JPH11123930A - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JPH11123930A
JPH11123930A JP29133697A JP29133697A JPH11123930A JP H11123930 A JPH11123930 A JP H11123930A JP 29133697 A JP29133697 A JP 29133697A JP 29133697 A JP29133697 A JP 29133697A JP H11123930 A JPH11123930 A JP H11123930A
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JP
Japan
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compressor
air
evaporator
cooling degree
temperature
Prior art date
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Application number
JP29133697A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Takano
義昭 高野
Hiroshi Kinoshita
宏 木下
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部可変容量型のコンプレッサ7の摺動部分
が潤滑不足となることを防止することで、コンプレッサ
7の耐久寿命を長寿命化する。 【解決手段】 エバポレータ5に吸い込まれる空気の吸
込温度が低ければ低い程、値が小さくなるオイル戻り不
良域内に、エアコンECU10の目標エバ吹出温度決定
手段101にて算出された目標エバ吹出温度(TEO)
が設定された場合には、コンプレッサ7の摺動部分が潤
滑不足に陥る状態であると判断する。そして、コンプレ
ッサ7の摺動部分が潤滑不足に完全に陥る前に、コンプ
レッサ7を通常の容量可変制御よりも自動的に大容量運
転することにより、コンプレッサ7の吐出口から吐出さ
れるオイル高含有の冷媒が冷凍サイクル16を一巡して
コンプレッサ7に戻るようになり、短時間でもコンプレ
ッサ7の摺動部分が潤滑不足となることを回避できるよ
うになった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部からの信号に
基づき容量可変制御を行う外部可変容量型のコンプレッ
サを備えた車両用空調装置に関するもので、特にコンプ
レッサの摺動部分の潤滑不足を回避することの可能な車
両用空調装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、両頭斜板式またはワッブル式
の可変容量型のコンプレッサは、車両に搭載されたエン
ジンから動力が伝達される駆動軸と、この駆動軸により
駆動されてピストンを往復摺動させる斜板とを備えてい
る。そして、その可変容量型のコンプレッサは、ワッブ
ル式ではその斜板傾角を制御してピストンのストローク
を制御することによりコンプレッサの吐出容量を制御
し、両頭斜板式では有効圧縮ストロークを制御すること
によりコンプレッサの吐出容量を制御している。
【0003】そして、従来の通常の容量可変制御では、
コンプレッサの起動に際して、吸込口モードが外気導入
モードで、且つ外気温度が所定温度(例えば0℃)以下
の場合は、エバポレータの熱負荷が小さく、つまりエバ
ポレータに吸い込まれる空気の吸込温度が低く、コンプ
レッサの吐出容量が自動的に小容量運転となる。このた
め、コンプレッサの吐出口から吐出される冷媒が冷凍サ
イクルを一巡してコンプレッサに帰還するのに長時間を
要してしまい、コンプレッサの吐出口から吐出される冷
媒に随伴するコンプレッサオイルが長時間コンプレッサ
に帰還せず、コンプレッサの摺動部分が潤滑不足に陥る
という問題が生じていた。
【0004】そこで、特開平5−69738号公報にお
いては、コンプレッサの内部温度を測定し、その温度が
所定温度(例えば90℃)以上の時に、コンプレッサを
大容量運転するようにしている。つまり、コンプレッサ
の内部温度が高くなった時をコンプレッサの摺動部分の
潤滑不足と判断してコンプレッサオイルを戻す制御をす
る車両用空調装置(第1の従来技術)が提案されてい
る。
【0005】また、特開昭59−213959号公報に
おいては、コンプレッサの貯油室内のコンプレッサオイ
ルの貯油量を液面センサにて検出し、貯油室内のコンプ
レッサオイルの貯油量が少なくなった時に、コンプレッ
サを大容量運転するようにしている。つまり、コンプレ
ッサオイルの貯油量が少なくなった時をコンプレッサの
摺動部分の潤滑不足と判断してコンプレッサオイルを戻
す制御をする車両用空調装置(第2の従来技術)が提案
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、第1の従来
技術および第2の従来技術においては、どちらも、現在
の状態がコンプレッサの摺動部分の潤滑不足状態である
と判断してから、コンプレッサを大容量運転するように
しているので、短時間ではあるが、潤滑不足状態であり
ながらコンプレッサを小容量運転する期間がある。この
ため、コンプレッサの摺動部分が磨耗してコンプレッサ
の耐久性能を低下させるという問題が生じている。
【0007】また、第1の従来技術および第2の従来技
術においては、コンプレッサの保護を目的とする専用の
検出装置(内部温度センサや液面センサ)を必要として
いる。それらの検出装置は、どちらも通常の容量可変制
御では不必要な部品であるので、部品点数の増加および
組付工数の増加によりコンプレッサの製品コストを上昇
させる要因となっている。
【0008】
【発明の目的】本発明の目的は、コンプレッサの摺動部
