れるためのものである。この内外気切替箱3に
は、内気を吸い込むための内気吸込口11、および外気
を吸い込むための外気吸込口12が形成されている。
【0015】そして、内外気切替箱3内には、内外気切
替ドア13が回動自在に設けられている。この内外気切
替ドア13は、本発明の内外気切替手段に相当するもの
で、内気吸込口11より内気を空調ダクト2内に導入す
る内気循環(REC)モード、または外気吸込口12よ
り外気を空調ダクト2内に導入する外気導入(FRS)
モードのいずれかの吸込口モードに切り替える。そし
て、内外気切替ドア13には、そのアクチュエータとし
てのサーボモータ(図示せず)が連結されており、その
サーボモータによって支点を中心にして回動させられ
る。
【0016】そして、遠心式送風機4は、内外気切替箱
3内の略中央部に配設されている。そして、遠心式送風
機4は、内外気切替箱3に一体的に形成されたスクロー
ルケーシングと、ブロワ駆動回路(図示せず)により通
電制御されるブロワモータ14と、このブロワモータ1
4に回転駆動されて、空調ダクト2を経て車室内に向か
う空気流を発生させる遠心式ファン15とから構成され
ている。
【0017】次に、空調ダクト2の空気下流側には、吹
出口切替箱(図示せず)が設けられている。この吹出口
切替箱には、フロントガラスの内面に主に温風を吹き出
すデフロスタ(DEF)吹出口、乗員の頭胸部(上半
身)に主に冷風を吹き出すフェイス(FACE)吹出
口、および乗員の足元部に主に温風を吹き出すフット
(FOOT)吹出口(いずれも図示せず)が形成されて
いる。
【0018】次に、空調ダクト2の中間部には、自身を
通過する空気を冷却する冷却用熱交換器であると共に、
車両に搭載された冷凍サイクル16の一構成部品を成す
エバポレータ(冷媒蒸発器)5が、空調ダクト2内の空
気通路の全面を塞ぐようにして配されている。
【0019】上記の冷凍サイクル16は、吸入した冷媒
を圧縮して吐出する外部可変容量型のコンプレッサ(冷
媒圧縮機)7と、このコンプレッサ7からの冷媒を外気
との熱交換によって凝縮液化させるコンデンサ(冷媒凝
縮器)17と、このコンデンサ17からの冷媒を気液分
離すると共に、冷凍サイクル16内の余剰冷媒を一時的
に蓄えるレシーバ(気液分離器)18と、このレシーバ
18からの液冷媒を減圧膨張させる膨張弁(減圧手段)
19と、この膨張弁19からの低圧冷媒を空調ダクト2
内の空気との熱交換によって蒸発気化させる上記のエバ
ポレータ5とが冷媒配管によって結合されている。な
お、20は駆動モータ21により回転駆動される冷却フ
ァンで、コンデンサ17に強制的に外気を吹き付ける。
【0020】エバポレータ5の空気下流側には、エバポ
レータ5を通過した冷風を再加熱するヒータコア6が設
けられている。このヒータコア6は、内部にエンジンを
冷却した冷却水が流れ、この冷却水を暖房用熱源として
冷風を再加熱する加熱用熱交換器である。このヒータコ
ア6の空気上流側には、板状のエアミックスドア(以下
A/Mドアと言う)22が回動自在に支持されている。
【0021】A/Mドア22には、そのアクチュエータ
としてのサーボモータ23が連結されており、そのサー
ボモータ23によって支点を中心にして回動させられ
る。つまり、A/Mドア22は、ヒータコア6を通過す
る空気量とヒータコア6を迂回する空気量との割合を調
節して、車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調整する吹
出温度調整手段として機能する。
【0022】次に、本実施形態のコンプレッサ7を図1
ないし図6に基づいて簡単に説明する。ここで、図3は
電磁クラッチが一体化された外部可変容量型のコンプレ
ッサ7を示した図である。このコンプレッサ7には、エ
ンジンEの動力をコンプレッサ7に伝達したり遮断する
電磁クラッチ8が接続されている。
【0023】この電磁クラッチ8は、円環状の取付フラ
ンジ31を介してコンプレッサ7のハウジング44に固
定されたステータハウジング32と、エンジンEにベル
トVを介して連結されるプーリ33が外周に接合された
ロータ34と、このロータ34との間に狭い間隙を隔て
て対向配置され、ロータ34の摩擦面と摩擦係合する摩
擦面が形成されたアーマチャ35と、通電されると磁束
を発生することによりアーマチャ35をゴムハブ(弾性
体)36の弾性力に抗してロータ34に吸着させる電磁
コイル37と、アウターハブ38およびゴムハブ36を
介してアーマチャ35とコンプレッサ7のシャフト40
とを連結するインナーハブ39とから構成されている。
【0024】コンプレッサ7は、本発明の圧縮機本体に
相当するものであって、自身の吐出容量を変更可能な例
えばワッブルタイプの周知のものである。このコンプレ
ッサ7は、電磁クラッチ8のインナーハブ39と一体的
に回転するシャフト40と、このシャフト40に斜めに
固定された斜板41と、この斜板41にセットされたピ
ストン42と、このピストン42が摺動するシリンダ
(リヤハウジング)43を連結するハウジング(フロン
トハウジング)44と、このハウジング44の後端側に
連結され、コンプレッサ7の吐出容量を可変するための
電磁式容量制御弁(本発明の吐出容量可変手段に相当す
る)9とから構成されている。
【0025】ここで、シリンダ43は、ピストン42と
の間にシリンダ室45を形成している。このシリンダ室
45を形成するバルブプレート46の中央寄りには、弾
性金属板で形成されたサクションバルブ(図示せず)に
より開閉される吸入口(図示せず)が形成されている。
この吸入口は、電磁式容量制御弁9のバルブボディ47
に形成された吸入ポート48に連通している。また、バ
ルブプレート46の外側寄りには、弾性金属板で形成さ
れたディスチャージバルブ49により開閉される吐出口
50が形成されている。この吐出口50は、バルブボデ
ィ47に形成された吐出ポート51に連通している。
【0026】なお、ハウジング44の内部には、斜板4
1を変位自在に動かせるためのクランク室52と吸入ポ
ート48とを効果的に連通する固定絞り53(図4ない
し図6参照)が設けられている。また、斜板41とピス
トン42との摺動部分、ピストン42とシリンダ43と
の摺動部分や、ハウジング44と回転部材との摺動部分
は、冷凍サイクル16中を循環する冷媒中に含まれるコ
ンプレッサオイル(潤滑油:以下オイルと言う)により
潤滑されている。そして、ハウジング44の内部には、
そのオイルを一時的に溜める貯油室(図示せず)が設け
られている。
【0027】以上により、電磁クラッチ8の電磁コイル
37が通電状態(ON)のときには、電磁クラッチ8の
アーマチャ35がロータ34に吸着してロータ34とア
ーマチャ35とが摩擦係合することにより、エンジンE
の動力がベルトVおよび電磁クラッチ8を介してコンプ
レッサ7のシャフト40に伝達される。これにより、冷
凍サイクル16が起動することによってエバポレータ5
による空気冷却除湿作用が行われる。
【0028】また、電磁クラッチ8の電磁コイル37へ
の通電が停止(OFF)のときには、電磁クラッチ8の
アーマチャ35がロータ34と離れてロータ34とアー
マチャ35との摩擦係合が遮断される。これにより、エ
ンジンEの動力がコンプレッサ7のシャフト40に伝達
されず、エバポレータ5による空気冷却除湿作用が停止
される。
【0029】次に、電磁式容量制御弁9を図1ないし図
6に基づいて説明する。ここで、図4(a)はコンプレ
ッサ7に内蔵された電磁式容量制御弁9を示した図で、
図4(b)はコンプレッサ7の制御電流値と吸入圧力の
設定値との関係を示したグラフである。
【0030】電磁式容量制御弁9には、コンプレッサ7
の吸入圧力(Ps)が与えられる圧力通路54と、コン
プレッサ7の吐出圧力(Pd)が与えられる圧力通路5
5と、コンプレッサ7のクランク室52にクランク室内
圧力(Pc)を与える圧力通路56と、圧力通路55、
56を連通する連通口57とが形成されたバルブボディ
47が設けられている。
【0031】そして、連通口57の開度は、弁体58の
停止位置により決められている。その弁体58の停止位
置は、プランジャ59およびベローズ60の変位位置に
より決定されるように構成されている。プランジャ59
およびベローズ60は、ロッド61、62を介して弁体
58と連結している。そして、プランジャ59の設定位
置は、電磁コイル63への制御電流の大きさにより変更
されるように構成されている。なお、64はプランジャ
59を初期位置に戻すためのリターンスプリングであ
る。
【0032】したがって、電磁式容量制御弁9は、図4
(b)に示したように、エアコンECU10からの制御
電流によってコンプレッサ7の吸入圧力(Ps)の設定
値を変えることにより、コンプレッサ7の吐出容量を可
変する吐出容量可変手段である。すなわち、電磁式容量
制御弁9は、図4(a)に示したように、バルブボディ
47内の電磁コイル63に制御電流を加えることでプラ
ンジャ59およびベローズ60への外力を可変させる構
造であり、吸入圧力(Ps)に対する弁体58の開度の
関係を可変させることで、目標エバ後温度(TEO)と
なるように制御する。
【0033】次に、電磁式容量制御弁9によるコンプレ
ッサ7の吐出容量の可変方法について図5および図6を
用いて説明する。ここで、図5(a)は吐出容量の大き
い時の電磁式容量制御弁の状態を示した図で、図5
(b)は吐出容量の大きい時のコンプレッサの状態を示
した図である。また、図6(a)は吐出容量の小さい時
の電磁式容量制御弁の状態を示した図で、図6(b)は