分が潤滑不足となることを防止することで、コンプレッ
サの耐久寿命を長寿命化することのできる車両用空調装
置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、通常の容量可変制御では、エバポレータの熱負
荷が小さいと、コンプレッサの吐出容量が自動的に小容
量運転となり、コンプレッサオイルがコンプレッサに戻
り難くなり、コンプレッサの摺動部分が潤滑不足に陥り
易い。しかし、目標冷却度合決定手段にて決定した空気
の目標冷却度合がオイルの戻り難い所定冷却度合以上の
場合には、コンプレッサの摺動部分が潤滑不足に陥る状
態であると判断して、摺動部分が潤滑不足に陥る前に、
コンプレッサを通常の容量可変制御の時よりも自動的に
大容量運転することにより、コンプレッサから吐出され
る冷媒が冷凍サイクルを一巡して短時間でコンプレッサ
に戻る。
【0010】したがって、コンプレッサから吐出される
冷媒に随伴するオイルが短時間でコンプレッサに帰還す
ることにより、コンプレッサの摺動部分が潤滑不足に陥
ることを回避できる。この結果、通常の容量可変制御で
は不必要なコンプレッサの保護を目的とする専用の検出
装置を設けることなく、短時間でもコンプレッサの摺動
部分が潤滑不足となることを防止できるので、コンプレ
ッサの耐久寿命を長寿命化することができる。
【0011】請求項2および請求項3に記載の発明によ
れば、エバポレータの熱負荷が小さい程、オイルの戻り
難い所定冷却度合が低くなるように設定される。それに
よって、エバポレータの熱負荷が小さい場合には、目標
冷却度合決定手段にて決定した空気の目標冷却度合が低
い値でもコンプレッサを大容量運転することができる。
したがって、エバポレータの熱負荷が小さい場合には、
コンプレッサへのオイルリターン性能(オイル戻り性
能)の低下を回避できる。
【0012】請求項4に記載の発明によれば、目標冷却
度合決定手段にて決定した空気の目標冷却度合がオイル
の戻り難い所定冷却度合以上の場合には、一定間隔で所
定時間だけ、コンプレッサを通常の容量可変制御の時よ
りも自動的に大容量運転することにより、エバポレータ
への着霜をし難くすることで、車室内に吹き出す空気の
風量低下を防止できる。
【0013】請求項5に記載の発明によれば、目標冷却
度合決定手段にて決定した空気の目標冷却度合が、オイ
ルの戻り難い所定冷却度合よりも低い場合には、目標冷
却度合決定手段にて決定した空気の目標冷却度合と冷却
度合検出手段にて検出する実際の空気冷却度合とが等し
くなるようにコンプレッサの吐出容量を制御すること
で、通常の容量可変制御を行うことができる。
【0014】請求項6に記載の発明によれば、外部から
の信号に基づいて圧縮機本体より吐出される冷媒の吐出
容量を自動的に可変することにより、圧縮機本体の運転
を完全に停止することなく、エバポレータにより空調ダ
クト内の空気を冷却することができる。このため、エバ
ポレータによる空気冷却度合を所望の空気冷却度合にす
ることができ、車室内の空調状態を所望の状態にするこ
とができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
〔実施形態の構成〕図1ないし図13は本発明の実施形
態を示したもので、図1は自動車用空調装置の全体構成
を示した図で、図2は内外気切替箱と遠心式送風機を示
した図である。
【0016】本実施形態の自動車用空調装置は、エンジ
ンルーム内にエンジン(内燃機関、原動機)Eを搭載し
た自動車の車室内を空調する空調ユニット(エアコンユ
ニット)1における各空調手段(アクチュエータ)を、
空調制御装置(以下エアコンECUと呼ぶ)10によっ
て制御するように構成されている。
【0017】空調ユニット1は、自動車の車室内に空調
風を送るための空調ダクト2を備えている。この空調ダ
クト2の空気上流側には、内外気切替箱3および遠心式
送風機4が設けられている。内外気切替箱3は、空調ダ
クト2内に少なくとも車室内空気(以下内気と呼ぶ)ま
たは車室外空気(以下外気と呼ぶ)の一方または両方を
取り入れるためのものである。この内外気切替箱3に
は、内気を吸い込むための内気吸込口11、および外気
を吸い込むための外気吸込口12が形成されている。
【0018】そして、内外気切替箱3内には、内外気切
替ドア13が回動自在に設けられている。この内外気切
替ドア13は、内気吸込口11より内気を空調ダクト2
内に導入する内気循環モード、あるいは外気吸込口12
より外気を空調ダクト2内に導入する外気導入モードの
いずれかの吸込口モードに切り替える内外気切替手段で
ある。そして、内外気切替ドア13には、そのアクチュ
エータとしてのサーボモータ(図示せず)が連結されて
おり、そのサーボモータによって支点を中心にして回動
させられる。
【0019】そして、遠心式送風機4は、内外気切替箱
3内の略中央部に配設されている。そして、遠心式送風
機4は、内外気切替箱3に一体的に形成されたスクロー
ルケーシングと、ブロワ駆動回路(図示せず)により通
電制御されるブロワモータ14と、このブロワモータ1
4に回転駆動されて、空調ダクト2を経て車室内に向か
う空気流を発生させる遠心式ファン15とから構成され
ている。
【0020】次に、空調ダクト2の空気下流側には、吹
出口切替箱(図示せず)が設けられている。この吹出口
切替箱には、フロントガラスの内面に主に温風を吹き出
すデフロスタ(DEF)吹出口、乗員の頭胸部(上半
身)に主に冷風を吹き出すフェイス(FACE)吹出
口、および乗員の足元部に主に温風を吹き出すフット
(FOOT)吹出口(いずれも図示せず)が形成されて
いる。
【0021】次に、空調ダクト2の中間部には、自身を
通過する空気を冷却する冷却用熱交換器であると共に、
車両に搭載された冷凍サイクル16の一構成部品を成す
エバポレータ(冷媒蒸発器)5が、空調ダクト2内の空
気通路の全面を塞ぐようにして配されている。