吐出容量の小さい時のコンプレッサの状態を示した図で
ある。
【0034】先ず、実際のエバ後温度(TE)が目標エ
バ後温度(TEO)よりもかなり高温の場合には、電磁
式容量制御弁9の電磁コイル63を流れる制御電流値
(I)を小さくして、コンプレッサ7の吸入圧力(P
s)の設定値を小さくする。この場合には、図5(a)
に示したように、電磁式容量制御弁9のプランジャ59
が収縮することによって電磁式容量制御弁9の弁体58
が小さく変位して連通口57の開度が小さくなる。
【0035】これにより、コンプレッサ7の吐出圧力
(Pd)が圧力通路56に入り難くなりクランク室内圧
力(Pc)が小さくなる。そして、クランク室内圧力
(Pc)が小さくなることにより、図5(b)に示した
ように、コンプレッサ7の斜板41の傾きが大きくなる
ことによってピストン42のストロークが長くなる。こ
の結果、コンプレッサ7の吐出圧力(Pd)が高くなる
ので、コンプレッサ7の吐出容量が大きくなる。
【0036】また、実際のエバ後温度(TE)が目標エ
バ後温度(TEO)に略等しい場合には、電磁式容量制
御弁9の電磁コイル63を流れる制御電流値(I)を大
きくして、コンプレッサ7の吸入圧力(Ps)の設定値
を大きくする。この場合には、図6(a)に示したよう
に、プランジャ59が伸長することによって弁体58が
大きく変位して連通口57の開度が大きくなる。
【0037】これにより、コンプレッサ7の吐出圧力
(Pd)が圧力通路56に入りクランク室内圧力(P
c)が大きくなる。そして、クランク室内圧力(Pc)
が大きくなることにより、図6(b)に示したように、
コンプレッサ7の斜板41の傾きが小さくなることによ
ってピストン42のストロークが短くなる。この結果、
コンプレッサ7の吐出圧力(Pd)が低くなるので、コ
ンプレッサ7の吐出容量が小さくなる。
【0038】次に、本実施形態のエアコンECU10の
構成を図1および図7に基づいて説明する。ここで、図
7は自動車の車室内前面に設置されたインストルメント
パネルの略中央部に一体的に設けられたエアコン操作パ
ネル上の各スイッチを示した図である。
【0039】空調ユニット1における各空調手段を制御
するエアコンECU10には、車室内前面に設けられた
エアコン操作パネルP上の各スイッチからの各スイッチ
信号が入力される。なお、エアコン操作パネルP上に
は、コンプレッサ7の起動および停止を指令するエアコ
ン(A/C)スイッチ70、吸込口モードを切り替える
ための内外気切替スイッチ71、車室内の温度を所望の
温度に設定する温度設定レバー(温度設定手段)72、
遠心式ファン15の送風量を切り替えるための風量切替
レバー73、および吹出口モードを切り替えるための吹
出口切替スイッチ等が設置されている。
【0040】上記のうち内外気切替スイッチ71は、F
RSモードまたはRECモードのうちのいずれかの吸込
口モードに切り替える手動操作手段である。また、吹出
口切替スイッチとして、FACEモードに固定するため
のFACEスイッチ74a、B/Lモードに固定するた
めのB/Lスイッチ74b、FOOTモードに固定する
ためのFOOTスイッチ74c、F/Dモードに固定す
るためのF/Dスイッチ74d、DEFモードに固定す
るためのDEFスイッチ74eを有している。
【0041】また、エアコンECU10の内部には、C
PU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピ
ュータが設けられ、各センサからの各センサ信号が図示
しない入力回路によってA/D変換された後に、マイク
ロコンピュータへ入力されるように構成されている。な
お、エアコンECU10は、自動車のエンジンEの作動
および運転停止を司るイグニッションスイッチが投入
(ON)されたときに、自動車に搭載されたバッテリ
(車載電源)から直流電源が供給されて作動するように
構成されている。
【0042】そして、エアコンECU10には、車室外
の空気温度(以下外気温度と言う)を検出する外気温度
センサ(外気温度検出手段)75、車室内の空気温度
(以下内気温度と言う)を検出する内気温度センサ(内
気温度検出手段)76、車室内に入射する日射量を検出
する日射センサ(日射量検出手段)77が接続されてい
る。また、エバポレータ5による実際の空気冷却度合を
検出するエバ後温度センサ(冷却度合検出手段)78、
およびヒータコア6に流入する冷却水の温度を検出する
冷却水温度センサ(冷却水温度検出手段)79も接続さ
れている。
【0043】このうち、エバ後温度センサ78は、図1
に示したように、空調ダクト2のうちエバポレータ5を
通過した直後の空気温度(以下エバ後温度TEと呼ぶ)
を検出するエバ後検出手段である。なお、外気温度セン
サ75、内気温度センサ76、エバ後温度センサ78お
よび冷却水温度センサ79は実際にはサーミスタが使用
されている。また、上記の各スイッチや各センサは、車
室内を空調するのに必要な空調環境因子を検出するもの
である。
【0044】また、マイクロコンピュータには、例えば
目標吹出温度(TAO)や外気温度(TAM)等に基づ
いて第1、第2目標エバ後温度を決定する目標エバ後温
度決定手段(目標冷却度合決定手段)101と、実際の
エバ後温度(TE)と目標エバ後温度(TEO)とが一
致するように制御電流値(I)を演算する制御電流演算
手段(目標吐出容量決定手段)102とが設けられてい
る。さらに、マイクロコンピュータには、制御電流演算
手段102にて演算された制御電流値(I)を電磁式容
量制御弁9の電磁コイル63に供給してコンプレッサ7
の容量制御を行うコンプレッサ制御手段103と、制御
電流演算手段102にて演算された制御電流値(I)よ
りもコンプレッサ7の吐出容量を大容量化するように補
正する目標吐出容量補正手段104と、目標吹出温度
(TAO)、エバ後温度(TE)および冷却水温度(T
W)等に基づいてA/Mドア22の目標A/M開度(S
W)を決定するA/M開度決定手段105とが設けられ
ている。
【0045】〔実施形態の制御方法〕次に、本実施形態
のエアコンECU10による制御方法を図1ないし図1
1に基づいて簡単に説明する。ここで、図8はエアコン
ECU10による基本的な制御処理を示したフローチャ
ートである。
【0046】先ず、イグニッションスイッチがONされ
てエアコンECU10に直流電源が供給されると、図8
のルーチンが起動され、各イニシャライズおよび初期設
定を行う(ステップS1)。
【0047】次に、エアコン操作パネルP上の各スイッ
チから各スイッチ信号を読み込む(温度設定手段、吸込
口モード設定手段:ステップS2)。具体的には、内外
気切替スイッチ71にて設定された吸込口モード、温度
設定レバー72にて設定された設定温度(TSET)等
を読み込む。
【0048】次に、各センサから各センサ信号を読み込
む(外気温度検出手段、冷却度合検出手段:ステップS
3)。具体的には、外気温度センサ75にて検出した外
気温度(TAM)、内気温度センサ76にて検出した内
気温度(TR)、日射センサ77にて検出した日射量
(TS)、エバ後温度センサ78にて検出した実際のエ
バ後温度(TE)および冷却水温度センサ79にて検出
した冷却水温度(TW)を読み込む。
【0049】次に、予めROMに記憶された下記の数1
の式に基づいて、車室内へ吹き出す空気の目標吹出温度
(TAO)を算出(決定)する(目標吹出温度決定手
段:ステップS4)。
【数1】TAO=KSET×TSET−KR×TR−K
AM×TAM−KS×TS+C
【0050】なお、TSETは温度設定レバー72にて
設定された設定温度で、TRは内気温度センサ76にて
検出した内気温度で、TAMは外気温度センサ75にて
検出した外気温度で、TSは日射センサ77にて検出し
た日射量である。また、KSET、KR、KAM、KS
はゲインで、Cは補正用の定数である。
【0051】次に、風量切替スイッチ74がAUTO位
置に設定されている場合には、予めROMに記憶された
制御パターン(特性図、マップ)から、目標吹出温度
(TAO)に対応するブロワ電圧(ブロワモータ14に
印加する電圧)を算出する(ステップS5)。
【0052】ここで、吸込口モードの決定は、エアコン
操作パネルP上の内外気切替スイッチ71にて設定され
た吸込口モードに決定する。例えばRECモードまたは
FRSモードに決定される。また、吹出口モードの決定
は、エアコン操作パネルP上の吹出口切替スイッチを構
成する各スイッチ74a〜74eにて設定された吹出口
モードに決定する。例えばFACEモード、B/Lモー
ド、FOOTモード、F/DモードまたはDEFモード
のいずれかに決定される。
【0053】次に、予めROMに記憶された下記の数2
の式に基づいて、A/Mドア22の目標A/M開度(S
W)を算出(決定)する(ステップS6)。
【数2】SW={(TAO−TE)/(TW−TE)}
×100% なお、TEはエバ後温度センサ78にて検出したエバ後
温度で、TWは冷却水温度センサ79にて検出した冷却
水温度である。
【0054】次に、A/Cスイッチ70がONされてい
る時に、後記する図9のサブルーチンが起動して、コン
プレッサ7の吐出容量を決定する(コンプレッサ制御手
段:ステップS7)。
【0055】次に、各ステップS5〜ステップS7にて
算出または決定した各制御状態が得られるように、ブロ
ワ駆動回路、サーボモータ23および電磁式容量制御弁
9の電磁コイル63に対して制御信号を出力する(ステ
ップS8)。このステップS8では、エバ後温度センサ
78にて検出した実際のエバ後温度(TE)と目標エバ