【0022】上記の冷凍サイクル16は、冷媒を吸入、
圧縮、吐出するコンプレッサ(冷媒圧縮機)7と、この
コンプレッサ7からの冷媒を外気との熱交換によって凝
縮液化させるコンデンサ(冷媒凝縮器)17と、このコ
ンデンサ17からの冷媒を気液分離すると共に、冷凍サ
イクル16内の余剰冷媒を一時的に蓄えるレシーバ(気
液分離器)18と、このレシーバ18からの液冷媒を減
圧膨張させる膨張弁(減圧手段)19と、この膨張弁1
9からの低圧冷媒を空調ダクト2内の空気との熱交換に
よって蒸発気化させる上記のエバポレータ5とが冷媒配
管によって結合されている。なお、20は駆動モータ2
1により回転駆動される冷却ファンで、コンデンサ17
に強制的に外気を吹き付ける。
【0023】エバポレータ5の空気下流側には、エバポ
レータ5を通過した冷風を再加熱するヒータコア6が設
けられている。このヒータコア6は、内部にエンジンを
冷却した冷却水が流れ、この冷却水を暖房用熱源として
冷風を再加熱する加熱用熱交換器である。このヒータコ
ア6の空気上流側には、板状のエアミックスドア(以下
A/Mドアと言う)22が回動自在に支持されている。
【0024】A/Mドア22には、そのアクチュエータ
としてのサーボモータ23が連結されており、そのサー
ボモータ23によって支点を中心にして回動させられ
る。つまり、A/Mドア22は、ヒータコア6を通過す
る空気量とヒータコア6を迂回する空気量との割合を調
節して、車室内へ吹き出す空気の吹出温度を調整する吹
出温度調整手段として機能する。
【0025】次に、本実施形態のコンプレッサ7を図
1、図3および図4に基づいて簡単に説明する。ここ
で、図3は電磁クラッチが一体化された外部可変容量型
のコンプレッサ7を示した図である。このコンプレッサ
7には、エンジンEの動力をコンプレッサ7に伝達した
り遮断する電磁クラッチ8が接続されている。
【0026】この電磁クラッチ8は、円環状の取付フラ
ンジ31を介してコンプレッサ7のハウジング44に固
定されたステータハウジング32と、エンジンEにベル
トVを介して連結されるプーリ33が外周に接合された
ロータ34と、このロータ34との間に狭い間隙を隔て
て対向配置され、ロータ34の摩擦面と摩擦係合する摩
擦面が形成されたアーマチャ35と、通電されると磁束
を発生することによりアーマチャ35をゴムハブ(弾性
体)36の弾性力に抗してロータ34に吸着させる電磁
コイル37と、アウターハブ38およびゴムハブ36を
介してアーマチャ35とコンプレッサ7のシャフト40
とを連結するインナーハブ39とから構成されている。
【0027】コンプレッサ7は、自身の吐出容量を変更
可能な例えばワッブルタイプの周知の外部可変容量型の
コンプレッサ(本発明の圧縮機本体に相当する)で、電
磁クラッチ8のインナーハブ39と一体的に回転するシ
ャフト40と、このシャフト40に斜めに固定された斜
板41と、この斜板41にセットされたピストン42
と、このピストン42が摺動するシリンダ(リヤハウジ
ング)43を連結するハウジング(フロントハウジン
グ)44と、このハウジング44の後端側に連結され、
コンプレッサ7の吐出容量を可変するための電磁式容量
制御弁(本発明の吐出容量可変手段に相当する)9とか
ら構成されている。
【0028】ここで、シリンダ43は、ピストン42と
の間にシリンダ室45を形成している。このシリンダ室
45を形成するバルブプレート46の中央寄りには、弾
性金属板で形成されたサクションバルブ(図示せず)に
より開閉される吸入口(図示せず)が形成されている。
この吸入口は、電磁式容量制御弁9のバルブボディ47
に形成された吸入ポート48に連通している。また、バ
ルブプレート46の外側寄りには、弾性金属板で形成さ
れたディスチャージバルブ49により開閉される吐出口
50が形成されている。この吐出口50は、バルブボデ
ィ47に形成された吐出ポート51に連通している。
【0029】なお、ハウジング44の内部には、斜板4
1を変位自在に動かせるためのクランク室52と吸入ポ
ート48とを効果的に連通する固定絞り53(図4参
照)が設けられている。また、斜板41とピストン42
との摺動部分、ピストン42とシリンダ43との摺動部
分や、ハウジング44と回転部材との摺動部分は、冷凍
サイクル16中を循環する冷媒中に含まれるコンプレッ
サオイル(潤滑油:以下オイルと言う)により潤滑され
ている。そして、ハウジング44の内部には、そのオイ
ルを一時的に溜める貯油室(図示せず)が設けられてい
る。
【0030】以上により、電磁クラッチ8の電磁コイル
37が通電状態(ON)のときには、電磁クラッチ8の
アーマチャ35がロータ34に吸着してロータ34とア
ーマチャ35とが摩擦係合することにより、エンジンE
の動力がベルトVおよび電磁クラッチ8を介してコンプ
レッサ7のシャフト40に伝達される。これにより、冷
凍サイクル16が起動することによってエバポレータ5
による空気冷却除湿作用が行われる。
【0031】また、電磁クラッチ8の電磁コイル37へ
の通電が停止(OFF)のときには、電磁クラッチ8の
アーマチャ35がロータ34と離れてロータ34とアー
マチャ35との摩擦係合が遮断される。これにより、エ
ンジンEの動力がコンプレッサ7のシャフト40に伝達
されず、エバポレータ5による空気冷却除湿作用が停止
される。
【0032】次に、電磁式容量制御弁9を図3および図
4に基づいて説明する。ここで、図4(a)はコンプレ
ッサ7に内蔵された電磁式容量制御弁9を示した図で、
図4(b)はコンプレッサ7の制御電流値と吸入圧力の
設定値との関係を示したグラフである。
【0033】電磁式容量制御弁9には、コンプレッサ7
の吸入圧力(Ps)が与えられる圧力通路54と、コン
プレッサ7の吐出圧力(Pd)が与えられる圧力通路5
5と、コンプレッサ7のクランク室52にクランク室内
圧力(Pc)を与える圧力通路56と、圧力通路55、
56を連通する連通口57とが形成されたバルブボディ