後温度(TEO)とが等しくなるようにコンプレッサ7
の容量制御を行う。具体的には、後記する図9のサブル
ーチンで求めた制御電流値(In)を電磁式容量制御弁
9の電磁コイル63に供給する。そして、ステップS9
で、制御サイクル時間であるt(例えば0.5秒間〜2
秒間)の経過を待ってステップS2の制御処理に戻る。
【0056】次に、コンプレッサ7の吐出容量決定の制
御処理を図9ないし図11に基づいて説明する。ここ
で、図9はコンプレッサ7の吐出容量決定の制御処理を
示したフローチャートである。
【0057】先ず、図9のサブルーチンが起動すると、
外気温度センサ75にて検出した外気温度(TAM)が
所定温度(例えば0℃)以下であるか否かを判定する
(オイル戻し制御判定手段:ステップS11)。この判
定結果がNOの場合には、予めROMに記憶された図1
0に示すパターン(特性図、マップ)に基づき、外気温
度センサ75にて検出した外気温度(TAM)から第1
目標エバ後温度(TEO1)を算出(決定)する(目標
エバ後温度決定手段:ステップS12)。具体的には、
図10に示すパターンから外気温度(TAM)が高くな
ればなる程、第1目標エバ後温度(TEO1)が高くな
るように算出(設定)する。
【0058】次に、予めROMに記憶された図11に示
すパターン(特性図、マップ)に基づき、ステップS4
で決定した目標吹出温度(TAO)から第2目標エバ後
温度(TEO2)を算出(決定)する(目標エバ後温度
決定手段:ステップS13)。具体的には、図11に示
すパターンから目標吹出温度(TAO)が高くなればな
る程、第2目標エバ後温度(TEO2)が高くなるよう
に算出(設定)する。
【0059】次に、ステップS12にて決定された第1
目標エバ後温度(TEO1)がステップS13にて決定
された第2目標エバ後温度(TEO2)よりも低い値か
否かを判定する(ステップS14)。この判定結果がY
ESで、第1目標エバ後温度(TEO1)が第2目標エ
バ後温度(TEO2)よりも低い値と判定された場合に
は、第1目標エバ後温度(TEO1)を目標エバ後温度
(TEO)として読み込む(目標エバ後温度決定手段:
ステップS15)。
【0060】一方、ステップS14の判定結果がNO
で、第2目標エバ後温度(TEO2)が第1目標エバ後
温度(TEO1)以下の低い値と判定された場合には、
第2目標エバ後温度(TEO2)を目標エバ後温度(T
EO)として読み込む(ステップS16)。
【0061】上記のように、目標エバ後温度(TEO)
を決定した後に、例えばフィードバック制御(PI制
御)によりコンプレッサ7の目標吐出容量を決定する。
具体的には、電磁式容量制御弁9の電磁コイル63に供
給する制御電流の目標値となる、コンプレッサ7の制御
電流値(In)を算出(決定)する(制御電流演算手
段、目標吐出容量決定手段:ステップS17)。その後
に、リターンする。
【0062】具体的には、下記の数3の式および数4の
式に基づいて、制御電流値(In)を算出する。
【数3】En=TE−TEO
【数4】In=In-1−Kp{(En−En-1)+(θ
/Ti)×En}
【0063】ここで、TEOはステップS15またはス
テップS16で読み込まれた目標エバ後温度で、Kpは
比例定数で、θはサンプリング時間(例えば1秒間)
で、TEは実際のエバ後温度で、Tiは積分時間で、E
nは今回の温度偏差で、En-1は前回の温度偏差で、I
nは今回の制御電流値(I)で、In-1は前回の制御電
流値である。
【0064】また、ステップS11の判定結果がYES
の場合には、吸込口モードがRECモードであるか否か
を判定する(オイル戻し制御判定手段:ステップS1
8)。この判定結果がNOの場合には、つまり吸込口モ
ードがFRSモードの場合には、コンプレッサ7の運転
を停止するために電磁クラッチ8の電磁コイル37をO
FFするように決定する(ステップS19)。その後
に、リターンする。
【0065】また、ステップS18の判定結果がYES
の場合には、つまり吸込口モードがRECモードの場合
には、内気温度が所定温度(例えば15℃)以上に上昇
する車室内温度環境に達しているか否かを判定する。具
体的には、内気温度センサ76にて検出した内気温度
(TR)が所定温度(例えば15℃)以上に上昇してい
るか否かを判定する。あるいはエンジンEを始動してか
ら所定時間(例えば5分間〜15分間)が経過している
か否かを判定する(ステップS20)。この判定結果が
YESの場合には、ステップS12の制御処理に進む。
【0066】また、ステップS20の判定結果がNOの
場合には、オイルの戻り性能を高めるために、コンプレ
ッサ7を通常制御時よりも大容量運転する。具体的に
は、コンプレッサ7の吸入圧力の設定値を目標エバ後温
度(目標吐出容量)の時よりも小さくするために、コン
プレッサ7の制御電流値(In)を最小値(例えば0
A)または目標エバ後温度(TEO)を最小値(例えば
−5℃)に設定するように出力する(目標吐出容量補正
手段、オイル戻し制御指令手段:ステップS21)。そ
の後に、リターンする。
【0067】〔実施形態の作用〕次に、本実施形態の空
調ユニット1の作用を図1ないし図12に基づいて簡単
に説明する。ここで、図12はエバポレータの吸込温
度、コンプレッサの吐出容量、制御電流値およびエバ後
温度を示したタイムチャートである。
【0068】上記のフィードバック制御を用いて、外気
温度(TAM)が所定温度(例えば0℃)以下で、吸込
口モードがRECモードで、車室内が充分に冷えている
時、エンジンEの始動と共に電磁クラッチ8の電磁コイ
ル37を通電してコンプレッサ7を起動すると、図12
に実線で示したような状態になる。
【0069】つまり、コンプレッサ7の起動直後は、コ
ンプレッサ7の吐出容量が大容量となる運転が行われ
る。例えばコンプレッサ7の起動時に制御電流値I=0
(A)とする制御が加わっている場合、この場合にはエ
バポレータ負荷(熱負荷)が低いため、エバ後温度(T
E)が下がる。このため、電磁式容量制御弁9の電磁コ
イル63に供給する制御電流が大きくなり、コンプレッ
サ7の吸入圧力(Ps)も大きくなるので、コンプレッ
サ7より吐出される冷媒の吐出容量がダウンする。
【0070】このため、コンプレッサ7の起動直後に、
冷凍サイクル16を一巡してオイルがコンプレッサ7に
戻ったとしても(吐出容量が大きい時間が5秒間〜20
秒間程度の短時間であるため、熱負荷により戻らない場
合もある)、すぐにオイルはコンプレッサ7に戻らなく
なる。その後に、5分間〜15分間後、内気温度(T
R)の上昇と共に、エバポレータ負荷(熱負荷)が大き
くなるため、コンプレッサ7より吐出される冷媒の吐出
容量が大きくなることにより、再びオイルはコンプレッ
サ7の摺動部分を潤滑可能に戻るようになる。
【0071】そこで、本実施形態では、例えば0℃以下
の低外気温で、且つ吸込口モードがRECモードの場合
には、車室内が冷えている場合に発生する一時的なオイ
ル戻り不良を防ぐため以下の制御を行うようにしてい
る。
【0072】すなわち、図12に破線で示すように、例
えば0℃以下の低外気温で、且つ吸込口モードがREC
モードの場合に、エンジンEの始動直後(コンプレッサ
7の起動直後)に一定時間(例えば5分間〜15分間)
が経過するまで、あるいは内気温度(TR)が所定温度
(例えば15℃)以上に上昇するまで、電磁式容量制御
弁9の電磁コイル63に供給する制御電流値を0A、つ
まり目標エバ後温度(TEO)を最小値(例えば−5
℃)に固定することにより、目標エバ後温度(TEO)
に基づく制御電流値(In)よりも大容量運転となるよ
うに補正することで、冷凍サイクル16のオイル戻り不
良時間をなくす(少なくする)ようにしている。
【0073】ここで、コンプレッサ7より吐出される冷
媒の吐出容量が大きくなれば、オイルがコンプレッサ7
に戻り易くなるが、逆にエバポレータ5の下流直後の空
気温度(エバ後温度:TE)は例えば−4℃〜−5℃程
度まで低下するという問題が発生する。しかし、例えば
0℃以下の低外気温時のコンプレッサ7の起動時におい
ては、車室内の絶対湿度が低いため、エバポレータ7が
着霜(フロスト)し難く、短時間であれば何ら問題はな
い。
【0074】〔実施形態の効果〕以上のように、例えば
0℃以下の低外気温で、且つ吸込口モードがRECモー
ドの場合には、コンプレッサ7の吐出容量が大容量とな
るように制御することにより、コンプレッサ7から吐出
されたオイル高含有の冷媒が冷凍サイクル16を一巡し
て速やかにコンプレッサ7に帰還するので、オイルの戻
り性能が高まり、コンプレッサ7の摺動部分が潤滑不足
とならない。
【0075】また、外気温度が所定温度以下の場合で
も、エンジンEを始動してから所定時間が経過したり、
または内気温度が所定温度以上に上昇したりした後に、
目標エバ後温度(TEO)に基づく吐出容量制御を行っ
ても、コンプレッサ7の吐出容量は潤滑不足とならない
程度の吐出容量となるように制御される。このため、コ
ンプレッサ7から吐出されたオイル高含有の冷媒が冷凍
サイクル16を一巡して速やかにコンプレッサ7に帰還
するので、オイルの戻り性能が高まり、コンプレッサ7
の摺動部分が潤滑不足となることはない。
【0076】また、外気温度が所定温度以下で、且つ吸
込口モードがFRSモードの場合には、低湿度で低温の
外気が空調ダクト2内に導入されるので、そもそもフロ
ント窓ガラスの内面が曇り難い。このため、低温デミス
ト制御は不要となるので、電磁クラッチ8の電磁コイル
37の通電を停止してコンプレッサ7を停止することに
より、コンプレッサ7の摺動部分が潤滑不足となる状況