47が設けられている。
【0034】そして、連通口57の開度は、弁体58の
停止位置により決められている。その弁体58の停止位
置は、プランジャ59およびベローズ60の変位位置に
より決定されるように構成されている。プランジャ59
およびベローズ60は、ロッド61、62を介して弁体
58と連結している。そして、プランジャ59の設定位
置は、電磁コイル63への制御電流値の大きさにより変
更されるように構成されている。なお、64はプランジ
ャ59を初期位置に戻すためのリターンスプリングであ
る。
【0035】したがって、電磁式容量制御弁9は、図4
(b)に示したように、エアコンECU10からの制御
電流値によってコンプレッサ7の吸入圧力(Ps)の設
定値を変えることにより、コンプレッサ7の吐出容量を
可変する吐出容量可変手段である。すなわち、電磁式容
量制御弁9は、図4(a)に示したように、バルブボデ
ィ47内の電磁コイル63に制御電流を加えることでプ
ランジャ59およびベローズ60への外力を可変させる
構造であり、吸入圧力(Ps)に対する弁体58の開度
の関係を可変させることで、目標エバ吹出温度(TE
O)となるように制御する。
【0036】次に、本実施形態のエアコンECU10の
構成を図1および図5に基づいて説明する。ここで、図
5は自動車の車室内前面のインストルメントパネルに設
置されたエアコン操作パネル上の各スイッチを示した図
である。
【0037】空調ユニット1における各空調手段を制御
するエアコンECU10には、車室内前面に設けられた
エアコン操作パネルP上の各スイッチからの各スイッチ
信号が入力される。なお、エアコン操作パネルP上に
は、コンプレッサ7の起動および停止を指令するエアコ
ン(A/C)スイッチ70、吸込口モードを切り替える
ための内外気切替スイッチ71、車室内の温度を所望の
温度に設定する温度設定レバー(温度設定手段)72、
遠心式ファン15の送風量を切り替えるための風量切替
レバー73、および吹出口モードを切り替えるための吹
出口切替スイッチ等が設置されている。
【0038】上記うち内外気切替スイッチ71は、内気
循環(REC)モードまたは外気導入(FRS)モード
のいずれかの吸込口モードに切り替える内外気切替手段
である。また、吹出口切替スイッチは、フェイス(FA
CE)ボタン74a、バイレベル(B/L)ボタン74
b、フット(FOOT)ボタン74c、フットデフ(F
/D)ボタン74dおよびデフロスタ(DEF)ボタン
74eよりなり、押したボタンに対応した吹出口モード
に切り替える吹出口切替手段である。
【0039】また、エアコンECU10の内部には、C
PU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピ
ュータが設けられ、各センサからの各センサ信号が図示
しない入力回路によってA/D変換された後に、マイク
ロコンピュータへ入力されるように構成されている。な
お、エアコンECU10は、自動車のエンジンEの作動
および運転停止を司るイグニッションスイッチが投入
(ON)されたときに、自動車に搭載されたバッテリ
(車載電源)から直流電源が供給されて作動するように
構成されている。
【0040】そして、エアコンECU10には、車室外
の空気温度(以下外気温度と言う)を検出する外気温度
センサ(外気温度検出手段)75、車室内の空気温度
(以下内気温度と言う)を検出する内気温度センサ(内
気温度検出手段)76、車室内に入射する日射量を検出
する日射センサ(日射量検出手段)77が接続されてい
る。また、エバポレータ5による実際の空気冷却度合を
検出するエバ吹出温度センサ(本発明の冷却度合検出手
段に相当する)78、およびヒータコア6に流入する冷
却水の温度を検出する冷却水温度センサ(冷却水温度検
出手段)79も接続されている。
【0041】上記のうちエバ吹出温度センサ78は、図
1に示したように、空調ダクト2のうちエバポレータ5
を通過した直後の空気温度(以下エバ吹出温度TEと呼
ぶ)を検出するエバ吹出温度検出手段である。そして、
外気温度センサ75は、吸込口モードが外気導入モード
の時に、エバポレータ5に吸い込まれる空気の吸込温度
を検出するエバ吸込温度検出手段である。また、内気温
度センサ76は、吸込口モードが内気循環モードの時
に、エバポレータ5に吸い込まれる空気の吸込温度を検
出するエバ吸込温度検出手段である。なお、外気温度セ
ンサ75、内気温度センサ76、エバ吹出温度センサ7
8および冷却水温度センサ79は実際にはサーミスタが
使用されている。また、上記の各センサは、車室内を空
調するのに必要な空調環境因子を検出するものである。
【0042】また、マイクロコンピュータには、例えば
目標吹出温度(TAO)や外気温度(TAM)等に基づ
いて第1、第2目標エバ吹出温度を決定する目標エバ吹
出温度決定手段(目標冷却度合決定手段)101と、実
際のエバ吹出温度(TE)と目標エバ吹出温度(TE
O)とが一致するように制御電流値(In)を演算する
制御電流演算手段(目標吐出容量決定手段)102とが
設けられている。
【0043】さらに、マイクロコンピュータには、制御
電流演算手段102にて演算された制御電流値(I)を
電磁式容量制御弁9の電磁コイル63に供給してコンプ
レッサ7の容量可変制御を行うコンプレッサ制御手段1
03と、目標エバ吹出温度(TEO)がオイル戻り不良
域内に設定された時に、通常の容量可変制御からオイル
戻し制御に移行させるように決定するオイル戻し制御決
定手段104(図10の特性図参照)と、目標吹出温度
(TAO)、エバ吹出温度(TE)および冷却水温度
(TW)等に基づいてA/Mドア22の目標A/M開度
(SW)を決定するA/M開度決定手段105とが設け
られている。
【0044】〔実施形態の制御方法〕次に、本実施形態
のエアコンECU10による制御方法を図1ないし図1
1に基づいて簡単に説明する。ここで、図6はエアコン
ECU10による基本的な制御処理を示したフローチャ