を回避できる。この結果、コンプレッサ7の摺動部分が
磨耗することはなく、その摺動部分の耐久寿命を長寿命
化できる。また、エンジンEからコンプレッサ7への回
転動力の伝達が遮断されるので、エンジン負荷を減少で
きる。このため、エンジンEの燃料消費率を減少できる
ので、燃料経済性を向上できる。
【0077】〔他の実施形態〕本実施形態では、第1目
標エバ後温度(TEO1)を算出するパラメータとして
外気温度センサ75にて検出した外気温度(TAM)を
用いたが、第1目標エバ後温度(TEO1)を算出する
パラメータとして吸込口モードがFRSモードの時は外
気温度センサ75にて検出した外気温度(TAM)を用
い、吸込口モードがRECモードの時は内気温度センサ
76にて検出した内気温度(TR)を用いても良い。
【0078】また、エバポレータ5の上流側の空調ダク
ト2内に、エバポレータ5に吸い込まれる空気の吸込温
度を検出する吸込温度センサを設けて、第1目標エバ後
温度(TEO1)を算出するパラメータとして外気温度
の代わりに、吸込温度センサにて検出した吸込温度を用
いても良い。
【0079】本実施形態では、コンプレッサ7とエンジ
ンEとの間にベルト伝動機構および電磁クラッチ8を介
在してエンジンEの回転動力をコンプレッサ7に伝達す
るようにしたが、コンプレッサ7とエンジンEとを直接
連結してエンジンEの回転動力をコンプレッサ7に伝達
するようにしても良い。
【0080】本実施形態では、電磁式容量制御弁9の電
磁コイル63に供給する制御電流値(I)、すなわち、
コンプレッサ7を直接制御する制御電流値(I)が大き
くなればなる程、コンプレッサ7の吸入圧力の設定値が
大きくなるように設定したが、制御電流値(I)が小さ
くなればなる程、コンプレッサ7の吸入圧力の設定値が
小さくなるように設定しても良い。
【0081】本実施形態では、内外気切替ドア13の停
止位置によって内気吸込口11を全開して内気のみ空調
ダクト2内に導入するRECモードと外気吸込口12を
全開して外気のみ空調ダクト2内に導入するFRSモー
ドとを切り替えるようにしたが、内外気切替ドア13の
停止位置によってRECモード、FRSモードだけでな
く、内気吸込口11と外気吸込口12の両方より内気、
外気を空調ダクト2内に導入する内外気(半内気)導入
モードに切り替えるようにしても良い。そして、低外気
温で、且つ吸込口モードが内外気導入モードの場合に、
内気温度が所定温度以上に上昇する車室内温度環境とな
るまで、コンプレッサ7の吐出容量を通常の容量可変制
御{目標エバ後温度(TEO)に応じた制御電流値(目
標吐出容量)}よりも大容量となるようにコンプレッサ
7を運転するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車用空調装置の全体構成を示した構成図で
ある(実施形態)。
【図2】内外気切替箱と遠心式送風機を示した断面図で
ある(実施形態)。
【図3】電磁クラッチが一体化された外部可変容量型の
コンプレッサを示した断面図である(実施形態)。
【図4】(a)はコンプレッサに内蔵された電磁式容量
制御弁を示した説明図で、(b)はコンプレッサの制御
電流値と吸入圧力の設定値との関係を示したグラフであ
る(実施形態)。
【図5】(a)は吐出容量の大きい時の電磁式容量制御
弁の状態を示した説明図で、(b)は吐出容量の大きい
時のコンプレッサの状態を示した説明図である(実施形
態)。
【図6】(a)は吐出容量の小さい時の電磁式容量制御
弁の状態を示した説明図で、(b)は吐出容量の小さい
時のコンプレッサの状態を示した説明図である(実施形
態)。
【図7】エアコン操作パネル上の各スイッチを示した平
面図である(実施形態)。
【図8】エアコンECUによる基本的な制御処理を示し
たフローチャートである(実施形態)。
【図9】エアコンECUによるコンプレッサの吐出容量
決定の制御処理を示したフローチャートである(実施形
態)。
【図10】外気温度と第1目標エバ後温度との相関関係
を示した特性図である(実施形態)。
【図11】目標吹出温度と第2目標エバ後温度との相関
関係を示した特性図である(実施形態)。
【図12】エバポレータの吸込温度、コンプレッサの吐
出容量、制御電流値およびエバ後温度を示したタイムチ
ャートである(実施形態)。
【符号の説明】
E エンジン 1 空調ユニット 2 空調ダクト 3 内外気切替箱 4 遠心式送風機 5 エバポレータ(冷却用熱交換器) 6 ヒータコア(加熱用熱交換器) 7 コンプレッサ(圧縮機本体) 8 電磁クラッチ(クラッチ手段) 9 電磁式容量制御弁(吐出容量可変手段) 10 エアコンECU 11 内気吸込口 12 外気吸込口 13 内外気切替ドア(内外気切替手段) 16 冷凍サイクル 71 内外気切替スイッチ 75 外気温度センサ(外気温度検出手段) 76 内気温度センサ(内気温度検出手段) 101 目標エバ後温度決定手段 102 制御電流演算手段(目標吐出容量決定手段) 103 コンプレッサ制御手段 104 目標吐出容量補正手段 105 A/M開度決定手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)一端側に内気吸込口および外気吸込
    口が形成された空調ダクトと、 (b)この空調ダクト内を流れる空気とエンジンの冷却
    水とを熱交換して空気を加熱する加熱用熱交換器と、 (c)この加熱用熱交換器よりも空気上流側に配され
    て、前記空調ダクト内を流れる空気と冷媒とを熱交換し
    て空気を冷却する冷却用熱交換器、およびこの冷却用熱
    交換器より吸入した冷媒を圧縮して吐出する可変容量型
    のコンプレッサを有する冷凍サイクルと、 (d)車室外の温度を検出する外気温度検出手段と、 (e)前記冷却用熱交換器の負荷が大きい程、前記コン
    プレッサの目標吐出容量が大容量となるように決定する
    目標吐出容量決定手段と、 (f)前記外気温度検出手段にて検出した外気温度が所
    定温度以下で、且つ吸込口モードが内気循環モードの時
    に、内気温度が所定温度以上に上昇する車室内温度環境
    となるまで、前記コンプレッサの吐出容量を前記目標吐
    出容量よりも大容量となるように前記コンプレッサを運
    転すると共に、 前記外気温度検出手段にて検出した外気温度が所定温度
    以下で、且つ吸込口モードが外気導入モードの時に、前
    記コンプレッサの運転を停止するコンプレッサ制御手段
    とを備えたことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の車両用空調装置におい
    て、 前記空調ダクトには、少なくとも吸込口モードを、前記
    内気吸込口から車室内空気を前記空調ダクト内に吸い込
    む内気循環モードと前記外気吸込口から車室外空気を前
    記空調ダクト内に吸い込む外気導入モードとを切り替え
    る内外気切替手段が設けられたことを特徴とする車両用
    空調装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の車両用空
    調装置において、 前記内気温度が所定温度以上に上昇する車室内温度環境
    となるまでとは、前記エンジンを始動してから所定時間
    が経過するまでであることを特徴とする車両用空調装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれか1つに
    記載の車両用空調装置において、 車室内の温度を検出する内気温度検出手段を備え、 前記内気温度が所定温度以上に上昇する車室内温度環境
    となるまでとは、前記内気温度検出手段にて検出する内
    気温度が所定温度以上に上昇するまでであることを特徴
    とする車両用空調装置。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれか1つに
    記載の車両用空調装置において、 前記コンプレッサは、外部可変容量型のコンプレッサで
    あって、 吸入圧力が設定値となるように自動的に内部制御を行う
    圧縮機本体、車両に搭載されたエンジンから前記圧縮機
    本体への回転動力の伝達を断続するクラッチ手段、およ
    び前記圧縮機本体の吸入圧力の設定値を外部からの電気
    信号により制御されて前記圧縮機本体の吐出容量を可変
    する吐出容量可変手段を有し、 前記コンプレッサ制御手段は、前記外気温度検出手段に
    て検出した外気温度が所定温度以下で、且つ吸込口モー
    ドが内気循環モードの時に、前記圧縮機本体の吸入圧力
    の設定値を前記目標吐出容量の時よりも小さくするよう
    に前記吐出容量可変手段の電気信号を制御することを特
    徴とする車両用空調装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018225486A1 (ja) * 2017-06-05 2018-12-13 サンデン・オートモーティブクライメイトシステム株式会社 車両用空気調和装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018225486A1 (ja) * 2017-06-05 2018-12-13 サンデン・オートモーティブクライメイトシステム株式会社 車両用空気調和装置

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