ートである。
【0045】先ず、イグニッションスイッチがONされ
てエアコンECU10に直流電源が供給されると、図6
のルーチンが起動され、各イニシャライズおよび初期設
定を行う(ステップS1)。
【0046】次に、エアコン操作パネルP上の各スイッ
チから各スイッチ信号を読み込む(温度設定手段、吸込
口モード設定手段:ステップS2)。具体的には、内外
気切替スイッチ71にて設定された吸込口モード、温度
設定レバー72にて設定された設定温度(TSET)等
を読み込む。
【0047】次に、各センサから各センサ信号を読み込
む(冷却度合検出手段:ステップS3)。具体的には、
外気温度センサ75にて検出した外気温度(TAM)、
内気温度センサ76にて検出した内気温度(TR)、日
射センサ77にて検出した日射量(TS)、エバ吹出温
度センサ78にて検出した実際のエバ吹出温度(TE)
および冷却水温度センサ79にて検出した冷却水温度
(TW)を読み込む。
【0048】次に、予めROMに記憶された下記の数1
の式に基づいて、車室内へ吹き出す空気の目標吹出温度
(TAO)を算出(決定)する(目標吹出温度決定手
段:ステップS4)。
【数1】TAO=KSET×TSET−KR×TR−K
AM×TAM−KS×TS+C
【0049】なお、TSETは温度設定レバー72にて
設定された設定温度で、TRは内気温度センサ76にて
検出した内気温度で、TAMは外気温度センサ75にて
検出した外気温度で、TSは日射センサ77にて検出し
た日射量である。また、KSET、KR、KAM、KS
はゲインで、Cは補正用の定数である。
【0050】次に、風量切替スイッチがAUTO位置に
設定されている場合には、予めROMに記憶された制御
パターン(特性図、マップ)から、目標吹出温度(TA
O)に対応するブロワ電圧(ブロワモータ14に印加す
る電圧)を算出する(ステップS5)。
【0051】ここで、吸込口モードの決定は、エアコン
操作パネルP上の内外気切替スイッチ71にて設定され
た吸込口モードに決定する。例えば内気循環モード、外
気導入モードまたは内外気導入モードに決定される。ま
た、吹出口モードの決定は、エアコン操作パネルP上の
吹出口切替スイッチの各ボタン74a〜74eにて設定
された吹出口モードに決定する。例えばFACEモー
ド、B/Lモード、FOOTモード、F/Dモードまた
はDEFモードのいずれかに決定される。
【0052】次に、予めROMに記憶された下記の数2
の式に基づいて、A/Mドア22の目標A/M開度(S
W)を算出(決定)する(ステップS6)。
【数2】SW={(TAO−TE)/(TW−TE)}
×100% なお、TEはエバ吹出温度センサ78にて検出したエバ
吹出温度で、TWは冷却水温度センサ79にて検出した
冷却水温度である。
【0053】次に、A/Cスイッチ70がONされてい
る時に、図7のサブルーチンが起動して、コンプレッサ
7の吐出容量を決定する(コンプレッサ制御手段:ステ
ップS7)。
【0054】次に、各ステップS5〜ステップS7にて
算出または決定した各制御状態が得られるように、ブロ
ワ駆動回路、サーボモータ23および電磁式容量制御弁
9の電磁コイル63に対して制御信号を出力する(ステ
ップS8)。このステップS8においては、通常の吐出
容量制御では、エバ吹出温度センサ78にて検出した実
際のエバ吹出温度(TE)と目標エバ吹出温度(TE
O)とが等しくなるようにコンプレッサ7の容量制御を
行う。具体的には、図7のサブルーチンで求めた制御電
流値(In)を電磁式容量制御弁9の電磁コイル63に
供給する。そして、ステップS9で、制御サイクル時間
であるt(例えば0.5秒間〜2秒間)の経過を待って
ステップS2の制御処理に戻る。
【0055】次に、コンプレッサ7の吐出容量決定の制
御処理を図7ないし図11に基づいて説明する。ここ
で、図7はコンプレッサ7の吐出容量決定の制御処理を
示したフローチャートである。
【0056】先ず、図7のサブルーチンが起動すると、
吸込口モードが外気導入(FRS)モードであるか否か
を判定する(ステップS11)。この判定結果がYES
の場合には、つまり吸込口モードがFRSモードの場合
には、エバポレータ5に吸い込まれる空気の吸込温度と
して、外気温度センサ75にて検出した外気温度(TA
M)を読み込む(ステップS12)。
【0057】また、ステップS11の判定結果がNOの
場合には、つまり吸込口モードが内気循環(REC)モ
ードの場合には、エバポレータ5に吸い込まれる空気の
吸込温度として、内気温度センサ76にて検出した内気
温度(TR)を読み込む(ステップS13)。
【0058】次に、予めROMに記憶された図8に示す
パターン(特性図、マップ)に基づき、外気温度センサ
75にて検出した外気温度(TAM)から第1目標エバ
吹出温度(TEO1)を算出(決定)する(目標エバ吹
出温度決定手段:ステップS14)。具体的には、図8
に示すパターンから外気温度(TAM)が高くなればな
る程、第1目標エバ吹出温度(TEO1)が高くなるよ
うに算出(設定)する。
【0059】次に、予めROMに記憶された図9に示す
パターン(特性図、マップ)に基づき、ステップS4で
決定した目標吹出温度(TAO)から第2目標エバ吹出
温度(TEO2)を算出(決定)する(目標エバ吹出温
度決定手段:ステップS15)。具体的には、図9に示
すパターンから目標吹出温度(TAO)が高くなればな
る程、第2目標エバ吹出温度(TEO2)が高くなるよ
うに算出(設定)する。
【0060】次に、ステップS14にて決定された第1
目標エバ吹出温度(TEO1)がステップS15にて決
定された第2目標エバ吹出温度(TEO2)よりも低い
値か否かを判定する(ステップS16)。この判定結果
がYESで、第1目標エバ吹出温度(TEO1)が第2
目標エバ吹出温度(TEO2)よりも低い値と判定され
た場合には、第1目標エバ吹出温度(TEO1)を目標
エバ吹出温度(TEO)として読み込む(目標エバ吹出
温度決定手段:ステップS17)。
【0061】一方、ステップS16の判定結果がNO
で、第2目標エバ吹出温度(TEO2)が第1目標エバ
吹出温度(TEO1)以下の低い値と判定された場合に
は、第2目標エバ吹出温度(TEO2)を目標エバ吹出
温度(TEO)として読み込む(目標エバ吹出温度決定
手段:ステップS18)。
【0062】次に、ステップS12またはステップS1
3で読み込んだエバ吸込温度(TAM、TR)とステッ
プS17またはステップS18で読み込んだ目標エバ吹
出温度(TEO)とから、オイル戻り不良域内に設定さ
れているか否かを判定する(オイル戻し制御判定手段:
ステップS19)。
【0063】具体的には、予めROMに記憶された図1
0に示すパターン(特性図、マップ)に基づき、決定さ
れた目標エバ吹出温度(TEO)がオイル戻り不良域内
に設定されているか否かを判定する。具体的には、図1
0に示すパターンから、エバポレータ5の熱負荷、つま
りエバ吸込温度および目標エバ吹出温度(TEO)が低
くなればなる程、オイル戻り不良域が低下するように算
出(設定)される。
【0064】そして、ステップS19の判定結果がNO
の場合には、通常の容量可変制御を行う。例えばフィー
ドバック制御(PI制御)により、電磁式容量制御弁9
の電磁コイル63に供給する制御電流の目標値となる制
御電流値(In)を算出(決定)し出力する(制御電流
演算手段:ステップS20)。
【0065】具体的には、下記の数3の式および数4の
式に基づいて、制御電流値(In)を算出する。
【数3】En=TE−TEO
【数4】In=In-1−Kp{(En−En-1)+(θ
/Ti)×En}
【0066】ここで、TEOはステップS17またはス
テップS18で読み込まれた目標エバ吹出温度で、Kp
は比例定数で、θはサンプリング時間(例えば1秒間)
で、TEは実際のエバ吹出温度で、Tiは積分時間で、
Enは今回の温度偏差で、En-1は前回の温度偏差で、
Inは今回の制御電流値(I)で、In-1は前回の制御
電流値である。
【0067】また、ステップS19の判定結果がYES
の場合には、すなわち、目標エバ吹出温度(TEO)が
オイル戻り不良域内に設定されている場合には、オイル
戻し制御を行う(ステップS21)ため、図11のサブ
ルーチンが起動する。このオイル戻し制御では、先ず、
タイマT1 をリセットする(T1 =0)。すなわち、タ
イマT1 の時間を0secにセットしてタイマカウント
を開始する(ステップS31)。
【0068】次に、ステップS31のタイマT1 のカウ
ントを開始してから一定時間(例えば60sec)が経
過しているか否かを判定する(ステップS32)。この
判定結果がNOの場合には、図11のサブルーチンを抜
けて、図7のサブルーチンのステップS20の制御処理
に進む。
【0069】また、ステップS32の判定結果がYES
の場合には、現在出力されている制御電流値(In)を
記憶する。つまり、図7のステップS20で算出された
制御電流値(In)を、Inorm=InとしてRAM
に記憶する(ステップS33)。
【0070】次に、コンプレッサオイルの戻り性能を高
めるために、コンプレッサ7を通常制御時よりも大容量
運転する。具体的には、コンプレッサ7の吸入圧力の設
定値を目標エバ吹出温度(目標吐出容量)の時よりも小
さくするために、コンプレッサ7の制御電流値(In)
を0(A)に設定し出力する(オイル戻し制御手段、吐
出容量補正手段:ステップS34)。
【0071】次に、タイマT2 をリセットする(T2 =
0)。すなわち、タイマT2 の時間を0secにセット
してタイマカウントを開始する(ステップS35)。次
に、ステップS35のタイマT2 のカウントを開始して
から一定時間(例えば5sec)が経過しているか否か
を判定する(ステップS36)。この判定結果がNOの
場合には、オイル戻し制御を行うため、図11のサブル
ーチンを抜けて、図6のステップS8の制御処理に進
む。
【0072】また、ステップS36の判定結果がYES
の場合には、ステップS33でRAMに記憶した制御電
流値(Inorm=In)を出力する(ステップS3
7)。次に、通常の容量可変制御(フィードバック制
御)に戻るため、図11のサブルーチンを抜け、図6の
ステップS8の制御処理に進む。
【0073】〔実施形態の作用〕次に、電磁式容量制御
弁9によるコンプレッサ7の吐出容量の可変方法につい
て図1、図12および図13を用いて説明する。
【0074】先ず、実際のエバ吹出温度(TE)が目標
エバ吹出温度(TEO)よりもかなり高温の場合には、
電磁式容量制御弁9の電磁コイル63を流れる制御電流
値(I)を小さくして、コンプレッサ7の吸入圧力(P
s)の設定値を小さくする。この場合には、図12
(a)に示したように、電磁式容量制御弁9のプランジ
ャ59が収縮することによって電磁式容量制御弁9の弁
体58が小さく変位して連通口57の開度が小さくな
る。
【0075】これにより、コンプレッサ7の吐出圧力
(Pd)が圧力通路56に入り難くなりクランク室内圧
力(Pc)が小さくなる。そして、クランク室内圧力
(Pc)が小さくなることにより、図12(b)に示し
たように、コンプレッサ7の斜板41の傾きが大きくな
ることによってピストン42のストロークが長くなる。
この結果、コンプレッサ7の吐出圧力(Pd)が高くな
るので、コンプレッサ7の吐出容量が大きくなる。
【0076】また、実際のエバ吹出温度(TE)が目標
エバ吹出温度(TEO)に略等しい場合には、電磁式容
量制御弁9の電磁コイル63を流れる制御電流値(I)
を大きくして、コンプレッサ7の吸入圧力(Ps)の設
定値を大きくする。この場合には、図13(a)に示し
たように、プランジャ59が伸長することによって弁体
58が大きく変位して連通口57の開度が大きくなる。
【0077】これにより、コンプレッサ7の吐出圧力
(Pd)が圧力通路56に入りクランク室内圧力(P
c)が大きくなる。そして、クランク室内圧力(Pc)
が大きくなることにより、図13(b)に示したよう
に、コンプレッサ7の斜板41の傾きが小さくなること
によってピストン42のストロークが短くなる。この結
果、コンプレッサ7の吐出圧力(Pd)が低くなるの
で、コンプレッサ7の吐出容量が小さくなる。
【0078】〔実施形態の効果〕以上のように、本実施
形態の空調ユニット1は、通常の容量可変制御(フィー
ドバック制御)ではエバポレータ5の熱負荷が小さく、
コンプレッサ7の吐出容量が自動的に小容量運転となっ
てコンプレッサ7の摺動部分の潤滑不足に陥る状態を演
算により判断するようにしている。すなわち、算出され
た目標エバ吹出温度(TEO)がオイル戻り不良域内に
設定されている場合には、コンプレッサ7の摺動部分の
潤滑不足に陥る状態であると判断して、コンプレッサ7
を通常の容量可変制御の時よりも自動的に大容量運転す
るようにしている。これにより、コンプレッサ7の吐出
口から吐出されるオイル高含有の冷媒が冷凍サイクル1
6を一巡して短時間でコンプレッサに戻るようになる。
したがって、コンプレッサ7の摺動部分の潤滑不足に完
全に陥る前に、コンプレッサ7の吐出容量を大容量運転
することにより、コンプレッサ7の摺動部分が潤滑不足
となることを回避できる。
【0079】したがって、通常の容量可変制御では不必
要なコンプレッサ7の保護を目的とする専用の検出装置
を設けることなく、短時間でもコンプレッサ7の摺動部
分が潤滑不足となることを防止できるので、コンプレッ
サ7の耐久寿命を長寿命化することができる。それによ
って、コンプレッサ7を含む空調ユニット1の部品点数
や組付工数を減少できるので、空調ユニット1の製品コ
ストを低減できる。
【0080】そして、図10のパターンに示したよう
に、エバ吸込温度が低ければ低い程、オイル戻り不良域
の設定値が低くなるように設定され、エバ吸込温度が高
ければ高い程、オイル戻り不良域の設定値が高くなるよ
うに設定される。それによって、エバ吸込温度が低い場
合には、目標エバ吹出温度(TEO)が低い値でもコン
プレッサ7を大容量運転することができる。
【0081】したがって、エバ吸込温度が低い場合に
は、コンプレッサ7へのオイル戻り性能の低下を回避で
きる。また、エバ吸込温度が高い場合には、通常の容量
可変制御でもコンプレッサ7の吐出容量が摺動部分の潤
滑不足とならない程度の容量運転となるので、特別なオ
イル戻し制御を行う必要はない。
【0082】ここで、本実施形態では、現在出力されて
いる制御電流値(In)を記憶して通常の容量可変制御
からオイル戻し制御に移行するようにしている。この理
由は、記憶しないでオイル戻し制御から通常の容量可変
制御に戻すと、目標エバ吹出温度(TEO)よりもかな
り低い温度(実際のエバ吹出温度)が出る時間が長くな
るためである。
【0083】また、本実施形態では、算出された目標エ
バ吹出温度(TEO)がオイル戻り不良域内に設定され
ている場合に、一定間隔(例えば60秒間隔)で所定時
間(例えば5秒間)だけ、コンプレッサ7を通常の容量
可変制御の時よりも自動的に大容量運転するようにして
いる。それによって、例えば0℃以下の低外気温時に低
温デミスト制御を行うためにA/Cスイッチ70が押さ
れた場合でも、短時間で大容量運転と小容量運転とを繰
り返すことになるので、エバポレータ5への着霜(フロ
スト)をし難くすることで、空調ダクト2の吹出口から
フロント窓ガラスの内面等に向けて吹き出す空気の風量
低下を防止できる。これにより、フロント窓ガラスの内
面の防曇効果の低下を抑えることができる。
【0084】〔他の実施形態〕本実施形態では、第1目
標エバ吹出温度(TEO1)を算出するパラメータとし
て外気温度センサ75にて検出した外気温度(TAM)
を用いたが、第1目標エバ吹出温度(TEO1)を算出
するパラメータとして吸込口モードが外気導入モードの
時は外気温度センサ75にて検出した外気温度(TA
M)を用い、吸込口モードが内気循環モードの時は内気
温度センサ76にて検出した内気温度(TR)を用いて
も良い。
【0085】また、エバポレータ5の上流側の空調ダク
ト2内に、エバポレータ5に吸い込まれる空気の吸込温
度を検出する吸込温度センサを設けて、第1目標エバ吹
出温度(TEO1)を算出するパラメータとして外気温
度の代わりに、吸込温度センサにて検出した吸込温度を
用いても良い。
【0086】本実施形態では、コンプレッサ7とエンジ
ンEとの間にベルト伝動機構および電磁クラッチ8を介
在してエンジンEの回転動力をコンプレッサ7に伝達す
るようにしたが、コンプレッサ7とエンジンEとを直接
連結してエンジンEの回転動力をコンプレッサ7に伝達
するようにしても良い。
【0087】本実施形態では、電磁式容量制御弁9の電
磁コイル63に供給する制御電流値(In)、すなわ
ち、コンプレッサ7を直接制御する制御電流値(In)
が大きくなればなる程、コンプレッサ7の吸入圧力の設
定値が大きくなるように設定したが、制御電流値(I
n)が小さくなればなる程、コンプレッサ7の吸入圧力
の設定値が小さくなるように設定しても良い。
【0088】本実施形態では、オイル戻り不良域を決定
するのに、エバポレータ5に吸い込まれる空気の吸込温
度(エバ吸込温度)と目標エバ吹出温度(TEO)を利
用したが、エバポレータ5の熱負荷として、エバ吸込温
度の代わりに、冷媒圧力センサにて検出した冷凍サイク
ル16の高圧圧力(=吐出圧力Pd)の値を利用しても
良い。また、オイル戻り不良域を決定するのに、遠心式
ファン15の送風量、すなわち、ブロワモータ14に印
加するブロワレベル、あるいはコンプレッサ7の回転速
度等の信号を考慮しても良い。
【0089】本実施形態では、オイル戻し制御の制御時
間を5秒間に設定したが、10秒間でも、15秒間でも
良い。また、コンプレッサ7の回転速度が所定回転速度
(例えば2000rpm)以上の場合、あるいはコンプ
レッサ7の吐出圧力(Pd)が所定吐出圧力(例えば2
0kg/cm2 )以上の場合には、オイル戻し制御をキ
ャンセルするようにしても良い。
【0090】本実施形態では、コンプレッサとして、エ
ンジンEによりベルト伝動機構を介して回転駆動される
エンジン駆動式のコンプレッサ7を使用したが、コンプ
レッサとして、電動モータ等のアクチュエータにより回
転駆動される電動モータ駆動式のコンプレッサ(電動コ
ンプレッサ)を使用しても良い。この場合には、目標エ
バ吹出温度(TEO)がオイル戻り不良域内に設定され
たら、一定間隔で電動コンプレッサの回転速度を増速す
るように制御すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車用空調装置の全体構成を示した構成図で
ある(実施形態)。
【図2】内外気切替箱と遠心式送風機を示した断面図で
ある(実施形態)。
【図3】電磁クラッチが一体化された外部可変容量型の
コンプレッサを示した断面図である(実施形態)。
【図4】(a)はコンプレッサに内蔵された電磁式容量
制御弁を示した説明図で、(b)はコンプレッサの制御
電流値と吸入圧力の設定値との関係を示したグラフであ
る(実施形態)。
【図5】エアコン操作パネル上の各スイッチを示した平
面図である(実施形態)。
【図6】エアコンECUによる基本的な制御処理を示し
たフローチャートである(実施形態)。
【図7】エアコンECUによるコンプレッサの吐出容量
決定の制御処理を示したフローチャートである(実施形
態)。
【図8】外気温度と第1目標エバ吹出温度との相関関係
を示した特性図である(実施形態)。
【図9】目標吹出温度と第2目標エバ吹出温度との相関
関係を示した特性図である(実施形態)。
【図10】目標エバ吹出温度に対するオイル戻り不良域
を示した特性図である(実施形態)。
【図11】エアコンECUによるオイル戻り制御を示し
たフローチャートである(実施形態)。
【図12】(a)は吐出容量の大きい時の電磁式容量制
御弁の状態を示した説明図で、(b)は吐出容量の大き
い時のコンプレッサの状態を示した説明図である(実施
形態)。
【図13】(a)は吐出容量の小さい時の電磁式容量制
御弁の状態を示した説明図で、(b)は吐出容量の小さ
い時のコンプレッサの状態を示した説明図である(実施
形態)。
【符号の説明】
E エンジン 1 空調ユニット 2 空調ダクト 5 エバポレータ 6 ヒータコア 7 コンプレッサ(圧縮機本体) 8 電磁クラッチ 9 電磁式容量制御弁(吐出容量可変手段) 10 エアコンECU 16 冷凍サイクル 78 エバ吹出温度センサ(冷却度合検出手段) 101 目標エバ吹出温度決定手段(目標冷却度合決定
手段) 102 制御電流演算手段 103 コンプレッサ制御手段 104 オイル戻し制御決定手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)車室内に向けて空気を送るための空
    調ダクトと、 (b)この空調ダクト内を流れる空気を冷媒と熱交換し
    て空気を冷却するエバポレータ、およびこのエバポレー
    タより吸入した冷媒を圧縮し吐出すると共に、外部から
    の信号により吐出容量を可変するコンプレッサを有する
    冷凍サイクルと、 (c)前記エバポレータによる空気の目標冷却度合を決
    定する目標冷却度合決定手段と、 (d)この目標冷却度合決定手段にて決定した空気の目
    標冷却度合が、オイルの戻り難い所定冷却度合以上の時
    に、前記コンプレッサを通常の容量可変制御の時よりも
    大容量運転するコンプレッサ制御手段とを備えた車両用
    空調装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の車両用空調装置におい
    て、 前記オイルの戻り難い所定冷却度合は、前記エバポレー
    タの熱負荷が小さい程低くなるように設定されることを
    特徴とする車両用空調装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の車両用空
    調装置において、 前記エバポレータの熱負荷とは、前記エバポレータに吸
    い込まれる空気のエバ吸込温度であることを特徴とする
    車両用空調装置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれか1つに
    記載の車両用空調装置において、 前記コンプレッサ制御手段は、前記コンプレッサの大容
    量運転を、一定間隔で所定時間だけ行うことを特徴とす
    る車両用空調装置。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれか1つに
    記載の車両用空調装置において、 前記エバポレータによる実際の空気冷却度合を検出する
    冷却度合検出手段を備え、 前記コンプレッサ制御手段は、前記目標冷却度合決定手
    段にて決定した空気の目標冷却度合が、前記オイルの戻
    り難い所定冷却度合よりも低い時に、前記目標冷却度合
    決定手段にて決定した空気の目標冷却度合と前記冷却度
    合検出手段にて検出する実際の空気冷却度合とが等しく
    なるように前記コンプレッサの吐出容量を制御すること
    を特徴とする車両用空調装置。
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項5のいずれか1つに
    記載の車両用空調装置において、 前記コンプレッサは、車両に搭載されたエンジンにより
    回転駆動される圧縮機本体、および外部からの信号に基
    づいて、前記圧縮機本体より吐出される冷媒の吐出容量
    を可変する吐出容量可変手段を有することを特徴とする
    車両用空調装置。
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